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2017-11
阪神間でもクマの目撃 人身事故が起きないか心配 熊森本部はその度に現地に急行
今年は、都市近郊でもクマの目撃が相次ぎました。こんなところにクマが?というほど住宅地の中であったこともあります。熊森本部は現地へ何度も足を運び、クマによる人身事故が起きないよう地域にお住まいの方に注意喚起して歩きました。
2017年5月3日くまもりNEWS「なんと姫路市にクマ、熊森本部が急行」
◎クマではなく、イノシシだった猪名川町のクマ目撃地点
今年の7月~9月にかけて、兵庫県の西宮市、宝塚市、猪名川町、隣接する大阪府の能勢町、豊能町などでクマの目撃が相次ぎ、本部のクマ保全担当が現場へ駆けつけました。いずれも、早朝や夕方にクマが目撃されており、目撃場所はどこも雑木林や竹林などが近くにありました。
9月、猪名川町の住宅地で、夜にクマらしき黒い動物の目撃情報が寄せられているという情報を得ました。人身事故が起きると大変なので、すぐに現地へ足を運びました。
住宅地の周囲は300~400m程の小高い山々に囲われており、クマらしき動物が出たのは山裾に近い家の裏であるとのことです。近くの方にお話を伺いに行きました。
【山裾に近い家にお住まいの方のお話】
・9月3日の夜に、家の裏にある山の繁みから大きな動物が枝葉を踏むような足音が聞こえてきた。家の窓からのぞいてみると、繁みの中に黒くて大きな生き物がいるように見えてクマだと思った。これまでにも何度か大きな動物が茂みの中を歩くような音が夜に聞こえてきたことがあったので心配。
熊森本部は、付近の山の中でクマの痕跡がないか探し回りましたが、見当たりませんでした。そこで、家主に許可をもらい、家の裏の繁みの中に自動撮影カメラを設置して観察することにしました。
1か月後の10月上旬、クマらしき動物がまた現れたので、カメラの確認に来てくださいと家主さんから連絡が入りました。現地へ行き、家主さんがクマらしき動物を見たという日時の写真を確認してみると、そこには大きなイノシシが写っていました。
クマではなくイノシシだったことを、家主にお電話でお伝えしたところ、安心されていました。クマの目撃情報は、必ずしもクマが現れたとは限らないのだと改めて思いました。
◎11月20日、21日、早朝の住宅地をクマが横切った
11月に入って、兵庫県の川西市でクマの目撃が相次ぎ、熊森本部は現場へ駆けつけ、地元の方に詳しい状況についてお話を伺いました。
【地元の方のお話】
・11月20日、朝の6時半ごろに、近くに住む方が出勤途中に目撃したときいている。黒くて大きく、間違いなくクマだった。交差点になっており、クマが東の角から出てきたという(地図参照)。クマとの距離は10mほどで、大きさは立ち上がったら170cmくらいありそうだったという。クマは男性に気づくと、交差点を西の方へ横切り、一目散に走って山の竹林へ逃げていったという。
・この地域でクマが出たのは初めて。他の地区では、時々クマが出たと聞くので全くいないとは思わない。4日ほど前にクマが出てから、一人で外を出歩くときはクマ鈴をもって歩くようにしている。
・普段から集落の中にイノシシが出てくるので、生ごみを外に置くということはこの地区ではほとんどない。ゴミ捨て場も、かなり頑丈に作っている。
・3.4日前にクマが近くで出たというのは、回覧板を見て知った。集落の中にある雑木林や竹林に大きなけもの道が1本通っていて普段はイノシシがよく見られるが、クマもその獣道を通って移動してきたんじゃないかと皆言ってる。
・11月21日にもクマが川沿いの堀を山の方へ歩いて行ったと聞いている
熊森から
クマは、朝と夕方の薄暗い時間帯に出ているので、その時間に一人で出歩く際はクマ鈴を携帯するなど、早めにクマに人間が来たことを伝えてくださいということと、狭い路地や見通しの悪い場所を歩くのはなるべく避けてくださいと、聞き取りに応じてくださった方々にお伝えして歩きました。
目撃されているクマは、人間を見たら確実に逃げており、人間を避けて行動していることがわかります。目撃しても、えさを与えたり、人間のほうから攻撃をしたりしないで、そっと後ずさりして離れてください。
大型野生動物が都市近郊を徘徊する状況は、まずいです。熊森も悩んでいます。都市近郊には昔里山薪炭林だったころのクヌギ林などが結構残されており、大量のドングリが落ちています。クマにとっては人工林で埋まる山奥よりも、えさが豊富かもしれません。12月15 日にクマ狩猟が終了したら、すぐ山に帰って冬ごもりしてほしいです。
中山間地を抜けて都市周辺までクマが出て来るようになった問題は、国が乗り出さねばならない大きな問題だと思います。奥山に大型野生動物たちのえさ場を早急に復元すべきです。多くの国会議員にも訴えていきたいと思っています。
今の所、地元のみなさんは冷静にイノシシやクマを見守ってくださっているようです。これが日本文化だと思いますが有り難いことです。
県境超えて移動するツキノワグマ対策で広域タッグ 兵庫・京都・岡山・鳥取が検討会 目撃相次ぐ大阪も参加へ
以下、産経新聞より
人を襲うなどの被害事例が相次ぐツキノワグマについて、対策に悩む兵庫県が隣接する京都、岡山、鳥取の3府県と共同で広域的な保護管理計画を策定する方針であることが11月13日、分かった。府県境を越えてクマが移動するため単独での対策が困難なことが背景にあり、今年度中に検討会を立ち上げ作業を始める。クマの目撃情報が相次ぐ大阪府も検討会に参加の方向で、生息地把握や駆除計画などで「広域タッグ」を組む。
兵庫県などによると、4府県以上での保護管理計画策定は珍しいという。
従来は各府県が個別に保護管理計画を策定しているため、「対策してもクマが県境を越えれば台無しになる」(兵庫県)との側面があった。生息数も各府県で調査方法が異なり、正確に把握できていないという。
このため検討会では保護や管理について府県で認識を共有し、共通の方法で生息数を調査。広域的な駆除の方向性などを盛り込んだ保護管理計画の策定を目指す。重点地域としては、クマの目撃情報が多い兵庫北東部から京都などの「近畿北部地域個体群」の西側部分と、兵庫北西部から鳥取、岡山の「東中国地域個体群」を設定する。
近年になってクマが住民と遭遇するケースが増加。検討会に参加方針の5府県の昨年度の目撃情報は3214件で過去5年で最も多かった。クマに襲われたとみられる事例も11件発生。クマが生息していないはずの大阪府でも平成26年度以降は毎年目撃されている。
こうした現状を受け、保護を続けてきた兵庫県は昨年、20年ぶりにツキノワグマの狩猟を復活。今年も15日から狩猟を解禁する。岡山県も今年、17年ぶりに狩猟を解禁。京都府も解禁に向けた検討を進めるが、鳥取県は現在のところ解禁は考えておらず、各府県の足並みをそろえるためにも広域の保護管理計画が重要な役割を担うことになる。
(熊森から)
地域個体群全体でクマを見ていくというのは、とてもいい方向だと思います。
しかし、それは人とクマが共存するためにであって、<駆除計画などで「広域タッグ」を組む>(上記新聞記事より)ためであってはなりません。
クマが山から出て来るようになって、地元の方々が被害や事故に悩まされるようになっていますが、原因はクマたちの奥山生息地を破壊し続けてきた人間にあります。
上記記事から、兵庫県は相変わらず、物言えぬ弱者であるクマにクマ問題の全責任を負わせようとしているのが伝わってきて、残念に思いました。4府県がタッグを組むことで、このようなものの見方にも変化が起きることを期待します。
もう一つ期待できるかもしれないのが、クマに関する情報の公開が進むことです。兵庫県は森林動物研究センターができて、兵庫県立大学の先生がクマの調査をするようになってから、ほとんどのクマ情報が非開示となりました。
熊森は、昨年度、兵庫県鳥獣対策課に対して、クマの捕獲日時、市町村、集落、雌雄、年齢、体重、何回目の捕獲か、胃内容、行動圏等の情報公開願い文を提出しましたが、当初、全面拒否されました。
理由は、将来、世界的なクマの論文を書こうとされている先生の知的財産を守るためということです。
県民の税金で調査したことが、ひとりの研究者の財産にされてしまうのはおかしいと思った私たちは、昨年度、知事や情報公開・個人情報保護審議会に、せめて他府県並に情報を公開してほしいと訴えました。私たちが知りたいのは先生の知的財産などではなく、単なる基礎データ(生データ)だけです。
この問題は今のところまだ全面解決には至っておりませんが、4府県が合同調査することで、このようなことも改善されてくるかもしれません。
今後は、調査員の中に、将来、世界的なクマの論文を書こうとされている先生を入れないようにしていただきたいと願います。そういう方は、やはり情報を非開示したいと願われるだろうと思うからです。
11月23日 政府・与党 「森林環境税 」1人1000円 2020年度以降に徴収を発表 くまもりは、年間620億円の使い道を問題視
昨年秋、政府・与党は二酸化炭素(CO2)の森林吸収量向上による温暖化対策や国土保全の安定財源として、林野庁などが創設を求めていた「森林環境税」の導入を発表しました。
集まった財源は、市町村の森林整備財源に充てるとされていました。
しかし、すでに37府県と横浜市が独自の「森林税」を導入しており、地方自治体から「二重課税」を理由に反対の声が上がったため、発表直後に早々と先送りが決定されてしまいました。
しかし、本日、「森林環境税」について、1人当たり年1000円を徴収する方向で政府・与党が調整に入ったことが発表されました。個人住民税を納める約6200万人が対象で、年約620億円の税収が見込まれます。
12月中旬にまとめる2018年度与党税制改正大綱に盛り込まれるということです。
熊森としては、戦後の森林政策の失敗で、日本の山を大荒廃させてしまった、もうどうしてよいかわからないと林野庁の職員の方々が嘆いておられるのを裏で聞いてきたので、林野庁が責任を感じて、何とかこの国のために豊かな森や林業用として活用できる林を取り戻そうとされるなら、国民として大いに協力したいという思いがあります。
しかし、問題は、そういう方向で、お金が使われるのかどうかなのです。しかも、国が中央で決めた一律のお金の使い方を指示しないだろうかという不安もあります。南北に長い日本です。豊かな森の顔は、地域によってかなり違っています。その地域に合った森造りをしないと、またまた失敗してしまうでしょう。集まった財源を、県ではなく市町村に渡すしくみとなっている訳もよくわかりません。
「森林環境税」には、環境とか、森とかいう言葉は一応入っていますが、実質は無意味な「林業振興税」に使われるだけになるのではないかという心配があります。
時代がすっかり変わっているのに、もはや需要もなく日本の山に取り残された哀れ膨大なスギ・ヒノキ人工林の維持や再造林を進めるための「林業振興税」なら、まっぴらごめんです。人工林の2割間伐などしても、5年もたてば残された木々が成長して、また内部が真っ暗で死んだ山になってしまいます。税金の無駄遣いです。
森と林は全く別物です。一緒にして森林としてしまうから、わけがわからなくなるのです。
今、日本がしなければならないのは、今後も林業として需要や利用が期待できるスギ・ヒノキの単相林は残したとして、伐り出しが不可能な場所にあったり、もはやバイオマスなどにしか使い道のない、しかも豪雨で崩れやすい針葉樹の単相林を樹種転換し、保水力豊かで野生鳥獣たちが棲める災害にも強い雑木林(=森)を、全生物のために、鳥獣被害に悩む地元の方のために、次世代のために、復元することなのです。そのような「森林環境税」となるよう、熊森は声を挙げていきたいと思います。
くまもり本部2017年12月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)
※拡散希望
熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。
会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。
学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。
ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。
本部電話番号 0798-22-4190
本部FAX番号 0798-22-4196
メール contact@kumamori.org
2017年12月の活動予定
<いきものの森活動>
12月10日(日)(予定)植樹地のネット補強(兵庫県宍粟市波賀町戸倉)
12月17日(日)(予定)植樹地のネット補強(兵庫県豊岡市但東町)
午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。
- いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。
現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。
天候不順で中止になることがあります。
<環境教育例会(於:本部事務所)>
12月の例会はなし ご興味のある方は本部までご連絡ください。
- 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。
<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>
12月7日、14日、21日、28日(毎週木曜日)
- 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。
現地までの交通手段は本部にご相談ください。
<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>
12月24日(日)(毎月第4日曜)
参加費:1000円(交通費)
- 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。
午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。
現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。
環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。
太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。
自車参加も可能です。
たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。
哀れ、秋田県のクマ、前代未聞の大量捕殺697頭 (10月末現在)
- 2017-11-18 (土)
- くまもりNEWS
秋田県における去年からのクマ大量捕殺が、今年、ますますエスカレートしました。
秋田県のクマはこれまで、生息推定数がずっと1000頭で一定していると発表されてきました。
そんな秋田県で、昨年度、476頭のクマが有害捕殺されるという驚くべき事態が発生しました。
生態系保全上、1割以上の野生動物を獲ってはならないとされていますから、約50%のクマを捕殺したということは、熊森にとってはショッキングな出来事でした。
昨年度、ネマガリダケの採集中に、同じ場所で4名がクマによる人身事故で相次いで亡くなるという、いまだかってなかった痛ましい事件が発生し、クマは怖い、出てきたら駆除しておくべきだという県民感情が芽生えたのだろうと予測されます。
今年の秋田県の山の実りは、ブナ皆無、ミズナラ凶作、コナラ凶作という悲惨な状況です。
2016年度も、秋田県のブナは皆無でしたが、ミズナラ・コナラは豊作でした。よって、それなりに子が生まれたもようです。
誕生した若グマたちは、今年2017年度、冬籠り前の食い込みができずに、里に次々と出てきたもようです。
行政のみなさんに問い合わせると、去年もクマが次々と人里に出て来たが、今年はその比ではなく、信じられないようなすごい数でしたということです。
連日、地元住民からの「クマを駆除してほしい」という依頼が、殺到し続けた年だったということです。
熊森として思い切った予算措置を取って何かできないかと、いろいろと考えてきたのですが、支部もないし、地元とのつながりも薄く、残念ながら前代未聞のこの大変な事態に対して、手も足も出せませんでした。以前秋田で講演させていただいたとき、高齢者の方々がたくさん聞きに来てくださいました。終わってから、「あんたより、わたしらのほうがずっとクマに深い愛情を持っているよ。昔から一緒に暮らしてきたんだ」と言われ、感動しました。あの方々は、今年、声を挙げられなかったのでしょうか。
本日、11月16日は、秋田は、初雪になる模様です。午後5時の気温はマイナス1度です。
まだまだリンゴやお米を狙って、人里をうろついているクマが居るそうです。
これから、食料を求め、雪の中をさ迷い歩いて次々と死んでいくのでしょうか。
これは、どうしようもない自然現象なのでしょうか。
人間には一切責任がないのでしょうか。
秋田の人工林率は50%という高率です。多くが間伐もされず放置されたままです。
林業用や観光用として、奥山に縦横に道路が敷設され、人間がクマたちの棲息地に入り込んでいます。
今年のような凶作年、川魚が食べられたら、何とかクマもしのげるのではないかと思いますが、人間活動により渓流魚は全国的にどこも激減です。
山の実りの凶作年、多くのクマたちが餓死するのは、自然かもしれません。
しかし、10月末までの捕殺数が697頭とは・・・もう少し、駆除を減らすことはできなかったのでしょうか。
秋田県のいろいろな方に電話をして聞いてみました。
秋田のみなさんは、どなたも非常に誠実にお答えくださったと感じます。
結論として、まだ、人間にはクマのことなどほとんど何もわかっていないということです。
マタギの方:秋田県には1000頭どころか、もっと多くのクマがいる。猟師が減ったので増えすぎているんだ。もうすぐクマ狩猟が始まるが、今年のような山の実りの凶作年、クマは諦めてさっさと冬籠りに入ってしまう。秋田の雪はまだだが、多くのクマはもう冬眠したと思うので、狩猟してもあまり獲れないと思う。クマが人間の所に出て来るようになった大きな理由は、中山間地から人が消えたこと。クマにとっては生息地が2倍になったと思うな。ブナ、ミズナラ、コナラの実りがゼロでも、クマはクリ、クルミ、クロモジの実、サルナシ、マタタビ、ヤマブドウ・・・なんでも食べっから、何か食べてんだと思うな。関西なら、里にはクヌギやアベマキ、常緑樹などいろいろなドングリがあるが、秋田は平地がミズナラ帯だから、ブナ、ミズナラ、コナラ以外のドングリはないよ。
地元の人:昔は里山が緩衝帯になっていて、野生動物は出てこなかった。今はスギを植えて放置しているから、内部がうす暗い。集落の裏が、クマの格好のひそみ場になっており、簡単に集落に出て来れるようになっている。自然保護団体にしてもらいたいのは、間伐。思い切ってバッサリ伐って、中が見えるようにスカスカにしてほしい。この前の朝、道路でクマにあったが、丸々と太っており、人間の前を平気で歩いて行った。人間が怖くないのかなと思った。
自然観察指導員の人:子供たちを山に連れて行こうとしても、「クマ出没注意」の看板を見て、「クマが居るなら、こわいからイヤ」と、山に入るのを拒むようになった。私自身は、何回もクマに会っているし、クマは危険な動物ではないと知っているんだが・・・秋田の人達のクマに対する見解が変化したと思う。
行政の人:11月というのに、どうしてまだクマが殺されているのかというと、秋田の人は果樹園の木の実とか全部取らずに、野鳥のために少し残しておいてやる習慣があり、その実を狙ってクマが出てきている。熊森さんに、クマには電気柵が有効と教えてもらって実験してみたら、効果があったので、来年からはこういう物も導入してみようかと思う。住民が駆除してほしいというのは、農作物被害もあるが、それよりも、みんな人身事故を恐れて言っている。今年秋田県でクマによる人身事故が25件あった。偉い先生方に、どうして今年、こんなに大量にクマが山から出て来るのか相談してみたが、クマの生態はまだまだ人間にはわからないことでいっぱいと言われた。行政は人間を守らねばならないので、近くに幼稚園や学校があるとなると、罠をかけて駆除するしかない。
(熊森から)
聞けるものなら、クマたちの言い分も聞いてみたいです。
熊森本部のある関西と東北では、山も人々の暮らしも状況がかなり違います。
今年のような異常年、目の前の問題としてどうすれば人間とクマが共存できるのか、秋田の地元の方で名案のある方は、どうか熊森本部にご連絡ください。
熊森がわかっているのは、「人間が人間のことしか考えなくなったら、人間は滅びる」という自然界の掟です。
今年の兵庫県クマ生息地の集落は、静かな秋です
- 2017-11-12 (日)
- くまもりNEWS
兵庫県の今年7月末までのクマ目撃数+痕跡数は、過去最高の308件(ダブルカウントされたクマも多いと考えられる)でした。
どんな年になるのかと心配していましたが、8月からは目撃数がぐんと減り始めました。
<目撃数の変化>
4月22頭→ 5月80頭→6月 117頭 →7月89頭 →8月61頭 →9月54頭 →10月27頭
10月の有害捕殺数はゼロ、誤捕獲されたクマもたった3頭だけでした。
11月になってクマ生息地の集落を回ったところ、秋になってクマを見かけなくなったとみなさんが言われていました。
今年は山の実りが良いからです。
兵庫県森林動物研究センター調査
・・・ ブナ並上、ミズナラ豊作、コナラ豊作
熊森調査(クマ生息地のみ)
・・・ ブナ並下、ミズナラ並、コナラ並上
10月下旬に、クマ生息地を回った時の写真です。
ミズナラの木の下にたくさん落ちていたドングリ
拡大写真です。
ミズナラはナラ枯れで、近年、大量に木が消失しました。
しかし、残されたミズナラの実りが良いと、もうクマは里に出てきません。
クマは人間をなめて出て来るとか、里の味をしめて出て来るとかいう説は、どうなるのでしょうか。
これまで熊森は兵庫県に対して、里でのクマ目撃数やクマ捕獲数ばかりカウントしていないで、奥山にクマがいるかどうかも調べるべきだと訴えてきました。
兵庫県は、調べてみますと約束してくれました。
11月、地元集落のお祭りに呼んでいただいたおり、少し早めに行って近くの山を歩いてみました。
山の中に、兵庫県森林動物研究センターが仕掛けたドラム缶型クマ捕獲罠がありました。
いわゆる、学術捕獲です。
以前、クマ捕獲用ドラム缶檻は緑色と決まっていましたが、今回のは下草が消えた兵庫県の自然林の林床の色に合わせたのか、茶色基調でした。
ふたが落ちていたので、あわてて兵庫県森林動物研究センターに連絡しました。すでに調査済みで、誤作動でふたが落ちたと言われたので、ほっとしました。
最近は何でもどんどんハイテクになっていき、ふたが落ちるとセンター内にいてもすぐにわかるようになっているそうです。
奥山のクマを調べてくれるのはありがたいのですが、痕跡や自動撮影カメラなど、熊森がしているようにクマに負担を掛けない調査をお願いしたいです。
罠にかかったクマは、全身麻酔をかけられ、歯を1本抜かれ、発信機を付けられて調査放獣されると思います。
クマからすれば、どんなに怖いことか、クマがかわいそうになりました。
みなさんはどう思われますか。
集落のお祭りでは、地元のリーダーの方から、「うちは、これからも熊森さんと協力してやっていきたい」と、紹介していただきました。うれしかったです。
クマが出てきたら追い払うとか、草刈りを手伝うとか、地元の皆さんに喜んでいただけることを、今後もしていきたいと思いました。
もちろん根本解決は、奥山の広葉樹林化です。
11月10日 色んな秋、みーつけた!秋のお山で園児に本部環境教育
- 2017-11-12 (日)
- _環境教育
自然を知るのに、早すぎることはありません。
むしろ、子どもたちの観察眼や感性の豊かさには、いつも驚かされます。
くまもり本部環境教育部は、保育園から依頼を受け、3~5歳児さん約40名と、神戸市東灘区にある保久良山に出かけました。
こちらの園では、年に何度も園児たちを保久良山に連れて行きます。
季節の移ろいを感じることができる、素敵な取り組みだと思います。
熊森は、今年春にも、園児たちの散策に同行させていただきました。
この日は雲一つない快晴。
優しい日差しが心地良い、絶好のピクニック日和でした。
木々がところどころ紅葉していて、
足元は、落ち葉でできたカラフルなふかふか絨毯。
秋ならではの色に溢れた山です。
園児たちには「秋の色さがし」に挑戦してもらいました。
中には、お気に入りの葉っぱを集める子も。
まるで、宝探しのようです。
見つけては、楽しそうに教えてくれました。
咲いている花の違いや木の実の有無など、
春との違いを発見する子もいました。
途中、葉書きの語源となったタラヨウの木があり、下には大きな葉がたくさん落ちていました。
落ち葉を拾って、みんなでお手紙を書いてみました。
頂上でお昼ご飯を食べていると、ヒヨドリたちも実をついばみにやってきました。
野生の鳥たちと一緒にお食事できるのは、フィールド学習の特権ですね。
昼食の後は、自由時間。鳴く虫を探してみたり、木に登ってみたり。
落ち葉を集めて、トランポリンをする子も。
みんな、全身をフルに使って、秋の自然を楽しんでいました。
園児たちは、様々な自然の姿に興味津々で、
色とりどりの葉、大小様々な木の実、
変わったにおいの草、にぎやかな鳥の声。
自然の面白さを全身で感じている様子が伝わってきました。
いろいろな生きものたちがいるのが自然であり、
みんな命があって、みんなつながって生きている
これからも、目で、耳で、鼻で、全身の感覚で、
自然の素晴らしさや愛しさを知ってもらえたらと願っています。(SY)
リニア、南アルプスに穴をあけて大丈夫か 講師:服部 隆 氏 ~10月14日 第11回リニア市民ネット大阪勉強会~
- 2017-11-16 (木)
- くまもりNEWS
今回講師にお招きしたのは、9月8日、第6回のストップ・リニア訴訟口頭弁論(於:東京地裁)で力強い陳述をされた静岡県在住の登山愛好家である服部隆さんです。
服部さんは、学生の頃より南アルプスを中心に沢登りを続けられ、アメリカなど国内外の岩山にも登られてきました。山に関するその豊富な知識には、圧倒されました。
熊森が南アルプスを調査するときは、服部さんに案内をお願いすると決めました。
<服部さんのお話の要約>
南アルプスは、3つの山域に分かれており、リニアが通る「南アルプス南部」は、赤石岳などからなります。
砂岩、泥岩など様々な成分からできている上に、100万年前に圧縮されて出来た地形で、今でも年間3-4ミリ隆起が起き、土砂が押し出されている造山帯です。
その為、色々な所に崩壊地があり、大変脆い地形です。
そこにトンネルを掘って、大丈夫でしょうか。
トンネルを掘れたとしても、何年もつのでしょうか。
南アルプスでは、大量の水の流れによってV字谷が造られました。
この豊かな水が多様な植生をつくり、多様な野生動物の生活を支えてきました。
静岡では、10.7キロものトンネルを掘るのですから、大量の残土が発生します。
JR東海がリニアの残土を置く予定にしている燕沢(ツバクロサワ)付近は平坦地になっていますが、ここは、洪水の調整池のような役割をしています。
計画では、ここに高さ65mの残土置き場ができるのです。
上流には千枚崩れという絶えず崩れている場所があり、そこから流れ出た土砂がこの平坦地でスピードを落とす場所です。
JR東海は大丈夫と言っていますが、静岡県が設置している、リニア影響評価協議会の専門家は、JR東海は想定が甘いという意見を述べています。
10年にわたって工事が進められるのですから、数百台のトラックが、大量の排気ガスをまきながら走ります。
南アルプスの二軒小屋(登山基地)辺りを2015年に調査した結果、二酸化窒素の値が0.001ppmでした。
JR東海の調査によると、リニア工事によってこの値が最大予測値0.018ppm増えるが、この増加は、環境基準の0.06ppm以下だから問題がないとされているようです。
しかし、ここの主役は人間じゃなく、クマやカモシカなどの野生動植物。人間の環境基準に合わせるのではなく、もともとの値0.001ppmを基準にするべきです。
彼ら野生動植物は口をきけません。
山を知っているわれらが代弁者になりたいと思ったので、第6回ストップ・リニア訴訟で、被告席と裁判長に対して訴えました。
参加者の感想
- リニア、原発、、、いらないものを作る愚かな人間。知らないことが知らない所で進んでいる。自分だけ良ければ良いという情けない考えとしか思えない。
- 最近、自然災害が多発し、復興もままならないのに、必要のないリニアに莫大なお金と労力をかけるのはなぜなのか不思議です。
- 大へん勉強になりました。ますます、リニアは不要、というより罪悪と感じます。
熊森から
静岡県知事に拍手です。
静岡県の川勝平太知事は10月10日の定例記者会見で、大井川の流量減少が懸念されるリニア中央新幹線のトンネル掘削工事を巡るJR東海の対応について「県民に誠意を示す姿勢がない。猛省をうながしたい。県民や県にとって工事はデメリットしかなく、流量を全て戻すと約束しない限り断固反対する」と抗議しました。