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国有林管理経営法改正、参院農林水産委で可決
㊗ 付帯決議に「広葉樹林化」の言葉が入る
上記法案は、5月22日から週2日ペースで5日間、計約13時間30分にわたるに参議院での審議を終え、本日2019年6月4日に農林水産委員会で採択されました。明日本会議でも採択の予定。
日本熊森協会は、国有林でこそ、天然林化を率先して進めてほしいと訴えていました。
参議院農林水産委員かでの採決の際、附帯決議で、
「木材の安定供給・造林・保育・間伐等の施業の効率化、森林の有する多面的機能を持続的に発揮していくために必要不可欠な路網整備、鳥獣被害対策、立地条件等に応じた広葉樹林化及び針広混交林化等の多様な森林づくりを推進するとともに、所要の予算を確保すること」(第10項)
という条項がつき、衆議院の附帯決議では入っておらず、私たちが求めていた「広葉樹林化」という文言が入りました!
みなさん本当にありがとうございました。
その他にも、附帯決議の前文で「昨今、頻発している自然災害への対応や、地球温暖化防止に対する国民の強い関心等も踏まえ、国有林野の有する公益的機能は、より一層十全に発揮されることが求められている」と指摘し、「生物多様性の保全や災害防止等の森林の公益的機能を重視した管理経営を一層推進していくこと」(第1項)、企業に長期に亘る大面積の伐採権を与える「樹木採取権」の指定にあたっては、国有林の「公益的機能の維持増進に悪影響を及ぼさないよう、森林の特性に応じたゾーニングを踏まえ、樹木採取区の指定を行うこと」(第4項)といった、災害防止、水源保全、野生動物たちの生息地としての国有林の役割を重視し、大規模な伐採が、こういった機能を阻害しないように求める条項が入りました。
この間、インターネットで審議の様子を見続けているうちに、吉川農林水産大臣や牧元林野庁長官をはじめ、質問に立ってくださった国会議員の方々、表には出ないけれど、裏で一生懸命質疑応答を支えられたみなさんに、すっかり親近感を抱くようになりました。心からご苦労様でしたと、今は労をねぎらって差し上げたい気持ちでいっぱいです。
国会審議を見ていて、国会議員は大変だなあとつくづく思いました。これだけ専門性の高い議論を人前できちんとした言葉で短い時間内に語ろうと思ったら、特別高い知性と猛勉強が必要です。改めて、なんだか、国会議員のみなさんが、すごく偉く思えてきました。
どの意見もそれなりに一理あります。議員のみなさんが自由に発言されているのを見ていると、日本はやはりいい国だなあと思わざるを得ません。政治はここまで進歩したのですね。
本当は、5月中に採決してしまう予定だったようですが、日本熊森協会、自伐型林業推進協会、東京パルシステムなどが、この法案に対して声を挙げたためか、理事のみなさん(堂故委員長、上月議員、田名部議員、紙議員)の叡智で審議日程が1日加算されたようです。超多忙な国会なのに、国民としては感謝です。うれしいです。
団体の要望
●日本熊森協会
国有林内の人工林は232万ヘクタール。一方、戦後の拡大造林政策によって皆伐された奥山原生林の面積は628万ヘクタール。自然保護団体である日本熊森協会としては、豊かな森を造るクマなどの大型野生動物が棲める水源の森を取り戻したいので、国がこの度、民間企業に頼んで国有林内の人工林を皆伐するのであれば、伐採跡地にはまたスギやヒノキを植えるのではなく、原則として、植えない森造りで全てを天然林に戻してもらいたいと願っています。
広葉樹林化及び針広混交林化等の多様な森林づくりを推進するという言葉が付帯決議に入ったことは、室谷悠子会長らによるロビー活動の成果だと思います。
●自伐型林業推進協会
皆伐と再造林のサイクルでは一時的な収益確保にしかならず、不足している林業人材の育成は極めて困難である。大規模山林分散型の多間伐林業を推進すべきである。(熊森も全く同感です)
四国クマ生息地ツアー参加者唖然 徳島県の奥山にクマの生息環境なし 天然林までもが大崩壊
2019年5月26日、日本熊森協会は、人工林率63%の徳島県のクマ生息地を見に行くツアーを組みました。
午前9時、徳島県那賀町の四季美谷温泉(標高400m)に集合。
うれしいことに、徳島新聞のツアーお知らせ記事を読んで7名の方が、外部から参加してくださいました。
熊森協会からは、会長、名誉会長、本部職員2名以外に、赤松正雄顧問、元徳島県木頭村村長の藤田恵顧問をはじめ、徳島県・高知県・愛媛県の熊森会員が参加、その他那賀町の知人たちも参加してくださり、総勢35名のツアーとなりました。
一車線の剣山スーパー林道を車で走り、四国第二峰の剣山(1955m徳島県)をめざします。
剣山スーパー林道は9割が舗装されており、地道の1割も平らに整備されていました。
徳島県は、こんな山奥にまでと、信じられないぐらい人工林が多い県です。
崩れている人工林もありました。
上の人工林が崩れている
標高1200mまで来たところで、剣山が見えてきました。
待望の針広混交林が現れました。広葉樹はブナやミズナラなど、針葉樹はシコクシラベ(シラビソの変種)やモミなどです。
標高1500mの奥槍戸山の家に到着。車はここまでです。
藤田顧問が怒りを込めて語られました。
石の上に立って語る藤田顧問
「ここは、クマが高密度に住んでいた地域で、かつて直径1メートルを超すブナやミズナラの巨木の原生林だったんです。50年ほど前に、戦後の拡大造林政策で、ここから見える全ての山々の木が、尾根まで二束三文のパルプのために皆伐されました。伐採後、スギを植えたけれど、山が崩れたりして根付きませんでした。山の保水力が失われ、川の水量も川魚の種類や数も激減してしまいました。とんでもないことになってしまったのです。放置していたら、そのうち今のように一見、針広混交林に一部は戻りました。しかし、全て2次林であり、原生林ではありません。細い木ばかりです。内部には下層植生がありません。とうとう森に戻らなかったところもあります。奥山は急斜面な上、土壌も脆弱で、気候条件も悪い。何千年何万年と気が遠くなるような長い年月をかけて形成されてきた原生林をいったん伐ってしまうと、もう元の森には戻らない。全て元凶は拡大造林政策です。」
昼食後、徳島の方が、かつての天然林がわずかに残っており、クマの冬眠穴もあったと言われる山に、みんなで入って行きました。山の中に入ってびっくりしました。シカのお口が届くところまで、緑が全くありません。ブナ、ダケカンバ、ツツジ、ヒメシャラ等の木はところどころに残っているのですが、下層植生がほとんど何もないのです。15年前までは、2mを越えるスズタケで一面が覆われていて、やぶ漕ぎをしないと進めなかったそうです。何という変わりようでしょうか。スズタケは完全に消えており、背の低いミヤコザサにとってかわられていました。山全体が乾燥してカサカサです。あちこちで木が枯れています。
ディアラインがくっきりと出ている山の中
1時間ほど山を登り続けましたが、歩けども歩けども、クマが生息できそうな森もクマの痕跡も皆無です。この山は大崩壊しつつあると感じました。四国の山に詳しい方に聞くと、ここだけではなく、四国では一見、針広混交林のいい森に見える山の中も、今や全てこうなってしまっているということでした。四国の山は元々海底で形成された岩石の山です。雨が降るたびに表土が流れ落ちているようで、岩盤がむき出しになってきていました。たとえ植林しても、もう元の森に戻すことは無理なのではないかと感じました。
次郎笈(1930m)の森林限界となっている頂上が見渡せる標高1700mまで登りましたが、かつての原生林は、完全に消えていました。こんな隠れ場所のない山に、怖がりのクマがいるわけありません。今回は、クマの痕跡や巣穴を見ることができると地元の方から聞いて、ツアーを組みましたが、結局、ご参加いただいた皆様にお見せすることができず、申し訳ございませんでした。四国のクマの最後の生息地といわれている剣山周辺までもが、いかにクマが棲めない場所になってしまっていたかが分かりました。
四国の奥山は、クマの食糧にならないスギやヒノキの植林で埋め尽くされているだけではなく、残された自然林も大荒廃していることが分かりました。
熊森から
絶望的な、四国のクマの生息地を見てしまいました。5年前に、このあたりの山に来られた方が、1200mより上のササは死んでいなかったと証言されていましたので、ササ枯れが猛スピードで進んだ結果だと思われます。犯人はシカということにされていますが、地球温暖化で昼夜の気温差が大きくなったことも、ササ枯れを引き起こした原因だと言う研究者もおられます。ならば、人間も原因です。
兵庫県でも京都府でも、同様の奥山大荒廃が進んでおり、クマを初めとする野生動物たちは生きられなくなり、奥山を出て、里山に集結しています。里山の植物は、地球温暖化の影響を受けにくいため、里山には豊富な食料があるからです。
私たち人間は、日本の山が、奥山から大崩壊していっていることを知って、かつての保水力豊かな山をどう取り戻すのか、奥山の動物たちの絶滅をどう止めるのか、真剣に考えねばなりません。(完)
3月15日 片山大介議員、参議院予算委員会で、森林環境税についてご質問
片山大介議員は、現在、森林環境税法案が審議されている総務委員会に所属しておられません。しかし、何とか質問できないかと熱い思いを持って下さり、予算委員会でご質問くださいました。
以下、2019.03.15 片山大介議員 予算委員会質問要旨
(文責:熊森)
片山大介議員:森林環境税と森林環境譲与税について聞きたいと思います。
森林環境税というのは、全国の住民から毎年1000円徴収して、そのお金を全国の自治体に交付して、森林整備などに役立ててもらおうというものです。
まず森林環境譲与税が平成31年度からスタート、森林環境税はその5年後の平成36年度からスタートです。
譲与額は3段階になっていて、最初の3年間が200億円、次の3年間が300億円、そしてそれ以降は600億円になっています。
そもそも1000円とるということにした理由を説明していただきたいんですが。
石田総務大臣:お答えさせていただきます。
森林環境税の税収規模を検討するにあたりまして、必要な森林整備やその促進に要する費用等につきまして林野庁から年間600億円程度が必要との試算が示されたところでございます。
国民の皆さんに広く均等にご負担を求める観点から、個人住民税均等割りの枠組みを活用することと致しました。
その納税義務者数は6千万人強ということで見込んでおります。
そういうことから、年間1000円にしたところであります。
片山大介議員:じゃあ林野庁に聞きます。600億円は本当に必要な額なのか。十分なのか。
農林水産省牧本林野庁長官:お答えを申し上げます。
条件が不利な私有林では経営力の低下などによりまして、従来の施策のみでは適切な間伐等を進めることは困難となっているところでございます。
このため、そのような条件不利な私有林における間伐量を年平均10万ha程度と推計いたしまして、これに境界確定や担い手育成など、その促進に関する費用を加えまして年間600億円程度と試算したところでございます。
片山大介議員:現在、森林整備等を目的として37府県及び1政令市(横浜市)において、独自に超過課税(=標準税率以上の課税)が行われている。これ二重課税になるのではって話にもなっている。そこについてはどのように調整を図るつもりか。
内藤自治税務局長:お答え申し上げます。
府県が行っております超過課税の使途において重複する可能性がありますが、国は森林環境税を平成36年度から課税することとしておりますので、それまでの間に、関係府県において超過課税の取り扱いを検討いただけるものと考えているところでございます。
片山大介議員:そうすると、自らの財源で積極的に森林整備に取り組んでいる自治体ほど、影響を受けるってことになるんですよね。そうするとね、地方の自主性だとか、地方の自立性だとかそういったものを損なう懸念があります。これについて、大臣どうお考えですか。
石田総務大臣:お答えさせていただきます。
両者の財源の帰属主体が基本的に異なるということになってくるんだろうと思います。36年まで猶予の期間があるわけですから、この間においてそれぞれの自治体でご検討いただけるものと思っております。
片山大介議員:国の上から目線になっちゃうんじゃないですか。大丈夫ですか。
石田総務大臣:この森林環境税につきましては、地方6団体(=全国知事会・全国都道府県議会議長会・全国市長会・全 国 市 議 会 議 長 会 ・全国町村会・全国町村議会議長会)の方からも長年にわたりまして、ご要望がありました。そういうことを受けて、創設をしたものです。
片山大介議員:課税とその導入時期が5年違っています。これまで、このような法案っていうのは過去にあったのかどうか。
内藤自治税務局長:ございません。
片山大介議員:そこまでして譲与の方を早めた緊急性っていうのはなんなのですか。
内藤自治税務局長:お答え申し上げます。
パリ協定の枠組みのもとにおけます、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図りますため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設するものでございます。
森林環境税の開始時期につきましては、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するための個人住民税均等割りの引き上げ措置(=東日本大震災からの復興を踏まえて、年間一人1000円を徴収している税)が終了する時期も考慮して設定したところでございます。
片山大介議員:地球温暖化のことで言えばね、もっと他に緊急でやらなきゃいけないことが、実はいっぱいありますよね。
消費税が10月から10%にあがる、そしてそれからもう一つ、今その東日本大震災の教訓として全国で行う防災施策対応分として個人住民税均等割りの税率の引き上げっていうのを平成35年までやっているんですよね。それに引き継ぐ形でやってる。だからこれ良く言えばね、その負担感をちょっと和らげるためにちょっと遅らしたというのもあるけれども、悪く言えばね、ちょっと気付かれないうちにそのまま引き続いてやるみたいなね、なんかとれるところからとれるタイミングでとっていくみたいな感じもするんですけど、ここらへんはどのようにお考えですか。
内藤税務局長:お答え申し上げます。
国民の負担感ってことを考えました場合に、防災施策の財源を確保するために個人住民税均等割りに上乗せする措置が終了した後の平成36年度から課税を開始することとしたところであります。
片山大介議員:地球温暖化のことを言うんだったら、排出源として多いのはやはり産業界ですよね。法人への課税も検討すべきだったんじゃないかなと思いますがこれはどうですかね。
石田総務大臣:お答えさせていただきます。
地球温暖化対策は、二酸化炭素の排出対策と森林吸収源対策の両面から推進する必要があります。
二酸化炭素の排出抑制対策については、これまで自主構造計画等の枠組みの中で、温室効果ガスの排出削減を実現するとともに、平成24年度の税制改正によりまして創設されました石油石炭税の上乗せ措置も負担をしていただいており、すでに産業界からは一定の貢献をしていただいております。
地球温暖化対策は、個人・法人双方に相応の負担をいただくことになるものと考えております。
片山大介議員:排出抑制のことを言うんだったら、じゃあカーボンプライスはどうなっているのかって話ですよね。きちんと出来てないですし、今の地球温暖化課税だってパーセンテージは欧米に比べて低いですよね。今日は、環境省がきてないですから、これ以上は言いませんけども。
森林が二酸化炭素吸収してくれるために必要な間伐ですが、2013年から20年のまでで年平均52万ha必要だと資料にありますが、達成できたのは2013年だけです。
今回の森林環境譲与税で年52万haまで回復するのですか。試算はできているのですか。
牧本林野庁長官:お答え申し上げます。
厳しい財政事情もありまして、委員ご指摘のように近年、十分な森林整備の確保が出来てないというような状況でございます。
また一方、森林所有者の意欲低下などもございます。このような状況を背景にいたしまして、昨年、森林経営管理法を制定いたしました。
これを踏まえて、新たに市町村が担うことになる森林の公的な管理をはじめとする森林整備の財源として、この森林環境税・森林環境譲与税が創設されたということでございます。
片山大介議員:私が聞いたのは分析データがきちんとあがっているような試算が出来ているのかという話です。
牧本林野庁長官:基本的には、使途は、市町村等の判断ということでございます。
この税の創設によりまして、どれぐらい森林整備量があがるかとは一概には言えないところでございますけども、森林整備量の増加に寄与するということは事実かと思います。
片山大介議員:使い方は自由に自治体に任すだけではなく、目標達成できるような努力もきちんとしていただきたい。
牧本林野庁長官:今回の森林環境譲与税によりまして、従来なかなか森林整備が進んでこなかった、経済的にうまくまわらないような森林の管理をですね、市町村が中心にやっていただくということでございます。このような取り組みを通じまして、森林整備量の向上というものが図られるという風に考えております。
片山大介議員:今の日本の森林には、放置人工林がとても多いという話ですが、天然林に戻していくことについてはどのようにお考えですか。
牧本林野庁長官:お答え申し上げます。
平成28年5月に閣議決定された森林林業基本計画におきましては、地域の自然条件等に応じまして、林業に適した森林においては適切な間伐や再造林によります人工林を維持するということ、それ以外の森林は、抜き伐り等によりまして、広葉樹等の導入を図っていく。これがまさに委員がご指摘するところの天然林化ということかと思います。それから原生的な天然生林については適切に保全する、こういったことを通じまして、多様で健全な森林を育成することとしているところでございます。
尚、現在、育成単層林となっているいわゆるスギの山とかヒノキの山とかですね、これは約1000万ha程度あるわけでございますが、将来的には、この3分の1程度におきまして、広葉樹の導入等により針葉樹と広葉樹が混ざっている複層林、そういう山に転換していくことを目指しているところでございます。農林水産省といたしましては、自然条件等に応じた多様で健全な森林づくりというものに取り組んで参りたいと考えております。
片山大介議員:是非よろしくお願いします。自治体にはノウハウがなかったりするわけです。自治体にね、アドバイスしたりノウハウを伝えたりするようなことも国としてやっていってもいいんじゃないかと思います。
牧本林野庁長官:お答え申し上げます。
人工林への広葉樹の導入についてでございますけれども、これは種子の供給源となる広葉樹林からの距離などですね、自然条件に応じて伐採方法を適切に選択をしていかなきゃいけないということでございます。
林野庁都道府県におきましては、これまでの育成複層林への誘導技術等に関する各種マニュアル、技術指針等をとりまとめまして、市町村等への助言に努めていきたいと思っているところでございます。
また、森林所有者等が行います広葉樹を含めた造林保育につきましては、森林整備事業により補助することが可能ともなっているところでございます。
加えて、今後、森林環境譲与税を活用した地方団体の取り組みによりまして、条件不利な人工林における広葉樹の導入など、多様で健全な森づくりというものが一層推進されることが期待されているところでございます。農林水産省といたしましてもマニュアル等活用いたしまして、施業管理方法の周知・助言というものにしっかりと努めてまいりたいと考えております。
片山大介議員:是非きちんとやっていただきたいと思います。
石田総務大臣:森林環境税の使途につきましては、各地方団体に行っていただきたいと思います。その使途につきましても、毎年度、インターネット等により公表することを義務付けることといたしておりますので、適切な使途に用いられることを担保されていると思います。
片山大介議員:終わります。ありがとうございました。
くま森から
さすが、見事に、予算委員会での質問になっていました。片山大介議員、新たな角度からのご質問をありがとうございました。
これはおかしい マタギ文化のない兵庫県がスポーツやレジャーとしてのクマ狩猟推奨に躍起
2018年7月30日、兵庫県農業共済会館で開催された兵庫県環境審議会鳥獣部会で、今年からクマ狩猟ひとり1頭までの制限枠が撤廃されました。
審議会では、議論らしい議論はほとんど何もありませんでした。
審議会のようす2017年度撮影分
議論したい熊森は、審議会に委員入りしたいと申し出ているのですが、兵庫県からずっと排除され続けています。
現在行われている兵庫県のツキノワグマ対応は、第3者が検証できない算出法で算出したクマの推定生息数(不確かな数字)を元に、数字に従って、クマを殺していくという、大変非科学的で残虐な対応法だと思います。(どうして井戸知事がこんな無茶を許しているのか、理解できません)
1991年の兵庫県のツキノワグマの推定数は60頭でした。(奥山生息地が荒廃して棲めなくなっていくにしたがって、クマ数は増えに増え続けたということで、)人里での目撃数の増加と人里での捕獲数の増加を2大因子としてコンピューターで算出したところ、2017年には、なんと347頭~1486頭、中央値918頭にまで増加したと兵庫県森林動物研究センターは発表しています。
熊森は、自動撮影カメラを用いて奥山や里山で自分たちが撮影してきた結果も踏まえて、クマにドーナツ化現象が起きている、奥山でのクマ数の激減も生息数推定に加味してほしいとお願いし続けてきましたが、いまだなされていません。
中央値が800頭を超えると狩猟することになっているとして、兵庫県は2016年から20年ぶりにクマ狩猟を再開しました。
捕獲上限頭数は、有害捕殺数と合わせて、生息推定数の中央値の15%となっています。
その結果、
2016年の兵庫県の捕獲上限頭数140頭 クマ狩猟登録者140名
ひとり人1頭までの狩猟制限あり
クマ狩猟実績4頭+有害捕殺数29頭=33頭
(この狩猟数ではクマ数は減らないなあ)
兵庫県では、民家のすぐ後ろが山になっているところも多く、クマは人に見つからないようにそっと遠慮して利用してきました。(これまでは、山中には捕獲罠を仕掛けてはいけないことになっていたのでつかまらなかった。)
2017年から兵庫県は、ゾーニングと称してクマには何も知らせず、集落から200メートル内にいるものは山中であっても捕獲罠を仕掛けて有害捕殺できるよう、いきなり、捕獲基準を変更しました。
その結果、
2017年の兵庫県の捕獲上限頭数134頭 クマ狩猟登録者154名
ひとり人1頭までの狩猟制限あり
クマ狩猟実績1頭+有害捕殺数34頭=35頭
(だめだ、こんなに積極的に有害捕殺やクマ狩猟を推進しても、クマ狩猟実績が1頭では、クマ数は減らない)
そこで、今年は、
2018年の兵庫県の捕獲上限頭数137頭
(今年は5月6月の2か月間だけで、すでに20頭ものクマを有害捕殺しています)
(どうしたら、もっと殺せるだろうか。)
そうだ、ひとり人1頭までの狩猟制限を撤廃しよう!
兵庫県森林動物研究センターの研究者たちと兵庫県鳥獣対策課の担当者たちの間で、以上のような経緯があったのではないでしょうか。
元々、兵庫県にマタギ文化はありません。
兵庫県が2016年にクマ狩猟を再開しようとしたとき、当時の審議会で、兵庫県の猟友会の代表の方が驚いて、(県からの相談は何もなかったようです)、「私は(クマ生息地)で40年間も狩猟してきたが、クマを獲りたい者なんてひとりもいないですよ」と、発言されました。
私たちには、兵庫県行政が狩猟者に無理やりクマ狩猟を強要しているようにしか見えませんでした。
私たちは、このような兵庫県のクマ対応を、全く理解できません。
コンピューターではじき出した仮想数字をもとに、クマの命を、どんどん奪っていっていいものでしょうか。
数字を使えば科学的だと勘違いされているのではないでしょうか。
人里でのクマの目撃数が増えたのは、確かに問題です。
しかし、戦後造林した広大な人工林が成長して内部が砂漠化しており、2000年以降は、かろうじてクマたちの生息を支えていた自然林の下層植生までもが広範囲にわたって消えていきました。今や兵庫県の多くの自然林の内部は野生動物たちがいない公園のような状態になってしまっています。身を隠していたい臆病者のクマにとっては、隠れるところがありません。
また、夏のクマの食料である昆虫が、地球温暖化のせいか激減しています。クマたち野生動物が、生きるために過疎化高齢化した食料豊富な人里に出て来るようになったのは当然です。そして、人や車に慣れていくのです。
すべて人間がこのような状況を作ってしまったのです。
人里でのイノシシ罠やシカ罠へのクマの誤捕獲数が増えたのも、問題です。
しかし、クマが大好きな米糠を入れた罠をどんどん人間が人里に設置していっているのですから、何キロも先からクマたちが糠の発酵臭を察知して里に集まって来るのは当然です。
森の中を動き回るクマの正確な生息数なんて、人間には絶対にわかりません。
何頭いたっていいじゃないですか。
今、大事なことは、クマたちがどうしたら昔のように山の中に戻ってくれるかだと思います。
熊森は、いろいろな提案をし続けてきましたが、今の兵庫県にはほとんど耳を貸していただけません。
熊森が止めれば止めるほど、兵庫県はますますむきになり感情的になって、クマ狩猟を推進しようとしているように見えます。
そもそも、我が国にとって、1999年の環境省のワイルドライフマネジメントの導入が、失敗でした。
殺すことによって野生動物の生息数を人間が思うような数にできるという錯覚は、自然とは何か、生命尊厳とは何かが全く分からない人たちが考えた机上の空論だと思います。自然界は無数の生物による絶妙のバランスの上に成り立っており、人間が管理できるような単純なものではありません。
日本の野生動物対応は、奥山生息地の再生に重点を置き、あとは自然界に任せるものに変えていくべきです。
一般市民は多くの研究者や行政マンと違い、まだ他生物への共感や共存本能を失っていません。
市民が声を挙げる時です。
4月14日(土)第2回 くまもりサロン開催 「地球温暖化と自然」
- 2018-04-15 (日)
- くまもりNEWS
本部スタッフが進行係となり、最近の地球温暖化研究の紹介と野生動植物への影響について問題提起しました。
温暖化は野生生物にどのような影響を与えているのでしょうか。
生物には、「温周性」と「光周性」があります。
「温周性」とは気温に影響される生物の性質です。
昆虫などの変温動物は、最近の温暖化によって活動時期が早くなっています。
一方、「光周性」とは日射に影響される生物の性質です。
これら光周性生物は、地球温暖化にあまり変化を受けません。
従って、温暖化すると昆虫の孵化の時期は早くなったのに、植物の若葉や花の時期はこれまで通りであるため、葉を食べたり花蜜を吸ったりすることができなくなります。その結果、昆虫が消えたり虫媒花植物の受粉がうまくいかなくなったりします。
これが、今、日本の自然界における生物の多様性を貧しくする大きな原因となっています。
<参加者の感想から>
Fさん:林業の村で育った。昔もスギの人工林はあったが、1ヘクタールあたりの苗木が500本くらいだったので、自然と針広混交林になっていた。戦後の拡大造林は1ヘクタールあたり3000~5000本の苗木を密植し、その後放置した。これが諸悪の根源。最近も大分県で山が崩れたが、新聞報道には、人工林の字の字も出ていない。地下水や岩盤劣化などが原因とある。地下水や岩盤劣化がない山なんてあるのか。
S1さん:生命は環境に適応して進化してきた。人類だけが環境に適応せず、環境を改変して生きていこうとしている。
Mさん:アル・ゴアが言った「環境問題は経済ではなく、モラルの問題です。」という言葉が好き。人間のモラルを立て直していかねばならない。
K1さん:子どものころと比べると、台風の数が減ったように感じる。回数が減って1回当たりの規模が大きくなる。これも温暖化の影響か。
K2さん:1961年の地球人口は30億人だった。今は70億人を超えている。機械文明は進んだが精神文明は進んでいない。これが環境問題に皆が取り組まない最大の理由だと思う。
S2さん:都市部に人間が集中しすぎている。無駄なエネルギーを使わない、ゆったりした暮らしができる社会をめざせばよい。
K3さん:地球の健康を取り戻すのは人間の仕事、地道な活動に意義がある。
U:地球の温暖化の原因は二酸化炭素だけでなく、メタンや一酸化二窒素、フロン、水蒸気などもある。モデルによる予測もどこまで正確かはわからない。しかし、二酸化炭素の排出を減らして、少しでも温暖化を遅らせていく努力が必要だ。
森山名誉会長:若い世代は、昔を知らないので、本来、自然とはどういうものなのかわからない。今の状態が異常であることを、若い世代にどう伝えていくかが問題だ。4月28日の熊森全国大会では、熊森が育ててきた若いスタッフたちを前面に出すので、いろんな人を誘ってぜひ参加してほしい。
次回のくまもりサロンはは6月9日(土)です。
4月14日(土)第2回くまもりサロンのお知らせ
- 2018-03-22 (木)
- お知らせ(参加者募集)
くまもり本部にはこれまでに活動で知りえた、多くの画像・知見があります。
そこで、皆様と一緒に現在の自然環境について学び、語り合う場、「くまもりサロン」を始めました。もちろん、非会員の方も大歓迎ですので、お友達を連れてきてくださると嬉しいです。
参加は無料ですが、席が限られておりますので、事前に申し込みをお願いします。
第2回のテーマは「地球温暖化~その原因と自然環境に与える影響~」
ファシリテーターは事務局のUです。
記
日時:4月14日(土)13:00~15:00(予定)
場所:くまもり本部事務所3F 西宮市分銅町1-4
(自家用車来られる方は事前にご相談ください)
内容:地球が温暖化すると、自然環境にどのような影響があるのか
地球温暖化の原因は何なのか
地球温暖化を防ぐためには私たちは何ができるのか
皆で語り合いたいと思います。
参加費:無料
定員:10名(要予約)
ジャパンタイムズデジタルに森山会長のコメント
昨年末、みなさんにご紹介しそびれていましたが、以下、ジャパンタイムズデジタル版2017年11月27日記事です。
(大意和訳)
秋田で、クマの目撃増加 人間側に原因も
秋田の田舎に住む42歳の主婦は、「クマが家の近くにいるなんて思えないのですが・・・」と、近くのコンビニまで慎重に歩いて行く。
生まれも育ちも秋田だが、山以外の所でクマと遭遇した話はこれまでほとんど聞いたことがない。それが今、一般的になってきた。
この夫妻は、毎朝12歳の娘を中学校に送って行く。
昨春、秋田県第2の都市である横手市で、学校から20メートルのところにツキノワグマが現れたのだ。
秋田県におけるクマの目撃数が急増し、それまで年間200頭~300頭程度だった有害駆除数が、2016年には468頭となった。
1979年~2015年までの秋田での熊による死亡事故はわずか8件だったが、2016年~2017年には5件発生した。
注釈(2016年、秋田県鹿角市でタケノコ採りに山に入った4名がクマによって死亡する事故が起きた。2017年には、秋田県仙北市でタケノコ採りに山に入った1名がクマによって死亡する事故が起きた。)
●秋田県行政は、2015年はブナの実りが良て多くの子グマが生まれたため、2016年はブナ不足となり、食料を求めてクマたちが山から出て来たことによって起きた事件だと説明している。
●しかし、日本ツキノワグマ研究所所長の所長である米田一彦氏は、長きにわたって山と集落を分けてきた里山が崩壊したことに要因があるという。
20世紀後半、日本は急速に経済発展し、猛烈な都市化が進んだ。
「以前は薪として絶えず伐られていた里山林が、今や伐る人もいなくなり、成長して大きくなっている。野生動物と人の緩衝帯であった里山が失われた。里では過疎化高齢化が進み、農園や果樹園を管理する人もいなくなった。こうしたなか、クマたちが山から里に移動して定住した」と、米田は言う。
●日本熊森協会の森山まり子会長は、過疎化高齢化も関係あるが、根本原因は、かつて山のなかにあふれるほどあった野生動物たちの食料が激減していることだと指摘する。
森山は、地球規模で森林が劣化してきており、木々の成長が弱くなって葉量や実の量が減っていることを示す研究を挙げた。
(人工林、開発)、地球温暖化、酸性雨、大気汚染など、全て、人間活動が引き起こしたことだ。
2016年に秋田の山を旅した人から、ナラ枯れがすごかったという報告を受けているという。
最近の日本人は、ほとんどが都市に住み、山に入らなくなっている。
そのため、人々は、森の中のクマたちの食料(植物・昆虫)がなくなっていることに気づいていない。
もう一度、豊かな森を再生させていかない限り、クマ問題は解決しないと彼女は言う。
冒頭の主婦は、いつか本物の野生グマを見たいと言う。
主婦は、「私だって死にたくはないですよ。、、、でも、クマってかわいいじゃないですか。」という。
ご主人も、「私だったら、クマに会って最初にやってしまうのは、携帯を取り出して写真を撮ることでしょうね。」と、同意する。
As Akita deals with surge in bear sightings, some point to a human cause
AKITA – Far from Tokyo’s bright lights and noisy streets Kaori Kawashima walks cautiously on her way to the nearest convenience store in rural Akita Prefecture, where danger might be lurking in the shadows.
“I don’t think bears come close to where I live, but there’s no way to be sure,” the 42-year-old housewife says.
Together with her husband, they take no chances. Every morning they drive their 12-year-old daughter to junior high — breaking the age-old norm that children should walk to school.
And they’re not alone. This past spring, a black bear was spotted just 20 meters from a high school in Yokote, the second-largest city in the prefecture. Kawashima has lived her whole life in Akita, but stories of bear encounters outside the mountains used to be few and far between. Now they are becoming common.
Sightings exploded in 2016, shooting to 468 from just a couple of hundred in previous years, according to the Akita Prefectural Government. From 1979 to 2015, only eight deaths from bear attacks were reported in Akita. Since then there have been five.
Behind the headlines, experts say, is a silent transformation in the countryside that is setting the stage for greater numbers of wildlife encounters.
When a string of bear attacks caused a national stir last year, residents hoped it was just an anomaly and that things would soon return to normal.
●The official explanation was that the supply of beech nuts in 2015 that helped more cubs survive was followed by a shortage last year, which led them down from the mountains in search of food.
●But Kazuhiko Maita, chairman of the Hiroshima-based nonprofit Institute for Asian Black Bear Research and Preservation, says a more long-term factor is at work: the disappearing satoyama, a term referring to traditional rural landscapes of carefully maintained forests and farmland.
Part of Japan’s rapid economic development in the late 20th century involved an aggressive urbanization that changed it from a principally rural country to one of the most urban populations in the world. Prefectures far from major cities began to wither, but on a rural level, the satoyama all but vanished.
“The buffer zone has disappeared,” Maita said. When forests previously chopped down for firewood grew back, and farms and fruit trees were left unmanaged, the bears left the mountains and moved in to stay, he explained.
Predominantly rural Akita has the fastest-shrinking population in Japan. This year, the prefectural government reported that it had dipped below 1 million for the first time since 1930, with over a third of its residents aged 65 or older. But it’s not alone.
Across Japan, wildlife is becoming a menace in places it never was before.
Akita, known for the bear-hunting dogs that carry its name, has always had bears around, but experts warn of boars and deer overrunning the countryside as the human activities that once held them back — such as hunting — fade due to depopulation.
In Akita, depopulation is only one part of the equation. The rest simply has to do with the subsequent increase in hunger, another expert said.
●“The depopulation of rural villages is connected, but it’s not the root cause,” said Mariko Moriyama, president of the nongovernmental organization Japan Bear and Forest Society.
“The root cause is that food has disappeared from the mountains.”
Moriyama points to research showing that trees have been growing weaker across the world, with a dramatic decrease in leaves and fruit.
The culprit, she said, is us.
“Global warming, acid rain, air pollution — all caused by human activities,” she said. In Japan, the effects have been particularly noticeable with the Mongolian oak (mizunara).
For years, Moriyama has been tracking the progress of Japanese oak wilt, a fungal disease brought on by climate change, as it creeps northward into southern Akita. Busy with their lives in the city, newly urbanized Japanese are no longer going up into the mountains like they used to. “They don’t realize how devastated it has become.”
This is particularly damaging for Akita’s black bears.
“They rely on mizunara, not beech,” for nourishment, she said.
With the mountains bare of food, no matter how skittish they are, returning to the woods might not be an option for these animals. “If nothing is done to help the mountains, the bear attacks will continue.”
Today, officials put the number of bears in the prefecture at roughly 1,000, but the primary data derive from reports about encounters — a statistic likely to get warped as sightings become more commonplace.
Here, wild mountain vegetables have been a spring delicacy for as long as anyone can remember.
Perhaps that is why residents remain eager to ignore the figurative and literal signs telling them times have changed. This has led the police to close off mountain trails and patrol popular entry points instead.
Others think back to when they were young, when the matagi (traditional bear hunters) would supply the wild animals’ tough and gamey meat to restaurants and school cafeterias. Today, the ranks of the matagi are aging and dwindling, and the meat is shunned even by residents as it can be poisonous if not properly cooked.
Meanwhile, Kaori Kawashima stays at home, getting her meat and vegetables from the supermarket. Perhaps attracted by Kumamoto Prefecture’s popular bear mascot Kumamon or Winnie the Pooh, she still hopes someday to see a real live wild bear in the flesh — as long as it’s from the safety of her car.
She laughs, saying: “I don’t want to die, but … they seem cute, don’t they?”
Her husband, Kazunori, agrees. “My first impulse would be to take my phone out and snap a picture.”
秋田のクマ、推定生息数の6割捕殺 「前代未聞」懸念も
(以下、1月8日朝日新聞デジタルより)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13303856.html
秋田県内で今年度、ツキノワグマの捕殺数が前年度の1・7倍に急増し、推定生息数の6割弱にあたる817頭に上っている。
自然保護団体が駆除の中止を求めているが、クマによる死傷者も2009年以降、最多の20人。住民の要請を受けて捕殺が増えているといい、県は人とクマの共存に頭を悩ませている。
ツキノワグマは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に分類される。環境省によると、国内では九州で絶滅と考えられ、四国では絶滅の恐れがあるとされている。
「日本熊森(くまもり)協会」(本部・兵庫県、会員・約1万7千人)は昨年10月、「根絶殺害に近い」と、秋田県の佐竹敬久知事に有害駆除と冬の猟の中止を強く求める要望書を提出した。熊森協会の森山まり子会長は「前代未聞の数でむちゃくちゃ。共存に取り組むのではなく、見つけたら殺さなあかんという流れがあまりに残念です」。
秋田での捕殺数は全国で群を抜く。環境省のまとめによると、今年度は昨年10月末時点で全国で最も多く、昨年度も全国最多の476頭。この10年で唯一、2年続けて300頭以上を殺した。今年度は冬の猟も9年ぶりに解禁し、解禁の昨年11月15日から12月末までに26頭を捕殺した。
ただ、県によると、12月末までの捕獲数は817頭に上り、すべて殺された。このうち、767頭は住宅地や農地への出没による「有害駆除」。増加は、住民の要請に応えた結果という。県警などによると、目撃頭数(12月末まで)も過去最多の延べ1500頭余。クマによる死者が1人、重傷者が5人出ており、死傷者数は計20人に上る。例年は山に食べ物が少ない夏に出没が多いが、ドングリ類が凶作で、昨年は秋も目撃が多かった。県自然保護課は「人が襲われる事故も多く、生活圏の近くで目撃され、住民から求められれば、対応せざるをえない」という。
引用ここまで
熊森から
豊かな森が残っていさえすれば、動物たちも人間も生きられます。
クマたちは、秋田の山にもはやえさがないことを、身を賭して人間に訴えていると思います。
撃たれても撃たれても、冬ごもり前の食料を求めて出て来るクマたちの姿は、近い将来の私たち人間の姿かもしれません。
何十年後かに地球規模で大変な食糧難時代がやってくると言う予測がありますから。
佐竹知事を初め、秋田のみなさんはやさしい人でいっぱいですし、熊森は秋田県庁にもいろいろとお世話になっていますから、秋田県を責める気はありません。
ただ、殺人熊誕生、人喰い熊誕生と、センセーショナルに叫んでいるマスコミの寵児に、あまりにも踊らされていないでしょうか。
クマは秋田のみなさんが知っておられる通り、臆病でやさしい動物です。
棲み分けにより、この国で人間と共存が可能です。
地球温暖化による大規模なナラ枯れや昆虫の激減に加えて、昨年度は山の実りなしという異常な大凶作年でした。
外から見ていると、殺す以外の対策が何も見えなかった秋田県ですが、電気柵などの被害防除対策や、リンゴ園の落ちリンゴはクマにあげるなどの食料の分かち合いなど、殺さない対応はとれなかったのでしょうか。
秋田にも、殺さないでクマに対応した個人や集落がきっとあったと思います。秋田県行政ややメディアはそこを発掘してほしいと思います。
また、人身事故が起きないようにうまく対応したところも多いと思うので、そういう住民たちの知恵を出し合っていただきたいと思います。
最後に一番大切なことをお願いします。
クマたちを育んできた秋田の山が、今どうなってしまっているのか、私たちが調べきれていない秋田のクマ生息地の山の中の食料調査を早急にしてください。
このような調査は、一見、クマのためではありますが、結局は私たち人間のためでもあるのです。
12月6日 森林環境税の使途を巡って、久し振りの国会議員会館めぐり
この度新しく設置されることになった「森林環境税」は、全国規模で恒久的に徴収する新税としては、1992年に導入された「地価税」以来のものです。
くまもりは、約9割が市町村に配分されるという「森林環境税」が、内部が大荒廃した放置人工林を温存することに寄与することになるのではないかと危惧しています。
久し振りに国会議員を回って、税を、<荒れた林を豊かな森に戻す>ことにも使っていただけるようにお願いしようと思いました。
この日の議員アポはなかなか取れませんでした。
それもそのはず、この日は、官僚のみなさんと議員の皆さんが部屋に入りきれないほど集まって、来年度の税制を決める最終日だったのです。
まず議員会館の入り口で、飛行機に乗る時のような身体と荷物のチェックを受けてから、受付でどの議員に会いに来たのか紙に書いて提出します。敷地内撮影は禁止されています。
窓口の方が、その議員の事務所に電話をして、この人物を中に入れてもいいのかどうかたずねます。OKが出たら、いただいた入館証を首からかけて、議員会館の中に進みます。
一部の議員や秘書にお会いすることが出来ました。私たちに対する秘書の対応を見ていると、議員に会わなくても、議員が国民の方を向いている方かどうかわかるような気がしました。どんな人を秘書にするかで、議員の運命が決まるなあと感じました。
森林環境税は、地球温暖化対策として市町村が森林を整備・管理する財源に充てるために、ひとりにつき年間1000円を徴収するものとされています。
●森林の整備・管理は、ほんとうに地球温暖化防止に役立つのか
森≠林
まず、森と林が別物であることがわかっていないと、この話は混乱します。
砂漠や荒野に木を植えるのなら、二酸化炭素の吸収源が新たに誕生することになるでしょう。
しかし、日本のように大部分が温暖湿潤気候に属する国では、基本的に国土は森におおわれています。
戦後、森の木を大量に伐採して、スギ・ヒノキ・カラマツなどの人工林を延々と造林し、国土は緑色をした超過密な林の木々に覆われているのが現状です。
一部の地域をのぞいて、材の搬出が進まないのは、林業が業として成り立たなくなっているからです。
なぜ林業が成り立たなくなったかというと、この50年間に、人々の生活様式がすっかり変わり、国産材の需要が低下し、材価が暴落しているからです。
延々と放置された人工林の内部は、真っ暗で、草1本生えていません。
この日本の林に、「森林環境税」を投入して、どのように地球温暖化を防止しようというのでしょうか。
ある議員の秘書によれば、与党内でも都市部選出議員のなかには、選挙区に山がないとして、「森林環境税」の新設に反対したり無関心な議員が多いということです。
郡部選出議員は、林業促進や、災害に強い山づくりをめざして、人工林を間伐することに「森林環境税」を使うべきだと言われているようです。
間伐しても、5年もすれば、残された木が成長して、また、内部が真っ暗になります。
その間、残された木が二酸化炭素を吸収して成長していくのだと言われても、間伐した木を、今はやりのバイオマス発電やストーブ用ペレットにしたり、地面に放置して腐らせた場合、二酸化炭素を発生しますから、地球温暖化防止にはなりません。
人工林を皆伐して、再び、スギ・ヒノキ・カラマツなどの苗木を植えるための道づくり等の土建工事、苗木代、人件費、維持管理費用に「森林環境税」使うという案も出ていましたが、伐採した木が二酸化炭素を排出しないよう、保存されているかどうか調べねばなりません。
長時間お話を聞かせていただいて思ったのは、今のところ、「森林環境税」は、森のためには全く使われようとしていないということです。
やはり、「林業振興税」だと思いました。
一人1000円の税徴収は決まったけれど、導入目的や使途は、来年から議論していくようでした。
自分たちの出した税金が何に使われるのか、市町村民がしっかりと考えて声をあげていかなければ、不正の温床となったり新たな自然破壊を生むことになるだけです。
税の新設が決まってしまった以上、行政はしっかりと情報を公開していただき、国民はしっかりと使い道をチェックし声を挙げ続けていかなければならないと思います。
来年は多くの国会議員さんに会って行きたいと思います。
日本国が存続するために、「森林環境税」を、水源の森であるクマたちが棲む生物の多様性が保たれた<森の復元・再生に多く使うべきだ>と訴えるために。
みなさんも、国会、都道府県、市町村の議員のみなさんにどんどん会いに行ってください。
12月4日 本部 奥山の生き物調査 (兵庫県)
登り口となった標高650m付近は、まだ雪がありません。
頂上に近づくにつれて数センチ程度の積雪が現れてきました。
この日は地下足袋ではなく長靴で来ていたので、雪対策はバッチリでした。
ブナにつけられた新しい爪痕を発見しました。
爪痕が深いので、幹が柔らかい春につけられたものだと思われます。
花か若葉を食べに来たのでしょう。
山中でのクマの痕跡は、以前と比べると激減です。
そんな中、まだ山にクマが居るかどうか、各地で奥山の生き物たちをチェックし続けている熊森のなかまたちの存在は貴重です。
昆虫も、いなくなったと言っていいほど、激減しています。
以下、一般社団法人「ハニーファーム」代表理事 船橋康貴氏の言葉(みやざき中央新聞12月11日号より )
私たちが食べている作物の70%が、蜜蜂の受粉に基づくものです。
ネオニコチノイド系農薬が近くで撒かれた時、私の育てていたミツバチ40万匹が、一夜で全滅しました。
地球温暖化もミツバチが少なくなった原因の一つではないかと言われています。
よく、クマやイノシシが人里に下りて来て畑を荒らしたり、人間を脅かしたりしていると言いますが、あれは、ミツバチが少なくなって森の中の植物が受粉できなくなって、木の実が実らなくなっているからです。お腹がすいて里へ下りてくるのです。
15時、自動撮影カメラには、イノシシが雪の中を寂しそうに歩く姿が写っていました。
見たところ、餌らしきものは、ありません。
午前7時、オスジカが座り込んでいました。ここで寝ていたのでしょうか。
この辺りは、これまでも何度かヤマドリが写りました。メスですね。
今回、ツキノワグマは映っていませんでした。
この辺りの積雪は3m~4mにもなるそうです。
雪の間も生き物たちが撮影できるように、木に登って高い位置に自動撮影カメラを設置し直してきました。
この国で、共に生きるなかまたち。
熊森のブログを通して、多くのみなさんに野生動物たちを身近に感じてもらえればうれしいです。
今後も奥山での生態調査を続けていきます。
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