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今春から日本もネオニコチノイド系農毒の使用規制を始めるのか、熊森が農林水産省に問い合わせ
- 2020-02-28 (金)
- くまもりNEWS
ネオニコチノイド系農毒(農薬は、薬ではなく毒です。発売メーカーにイメージ操作されないように、熊森は正確な言葉で表現します)によって、沈黙の春が現実に起きていることを体験された方の衝撃的な訴えを、前回のブログで取り上げさせていただきました。
早速、何人かの読者から反響メールが届きました。
ありがとうございます。
その中のいくつかに、日本もついに2020年度春から農毒取締法が改正され、ネオニコチノイド系の農毒が規制されるという一見うれしい情報がありました。
情報源は、日経新聞2020年2月19日夕刊 電子版 「農薬規制、日本でも始動 虫や鳥など安全性チェック」のようです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55807280Z10C20A2MM0000/)有料記事なので後半はカットされています。
熊森が農林水産省に確認
熊森本部では、「何事も、確認せよ」と先輩からいつも教えられているため、本部スタッフとしては、農林水産省の農毒対策室に、具体的にどんな動きが今春から出るのか、電話で聞いてみました。
農毒取締法は2018年6月に一部が改正され、2020年4月から全面的に施行されることになっているそうです。
熊森:どのような規制をどうやってかけるのですか?
農林水産省:①登録済み農薬の再評価制度と、②評価内容の拡充が主軸となります。
今まで登録されている全ての農薬について、今年度からデーターをメーカーに出し直してもらいます。それに基づき、2021年から農業資材審議会農薬分科会で専門家の先生たちに審議してもらいます。ミツバチは農業資材(?!)ですからミツバチへの影響は取り上げますが、野生の昆虫については環境省の農薬環境管理室が担当部署です。
欧州やアメリカの評価基準を参考に、日本の状況やその時々の知見に基づいて内容は刷新されます。
例えばネオニコチノイド系農毒であれば、国際的にミツバチへの影響が指摘されていることを踏まえ、日本でもその影響評価を取り入れようとしています。その評価によっては、使用方法の見直しや、登録の見直しとなり、強制力を持ちます。実際に見直しが行われるのが何年後になるかは、今のところわかりません。
・・・とのことで、なんとも悠長なお話でした。
記事では、農毒使用の規制が厳しくなるというポジティブな書かれ方をしていましたが…
日本での規制はこれから検討していくということで、規制が開始されるわけではないようです。
よくわからないのでネットで調べてみると、国会での質問が見つかりました。ものすごい知見の議員がいたものです。
川内議員は質問で、
―農薬の中でもネオニコチノイド系の残留基準は国際水準に比べて緩いものが多いにもかかわらず、その基準を引き上げるつもりはないのか。
―ネオニコチノイド系農毒とミツバチの大量死の因果関係が示されているが政府はどう考えるか。
といった点などについて膨大な質問を投げかけておられます。
しかし、政府の答弁は、
―今ある基準は食品の安全性確保の面から適切だと考えており、現時点では見直しは考えていない。
―日本でも過去に調査を行っているが、ミツバチの大量死とネオニコチノイド系農毒の使用の間に科学的な因果関係を確認するには至っていない。大量死の事例が日本では見られていない。
というものでした。
熊森から
2018年6月に農毒取締法の一部が改正された後の政府答弁がこれですから、日本国には今も危機感がないように感じました。
今ある農毒を見直そう、再登録しようという動きや、その枠組みを作ろうという掛け声はいいと思いますが、一刻も早く本当に規制を実現していただかないと困ります。
経済第一のあまり、様々な面で環境後進国といわれる日本は、農毒規制においても欧米から大きく遅れを取っているようです。
熊森は国を批判する気はありませんが、私たちが声を挙げていかなければなりません。
本当に大切な情報が国民に届いていないこともあって、省庁に電話をして問い合わせたり、国会質疑や答弁に目を通したりしない国民がほとんどだと思います。
自分の健康はもちろん、他生物や次世代に責任を持つためにも、多くの方がネオニコチノイド系農毒問題に関心を持ち、調べ、声を上げていくようにしていかなければならないと思いました。
尚、ありがたいことにこの問題について、声を上げている団体も少しあるようですから、みなさんも調べてみてください。
水源の森から、虫をはじめとする生き物が一気に消え、実りが消えました。原因は、酸性雨?地球温暖化?農毒散布?・・・その結果、生きられなくなった動物たちが山から一斉に出て来るようになると、害獣が増えたとして皆殺しにしている日本。こんなことでいいのでしょうか。今を生きる私たちの責任は本当に大きいと思います。みなさんがんばりましょう。
熊森は、安田さんたちと共に、ネオニコチノイド系農毒の即刻使用禁止を強く訴えていきます。
なぜこんなことに今や日本は野生鳥獣殺害大国
- 2020-02-12 (水)
- くまもりNEWS
近年、我が国では、毎年おびただしい数の野生鳥獣が罠や銃で殺害されています。
以下のデータは再掲ですが、みなさん、どう思われますか?
シカ・イノシシに至っては、毎年生息推定数の半数近くもが、多くは罠にかけられた後、槍で刺され、首を絞められ、高圧電気でショック死させられ、銃で撃ち殺されているのです。
子の悲鳴、母の悲鳴、野生動物たちの断末魔の叫びが聞こえてきそうです。
右後ろ脚がくくり罠にかかってしまったイノシシ(日本の山の中は罠だらけです)
猟師が減っていると言われていますが、わな猟師は増えています。
急増している罠猟師
去年出会った罠猟師は、一人で100個の罠をかけており、駆除費として年間600万円を稼いでいると言っていました。
日本は明治になるまで1200年間、殺生禁止令が出続けていた国です。
狩猟を許されたのは、天皇家、将軍、マタギだけだったようです。
岡島成行著「アメリカの環境保護運動」岩波新書142の3ページには、江戸の終わりにペリーが黒船に乗ってやってきたときの話が書かれています。
黒船の乗組員たちは無数の鳥が人間を恐れることなくマストや甲板にやってくるのに驚いたとあります。これなら簡単だとばかり、乗組員たちが銃で鳥を撃ち殺したところ、日本人は、「なんと野蛮な」とあきれたそうです。結果、開国されたのですが、日米和親条約付則第十条に「(日本では)鳥獣遊猟は禁じられている。アメリカ人もこれに服すべし。」という項目が入れられました。
このように、生き物に畏敬の念を抱き、生き物の命を大切にしてきた日本でした。
なぜ野蛮な野生鳥獣殺害大国になり下がってしまったのでしょうか。
直接的な原因は、1999年の環境庁による「鳥獣保護法改正」です。注:国会では、改悪に「改正」という名が付くことがあります。
この法律で、それまであった、①狩猟、②有害駆除に加えて、③個体数調整という新たな野生鳥獣殺害方法(ワイルドライフ マネジメント)が導入されました。
個体数調整というのは曲者で、毎年、野生鳥獣の生息数を数えて(実際は野生鳥獣の数を数えることは不可能なので、推定計算をする)、人間が考えた適正頭数を超えていると人間が判断したら、生息地に入り込んで何の罪もない野生鳥獣を問答無用で適正数になるまで殺害して良いことにするものです。
当時、熊森をはじめ全国の自然保護団体が初めてひとつになり、人間に倫理観を失わせる残酷な手法である上に、生態系を大混乱に陥れるとして、個体数調整殺害の導入法案に猛反対しました。皆で大運動を展開し、廃案直前まで追い込みました。
しかし、残念ながら、大学の動物学教授たちが、日本では動物学を専攻しても就職先がないため、新しい仕事づくりが必要であり、教え子たちに就職先を作ってやりたいとして、強硬に法案を成立させてしまいました。
ここから日本が狂い始めたのです。
当初、地方自治体の行政担当者たちは、「何頭いるか正確な野生鳥獣の数など絶対にわからない上、何頭が適正数かなど人間にわかるはずがない」と、まともに取り合いませんでした。
しかし、国家権力というのは、有無を言わせません。
そのうち、地方自治体の行政担当者をねじ伏せて、各都道府県に野生鳥獣別に「保護管理計画」を作らせていきます。注:現在はほとんどが「管理計画」という名に変わっています。
表向きは、数が減ったら保護して、数が増えたら管理(殺害を意味する行政言葉)するということでしたが、当時からワイルドライフマネジメントを導入しようとした人たちは、殺害することしか考えていませんでした。
この法律を導入した学者たちの目論見は見事成功して、個体数調整(ワイルドライフ マネジメント)に携わる新産業がこの国に誕生しました。
毎年、野生鳥獣の生息数を推定計算する仕事、
毎年、適正頭数が何頭であるか計算する仕事、
毎年、多すぎる頭数分を殺害する仕事・・・
大量の野生鳥獣を殺害しても、生息環境がある限り、シカ・イノシシなどの野生鳥獣はまたすぐ元の数に戻ってしまいます。
よって、永遠に続く仕事(利権構造)が、出来上がったわけです。
そうこうするうちに、放置された奥山人工林の内部荒廃が進み、表土流出は止まらなくなり、山の保水力は低下。野生動物など棲めないまでに自然環境が劣化していきました。
そのうちさらに、酸性雨や地球温暖化などによって、奥山に残されていた貴重な自然林までもがナラ枯れや昆虫の激減、シカの食害などによって、一気に劣化し始めました。野生動物たちはもう奥山から出るしかありません。
ワイルドライフマネジメントに携わるようになった研究者たちは、生息地の荒廃問題には一切触れず、行政を回っては予算を組んでもらい、ひたすら野生鳥獣関連の数字ばかりを行政に提示し、推定生息数を計算しては増加していると発表し、仕事を得ようとしています。株式会社を作って大儲けする研究者まで出てきました。
熊森は一貫して、ワイルドライフマネジメントに反対してきました。
日本の行政は、環境省も地方自治体も、専門知識のない担当者が3年ごとにころころ変わって野生鳥獣を担当していく仕組みになっています。その結果、今や皆がワイルドライフマネジメントを受け入れるようになってしまいました。
日本の野生鳥獣たちにとっては悲劇です。
山が荒れて野生動物が棲めなくなり、人里に出てきて、中山間地の人たちが悲鳴を上げているのは本当です。
しかし、地元でも、殺さないで解決する方法があるなら、そちらを望む人は多いのです。
熊森は、野生鳥獣問題は野生鳥獣を殺さないで解決すべきだと考えています。
(1)奥山再生
一番にしなければならないのは、荒れた山をもう一度豊かにして、野生鳥獣が山に帰れるようにしてやる根治療法です。そこでの生息数の増減は自然に任せればいいのです。
(2)被害防除
二番目には、21世紀の猪垣となるしっかりとした防除柵を張りめぐらしたり、野生鳥獣の誘因物を除去したりして、被害を防除することです。
野生鳥獣にも社会があります。
毎年半数も殺してしまっていては、新しい個体ばかりになり、若い個体は老齢の個体から人との棲み分けなど生き方を学ぶ機会がなくなってしまいます。人間社会にもマイナスです。
環境省がワイルドライフマネジメントを導入して20年。
我が国は今や、狂気ともいえる野生鳥獣の大量殺害国家になりました。
このような恐ろしい思想は、人間社会をもむしばみます。
国や行政に、現状改革は全く期待できません。
熊森は23年間全くぶれずに声を上げ続けてきました。
●日本国民に今、声を上げる力があるかどうかにかかっています。
(完)
全ての生物に畏敬の念をもつ持続可能な文明へ
- 2020-01-09 (木)
- くまもりNEWS
今年も、全力で頑張ります
2020年、あけましておめでとうございます。
熊森協会は今年、設立24年目に入ります。
この間、ぶれずに大型野生動物と彼らの棲める森を、他生物のために、次世代のために、完全民間で保全・再生し続けてきました。
私たちの活動の多くは、本来、国が取り組むべき課題ですが、日本では、目先のことが中心で、将来のために、今、取り組んでおかなければならない自然や野生動物、環境問題は後回しにされています。そのため、国民として国を支える気持ちで、豊かな森再生に取り組んでいます。
快適な人工空間である都市に暮らしているとほとんど何も感じられないのですが、温暖化、酸性雨(雪)、農薬などの化学物質の氾濫などによって、自然環境は急速に恐ろしいまで劣化の一途をたどっています。
そのことを都市に住む人間にまで伝えてくれるのは、クマをはじめとする野生動物たちです。炭鉱のカナリヤのように危機を伝えてくれているのに、かれらが山から出て来ることの意味が分からず、駆除一辺倒で対応している現状は、愚かであり、道徳性や倫理観にも欠けたものです。
野生動物たちに残虐の限りを尽くしていることを、もっと多くの人が知れば、たくさんの人が共存へ向けて動き出すはずです。人間活動による自然生態系の崩壊が、私たち人間の生存をも危うくしていることを、マスコミのみなさんにももっと伝えていただきたいです。
日本熊森協会、まだまだ小さな会ですが、全生物と自然に畏敬の念を抱く持続可能な文明を取り戻すため、今年もがんばります。
2018年に2代目会長に就任した弁護士の室谷悠子が、会の先頭に立って全国を飛び回っています。
思いのある人がつながって、たくさんの声にならけなければ、国を動かし、世の中を変えていくことはできません。豊かな森を再生したい、野生動物と共存したいと考えている方は、ぜひ、会員となって、私たちの活動を応援ください(年会費1000円から会員になれます)。
追伸
熊森のフェイスブックのフォロワーが3000人を超えました。
今年は、もっと、もっと、たくさんの人に自然保護の最前線を伝えていきたいです。
ツキノワグマ捕殺、過去最多4000頭に迫る!可能な限りそっと見守って事故回避を:熊森緊急要請
- 2019-11-14 (木)
- くまもりNEWS
狩猟中止・捕殺抑制を求め、環境省と22府県へ緊急要請
2019年11月14日、日本熊森協会本部は、環境省及びクマの捕殺が多い府県に対し、今期の狩猟中止と、人身事故の回避と共存のため、冬ごもり(=数か月間飲まず食わず)に向けて現在必死で食い込み中のクマを怖がらせず可能な限り家中からそっと見守るよう、緊急要請文を提出しました。
クマは本来昼行性ですが人間を恐れており、通常、人里周辺では人間活動が見られにくい夕方から夜や早朝にかけてこっそり採食活動をします。
当会の聞き取り調査により10月末現在判明した都府県分だけで、ツキノワグマ3897頭、北海道ではヒグマ453頭が捕殺されていることがわかりました。捕殺は現在も続いています。
クマ大量捕殺の背景には以下のような実態があります。
①近年、クマを銃ではなく、米糠などの強力な誘因物を入れた大量の罠で獲るようになったため、無関係のクマまで誘引され過剰捕獲が生じている。
②シカ・イノシシ罠に錯誤捕獲されたクマを「鳥獣保護管理法」に反して殺処分している府県が増えてきた。
③春の時点で大量の捕殺許可を出し、被害のないクマを有害捕獲の名で次々と箱罠にかけ、殺処分している県がある。
④過激な報道によって、ツキノワグマが危険な動物であるという誤解が広まっている。
⑤自然現象ではなく、奥山人工林化や地球温暖化、ナラ枯れ、シカの食害等による生息地荒廃などにより奥山の食料が激減しており、今秋の山の実り凶作という事実も加わって大量出没が起こっている。(食い込み不足だと冬ごもり中に死亡するため、今もクマは必死で食料を探している)
今年度のクマ大量捕殺は明らかに行き過ぎで、乱獲となっています。種の保全上も、人道的な配慮からも、クマの食い込みを見守りクマが無事冬ごもりに入れるよう、環境省や都道府県がブレーキをかける必要があります。
【要請事項】
1 スポーツやレジャーでのクマ狩猟を、本年度禁止すること 2 クマが出没しただけで駆除しようとするような安易な捕殺を抑制すること 3 豊凶の少ない裏山のドングリや空家に放置された柿の実等を食べに来たクマには近づかず、可能な限り食べ終わるまでそっと見守ること(食べ終われば山に帰ります) ※人がクマを取り囲んだり追いかけたりして騒ぐとクマはパニックを起こし、逃げたい一心から近くの人に駆け寄り前足ではたいて人がひるんだ隙に逃げようとします。人身事故につながり危険ですので、クマが出てきたら人々は屋内に退避するよう地元をご指導ください。 |
環境の悪化により、人里に出て来ざるを得ない野生動物を「凶暴」という誤ったレッテルを貼り、片っ端から捕殺していては、野生動物と人との共存は不可能です。
当会には、連日、「クマが大量に捕殺されるニュースを聞き、胸が痛い。なんとかならないのか」「食べ物を求めて里に出てきているのだから、クマ防除のためにもいだ柿等は山に運んでクマにやるべきだ」という声も全国から届いています
私たち人間も、クマをはじめとする野生動物たちがつくる豊かな森に生かされています。感謝の心を持ち、大凶作で窮地に陥っている野生動物に対し、寛容な姿勢で見守ることができるような社会をつくるため、このような実態をたくさんの方に広めていただきたいです。
各府県への要請文は以下よりご覧いただけます
◆東北地方
◆関東地方
◆中部地方
◆近畿地方
◆中国地方
メディアの皆さまへ
多くの国民は、クマがこんなにも日本で過剰に捕獲されていることやクマが人里に出てくる背景、祖先がしていたようにそっと見守ることで人身事故が回避されることなどを知りません。
ツキノワグマはアジアに広く分布する中型の森林性のクマで、絶滅しやすい動物です。これまですでに広範な地域で絶滅してしまっており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストではさらに個体数がこの30年に30~50%も減ったということで、国際的に「絶滅危惧種」に指定されています。
日本における過剰捕殺の実態を、たくさんの皆様に広めていただくようお願いします。
ツキノワグマによる人身事故125件(死亡1名) 9月末までに3453頭を捕殺 熊森が緊急声明
- 2019-11-10 (日)
- くまもりNEWS
2019年秋 熊森緊急声明
クマは人など襲いません
(マスコミのみなさんは、襲うという間違った表現をやめてください。この誤解によって、殺されなくてもいいクマが大量に殺されているのです。)
人身事故を防ぐためにも、クマに寛容であってください!
生きるのに必死のクマを見守ってやってください
不要な柿や豊作の里のドングリは、場所的に可能ならクマに与えてやってください
11月8日のNHKニュースによると、今年4月以降、全国でツキノワグマによる人身事故は125件です。山の実りゼロというあり得ない異常年だった2010年(147件)に次ぐ多さです。気仙沼市では死亡事故も1件起きました。
都府県別には、新潟が17人と最も多く、次いで岩手が16人、秋田と岐阜が13人、富山が9人、福島が8人、福井と長野が7人となっています。
都府県のうち75%に当たる24の府県が「クマの出没が増えている」と回答、半数を超える17の都府県では「市街地の中心部など、平年なら出没がみられない地区で出没しています。
捕殺されるツキノワグマの数もうなぎ上り。
遅い遅い環境省の速報値ですが、本日やっと9月末までのツキノワグマ全国捕殺数集計が発表されました。
その数何と、3453頭!
もうだめだ
一体、この国は、今年、何頭のツキノワグマを殺すつもりですか。
こんなことでは、共存などできません。
ツキノワグマによる人身事故の多くは、ひっかき傷です。
ツキノワグマは冬籠り中の数か月間、飲まず食わずで過ごします。
冬籠り前に、体の周りに分厚い脂肪層を貯えてから冬籠りに入らないと、冬籠り中に死にます。
そのため、山の実り大凶作年の今年、クマは生きるか死ぬかでもう必死なのです。
このような食糧難の年は出産しても子グマへの授乳など無理です。こういう年は、メスグマの体内の受精卵は子宮に着床することなく終わってしまいます。
(何というすばらしい仕組み!)
後、母グマは、自分や0才子1才子をいかにして生き永らえさせるかで必死です。
テレビニュースでは、クマが放置されたカキの木の実を食べに来たら、まるで駆除するのが当然のような報道ぶりです。
なぜ殺さない対応を報道しないのでしょうか。
私たちはこれまでの23年間に、全国の無数のクマ生息地の人達に会って対話をしてきました。
クマがカキの木に来たら、そっと見守っている集落が全国に結構たくさんありました。
どうしてこういう知恵を持った集落の人達のことを、報道しないのでしょうか。
山のものに実をあげるため、カキの木の上3分の1は実を採らずに残しておく地域もあります。
貧しかった時代の方が、人々は寛容だったのでしょうか。
昔の町民は少々の農作物被害なら、被害被害と騒がずに、これが自然だと気に留めていなかったよと、ある町の町長さん。
また、別の町の町長さんは、子どもや町民に、今年山に餌が全くないから、クマたちは生き残るために必死で来たくない人間のところまで来ているんだよ。そっと見守ってあげるんだよと教えておられます。こういう時こそ、やさしい子供たちを作るチャンスだと言われていました。この様な対応を取れば、人身事故などまず起きません。
クマが人間のところに出て来る目的はただ一つ。
冬籠りを前にして食い込むためです。
人間なんかに興味はありません。
かれらはかわいそうなくらい、人間に遠慮しながら人間が活動しない時間帯に出てきています。
熊森は、これまで、全国で起きた人身事故を各地で調べてきました。
人身事故が起きると、ツキノワグマが100%悪いように報道されますが、人間側がツキノワグマがどういう動物か知って気を付ければ起きなかった事故がほぼ全てです。
ツキノワグマが出てきても、追い掛け回さないでください。
追い掛け回すと、クマはこわくなって必死に逃げようとします。
逃げられない臨界距離12メートル以内に人間が入り込むと、ときには走り寄ってきて前足で人間をはたいて、その隙に逃げようとするクマが出ます。
人間から逃げたい一心でツキノワグマは人身事故を起こしてしまうのです。
だからほとんどのケガは、ひっかき傷で、軽傷です。
ツキノワグマは人間を避けようと努力していますので、クマが出てきている今の時期、早朝や夕方、そっと外に出るのはひかえてください。
必ず、大きな音のするものを持ったり、大声を出したりしてください。クマは人間を襲いたいと思っていませんから、自分から逃げます。
やっと見つけた餌を食べている時は、もう人間など目にも入らないかもしれません。その時は、食べ終わるまで見守ってやってください。
食べ終わったら消えます。
飢えに苦しんだことのある人なら、飢えが動物にとってどんなにつらいものかわかるはずです。
人間を舐めたり人間のものを食べたいと思ったりして出て来たのではありません。
熊森協会が保護飼育している元野生のツキノワグマ「とよ」は、今、朝から晩まで、クヌギやコナラのドングリを食べ続けています。
今、ツキノワグマたちが本当に食べたいのは、ドングリなのです。
しかし、奥山にブナやミズナラのドングリが今年ないから困ってしまって出て来たのです。
里のドングリは豊作です。
食べさせてやって下さい。
山の実りが悪いのは自然現象だから仕方がないと思う人もいるでしょうが、自然現象だけではありません。
人間が開発やスギ・ヒノキの植林を行ったこと、また、人間が現在、地球温暖化を引き起こしていることなど、私たち人間のせいであることも多いのです。
ミネラルいっぱいの水を湧き出して私たちの命を支えてくれている森の形成に、クマ達は大きく貢献しています。
人間も、野生動物たちに感謝の心が必要です。
自分の子がかわいいお母さん、クマのお母さんも、人間と同じように自分の子がかわいいことを思いやってください。
子を連れて出て来たクマを見守ってやってください。
猟師にクマを射殺してもらったあと、「これでほっとした」という近隣住民のコメントを、まるで定型のようにいつもテレビは流します。
そうなんですか?
殺さないで対応する道はたくさんあります。
27年前、クマを守ろうと立ち上がった中学生たちが、「殺さない対応策を考えてこそ大人だ」とよく言っていました。
この国土は人間だけのものではありません。
みんなで共存していかないと、結局人間も生き残れなくなります。
それが自然のしくみです。
どうか、里のドングリや柿やクルミ、米糠など、クマたちが命がけで食べに来ていたら、寛容の心で慈悲の心で、可能なものは与えてやってください。
冬籠り前の食い込みに必死のクマを哀れに思い、もうこれ以上、殺さないでやってほしいのです。
でなければ、クマは絶滅してしまいます。
ツキノワグマはアジアに広く分布する中型の森林性のクマです。
開発に伴う生息環境の悪化と、漢方薬となる胆のうなどを目当てとした密猟によって、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは個体数がこの30年に30~50%も減り「絶滅危惧種」に指定されています。
クマが来ないようにカキの実を収穫してしまうのはいいことですが、人間が食べるのではなく、熊森協会がしているように、山に持って行って、生きられなくなっているクマたちに与えてやって欲しいと思います。
そのような優しさが、人間社会にも必要だと思うのです。
お願いします。
兵庫県に同調か 京都府行政が無害グマを大量殺処分 9月末クマ捕殺数過去最多110頭
3年前から近畿地方では、兵庫県以外に京都府でも、前代未聞、クマを大量に捕殺しています。
そのバックには、調査委託した業者からの、京都府におけるクマの推定生息数が激増しているという報告があります。(熊森はかれらの推定数計算方法に、根本的な疑問を持っています。広域を隠れて動くクマの生息数など、人間にわかるものではありません。しかし、数字化されると科学的だと誤解して信じる人が増えるので困ったものです)
京都府としてはこの報告書を信じ、農作物などに被害を出したクマを捕殺するこれまでの有害捕殺に代わって、平成29年から「被害未然防止捕獲」という名の大量捕殺法を導入しています。
更にクマ数を減らそうと、京都府は絶滅寸前種として平成14年から禁止してきたクマ狩猟を再開する方向にまで進んでいます。
どうして京都府は兵庫県とまるで同じ道を歩んで行くのでしょうか。
先に捕獲強化体制を敷いた兵庫県の影響を受け、同調しているのでしょうか。兵庫県が音頭を取って、京都府、大阪府、鳥取県、岡山県の2府3県で、2018年からツキノワグマについて広域連携をということで、「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会」を立ち上げました(2018年10月30日設立総会、於:兵庫県県民会館亀の間、担当課:兵庫県農政環境部環境創造局鳥獣対策課)。
以下は、日本学術会議のHPに掲載されている兵庫県森林動物研究センターの横山真弓研究員の「兵庫県における野生動物管理の体制」という資料です。「近畿北部・東中国ツキノワグマ広域保護管理協議会による個体群管理への取り組み」が紹介されています。
この図を見ると、横山研究員が、兵庫県の鳥獣対策を周りの府県に広げていこうとしている同調圧力を感じます。
この協議会で広域での個体数推定や被害対策等を定めた「広域保護管理指針」を取りまとめ、平成33年度に各府県が策定する次期ツキノワグマ保護(又は管理)計画に反映させる予定だそうです。
尚、この協議会は、私たちの税金で運営されているにもかかわらず、設立総会も今後の協議会も、マスコミの傍聴は認めるが、日本熊森協会の傍聴は認めないという回答が兵庫県庁担当部署からなされています。27年間クマ問題を研究し、クマとの共存のために実践活動を推進してきた当協会を排除するとは、どういうことでしょうか。
長年にわたるクマ研究団体として、熊森はこの協議会の科学部会委員就任を希望しましたが、兵庫県に拒否されました。野生動物保全に関わる重要な政策決定が密室で行われる形になってしまっているのは大問題です。熊森は学術論文を出していない博士号を持っていない。よって参加できないとこれまで兵庫県に言われてきました。しかし、日本に今もクマが残っているのは、研究者が活躍したからではなく、人々のクマへの共感であり、殺生を避ける文化です。
一方、西中国山地3県の科学部会は、ツキノワグマの本来の生息地は劣化し続けており、目撃数や捕獲数が増えたものの、これはドーナツ化現象であり、ツキノワグマ推定生息数の総数は微減でクマは危機的状況にあると発表しており、熊森協会と見解が一致しています。
真実はひとつのはずですが、府県行政がどの研究者の見解を採用するかによって、クマ対応は正反対となります。
今回の京都府新聞記事「増えるツキノワグマ1400頭」を見ると、京都府は生息数が増加しているという兵庫県森林動物研究センター研究者と同じ結論を採用したことになります。
しかし、京都府の山を長年見てきた熊森協会としては、ミズナラのドングリや昆虫などの重要な食料を失った京都府のツキノワグマが何故激増できるのか、万一激増しているのなら何を食べているのか、全くのミステリーで腑に落ちないことが多々あります。もし、人間が大量に山に放置している有害捕殺後のシカの死肉を食べて増えてるのであれば、責任を問われるのは人間の方です。
10月17日、室谷会長ら熊森本部3名、熊森京都府支部3名、長年熊森を指導してくださって京都府在住の研究者の総勢7名で、担当部署である京都府農村振興課(注:京都府では今年から、クマは農村振興課?!が担当することになった)を訪ねました。ありがたいことに、新聞記者が同席してくださいました。
どこの行政もそうですが、行政担当者はふつう3年ごとに部署が変わるため、「春からこの部署に来ました」などと、新任が担当することが多くあります。自然界のことはわからないことが多すぎるため、3年間の担当期間では行政担当者はとても研究者に物言えるような見識までは持てません。結果、良くわからないので、委託した研究者の結論を信じるしかないというのが、現状のようです。
春の時点で、銃によるクマ捕殺許可証を多発し、罠に誤捕獲されたクマを大量殺処分していた京都府
担当者との話で、以下のような京都府のクマ捕殺体制の問題点が明らかになりました。
1、人間活動により荒廃した奥山生息地が、放置されたままである。スギやヒノキの放置人工林の自然林化に取り組むべきである。(共存に一番大切な生息地保障がなされていない)
2、まだクマが出ていない4月の段階で、すでに捕獲者(猟師)に、銃によるクマ駆除許可を大量に出している。集落や田畑から200m以内に設置された、シカ・イノシシを捕獲するための無数の米糠誘引剤入りの箱罠・くくり罠の常設罠にクマをおびき寄せている。かかったからとして、何の被害も出していない誤捕獲グマをすべて殺処分している。(倫理観の欠如)
3、京都府はクマ保護計画という名の計画を作成している。しかし、中身は保護の観点が抜け落ちた完全な管理計画であり、「被害未然防止捕獲」という名目で、実態としては個体数調整捕殺をどんどん行っている。(中身と実態が真逆の行政言葉はおかしい)
4、これだけ多くのクマを駆除しているにもかかわらず、奥山の本来のクマ生息地で、ナラ枯れをはじめ、シカの食害や地球温暖化による下層植生の衰退が進み、奥山にクマが生息できる環境がもはやないことを把握していない。(業者や猟師に丸投げ対応になっていないか)
5、人間に被害を与えられるはずもない赤ちゃんグマまで、母子ともに殺処分している。(3つグマ獲るなは、猟師でさえ守ってきた掟です)
京都府 2019年9月末までの捕殺グマの体重別頭数(熊森がグラフ化)
(クリックで大きくなります)
特に、1に関しては箱罠だけではなく、無数に設置されたくくり罠に間違ってかかってしまったクマまで、全頭殺処分されており、兵庫県同様の最悪の無差別捕殺といえます。
これらの捕殺実態は、これまた兵庫県同様、京都府民に全く知らされておらず、同席した熊森京都府支部会員たちも、大きなショックを受けていました。
このような人としての倫理観が欠如した残虐極まりない乱獲をやめさせるためには、多くの人達がこの事実を知り、声を挙げるしかありません。
京都府 生息地を失ったクマが1400頭に激増のミステリー
以下、2019年9月30日京都新聞記事
「府内、16年前の4倍以上に 増えるツキノワグマ1400頭 」より
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京都府の森林面積は3426㎢で、98%が民有林です。
京都府には標高が1000メートルを超えるような高い山はありません。一番高い山は滋賀県境に位置する皆子山971mです。
人工林率は約38%で多くが放置されており、人工林の中に野生動物たちの食料はありません。
こんな京都府にも、ブナ・ミズナラの冷温帯気候に属する豊かな森が一部、残されていました。そこが、京都府のツキノワグマの生息地でした。
過去形にしたのは、21世紀になって、冷温帯の森が、ナラ枯れや地球温暖化、シカの食害によって一気に劣化してしまったからです。
数年もしないうちに、全く別の山に来たのかと思われるほど、林相が変化しました。
ミズナラの巨木が枯れてあちこちで倒れ、下層植生が消えて公園のようになり、昆虫が消滅していきました。
別の山かと思うほど一気に変貌した京都府芦生原生林2012、11、7撮影
枯れて倒れているのは、冬ごもり前のクマたちの食い込み用ドングリのミズナラ
臆病者のクマたちはもはや身を隠すところもなく、春の山菜、夏の昆虫、秋の木の実・・・食料は激減です。
生物の自然増加現象等を説明する際によく引き合いにだされるロジスティック曲線というのがあります。
横軸に経過時間、縦軸に個体数をとると、環境収容力にほど遠い段階では個体数は加速度的に増加しますが、飽和状態に近づくと増加率が減少し、ついに増えられなくなるというものです。
ロジスティック曲線
京都府の場合、環境収容力である生息地がどんどんと劣化して縮小していっているのですから、本来、クマは増えられないはずです。
16年間に4倍に増えたというのは京都府が、WMO(㈱野生動物保護管理事務所)に生息数推定計算を委託した結果の報告に基づくものだそうです。
京都府のツキノワグマはこれまで絶滅寸前種に指定され、狩猟も禁止されてきましたが、今回のWMOの報告を受け、絶滅寸前種の指定を外したり、環境省ガイドラインの800頭を越えたからとしてクマ狩猟を再開したりすることも考え始めるそうです。
この流れは、どこかとまったく同じです。そうです、隣接する兵庫県と、全く同じ流れです。兵庫県が京都府に伝えたのでしょうか。
ちなみに、兵庫県のクマが爆発増加していると言い出したのは、2011 年春、兵庫県森林動物研究センターの研究員で兵庫県立大学の助教授でもあった坂田宏志氏です。彼は、現在、公務員をやめて、㈱野生鳥獣対策連携センターの社長になって、環境省や地方自治体から請け負った仕事をしたり、WMOの下請けもしています。
クマは動物ですから、食べ物がないと生きていけません。餌場がどんどん狭められ失われていく中、生息数がどんどん増えていくなどあり得るのでしょうか。もし、そうなら、何を食べて増え出したのでしょうか。その辺のことが報告書に記述されていなければなりません。もしかして、行政がハンターや捕殺会社に依頼して大量に有害駆除し、谷底に投げ捨てられたままになっているシカの遺体?
もしそうなら、生態系の大攪乱を起こしている張本人は人間です。
熊森は、WMOの報告書を読んでみることにしました。(続く)
大型台風19号により東日本の21河川24か所が決壊し多くの住宅が水没 地球温暖化対策を問う
台風19号に思う
大型で非常に強い台風19号は、2019年10月12日午後7時前に静岡県の伊豆半島に上陸し、東海、関東、東北と進み、強風と大雨による大きな被害をもたらしました。被害にあわれたみなさんに、お見舞い申し上げます。
東京都心では瞬間的に40メートルを超える暴風を15年ぶりに観測しています。
神奈川の箱根では12日に降った雨の量が900ミリを超えて全国の観測史上1位を記録しました。
その結果、10月13日のニュースによると、21河川で24か所の堤防が決壊し、決壊まで行かなくても多くの場所で越水が見られたもようです。
水没した住宅地が次々とテレビニュースに映し出され、居住者はご無事だっただろうか、犬や猫たちは逃げおおせたのだろうかと、胸が痛みました。
いずれ水は引くでしょうが、その後の泥まみれの家の片づけを思うと気が遠くなりそうです。
テレビニュースのインタビューを見ていると、戸建て住宅の皆さんは高齢者が多く、とてもこの人たちの力だけでは片づけられないのではないかと思いました。国や地方自治体による大きな支援が必要です。
徳島新聞号外より
長野市在住の宮澤正義くまもり顧問のおうちは大丈夫でした。
地下鉄やリニア
このような洪水が、地下鉄や大深度地下を走るリニア中央新幹線に流れ込めば、一体どうなることか。復旧はもう不可能でしょう。
熊森は改めて、リニア中央新幹線の建設をやめるべきだと訴えたいです。こんなに災害の多い日本でリニア中央新幹線の建設推進をそそのかした黒幕は、日本経済の衰退を願う外国勢力ではないかと疑ってしまいます。(国民のみなさん、祖先から受け継いだすばらしい国土の横っ腹に、地下水脈を次々とぶちきって長い長い深穴をあけることに反対の声を挙げませんか)
ダムの緊急放流
それにしても、関東甲信越地方の河川上流にあるダムでは12日夜から13日未明にかけて大雨の真っ最中に次々と緊急放流を実施したということで、西日本豪雨の時のダムの緊急放流問題が生かされていないなあと思いました。緊急放流はダムが洪水調節機能を喪失する事態で、そんなことをすれば下流域で水位が急上昇するのは当然です。台風19号は来る前から、記録的な豪雨をもたらすと予測されていたのですから、ダムは空にして備えていたらよかったのにと思いますが、実際ダム放流の責任者になってみれば、その決断にはなかなか難しいものがあったのだろうと察します。
地球温暖化
こんな大型台風が、これから何度も日本列島を襲うようになるのでしょうか。たまりません。マスコミは、現象ばかりを報道しますが、近年、大型台風が頻発するようになった原因があるのなら、それも合わせて報道すべきです。今回の19号台風がかくも大型台風に成長したのは、日本近海27度という海水面の温度(台風発生場所は30度)
の高さも原因の一つだと言われています。地球温暖化を止めないとますます台風がエスカレートしていくのでしょうか。
CO2よりシベリア東部のメタンガス噴出による温暖化
地球温暖化に詳しい人に聞くと、今や地球温暖化の脅威はCO2ではなく、解け出した永久凍土から出てくるようになったメタンガスだそうです。メタンガスの温室効果はCO2の100倍と言われています。シベリア東部の海岸線ではメタンハイグレードが不安定化しメタンガスが噴出しているそうです。さらにエアコンなどに広く使われている代替フロンの温室効果はCO2の数百~数万倍と言われています。
マスコミのみなさんへ
日本のマスコミのみなさんには、野生動物大量捕殺問題を初め、全ての問題に対して、現象だけを国民に伝えるのではなく、原因と対策まで伝えていただきたいです。
もう一つ、もういい加減に人間至上主義から脱してほしいです。こういう災害時に、他の生き物たちがどうなったのかの報道が全くありません。人間のことばかり見てきたから、人間は地球環境を破壊できたのです。人間至上主義は人間を滅ぼす。
便利さよりも地球環境保全
今の暮らしは、以前と比べて格段に楽で便利になりましたが、その暮らしが、近い将来、地球の気温50度、海水温40度、植物は光合成が出来ず、食物連鎖は断ち切られ、海の中に住む生物もほぼ全てが消え生物の95%が死に絶えたという2億5000万年前の地球環境の再来をもたらすという説もあります。地球環境保全はプラスチックが海や海の生物を広域に汚染してしまっていることなども入れて、もう手遅れと個人的には感じています。しかし、マスコミが本当のことを伝えるようになれば、戦争中、「欲しがりません、勝つまでは」をやり抜いた我ら日本人は、経済はほどほどにして地球環境を子や孫に残そうと、欲望を押さえ始めると思います。地球人の良きお手本になれると思います。
新潟県クマ生息地調査でわかったこと
6月20日(木)、自然保護団体として久し振りに新潟県庁を訪れました。
もちろん、「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」を熟読した上でのことです。
事前に、県民生活環境部・環境企画課・鳥獣保護係に電話を入れておきました。
できれば、森林環境税のこともあるので、林政課の担当者ともお会いしたいなと思いました。
兵庫県西宮市にある熊森本部から飛行機で新潟空港へ、新潟駅からはバスに乗って県庁前で降りました。
えらく立派な県庁ですが、外にも内にも人影がほとんどありません。
新潟県庁
新潟県の人口は約222万人。人口が少ないからなのでしょうか。
知る人ぞ知るですが、明治初期、新潟県の人口は東京都よりも多くて全国一位でした。(第一次産業全盛時代の明治21年、新潟県人口166万人全国一位)
鳥獣保護係の方には会えましたが、クマの担当者は不在でした。
新潟県のツキノワグマの推定生息数は1574頭(平成28年計算)です。
どうやってこの生息推定数を算出したのか訊ねたら、「新潟大学に頼んで出してもらった。どうやって計算したのか、県としては知らない」ということでした。
新潟県のクマは、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除の3種によって、命を奪われます。
「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」の内容は、なかなかすばらしいものです。
(1)生息環境整備 (2)被害防除対策 (3)個体群管理の順に、論じられています。
一番に生息環境整備が位置付けられているのはその通りで、他県でも見習ってほしいです。野生動物は生息環境さえあれば、人間などに何もしてもらわなくとも生き抜いていけるのです。
有害捕獲された個体でも、場合によっては、県と市町村が連携して学習放獣を試行的に実施することになっています。
今回の訪問で聞きたかったことの一つに、いつからどうやって学習放獣を開始したのか、効果はどれくらいあるのかがあります。
たずねてみたところ、県は学習放獣に関しても何も把握しておらず、文面はすばらしいが、実際には実施しているところがないように感じました。
鳥獣のことで環境省に電話すると、鳥獣関係の許認可は都道府県に全て降ろしたので関知しませんという反応が返ってきます。
一方、都道府県にたずねると、県は把握していないので出先機関や市町村に聞いてくださいと言われるところも多く、都道府県がどこまで日本の鳥獣保護に責任を持っているのかというと、はなはだ不安になります。
人権の方は、戦後、虐げられてきた人たちが声を挙げだしたのでずいぶんと進歩したと思います。しかし、物言えぬ野生動物の生存権に関しては、声を挙げる人間がこの国にはまずいないので、生息地は破壊され、何の罪もない動物が無駄に大量捕殺されており、無責任極まりないことになっているような気がします。
鳥獣保護係の担当者には、ていねいに対応していただきました。ありがとうございました。林政課の担当者は不在でした。ちゃんとアポを取っておくべきだったと反省しました。新潟のナラ枯れは終息したようでした。
翌6月21日、新潟県のクマ生息地を研究者と調査しました。
阿賀野川の豊かな水
米どころだけあって、道中は広大な田んぼ風景が続く
今回の新潟県の山の調査には、熊森協会の第一顧問である宮澤正義先生の娘さん(新潟県在住)も同行してくださいました。
山に入る前に、ぜひ見ていただきたいと言われたのが、娘さん推薦の阿賀野町の人工湿原「たきがしら湿原」です。
生物の多様性が保たれた100点満点のたきがしら湿原
湿原には様々な花が咲き誇っていました。昆虫の種類も豊かで、研究者によると、生物相も自然湿原そのもののすばらしさだということでした。湿原の奥には当然ですが、クマもいるようです。人工湿原というものの、ここは山から湧き出た滋養豊かな湧き水を湿原に導入していますから、自然湿原のようなものではないかと思いました。木道や東屋、トイレなども良く整備されており、地元の人たちによる訪問者へのおもてなしの心が随所に見られました。観光地としては最高だと思いました。
お昼に、熊森新潟県支部の結成を考えてくださっている新潟県の大企業の社長さんと会食しました。
お蕎麦が本当においしかった
この後、いよいよ、みんなで新潟県のクマ生息地の調査です。
奥山調査後、室谷悠子会長を中心に記念撮影
会津に通じる山塊には、崖が点在していました。ここの地質は、火成岩の上に硬度の低い砂岩が堆積したもので、急斜面には植生を欠いた崖が多くみられます。植物相は、もちろん豪雪地帯のものです。ここは標高帯としては日本海側のブナが出現する場所ですが、なぜかブナが見当たりません。伐採された過去があるのだろうと思われます。
林分は、自然スギやアカマツの他に、亜高木層のオニグルミ、ケンポナシ、アズキナシ、ミズキ、カエデ、シデなどで構成されていました。ミズナラ、コナラが稀なのは、ナラ枯れで枯れてしまった跡なのかもしれません。スギの人工林は生育が悪く、放置されており、もはや林業的価値のないものでした。
立派な林道が造られていましたが、通る車もほとんどなく、ここでは、クマたちの生息が保たれているように感じました。
林内に入ると、谷川が流れていて、カジカガエルのオタマジャクシがたくさんいました。
きれいな谷川を見る室谷会長と宮澤先生の娘さん
豪雪と狩猟でシカが姿を消してしまった新潟県ではありましたが、最近は、シカの生息が各地で確認され始めてきました。しかし、爆発増加しているような状況ではありません。新潟県内の山林の下層植生はまだ豊かで、昔よりは減っている可能性がありますが、野生動物たちの食料もそれなりにあるようでした。
まだ赤い段階のヤマグワの実(黒くなるとおいしい)
熊森から
行きの飛行機からではわかりにくかったのですが、帰りは新幹線だったので、新潟県の山をまじまじと車窓から見続けることができました。
新潟県の人工林率は23%と低く、しかもスギを植えた場所は奥山ではなく里山がほとんどです。市街地のすぐ後ろが、もうクマの棲む豊かな森です。
兵庫県で見られるような山間部の高速道路開発や長距離トンネル工事など、生息環境が人為的開発によって大きく損なわれるような場所は、ほとんど見当たりませんでした。同行してくださった研究者によると、新潟県には、月山や糸魚川流域、妙高山、奥只見方面に、今も良好な森が数多く残されているということです。自然保護団体としては、是非そのような場所の森を数100ヘクタール規模でトラストして、永久保全しておきたいです。売ってくださる山主さんがおられたら、当協会にお声かけください。
西日本と違って、当分、新潟県のクマの生息に危機的な状況は起きないように感じましたが、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除はもちろん、地球温暖化や酸性雪による森林劣化などに、今後も、注目していきたいです。
クマなどの野生動物や森に親しむ新潟県民が増えてほしいので、熊森新潟県支部が結成できる日を願っています。
石川県内 春夏のクマ目撃多発 元猟師とくまもり室谷会長が、若グマの餌場不足を指摘 中日新聞
以下、中日新聞石川版の後半部分
県内餌場減 山戻らず越冬
半世紀余りクマ猟にかかわってきた石川県白山市白峰の元猟師加藤隆夫さん(78)は、人里に下りてくるクマに若い個体が多いことに注目する。「木の実などの餌場が少なくなり、餌の奪い合いになっている。確保しにくい子グマが押し出されている可能性がある」
親子グマ 石川県白山にて 日本熊森協会石川県支部撮影 2018.9.2
餌場はなぜ少なくなっているのか。天然林の再生活動に20年余り取り組む「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は「スギやヒノキを植林する造林政策が大きな原因の一つ」と指摘する。
人工林の木材は近年、価格の安い外材に押されて伐採や間伐が進まず、多くの森林が放置されたまま。日光が差さず下草が消え、雨で表土が流出して保水力が低下し、クマの餌になる木の実も育たなくなっているという。人工林が多く、手入れが行き届かなくなっている金沢、小松市の山で目撃情報が多く、木の実がなる天然林が残る白山麓では少なくなっている。
日本熊森協会は、2019年度から新設された森林環境譲与税による国の交付金を利用し、天然林を増やし整備するよう石川県内の自治体にも働き掛けている。室谷悠子会長は「クマは本来、山奥にすむ臆病な動物。人間とクマはこれまでうまくすみ分けてきたし、今後も共生できるはず」と訴える。
以上。
熊森から
中日新聞前半記事によると、人工林率40%の石川県で、クマの目撃が相次いでおり、金沢市の4月から7月21日までの目撃数は85件、この時期の目撃数としては過去16年間で最多。住宅地でも目撃されているということです。山から出てくるのは、ほとんどが3歳以下の立場の弱い若グマだそうです。
石川県は、7月初めに、今年の秋の木の実の結実状況を調査した結果、ブナが凶作、ミズナラが豊作、コナラが並作になる見通しで、今秋のツキノワグマが平野部に出没する可能性は低いとの予測を発表しています。
では、なぜ、春や夏に、山から出て来るのでしょうか。
環境省系の研究者たちの予測は、以下の通りです。
1、クマが生息数を増やした。
2、クマが放置された里山へ生息域を拡大した。
3、クマが人間の食べ物のおいしさを知った。(味しめ説)
4、クマが人間を恐れなくなった(人なめ説。新世代グマの誕生)。
原因は、全て、クマにあります。
対策は、個体数低減のための捕殺と緩衝帯としてのやぶ刈りです。
神のみぞ知るの世界なので、全面否定はできませんが、余りにも短絡的です。
熊森は、この時期、クマが出て来るのは、まず、山の中に夏の餌(オオヤマザクラ、ニワトコ、ヤマグワなどの夏の木の実、アリやハチなどの昆虫、サワガニなど)の量が不足しているのが原因だと思います。
みなさんはどう思われますか。
いろんな原因が考えられるでしょうが、熊森は若グマたちが空腹による苦しさの余り、餌を求めて出てきているという事実を押さえることから考え始めるべきだと思うのです。
熊森は、原因をすべて物言えぬ弱者に押し付けるのではなく、拡大造林政策、奥山観光開発、酸性雪、地球温暖化、大規模林道建設など、人間がしでかしたことで、山中のクマたちの夏の餌量不足をまねいていないか、検証していくべきだと考えます。
中日新聞さん、元猟師や熊森の室谷悠子会長のコメントを載せてくださってありがとうございました。
行政や肩書のある研究者のコメントしか載せない他紙と比べて、多様な意見を掲載しようとされる貴紙に、心から敬意を表します。
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