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2017-09-09
本部 東北クマと森調査(2)福島県・宮城県・岩手県
- 2017-09-09 (土)
- _現地訪問・調査
8月22日
2009年と2010年に実のなる木を植樹した東北初の熊森植樹地が福島県にあります。
何度かその後、苗木の生育ぶりを見に行ってくださっている山形県の熊森支部長に案内していただいて訪れました。
当時はアカマツ人工林の皆伐跡地で、むき出しの地面でしたが、今や人の背丈を超える植物にびっしりと覆われ、分け入ることも困難な状況でした。
苗木以外に、マツなどのさまざまな実生の樹木が成育し、アザミ、ハギなど、種々雑多のきれいな草花がササの間にびっしり生えていました。
植樹当時見えていた、後ろの山を思い出して、なつかしむ
ミズナラの苗木に、実が1つついていた
この場所は、自然の力で見事、森に戻りつつありました。
この後、当時お世話になった元町長さん宅を訪ねました。
おうちの周りの柿園には、立派な柿の実がたくさんついていました。
「クマが秋に食べに来ませんか」とたずねると、「秋の山は食べ物でいっぱいだから、民家の柿になど1回も来たことないよ」と教えてくださいました。
他にも、地元の貴重なお話をたくさん聞かせてくださいました。
蓮の種は、傷をつけないと芽が出ないそうですが、東日本大震災の後に、蓮が芽を出した不思議な池があります。
地震で、昔池の中に埋まっていた蓮の種が傷を受け、芽を出したのではないかということでした。
今では一面の美しい蓮池になっていました。
地震の後、蓮池になった池
この後、宮城県北部のクマ生息地で、家の周りに3本の日本熊森協会の旗を立て、クマ保護を周囲に訴えておられるくまもり会員のご自宅を訪ねました。
宮城県の人工林率は50%と、とても高いのです。
林業に携わっておられるこの会員から、山のことや野生動物の情報を得ました。
兵庫県と違って、混み入った人工林の中にも、下層植生が育っている
会員の家の前で記念写真
この後、岩手県に入り、岩手の森や動物に詳しい写真家の方に、いろいろとお話を聞かせていただきました。
みなさんから教わって、だいぶんいろいろなことがわかってきました。
みなさん本当にありがとうございました。
本部 東北クマと森調査 (1)宮城県
- 2017-09-09 (土)
- _現地訪問・調査
東北3泊4日の調査で、私たちは実に多くのものを得ました。ここでは、ごく、簡単に報告させていただきます。
今回の調査に参加した本部3名は、仙台まで飛行機で、後はレンタカーで移動しました。
8月21日
①宮城県庁自然保護課の方と懇談
②午後から、宮城県の森調査
ふだん、人の手が入り尽くした近畿地方の奥山を歩いている私たちには、東北の森は深くて別の国に来たのかと思うほど豊かでした。
しかも、人口密度が低いせいか、車で行けども行けども集落がありません。この森は、野生動物の国なのです。
宮城県の森の中
森の中を歩くと、餌の少ない夏の時期ですが、次々と実がなっている木が現れます。
サルナシ、ヤマブドウ、ミズキ、ウワミズザクラ、ヤブデマリ・・・
サルナシに無数の実がなっていた
足元には、地面を踏みしめる度に様々な昆虫がたくさん飛び出してきます。
クマの生息痕跡が至る所にあります。熊棚、背こすり跡、杉の皮ハギ跡、爪跡、足跡、糞・・・
ウワミズザクラの巨木にあった今年の熊棚(中央)
木の実を食べた後のクマ糞(この日見つけた4つの糞のうちの一つ)
この森には、クマが何頭もいるなと感じました。
クマはここにいたらいいのに、中には夏にデントコーン畑などに出て行くのがいて、昨年度も宮城県では1か月に30~40頭ぐらい有害捕殺されています。
しかし、東北のクマは、秋になるとふつうは一斉に山に戻ってしまうそうです。
なぜなら、山の中にドングリの木がたくさんあるから、人里にまで食べ物を探しに行く必要がないのです。
宮城県、月別クマ出没数
ここの人達は、山にクマがいるのは当たり前で気にしていないそうです。
山から出てきたクマは、駆除すればいいと思うそうです。
一応、人とクマとの棲み分けができています。
しかし、殺生は良くないので、山から出て来ても、追い払ったり、畑の周りに電気柵を張ったりして、殺さない解決策を追求してほしいです。
宮城県ではクマは狩猟対象獣で、毎年10頭前後のクマが狩猟されています。
追伸ですが、谷川の水が冷たいと思ったら、水温が12度でした。
真夏に水温12度
野生のクマにも会えて感激でした。
車の中から撮影したクマ
宮城のブナ林
宮城の森を案内してくださった先生に、感謝でいっぱいです。