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2020-10-02

会報「くまもり通信」104号を発送しました

会員の皆様、お元気ですか。

新型コロナウイルスの新規感染者数は落ち着いてきましたが、まだまだマスク着用の日々が続いています。

 

こうした中、この度、会報「くまもり通信」104号を、会員の皆様に発送させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これまで同様、熊森本部(兵庫県西宮市)近隣地域にお住まいの会員さんたちがボランティアで発送作業に駆け付けてくださいました。

3カ月前の103号発送時と同様、全員マスクを着用しての作業となりました。104号は、間もなく皆さまのお手元に届くはずです。

 

104号の特集記事として今回取り上げたのは、今年、いっそう広範囲に広がったナラ枯れの危機的な状況です。これにより、食料を失ったクマたちが、人里に下りてくる事例が全国で今年も多発しています。

ナラ枯れ特集を組んだきっかけは、兵庫県の地元のクマ被害防除に乗り出した熊森本部スタッフたちが現地に通う中、まだ夏なのに山々の木々があちこちで赤茶色に変色して枯死する「ナラ枯れ」現象が広がっていることに気づいたことでした。

さっそく、クマ生息地を抱える全国の都道府県の担当者に電話をかけて実態を聞き取りました。その結果、「ナラ枯れ」現象が、北海道を除いて全国に広がっていることが判明しました。

 

このほか、国会ロビー活動や関東の拠点として、ついに開設に至った「祝:くまもり東京事務所」や、8月2日に開催された埼玉県支部結成祝賀会の様子なども紹介されています。

 

また、コロナによるリモートワークの広がりで、真っ先に不要となったリニア中央新幹線工事や、埼玉県飯能市で進みつつある国土破壊以外の何物でもないメガソーラー事業計画に反対する動きも記事として取り上げています。

 

ぜひ、多くの皆さんに読んでいただきたいです。

 

<くまもり通信 104号 目次>

・巻頭言 気づいた人が行動しよう  室谷悠子会長

・兵庫県トラスト地120ヘクタール実り調査

・特集 クマ空前の食料飢饉 ドングリ類の大量枯死、山の実り今年も凶作

・森保全 若杉原生林ツアー  会員寄稿「山と子育て」

・コロナでリニア不要論広がる

2020年度支部長地区長研修会 滋賀県高島市で開催

・祝 熊森東京事務所開設

埼玉県支部結成会祝賀会

飯能市メガソーラー開発にストップを!

・新支部長挨拶 和歌山県・石川県・徳島県

・支部活動報告 四国トラスト地にクマのえさ場復元を! 徳島県

・太郎と花子のファンクラブ&とよファンクラブ

―――

発送作業をお手伝いくださった皆さん、ありがとうございました。

9月25日 熊森環境教育再開は、大阪の進学校 清風学園中高生から

新型コロナで今年のくまもり本部による環境教育が止まってしまっていましたが、大阪の進学校清風学園の藤浦新聞塾に参加している生徒や生物部に所属している生徒など、中高生併せて約40名を対象に、開催しました。

 

なんと、理事長の平岡英信先生も興味を持たれてご参加下さいました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回お声掛けくださったのは、清風学園で顧問として新聞塾を開設されている藤浦さんです。新聞記者として活躍してこられた藤浦さんは、若い者にこそ文章との向き合い方、新聞の読み方を教えなければならないと考え、新聞塾を開設され、その活動の一環として熊森を呼んでくださったのです。

 

まず初めは、低学年向きに作られた「どんぐりの森を守って」という熊森青年部作の実話紙芝居です。大人にも見ていただけます。演じたのは、今春、新卒で熊森環境教育担当職員となったKさんです。着任してから初めて人前に立てました。

 

母グマが殺されてしまうシーンではおもわず耳をふさぐ生徒もいて、手ごたえを感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次は、室谷悠子会長の講話です。

大阪の水道水が一体どこから来ているのか、琵琶湖の水はどこから来ているのかというお話から始まり、クマの棲める豊かな森の重要性につなげていかれました。そして、日本の森林の現状を伝え、森再生の必要性に話を進めていかれました。

 

参加した生徒は皆、社会問題に興味を寄せているということで、終始真剣な面持ちでメモを取りながら熱心に聞いていました。

 

生徒たちは、普段から新聞部として様々な文章に触れているというだけあって、質疑応答の時間もクマに関することから森再生に関するものまで、鋭い質問が絶え間なく室谷会長に投げかけられました。

 

単に植樹するだけでは木は生育しないのではないか、どのようにすれば良く育つのかという質問も出て、室谷会長は、する予定のなかった小規模皆伐の話をすることにもなりました。

 

生徒が、どうすればより良くなるかを真剣に考えたからこそ、出てきた質問だと思います。

 

今回、清風学園に熊森を、呼んでいただき、本当に感謝しています。

 

自然保護の第一歩は、今どうなっているのか、まず現状を知ることからです。

 

自然保護の輪を広げるために、これからも環境教育や講演等を精一杯させていただきます。

幼児から小学校各学年、中学校、高校、大学、社会人、それぞれ向きのプログラムを持っておりますので、環境教育、環境講演会など、ぜひ、熊森にお気軽にお声掛けください。熊森は、全国どこへでも出かけます。

 

9月16日兵庫県農政環境常任委員会で、丸尾牧議員がクマ目線で質問

兵庫県農政環境常任委員会を傍聴しました。

 

まず初めに、県鳥獣対策課の三輪課長から兵庫県の野生動物保護管理について説明があり、その後、委員会所属の12名の議員と兵庫県当局との意見交換がありました。

その中で、丸尾牧議員が、的確な質問をしてくださいました。

 

 

 

<以下、丸尾議員の質問・意見>

◇生息地について

 

丸尾議員:今年は兵庫県でもナラ枯れがひどいという情報を耳にしているが、どの程度把握しているか?野生動物の餌に関係するため、被害対策の上でも把握すべき。

 

→兵庫県豊かな森づくり課:今、ナラ枯れの調査をしているが、昨年に比べ広範囲に被害が拡大している状況。

 

→鳥獣対策課 三輪課長:ナラ枯れの情報に加え、今年はさらにツキノワグマの餌となるドングリの実りが悪い。まだ調査中だが、現時点ではブナは凶作、ミズナラ、コナラは、但馬地域では成りの良いものが少しあるものの、凶作。全体を通して凶作になる見込み。昨年に続く凶作。現時点では、昨年より出没、捕獲数は少ないが、(熊森注:昨年度120頭殺処分)今後、出没や捕獲が多くなるかもしれない。

 

兵庫県森林動物研究センター豊凶調査

2019年 ブナ大凶作、※ミズナラ凶作、コナラ並下

2020年 ブナ大凶作、※ミズナラ並下、コナラ凶作

 

 

(熊森注※)秋のクマたちの命をつないできたミズナラのドングリ。多くが枯れて白骨化し、木そのものがなくなっている。兵庫県赤谷山。2020.9.15熊森撮影

 

丸尾議員:以前、兵庫県が県民緑税を使って人工林を伐採し、実のなる木を植えた場所を見てきたが、植えた苗木はぜんぜん管理ができていなかった。苗木を囲っていたシカ柵は倒れ、せっかく植えた木は枯れていた。野生動物との共存、棲み分けのために広葉樹を植えたと県はいうが、奥山に植えた広葉樹は、現在動物が利用しその機能を果たしているのか、県は点検しているか?できていないなら、すべき。

→県当局:回答せず。

 

◇ツキノワグマについて

 

丸尾議員:山の実りが悪く、クマの出没が多くなる予想とのことだが、今年の推定生息数は、722頭で、捕殺上限が57頭となっている。すでに30頭獲っているが、上限に来たらどうなるのか?

 

→兵庫県鳥獣対策課 三輪課長

・有害捕殺が上限にきたら、精神被害での捕獲許可を受けた罠はすべて解除する。しかし、集落に執着しているものは、申請があれば捕獲許可を出すことになる。

 

丸尾:今年の有害捕殺された30頭のクマのうち、1歳の小さな子グマが5頭もいることが分かっている。中には6.2kg、7.2kgなど(熊森注:0才)体重10kgにも満たない小さなクマもいる。そんな小さなクマが人を襲う危険があるのか?

三輪課長:一歳になると、犬歯が生えてくるので、噛むと人に危害を加える可能性があるので殺処分にした。

 

丸尾:錯誤捕獲が多いが、再発防止対策もすべき。くくり罠が法律で定められたものを使っているかなどのチェック、クマを強力に引き寄せる誘引物を置かない、クマが何回もかかった場所には、罠を設置しない等、錯誤捕獲防止の措置はとっているか?

三輪課長:錯誤捕獲に関しては、誘引物がクマを引き寄せていないか等、厳格に調べている。(熊森注:糠などの誘因物がクマを引き寄せているのは明らかで、熊森が何度も指摘している)

 

丸尾:ツキノワグマの5府県でやっている広域科学部会の情報を、公開してほしい。

三輪課長:科学部会の資料は、基本的に公開と考えていきたいが、個人の思想など、研究結果として発表されていないものは非公開にしたい。(熊森注:個人の思想や知的財産などを公開してほしいと熊森が要望したことは一度もない。まず、科学部会開催日、開催場所、委員名などを公開すべき。)

 

丸尾:兵庫県のクマ推定生息数に関してだが、県は制度の高い手法だというが、日本福祉大学の山上俊彦教授は、兵庫県のクマ推定生息数の出し方に厳しい意見を言っている。当局はどうお考えか。

 

三輪課長:山上教授のご指摘はきいている。科学的手法でやってきたが、これまで様々な専門家(熊森注:異論学者を排除している)から意見をいただて今の手法にたどり着いた。生態学会からも厳しい意見をもらいながら、やってきた。山上教授のご指摘に関しては、他にも同じようなご意見が出てきたら考えたい。

 

熊森から

今、行政に求められていることは、国に忖度して人工林のじの字も言わない専門家という人たちの声を鵜呑みにせず、行政担当者自身がクマの生息地を訪れ、自分の目でクマ生息地の現実をしっかり見ていただきたいです。

 

一見緑に覆われた豊かに見える兵庫県の山ですが、人間活動によって内部が絶望的なまで荒廃していること、以前と比べ樹種もすっかり変化し、昆虫は消え、液果・堅果共、実りのない山に様変わりしていることに気づくべきです。

 

その上で、共存をめざし、他者(=クマ)の窮状を思いやる力が、人間に残っているかどうかなのです。

これによって、対策がすっかり変わってくると思います。

 

兵庫県はこれまでクマが何頭いるかの推定精度を上げることに多額の予算を使い続け、今年、何頭殺せばいいのか計算をし続けてきましたが、このような計算に意味がない。奥山生態系が崩壊しているのです。

 

県が重用してきた捕殺一辺倒のワイルドライフマネジメント派の野生動物対応手法は、もう完全に破綻していることに気づくべきです。

毎年毎年大量の野生動物を多額の税金を使って捕殺し続けてきましたが、人間は自然に生かされていること、その自然とは何かを忘れた結果、水源の森を失うという取り消しのつかない事態を進行させています。

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