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2018-11
10月30日 安藤誠講演会 in 芦屋市・尼崎市
2018年10月30日、びっくりするような大きなオートバイに乗って、北海道釧路の鶴居村から、くまもり新顧問の安藤誠氏が兵庫県まで来てくださいました。
この日、昼は芦屋市で、夜は尼崎市で、日本熊森協会本部主催の講演会「安藤誠の世界」が持たれました。
昼の部
安藤氏は、プロのネイチャ―ガイドとして北海道やアラスカの原生的な自然をガイドされているだけではなく、アメリカのスミソニアン博物館で今年動画部門でグランプリを獲られたプロの写真家でもあります。
昼の部と夜の部では、全く違う内容でした。どちらもとてもよかったです。
安藤氏は何日間話しても尽きないまでの膨大な話す内容を持っておられ、会場の人達に合わせて語っていかれます。
今回は熊森協会主催の講演会だったので、熊森に合わせたお話を用意してくださり、私たちにとってはとても贅沢な時間でした。
夜の部
熊森の顧問を受けてくださったのは、熊森が21年間運動し続けているという継続への信頼(安藤氏流の信頼できる人=継続している人)や、権力に取り入ろうとしない姿勢を評価されたからです。
安藤氏は、検閲のないネットの世界が広がって、インチキ情報が渦巻く人間社会となってしまっている現在に大変な危機感を持っておられ、ヤラセが一切ないすべてが本物の自然界を垣間見ることによって、人間の嘘・社会の嘘を見抜く力をつけてほしいと強調されていました。
自然界で生き物たちは皆一生懸命生きており、人間と同じように豊かな感情があり、個性が全て違う。ずっとみていると、いとおしくてたまらなくなる。生き物たちはお金や権力とは無縁で、人間の100倍も1000倍もピュアに生きており、私たち人間に、人生で何が一番大切なのか(お金や地位ではないよ)を教えてくれるという話には感動しました。
予備校の人気講師だったというだけあって、語りは人をひきつけます。写真や映像には魅せられ、本当に癒されました。
原生的な自然や生き物たちの話の中に、強い意志や確固とした哲学がこめられており、参加者のみなさんは口々に、もっと聞いていたかったと言われていました。
小さい頃からお母様が心配になるほどヒグマにとりつかれ、深い愛情を持ってクマを守りたいと思われてきた安藤さんですが、プロの手になるきちんとした狩猟は認められます(彼自身は狩猟をしない)。その点が、私達熊森本部には理解できなくて、講演終了後、質問してみました。そうしてわかったことは、私は日本人ではなく北海道人ですと安藤さんが言われるだけあって、北海道の人はアイヌの狩猟採集文化(縄文タイプ)の影響を強く受けておられ、私たち熊森本部の日本人は、稲作漁労文化(弥生タイプ)の影響を強く受けているということです。納得しました。どちらにしても、自然への強いリスペクトという点では、連携できると思いました。
クマなんかいない方がいいという人には、自然は全てつながっているのでクマだけを切り取れないことを伝えるべきだと教えていただきました。アイヌ語でヒグマを表すキムンカムイは、「豊かなる山の神」の意と一般に説明されていますが、本来のキムンカムイの意味は神々の中の一つの神を指しているのではなく、アイヌの自然観では、ヒグマを失うことはかけがえのない自然全てを失うことなのだそうです。それほどクマは重要なものだということです。アイヌの自然観を勉強してみたくなりました。
安藤さん、お忙しくて全ての講演依頼には応じられない状況の中、兵庫県で私たち熊森のために講演してくださって本当にありがとうございました。
まだまだ教えていただきたいことが山のようにたくさんあります。今後とも、よろしくおねがいします。
森林環境税署名12月末まで集めます!
会員のみなさま
いつも応援いただきありがとうとございます。
たくさんのみなさまにご協力いただいた森林環境税の署名は、11/16現在22614筆を超えました。
ご協力に心より感謝します。臨時国会が開催中で、本部では国会議員を回って協力要請に力を入れています。
署名は、来年、国会に法案が出るタイミングで提出する予定とし、12月末まで集めることになりました。
豊かな森再生のため、もっとたくさんのみなさまの声を集めたいと考えていますので、もう少しご協力をお願いいたします。
◆署名用紙のダウンロード◆
http://kumamori.org/index.php/download_file/view/1395/
◆ネット署名◆
以上
兵庫県 ツキノワグマの狩猟、15日解禁
- 2018-11-14 (水)
- くまもりNEWS
以下、2018年11月14日神戸新聞より
クマ狩猟制限撤廃 効果は
兵庫県内でツキノワグマなどの狩猟が15日から解禁される。生息頭数の回復などを受けて2016年度に再開されたツキノワグマの狩猟数は初年度が4頭で、17年度は1頭のみだった。3年目の本年度、県は「狩猟者1人当たり1頭」としていた制限を撤廃する。
県内のツキノワグマは、絶滅の恐れから、20年間狩猟が禁止されていた。しかし推定生息数が「絶滅の恐れは当面ない」とされる800頭を超えたため、県は16年度に狩猟を再開した。
一方、クマの生息数増加に伴い、農家やハイカーらが襲われる事案も発生。本年度は人的被害はなかったが、9月までの目撃・痕跡情報は418件。但馬地域が約7割を占め、阪神、北播磨でも報告があった。
県は毎年度、クマの生息数に応じ、狩猟だけでなく、行政から駆除の依頼を受けた有害鳥獣対策も含めた捕獲上限数を設ける。本年度は、17年当初の推定生息数918頭の15%に当たる137頭。すでに有害鳥獣対策で9月末までに46頭が捕獲されている。
県内でのクマの狩猟は、免許の所持などに加え、特別な安全講習を受けた承認者だけに認められる。その数は16年度140人、17年度154人、本年度168人と増えているが、狩猟数は2年間で5頭にとどまる。担当者は「捕獲数は想定の範囲内。シカなどを狙いながら、護身のために承認を受ける人がほとんど。クマを人里から離れた奥山に戻す効果もある」と話す。
県内での狩猟は15日から、イノシシやニホンジカ、マガモなど計48種で解禁。期間はクマが12月14日まで、イノシシとニホンジカが来年3月15日まで。その他は同2月15日までとなっている。(山路 進)
熊森から
「明日から狩猟が解禁される。動物たちはなんも悪いことしてへんのに、撃たれるんや。痛いやろうな。私は胸が痛い。」
毎年、狩猟解禁日前日になると、故東山省三顧問の奥様がつぶやかれた言葉があざやかによみがえってきます。
奥様は、つらそうにお顔をしかめておられました。
狩猟については、様々な意見があります。
近畿地方では、狩猟を好まない人、狩猟に反対している人がほとんどだと思います。
だのになぜなくならないのかというと、おかみのすることに物言わない人たちがほとんどだからです。
おかみのすることであっても、間違うことはあります。
嫌なものは嫌、おかしいと思うことにはおかしいと言える国民こそ大人です。勇者です。
兵庫県のクマ狩猟に関しては、熊森は絶対におかしいと思っています。
なぜなら、広大な奥山生息地が人間によって破壊されたままだからです。
よって、「狩猟によって、クマを人里から離れた奥山に戻す効果もある」という言葉は、現実を見ていない、まったくおかしな言葉だと思います。
10月26日、熊森は兵庫県庁記者クラブで兵庫県のクマ狩猟などに関する記者会見のアポを取っていました。しかし、前日、急遽 、時間がとれなくなったとして記者クラブから中止の連絡が入りました。
仕方がないので、後日別の日に、記者会見の再アポを取ろうとしたのですが、記者クラブに断られました。
今回の神戸新聞の記事を読むと、一方的な行政発表を記事にしているだけです。
なぜ、21年間も兵庫県のクマ問題に完全民間で真摯に取り組んできた日本熊森協会本部の主張を、1行でも紹介しようとしないのでしょうか。
マスコミの報道姿勢には、がっかりです。
兵庫県が、熊森がさも非常識な団体であるかのごとく言いふらし、マスコミが確認もしないでそれを信じて取材を避けている節があります。
行政のそのような手に乗ってしまうのなら、マスコミに真相究明などできないと思います。本当に悲しいです。
熊森は、流されている疑惑についてすべて答えられますので、マスコミのみなさんは、ぜひ一度、熊森本部に取材に来てください。
ご自分の目と耳で、熊森をお確かめ下さい。そうすることは、熊森の為だけではなく、本当の情報を待っている国民のためであり、マスコミが国民から信頼される報道を流せるようになるためでもあるのです。
捕殺中心の兵庫県主導は危険 「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」の設立総会
- 2018-11-14 (水)
- くまもりNEWS
(2018年10月31日神戸新聞記事より)
兵庫、京都、岡山、鳥取の4府県は10月30日、ツキノワグマの広域管理に向けた「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」の設立総会を神戸市中央区の兵庫県民会館で開いた。府県境を超えて移動するクマの特性に合わせ、4府県の担当者が行政の垣根を越えて生息数の把握や対策などで連携する。
クマの行動範囲は100平方キロメートルともいわれ、兵庫県内では県北西部から鳥取、岡山両県にまたがる「東中国地域個体群」、兵庫県北東部から京都府北西部にかけた「近畿北部地域個体群(西側)」の二つの群れが生息している。だが現在は府県ごとに調査方法が違うこともあり、生息規模などの把握が難しいという。
同協議会は兵庫県の呼び掛けで発足。今年から調査方法を統一することや、二つの群れの管理方針を定めた「広域保護管理指針(仮称)」を2021年度に策定することなどを決めた。
近年、出没情報が相次いでいる大阪府や、環境省もオブザーバーとして参加。兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の横山真弓研究部長は「クマの数が増え、分布エリアも拡大している」と連携の重要性を強調した。(前川茂之)
熊森から
奥山生態系の最大動物であるツキノワグマにどう対応するか、近隣府県の担当者が集まり情報交換して連携することは必要で、とてもいいことだと思います。
しかし、今回、上記事の総会開催にあたって傍聴が認められたのは記者だけで、自然保護団体である熊森などの傍聴は拒否されました。
このような姿勢が、まず、もうあるまじきことで、兵庫県の猛省を促したいと思います。私たち完全民間の自然保護団体に聞かれてまずいことなどあるのでしょうか。兵庫県は、前近代の隠ぺい体質から一刻も早く脱して、民主主義社会に合わせて全てを情報公開してほしいと県民として強く願います。
本協議会の模様を報じた毎日新聞の写真を見たところ、協議会参加者の大半は兵庫県庁と兵庫県森林動物研究センターの職員で占められています。会を主導したのは兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の横山真弓研究部長のようです。これは大変危険だと思いました。
横山真弓氏は、野生動物の生息数を、野生動物を殺すことによって人間が決めた数に管理していくことに熱意を傾けておられる大変偏った研究者です。狩猟や有害駆除を推進するだけではなく、個体数調整という名の野生動物殺害を推進されます。兵庫県はなぜかずっと、彼女に兵庫県の野生動物対策を主導してもらってきました。その結果、人間性を失った残酷なだけの野生動物対応が当たり前になっています。
科学技術により地球上で最強の動物となった私たち人間が、本来取り組まなければならないのは、野生動物の個体数調整ではなく、野生動物たちの生息地保障による棲み分け共存です。彼女の論文は、兵庫県のクマたちの奥山生息地が放置人工林で埋まって大荒廃していること等には、全く触れません。目撃数・捕獲数・捕殺数などの数字を見て、「クマの数が増え、分布エリアも拡大している」と言っているだけです。行政としては行政の森林政策の失敗に言及しないこのような研究者を雇用することは、好都合だったのでしょうが、野生動物との共存をめざすなら、完全に研究者として失格です。
林野庁がこの11月、民有拡大造林地の8割が放置されて荒廃していると正直に発表しました。きちんと管理できているのは1%とも発表されています。もう我が国の「外から見たら緑で内部は砂漠」という森林大荒廃は、隠しおえなくなっているのです。野生動物は、こんな日本の山の中では生きられなくなって山から出てきています。
彼女が「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」を主導するのであれば、大切な科学部会から熊森を外すことは目に見えている上、山にいるクマまで殺す必要はないとまっとうな主張をしている鳥取県に、クマ狩猟の導入をせまることが考えられます。5府県の行政が、共存を忘れて兵庫県のように管理一色の残虐な対応に染まっていく恐れがあります。昔から人間は常軌を逸した残虐行為に熱狂する一面がありますから、本当に気を付けなければなりません。
野生動物管理思想が日本に導入されて19年になります。大量殺害の手をゆるめるとすぐに元の生息数に戻ってしまいます。もう破たんが確実になっているのに、いまだに行政が野生動物管理思想から脱することができないでいるのは、担当部署の任期が3年と期間限定されているため、専門性が持てないからです。動物にそんなかわいそうなことしていいのかなと思いつつも、数字やデータで攻めて来る管理派研究者に従ってしまうのです。
何か問題を感じたとき、誰がこれによってもうかるのかと考えると、予算獲得を狙って動く人たちの動きが見えてきます。兵庫県立大学と兵庫県森林動物研究センターで横山真弓氏の同僚であった坂田宏志氏は、兵庫県のクマが爆発増加していると言い出した人です。彼は何人かで公務員を退職し、野生鳥獣対策連携センターという株式会社を設立し、行政の仕事を次々と請け負っています。ネットで会社概要を見ると、役員4名従業員18名(うち博士7名)だそうですから、給与だけでもすごい額が必要でしょう。
野生動物を人間が考えた生息数に一定させることなどできませんし、そんなことをする必要もありません。野生動物は人間と違って、自然環境を改変して人口爆発を続けることはありません。環境適応数を超えると、自ら減少に転じます。これからの野生動物研究者は、このような神の手ともいえる自然界のバランスを勉強していただき、自然界のしくみを知った上で、生息地保障・被害防除など非捕殺での野生動物対応策を考えていただきたいものです。
11月11日くまもり葬 花子ちゃんありがとう
- 2018-11-13 (火)
- _クマ保全 | 和歌山県 | 太郎と花子のファンクラブ
花子は最後は心臓が弱って獣医さんに診ていただき、お薬を服用していましたが、27才の天寿を全うしたと思います。
熊森永久顧問の故東山省三先生(元和歌山県鳥獣保護連絡会会長)なら、きっとお葬式をされるだろうなと私たちは思い浮かびました。
そうだ、わたしたちも花子のくまもり葬をやろう!
11月11日
12:30 葬儀準備開始
遺影と焼香台のセット完了
飼育者であった山田氏手製のお棺に入った花子を、山田氏らみんなで埋葬場所前に運びました。
13:30和歌山県北野支部長の司会でくまもり葬開始
くまもり森山名誉会長が、花子を13年間深い愛情を持ってお世話してくださった山田氏にお礼を述べ後、「花子の訃報を聞いて私たちも涙が止まりませんでしたが、ずっと花子をお世話し続けてきてくださった山田家のみなさんをはじめ、お世話補助をし続けてくださったボランティアの皆さんの悲しみはいかばかりかとお察しします。こんなに多くのみなさんに愛されて、花子は幸せだったと思います」と、あいさつしました。
次に、喪主の山田氏が、「花ちゃんは、本当にやさしくて人懐っこくてかわいい子でした。もっと生きてほしかったです」と涙ながらに挨拶されました。
悲し過ぎて多くを語れないご様子で、参列者一同も胸を詰まらせました。
山田家から焼香が始まりました。
焼香が終わった参列者のみなさんは、思い思いに花子の遺体を触って在りし日を偲んでいました。
お花や香典はお断りしていましたが、それでもと届けられたお花や、熊森本部からのお花を、お棺の中に入れていきました。
お花を送って下さったみなさん、ありがとうございました。
花子が花に埋まってしまい、本当に花子になってしまいました。
最後に、山田氏と息子さんが、お棺に蓋をしました。
山田氏が息子さんの補助を得て、お棺をショベルカーでそっと持ち上げ、事前に掘られていた穴にゆっくり降ろして行かれました。この地区では10年前まで、人間も土葬だったそうです。山田氏が、花ちゃんは焼却場に持って行かず、敷地内に土葬したいと言われたお気持ちがわかるような気がしました。
穴の底に置かれたお棺に、参列者一同がスコップ1杯ずつの土をかけ、最後に山田さんがショベルカーで、穴を埋められました。
花子がよく抱えて遊んでいた丸太を、みんなで角塔婆の周りに並べました。まるで何かの遺跡のようないい感じのお墓になりました。
角塔婆の「月の輪熊 花子の墓」の文字は、13年間花子のお世話に通ってくださった熊森和歌山県支部長の北野さんが書いてくださったものです。
この後、参列者一同で、花子の思い出を語り合いました。
お世話隊のみなさんは、花子に会うのがとても楽しみで、会うたびに大いに癒されていたということでした。
花子は教えもしないのに、お世話に来てくださった人々を喜ばせようといろいろ心配りをするけなげなクマだったそうです。
「おもてなし上手な花子」ということで、話が一致しました。
クマが人間をもてなそうとしていたなんて、すごい話だと思いました。
最後に、「花子ちゃんありがとう」の文字の下で、みんなで記念写真を撮りました。
東京から参列して下さった方は、13年前、花子が神奈川県相模原市から和歌山に移送されて来るときも、車で伴走して花子を安心させてくださった方で、思いもひとしおのようでした。
熊森からは、毎月お世話補助に訪れていた和歌山県支部、本部、京都府支部、大阪南地区が参列しました。
再び1頭になってしまった太郎君は事態を察しているようで寂しげでしたが、見物客から貰ったピーナツを静かに食べていました。
熊森は、今後も太郎君の飼育補助に通います。
天におられる東山省三先生、これからも私達を見守っていてください。
太郎と花子のファンクラブに飼育寄付金を送り続けてくださった全国の皆様も含め、花子を愛してくださったすべての皆様のこれまでのご厚情に、改めて深く感謝いたします。
熊森から
飼育者の山田さんやご家族は、家族が亡くなったとの思いで、深い悲しみの中、次にしなければならない作業に動きに動いてくださいました。
また、お世話隊のボランティアのみなさんも、訃報を聞いて次の日すぐに駆けつけ、花子の遺体をきれいに拭いてくださったり、寝室をきれいに片づけたりして連日通ってくださいました。葬儀終了後も残って、汚れた寝室を水洗いするなど、黙々と働き続けてくださっていました。
私たちにとって、他生物も人間同様、この地球上に生きる仲間なのです。
一方で、クマの推定生息数をコンピューターで計算し、自分たちが勝手に決めた適正数に低減させようと、罠を掛けて次々とクマを捕殺するように指示し、遺体を解剖しては論文を書いている人達もいます。彼らにとって、クマはまるで物です。気の毒に、彼らにはクマの命の尊厳などわかりようがないのでしょう。細分化された科学が、全体(命)を見れなくしているのです。
大事なのは人間の命だけという西洋思考の人間至上主義は、やがて人類を滅ぼします。
日本は戦後、すっかり西洋文明に染まってしまった感がしますが、いい面は取り入れ、良くない面は変えていかなければならないと思います。
11月8日(木)岡山県クマ狩猟安全講習会 で 猟師10名に聞き取り 進んでクマを撃ちたい方はゼロ
2011年に、兵庫県のツキノワグマが爆発増加していると突然発表した当時兵庫県森林動物研究センター研究員で当時兵庫県立大学准教授でもあった坂田宏志氏は、その後、行政と連携して野生動物捕獲を進める㈱鳥獣連携センターという企業を起業し、代表取締役となられています。
その後、岡山県のツキノワグマの生息推定数を計算する仕事を行政からとられ、なんと、岡山県のツキノワグマも爆発増加していると発表されました。彼を知る方たちに、坂田氏は岡山県のツキノワグマの生息推定数を算出するにあたって、岡山県のクマ生息地を調査されていたか尋ねると、1回も山に入らずに生息推定数を計算されたということでした。事実なら、すごい方だと思われます。
以下は、岡山県の報道発表資料です。
1 推定手法
平成17年から平成29年までの出没件数、捕獲数、再捕獲数及び堅果類豊凶調査等のデータを基に統計手法を用いて推定した。(専門調査機関に委託)
2 平成29年末の推定生息数
中央値:254頭
(90%の信頼区間:134頭~432頭)
(50%の信頼区間:198頭~320頭)
この結果、2017 年から岡山県も、兵庫県に次いでツキノワグマ狩猟再開に踏み切りました。
行政は本当に肩書に弱く、人を疑うことを知らないように感じます。
岡山県は、狩猟再開2年目の2018年、去年と同じく美作県民局に11月8日にハンターを集め、自由参加のクマ狩猟安全講習会を開催されました。
熊森本部スタッフと岡山県会員計5名は、去年同様、クマ狩猟安全講習会に来られた猟師の方々に「岡山県のクマは生息地を失っているので、山中のクマまで狩猟しないでください!」というチラシと岡山県クマ資料を配りました。
緑色ジャンパーが熊森会員
配布チラシは、Wクリックで大きくなります。
昨年度のクマ狩猟講習会参加者は30名でしたが、今年は60名ぐらいに増えていました。結構多くの方が熊森のチラシを受け取ってくださいました。うれしかったです。
お話しできた方は10名程度でしたが、進んでクマを獲りたいと言われた方はゼロでした。
兵庫県同様、岡山県もクマを獲る文化がないのだなあとわかりました。猟師はクマを獲りたいと思っていないのに、行政が研究者の言いなりになって猟師にクマ狩猟をけしかけているように見えます。もし、人身事故が発生したら、行政はどう責任をとられるのだろうかと思いました。
行政は売り込んでくる研究者だけではなく、いろいろな研究者の声に耳を傾けていただきたいです。山の中を走り回っている猟師たちに、この20年間で出会うクマが25倍に爆発増加しているかどうか、アンケートを取られてみたらいいと思います。結果が出たら、発表してくださいね!熊森は猟師の皆さんのアンケート結果に、とても興味があります。
岡山県 里山にクマの痕跡多数、奥山は人工林にも天然林にもクマの痕跡なし
私たちは狩猟免許を持っていないので、美作県民局でのクマ狩猟講習会に参加させてもらえません。
チラシ配りを終えたあと、岡山県の里山と奥山を調べにいきました。
里の集落周辺には、至るところに「クマ出没注意」の看板がありました。クマが来ないよう柿の木を多数伐採したのか、柿の木が以前より少なくなったと感じました。残されたほぼすべての民家のカキの木にクマが登れないよう、真新しいトタンが巻かれていました。
地元の女性聞いたところ、クマが出てくるので、今年、本腰を入れてカキの木を伐ったり、トタン巻きをしたりしたということです。確かにこれで人間はいいのでしょうが、食料不足のクマはどうなるのでしょうか。
カキの木には今年来たと思われる新しいクマの爪痕がついていました。
その後、岡山県の奥山にある若杉天然林(西粟倉村)に向かいました。
西粟倉村は、山全てがスギというくらい長い間スギの放置人工林で埋まっていた村でしたが、1年ぶりに訪れると、大規模な間伐があちこちで進んでおり、真っ暗だった山中が、かなり明るくなってきていました。人工林の天然林化が進み始めたのでしょうか。ならば、熊森としてはとてもうれしいです。
目的地である若杉原生林は、約80haのブナやミズナラ等の落葉広葉樹の貴重な天然林です。
この周辺で今年クマの目撃があったということですが、とにかく大勢の人間がこの天然林を楽しむために訪れる地なので、クマは安心して住めないのではないかと思われます。
この天然林の周囲は、延々と続くスギやヒノキの広大な人工林に覆われています。
クリックすると大きくなります。冬でも緑色の部分は、常緑の針葉樹です。
道中の延々と続く広大な人工林地帯からやっと抜け出して、熊森メンバーは紅葉のきれいな若杉天然林に到着しました。
21年前、熊森が「くまもり原生林ツアー」を始めた頃は、クマの痕跡がこの山に数多く見られました。当時、2頭のクマが棲んでいるということでいた。
しかし、最近は下層植生のササがどんどんと少なくなり、木々の葉や昆虫の数も減って、森が劣化し、見通しがよくなってきました。19年前から、クマだなや看板への爪痕など、クマの痕跡は全く見られなくなっています。
熊森メンバーは皆「山奥のクマが、里に下りている」と体感しました。
岡山県では昨年、山中で1頭のクマが狩猟されましたが(集落から200メートル以上離れないと銃を撃ってはならない法律がある)、クマ狩猟によって里に出て来るクマの数は減ったのでしょうか。
岡山県では今年、里に出て来た7頭が有害捕殺されています。人身事故も発生しました。
クマと人が昔の様に棲み分けできるように、狩猟より先に、奥山放置人工林の広葉樹林化を急ぐべきではないでしょうか。
現地は宮本武蔵生誕の地ですが、武蔵は今の放置人工林で埋まった岡山の山を見て、何を思うでしょうか。聞いてみたいものです。
ツキノワグマ花子永眠す
- 2018-11-09 (金)
- くまもりNEWS | 太郎と花子のファンクラブ
全国の熊森会員さま、本部です。 夏ごろから衰弱していました和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマ花子が亡くなりました。
11月7日16時30分ごろ、寝室で亡くなっていることを飼い主の山田順二さんが発見しました。
朝はまだ大丈夫だったそうです。 享年27歳、生石高原に来て13年でした。
おかげさまで、花子は天寿を全うした幸せなクマだったと思います。
花子を愛してくださった皆様、これまでのご厚情に感謝いたします。
当協会主催の「花子を送る会」を11月11日日曜日13時30分より、生石高原獣舎前で執り行います。
なお、供花・香典はご遠慮申し上げます。
どうしてもといわれる方は、残された太郎君のために、ご寄付を頂ければ幸いです。
振込先
ゆうちょ銀行振替口座00920-7-80487
口座名「太郎と花子のファンクラブ」
花子の保護飼育までのいきさつは、当協会のウェブサイト
http://kumamori.org/activity1/tarohana/
をご覧ください。
10月26日室谷会長ら、大量罠によるクマの捕殺とクマ狩猟の中止を兵庫県鳥獣対策課に申し入れ
熊森本部は、兵庫県本庁の環境部長室を訪れ、秋山和裕部長、遠藤英二環境創造局長、塩谷嘉宏鳥獣対策課課長らに、「山中でのクマの大量駆除及びクマ狩猟の中止を求めます」という、井戸知事あての申し入れ書を手渡し、改善を訴えました。
2時間にわたる申し入れ結果を、以下に要約します。
(1)春に出した大量の駆除許可で、無害グマを罠に掛け捕殺する体制を即中止ください
「こんなの、もはや有害駆除じゃないですよ」と、訴える室谷会長と水見研究員
県庁:罠が設置されている集落や田畑から200メートルゾーン内に、クマが来なければいいのです。
熊森:集落や田畑のすぐ裏が山という地形の場合、200メートルゾーン内の山中をクマが歩いてもこれまで殺処分対象ではなかった。昔から許容している地元も結構ある。しかも、罠は米糠という強力なクマ誘引剤でクマを誘引しているため、200メートルゾーン外にいる遠くのクマまでおびき寄せて獲っており、問題です。
県庁:具体的な被害が出ていないのにクマを獲るなということは、人がクマに襲われて死んでから獲れということか。
熊森:そんなことは言っていない。山の中にひそんでいるクマまで獲っている実態が問題なのです。集落内まで出て来て事故を起こす恐れのあるクマに対しては、追い払いや被害防除対策、時にはこれまでやっていたようなドラム缶檻による有害捕獲が必要なのは当然です。
県庁:森林動物研究センターが出した生息推定数918頭は、かなり信憑性が高いと聞いている。15%の137頭まで捕殺しても大丈夫というのが環境省の見解だ。
熊森:森林動物研究センターは918頭に至ったプログラミングの公開を拒否しているため、第3者が検証できない。918頭は科学的とは言えず信頼できません。
県庁:もしプログラミングを公開したら、結果が2000頭であっても、熊森は受け入れるんですね。
熊森:検証してみます。とにかく、春からずっと、2379基のクマ捕殺檻が口を開けている実態を、直ちに止めてほしいです。
県庁:地元の要望もあるだろうからむずかしいが、検討します。
(2)無益な殺生となっているクマ狩猟を中止してください。
県庁:環境省が、生息推定数が800頭を超えたら狩猟再開と決めている。環境省の基準に合わせているだけだ。
熊森:800頭が適正かどうかは別として、少なくとも環境省は、奥山にクマの生息地が確保されていることを前提に言っている。しかし、兵庫県の場合、奥山人工林、奥山道路開発、奥山自然林のナラ枯れ、シカによる自然林の下層植生の消滅等、クマたちは生息環境を失ってしまっています。まだ奥山生息地が残っている地方の県と同じ基準は認められません。
(3)「すごいアウトドア」などと、レジャーやゲーム感覚で狩猟者を養成するのはやめてほしい
県庁:「すごいアウトドア」は、環境省が作ったことばだ。
熊森から
この日、県庁記者クラブで記者会見のアポを取っていましたが、前日に記者クラブ記者から、時間がとれなくなったとのことで、急遽中止連絡が入りました。多くの方に兵庫県の実態を知ってもらって共に考えていただきたかったのに、残念でした。
10月28日街頭活動 ベテラン猟師語る 環境省「すごいアウトドア」に腹立たしい思い
2018年10月28日は、午後1時から、環境省主催・兵庫県共催の狩猟者養成フォーラムがありました。
まず、室谷会長が、会場に来られていた環境省鳥獣管理室の担当者に、原田義昭環境大臣あての申し入れ書を手渡してから、みんなで参加者に、すごいアウトドアは、ひどいアウトドアだというチラシを配りました。
午後2時からは、兵庫県主催のクマ狩猟講習会がありました。
今度は、参加者に、クマを狩猟しないでくださいというチラシを配りました。
この日、何人かの猟師の方とお話ができました。
以下は、心に残ったあるベテラン猟師の言葉です。
狩猟について
私は狩猟は必要だと思っている。他県でクマを狩猟したこともある。かつて、狩猟でクマと人間の生活圏の線引きをしていたと思う。
しかし、環境省の「すごいアウトドア」については、あほらしいの一言だ。
だいたい、今の狩猟関係の雑誌を見てみると、裸の女の子が銃を持っている写真があったり、銃器や罠をキャンプ道具みたいな感覚で紹介しており、非常に腹立たしく感じている。
狩猟というのは、本来人間が動物の命の重みを知ることができるもの。
山に入るときにはこれから自然界の命を頂きますと必ずお祈りして、動物を獲ったら手を合わせて残すことなく自分たちで食べる。
そうした意識をしっかり持った猟師だったら、銃で射殺するにしても、動物がなるべく苦しまないように弾を命中させようという意識になる。
環境省が本当に若い猟師を増やしたいなら、しっかりした猟師に弟子入して何年も修行するシステムを作るべきだ。
狩猟をレジャーやスポーツと同じように扱う考えはとても危険。
命をゲーム感覚で奪うような若者が増えると、日本社会が乱れてしまうだけだよ。
有害駆除について
私は有害捕獲などする必要はないと思っている。狩猟で人間の力を野生動物に教えてやる方法が最もいい。
有害捕獲は野生動物を罠で大量に捕まえられるから獲り過ぎてしまう。
猟師は国や県から高い駆除費が支払われるから、有害駆除に参加するが、そのお金って私たちの税金だ。
有害駆除に参加したがる猟師は、ほとんど金もうけしか考えていない。
だから獲った動物の命を重んじて利用することなど考えず、殺した後は死体を山に放置するだけだ。むごいと思う。
国や行政は、もっと狩猟について真剣に考えるべきだ。
熊森から
いろいろな立場の方からお話を聞くのは勉強になります。
熊森も、現在のシカやアライグマなどの有害駆除のあり方に、大きな疑問があります。
殺しても殺しても、餌がある限り、すぐに元の数に戻ってしまいます。
その間に駆除されていくシカやアライグマの命は、膨大な数に上ります。
他生物の命の尊さや愛おしさが全く分からない、エリート研究者たちが考えたむごい対策です。
殺さない対策に転じるよう、国民みんなが声を挙げてくださらないと、世の中は変わりません。
みなさん、熊森と一緒に声を挙げて下さい!
21世紀の野生動物と人との共存はどうあるべきか、全国民の知恵を出し合うべき時です。
そのためにも、兵庫県は、情報公開を、なにとぞお願いします。
野生動物も日本国民です。マスコミのみなさんは、人間以外の動物の苦しみにも光を当てて報道してください。