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2017-09-10
本部 東北クマと森調査(3)岩手県・秋田県
8月23日
この日は秋田県入りです。ドライブウェイを通って、岩手県と秋田県にまたがる雄大な八幡平(はちまんたい。約4万ヘクタール。ほとんどが国有林)を抜けました。
八幡平は火山で奥羽山脈北部の山塊です。頂上部分が平らなため、平の名がついています。
ドライブウェイから見下ろした八幡平のシラビソ原生林
この世のものとは思えない美しさ
頂上まで道路がついているから、この雄大な景色を見ることができたのです。
しかし、景色を見れなくてもいいから、ここは人間が入れない聖域にすべきだと思いました。
9千~5千年前に発生した水蒸気爆発によりできた多くの火口に水が溜まり、いくつもの沼ができています。
地形的に人が近づくことができない熊沼もそのうちの一つ
山の中で工事用大型車両とすれ違いびっくりしました。何をしているのか見に行ったら、地熱発電工事でした。
2012年、環境省が国立公園内の地熱発電工事を許可したのです。ここではやめてほしいです。
景観台無し
熊森は、経営破たんした八幡平熊牧場に残されたクマたちを救うために、何度も八幡平を訪れました。
親しくなった地元ホテルの女将さんを訪ねて、毎年夏に現れるクマの情報などを聞き取りました。
今年は、夏らしい日が2日しかなかったと言われていました。
その後、ビジターセンターを訪ね、いろいろと教わりました。
ビジターセンター(建物は環境省だが、職員は民間)
驚いたことに、八幡平のクマの夏の主食は、ミズバショウの花の真ん中の黄色い部分なのだそうです。
八幡平を抜けてから、秋田県仙北市の今年のクマによる人身事故(死亡)現場に行きました。
この奥で、タケノコ採りの女性が、クマによる事故で死亡した
クマに人間が来たことを知らせるため、大声を出しました
死亡事故の後、山中に仕掛けられた2つの捕獲罠に2頭のクマがかかり、殺処分されました。
しかし、DNA鑑定の結果、この2頭のクマは事故とは無関係でした。
生息地内に罠を仕掛け、事故とは無関係のクマまで殺すなど、許されるものではありません。
仙北市を訴えたい思いで市役所を訪れ、担当者から詳しい話を聞き取りました。
この後、キュウリ、スイカ、モモ、リンゴなどを買い込んで、久し振りの出会いが大変楽しみな、北秋田市のくまくま園の救命グマたちに会いに行きました。
まず会ったのは、愛知県豊田市で捕獲されたツキノワグマの愛知と豊子です。どちらも元気でした。
今年、2頭の子を産んでいた豊子
当時、有害駆除されるところを助けた愛知県豊田市の行政の人達が、去年、愛知と豊子を見に来られたそうです。
なんだか心が温まりました。元気にしているかどうか、心配して見に来られたのでしょう。私たちと同じです。
飼育係の方は、40数頭いるツキノワグマの顔を全部覚えておられるということでびっくりしました。
どのクマとどのクマが気が合わないか等ずっと見て、クマに対応していると言われていました。
次はヒグマ園です。
ヒグマたちの救命に協力してくださったみなさんに代わって、安否を確認し、餌の差し入れをしてきました。
昨年1頭が亡くなりましたが、あとはみんな元気です。
オスとメスは1日おきに運動場に出してもらっているということです。
この日はメスの日で、9頭全部のメスが、運動場に出ていたようです。
どのヒグマものんびりと幸せそうにしていました。
顔の表情や動きを見て、みんな大事にしてもらっているのがわかりました。
ちょうど夕食の時間で、全員が個室に入りました。
檻の外からスイカをあげるには、小さく切らねばならないことがわかって、汗だくで切りました。
おいしそうに食べてもらって良かったです。
スイカの差し入れ
熊森は、これからもずっと救命グマたちを見守り続けたいと思います。
みなさんも是非、くまくま園を訪れてください。
8月24日は、東北森林管理署、秋田県庁自然保護課、岩手県庁自然保護課を順次訪れて話し込みました。
この4日間で学んだことを、今後の熊森活動に大いに生かしていきたいと思います。(完)