くまもりNews
3月23日 室谷悠子会長が香美市法光院晶一市長と面談 絶滅寸前四国ツキノワグマ生息地復元を!
室谷悠子会長をはじめ熊森本部・愛媛県支部スタッフら5名は、3月23日、高知県香美市役所で法光院(ほうこういん)晶一市長と面談し、森林環境譲与税を活用しながら放置人工林の広葉樹林化を進めてほしいとの要望書を手渡しました。
室谷会長が、法光院市長に要望書を提出
この日、室谷会長は、法光院市長に、徳島県境に接する高知県香美市の四ッ足峠付近にある熊森トラスト地(22ヘクタール)でくまもりが進めている広葉樹林化について、
「今後クマなどの大型野生動物が食料として利用できるような実のなる樹を植栽していきます。森林環境譲与税を活用して、豊かな水源の森を復元し、絶滅危惧種である四国のツキノワグマが今後も生息できる環境を取り戻していきたいです」
と、現場の写真や午前中にスタッフらと現地に登り視察してきた山の様子も交えながら、詳しく説明しました。
トラスト地では、昨年11月に、第一弾として40m四方のくりぬき小面積皆伐を実施しています。
2019.11.21に小面積皆伐した熊森トラスト地のヒノキ人工林 2020.3.23撮影
法光院市長はとても真剣に聞いてくださり、
「山は本来、経済林でもありますが、林業で活用していない山奥に放置されている人工林は自然林に戻すようめざしたいですね。日本熊森協会さんが所有するトラスト地は、自然林に戻すべき場所だと思います」
と、森林環境譲与税を使っての広葉樹林化に前向きの姿勢を示してくださいました。
前向き姿勢の法光院市長
みんなで記念撮影
地元の市長さんが、森林環境譲与税を人工林の広葉樹林化に使うことにご理解があるというのは、とてもありがたいことです。
今後、香美市と熊森がいっそう協力していけると感じました。
熊森の話を一生懸命聞いてくださった法光院市長と、市長と熊森本部をつないでくださった四国熊森会員のみなさんに、熊森本部は心から感謝しています。
第23回くまもり全国大会中止いたします
- 2020-03-25 (水)
- くまもりNEWS
いつもご支援いただきありがとうございます。
新型コロナウィルスが社会に大きな影響を与えており、会員の皆様の中にもお仕事や生活に影響があり大変な思いをされている方がおられることと思います。
心からお見舞い申し上げます。
日本熊森協会でも、とても悩んだのですが、今年5月2日に開催予定だった第23回くまもり全国大会を中止とさせていただくことにしました。
全国大会は、1年の活動の報告や交流のための大切な機会であり、既にたくさんお申し込みもいただいており、中止の決定は断腸の思いではあります。
しかし、全国から公共交通機関も使ってたくさんの会員様にお集まりいただく会ですので大会そのものは言うまでもなく、移動中の感染リスクも高くなりますので、やむを得ないと判断いたしました。どうぞご理解ください。
1年の活動報告は、新型コロナウィルスが収まった頃に、規模は小さくなりますが、活動報告会を企画しています。
来年は、より盛大に全国大会を企画したいと思いますので、ぜひ、ご参加ください。
豊かな森や野生動物の保全も今、取り組まなければならない喫緊の課題ですので、新型コロナウィルスの影響で活動に制約は出ていますが、本部も支部もできることを精力的に進めています。
フェイスブックやブログ等で情報発信を行いますので、ぜひ、応援いただきたいです。
日本熊森協会 会長 室谷 悠子
速報 3月21日 大阪府高代寺で保護飼育中の「とよ」が、冬ごもりから覚める
- 2020-03-24 (火)
- _クマ保全 | くまもりNEWS | 大阪府 | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
3月21日22日、四国のクマたちの餌場づくりに向け、石立山トラスト地までの山道補修(第二弾)
2020年3月21日、22日
本来ならば、この日、絶滅寸前の四国のクマたちの餌場づくりに向けて、石立山の保護林に隣接する熊森トラスト地のヒノキ人工林の群状間伐第2弾を行う予定でした。
すでに、地元から10名ものボランティアさんが名乗りを上げてくださっており、大いに作業がはかどるだろうと期待していたところです。
しかし、新型コロナウイルス感染防止のためもあって、残念ながら計画を延期せざるをえませんでした。
一刻も早くクマたちのえさ場を再生してやりたいと願っていたので、とても残念でした。
仕方なく、熊森本部スタッフ4名と愛媛県支部スタッフ2名、那賀町地域おこし協力隊の方の計7名で、今後作業に参加してくださるボランティアの方々の安全も考えて、徳島県側から熊森トラスト地までの山道の補修を行うことにしました。
山道は、昨年11月にも補修したのですが、再び崩壊していた場所もありました。
今回の山道補修は、人工林皆伐跡地の急斜面です。
倒木や丸太を使って橋をかけました。
大人5人ががりで、6m程の丸太(1本200kg程)を7本~8本運びました。
熊森本部から参加した大学生アルバイト2名も、すごくがんばってくれました。
橋を架けるといっても、足の置き場がない急斜面ですから、大変危険です。皆、必死でした。
大変でしたが、2時間かかって橋を架けることが出来ました。
歩きにくい場所は、クワで道を拡張していきました。
これには、愛媛県支部員2名ががんばってくれました。
新型コロナが落ち着いたら、しっかり行程を組んで、群状皆伐地をどんどん作っていきます。
また、皮むき間伐や実のなる木の植樹も、どんどん進めていきたいです。
<参加スタッフの感想>
スタッフM:拡大造林政策の失敗を垣間見る
山を登るみんなの速さが速いのと、四国の山の傾斜の激しさに驚きました。
やっと辿り着いたトラスト地には、前回の作業で伐倒されたヒノキ材がありました。
良く乾いてすごくいい材になっているように見えました。
こんないい材なのに、山奥過ぎて運び出せないというジレンマ。
こんな標高の高いところにまで人工林を造ってしまった拡大造林の失敗を、垣間見たような気がしました。
運び出せないのであれば、その場で使う。この材で、山仕事に必要な道具を保管する山小屋を作ってみたいなあ…とほのかに考えています。
スタッフF(大学生):四ッ足堂周辺のゴミ回収
昨年11月と合わせて、今回、2度目の参加です。
前回、僕が参加して直した山道は、全く崩れていませんでした。直した甲斐がありました。
道中、ミツマタの群生地があって、黄色い花が満開でした。とてもきれいでした。
今回は道の修繕以外に、四ッ足堂周辺のゴミ回収も行いました。約60年前くらいと思われる古いゴミが多くありました。長い間、四ツ足峠の旧街道が放置されていたことがわかります。
峠道はスギ、ヒノキの針葉樹に囲まれていて暗かったですが、群状皆伐されたトラスト地は地面まで日が当たっていてとても明るかったです。
山を下りてから、地元の熊森会員さんを訪れたりしました。
どれもこれも、貴重な体験でした。
スタッフK(大学生):砂漠のような四国山地
四国は温暖で多雨な気候だと思っていましたが、人工林がいっぱいで、中に入ると、下草がなく礫がゴロゴロしていて、砂漠のような感じがしました。
このままにしていると、どんどん四国の山が崩れていくと感じました。
放置人工林の保水力のなさは一目瞭然です。
今回、道直しをした場所は、60ヘクタールもの広大な人工林を16年前に皆伐した跡地(注:この山は、熊森のトラスト地ではない。山林所有者には林道補修の了解を得ている)です。
生えている植物は、シカの食べないアセビやミツマタぐらいで、植生回復は全く進んでおらず、所々で林道が崩壊していました。
(本部から)今回、人工林の伐倒はできませんでしたが、熊森徳島県支部を作ろうという動きが出てきました。
こんな折なので、徳島県会員が集まったりはできないのですが、どうやって支部を作っていけばいいかなと考えているところです。
3月12日 室谷会長らが兵庫県宍粟市の福元晶三市長と白谷敏明元市長をそれぞれ訪問
赤松正雄顧問(元衆議院議員)のお力添えで、熊森の室谷悠子会長、水見職員、地元の熊森会員計3名は、赤松顧問と共に、宍粟市の福元晶三現市長と白谷 敏明元市長(現:播州山崎花菖蒲園理事長)にお会いすることができました。
宍粟市(しそうし)の森林率は、9割です。
人工林率は73%にも達しており、その9割が放置されているそうです。
市としては、放置人工林対策に市を挙げて取り組もうとしているということでした。
令和元年の森林環境譲与税で、森林所有者の意向調査を行ったそうです。
すでに6割の森林所有者の意向調査を完了したと言われていました。
2017年に宍粟市一宮町で開校した林業大学校の第一期生が今春卒業です。
宍粟市は卒業生を職員に採用するなど、若い力に期待されていました。
宍粟市の紅葉祭りは今年4年目となります。
福元市長は、森林共生モデル都市としての自覚を強く意識されているようでした。
広葉樹林が水源の森づくりに欠かせないことや、広葉樹林を人工林に変えてしまったことで、瀬戸内海の栄養不足が起きていることなど、山に関して熊森と共通する思いが多々ありました。
福元市長や森林担当職員との語らい
福元市長に要望書を提出した室谷熊森会長
白谷元市長は、菖蒲園でのシカ害にとても頭を悩まされていました。
柵を張っても、人が見ていないとすぐにシカが入ってしまうのだそうです。
柵の高さを3mにまで上げると、さすがにシカも入って来ないようになったということでした。
白谷元市長との語らい
奥山生態系保全活動に取り組む熊森は、これまで宍粟市波賀町原地区と15年間にわたり、人工林の広葉樹林化やクマたちのえさ場づくりに取り組んできました。
今後は、宍粟市とも協力して活動を広げていけるのではないかと期待します。
赤松顧問、このような機会を作っていただき、本当にありがとうございました!
3月6日 豊岡市のくまもり植樹地、今年初めての手入れ
今年、初めて、豊岡市の植樹地の手入れに出かけました。
雪が極端に少なかった今年の冬、
苗木がなだれ落ちる雪で倒れることは少なかったのですが、
シカには食われやすくなりました。
一番広い鹿防除柵の入り口の杭が倒れていました。
あーあ、もちろん、シカが侵入していました…。
苗木がシカに食べられてしまった形跡がちらりほらり。
シカが空腹を満たせたのだから、よかったじゃないか。
これが自然なのだと言う声も。
柵が倒れていた
狭い鹿防除柵の中には、意外とシカが入っていませんでした。
クワや桜の大苗は、しっかりと根付いているようでした。
鹿よけ網の張り直し
帰路、道路脇の樹上にクマだなを発見しました!
車を飛び出して確認すると、登るときについた爪痕、降りるときについた爪痕、両方の痕跡がはっきりと残っていました。
枝には、クマが枝を折るときにかんだ歯形がくっきりと残っていました
スタッフが爪痕にあわせて出来るところまで登ってみました。
クマが辿り着いた先の半分にも及びません…
クリの木にできた熊だな
クマをまねて、木に登ろうとしてみたのですが・・・
クマが上るときについた爪痕
クマの身体能力のすごさには驚きます。
去年度、兵庫県は推定生息数830頭のクマに対して、春から611頭のクマ捕殺許可を出し、
2376基ものクマ捕獲罠をかけ、罠にかかったクマ117頭すべてを有害として問答無用で殺処分しました。
ほとんどの行政は、クマ、シカ、、サル、イノシシ等の数を減らすことに躍起です。
野生動物を、害獣としてしか見ていないからだと思います。
数さえ減らせば被害も減るだろうと、安易に考えているのです。
一定数残しておけば共存なのではないと、何回説明しても彼らにはわからないようです。
ある猟師が、2019年の兵庫県クマ大量捕殺で、ほとんど豊岡市でクマを見かけなくなってしまったと言っていました。
このクマだなを作ったクマが、罠にかかることなく無事に生き延びていてくれたらいいのになあと、思わず願ってしまいました。
秋田県庁自然保護課 クマが増えたのではない 算出法が変わっただけ クマ生息推定数4400頭
以下、秋田魁新報2月26日より抜粋
秋田のクマ、最多4400頭「駆除強化」へ苦慮の方針転換
秋田県内にツキノワグマが中間値4400頭(2800~6000頭)生息しているという推定値を県が26日、公表した。3年連続で急増し、1000頭前後で推移していた2016年までに比べると4倍余りという水準だ。
しかし、この間にクマの実際の数が急に増えたというわけではない。どういうことなのか。
県が毎年発表している推定生息数は最近5年、次のように推移した。
2016年 1015頭
2017年 1429頭
2018年 2300頭
2019年 3700頭
2020年 4400頭
2017年以降に生息数急増
2016年までは1000頭前後で推移してきたのに、2017年以降に推定生息数が急増したことになる。
県は毎年、県内での推定生息数を算出しており、ことしの数値は2月26日に秋田県庁で開かれた県環境審議会自然環境部会で報告された。
会議で配布した資料には「本県の推定生息数は、環境省のガイドラインで示されている安定存続個体群の水準を満たしており、また、4400頭は全国的にも高水準にある」「近年、住宅地周辺での人身被害や出没等が急激に増加しており、個体数も増加傾向にある」と記されている。
“半数捕殺”でも出没止まらず
大きな転機が2016年春にあった。県北部の山中でタケノコ採りの男女計4人がクマに襲われて亡くなるという凄惨な事故の続発だ。この年、人里周辺にまで現れるクマが急激に増え、目撃数と有害駆除数はともに過去最多を記録。数字の上では、その時点での推定生息数の半数近くを捕殺したことになった。
だが、それでもクマの出没はやまず、推定生息数が実態と大きくずれているのではないかという見方が広がった。苦慮した県行政は、生息数を算出する方法を大きく変えた。
それ以前の算出法は、猟友会員らが春に山へ入り、実際に目撃したクマの数や足跡やふんなどのデータを集め、それを頼りに推定するというものだった。一方、新たに取り入れた手法は、赤外線センサーつきカメラを山中のあちこちに仕掛けてクマを自動撮影し、得られた映像から胸の三日月模様などを頼りに個体を識別し、統計学的分析を加えてはじき出すというもの。
データが毎年積み上がるにつれ、それを基に算出される数字は急増していった。 動物保護と被害防止のはざまで 26日の会議では、人間の生活環境近くへの出没を繰り返すクマにどう対処するかについての新たな方針も示された。
「毎年、捕獲するクマの上限頭数を設定していたが、毎年の捕獲数は、推定繁殖数を下回っており、結果として個体数の増加に歯止めがかかっていない状況にある。そのため、今後の方針としては人身被害の防止を最優先に、当面の間、個体数が減少に転じるように繁殖数を上回る捕獲数を設定する」(担当者)。
人身被害を防ぐため生息数の減少を目指し、毎年新たに産まれると想定される数よりも多くのクマを駆除していこうというものだ。
野生動物の保護と人身被害の防止。両者のバランスの間をどう取っていくのか、模索が続く。
以下、2月27日朝日新聞から抜粋
秋田県はこれまで、環境省のガイドラインに基づき、生息数の12%(120頭)を捕獲頭数の上限に設定してきた。
一方で県内のクマの推定繁殖数は、毎年23%ずつ生息数が増える計算となっている。このため、ガイドライン通りの従来の捕獲ペースでは「個体数の増加に歯止めがかからない」と判断し、推定繁殖数を上回る捕獲に向けてかじを切る。
熊森から
こんなの本当に大の大人が考えることなのか。真に受けて報道する方も報道する方だ。こんなまやかし、小学生でもわかることだ。熊森としては、頭が変になりそうです。
秋田県はずっと長い間、ツキノワグマの生息推定数が1000頭でした。猟師が山に入ってみて、見かけるクマの数や痕跡に変化はありませんでした。
環境省の指導は、年12%以上は殺すなですから、秋田県としては、120頭以上は殺さないように気を付けていたと思います。
しかし、平成28年に、476頭も殺してしまいました。クマによる死者4名という特別な事件があったものの、行政としては捕殺に歯止めをかけられなかったわけで、批判されるべきだと思います。秋田県のクマは絶滅に向かうのかと思いきや、平成29年にはなんと793頭もまたまた駆除してしまったのです。
秋田県としては、もう環境省に申し開きができない事態です。しかし、この時、どうもおかしいぞ。1000頭以上いたのではないかということになってきたと思います。
そこで、たくさんの自動撮影カメラを山中に設置して、推定数の数え方を変えたのです。秋田県の担当者も、クマが増えたのではなく、数え方が変わっただけといっています。秋田のクマが1000頭でなくてラッキーでした。クマ数はこれまで猟師が数えてずっと増減がなかったのですから、もし今年度の推定数4400頭が正しいのなら、昔から4400頭だったのだと思います。その中で120頭以上殺さないように気を付けてきたら、ずっと安定していたのですから、毎年23%ずつ生息数が増えるなどあり得ないことです。
推定繁殖数を上回る捕獲に向けてかじを切るとはどういうことでしょうか。
4400頭×0.23=1012頭、今後は毎年1012頭ずつ殺していくと言うことなのでしょうか。あまりのばかばかしさに熊森はついていけません。
人身事故はあってはならないことです。クマが山からどんどん出て来るのも困ります。しかし、それとクマ数は関係ありません。環境省が、クマは800頭いたら安定個体群だと言ってるので、秋田はクマ数を800頭にしたらいいと思う人がいたらそれもまちがいです。
生息推定数は神のみが知る数ですが、もし秋田にクマが6000頭いたとしても、豊かな森を造ってくれているのですから、現状維持に務めるべきなのです。人身事故を減らすためには、山から出て来るクマ数が増えないようにしたり、クマとの対応法を啓蒙したりする必要があります。最近、山からクマが出て来るようになったのは、秋田の奥山でクマが棲めなくなるような異変が起きているのかもしれません。
秋田県庁に問い合わせると、秋田の奥山を調査している研究者は、秋田県には一人もいないのだそうです。早急に秋田大学などに依頼して調べてもらうべきだと思います。
最後にもう一度言いたい。生息推定数が4400頭になったことと、クマを大量捕殺していくように舵を切ることは、何の関係もない話です。小学生でもわかることです。4400頭がどこまで真実に近いのかということすら、誰にもわかりません。1000頭ではなかったようだとは、今となっては思いますが。
再度書いておきますが、秋田県庁担当者に電話をすると、クマが増えたのではなく、算出法が変わっただけですという回答でした。それならそれで、マスコミの駆除強化という言葉を訂正指導すべきだし、大量捕殺に走らないようしっかりとブレーキをかけていっていただきたいと思います。熊森は今後も秋田県を注視していきます。(完)
群馬県クマ捕殺数過去最多368頭 上毛新聞に熊森群馬県川嵜支部長のコメントが掲載される
以下、2月23日上毛新聞から抜粋
群馬県内のクマ捕殺数過去最多の368頭 目撃数1000件超
群馬県内で昨年4~12月に市街地に迫るなどして捕殺されたツキノワグマは368頭(速報値)で、年度途中でありながら統計が残る2006年度以降で最多となったことが22日までに、県のまとめで分かった。
群馬県内のクマ捕殺数
餌となる木の実類が凶作で、食料を求めて人里に出没しているためとみられる。県などが耕作地に農作物や果実を残さないよう呼び掛ける一方、環境保護団体は「将来的には森林環境の保全が不可欠」と指摘している。
(中略)
県はクマの被害を減らすため、耕作地に餌となる農作物や果実を残さないよう呼び掛けている。山に入る際は複数人で行動し、鈴やラジオなど音が出るものを携帯するほか、クマに近づかず、刺激しないでほしいとしている。
クマの保護や山林保全に取り組む日本熊森協会県支部の川崎実支部長(80)=高崎市片岡町=は「山に食べ物が不足しており、野生動物が飢餓状態になっている」と説明する。状況を打開しようと同団体は10年ほど前から、ドングリを拾い山林にまいている。
川崎支部長は「やみくもにクマを駆除するのではなく、広葉樹を増やすなど生息域である山林の環境保全にも努めるべきだ」としている。
熊森から
多様な声を拾うことは大切です。川嵜支部長のコメントを掲載してくださった上毛新聞に感謝し、敬意を表します。
近年、これだけ多くのクマが(実は他の動物たちも)山から出て来るようになったのですから、山が動物たちを養えないまでに大劣化してきていることに気付いてほしいです。しかし、日本中どこの行政も、出てきた動物たちを殺すことと、動物たちにえさを与えないようにすることに躍起です。なぜ大元である山の異変に気づかれないのでしょうか。
余りにも人間至上社会に慣れきってしまって、他生物に共感する心を失ってしまっているのでしょうか。
南魚沼親子グマに、手製水飲み用器の寄贈あり
昨年12月9日に新潟県南魚沼市の二日町にある診療所萌気園の縁の下で冬ごもりに入ろうとしていた親子グマが捕獲されて、約3か月になります。現在、親子グマは熊森が提供した、ヒグマ移送用の檻の中に保管されています。3頭とも元気です。
母グマは人を見ると、今もものすごい形相で鉄格子に体当たりして威嚇してきます。せっかく檻に入れておいた水飲み用ステンレスバケツはひっくり返されたままで、使用不可になってしまっています。
移送中の事故を避けるために、この檻には水飲み用器を出し入れする入り口が備わっていません。しかも、鉄格子の間隔は4センチしかなく、これまで、親子グマに水を供給することに苦労してきました。
この度、兵庫県でステンレス製品を作っておられる会社の社長Kさんが、この親子グマのためにステンレス製の水飲み用器を作ってくださり、2月15日に新潟県までご夫妻でご持参くださいました。
今回の水飲み用器は、檻外に設置するものですが、檻中にいるクマたちが、その長い舌でたっぷりと安全に水が飲めるよう工夫されています。
寄贈された水飲み用器
さっそく水飲み用器に水を満タンに入れセット。次の日、見に行かれたら水位が5センチも下がっていたそうです。親子グマは思う存分水を飲んだと思われます。これで、毎日、新鮮な水を与えることができるようになりました。
水飲み用器がセットされた移送用檻 檻の奥に親子グマが見える
(Kさんご夫妻へ)いつもいつも本当にクマたちのためにご尽力いただき、ありがとうございます。心からお礼申し上げます。
今春から日本もネオニコチノイド系農毒の使用規制を始めるのか、熊森が農林水産省に問い合わせ
- 2020-02-28 (金)
- くまもりNEWS
ネオニコチノイド系農毒(農薬は、薬ではなく毒です。発売メーカーにイメージ操作されないように、熊森は正確な言葉で表現します)によって、沈黙の春が現実に起きていることを体験された方の衝撃的な訴えを、前回のブログで取り上げさせていただきました。
早速、何人かの読者から反響メールが届きました。
ありがとうございます。
その中のいくつかに、日本もついに2020年度春から農毒取締法が改正され、ネオニコチノイド系の農毒が規制されるという一見うれしい情報がありました。
情報源は、日経新聞2020年2月19日夕刊 電子版 「農薬規制、日本でも始動 虫や鳥など安全性チェック」のようです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55807280Z10C20A2MM0000/)有料記事なので後半はカットされています。
熊森が農林水産省に確認
熊森本部では、「何事も、確認せよ」と先輩からいつも教えられているため、本部スタッフとしては、農林水産省の農毒対策室に、具体的にどんな動きが今春から出るのか、電話で聞いてみました。
農毒取締法は2018年6月に一部が改正され、2020年4月から全面的に施行されることになっているそうです。
熊森:どのような規制をどうやってかけるのですか?
農林水産省:①登録済み農薬の再評価制度と、②評価内容の拡充が主軸となります。
今まで登録されている全ての農薬について、今年度からデーターをメーカーに出し直してもらいます。それに基づき、2021年から農業資材審議会農薬分科会で専門家の先生たちに審議してもらいます。ミツバチは農業資材(?!)ですからミツバチへの影響は取り上げますが、野生の昆虫については環境省の農薬環境管理室が担当部署です。
欧州やアメリカの評価基準を参考に、日本の状況やその時々の知見に基づいて内容は刷新されます。
例えばネオニコチノイド系農毒であれば、国際的にミツバチへの影響が指摘されていることを踏まえ、日本でもその影響評価を取り入れようとしています。その評価によっては、使用方法の見直しや、登録の見直しとなり、強制力を持ちます。実際に見直しが行われるのが何年後になるかは、今のところわかりません。
・・・とのことで、なんとも悠長なお話でした。
記事では、農毒使用の規制が厳しくなるというポジティブな書かれ方をしていましたが…
日本での規制はこれから検討していくということで、規制が開始されるわけではないようです。
よくわからないのでネットで調べてみると、国会での質問が見つかりました。ものすごい知見の議員がいたものです。
川内議員は質問で、
―農薬の中でもネオニコチノイド系の残留基準は国際水準に比べて緩いものが多いにもかかわらず、その基準を引き上げるつもりはないのか。
―ネオニコチノイド系農毒とミツバチの大量死の因果関係が示されているが政府はどう考えるか。
といった点などについて膨大な質問を投げかけておられます。
しかし、政府の答弁は、
―今ある基準は食品の安全性確保の面から適切だと考えており、現時点では見直しは考えていない。
―日本でも過去に調査を行っているが、ミツバチの大量死とネオニコチノイド系農毒の使用の間に科学的な因果関係を確認するには至っていない。大量死の事例が日本では見られていない。
というものでした。
熊森から
2018年6月に農毒取締法の一部が改正された後の政府答弁がこれですから、日本国には今も危機感がないように感じました。
今ある農毒を見直そう、再登録しようという動きや、その枠組みを作ろうという掛け声はいいと思いますが、一刻も早く本当に規制を実現していただかないと困ります。
経済第一のあまり、様々な面で環境後進国といわれる日本は、農毒規制においても欧米から大きく遅れを取っているようです。
熊森は国を批判する気はありませんが、私たちが声を挙げていかなければなりません。
本当に大切な情報が国民に届いていないこともあって、省庁に電話をして問い合わせたり、国会質疑や答弁に目を通したりしない国民がほとんどだと思います。
自分の健康はもちろん、他生物や次世代に責任を持つためにも、多くの方がネオニコチノイド系農毒問題に関心を持ち、調べ、声を上げていくようにしていかなければならないと思いました。
尚、ありがたいことにこの問題について、声を上げている団体も少しあるようですから、みなさんも調べてみてください。
水源の森から、虫をはじめとする生き物が一気に消え、実りが消えました。原因は、酸性雨?地球温暖化?農毒散布?・・・その結果、生きられなくなった動物たちが山から一斉に出て来るようになると、害獣が増えたとして皆殺しにしている日本。こんなことでいいのでしょうか。今を生きる私たちの責任は本当に大きいと思います。みなさんがんばりましょう。
熊森は、安田さんたちと共に、ネオニコチノイド系農毒の即刻使用禁止を強く訴えていきます。