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2018-07-14
クマが祠や墓を壊した訳は(兵庫県加西市) 熊森現地へ
熊森本部は、神戸新聞デジタル版で、兵庫県加西市北部でクマが神社の祠やお墓、養蜂箱を壊したというニュースを目にしました。
加西市北部にクマが出た?!
赤色が加西市
兵庫県のクマの生息最前線が年々南に拡大していることは、熊森も日頃より問題視しています。
さっそく加西市の担当者に電話をしてみました。
加西市の担当者のお話
「クマの被害や目撃は、5月上旬から6月中旬の間に発生しました。現在は終息しています。被害状況としては、ニホンミツバチの巣を狙って、祠が2か所で屋根をはがされ、墓地が1カ所で墓石の一部をずらされ、養蜂箱が1カ所で壊されました。
加西市は、これまでクマが出てくる地域ではありませんでしたが、ここ2、3年、毎年数件のクマ目撃情報が市に寄せられるようになりました。クマによる被害が発生したのは初めてです。
地元の皆さまにとってクマは見慣れない動物なので、区長会で兵庫県森林動物研究センターの専門員の方をお招きし、クマについてのお話と、クマ対策の方法についてのDVD上映を行いました。被害は終息しているので、クマの有害捕獲は検討しておりません。」
被害が終息していること、このクマを捕獲しようとしていないことを知り、とりあえず安心しました。
また、地元の皆さんが、クマを敵視していない地域であることもわかってきました。
それにしてもクマは、ここにハチの巣があるとよくわかったなあと感心します。
また、祠を壊したり、墓石を持ち上げたり、クマのハチの巣に対するすごい執念と、その力の大きさに驚かされます。
このような場合、クマの誘引物を早く見つけて除去してしまうことが大切です。
今度またクマが出てきたら、熊森も誘引物探しに協力したいです。
祠やお墓はきれいに修復されていた
現地でクマの情報の聞き取りしていると、当時の状況を詳しく知る男性に出会いました。この方が、現場を案内してくださいました。ありがとうございました。
男性からいただいた被害を受けた時の祠の写真
クマが壊してしまった祠やお墓は、すでにきれいに修復されていました。特に、壊れた祠2か所のうち1カ所は、どこが壊れたのか全く分からないほどでした。
修復された今の祠
この男性に名刺と連絡先をお渡しましたら、兵庫県にこんな自然保護団体があるなんて知らなかったと感心されていました。もっともっと広報に励まなければならないと思いました。
地元では、区長会で見せてもらった兵庫県森林動物研究センター作成のDVDをもらい、地区の常会でも上映会をして、多くの住民に観てもらったそうです。DVDを観た方の中には「秋にクマが集落のカキの木やクリの木に来ないように、トタンを巻いてみよう」と言われている方もおられたそうです。可能なら、熊森も被害防除のお手伝いをしたいです。
熊森は、クマが目撃されたりクマ被害が出たりした時、クマを悪者にしてすぐに殺処分してしまおうとする今の日本の風潮に、大変危機感を感じています。クマを飼ってみるとよくわかりますが、クマは犬やネコ以上に、人間と心が通じ合う賢くてとても優しい動物です。日本の国土で棲み分け共存が十分可能です。
棲み分けを復活させるためには、何としても、来年からの森林環境税を、奥山放置人工林の天然林化に確実に使っていただく必要があります。井戸知事、どうかよろしくお願いします。
絶滅危惧種、神奈川県丹沢山地のクマ、なぜ今年すでに殺処分2頭目なのか
以下、報道記事(カナロコ、6月30日)より
大山では6月19日から、大山ケーブル駅周辺や女坂などでクマの目撃情報が相次いでいた。県と市が合同で花火で驚かすなどして追い払ったが、そのたびにクマは戻ってきた。神奈川県と伊勢原市は大山の大山寺近くの山中に箱わなを仕掛け、かかった若い雄のツキノワグマ1頭(体長123センチ、体重47.5キロ)を、6月29日、住民や登山客を襲う恐れがあるとして殺処分した。
丹沢では5月14日にも秦野市名古木の弘法山周辺のハイキングコース近くで、くくり罠に誤捕獲されていた雄のツキノワグマ1頭を殺処分している。丹沢のツキノワグマは2013年の調査で40頭前後と推計されており、県から絶滅危惧種に指定されている。
熊森本部は神奈川県行政担当者に電話で聞き取りを行いました。
熊森:絶滅危惧種をなぜ殺処分したんですか。
担当者:追い払いをしても、逃げなかったクマだからです。
熊森:どんな追い払いを、何回くらい行ったんですか。クマがいたのはどんな場所ですか。
担当者:県と市と猟友会の総勢5名で、花火を使って2度追い払いました。場所は丹沢山の麓~中腹の山の中の道路脇です。クマは昼間から出て来ており、観光地ですから危険な状況でした。このクマは人間への警戒心が非常に少なく、職員が5mくらいの距離まで近づいても、クマは無反応でした。
熊森:クマは、その時、何をしていたんですか。
担当者:草のようなものを食べていました。
熊森:丹沢山のクマの生息地は、スギやヒノキの人工林でいっぱいじゃないですか。やっと見つけた物を食べているクマは、周りが見えないくらい夢中になっているんです。
担当者:それは知らなかったです。
熊森:こういう時は、専門家の方を呼んでください。クマの習性を知っておられるので、もっと効果的な対応を取られ、駆除対象にはしなかったと思います。人間が近づいても逃げなかったクマは、捕獲して殺処分して良いなど、むちゃくちゃです。
担当者:専門業者は、錯誤捕獲のクマを放獣するときだけ来てもらっています。
熊森:丹沢山地のクマは、なぜ、絶滅危惧種になったのか。山に十分な餌がないから、増えられないんです。今回のクマは、そうした中で、わずかに残っている餌場を探し当てて、必死で食べていたんです!観光客を立ち入り禁止にして、このクマが草を食べ終わるまで、なぜ見守ってやれなかったんですか。クマは草を食べながらも、耳を立てて行政の皆さんがおられる方向を警戒していたはずです。
神奈川県の前任者は、クマを殺さないと宣言して、色々な対策をとられていました。担当者が変わると、急に対応が変わるのですか?
担当者:変わっていませんよ。今年、養蜂箱がクマに荒らされる事態がありましたが、捕獲せずに、電気柵を設置して対応しましたよ。電気柵は効果がありました。
熊森:どうか、生き物を簡単に捕殺しない神奈川県であってください。
熊森から
神奈川県は、放獣業者にクマの放獣を委託したり、被害防除対策にも精力的に取り組むなど、これまでクマ保護先進県でした。
しかし、すでに今年に入ってすでに2頭も殺処分しています。これ以上殺処分しないように、生息地を復元するように、声を届ける必要があります。
神奈川県環境農政局自然環境保全課 野生生物グループ
電話:045-210-4319
FAX:045-210-8848
福井県の観光地 大野城でクマ目撃 市がとった迅速な対応とは
観光名所である福井県の大野市にある大野城で、クマが目撃されました。
6月18日、熊森本部は、大野市の担当者に状況を聞き取りしました。
福井県大野市の担当者の話
6月14日(木)の朝6時に、ラジオ体操をしに来られた方々がクマを目撃されました。クマは1頭で、石垣の下を歩いていたそうです。すぐに公園内を猟友会の方と探索しましたが、発見できませんでした。誘因物も探しましたが、見つかりませんでした。クマが公園内に潜んでいる可能性もあるため、観光客が多く訪れる土日の2日間を立ち入り禁止とし、捕獲罠を城内に3基設置しました。
しかし現在は(6月18日時点)、クマの目撃や痕跡がないので、クマがいなくなったと判断し、立ち入り禁止を解除し、捕獲罠も撤収しました。
大野市は盆地で周囲を山々に囲われているのでクマが出るのはよくあることです。以前も、大野城で目撃されています。
熊森から
クマに慣れている地域のようでした。迅速な立ち入り禁止措置、迅速な罠の解除、おかげで、クマも人も何事もなく終わりました。
もし、クマが捕獲罠にかかっていたら、殺処分されていたと思われます。捕獲する必要のないクマは、捕獲しないことが大切です。
ちなみに、昨年度福井県で放獣されたクマは11頭で、全て誤捕獲されたクマでした。