くまもりHOMEへ

ホーム > アーカイブ > 2017-11-16

2017-11-16

リニア、南アルプスに穴をあけて大丈夫か 講師:服部 隆 氏 ~10月14日 第11回リニア市民ネット大阪勉強会~

今回講師にお招きしたのは、9月8日、第6回のストップ・リニア訴訟口頭弁論(於:東京地裁)で力強い陳述をされた静岡県在住の登山愛好家である服部隆さんです。

服部さんは、学生の頃より南アルプスを中心に沢登りを続けられ、アメリカなど国内外の岩山にも登られてきました。山に関するその豊富な知識には、圧倒されました。

熊森が南アルプスを調査するときは、服部さんに案内をお願いすると決めました。

講演中の服部隆さん

 

<服部さんのお話の要約>

南アルプスは、3つの山域に分かれており、リニアが通る「南アルプス南部」は、赤石岳などからなります。

砂岩、泥岩など様々な成分からできている上に、100万年前に圧縮されて出来た地形で、今でも年間3-4ミリ隆起が起き、土砂が押し出されている造山帯です。

その為、色々な所に崩壊地があり、大変脆い地形です。

そこにトンネルを掘って、大丈夫でしょうか。

トンネルを掘れたとしても、何年もつのでしょうか。

 

南アルプスでは、大量の水の流れによってV字谷が造られました。

この豊かな水が多様な植生をつくり、多様な野生動物の生活を支えてきました。

 

静岡では、10.7キロものトンネルを掘るのですから、大量の残土が発生します。

JR東海がリニアの残土を置く予定にしている燕沢(ツバクロサワ)付近は平坦地になっていますが、ここは、洪水の調整池のような役割をしています。

計画では、ここに高さ65mの残土置き場ができるのです。

上流には千枚崩れという絶えず崩れている場所があり、そこから流れ出た土砂がこの平坦地でスピードを落とす場所です。

JR東海は大丈夫と言っていますが、静岡県が設置している、リニア影響評価協議会の専門家は、JR東海は想定が甘いという意見を述べています。

 

10年にわたって工事が進められるのですから、数百台のトラックが、大量の排気ガスをまきながら走ります。

南アルプスの二軒小屋(登山基地)辺りを2015年に調査した結果、二酸化窒素の値が0.001ppmでした。

JR東海の調査によると、リニア工事によってこの値が最大予測値0.018ppm増えるが、この増加は、環境基準の0.06ppm以下だから問題がないとされているようです。

しかし、ここの主役は人間じゃなく、クマやカモシカなどの野生動植物。人間の環境基準に合わせるのではなく、もともとの値0.001ppmを基準にするべきです。

彼ら野生動植物は口をきけません。

山を知っているわれらが代弁者になりたいと思ったので、第6回ストップ・リニア訴訟で、被告席と裁判長に対して訴えました。

 

会場の様子

 

参加者の感想

  • リニア、原発、、、いらないものを作る愚かな人間。知らないことが知らない所で進んでいる。自分だけ良ければ良いという情けない考えとしか思えない。
  • 最近、自然災害が多発し、復興もままならないのに、必要のないリニアに莫大なお金と労力をかけるのはなぜなのか不思議です。
  • 大へん勉強になりました。ますます、リニアは不要、というより罪悪と感じます。

 

熊森から

静岡県知事に拍手です。

静岡県の川勝平太知事は10月10日の定例記者会見で、大井川の流量減少が懸念されるリニア中央新幹線のトンネル掘削工事を巡るJR東海の対応について「県民に誠意を示す姿勢がない。猛省をうながしたい。県民や県にとって工事はデメリットしかなく、流量を全て戻すと約束しない限り断固反対する」と抗議しました。

フィード

Return to page top