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2021-11
10/23 兵庫県本部 今年秋のクマの餌場づくり実施しました 豊岡市で実のなる木の植樹
- 2021-11-06 (土)
- くまもりNEWS
一昨年、昨年と、全国各地で人里にクマたちがえさを求めて出てきて、過去最多を記録する大量のクマが駆除されました。一方、今年のクマの目撃数はどこも激減です。本部のある兵庫県でのクマの目撃数も、9月末現在、過去10年間で最少です。殺し過ぎたとしか思えません。
人里にクマたち野生動物が出て来なくていいように、何とかえさ場を奥地に再生してやろう。
熊森は過去25年間、実のなる木の奥山植樹に取り組んできました。しかし、民間の力でできることには限界があります。絶滅してしまう前に、早く、国や行政に奥山広葉樹林化に動いていただこうと、熊森はがんばっています。
現在、日本は、人間が荒廃させた奥山生息地を全く顧みず、個体数調整と言って、クマなどの野生動物たちの生息数を推定計算して、研究者が考えた適正数となるように駆除し続けています。しかし、本来、生息地の保障なくして、クマたち野生動物との共存などあり得ません。
2021年10月23日、熊森本部は今年も兵庫県豊岡市のクマ生息地に、実のなる木25本を植えました。この場所は、人工林の皆伐跡地を放置していた場所で、動物たちの餌にならないミツマタやシンジュの木が育ってきています。
今回の苗木は、あるご夫婦が、ドングリから育ててくださったものです。
苗木の種類は、クヌギです。高さ1.5mほどの苗木が10本ありました。植樹地まで運びあげるのに結構重くて苦労しました。
この場所は、急斜面、豪雪、シカと、広葉樹林化を困難にする3条件がそろったところです。
これまでに何度も実のなる樹を植えてきましたが、春先にシカ除け柵やシカ除け網が、なだれて来る雪に押しつぶされて倒れ、一瞬にしてシカに食べられ、なかなか苗木が育たないという森再生困難地です。
これまで、あの手この手で、シカの食害から苗木を守るためのシカ柵に取り組んできましたが、やっぱり、1本ずつの苗木を囲う元のやり方の方が良かったということになり、サプリガードという鹿除け柵で囲う方法にもどしました。
皆さんでどんどん植えて、柵を作って、効率よく作業は進められていきました。
参加してくださったボランティアの皆さん、今年もありがとうございました。
尚、熊森本部は11月13日(土)、兵庫県宍粟市の標高1000mのクマ生息地で、地元千種町の皆さんの植樹会を手伝います。ここも、急斜面、豪雪、シカと、広葉樹林化を阻む3条件がそろった場所ですが、今回、助成金を使ってブルトーザーを導入する大掛かりな植樹会です。植えるのも大苗ばかりです。
地元は過疎化高齢化が進んでおり、都市市民のボランティア参加が求められています。
自車参加で可能な方は、お知らせください。
お申込先:電話0798-22-4190 メール field@kumamori.org 担当:水見 吉井
10/21 本部第4回 安藤誠の世界 どんなにクマや自然が素晴らしいかを伝えたい ~日常の奇跡~
- 2021-11-03 (水)
- くまもりNEWS
10月21日(木)17時~19時 尼崎市中小企業会館 定員40名満席
(1)室谷悠子会長挨拶
森も自然もないここ兵庫県尼崎市が、熊森運動発祥の地です。
一方、北海道の大自然には都会に暮らす私たちが出会えないような様々な生き物たちが暮らしています。彼らもみんな私たち人間の仲間なんだよということを、世界的な動物写真家で様々な海外の賞もとられてきた釧路在住の熊森顧問安藤誠さんが、写真や映像で伝えてくださいます。
安藤さんの写真や映像が、熊森会員を増やしています。
(2)来賓あいさつ
元衆議院議員赤松正雄顧問
「クマと人間どっちが大事?」今のほとんどの国会議員は、西洋思想の影響を受けていますから「そりゃあ、人間だよ」と言います。しかし、正解は、「どっちも大事」なんです。大自然やそこに生きる野生動物たちも大事なんだよという祖先の正しい自然観を世に広めるために、熊森協会は闘い続けています。
何気ない日々が実は奇跡の連続なんだよという安藤さんの「日常の奇跡」という言葉を、わたしのブロブのタイトルに拝借させてもらいました。
(3)水見竜哉 くまもり主任研究員
北海道の人もあまり知らないのですが、実はヒグマは例年800頭ぐらい大量に駆除されています。
今年6月、札幌の市街地に出たヒグマが、タクシーに乗った報道陣などに追い掛け回されてパニックになり、逃げる途中に出会った4名の方に怪我を負わせ、草むらに逃げ込んだところを射殺されました。
人間の間違ったクマ対応が、人身事故を起こすのです。
◎安藤誠氏 講演
私は、自然がどれだけすばらしいかを伝える映画を、熊森協会と作りたい。
人間とクマ、どっちも大事なんだなあと、見ただけでわかるようになる映画です。
これはヒグマの動画ですが、この場面だけは一瞬ピンボケです。
20mぐらい離れたところでサケを採りに来たヒグマを撮影していたのですが、レンズ越しにヒグマと目が合い、ヒグマが僕に気づいて、「ん、お前誰だ」って僕の方をにらんできたので、思わず動揺してしまい、カメラの手がずれてピンボケになってしまったんです。でも、このヒグマは怒ってはいません。毛が立っていませんから。あっちに何か変な奴がいるなと思ったんでしょう。
ヒグマは人間を襲ったりしません。人を襲う動物だったら、僕は今ここにいません。
ヒグマって、サケの頭とイクラ(=卵)だけ食べる。一番栄養価の高いところです。あとは、ポイ。残りは、キツネとか他の動物たちの食べ物になります。
この場面だけ一瞬ピンボケしているその訳は・・・
クマを守るために、今年、狩猟免許を取りました。
体重わずか480g~800gのハシボソミズナギドリは、最長距離を渡る渡り鳥です。GPSもエンジンもついていないのに、年間3万2千キロを旅して渡ります。白鳥の渡りは3千キロメートルですから、それを思うと、ハシボソミズナギドリのすごさがわかります。
誕生した若鳥と共に、餌を求めて6月、オーストラリアのタスマニアから赤道を超え、まず日本列島に渡ってきます。千葉県の九十九里浜沖に来た時は、体重が半分に減っていますから、低気圧に巻き込まれた年は、何万羽という若鳥たちのおびただしい死体が見られます。生き残ったハシボソミズナギドリたちはこのあと北海道知床羅臼まで飛んでオキアミや魚を食べて体力をつけ、アラスカに渡り、北極海を経過してまたタスマニアに戻るのです。
人間にいろんなことを教えてくれるハシボソミズナギドリの渡り 知床にて
熊森から
安藤さんは、ハシボソミズナギドリたちが、勇気、やる気、生きる厳しさ、あらゆることを人間に教えてくれると言います。
もし、安藤さんの説明がなければ、私たちは、なんだかたくさんの鳥がいて豪快だなだけで終わってしまいます。しかし、生態を教えていただくことによって、同じものを見ても、感動が全く違います。安藤さんは、プロのネイチャーガイドでもあります。
安藤さんは、キタキツネの家族やラッコの家族、シマフクロウの夫婦、タンチョウの親子、クマゲラの親子、モモンガ等々、やらせなど全くない大自然の中のさまざまな生き物たちのピユアな命が輝く世界を、彼らの家族愛にあふれる会話を日本語にして紹介しながら、「どうですか、もう可愛すぎてのけぞりそうでしょう」などの感想も入れて、野生の生態や豊富な知識を紹介し続けてくださいました。
今年も、安藤さんから、私たちが今日生きていることそのものが奇跡の積み重ねなのだと、改めて教えていただきました。
安藤さんは、3分間の動画作品を作るのに、1000時間フィルムを回されているそうです。安藤さん、毎年新しい話題満載の、秋の全国講演ツアーをありがとうございます。
今年、熊森協会では、福岡県支部、三重県支部、本部、愛知県支部で安藤誠講演会を実施させていただきました。来年も開催させていただきますので、ぜひ皆様、ご参加ください!
参加してくださった皆様、スタッフの皆様、ありがとうございました。
雪が積もるまで続くヒグマのサケ狩り 北海道留萌出身の写真家佐藤圭氏のヒグマ写真と文が素敵
- 2021-11-01 (月)
- くまもりNEWS
ベストカーwebというネットメディアが、1979年生まれの佐藤圭氏のヒグマ写真と文章を何度か掲載されています。
本物のヒグマを野で温かい目でそっと見続けてきた佐藤氏のヒグマ観は、釧路在住の当協会顧問安藤誠氏と同様、とても正確だと感じます。おふたりがつながればいいな。
ヒグマ害獣視が強い北海道にあっても、このようにヒグマを正しく理解しておられる方が何人かいらっしゃると思うと、幸せな気分になります。
以下は、ベストカーの佐藤氏の文と写真の一部紹介です。
僕は、撮影のために大雪山系の山に登ることが多いのですが、登山の途中で、ごくたまにヒグマに出会うことがあります。
出会うヒグマは、いつも草や花をのんびりと食べています。ヒグマは本来、温厚で臆病な生き物です。
登山者は、そのことを知っているため、ヒグマが去るのを待つか、距離を保って静かに通り過ぎます。それが、上手なヒグマとの付き合い方です。
北海道の山にはヒグマがいるのは当たり前なので、ヒグマがいても、ヒグマ注意の看板は立ちません。
ヒグマは嗅覚や聴覚が鋭く、人の匂いや気配、熊鈴の音などがすると自分から離れていきます。
この写真を撮影したときも、十分距離をとって望遠レンズで撮影しています。ヒグマは食事を終えると自らゆっくりと去って行きました。
本来、ヒグマは人間の存在を恐れています。人間を襲ってしまうのは、恐れから来る自己防衛の攻撃なのです。
ヒグマは大きく強く、人間は絶対に敵わない相手です。まず、ばったり出会わないための注意を最大限に払うことことが重要です。
秋になり、鮭たちが産卵のために川に帰ってくると、彼らが遡上する川では命のドラマが繰り広げられます。
大挙して遡上した鮭は、産卵を終えると、みな力尽きて死んでしまいます。その一部は朽ち果て、川の栄養となり、稚魚のエサとなる微生物や水生昆虫を育て、自分たちの子孫の生育を助けます。
また、一部は、浅瀬に打ち上げられ、周辺で暮らす動物や鳥類のエサをなります。この季節、川辺で観察していると、カモメやカラス、キツネやタヌキなどが産卵後の鮭を食べに集まっています。
そのなかに、並外れてどん欲な大食漢がいます。
日本の陸上で最大の哺乳類・エゾヒグマです。
秋のヒグマは、冬眠を控えており、皮下脂肪を蓄えなければならず、大量のエサを必要とします。
山でも、どんぐりや山ぶどうなどの木の実を食べまくっていますが、鮭のほうが断然栄養価が高いですからね。
雪が積もるまで鮭の遡上は続くので、ヒグマの狩りは毎日続きます! 鮭を日々食べ続けたヒグマは、見る見る体が大きくなります。
北海道では、近年、秋に産卵のために回遊してくる鮭の不漁が続いています。
また、鮭が減って、秋に栄養が十分に取れなくなったことが、ヒグマが街に出るようになった要因になっているかもしれません。
ヒグマがいる山は豊かです。ヒグマが鮭を山に持ち帰り、食べ残しは山の栄養になります。それで山の木々も健康に育ちます。
自然界の循環として、命は川から山へ繋がっているのです。
鮭の不漁の原因は、地球温暖化による海水温、海流の変化だとも言われています。
熊森から
ベストカーは、車の雑誌のようですが、佐藤圭氏による北海道の野生動物たちの様々な生態が連載されているようです。ぜひ、ご覧になってください。
本州のツキノワグマも、ドングリばかりではなく、冬眠前には昔のようにサケを食べさせてあげたいな。そのためには、戦後、無数に造られてしまったダムを何とかしなければならない。