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京都府 生息地を失ったクマが1400頭に激増のミステリー 

以下、2019年9月30日京都新聞記事

「府内、16年前の4倍以上に 増えるツキノワグマ1400頭 」より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Wクリックで大きくなります。

 

京都府の森林面積は3426㎢で、98%が民有林です。

京都府には標高が1000メートルを超えるような高い山はありません。一番高い山は滋賀県境に位置する皆子山971mです。

人工林率は約38%で多くが放置されており、人工林の中に野生動物たちの食料はありません。

 

こんな京都府にも、ブナ・ミズナラの冷温帯気候に属する豊かな森が一部、残されていました。そこが、京都府のツキノワグマの生息地でした。

過去形にしたのは、21世紀になって、冷温帯の森が、ナラ枯れや地球温暖化、シカの食害によって一気に劣化してしまったからです。

数年もしないうちに、全く別の山に来たのかと思われるほど、林相が変化しました。

ミズナラの巨木が枯れてあちこちで倒れ、下層植生が消えて公園のようになり、昆虫が消滅していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

別の山かと思うほど一気に変貌した京都府芦生原生林2012、11、7撮影
枯れて倒れているのは、冬ごもり前のクマたちの食い込み用ドングリのミズナラ

 

臆病者のクマたちはもはや身を隠すところもなく、春の山菜、夏の昆虫、秋の木の実・・・食料は激減です。

 

生物の自然増加現象等を説明する際によく引き合いにだされるロジスティック曲線というのがあります。

 

横軸に経過時間、縦軸に個体数をとると、環境収容力にほど遠い段階では個体数は加速度的に増加しますが、飽和状態に近づくと増加率が減少し、ついに増えられなくなるというものです。

 

 

 

 

 

 

 

ロジスティック曲線

 

京都府の場合、環境収容力である生息地がどんどんと劣化して縮小していっているのですから、本来、クマは増えられないはずです。

 

16年間に4倍に増えたというのは京都府が、WMO(㈱野生動物保護管理事務所)に生息数推定計算を委託した結果の報告に基づくものだそうです。

 

京都府のツキノワグマはこれまで絶滅寸前種に指定され、狩猟も禁止されてきましたが、今回のWMOの報告を受け、絶滅寸前種の指定を外したり、環境省ガイドラインの800頭を越えたからとしてクマ狩猟を再開したりすることも考え始めるそうです。

 

この流れは、どこかとまったく同じです。そうです、隣接する兵庫県と、全く同じ流れです。兵庫県が京都府に伝えたのでしょうか。

 

ちなみに、兵庫県のクマが爆発増加していると言い出したのは、2011 年春、兵庫県森林動物研究センターの研究員で兵庫県立大学の助教授でもあった坂田宏志氏です。彼は、現在、公務員をやめて、㈱野生鳥獣対策連携センターの社長になって、環境省や地方自治体から請け負った仕事をしたり、WMOの下請けもしています。

 

クマは動物ですから、食べ物がないと生きていけません。餌場がどんどん狭められ失われていく中、生息数がどんどん増えていくなどあり得るのでしょうか。もし、そうなら、何を食べて増え出したのでしょうか。その辺のことが報告書に記述されていなければなりません。もしかして、行政がハンターや捕殺会社に依頼して大量に有害駆除し、谷底に投げ捨てられたままになっているシカの遺体?

 

もしそうなら、生態系の大攪乱を起こしている張本人は人間です。

 

熊森は、WMOの報告書を読んでみることにしました。(続く)

 

 

 

 

 

 

 

大型台風19号により東日本の21河川24か所が決壊し多くの住宅が水没 地球温暖化対策を問う

台風19号に思う

大型で非常に強い台風19号は、2019年10月12日午後7時前に静岡県の伊豆半島に上陸し、東海、関東、東北と進み、強風と大雨による大きな被害をもたらしました。被害にあわれたみなさんに、お見舞い申し上げます。

東京都心では瞬間的に40メートルを超える暴風を15年ぶりに観測しています。

神奈川の箱根では12日に降った雨の量が900ミリを超えて全国の観測史上1位を記録しました。

その結果、10月13日のニュースによると、21河川で24か所の堤防が決壊し、決壊まで行かなくても多くの場所で越水が見られたもようです。

水没した住宅地が次々とテレビニュースに映し出され、居住者はご無事だっただろうか、犬や猫たちは逃げおおせたのだろうかと、胸が痛みました。

いずれ水は引くでしょうが、その後の泥まみれの家の片づけを思うと気が遠くなりそうです。

テレビニュースのインタビューを見ていると、戸建て住宅の皆さんは高齢者が多く、とてもこの人たちの力だけでは片づけられないのではないかと思いました。国や地方自治体による大きな支援が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徳島新聞号外より

長野市在住の宮澤正義くまもり顧問のおうちは大丈夫でした。

 

地下鉄やリニア

このような洪水が、地下鉄や大深度地下を走るリニア中央新幹線に流れ込めば、一体どうなることか。復旧はもう不可能でしょう。

熊森は改めて、リニア中央新幹線の建設をやめるべきだと訴えたいです。こんなに災害の多い日本でリニア中央新幹線の建設推進をそそのかした黒幕は、日本経済の衰退を願う外国勢力ではないかと疑ってしまいます。(国民のみなさん、祖先から受け継いだすばらしい国土の横っ腹に、地下水脈を次々とぶちきって長い長い深穴をあけることに反対の声を挙げませんか)

 

ダムの緊急放流

それにしても、関東甲信越地方の河川上流にあるダムでは12日夜から13日未明にかけて大雨の真っ最中に次々と緊急放流を実施したということで、西日本豪雨の時のダムの緊急放流問題が生かされていないなあと思いました。緊急放流はダムが洪水調節機能を喪失する事態で、そんなことをすれば下流域で水位が急上昇するのは当然です。台風19号は来る前から、記録的な豪雨をもたらすと予測されていたのですから、ダムは空にして備えていたらよかったのにと思いますが、実際ダム放流の責任者になってみれば、その決断にはなかなか難しいものがあったのだろうと察します。

 

地球温暖化

こんな大型台風が、これから何度も日本列島を襲うようになるのでしょうか。たまりません。マスコミは、現象ばかりを報道しますが、近年、大型台風が頻発するようになった原因があるのなら、それも合わせて報道すべきです。今回の19号台風がかくも大型台風に成長したのは、日本近海27度という海水面の温度(台風発生場所は30度)

の高さも原因の一つだと言われています。地球温暖化を止めないとますます台風がエスカレートしていくのでしょうか。

 

CO2よりシベリア東部のメタンガス噴出による温暖化

地球温暖化に詳しい人に聞くと、今や地球温暖化の脅威はCO2ではなく、解け出した永久凍土から出てくるようになったメタンガスだそうです。メタンガスの温室効果はCO2の100倍と言われています。シベリア東部の海岸線ではメタンハイグレードが不安定化しメタンガスが噴出しているそうです。さらにエアコンなどに広く使われている代替フロンの温室効果はCO2の数百~数万倍と言われています。

 

マスコミのみなさんへ

日本のマスコミのみなさんには、野生動物大量捕殺問題を初め、全ての問題に対して、現象だけを国民に伝えるのではなく、原因と対策まで伝えていただきたいです。

もう一つ、もういい加減に人間至上主義から脱してほしいです。こういう災害時に、他の生き物たちがどうなったのかの報道が全くありません。人間のことばかり見てきたから、人間は地球環境を破壊できたのです。人間至上主義は人間を滅ぼす。

 

便利さよりも地球環境保全

今の暮らしは、以前と比べて格段に楽で便利になりましたが、その暮らしが、近い将来、地球の気温50度、海水温40度、植物は光合成が出来ず、食物連鎖は断ち切られ、海の中に住む生物もほぼ全てが消え生物の95%が死に絶えたという2億5000万年前の地球環境の再来をもたらすという説もあります。地球環境保全はプラスチックが海や海の生物を広域に汚染してしまっていることなども入れて、もう手遅れと個人的には感じています。しかし、マスコミが本当のことを伝えるようになれば、戦争中、「欲しがりません、勝つまでは」をやり抜いた我ら日本人は、経済はほどほどにして地球環境を子や孫に残そうと、欲望を押さえ始めると思います。地球人の良きお手本になれると思います。

新潟県クマ生息地調査でわかったこと

6月20日(木)、自然保護団体として久し振りに新潟県庁を訪れました。

もちろん、「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」を熟読した上でのことです。

事前に、県民生活環境部・環境企画課・鳥獣保護係に電話を入れておきました。

できれば、森林環境税のこともあるので、林政課の担当者ともお会いしたいなと思いました。

兵庫県西宮市にある熊森本部から飛行機で新潟空港へ、新潟駅からはバスに乗って県庁前で降りました。

えらく立派な県庁ですが、外にも内にも人影がほとんどありません。

 

新潟県庁

 

新潟県の人口は約222万人。人口が少ないからなのでしょうか。

知る人ぞ知るですが、明治初期、新潟県の人口は東京都よりも多くて全国一位でした。(第一次産業全盛時代の明治21年、新潟県人口166万人全国一位)

 

鳥獣保護係の方には会えましたが、クマの担当者は不在でした。

新潟県のツキノワグマの推定生息数は1574頭(平成28年計算)です。

どうやってこの生息推定数を算出したのか訊ねたら、「新潟大学に頼んで出してもらった。どうやって計算したのか、県としては知らない」ということでした。

新潟県のクマは、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除の3種によって、命を奪われます。

 

「第2期新潟県ツキノワグマ管理計画」の内容は、なかなかすばらしいものです。

(1)生息環境整備 (2)被害防除対策 (3)個体群管理の順に、論じられています。

一番に生息環境整備が位置付けられているのはその通りで、他県でも見習ってほしいです。野生動物は生息環境さえあれば、人間などに何もしてもらわなくとも生き抜いていけるのです。

 

有害捕獲された個体でも、場合によっては、県と市町村が連携して学習放獣を試行的に実施することになっています。

今回の訪問で聞きたかったことの一つに、いつからどうやって学習放獣を開始したのか、効果はどれくらいあるのかがあります。

たずねてみたところ、県は学習放獣に関しても何も把握しておらず、文面はすばらしいが、実際には実施しているところがないように感じました。

 

鳥獣のことで環境省に電話すると、鳥獣関係の許認可は都道府県に全て降ろしたので関知しませんという反応が返ってきます。

一方、都道府県にたずねると、県は把握していないので出先機関や市町村に聞いてくださいと言われるところも多く、都道府県がどこまで日本の鳥獣保護に責任を持っているのかというと、はなはだ不安になります。

 

人権の方は、戦後、虐げられてきた人たちが声を挙げだしたのでずいぶんと進歩したと思います。しかし、物言えぬ野生動物の生存権に関しては、声を挙げる人間がこの国にはまずいないので、生息地は破壊され、何の罪もない動物が無駄に大量捕殺されており、無責任極まりないことになっているような気がします。

 

鳥獣保護係の担当者には、ていねいに対応していただきました。ありがとうございました。林政課の担当者は不在でした。ちゃんとアポを取っておくべきだったと反省しました。新潟のナラ枯れは終息したようでした。

 

 

翌6月21日、新潟県のクマ生息地を研究者と調査しました。

 

阿賀野川の豊かな水

米どころだけあって、道中は広大な田んぼ風景が続く

 

今回の新潟県の山の調査には、熊森協会の第一顧問である宮澤正義先生の娘さん(新潟県在住)も同行してくださいました。

山に入る前に、ぜひ見ていただきたいと言われたのが、娘さん推薦の阿賀野町の人工湿原「たきがしら湿原」です。

生物の多様性が保たれた100点満点のたきがしら湿原

 

湿原には様々な花が咲き誇っていました。昆虫の種類も豊かで、研究者によると、生物相も自然湿原そのもののすばらしさだということでした。湿原の奥には当然ですが、クマもいるようです。人工湿原というものの、ここは山から湧き出た滋養豊かな湧き水を湿原に導入していますから、自然湿原のようなものではないかと思いました。木道や東屋、トイレなども良く整備されており、地元の人たちによる訪問者へのおもてなしの心が随所に見られました。観光地としては最高だと思いました。

 

お昼に、熊森新潟県支部の結成を考えてくださっている新潟県の大企業の社長さんと会食しました。

 

お蕎麦が本当においしかった

 

この後、いよいよ、みんなで新潟県のクマ生息地の調査です。

 

 奥山調査後、室谷悠子会長を中心に記念撮影

 

会津に通じる山塊には、崖が点在していました。ここの地質は、火成岩の上に硬度の低い砂岩が堆積したもので、急斜面には植生を欠いた崖が多くみられます。植物相は、もちろん豪雪地帯のものです。ここは標高帯としては日本海側のブナが出現する場所ですが、なぜかブナが見当たりません。伐採された過去があるのだろうと思われます。

林分は、自然スギやアカマツの他に、亜高木層のオニグルミ、ケンポナシ、アズキナシ、ミズキ、カエデ、シデなどで構成されていました。ミズナラ、コナラが稀なのは、ナラ枯れで枯れてしまった跡なのかもしれません。スギの人工林は生育が悪く、放置されており、もはや林業的価値のないものでした。

立派な林道が造られていましたが、通る車もほとんどなく、ここでは、クマたちの生息が保たれているように感じました。

 

林内に入ると、谷川が流れていて、カジカガエルのオタマジャクシがたくさんいました。

きれいな谷川を見る室谷会長と宮澤先生の娘さん

 

豪雪と狩猟でシカが姿を消してしまった新潟県ではありましたが、最近は、シカの生息が各地で確認され始めてきました。しかし、爆発増加しているような状況ではありません。新潟県内の山林の下層植生はまだ豊かで、昔よりは減っている可能性がありますが、野生動物たちの食料もそれなりにあるようでした。

 

まだ赤い段階のヤマグワの実(黒くなるとおいしい)

 

熊森から

行きの飛行機からではわかりにくかったのですが、帰りは新幹線だったので、新潟県の山をまじまじと車窓から見続けることができました。

新潟県の人工林率は23%と低く、しかもスギを植えた場所は奥山ではなく里山がほとんどです。市街地のすぐ後ろが、もうクマの棲む豊かな森です。

 

兵庫県で見られるような山間部の高速道路開発や長距離トンネル工事など、生息環境が人為的開発によって大きく損なわれるような場所は、ほとんど見当たりませんでした。同行してくださった研究者によると、新潟県には、月山や糸魚川流域、妙高山、奥只見方面に、今も良好な森が数多く残されているということです。自然保護団体としては、是非そのような場所の森を数100ヘクタール規模でトラストして、永久保全しておきたいです。売ってくださる山主さんがおられたら、当協会にお声かけください。

 

西日本と違って、当分、新潟県のクマの生息に危機的な状況は起きないように感じましたが、①狩猟、②残雪期の予察駆除、③年中可能な有害駆除はもちろん、地球温暖化や酸性雪による森林劣化などに、今後も、注目していきたいです。

 

クマなどの野生動物や森に親しむ新潟県民が増えてほしいので、熊森新潟県支部が結成できる日を願っています。

 

 

石川県内 春夏のクマ目撃多発 元猟師とくまもり室谷会長が、若グマの餌場不足を指摘 中日新聞 

以下、中日新聞石川版の後半部分

 

県内餌場減 山戻らず越冬

 

半世紀余りクマ猟にかかわってきた石川県白山市白峰の元猟師加藤隆夫さん(78)は、人里に下りてくるクマに若い個体が多いことに注目する。「木の実などの餌場が少なくなり、餌の奪い合いになっている。確保しにくい子グマが押し出されている可能性がある」

 

親子グマ 石川県白山にて 日本熊森協会石川県支部撮影 2018.9.2

 

餌場はなぜ少なくなっているのか。天然林の再生活動に20年余り取り組む「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)は「スギやヒノキを植林する造林政策が大きな原因の一つ」と指摘する。

 

人工林の木材は近年、価格の安い外材に押されて伐採や間伐が進まず、多くの森林が放置されたまま。日光が差さず下草が消え、雨で表土が流出して保水力が低下し、クマの餌になる木の実も育たなくなっているという。人工林が多く、手入れが行き届かなくなっている金沢、小松市の山で目撃情報が多く、木の実がなる天然林が残る白山麓では少なくなっている。

 

日本熊森協会は、2019年度から新設された森林環境譲与税による国の交付金を利用し、天然林を増やし整備するよう石川県内の自治体にも働き掛けている。室谷悠子会長は「クマは本来、山奥にすむ臆病な動物。人間とクマはこれまでうまくすみ分けてきたし、今後も共生できるはず」と訴える。

以上。

 

熊森から

中日新聞前半記事によると、人工林率40%の石川県で、クマの目撃が相次いでおり、金沢市の4月から7月21日までの目撃数は85件、この時期の目撃数としては過去16年間で最多。住宅地でも目撃されているということです。山から出てくるのは、ほとんどが3歳以下の立場の弱い若グマだそうです。

 

石川県は、7月初めに、今年の秋の木の実の結実状況を調査した結果、ブナが凶作、ミズナラが豊作、コナラが並作になる見通しで、今秋のツキノワグマが平野部に出没する可能性は低いとの予測を発表しています。

 

では、なぜ、春や夏に、山から出て来るのでしょうか。

 

環境省系の研究者たちの予測は、以下の通りです。

1、クマが生息数を増やした。

2、クマが放置された里山へ生息域を拡大した。

3、クマが人間の食べ物のおいしさを知った。(味しめ説)

4、クマが人間を恐れなくなった(人なめ説。新世代グマの誕生)。

 

原因は、全て、クマにあります。

対策は、個体数低減のための捕殺と緩衝帯としてのやぶ刈りです。

 

神のみぞ知るの世界なので、全面否定はできませんが、余りにも短絡的です。

 

熊森は、この時期、クマが出て来るのは、まず、山の中に夏の餌(オオヤマザクラ、ニワトコ、ヤマグワなどの夏の木の実、アリやハチなどの昆虫、サワガニなど)の量が不足しているのが原因だと思います。

 

みなさんはどう思われますか。

 

いろんな原因が考えられるでしょうが、熊森は若グマたちが空腹による苦しさの余り、餌を求めて出てきているという事実を押さえることから考え始めるべきだと思うのです。

 

熊森は、原因をすべて物言えぬ弱者に押し付けるのではなく、拡大造林政策、奥山観光開発、酸性雪、地球温暖化、大規模林道建設など、人間がしでかしたことで、山中のクマたちの夏の餌量不足をまねいていないか、検証していくべきだと考えます。

 

中日新聞さん、元猟師や熊森の室谷悠子会長のコメントを載せてくださってありがとうございました。

行政や肩書のある研究者のコメントしか載せない他紙と比べて、多様な意見を掲載しようとされる貴紙に、心から敬意を表します。

 

国有林管理経営法改正、参院農林水産委で可決 

 付帯決議に「広葉樹林化」の言葉が入る

 

上記法案は、5月22日から週2日ペースで5日間、計約13時間30分にわたるに参議院での審議を終え、本日2019年6月4日に農林水産委員会で採択されました。明日本会議でも採択の予定。

日本熊森協会は、国有林でこそ、天然林化を率先して進めてほしいと訴えていました。

参議院農林水産委員かでの採決の際、附帯決議で、

「木材の安定供給・造林・保育・間伐等の施業の効率化、森林の有する多面的機能を持続的に発揮していくために必要不可欠な路網整備、鳥獣被害対策、立地条件等に応じた広葉樹林化及び針広混交林化等の多様な森林づくりを推進するとともに、所要の予算を確保すること」(第10項)

という条項がつき、衆議院の附帯決議では入っておらず、私たちが求めていた「広葉樹林化」という文言が入りました!

みなさん本当にありがとうございました。

 

その他にも、附帯決議の前文で「昨今、頻発している自然災害への対応や、地球温暖化防止に対する国民の強い関心等も踏まえ、国有林野の有する公益的機能は、より一層十全に発揮されることが求められている」と指摘し、「生物多様性の保全や災害防止等の森林の公益的機能を重視した管理経営を一層推進していくこと」(第1項)、企業に長期に亘る大面積の伐採権を与える「樹木採取権」の指定にあたっては、国有林の「公益的機能の維持増進に悪影響を及ぼさないよう、森林の特性に応じたゾーニングを踏まえ、樹木採取区の指定を行うこと」(第4項)といった、災害防止、水源保全、野生動物たちの生息地としての国有林の役割を重視し、大規模な伐採が、こういった機能を阻害しないように求める条項が入りました。

 

この間、インターネットで審議の様子を見続けているうちに、吉川農林水産大臣や牧元林野庁長官をはじめ、質問に立ってくださった国会議員の方々、表には出ないけれど、裏で一生懸命質疑応答を支えられたみなさんに、すっかり親近感を抱くようになりました。心からご苦労様でしたと、今は労をねぎらって差し上げたい気持ちでいっぱいです。

 

国会審議を見ていて、国会議員は大変だなあとつくづく思いました。これだけ専門性の高い議論を人前できちんとした言葉で短い時間内に語ろうと思ったら、特別高い知性と猛勉強が必要です。改めて、なんだか、国会議員のみなさんが、すごく偉く思えてきました。

 

どの意見もそれなりに一理あります。議員のみなさんが自由に発言されているのを見ていると、日本はやはりいい国だなあと思わざるを得ません。政治はここまで進歩したのですね。

 

本当は、5月中に採決してしまう予定だったようですが、日本熊森協会、自伐型林業推進協会、東京パルシステムなどが、この法案に対して声を挙げたためか、理事のみなさん(堂故委員長、上月議員、田名部議員、紙議員)の叡智で審議日程が1日加算されたようです。超多忙な国会なのに、国民としては感謝です。うれしいです。

 

団体の要望

●日本熊森協会

国有林内の人工林は232万ヘクタール。一方、戦後の拡大造林政策によって皆伐された奥山原生林の面積は628万ヘクタール。自然保護団体である日本熊森協会としては、豊かな森を造るクマなどの大型野生動物が棲める水源の森を取り戻したいので、国がこの度、民間企業に頼んで国有林内の人工林を皆伐するのであれば、伐採跡地にはまたスギやヒノキを植えるのではなく、原則として、植えない森造りで全てを天然林に戻してもらいたいと願っています。

広葉樹林化及び針広混交林化等の多様な森林づくりを推進するという言葉が付帯決議に入ったことは、室谷悠子会長らによるロビー活動の成果だと思います。

 

●自伐型林業推進協会

皆伐と再造林のサイクルでは一時的な収益確保にしかならず、不足している林業人材の育成は極めて困難である。大規模山林分散型の多間伐林業を推進すべきである。(熊森も全く同感です)

 

四国クマ生息地ツアー参加者唖然 徳島県の奥山にクマの生息環境なし 天然林までもが大崩壊 

2019年5月26日、日本熊森協会は、人工林率63%の徳島県のクマ生息地を見に行くツアーを組みました。

午前9時、徳島県那賀町の四季美谷温泉(標高400m)に集合。

 

四季美谷温泉駐車場。この谷の奥が剣山。

 

うれしいことに、徳島新聞のツアーお知らせ記事を読んで7名の方が、外部から参加してくださいました。

熊森協会からは、会長、名誉会長、本部職員2名以外に、赤松正雄顧問、元徳島県木頭村村長の藤田恵顧問をはじめ、徳島県・高知県・愛媛県の熊森会員が参加、その他那賀町の知人たちも参加してくださり、総勢35名のツアーとなりました。

 

一車線の剣山スーパー林道を車で走り、四国第二峰の剣山(1955m徳島県)をめざします。

剣山スーパー林道は9割が舗装されており、地道の1割も平らに整備されていました。

徳島県は、こんな山奥にまでと、信じられないぐらい人工林が多い県です。

崩れている人工林もありました。

 

上の人工林が崩れている

 

標高1200mまで来たところで、剣山が見えてきました。

待望の針広混交林が現れました。広葉樹はブナやミズナラなど、針葉樹はシコクシラベ(シラビソの変種)やモミなどです。

 

標高1500mの奥槍戸山の家に到着。車はここまでです。

藤田顧問が怒りを込めて語られました。

石の上に立って語る藤田顧問

 

「ここは、クマが高密度に住んでいた地域で、かつて直径1メートルを超すブナやミズナラの巨木の原生林だったんです。50年ほど前に、戦後の拡大造林政策で、ここから見える全ての山々の木が、尾根まで二束三文のパルプのために皆伐されました。伐採後、スギを植えたけれど、山が崩れたりして根付きませんでした。山の保水力が失われ、川の水量も川魚の種類や数も激減してしまいました。とんでもないことになってしまったのです。放置していたら、そのうち今のように一見、針広混交林に一部は戻りました。しかし、全て2次林であり、原生林ではありません。細い木ばかりです。内部には下層植生がありません。とうとう森に戻らなかったところもあります。奥山は急斜面な上、土壌も脆弱で、気候条件も悪い。何千年何万年と気が遠くなるような長い年月をかけて形成されてきた原生林をいったん伐ってしまうと、もう元の森には戻らない。全て元凶は拡大造林政策です。」

 

 

昼食後、徳島の方が、かつての天然林がわずかに残っており、クマの冬眠穴もあったと言われる山に、みんなで入って行きました。山の中に入ってびっくりしました。シカのお口が届くところまで、緑が全くありません。ブナ、ダケカンバ、ツツジ、ヒメシャラ等の木はところどころに残っているのですが、下層植生がほとんど何もないのです。15年前までは、2mを越えるスズタケで一面が覆われていて、やぶ漕ぎをしないと進めなかったそうです。何という変わりようでしょうか。スズタケは完全に消えており、背の低いミヤコザサにとってかわられていました。山全体が乾燥してカサカサです。あちこちで木が枯れています。

 

ディアラインがくっきりと出ている山の中

 

1時間ほど山を登り続けましたが、歩けども歩けども、クマが生息できそうな森もクマの痕跡も皆無です。この山は大崩壊しつつあると感じました。四国の山に詳しい方に聞くと、ここだけではなく、四国では一見、針広混交林のいい森に見える山の中も、今や全てこうなってしまっているということでした。四国の山は元々海底で形成された岩石の山です。雨が降るたびに表土が流れ落ちているようで、岩盤がむき出しになってきていました。たとえ植林しても、もう元の森に戻すことは無理なのではないかと感じました。

 

次郎笈(1930m)の森林限界となっている頂上が見渡せる標高1700mまで登りましたが、かつての原生林は、完全に消えていました。こんな隠れ場所のない山に、怖がりのクマがいるわけありません。今回は、クマの痕跡や巣穴を見ることができると地元の方から聞いて、ツアーを組みましたが、結局、ご参加いただいた皆様にお見せすることができず、申し訳ございませんでした。四国のクマの最後の生息地といわれている剣山周辺までもが、いかにクマが棲めない場所になってしまっていたかが分かりました。

 

四国の奥山は、クマの食糧にならないスギやヒノキの植林で埋め尽くされているだけではなく、残された自然林も大荒廃していることが分かりました。

 

森が消え芝生のようになったミヤコザサの上で最後の記念撮影

 

熊森から

絶望的な、四国のクマの生息地を見てしまいました。5年前に、このあたりの山に来られた方が、1200mより上のササは死んでいなかったと証言されていましたので、ササ枯れが猛スピードで進んだ結果だと思われます。犯人はシカということにされていますが、地球温暖化で昼夜の気温差が大きくなったことも、ササ枯れを引き起こした原因だと言う研究者もおられます。ならば、人間も原因です。

兵庫県でも京都府でも、同様の奥山大荒廃が進んでおり、クマを初めとする野生動物たちは生きられなくなり、奥山を出て、里山に集結しています。里山の植物は、地球温暖化の影響を受けにくいため、里山には豊富な食料があるからです。

私たち人間は、日本の山が、奥山から大崩壊していっていることを知って、かつての保水力豊かな山をどう取り戻すのか、奥山の動物たちの絶滅をどう止めるのか、真剣に考えねばなりません。(完)

3月15日  片山大介議員、参議院予算委員会で、森林環境税についてご質問

片山大介議員は、現在、森林環境税法案が審議されている総務委員会に所属しておられません。しかし、何とか質問できないかと熱い思いを持って下さり、予算委員会でご質問くださいました。

 

以下、2019.03.15 片山大介議員 予算委員会質問要旨

(文責:熊森)

 

片山大介議員:森林環境税と森林環境譲与税について聞きたいと思います。

森林環境税というのは、全国の住民から毎年1000円徴収して、そのお金を全国の自治体に交付して、森林整備などに役立ててもらおうというものです。

まず森林環境譲与税が平成31年度からスタート、森林環境税はその5年後の平成36年度からスタートです。

譲与額は3段階になっていて、最初の3年間が200億円、次の3年間が300億円、そしてそれ以降は600億円になっています。

そもそも1000円とるということにした理由を説明していただきたいんですが。

 

石田総務大臣:お答えさせていただきます。

森林環境税の税収規模を検討するにあたりまして、必要な森林整備やその促進に要する費用等につきまして林野庁から年間600億円程度が必要との試算が示されたところでございます。

国民の皆さんに広く均等にご負担を求める観点から、個人住民税均等割りの枠組みを活用することと致しました。

その納税義務者数は6千万人強ということで見込んでおります。

そういうことから、年間1000円にしたところであります。

 

片山大介議員:じゃあ林野庁に聞きます。600億円は本当に必要な額なのか。十分なのか。

 

農林水産省牧本林野庁長官:お答えを申し上げます。

条件が不利な私有林では経営力の低下などによりまして、従来の施策のみでは適切な間伐等を進めることは困難となっているところでございます。

このため、そのような条件不利な私有林における間伐量を年平均10万ha程度と推計いたしまして、これに境界確定や担い手育成など、その促進に関する費用を加えまして年間600億円程度と試算したところでございます。

 

片山大介議員:現在、森林整備等を目的として37府県及び1政令市(横浜市)において、独自に超過課税(=標準税率以上の課税)が行われている。これ二重課税になるのではって話にもなっている。そこについてはどのように調整を図るつもりか。

 

内藤自治税務局長:お答え申し上げます。

府県が行っております超過課税の使途において重複する可能性がありますが、国は森林環境税を平成36年度から課税することとしておりますので、それまでの間に、関係府県において超過課税の取り扱いを検討いただけるものと考えているところでございます。

 

片山大介議員:そうすると、自らの財源で積極的に森林整備に取り組んでいる自治体ほど、影響を受けるってことになるんですよね。そうするとね、地方の自主性だとか、地方の自立性だとかそういったものを損なう懸念があります。これについて、大臣どうお考えですか。

 

石田総務大臣:お答えさせていただきます。

両者の財源の帰属主体が基本的に異なるということになってくるんだろうと思います。36年まで猶予の期間があるわけですから、この間においてそれぞれの自治体でご検討いただけるものと思っております。

 

片山大介議員:国の上から目線になっちゃうんじゃないですか。大丈夫ですか。

 

石田総務大臣:この森林環境税につきましては、地方6団体(=全国知事会・全国都道府県議会議長会・全国市長会・全 国 市 議 会 議 長 会 ・全国町村会・全国町村議会議長会)の方からも長年にわたりまして、ご要望がありました。そういうことを受けて、創設をしたものです。

 

片山大介議員:課税とその導入時期が5年違っています。これまで、このような法案っていうのは過去にあったのかどうか。

 

内藤自治税務局長:ございません。

 

片山大介議員:そこまでして譲与の方を早めた緊急性っていうのはなんなのですか。

 

内藤自治税務局長:お答え申し上げます。

パリ協定の枠組みのもとにおけます、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図りますため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設するものでございます。

森林環境税の開始時期につきましては、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するための個人住民税均等割りの引き上げ措置(=東日本大震災からの復興を踏まえて、年間一人1000円を徴収している税)が終了する時期も考慮して設定したところでございます。

 

片山大介議員:地球温暖化のことで言えばね、もっと他に緊急でやらなきゃいけないことが、実はいっぱいありますよね。

消費税が10月から10%にあがる、そしてそれからもう一つ、今その東日本大震災の教訓として全国で行う防災施策対応分として個人住民税均等割りの税率の引き上げっていうのを平成35年までやっているんですよね。それに引き継ぐ形でやってる。だからこれ良く言えばね、その負担感をちょっと和らげるためにちょっと遅らしたというのもあるけれども、悪く言えばね、ちょっと気付かれないうちにそのまま引き続いてやるみたいなね、なんかとれるところからとれるタイミングでとっていくみたいな感じもするんですけど、ここらへんはどのようにお考えですか。

 

内藤税務局長:お答え申し上げます。

国民の負担感ってことを考えました場合に、防災施策の財源を確保するために個人住民税均等割りに上乗せする措置が終了した後の平成36年度から課税を開始することとしたところであります。

 

片山大介議員:地球温暖化のことを言うんだったら、排出源として多いのはやはり産業界ですよね。法人への課税も検討すべきだったんじゃないかなと思いますがこれはどうですかね。

 

石田総務大臣:お答えさせていただきます。

地球温暖化対策は、二酸化炭素の排出対策と森林吸収源対策の両面から推進する必要があります。

二酸化炭素の排出抑制対策については、これまで自主構造計画等の枠組みの中で、温室効果ガスの排出削減を実現するとともに、平成24年度の税制改正によりまして創設されました石油石炭税の上乗せ措置も負担をしていただいており、すでに産業界からは一定の貢献をしていただいております。

地球温暖化対策は、個人・法人双方に相応の負担をいただくことになるものと考えております。

 

片山大介議員:排出抑制のことを言うんだったら、じゃあカーボンプライスはどうなっているのかって話ですよね。きちんと出来てないですし、今の地球温暖化課税だってパーセンテージは欧米に比べて低いですよね。今日は、環境省がきてないですから、これ以上は言いませんけども。

森林が二酸化炭素吸収してくれるために必要な間伐ですが、2013年から20年のまでで年平均52万ha必要だと資料にありますが、達成できたのは2013年だけです。

今回の森林環境譲与税で年52万haまで回復するのですか。試算はできているのですか。

 

牧本林野庁長官:お答え申し上げます。

厳しい財政事情もありまして、委員ご指摘のように近年、十分な森林整備の確保が出来てないというような状況でございます。

また一方、森林所有者の意欲低下などもございます。このような状況を背景にいたしまして、昨年、森林経営管理法を制定いたしました。

これを踏まえて、新たに市町村が担うことになる森林の公的な管理をはじめとする森林整備の財源として、この森林環境税・森林環境譲与税が創設されたということでございます。

 

片山大介議員:私が聞いたのは分析データがきちんとあがっているような試算が出来ているのかという話です。

 

牧本林野庁長官:基本的には、使途は、市町村等の判断ということでございます。

この税の創設によりまして、どれぐらい森林整備量があがるかとは一概には言えないところでございますけども、森林整備量の増加に寄与するということは事実かと思います。

 

片山大介議員:使い方は自由に自治体に任すだけではなく、目標達成できるような努力もきちんとしていただきたい。

 

牧本林野庁長官:今回の森林環境譲与税によりまして、従来なかなか森林整備が進んでこなかった、経済的にうまくまわらないような森林の管理をですね、市町村が中心にやっていただくということでございます。このような取り組みを通じまして、森林整備量の向上というものが図られるという風に考えております。

 

片山大介議員:今の日本の森林には、放置人工林がとても多いという話ですが、天然林に戻していくことについてはどのようにお考えですか。

 

牧本林野庁長官:お答え申し上げます。

平成28年5月に閣議決定された森林林業基本計画におきましては、地域の自然条件等に応じまして、林業に適した森林においては適切な間伐や再造林によります人工林を維持するということ、それ以外の森林は、抜き伐り等によりまして、広葉樹等の導入を図っていく。これがまさに委員がご指摘するところの天然林化ということかと思います。それから原生的な天然生林については適切に保全する、こういったことを通じまして、多様で健全な森林を育成することとしているところでございます。

尚、現在、育成単層林となっているいわゆるスギの山とかヒノキの山とかですね、これは約1000万ha程度あるわけでございますが、将来的には、この3分の1程度におきまして、広葉樹の導入等により針葉樹と広葉樹が混ざっている複層林、そういう山に転換していくことを目指しているところでございます。農林水産省といたしましては、自然条件等に応じた多様で健全な森林づくりというものに取り組んで参りたいと考えております。

 

片山大介議員:是非よろしくお願いします。自治体にはノウハウがなかったりするわけです。自治体にね、アドバイスしたりノウハウを伝えたりするようなことも国としてやっていってもいいんじゃないかと思います。

 

牧本林野庁長官:お答え申し上げます。

人工林への広葉樹の導入についてでございますけれども、これは種子の供給源となる広葉樹林からの距離などですね、自然条件に応じて伐採方法を適切に選択をしていかなきゃいけないということでございます。

林野庁都道府県におきましては、これまでの育成複層林への誘導技術等に関する各種マニュアル、技術指針等をとりまとめまして、市町村等への助言に努めていきたいと思っているところでございます。

また、森林所有者等が行います広葉樹を含めた造林保育につきましては、森林整備事業により補助することが可能ともなっているところでございます。

加えて、今後、森林環境譲与税を活用した地方団体の取り組みによりまして、条件不利な人工林における広葉樹の導入など、多様で健全な森づくりというものが一層推進されることが期待されているところでございます。農林水産省といたしましてもマニュアル等活用いたしまして、施業管理方法の周知・助言というものにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

 

片山大介議員:是非きちんとやっていただきたいと思います。

 

石田総務大臣:森林環境税の使途につきましては、各地方団体に行っていただきたいと思います。その使途につきましても、毎年度、インターネット等により公表することを義務付けることといたしておりますので、適切な使途に用いられることを担保されていると思います。

 

片山大介議員:終わります。ありがとうございました。

 

くま森から

さすが、見事に、予算委員会での質問になっていました。片山大介議員、新たな角度からのご質問をありがとうございました。

 

これはおかしい マタギ文化のない兵庫県がスポーツやレジャーとしてのクマ狩猟推奨に躍起

2018年7月30日、兵庫県農業共済会館で開催された兵庫県環境審議会鳥獣部会で、今年からクマ狩猟ひとり1頭までの制限枠が撤廃されました。
審議会では、議論らしい議論はほとんど何もありませんでした。

審議会のようす2017年度撮影分

 

議論したい熊森は、審議会に委員入りしたいと申し出ているのですが、兵庫県からずっと排除され続けています。

 

現在行われている兵庫県のツキノワグマ対応は、第3者が検証できない算出法で算出したクマの推定生息数(不確かな数字)を元に、数字に従って、クマを殺していくという、大変非科学的で残虐な対応法だと思います。(どうして井戸知事がこんな無茶を許しているのか、理解できません)

 

1991年の兵庫県のツキノワグマの推定数は60頭でした。(奥山生息地が荒廃して棲めなくなっていくにしたがって、クマ数は増えに増え続けたということで、)人里での目撃数の増加と人里での捕獲数の増加を2大因子としてコンピューターで算出したところ、2017年には、なんと347頭~1486頭、中央値918頭にまで増加したと兵庫県森林動物研究センターは発表しています。

熊森は、自動撮影カメラを用いて奥山や里山で自分たちが撮影してきた結果も踏まえて、クマにドーナツ化現象が起きている、奥山でのクマ数の激減も生息数推定に加味してほしいとお願いし続けてきましたが、いまだなされていません。

 

中央値が800頭を超えると狩猟することになっているとして、兵庫県は2016年から20年ぶりにクマ狩猟を再開しました。

捕獲上限頭数は、有害捕殺数と合わせて、生息推定数の中央値の15%となっています。

 

その結果、

2016年の兵庫県の捕獲上限頭数140頭 クマ狩猟登録者140名

ひとり人1頭までの狩猟制限あり

クマ狩猟実績4頭+有害捕殺数29頭=33頭

(この狩猟数ではクマ数は減らないなあ)

 

兵庫県では、民家のすぐ後ろが山になっているところも多く、クマは人に見つからないようにそっと遠慮して利用してきました。(これまでは、山中には捕獲罠を仕掛けてはいけないことになっていたのでつかまらなかった。)

 

2017年から兵庫県は、ゾーニングと称してクマには何も知らせず、集落から200メートル内にいるものは山中であっても捕獲罠を仕掛けて有害捕殺できるよう、いきなり、捕獲基準を変更しました。

 

その結果、

2017年の兵庫県の捕獲上限頭数134頭 クマ狩猟登録者154名

ひとり人1頭までの狩猟制限あり

クマ狩猟実績1頭+有害捕殺数34頭=35頭

(だめだ、こんなに積極的に有害捕殺やクマ狩猟を推進しても、クマ狩猟実績が1頭では、クマ数は減らない)

 

そこで、今年は、

2018年の兵庫県の捕獲上限頭数137頭

(今年は5月6月の2か月間だけで、すでに20頭ものクマを有害捕殺しています)

(どうしたら、もっと殺せるだろうか。)

そうだ、ひとり人1頭までの狩猟制限を撤廃しよう!

 

兵庫県森林動物研究センターの研究者たちと兵庫県鳥獣対策課の担当者たちの間で、以上のような経緯があったのではないでしょうか。

 

元々、兵庫県にマタギ文化はありません。

兵庫県が2016年にクマ狩猟を再開しようとしたとき、当時の審議会で、兵庫県の猟友会の代表の方が驚いて、(県からの相談は何もなかったようです)、「私は(クマ生息地)で40年間も狩猟してきたが、クマを獲りたい者なんてひとりもいないですよ」と、発言されました。

私たちには、兵庫県行政が狩猟者に無理やりクマ狩猟を強要しているようにしか見えませんでした。

 

私たちは、このような兵庫県のクマ対応を、全く理解できません。

コンピューターではじき出した仮想数字をもとに、クマの命を、どんどん奪っていっていいものでしょうか。

数字を使えば科学的だと勘違いされているのではないでしょうか。

 

人里でのクマの目撃数が増えたのは、確かに問題です。

しかし、戦後造林した広大な人工林が成長して内部が砂漠化しており、2000年以降は、かろうじてクマたちの生息を支えていた自然林の下層植生までもが広範囲にわたって消えていきました。今や兵庫県の多くの自然林の内部は野生動物たちがいない公園のような状態になってしまっています。身を隠していたい臆病者のクマにとっては、隠れるところがありません。

また、夏のクマの食料である昆虫が、地球温暖化のせいか激減しています。クマたち野生動物が、生きるために過疎化高齢化した食料豊富な人里に出て来るようになったのは当然です。そして、人や車に慣れていくのです。

すべて人間がこのような状況を作ってしまったのです。

 

人里でのイノシシ罠やシカ罠へのクマの誤捕獲数が増えたのも、問題です。

しかし、クマが大好きな米糠を入れた罠をどんどん人間が人里に設置していっているのですから、何キロも先からクマたちが糠の発酵臭を察知して里に集まって来るのは当然です。

 

 

森の中を動き回るクマの正確な生息数なんて、人間には絶対にわかりません。

何頭いたっていいじゃないですか。

今、大事なことは、クマたちがどうしたら昔のように山の中に戻ってくれるかだと思います。

熊森は、いろいろな提案をし続けてきましたが、今の兵庫県にはほとんど耳を貸していただけません。

 

熊森が止めれば止めるほど、兵庫県はますますむきになり感情的になって、クマ狩猟を推進しようとしているように見えます。

 

そもそも、我が国にとって、1999年の環境省のワイルドライフマネジメントの導入が、失敗でした。

殺すことによって野生動物の生息数を人間が思うような数にできるという錯覚は、自然とは何か、生命尊厳とは何かが全く分からない人たちが考えた机上の空論だと思います。自然界は無数の生物による絶妙のバランスの上に成り立っており、人間が管理できるような単純なものではありません。

 

 

日本の野生動物対応は、奥山生息地の再生に重点を置き、あとは自然界に任せるものに変えていくべきです。

一般市民は多くの研究者や行政マンと違い、まだ他生物への共感や共存本能を失っていません。

市民が声を挙げる時です。

 

4月14日(土)第2回 くまもりサロン開催 「地球温暖化と自然」

本部スタッフが進行係となり、最近の地球温暖化研究の紹介と野生動植物への影響について問題提起しました。

 

温暖化は野生生物にどのような影響を与えているのでしょうか。

 

生物には、「温周性」「光周性」があります。

「温周性」とは気温に影響される生物の性質です。

昆虫などの変温動物は、最近の温暖化によって活動時期が早くなっています。

 

一方、「光周性」とは日射に影響される生物の性質です。

これら光周性生物は、地球温暖化にあまり変化を受けません。

従って、温暖化すると昆虫の孵化の時期は早くなったのに、植物の若葉や花の時期はこれまで通りであるため、葉を食べたり花蜜を吸ったりすることができなくなります。その結果、昆虫が消えたり虫媒花植物の受粉がうまくいかなくなったりします。

これが、今、日本の自然界における生物の多様性を貧しくする大きな原因となっています。

 

<参加者の感想から>

Fさん:林業の村で育った。昔もスギの人工林はあったが、1ヘクタールあたりの苗木が500本くらいだったので、自然と針広混交林になっていた。戦後の拡大造林は1ヘクタールあたり3000~5000本の苗木を密植し、その後放置した。これが諸悪の根源。最近も大分県で山が崩れたが、新聞報道には、人工林の字の字も出ていない。地下水や岩盤劣化などが原因とある。地下水や岩盤劣化がない山なんてあるのか。

S1さん:生命は環境に適応して進化してきた。人類だけが環境に適応せず、環境を改変して生きていこうとしている。

Mさん:アル・ゴアが言った「環境問題は経済ではなく、モラルの問題です。」という言葉が好き。人間のモラルを立て直していかねばならない。

K1さん:子どものころと比べると、台風の数が減ったように感じる。回数が減って1回当たりの規模が大きくなる。これも温暖化の影響か。

K2さん:1961年の地球人口は30億人だった。今は70億人を超えている。機械文明は進んだが精神文明は進んでいない。これが環境問題に皆が取り組まない最大の理由だと思う。

S2さん:都市部に人間が集中しすぎている。無駄なエネルギーを使わない、ゆったりした暮らしができる社会をめざせばよい。

K3さん:地球の健康を取り戻すのは人間の仕事、地道な活動に意義がある。

U:地球の温暖化の原因は二酸化炭素だけでなく、メタンや一酸化二窒素、フロン、水蒸気などもある。モデルによる予測もどこまで正確かはわからない。しかし、二酸化炭素の排出を減らして、少しでも温暖化を遅らせていく努力が必要だ。

森山名誉会長:若い世代は、昔を知らないので、本来、自然とはどういうものなのかわからない。今の状態が異常であることを、若い世代にどう伝えていくかが問題だ。4月28日の熊森全国大会では、熊森が育ててきた若いスタッフたちを前面に出すので、いろんな人を誘ってぜひ参加してほしい。

 

次回のくまもりサロンはは6月9日(土)です。

 

4月14日(土)第2回くまもりサロンのお知らせ

くまもり本部にはこれまでに活動で知りえた、多くの画像・知見があります。

そこで、皆様と一緒に現在の自然環境について学び、語り合う場、「くまもりサロン」を始めました。もちろん、非会員の方も大歓迎ですので、お友達を連れてきてくださると嬉しいです。

参加は無料ですが、席が限られておりますので、事前に申し込みをお願いします。

第2回のテーマは「地球温暖化~その原因と自然環境に与える影響~」

ファシリテーターは事務局のUです。

日時:4月14日(土)13:00~15:00(予定)

場所:くまもり本部事務所3F 西宮市分銅町1-4

(自家用車来られる方は事前にご相談ください)

内容:地球が温暖化すると、自然環境にどのような影響があるのか

地球温暖化の原因は何なのか

地球温暖化を防ぐためには私たちは何ができるのか

皆で語り合いたいと思います。

参加費:無料

定員:10名(要予約)

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