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2017-06-02
「秋田県で、鈴を携帯していてもクマに襲われるケースが相次ぐ」という報道の真偽を考察する
「相次ぐ」という言葉から、みなさんはどれくらいの数字を思い浮かべられますか。
上記報道の根拠を確かめてみました。
2016年度秋田県でのクマとの人身事故19件発生…うち、鈴を携帯していたのは2例のみ。
2017年度秋田県でのクマとの人身事故1件発生…うち、鈴を携帯していたのは1例のみ。
20件中3例あれば、相次ぐと報道しても日本語としては許されるのでしょうか。
しかも、この3件は、いずれもネマガリダケのタケノコ(鉛筆サイズ)を採集中の事故です。
ネマガリダケのタケノコは小さいため、しゃがんで採集している時、鈴が鳴っていなかったことは考えられませんか。
秋田県当局に問い合わせると、「考えられますね」という返答でした。
ではでは、「クマは、鈴を携帯していても人を襲ってくる」と思わせる報道は、完全に国民をミスリードしたことになります。
鈴の音が鳴っていなかったのなら、鈴を携帯していたことになりません。
「相次ぐ」報道が、実はゼロ事例だったのかもしれないのです。
近年世間を見ていると、クマに口がないのをいいことに、マスコミ報道が国民に間違ったクマ狂暴像を一方的にセンセーショナルに伝え、何も知らない国民が、クマなどこの国からいないほうがいいのだと判断ミスするようになってきていると感じます。
昨年の米田一彦氏による「殺人グマ誕生!」などのマスコミ報道が、面白おかしく過激にクマを報道した結果、秋田県民がクマに過剰反応するようになり、昨年度、生息推定数の約50%にあたる476頭が有害獣として捕殺されました。マスコミの無責任報道の罪は、クマという種を絶滅させるかもしれないまでに本当に大きいのです。
豊かな水源の森を造ってくれるクマを凶悪犯に仕立て上げて大量捕殺の流れを作り、この国からクマを滅ぼして日本をダメにしてやろうとしている者たちがいるのかもしれないと、わたしたちは疑ってしまいます。
<入山時、クマとの人身事故を避ける方法>
秋田県を代表する以下のお二人のコメントに、熊森は賛同します。(以下、NHK TVニュースより)
①秋田県立大学星崎和彦准教授
同様の被害はどこでも起きる可能性がある。どうしても山に入る必要がある場合は、複数で常に声を出しながら行動すべきだ。
本来、クマは人を恐れる動物なので、人の声が聞こえれば逃げていく。鈴よりも人間の声の方が効果的だと考えられるので、山では常に複数で会話しながら行動してほしい。
②秋田県佐竹敬久知事
国有林や私有林の所有者と協力して一定期間、入山を規制することは可能だが、タケノコ採りで収入を得ている方もいるし、県の名産品にもなっている。クマがいそうな山については立ち入りを自粛してほしい。
(熊森から)
◎朝日新聞デジタルニュース5月22日23時「クマと倉庫で鉢合わせ 64才女性 足かまれる」の表現を高く評価します。
→理由 クマ、人を襲うと書いていないから。クマに人を襲う習性はありません。印象操作をせず、事実だけを報道してくださっているのがすばらしいです。他のマスコミのみなさん続いてください。
◎5月27日東京朝日テレビに感謝
→理由 午後6時半のクマ関連ニュースのコメンテーターとして、くまもり森山会長を電話出演させてくださいました。