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2024-04
★緊急オンラインセミナー「リニア工事の遅れの真実」
- 2024-04-27 (土)
- くまもりNEWS
熊森は、奥山保全団体として、太平洋側に唯一まとまって残された最後の原生林である南アルプスの森を守るため、南アルプスにリニアのトンネルを掘らないでほしいと、長年訴えてきました。トンネルを掘ると南アルプスの地下水位が600mも下がるということで、山が乾燥化して取り返しのつかない生態系破壊をもたらします。
経済が潤っても、水源の森を失えば私たちは生き残れません。
熊森は、リニア市民ネット大阪に加盟し、ずっと一緒に勉強会を進めてきました。
この度、FoE Japan主催のオンライン会議が計画されております。リニアがどうなっているのか、これからどうなるのか、多くの方にこの勉強会に参加いただきたく、直前ですが広報させてもらいます。
以下、FoE Japanからです。
3月末、JR東海は、リニア中央新幹線の静岡工区の未着工を理由として、2027年リニア開業を断念すると表明しました。これにより、早くとも2034年以降の開業となることが明らかとなりました。一方、4月に入ると、トンネル工事による大井川の減水や南アルプス生態系への影響、残土置き場の災害リスク等を問題視し、JR東海と対峙してきた川勝平太静岡県知事が、失言をきっかけに辞意を表明しました。リニアをめぐる状況が一気に変化しつつあります。
これらの動きに前後して、フリージャーナリストの樫田秀樹氏の記事やリニア新幹線沿線住民ネットワークの報告により、静岡問題だけでなく、沿線各地で大きな遅れが生じている事実が明らかにされました。
工事の遅れは、そもそもの工事計画の甘さ、杜撰さを露呈しています。結果、2027年開業を見込んだまちづくりや沿線周辺整備を進めてきた関係自治体は困惑する状況となっています。住民には、当初の説明と異なる長期間にわたる負担を負わせることになります。
今回、緊急セミナーを開催し、沿線の工事の遅れについて各地で取材してきたフリージャーナリストの樫田秀樹氏に、リニア工事の進捗状況の実態を解説いただきます。また、工事の遅れの原因と名指しされながらも静岡県は何を主張してきたのか、そして今後、静岡県に何が期待されるのかを、リニア新幹線を考える県民ネット共同代表の林克氏からお聞きします。
【日 時】2024 年4 月28 日(日)14:00~15:30
【開催方法】オンライン会議システムzoomを使用
【参加費】無料
【申込み】https://foejapan.org/issue/20240422/17199/
【主催・問合せ】 FoE Japan(https://foejapan.org/contact/)
※本事業は、パタゴニア環境助成金プログラムの助成を受けて実施します。
〈プログラム〉
1.リニア工事の遅れの実態 樫田 秀樹氏(フリージャーナリスト)
2.静岡工区をめぐる現状と今後 林 克氏(リニア新幹線を考える県民ネット共同代表)
3.質疑応答
4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催②
- 2024-04-26 (金)
- くまもりNEWS
クマ保全未曽有の危機、だからこそ集まろう!
1、去年お亡くなりになられた会員の追悼
2、開会宣言
3、オープニング
コマーシャルソングの女王と呼ばれた熊森会員でもあるミネハハさんが、「いのちの森」「ありがとう地球」の2曲を熱唱してくださいました。会場が感動で包まれました。
熱唱中のミネハハさん
4、特別報告動画は、「クマ大量捕殺の嵐に立ち向かう」(東北編)です。
昨年、東北地方で起きた山の実りなしという過去に例のない異常事態発生によって、大量のクマが生きるために餌を求めて決死の覚悟で山から出て来ました。地元は対応の仕方がわからず、人身事故発生数が過去最高に。
そんな中、クマが増えている、クマが生息域を拡大している、クマは人を襲う凶暴な動物であるなど、事実に反した誤情報のみがマスコミに氾濫し、北海道や東北地方で、クマ大量捕殺の嵐となりました。
今年の特別報告は、この嵐を何とか鎮めようと奮闘した熊森のクマ保護活動報告です。
この中に、秋田県美郷町の親子グマの救命に駆け付けたが命を救えなかった、新潟県村上市在住の佐藤支部長のコメントが出てきます。ぜひ全国民に聞いていただきたいです。
佐藤支部長コメント(約1分)
5、「去年は、本当に苦しい苦しい1年でした」から始まる室谷悠子会長の圧巻の基調報告です。
室谷悠子会長
会長の基調報告に聞き入る参加者たち
要旨
マスコミは全く伝えませんが、わずかに残された奥山の自然の森で何とか生き延びてきたクマたちが、地球温暖化などによりいっそう森が荒廃し、生きられなくなって山から出てきたということは、クマ生存の危機と共に、水源の森がいっそう荒廃してきたという、私たち人間社会の危機でもあるのです。
ウクライナやパレスチナでもそうですが、危機的な状況においては、弱い立場のものが翻弄されます。森のエサ不足においてエサにありつけず出て来ざるを得なくなったのも親子のクマや子グマたちでした。親子グマでも子グマでも、山から出てきたクマは全部殺してしまうという今のクマ対応は、子を持つ母の一人として、つらいものがあります。
さらなるクマの捕殺強化をめざして、クマを指定管理鳥獣にしようという国の動きに対して、熊森は環境省に反対する要望書や署名を提出、記者会見を行う、兵庫県の豊岡市で行政や地元と連携してクマを殺さないクマ対応を行い、人身事故ゼロ、クマ被害ゼロを達成して見せるなど、必死でがんばりましたが、国はクマを指定管理鳥獣にしてしまいました。
ますます厳しいクマ保全状況になってきましたが、今後は地域に働きかけていきます。
昨年の全国大会には、再エネ巨大森林開発と闘っている宮城県の皆さんに来ていただきました。
丸森町では地域、町、県が協力してメガソーラー着工を止めています。
加美町では、町長選で風車反対の町長を誕生させました。
青森県では、日本最大の八甲田山の風力発電計画にたくさんの県民が反対するようになって白紙撤回が決まりました。
くまもりは次世代のためにそして全ての生き物たちのために、本当に必要な自然保護活動を必死で自分たちでも頑張り、全国の仲間を応援するという会でもあり続けたいと思っています。
仲間を増やしていくこと、いろんな方と協力していくことが、豊かな森を残すことになると信じて、今年もがんばります。
4月21日、クマ保全未曽有の危機の中、第27回くまもり全国大会盛大に開催①
- 2024-04-24 (水)
- くまもりNEWS
4月16日、伊藤信太郎環境大臣が、クマを指定管理鳥獣に指定すると発表しました。
マスコミは、これで国の交付金を用いてクマを捕獲したり被害防除したりできるようになりますと、一斉に報道。
問題は山や人ではなく、クマに原因があるとの誤った報道が、全国に広がり、クマはさらに追いつめられた状況におかれています。
まさに、クマ保全未曽有の危機です。
クマが棲めないほど山の荒廃が深刻で、捕獲を強化しても何も解決しない。問題の解決には山を豊かにし、人とクマの棲み分けこそ支援すべきという、熊森の主張はメディアにほとんど取りあげられません。
そんな中、第27回くまもり全国大会開催が熊森発祥の地、兵庫県尼崎市で開催されました。
今年も、新潟県の法人会員マルソー株式会社様から見事な祝い花が届けられ、会場入り口は華やかな雰囲気に包まれました。
豪華な祝い花
以下はプログラムです。
プログラムの裏には、3名の顧問の先生方が寄せてくださった500文字のコメントが掲載されていますので、それをまず、ご紹介したいと思います。
●環境省は何の為にあるのか
宮澤 正義 顧問(長野県 日本におけるツキノワグマ研究第一人者)
第27回熊森全国大会おめでとうございます。
私は、昭和2年生まれの97歳です。もう限られた時間の持ち合わせしかありません。熊森本部、支部の皆様の献身的なはたらきに、いつも感謝しています。
今回、愚かな環境省がクマを指定管理鳥獣に指定してしまいました。熊森の皆様の、クマをシンボルに日本の水源の森を保全・再生しようという27 年間にわたる大変な努力を、無駄にしてしまいかねない暴挙です。
病気治療の目的の方が奥山の温泉を訪れたりすることは否定しませんが、元気な人たちが、最近では300 名山までリストアップし、奥山にどんどん入り込んで行く。そのために、そこでしか暮らせない野生動物たちが蹂躙され、どんな苦難を強いられることになっているのか、考えてみたことはあるのか。生きるために人間の生活圏に出て行かざるを得なくなった彼らを駆除することに、環境省は予算を付けて推進する。
縦割り行政の弊害なのか。環境省の人たちは大臣から職員に至るまで、生態系とは何か、日本国も批准した生物多様性条約とは何かわかっているのか。この国に環境庁が作られた理由、庁から省への格上げの狙いさえわかっていないのではないか。無念です。
●ツキノワグマの出没要因となる温暖化問題
主原 憲司 顧問(京都府 昆虫研究者)
昨年は観測史上最も暑い夏となりました。マスコミ報道は、連日、クマの出没や人身事故で埋め尽くされていましたが、このクマの異常出没に温暖化が関係していることを述べる報道は皆無でした。温暖化により寒冷気候帯に生息している種の多くは適応できずに衰退しています。私は蝶類を継続調査していますが、食樹となる木の芽吹き時期がずれることで、標高の低い山地では既に絶滅が始まっています。この状況は冷温帯の昆虫や植物を餌にしているクマにも連動します。
秋のクマの出没はブナ科堅果類の凶作が大きな原因です。冬眠に必要な栄養を得るため、冷温帯林のブナが不作だとクマはミズナラ域に移動。コナラやクリが混交する中間温帯林に移動することもあります。ここも不作だと、人里を徘徊し、周辺で越冬し、春の出没要因になります。奥山の餌不足で人里に出没しているクマをこのまま有害駆除し続けても、絶滅以外に人里での出没は止められません。
薮の刈り払い等の対策は出没位置の変化を生むだけで、根本解決には至りません。山からクマが出て来ないようにするためには当面の餌不足問題を解決する必要があり、そのためにはクヌギのドングリ(地域固有の遺伝子を持たない)を山に運ぶなどの給餌行為も、場所によっては必要です。
●クマの棲める森を
藤田 恵 顧問 (元徳島県木頭村村長)
本来のクマは「人の匂を嗅ぐと四キロ先まで逃げる」と言われ、1940 ~ 70 年代の私が子供の頃から青年の時分の常識でした。
クマが山から出て来る根本原因は「拡大造林」です。「拡大造林」は1950 年代から、広葉樹を皆伐して主にスギやヒノキを密植した国の愚策です。このため、クマが住んでいた全国の広葉樹林が殆ど無くなってしまったのです。それで、棲みかも十分な食べ物もないためクマは命がけで、民家付近へ出て来ていたのです。(注:四国のクマは残り十数頭。ここまで減ると種の保全はもうむずかしい)
以上のようなクマの側からの発想で、拡大造林で荒れ果てたスギなどの針葉樹林をケヤキやクリなどの広葉樹の森にしなければ、根本的な、クマなどの獣害対策は不可能です。人間のした生息地破壊は棚に上げて、民家近くで害があったからと、クマなどを銃で撃ち殺しているのは私が知る限り世界中で、低民度の日本だけです。
「クマの棲める森」は、広葉樹林によるクマを頂点とした生物多様性の原点です。近年のコロナ被害、鳥インフルエンザなどの多くは生物多様性が失われていることが原因だとされています。クマなど大型動物の出没は、これらに対する人間への警告だと思います。
以上
昨年の秋田県クマ大量駆除の嵐の中を生き延びた子グマたちがわずかにいた
秋田魁新報4月10日によると、昨年の秋田県のクマ大量駆除の嵐の中を奇跡的に生き延びた子グマたちがいました。
以下の写真は、秋田朝日放送より。
注:2023年度秋田県では、山の実り大凶作によるクマ大量出没と過去最多のクマによる人身事故62件70人の発生もあり、有害駆除名目などで前代未聞2314頭のクマを捕殺しました。生息推定数4400頭の52%のクマが殺処分されたことになり、クマは絶滅に向かう恐れがあります。そんな中、秋田県は指定管理鳥獣実施計画を策定して、更なるクマ捕殺を進める方針です。
下の目撃件数グラフは、秋田魁新報記事からです。
注:ふつう、同じクマが何度も目撃されるので、実際のクマ数は目撃数より少ない。
テレビニュースによると、秋田の冬を生き残ったみなしごグマは、春になった今、集落周辺の耕作放棄地などに生えている草の新芽などを人目を気にしながら食べています。
もし母グマが殺されていなければ、この時期、冬ごもりからあけて、山のバッコヤナギの花や木々の新芽を食べていたことでしょう。
クマの大好物、バッコヤナギの花
人間に見られながらびくついて草を食べている子グマの顔が、テレビニュースで映し出されていました。
時々顔を上げて人間の動きを見ながら、不安そうに草を食べる悲しげな表情の子グマ。近くには、捕獲用の罠がすでに2つ仕掛けられています。
秋田県では県のツキノワグマ管理計画に「放獣しない」と明記されていますから、市町村はクマが出没した際に、捕獲後は銃殺すると記して県に捕獲申請を出しています。(北海道も同様)
秋田では、これらの子グマをヌカとハチミツ入りの箱罠に誘引して捕獲し、全て銃で殺処分しています。
秋田ではクマの捕獲権限が市町村に下ろされているため、捕獲したクマを殺処分するのか放獣するのか市町村の判断で決められるはずです。また、クマの放獣は法律で禁止されているわけではありません。
秋田県は昨年、私たちが放獣を依頼した際、今年は捕獲数が多過ぎて放獣などできないと言われました。今の時期ならできると思います。去年殺された大量のクマの穴埋めのためにも、捕獲してそのまま何もせず山に放獣してやるべきだと思います。
山に放してもまた帰ってくると言う方もいますが、帰ってこない場合も多くあります。放獣例もないのに帰ってくると決めつけるのはいかがなものでしょうか。
クマの行動を決める主要な要因はえさです。山に餌があれば集落には出てきません。
小さな子どものクマまで見つけ次第、罠をかけて捕殺してしまうのは、子どもたちの精神衛生にも悪いです。秋田県は生き物たちへの共感を思い起こして、生き物たちにやさしい対応をとっていただきたいです。
人間が攻撃しない限り、犬くらいの大きさの子グマが人間に向かってくるということはありません。クマが凶悪犯人のように報道されるため、クマへの誤解が蔓延していますが、クマたちは基本的に人を避けて行動しており、人が気をつけることで人身事故は防げます。
思いやりのある優しい対応が、人にも自然にも一番優れているのです。
すでに熊森本部や熊森秋田県支部から、生き延びた子グマを放獣してほしいという要望を、秋田行政へ伝えてあります。
パブコメで大多数が反対でも原案通り進める 環境省がクマを指定管理鳥獣に指定(省令発表未)
検討委員たちの発言は、クマは数も少なく繁殖力も弱いのでシカ・イノシシと同列にはできない。東北や北海道と他の地域では生息状況がかなり違うので、全国一律にクマを指定管理鳥獣に指定することには無理があるなど、まっとうな意見が全体を占めていた。
検討委員たちの意見が無視されている。
ヒグマ、ツキノワグマ(四国の個体群を除く)を指定管理鳥獣にすることに( )します。
野生鳥獣との軋轢を、野生鳥獣の生息数を人間が大幅に低減させて一定数にコントロールすることによって解決しようとする考え方を導入して25年が経過しましたが、罠だらけの山となり残酷なだけです。しかも、大量捕殺によって被害がなくならないことはシカやイノシシの対応で、すでに結論が出ています。
どうする環境省 クマ指定管理鳥獣化パブコメ結果 賛成9 反対440
環境省はクマを指定管理鳥獣にすることをどう思うかの1行だけを提示して、国民の意見を聞きたいとしてパブリックコメントを募集しました。締め切りは3月13日でした。
環境省は3月28日、パブリックコメントの結果とそれに対する回答を発表しました。
以下が、その発表です。
忙しい中、パブリックコメントに応募されたすべての皆さんに敬意を表します。
膨大な数のコメントをまとめてくださった環境省職員の皆さんに感謝申し上げます。
熊森としては、パブコメ結果と環境省回答を見て今後どうしていけばいいのか、多くの国民の皆さんと大いに議論したいです。
自分の考えをしっかり述べることのできる国民が増えることが、いま日本に本当に必要です。
みなさん、ご意見をお寄せください。
祝 4月1日宮城県が再エネを森林以外に誘導する全国初の条例を施行
森林保全へ再生可能エネ課税 全国初、宮城県条例施行
以下共同通信2024年3月31日記事より
森林を大規模開発する再生可能エネルギー事業者から営業利益の2割相当の税を徴収する全国初の宮城県条例が1日、施行された。税負担を課すことで再エネ開発を森林以外へ誘導し、環境保全と再エネ促進の両立を図る。狙い通り適正な立地が進めば「税収ゼロ」となることも想定する異例の新税だ。
国は脱炭素社会の実現に向け再エネ推進の旗を振るが、乱開発や景観悪化などで地元住民の反発を招く事例も目立つ。新税には既に複数の県から問い合わせが寄せられており、効果があれば全国に広がる可能性もある。
課税対象は0.5ヘクタール超の森林を開発する太陽光と風力、バイオマスの発電施設。エネルギー種別ごとに異なる税率を適用し、太陽光の場合は出力1キロワット当たり最低620円、風力は同2470円で、国の固定価格買い取り制度(FIT)の売電価格に応じて税率を変える。
正式名称は「再生可能エネルギー地域共生促進税」で、使い道を特定しない法定外普通税。県は条例施行後5年以内に検証して内容を見直す。
宮城県が導入する再生可能エネルギー新税のイメージ
熊森から
宮城県村井嘉浩知事の宮城の森を守ろうとする強い姿勢と決断力に、大拍手を送ります。
この条例でどのような効果が出るか、注目していきたいです。
うまくいくようなら他の都道府県知事の皆さんも、是非続いてください。
3月15日 杉本和巳議員が、衆議院第3回環境委員会で再エネ事業について質問
3月15 日、令和6年衆議院第3回環境委員会で杉本和巳議員(比例東海ブロック、維新・教育無償化を実現する会)が、再生可能エネルギー事業について質問されました。
質問中の杉本和巳議員
(要旨)文責熊森
杉本和巳議員 次に再生可能エネルギーについてです。
陸上風車:北海道で留萌から稚内にずっと日本海側を車で走っていくとですね、28基の風車が幌延のあたりにずらーっと並んでるんですね。極めて壮観ですね。素晴らしいなと思って、私はずっと風力風力と思っていたんですけれども、熊森協会さんに聞くとですね、風車は生態系上、そのヒグマはもうあるかもしれないし、キタキツネもそうかもしれないですし、あるいは水源としての水の流れ方とか、そういったものに非常にマイナスになるということです。
洋上風車:先日、再生可能エネルギー海域利用法というEEZまで洋上風力発電を中心としてその範囲を広げるということが閣議決定されたというふうに伺っていますが、こういったものが生態系並びにその他自然環境に与えるマイナス面、バードストライクだけに限らず、ほかの動物にもそれから自然全体についてどんなマイナス面があるか総論として伺っておきたいというふうに思います。
メガソーラー:太陽光発電についても伊豆半島の伊東の(メガソーラー)を視察しましたけれども、山の頂上とか中腹に太陽光パネルが設置されて、それによって木材が伐採されて、その木材が台風みたいなのが来たときに流れて、川を縦に伝って海に流れて海洋というか、漁場を赤潮の発生原因になったりして影響が出ているみたいなことを地元の陳情で伺ったことがあります。
この3つについて、環境影響評価として、生態系並びに自然環境にどんな影響があるのか、御担当の政府参考人から御答弁いただければと思います。
環境省鑓水総合環境政策統括官
お答えいたします。
陸上風力につきましては、近年の導入拡大に伴いまして、森林開発に伴う動植物の生息地の喪失やバードストライクの発生による鳥類への影響等、動植物や生態系への影響に対する懸念が大きくなっている状況だと認識してございます。
洋上風力につきましては、バードストライクに加えまして、海生生物や藻場への影響等が懸念されるところでございます。
太陽光発電事業につきましては、森林伐採に伴う土砂の流出やのり面の崩壊が発生する事例があると認識してございます。
このため、事業者が環境への適正で配慮がなされた事業を進めるように、環境省といたしまして、①環境影響評価評価制度に基づきまして、必要な確認を行っているところでございます。
それらの影響について事業者が適切に調査予測評価を行うこと。またそれらの影響を回避低減する措置を求めているところでございます。
そうした中で②環境大臣意見におきまして、例えば事業実施区域の見直しを求める場合もございます。
杉本和巳議員
再生可能エネルギーというのは全て善みたいに思ってしまいますが、光と影の部分がやはりあって、その影の部分も我々はしっかりチェックしていかないと環境立国として向かっていけないし、ネットゼロ(=正味ゼロ)に向かわないと思いますので、ちょっと御感想で結構なんですが、風力並びに太陽光についてのマイナス面についての御意見を伺えればと思います。
伊藤環境大臣
委員御指摘のように再生エネルギーのみならず、全てのエネルギー発生においては必ず光と影がございます。それで③環境省としてはこの2050年、カーボンニュートラルを目指して再生可能エネルギーの最大限の導入が不可欠と考えております。
他方、今参考人からも答弁がありましたように、大規模な森林開発を伴う再生可能エネルギーの事業計画が増加し、動植物への影響や生態系の損失に対する懸念は大きくなってきていると思います。
このため、環境への適正な配慮がなされた事業を推進することが大変重要であり、環境省としては環境影響評価制度において、環境影響や環境保全措置を確認していくことがより重要になってきていると考えております。引き続き④環境配慮が確保された再生可能エネルギーの導入が図られるよう、環境影響評価制度の運用等にしっかり取り組んでまいりたい、そのように考えています。
熊森から
①日本の環境影響評価評価制度は、業者の費用負担で業者が行うものですから、どうしても影響は軽微などとして業者に甘くなりがちの結論となります。
②環境大臣意見は、自然環境を守るために真摯にご意見を書かれていると感じますが、問題は事業を変更したり中止したりする権限がないことです。
③自然の中で巨大再生可能エネルギー開発を行えば、どうしても著しい自然破壊が生じます。環境配慮が確保された再生可能エネルギーなどあり得ません。再エネ事業は、都市部やビルの屋上などすでに自然が破壊されてしまっている場所で行われるべきです。
3月15日 林佑美議員が参議院予算委員会でクマの生息地である奥山の生活環境について質問
3月15 日、令和6年衆議院第3回環境委員会で林佑美衆議院議員(和歌山県、維新・教育無償化を実現する会)が、クマ生息地の生活環境の改善について質問されました。
この原因は、拡大造林政策によるスギ・ヒノキの植林、奥山の大規模開発による生息地の自然林の減少です。九州、四国、紀伊半島では、人工林率が6割を超えております。大臣もよく発言されておられますように、クマはシカやイノシシと比較して、生息数も少なく、繁殖力も弱く、環境変化にも弱い動物です。
クマは春夏秋の山の植物を食べており、食べる植物の種類は200種類を超えると言われております。秋はドングリ類を大量に食べ脂肪をつけ、冬眠に入ります。奥山に豊かな自然林があることがクマの生存条件です。昨年は東北や北海道で大量出没が起こりました。
山の実りの凶作が原因とされておりますが、異常な熱波による記録的猛暑となったためか、山に食料が何もないという例を見ない状況が発生した模様です。気候変動などの環境破壊により、豊かな森が残っていた東北や北海道でも森がクマを養えるだけの豊かさを失ってきていると感じております。
秋田県は近年、クマの捕殺の強化を進めてきましたが、昨年生息推定数の半数を優に超える2400頭超のクマを捕捉しております。捕殺をいくら繰り返してもクマが出てくる根本原因を解決しなければ被害は減りません。また、大量捕殺を繰り返していくと、地域的にクマが絶滅するところも出てくるでしょう。
そこで質問なのですが、被害を減らしていくにはクマが人里に出なくてもいい環境をつくるという根本的な対策が一番大切であり、林業不振により放置された人工林を自然林に戻す取り組みや、去年のような温暖化の影響が考えられる山の実りの大凶作の年であっても、クマが山の中に餌を確保できることを考えた、実のなる樹種の植樹などが必要となってくると考えますが、クマの生息地である奥山の生息環境について、環境省はどのように考えられておられますでしょうか。
朝日健太郎 環境大臣政務官
お答えいたします。環境省では、クマ類の保護や管理に関しまして都道府県の対策の指針となるような①ガイドラインを策定しております。また、昨年秋の、委員からありましたとおり、深刻な被害状況を受けまして、②専門家による検討会を設置をいたしまして、本年2月8日に被害防止に向けた総合的な対策の方針を取りまとめていただきました。
この内容ですけれども、クマ類の地域個体群の保全、そして人間との軋轢の軽減の両立を図るため、人間とクマ類の③棲み分けを図ることとしております。こうした考えに基づきまして、奥山などにおいてクマ類の保護を図るための保護優先地域や人身被害の防止を図るための人の生活圏、それらの間の緩衝地帯を設置設定し、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理を進めているところであります。
環境省では、奥山地域を含めまして、④国立公園や鳥獣保護区などの保護区域の指定などによりまして、生息環境の保全を図ってまいります。引き続き、農林水産省などの関係省庁と連携をいたしまして、クマ類の生息環境の保全を図って参りたいと考えております。
林議員
ありがとうございました。日本最大の大型野生動物であるクマの棲める森は、多種多様な生き物が絡み合う生態系の営みの中でつくられた水源の森でもあります。人工林が多く占める森林環境を少しでも改善して、クマの生息できる環境を奥山につくっていくことが、人や動物のみならず、地球の環境にも資すると考えております。
ぜひ環境省が先頭に豊かな森林環境をつくっていただきたいと思います。
熊森から
林議員、ご質問ありがとうございました。戦後の拡大造林政策による奥山人工林化が行き過ぎ、クマなど奥山の動物たちが生きられなくなっているという指摘を私たちが開始してから32年目です。人工林は行き過ぎていないとして、私たちはずいぶん批判されてきました。やっと国会でこの問題が出るようになったことに感無量です。
今の日本の行政は、経済第一で、野生動物たちの食料を思いやるような優しさは皆無に近い状態です。一般国民は胸を痛めているので、環境省や農水省が市町村など地方行政を指導して、野生動物たちの餌場となる森再生事業を進めていただきたいです。
熊森から環境省と国民のみなさんへ
①環境省のガイドラインが守られていないという現実があります。
熊森はこれまで各地の奥地集落を訪れ、地元の方や猟師の皆さんと話し込んだり、自分たちで調べたりして得た見聞を元に、何度も環境省に、「錯誤捕獲された野生動物は放獣すること」などのガイドラインを多くの都道府県が守っていないという現実を訴えてきました。
しかし、1999年の地方分権法によって野生動物の捕獲に関しては、国は都道府県に権限を委譲しているからとして、これまでこの件に対して環境省は都道府県を指導してくださっていません。権限を委譲したと言っても、国の定めた範囲内での権限移譲のはずですから、環境省は都道府県を支援するとともに、国のガイドラインを守るように強力に指導すべきだと思います。
第一、くくり罠のような残虐罠を山の中に無数に設置してシカやイノシシの問題を解決しようという発想自体が、人間の倫理観からも生態系保全上からも間違っていると思います。
②検討会委員に自然保護団体や動物たちの心がわかる動物愛護団体を加えるべきです。
研究者ばかり集めて検討しても、斬新な発想が生まれにくいと思います。クマ関係の検討会には、ツキノワグマ研究の第一人者である宮沢正義先生(今年97才)や、ヒグマ研究の第一人者である門崎允昭先生(今年86才)らに長年指導していただき、自らも徹底した現地調査やクマの生息地保全、被害対策の実践を行ってきた日本熊森協会も検討委員会に入れていただきたいです。国の今後を決めるにあたって正しい歴史を学ぶことが大切なのと同様、自然保護にとってもわが国の野生動物たちとの共存の正しい歴史を知る識者から学ぶことが大切です。
③祖先がしていたように、原則、奥山をクマの生息地として棲み分けるべきです。
現在、スキー場やキャンプ場など、奥山にも人間活動の場が多く広がっており、そのような場所を人間ゾーンとしてゾーニングしている現状では、クマたちはどこにおればいいのか居場所がないという現実があります。
④国立公園内での風力発電など再エネ事業を禁止してください。
巨大風力発電計画が奥山尾根筋で目白押しです。環境省が国立公園を守ってくださるのはありがたいことです。ならば、山の命ともいえる山の最も大切な場所である尾根筋を平らに削ってしまい、尾根筋に至る道路建設のためにと森林を大伐採して国立公園を破壊してしまう再エネ事業を環境省は禁止すべきです。
環境省には、本当にがんばってもらいたい。
環境省がんばれ!
私たちは環境省の応援隊です。
3月12日 森田俊和議員、衆議院環境委員会でクマ問題について森の視点から質問
- 2024-04-01 (月)
- くまもりNEWS
3月12日、令和6年衆議院第2回環境委員会で森田俊和衆議院議員(埼玉県、立憲)がクマと森について質問されました。
(要旨)文責熊森
森田俊和衆議院議員 熊について森の視点から質問させていただきます。
山で生息してきた動物たちが、里地里山やもうちょっと住宅が密集しているようなところにまで下りてきてしまって、ひどい場合には人身事故にもつながるというのは非常に不幸なことです。私は、対症療法的なところよりも、少し根本的なところをお尋ねをしてみたいなと思います。その根本原因の一つとして言われているのが、山が、森が痩せてしまっているということです。
日本の国土の三分の二が森林であり、そのうちの四割以上が杉、ヒノキの人工林だと言われております。熊の食べ物は人間が森に入って食べるものとそんなに変わらないと思うんです。春になればフキが出てきたりとか、若い芽、葉っぱが出てきて食べたり、あるいは、夏になれば、いろいろな虫を食べたりとか、秋になれば、ドングリとかいろいろな木の実だと思いますけれども、いずれにしても、杉、ヒノキだと、熊やほかの動物たちが食べるものがどうしてもないという状況になっていると思います。
また、山深いところと人が住んでいる場所の間にも、きちんとした自然の植生に近い森を用意するということも必要なんじゃないかなと思います。
伊藤環境大臣 委員御指摘のように、奥山というのは大事ですね。
環境省としては、奥山等において熊類の保護を図るための①保護優先地域、あるいは、人身被害等の防止を図るための人の生活圏、それらの間の緩衝地域を設定し、それぞれの地域に応じて適切に管理を行うゾーニング管理、これを引き続き進めていくという方針でございます。
舞立大臣政務官 令和三年の六月に閣議決定しました森林・林業基本計画におきまして、多様で健全な森づくりを推進することとしておりまして、森林整備事業において針広混交林や広葉樹林の造成への支援を行うとともに、例えば、②森林環境譲与税を活用して、住民の要請に応じた針広混交林や広葉樹林の育成も図っているところでございます。
環境省回答に対する熊森見解
①奥山を本当にクマ保護優先地域にするのなら、奥山でのシカ・イノシシ捕獲用のくくり罠設置を禁止すべきである。
シカ・イノシシ用の罠といっても、くくり罠にはクマ、カモシカ、キツネ、タヌキなどいろいろな動物が皆かかる。錯誤捕獲は罠設置者の責任で放獣すると決められているが、放獣は大変なので、実際にはほとんどが殺処分されるか放置されて死に至っている。罰則無し。
兵庫県の場合はクマに関しては放獣されているが、指や足首が欠損したものが一定数見られる。以前、くくり罠は足を失うなど、どの動物にとっても残虐過ぎるので、熊森がくくり罠禁止を強く環境省に要望したことがある。
その時、環境省は、今、くくり罠を禁止することはできないが、罠の直径を12センチ真円に規制するので成獣グマは掛かりにくくなる。これで様子を見てほしいとの回答をされた。しかし、すぐに、長野県から、短径が12センチであれば長径は何センチでもいいとの規制緩和が始まって、多くの県で現在、弁当箱型と言われる規制緩和されたくくり罠が使用されている。その結果、錯誤捕獲されるクマが多数生まれている。国にはこの実態を何度も訴えているが、環境省からの改善策はいまだなし。
第一、奥山は野生動物優先地域であるから、いかなる動物に対しても、罠を掛けるべきではない。どうしてもシカを排除しなければならない場所があるなら、罠ではなく、祖先がしていたように、柵かシシ垣で排除すべきである。
②国は市町村に、樹種転換を指導する必要がある。熊森の強い訴えで、森林環境譲与税を使っての針広混交林化や広葉樹林化は、確かに可能になった。問題は、市町村職員に山のことがわかる者がいなくなり、そのような事業に取り組もうとするところがほとんどないことである。ある市を訪問したらそこの担当職員たちに至っては、子供の時からずっとあったスギ・ヒノキの人工林を、自然の山だと皆勘違いされており、針広混交林化や広葉樹林化に向けての意識が全くなかった。行政は私たちのように長年各地で森再生に携わってきた民間の自然保護団体と協力して、具体的な施策を進めていただければと願う。
その他 冷温帯の下層植生は、シカに食べられると再生できない。奥山にシカを誘導する結果となっている奥山観光道路を閉じるべきである。