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西宮市サル 野生ザル、善意の捕獲作戦がサルを負傷させる結果に 人間はそっと見守るべし

<事の経過>
1月6日昼ごろに、西宮市立体育館武道館の高さ約20メートルの屋根の上に1頭の野生離れザルが孤立しているという目撃情報がツイッターなどを通してまたたくまに拡散。
このサルを保護してやって欲しいと願う善意の市民やマスコミ関係者がどっと現地に集まった。
何とか捕獲して山に返してやろうと警察などが高い屋根の上で捕獲作戦に乗り出したことで、恐怖のあまり驚いて逃げまどったサルが高所から地面のコンクリートの上に直撃落下。足を大きく負傷してしまった。

1月15日現在、このサルは、閑静な住宅地を移動中。西宮市行政としては移動先や健康状態などを連日秘かに把握し続けており、

<保護捕獲→獣医による治療→元気にして市内の山奥に放獣>

をめざしている。

市行政としては、サルが負傷していることもあり、見物者やマスコミに騒がないようそっとしておいてやってほしいと自粛を願っている。

 
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<くまもりから>

現地は熊森本部から車で5分ほどの近く。

①サルが捕獲隊員たちに追われて高所から落下し負傷した映像、

②その後、屋根の上に再び上がりうずくまる負傷ザルの周りに、たくさんのカラスたちが集まっている映像、

これらの衝撃ニュース映像を見て、人間側の野生ザル対応の誤りに大ショック。

今回のサルの負傷は、明らかに人間側の対応ミスによるもので、人間の責任です。

くまもりは西宮市に電話で問い合わせた後、担当部署を訪問し、じっくり懇談しました。

 

(その結果わかったこと)

西宮市の野生動物担当者のみなさんは、町に出てきた野生動物はそっと見守り、山に帰るのを待つという正しい対応をご存じで、これまでもそうしてきたし、今回もそうしようと思われたそうです。

 

ところが、市の担当者が情報を得て現地に駆け付けると、それより先にツイッターなどで知った人々やマスコミがすでにつめかけており、「サルを早く助けてあげて」という善意の声に押された警察の人達が、高い屋根の上で保護捕獲を試みていたようです。

みんなが善意だったのですが、その結果、このサルに大けがを負わせてしまいました。

この負傷事件後から現在に至る西宮市の対応は、市のHPにも掲載されています。

野生動物を思いやる立場にたった誠にまっとうなもので十分納得できるものです。西宮市民としてうれしく思います。

 

また、テレビニュース放映後、何人か数えられないほどの多数の電話が西宮市に殺到したそうです。内容は全て、「サルがかわいそう。何をしている。早く助けてやってくれ」という、おサルを心配するものばかりだったそうです。

 

最近、サルの生息地では、国の指導で、被害防止や管理という名のサルの射殺や捕殺がかなり広く行われており、狂気とも思えるほどに、ますますこの残虐な傾向が強まってきています。(年間2万頭以上のおサルが殺されている)

くまもりは、問題があるなら防除を強化すべきであり、人間とほとんど変わらないサルの殺害には反対です。

 

そんな中、今回の西宮市の離れザルにかかわった人たちや声を上げた人たちが、なんとか助けてやりたいと願うものばかりだったということがわかり、サル負傷という残念なことになったものの、一般市民のやさしさや人間としての正常な感覚に、正直、くまもりはほっとしました。

 

今後、関係者のみなさんにはこのようなことがあった時は、善意であってもすぐ捕獲に動かず、まず市の担当部署の指示を仰いでもらう指示系統を確立して欲しいと思います。(くまもりに連絡してほしかったです)

 

また、野生動物に人が押し寄せると、恐怖のあまり野生動物が興奮して事故につながりますから、善意からであっても今後は人間としてこのようなことは自重したいものです。今回の事で、わたしたち市民は一つ勉強して賢くなりましょう。

 

p.s

 1月18日、このおサルは山の近くで目撃されたのを最後に、消息を絶っています。手を骨折しているもようで、胸が痛い限りですが、何とか生き抜いてほしいです。

 

今回、1頭の哀れなおサルに多くの市民のみなさんが胸を痛めてくださいました。人類が地球上で生き残るために、この感性はとても大切です。

企業勉強会② これからの太陽光発電はシリコン型ではなくチタン型に

企業勉強会に出席して、いろいろと学びがありました。

 

その中でも一番衝撃的だったのは、太陽光発電のことです。

 

福島原発事故後、再生エネルギーへの転換が進み始め、昨年度、九州のある地域のある時期の再生エネルギーが占める割合は、20%を超えたそうです。これはかつて原子力発電がこの地で占めていた割合を上回るのだそうです。

 

それが手放しで喜べることなのかどうかは置いておいて、現在のシリコン型太陽光発電器材を製造するには、環境破壊につながるかなり危険な種々の薬品や大量のエネルギーが必要だそうです。しかし、17年後は劣化して、これらの器材は何にも転用できず、膨大なゴミとなる運命なのだそうです。

 

くまもりは、山の木を伐って太陽光発電のパネルを設置することは、今以上に野生生物の生息地を破壊することになるだけではなく、山崩れの原因となり、家や人命まで失う恐れがあるので、地元の方たちのためにもやめるべきだと考えています。まして、17年後、全てが大量のゴミとなって、谷や海を埋めることになるのかと思うと、恐ろしくなります。

 

ところが、奈良県生駒市にある中小企業の社長さんが、シリコン型ではなくチタン型の太陽光発電を発明されました。チタンを使うと、製造が簡単で、発電量が多く、パネルに斜めにあたる太陽光でも、北欧の白夜のような弱い太陽光でも発電できるそうです。その上、シリコン型と違って半永久的に器材が使えるそうで、大量ゴミにならないそうです。

 

社長さんにその仕組みを説明していただき、日本のものづくりは中小の企業が支えているという話を思い出しました。社長さんの話通りに行くなら、素晴らしい太陽光発電革命だと思いました。

 

くまもりとしては、すぐに大手電機メーカーが飛びついて、チタン型太陽光発電の製造に入ると思ったのですが、大手は動けないのだそうです。なぜなら、シリコン型太陽光発電器材を作るために、既に今、膨大な設備投資をして大工場を建設してしまっており、これを突然やめて新たなインフラ整備を開始するなど無理ということです。

 

大企業ゆえに、小回りが利かないことがわかりました。開発された社長さんは困ってしまって、海外の企業にアタックしようと思われているそうです。

 

くまもりがこのチタン型太陽光発電を試してみたわけではないので、強くは言えませんが、シリコンを使ったp型n型半導体が劣化して大量ゴミになることを思うと、日本国内で、チタン型太陽光発電を試してみて、良い物なら国内でどこかの企業が生産してほしいと思いました。ちなみに、この社長さん、チタン型太陽光発電の特許をとられたそうです。

 

企業勉強会① 経営理念は、「地球への愛」

新年早々、ずっと熊森を応援してくださっている企業の勉強会に出席させていただきました。

この企業の経営理念は、「地球への愛」です。

いくらもうかりそうでも、地球環境を破壊することになる原発製造や武器製造には絶対に手を出さないと決めておられるそうです。

どこまでも<人の道>をかたくなに守って企業経営を行おうとする企業があり、その企業を応援しようと全国各地から人々が集まっておられる。胸が熱くなりました。

くまもりはこのような会社に応援してもらっていることを、誇りに思います。

 

出席者のおひとりが、「外に出ないとチャンスは来ない」と言われていましたが、その通りだと思います。

くまもりを広めるために、みなさん、今年もどんどん外に出て行きましょう。

 

 

 

 

 

新春くまもり街頭キャンペーン

くまもりの活動を一人でも多くの方に知ってもらいたい。

 

若いスタッフたちが、新春早々、神戸市の街頭に立って訴えました。

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野生動物たちと共存しなければ、人間も生き残れない。

 

クマ、サル、シカ、イノシシ問題は、

殺さない解決法にチェンジしよう!

行政は私たちの税金を使って、野生動物を食べるジビエ料理を無理やり国民に普及させようとしていますが、

あんなのエコでも何でもない。

日本を一層ダメにするだけです。

みなさん、のらないでください。

昔の人達がやっていたように、まず、防除柵

次に、野生動物たちの生息地復元・再生!

棲み分け共存の復活!

 

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くまもりは、今年も「生命尊厳社会」の復活をめざして奥山に入り込み、がんばります。

 

みなさん、いっしょに活動しましょう!

年1回だけの活動参加でも、OKです。

あけましておめでとうございます

ドングリが多く落ちている奥山に、くまもりスタッフが自動撮影ビデオを仕掛けました。

まず母熊がやってきて、すぐにカメラに気づき、さわって調べ始めました。

レンズに母熊のドアップ顔が写りました。

危険性がないとわかると、子グマを呼び寄せて、いっしょに落ちた実を食べ始めました。

以前のように、林床に2メートルのササが生えていたら、人間に知られずに暮らせた親子です。

なぜこのクマは殺されねばならないのか 12月24日本部柿もぎ→12月28日クマ捕獲罠撤去確認

わたしたちは、12月22日、兵庫県北部のクマ生息地を巡回中に、クマの捕獲罠を発見した。12月15日に仕掛けられたものだ。黒色の直方体の箱罠だった。クマがかかれば、すぐに射殺される。

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確かにこの柿の木に、今秋、クマは来ていた。しかし、すごく背の高い木で、もう上の方しか実が残っていない。いくらクマでも、あんな上の細い枝まで登ったら、枝が折れて落ちて死ぬだろう。

今後、ここへまたクマが来るのか。もう来ないような気がする。

 

檻の中をのぞいてみた。

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これはだめだ。クマを奥に誘導するように、ハチの巣が点々と奥まで置かれている。柿にはもうクマは来ないかもしれないが、この蜂の巣の匂いにつられて箱罠の中に入るかもしれない。おびきだして殺すとはこのことだ。

 

とりあえず、あたりの柿の木に残っている実を、もげるだけもいでみようと思い、許可をもらいに周りの家を訪ねて回って驚いた。空き家ばかりだ。胸が痛む。

周りの山にはすごく人間の手が入っている。ここまで山を壊されたら、クマは冬籠り前、もうこの柿を食べるしかないのではないか。

誰も取らない柿だから、クマにあげればいいのに、なぜ、行政は罠をかけたんだろう。

 

いろいろ考えながら、集落を回り、人が棲んでおられる家を見つけて、話を聞いてみた。空き家の方たちの連絡先を訪ねたが、知らないと言われる。クマが柿の実を食べるのはいいらしいが、いつも夜遅くに仕事から帰ってこられる方がいて、この近くを通られるということだ。その時、人身事故が起きては困ると言うことで、罠がかけられたようだ。その方が、通られる道に、まぶしいぐらいの明るいLED街灯を付ければどうだろうか。または、この柿の木にやってきたクマが、人が通る道に出て来ないように電気柵を張ればどうか。

 

それにしても、人を恐れて、夜そっと、空き家がならぶ場所の柿の実を食べに来ただけで、死刑判決とは。絶滅危惧種に対する保護策としては、間違っているし、こんなことで殺されるなら、クマの命がいくらあっても足りない。柿の実をもいでしまいたいが、持ち主のわからない柿の実はもいではいけないことになっているので、もげない。どう考えても、この柿の持ち主が、この柿の実を取りにだけ何年振りかで帰ってこられるようには思えない。第一、帰ってこられても、あんな上の柿の実をもぐことは、木を伐らない限り不可能だ。

行政が調べても持ち主のわからない柿の実は、もいでもいいことにしたらどうか。

兵庫県に、そのような条例を作ってもらいたい。それだけでどれほどのクマの命が救えることか。

 

仕方がないので、この檻の周りの柿の木はあきらめて、それより手前の、持ち主に許可を得た柿の実だけをもぐことにした。24日に出かけて、4人で作業した。クリスマスイブの日に、罠にかかって撃ち殺されるクマが出ませんように。もぐのが難しいところは、許可を得て、枝を一部落とした。

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もいだ実は少し前のクマの糞をたどって、山に運んだ。

27日に、また訪れてみた。クマは檻の場所には、あれからもう来ていなかった。

山の中に置いた柿の実の山を見に行った。ここにもクマは来ていなかった。

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空き家の柿に来ていたクマたちが、今頃どこで何をしているのか、さっぱりわからない。

しかし、人間に見つからないように、ひっそりと生きているクマたちを、これ以上追うのはやめる。

28日に、捕獲檻が撤去されたことを確認した。

生息地を回ることによって、クマ捕殺の実態が少しずつ見えてきた。

 

くまもりの<クマ保護活動>と<森再生活動>が全国に広がっていくように、来年もがんばります。会員のみなさん、応援してくださいね。

 

 

 

12月29日 今年度最終「とよ」飼育報告 冬ごもりに入る気配なし

多くのみなさんに応援してもらって、4月9日から高代寺とくまもりで始めた5才の野生グマ「とよ」の保護飼育。

今年、最後のくまもりお世話日となった12月29日の報告です。

 

①獣舎をきれいにお掃除してあげたいと、総勢11名の熊森会員が集まりました。

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獣舎裏で、責任者の諸注意を聞くお世話隊員たち

 

しかし、最近なぜか、「とよ」は、おいしい食べ物でつっても、寝室に入ってくれなくなりました。この日も、とうとう、入ってくれませんでした。

「あーあ。おそうじができないよ」

仕方がないので、獣舎の外からできる範囲でお掃除します。

 

②プールの水の確保問題が解決したと思ったら、次は、排水問題です。

 

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外から、プールの水を替えてやりました。「とよ」は、プールが本当に好きです。この日は、12月というのに、お世話に行っている間に5回もプールに入って体を沈め、お風呂みたいに水に浸ってうれしそうでした。(冷たくないのかな)

そして、突然上がってくるのですが、犬のように、ブルンブルンと体の水切りを一切しないのです。よって、獣舎の地面は、水浸しになります。プールの水は、ごそっと減っていく。(「あーあ」獣舎が、びちゃびちゃや。「とよ」がうれしそうやから、ええけどな)

この獣舎の床のコンクリートには、直径10センチぐらいの穴がいくつかあけられていて、水は、この穴から地面の中にしみ込むように設計されています。しかし、この獣舎の下が、たまたま分厚い粘土層であったため、水が抜けないのです。

 

どうしたら獣舎の水はけを良くできるか、いろいろ考えてはみたのですが、難題です。一応今は、「とよ」の足が濡れないように、木製のすのこやパレットを通り道に敷き詰めてやっていますが、この際、専門家に入っていただこうと思います。来年になりますが、排水に関して専門知識のある会員さんがおられたら、熊森本部にご一報願えませんか。

 

③1本の棒を介して、人間とのふれあいが始まった?

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自分から頭をコツンと棒にあてて、甘えたり楽しんだりしているように見える「とよ」。すぐ横にお世話の人がいる。

 

以前は、人間を怖がって寄せ付けなかった「とよ」ですが、この頃、変化してきました。まず、常同行動のスピードがスローになってきました。

常同行動の道中に、お世話の方が箒の棒を突っ込むと、トコトコと歩いてきてわざとその棒に頭をコツンとぶつけ、向きをくるりと変えて元来た道に戻ります。何度も何度も、まるで楽しんで遊んでいるかのように、この行動を繰り返します。自分のすぐ横に人がいるのに、威嚇もしません。1本の棒を通して、人間とクマが身体をふれ合わせることができるようになってきたのでしょうか。

 

④この日、獣舎に、「とよ」がここに来たいきさつや、クマの生態について書かれたパネルを、取り付けました。

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⑤獣舎にお正月飾り

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「とよ」の食べる量は減りました。糞も1日に5個ぐらいで、多い時の半分以下です。

寝室に厚い板を敷いて、わらをたくさん入れてやり、窓には風よけのシールを張るなどして、いつでも冬ごもりに入れるようにしてやりました。

丸々と太ったことだし、みんなで冬ごもりに入るのを期待しているのですが、この日、そのそぶりもありませんでした。

今年は、観測史上始まって以来の暖冬で、神戸市の12月の平均気温は10.8度でした。当分、冬ごもりは無理かな。

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木製パレットの上をうまく歩く「とよ」

 

「とよ」良いお年を!

 

2015年のブログは、これで最終です。

熊森は、現場に通っていろいろな自然保護活動をしています。

忙しすぎて、なかなかブログにまで手が回りませんでしたが、がんばりました。

1年間読んでくださって、ありがとうございました。

みなさんも、良いお年を!

 

環境省鳥獣保護管理室による報道発表 (平成28年度種々検討会等の傍聴・パブリックコメント)

第8回くまもり東京シンポジウム

さる11月22日、第8回くまもり東京シンポジウムが、お茶の水女子大学で開催され、117名のみなさんがご参加くださいました。良いシンポジウムだったと思います。

 

 

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シンポジウム会場風景

 

まず最初に、くまもり東京都支部川崎支部長が、「環境省は現在、増えすぎているとして、大型野生動物たちを大量捕殺する政策ばかりを進めていますが、問題の原因を作った人間たちについては全く反省がありません。今回のシンポジウムが、このようなことを考えるきっかけになるように願っています」と、あいさつされました。

 

続いて、一般財団法人 日本熊森協会の森山会長が、会の名前になぜ熊という字が入っていなければならないのかを、わかりやすく説明されました。

また、人間は、トラやライオンのような肉食獣とも共存しなければならないことを思うと、ほとんど植物食といっていいような雑食動物である熊とは、祖先もこの国で共存してきたし、これからも共存できると話されました。

ただ、現在、多くの山で、増えたシカによって自然林内の下層植生が消えてしまい、熊がシカによって山で棲めなくなっているという危機的な状況にあることなどを紹介されました。

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環境省資料より

 

続いて、公益財団法人 奥山保全トラストの室谷理事長が、「日本では、土地所有権というのは大変強い権利です」として、ナショナル・トラストという手法が、自然を守る手段として大変有効であるという話をされました。

 

この日のメインは、信州大学山岳科学研究所の高畠千尋さんの講演「クマが人里にやってくる理由」でした。

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データの結果を説明する高畠さん

 

28頭のクマにGPSの首輪を装着したことによって得られたデータが、高畠さんによって次々と発表されました。

これによってわかってきたことの一つとして、人間が住みやすい平地や里山は、クマたちにとっても住みやすい、そして、住みたい場所であるということです。クマが人里に出てくると、現在、大問題にされますが、クマたちは、できる事なら、山岳地帯ではなく平地や里山に住みたいと思っているということでした。

 

下の本(信州大学山岳科学研究所出版)には、高畠さんの研究論文も入っています。今回、東京都支部が高畠さんをお呼びしたいと思うに至った本です。とてもいい本なので、熊森会員のみなさんにも是非読んでいただきたいです。

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今回の講演内容等は、何らかの形で文字にして、会員のみなさんにお伝えしたいと思っています。

この後は、大阪府で誤捕獲されたツキノワグマ「とよ」の救命までの道のりを13分でまとめた動画の上映や、東京都で今年有害捕殺された5頭のクマたちの報告、関東地区の熊森支部の支部長のみなさんによる活動報告などがありました。

 

準備してくださったみなさん、ご参加くださったみなさん、ご苦労様でした。

本末転倒 森林伐採100ヘクタールで太陽光発電計画 京都府南山城村ら

<以下、京都新聞2015年12月23日記事より>

メガソーラー計画 村が将来見据え対応を

京田辺・学研総局 住吉哲志
手前の山がメガソーラー建設予定地の一つ(南山城村北大河原)
手前の山がメガソーラー建設予定地の一つ(南山城村北大河原)

京都府南山城村と三重県伊賀市の一帯で進む大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画は、森林を伐採して合計100ヘクタールの土地を開発する。私有地がほとんどだが、村には住民の生活環境を守るため、将来を見据えた対応が求められる。

メガソーラー計画が財政的に自治体にもたらすメリットは大きい。開発業者の説明資料によると、太陽光パネル設備への課税で固定資産税のうちの償却資産税は年6千万円に上る。

村の2014年度決算では、ダムやゴルフ場などによる村の固定資産税は1億7千万円。村民税は1億2千万円で前年度比8・3%減。人口が2014年に3千人を割り、日本創成会議の「消滅可能性都市」に挙がる村には、魅力的な計画だ。

だが、今回の計画は広大な面積の山を変形させ、樹木を太陽光パネルに置き換えることが盛り込まれており、環境が大きく変わる。ゴルフ場や工場などの跡地を利用したメガソーラーとは異なり、別の問題が起きる懸念がある。

その一つが、山の保水力の低下だ。開発業者は、水路や調整池を設けて流量調整をするとした上で、「現状よりも安心安全になります」と強調する。しかし、村域で54人が犠牲となった1953年の大水害を知る村民は、近年多発する集中豪雨に耐えられるのかを心配している。

生態系をはじめ、周辺のニュータウンや小中学校などへの影響も未知数だ。

太陽光パネルの耐用年数は通常17年。仮に今回の計画が実施されたとしても、パネルに寿命が来た際、事業者がメガソーラーを継続するかはわからない。将来、事業者が村を離れても、敷地は開発前の状態には戻せない。跡地を住宅地やゴルフ場などに変える計画が持ち上がる可能性もある。メガソーラー以後を十分に考えておく必要がある。

「景観が変わる可能性がある。村としてどのような方針をとるのか」。今月10日の定例村議会一般質問で、村議がただした。村が活性化の中核施設に位置付ける「道の駅」(2017年春開業予定)や学校などが予定地周辺に立つことが念頭にあった。

手仲圓容(かずよし)村長は「民間同士の開発計画なので法にのっとり進めてもらう」と答弁し、住民から大きな反対がない限り、静観する姿勢を明らかにした。景観に関しては周囲が樹木で覆われ、ほとんど変わらないと説明した。

森林開発や砂防工事などの許認可権限は府にあり、住民への計画説明は事業者が担っている。村は独自に計画を検証する義務を持たないが、地元自治体として文書で府に意見を述べることができる。府や事業者に任せきりではなく、積極的にメリットやデメリットを村民に示して議論を深め、村として守るべき価値を示す姿勢が求められる。

 

くまもりから

2016年1月16日に、事業者「ファースト・ソーラー・ジャパン・プロジェクト6合同会社」(東京都)が、全住民(京都府南山城村・三重県伊賀市)に説明会を開く予定だそうです。

森林伐採を行って環境に良い太陽光発電パネルを設置する事業は本末転倒であり、国も府も認可すべきではないと、くまもりは思います。

今でも過疎地は空き家だらけです。これからますます人口も減ってきます。太陽光パネルの耐用年数が過ぎる17年後、壊した里山はどうなるのでしょうか。2度と元には戻せません。宅地開発や、ゴルフ場などやってもうまくいかないと思います。村民のみなさんは、たいせつな故郷の自然環境を失わないようにして下さい。

第一、この山林は、イノシシをはじめいろいろな野生生物のすみかです。開発したら、彼らの行き場がなくなってしまいます。必ず人間にも大変なしっぺ返しが来ます。

 

フィード

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