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カテゴリー「くまもりNEWS」の記事一覧

北海道島牧村で新たに現われたヒグマ、誘引物除去と電気柵で対応を

今夏、相次ぐヒグマの出没で揺れた島牧村でしたが、この1か月間、ヒグマの目撃も出没も収まっていました。

島牧村の位置

しかし、9月20日の朝5時と夜9時に、千走漁港の近くで、これまでとちがう新たな若いオスのヒグマの出没がありました。

その後、9月21日、22日、23日、24日、25日と出没が続いています。

島牧村の村木はブナで、村の奥には有名なブナの原生林が残っており、そこから出て来たのかもしれません。

このヒグマ、9月22日の午前0時30分、23日の午前2時、何と、接岸している漁船に乗り込んで、エビ釣り用の餌のホッケを食べてしまったのです。

 

このヒグマは、人目を避けて、夜遅くか早朝に動いています。人間を恐れているヒグマです。このタイプのクマは、人身事故を起こしません。

 

熊森本部は、さっそく島牧村の役場に電話をして、「大変だと思いますが、ホッケを屋内の冷蔵庫にしまってもらえないでしょうか。それができないのであれば、このヒグマはホッケの味をしめてしまったので、門崎允昭顧問がいつも言われるように、クマに電気柵は有効ですから、電気柵を張って漁船の防除をしてもらえないでしょうか」と、お願いしました。

 

テレビニュースでは、島牧村では今年度分のハンターの報酬金を使い果たしてしまったので、ハンターが出動できないと報道されていました。しかし、熊森が役場の方に電話でお話を聞くと、報奨金が底をついたのは本当だが、そうも言っておれないので、今後、報奨金を工面することを約束して、出動してもらっているということでした。

 

今年すでに数頭のヒグマを駆除した島牧村では、今のところこのクマを有害駆除する予定はないそうです。ハンターのみなさんは、このヒグマの侵入経路を調べたり、花火や爆竹でこのヒグマを追い払ったりされているようです。

 

25日にもクマが出て来ているようです。熊森は、今後も島牧村に電話で状況を聞き取り、適切な被害防除対策やヒグマ対応を提言していきます。

 

 

 

 

 

 

兵庫県、今年のクマ大量捕殺を可能にしたまさかのしくみ

今回は、兵庫県で8月末までに、前代未聞43頭もの大量のクマが捕殺された謎に迫ります。

 

熊森の森山名誉会長は、貝原知事時代の2001年から井戸知事時代の現在まで18年間、兵庫県の野生鳥獣保護管理協議会の委員を務めており、1回の欠席もなく全出席してきた最古参委員です。しかし、その森山名誉会長ですら、どうして突然、これだけの数のクマが夏までに大量に捕殺されたのか、さっぱりわからないと言います。

 

熊森本部は、私たちに情報を公開してくれない県鳥獣対策課に業を煮やし、疑問解明のため、クマ生息地を訪れました。

 

地元で見聞きしたことは、初めて聞くまさかの連続でした。そして、43頭ものクマが捕殺された原因が見えてきました。

 

現地では、去年の7月から、県の指示でクマの捕殺方法が突然変わったということです。

兵庫県は昨年、集落や田畑(山中に点在するものも含む)から、200メートル以内ならば、山中にいるクマを捕殺して良いと勝手に決めました。(無茶苦茶だと思いますが、これは私たちも知っていました)
ある地元の元猟師は、「集落の裏山は昔からクマの生息地だで。200メートルの根拠は何なのか。今は山中に施設もいろいろとできており、そこからも200メートルというと、クマはもう山にいてはいけないことになる。」と憤っていました。

 

今年は4月の時点で、県から地元に、クマの捕殺許可頭数が前もって割り当てられたそうです。(まさかー)

その数は、合併前の1旧町あたり、30頭ぐらいだそうです。(そんなー)

単純計算すると、春の時点で、兵庫県内で約800頭のクマ捕殺許可が県から降ろされたことになります。

4月ですから、まだ、農作物をはじめ何の被害も出ていません。

集落の区長が「クマが怖い。罠にかかったクマは殺してほしい」という方の選択肢に〇を付けたら、これでクマによる精神被害が成立し、捕殺許可がもらえるのだそうです。

 

山中には現在、シカやイノシシを無制限無差別に捕獲して、掛ったらすべて殺処分する膨大な数の鉄製の箱罠が仕掛けられており、ヌカなどの誘引物が入っています。

2年前までは、山中にいるクマは捕獲対象から外されていましたから、もしこの罠にクマがかかったら誤捕獲として放獣されていたはずです。

しかし、去年7月からは、市町から許可を得たシカ・イノシシの捕獲わなに、兵庫県が許可したクマという札をつけて、シカ・イノシシ・クマの共同捕獲罠に転用していいことになったそうです。

 

捕獲許可の札が2つ付いているのが、シカ・イノシシ・クマ共同捕獲罠、800基設置?

 

クマはヌカの発酵臭に強力に誘引されますから、山にいるクマを山中に設置した共同捕獲罠に引き寄せて、かかったら問答無用ですべて殺処分するようになったのです。(県はこのような補殺方法の変更を、県の協議会でも、審議会でも出していませんから、県民はもちろん、委員ですらほとんど誰も知らないと思います。)

もちろん、クマによる農作物被害などが生じた時は、これまで通り、ドラム缶檻で捕獲して有害駆除する捕殺法も、同時進行です。

クマの札が付いていない箱罠や、くくり罠に誤捕獲されたクマは、今も放獣しているそうです。

 

クマは大変臆病な動物ですから、今や、人工林や下草が消えた奥山天然林より、過疎化高齢化で放置されて藪が生い茂っている里山の山中の方が姿を隠せて安心できる場所です。

 

そこに突然、クマに何の警告もなく、ヌカが入ったおびただしい数のクマ捕獲罠が設置されたのですから、クマの目撃は増えるでしょうし、次々と罠にかかって殺処分されていくクマがあとをたたないのは当然です。(県はそんなことを指導していたのか)

 

そのクマは臆病で、人間の所には絶対に出て行かないと決めた、人間に被害を及ぼすことのないクマだったかもしれないのですが、そんなことは問答無用です。

 

罠にかかったクマは、子グマであっても、銃か、麻酔+電気ショックで、殺処分するそうです。

 

こんな補殺方法に変わったのなら、8月までに43頭捕れるね。

私たちは納得しました。

クマへの共感や思いやりのなさで、兵庫県は、全国ワースト1になってしまいました。

もはや有害捕獲ではなく、シカ・イノシシ同様、クマの個体数調整捕獲が始まっていたのです。

 

ただし、県内クマ捕獲数が生息推定数の15%にあたる137頭を超えないように、歯止めはかけられているということです。

地元は、クマを捕殺するたびに、兵庫県森林動物研究センターに連絡しており、センターは137頭に達したら、罠にかかったクマを放獣する体制に切り替えるそうです。

 

生息推定数918頭、15%までは獲って良い、県内生存推定数800頭以上は狩猟可、集落200メートル以内なら山中にクマ捕獲罠を掛けてヌカで誘引して無差別捕殺して良い。すべて人間が考えたどこまで正しいかわからない数字に従って、他生物の命を人間が機械的に操作しているだけです。

 

兵庫県はクマと人間の棲み分けを図るとクマ管理計画に書いていますが、実際に兵庫県がしているこのような野生動物対応は、棲み分けとは到底呼べません。

人間の他生物に対する倫理観は、こんな程度でいいのでしょうか。

 

私たちは、クマだけでなく、山の中にいて人間の所まで出てこない動物まで、人間が山中に入って行って殺すのは行き過ぎだと思います。みなさんはどう思われますか。しかも、一方で、私たち人間は、奥山を動物が棲めないまでに大荒廃させたまま放置しているのです。

 

問答無用で殺されていく野生鳥獣たちの哀しい叫び声が聞こえてきます。

 

10月13日の「兵庫県クマ狩猟3年目と大量捕殺を考える会」に、ぜひ、みなさん、お集まりください。

野生鳥獣との共存について根本的なことから考え直しませんか。地元の方の声も聞いてみましょう。

日本は歴史のある国です。祖先はどのように対応して、全ての野生鳥獣と共存してきたのでしょうか。

歴史から学ぶことも大切です。

 

<兵庫県クマ問題を考える会>

14:00 ~16:00(13:30開場)
尼崎商工会議所 502号
兵庫県尼崎市昭和通3-96(阪神尼崎駅より北へ徒歩5分国道2号線沿い)

 

p.s ただ一つ、地元を回って私たちが救われる思いがしたのは、「クマなんておとなしい動物じゃ、山中にいるのまで殺さんでいい」といって、クマ捕殺申請を出さなかった集落がいくつかあったということです。クマの本当の姿を知っている人たちが、まだいたんだ。

とどまるところを知らない?兵庫県のクマ有害捕殺数 2018年8月末すでに43頭捕殺

開発や大荒廃で奥山にクマが棲めなくなっている兵庫県で、2018年度8月末までのクマ有害捕殺数が、過去最大43頭にまでのぼっています。

 

兵庫県はこれまで、山中にいるクマは有害捕殺しないと決めていましたが、2017年からは集落200メートル以内は山中でも捕殺対象とすると変更しました。クマはそんなことはわかりません。

 

それ以前の2015年と2016年のクマ有害捕殺数の合計と、有害捕殺基準が変更された2017年と2018年の8月末までのクマ有害捕殺数の合計をグラフにしてみました。

 

 

熊森本部は今年、兵庫県のクマ有害捕殺が暴走していることに気づき、7月12日、3名で兵庫県庁を訪れ、どのような基準で有害とみなしているのかなど、担当部署に調べていただくようにお願いしました。

残念ながら、2か月たってもお返事がいただけません。

 

兵庫県の行政は、どうやって県内のクマ数を減らそうかと躍起になっているように見えます。

 

2017年度は、体重4キロの子グマまで有害捕殺していました。

どこが有害だったのか担当者に尋ねると、追い払っても逃げず、集落に1週間籠城したから有害とみなして捕殺したということでした。

きっとこの子グマは、何らかの事情で母グマと別れて、どうしたらいいのかわからなかったのだと思います。

毎年お願いしているにもかかわらず、熊森には何一つ、連絡もありませんでした。

生きていくすべも知らずに途方に暮れている4キロの子グマを、集落に籠城した有害動物とみなす動物観が信じられません。

 

兵庫県は他府県と違って、私たちがクマ情報を公開請求しても、隠そうとされるので、本部としても何が起きているのかよくつかめません。

 

去年までは神戸新聞地元版にはクマ目撃情報が出ていましたが、今年からはなぜか、それすら消えてしまいました。

クマ目撃情報は、熊森だけではなく、地元のみなさんにも必要な情報のはずですが。

以前はよく新聞に載っていたクマの捕殺数や地元の声などの記事も、今は一切載らなくなっています。

県民は、何が起きているのか、気づくことさえできません。

 

兵庫県は、クマが爆発増加したとして、2016年からクマ狩猟を再開しました。

毎年百数十名の狩猟者に、クマ捕獲許可を与えていますが、ひとり1頭までという制限が付いていました。

今年の狩猟期からは、ひとり2頭までに変更ならまだしも、なんと突然、この制限を撤廃してしまいました。

 

ここまでクマ捕殺を進めようとするのなら、私たち自然保護団体はもちろん、県民にも丁寧な情報公開が必要ではないでしょうか。

 

ちなみに、2017年度の兵庫県内のクマ狩猟数は1頭でした。

兵庫県が発表されているように、県内のクマが918頭にまで爆発増加しているのなら、クマ狩猟数1頭をどう説明されるのでしょうか。

 

兵庫県のクマ推定生息数の計算方法について疑問を持たれた統計学の専門家が、検証したいとしてコンピュータープログラムを情報公開請求したところ、兵庫県は拒否されたそうです。

 

民主主義の基本は情報公開にあります。

また、公務員は公僕のはずです。

兵庫県が他府県並にクマ情報を出してくださるよう願いたいのですが、みなさんはどう思われますか。

 

 

 

 

9月9日(日)姫路市の会員が企画した森林環境税の学習会で、室谷会長と本部スタッフが講演

1か月程前に、姫路市在住の熊森会員から「森林環境税の署名をもっと多く集めたいので、姫路市で勉強会を開きたいです。会場を用意しますのでぜひ、講演しに来てください。」と熊森本部に電話がありました。

詳しくお話をおききすると、その会員はダンススクールの講師をされていて、スクールに通われている受講生の方々が森林環境税の署名をもっと集めたいということで、日本の森がどんな現状なのか、森林環境税の仕組みとはどんなものなのかを皆で勉強したいということでした。

熊森としても、森林環境税についてもっと多くの市民に知っていただけるためには、どうしたらいいのかと考えていましたので、とても嬉しいお話でした。

9月9日(日)、姫路市の熊森会員のダンススクールにて、森林環境税の学習会を行いました。

この日はあいにくの天候で姫路市内は大雨洪水警報が発令され、JRも一時運休している状況で学習会が無事に開催できるか心配でしたが、15名の方がお集まりくださいました。

15名中、熊森会員は4名でほかの皆さんは姫路市やたつの市在住の一般の方々です。

学習会の様子

室谷会長の「スギやヒノキの人工林は保水力が乏しく、各地で水枯れや土砂災害が起きています。姫路市の水道は夢前川と市川という2つの大きな川を使っていますが、どちらも水源域は広大なスギ・ヒノキ人工林です。」という話に、皆さん驚かれていました。

クリックすると大きく見られます

今回の会を企画してくださった熊森会員と、ダンススクールの受講生さんで、姫路市在住の方を中心に130名の署名を集めてくださっていました。署名はご家族やご友人の方や駅前など人通りのある場所で集められたということです。ありがとうございます。

講演後の意見交換会で、参加者の方々からは

「本日の学習会の内容を、SNSで広く拡散してこの問題を知っていただきたい。」

「市内の環境イベントや駅前などの人が多くいる場所で、署名活動を行いたい。」

「うちの地元の議員さんにもこのお話をしたい。」

という声がありました。

ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございます。この学習会を機に、姫路市でもご参加くださった皆様と一緒に署名活動をどんどん広げていきたいですし、このような学習会を全国で、地元議員や一般市民の方々を対象に行っていきたいと思います。

全国の熊森会員の皆様、ならびに日本の森の行く末を案じておられる皆様、ぜひ熊森本部までお問い合わせください。

日本熊森協会本部

電話:0798-22-4190

FAX:0798-22-4196

mail:contact@kumamori.org

 

自然農に取り組むみなさんに、名誉会長が講演 「クマが教えてくれた日本の森の危機」

人間より力の強いクマという動物が日本にいてくれて、本当によかったと思います。

私たちは、クマが次々と山から出て来るニュースを見て、どうしたのだろうと調べ出し、初めて奥山の大荒廃に気付いたのです。

他の動物もたくさん山から出て来ていますが、かれらはニュースにならずに殺されて終わります。

クマが山から出てきたらニュースになるのは、人身事故が発生する恐れがあるからです。

 

8月26日、名古屋で約300人のみなさんが、森山名誉会長の「クマが教えてくれた日本の森の危機」という70分講演を聞いてくださいました。

講演後、多くのみなさんが、日本の山がこんな大変なことになっているなんて全く知らなかった、教えてくれてありがとうございます。とてもよくわかりましたと、喜んでくださいました。

 

お話を聞いてくださったみなさんは、自然農に取り組んでおられるということで、自然林をこの国に残すことの大切さがストンと胸に落ちたと言われていました。

自然農を大切に思うみなさん、自然林を大切に思う私たち、みんなつながって大きな力になっていきたいです。

 

講演後、みなさんが自然農で作られたお米やお野菜を使って昼食を用意してくださいました。

 

 

どれもこれも自然農のお野菜は香りも良くて、本当においしかったです。

お腹いっぱいになりました。

元々日本人はこのような食事を続けることによって、健康を保ってきたのだと思います。

学校給食にもこのような和食を取り入れていただきたいです。

西洋のまねばかりするのではなく、何を食べて生きればいいのかという長年にわたる民族の知恵を、みんなで取り戻していきたいと思いました。

 

講演会をセットしてくださったみなさん、参加してくださったみなさん、昼食を作って下さったみなさん、大変お世話になりました。

どうもありがとうごいざいました。

イケア 使い捨てプラスチック一掃へ 店舗とレストランで全廃

以下、ロンドン(CNNMoney)より

 

スウェーデンの家具大手イケアは7日、傘下の店舗やレストランで2020年までに、使い捨てプラスチック製品を全廃する計画を発表した。

店舗では段階的に、使い捨てのプラスチック製ストローや皿、コップ、冷凍用ポリ袋、ゴミ袋、プラスチックでコーティングした紙皿や紙コップの販売を中止する。

レストランでも、プラスチック製の食器やストロー、カップ、マドラー、調理済み食品容器の使用を取りやめる。

使い捨てプラスチックの一掃は、2030年までに人と地球にポジティブな影響を与えることを目指す同社の持続可能性戦略の一環として打ち出した。

2020年までには、調達するエネルギーの100%を再生可能エネルギーとし、製品には再生可能素材やリサイクル素材のみを使うことを目指す。

プラスチックは低コストで幅広い用途に利用できることから、過去50年で利用が20倍に増え、今後20年でさらに倍増する見通しとなっている。

しかし環境に対する負担も増大し、世界の海に存在するプラスチックの重量は、2050年までに魚の重量を上回るという予想もある。

世界的にみると、リサイクル用に回収されるプラスチックはわずか14%のみ。紙の58%や鉄鋼の90%に比べると著しく低い。

欧州連合(EU)は先日、プラスチック製ストローや食器類などの使い捨て製品10品目を禁止する提案を発表した。

 

熊森から

まず、イケアの英断に、心から拍手を送りたいです。ストローだけではなく、食器も容器もみんな、プラスチックをやめるべきです。

また、欧州連合(EU)の提案にも、意を強くしました。

 

日本でも、もう26年前ぐらいになると思いますが、ザ・スクープというテレビ番組で、プラスチックやビニールが、魚やカメ、クジラなどのほとんどの海洋生物の体内に餌と間違って取り込まれており、彼らの命を奪う大変な事態となっていることが報道されました。

熊森もプラスチックの問題はずっと気になっていましたが、森の問題で手がいっぱいで、残念ながら海の問題まで手が回りませんでした。

 

プラスチックは確かに便利ですが、便利さと、母なる地球の生態系を破壊してしまうのと、どっちが大切かわからないようなら、人類は愚かの一言に尽きます。

海洋生物がクラゲと間違えて食べて死んでいくのを知っても、使用をやめないのなら、人類は残酷の一言に尽きます。

 

みんな、テレビニュースを見て、これはいけないと思ったはずですが、なかなかひとりでは声を挙げられないし、どうしたらいいのかもわからないものです。

オウムの事件などがあったからでしょうか。日本人は団体に属することに警戒心が強く、その団体がいいことをしていると思っても、ほとんどだれも入会しないという傾向が強いです。

しかし、みんなで声を挙げないと、世の中はよくなりません。プラスチック問題がテレビで放映されてから26年もなるのに、いまだに日本から使用禁止の声が上がらないのは、自然保護団体が全くと言っていいほど育っていない国だからだと思います。

 

確かに、問題のある団体もあるでしょうが、良く調べていただいて、いいなと思う団体には積極的に入会すべきだと思います。一人では無理でも、会としてなら声を挙げやすくなります。世の中を変えていける力を発揮できます。

 

日本熊森協会にも、もっともっとたくさんの方がご入会いただき、どこかのひも付きのお金ではなく、ひとりひとりの利権のない会費で協会を支えていただきたいです。

テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く」に、熊森が番組改善提案

<熊森は、以下の感想をテレビ東京に送らせていただきました。みなさんも、テレビ東京に声を届けてください。>

〒106-8007

東京都港区六本木3-2-1

六本木グランドタワー㈱テレビ東京ホールディング

「池の水ぜんぶ抜く」制作責任者様

TEL:03-6635-1771(代表)

 

番組は90分間もあり、たくさんの芸能人や子供たちがワイワイきゃあーきゃあー言って動き回り笑い合っていました。このような番組を集中して終わりまで見るのは相当疲れましたが、とにかく2018年7月22日放映分を、初めから終わりまで、ネットで一度、初視聴してみました。

 

この番組には、功罪2つの側面があると思いました。

 

功の面は、魚獲りをしたこともない芸能人や子供たちに、池の水を抜いて魚を獲りやすくしてやり、魚やカメを獲らせてやっていることです。人間も動物ですから、逃げ惑う生き物を追いかけて知恵比べをしながら獲ることを楽しいと感じる本能を有しています。

また、獲った獲物について、専門家が一つ一つ解説をしてくれます。これは、知的好奇心をそそるもので、私たちが見ていても楽しい部分です。

 

しかも、泥沼に沈み込んで危険と隣り合わせの上で獲らせたりもしています。ヒヤヒヤはらはらさせて冒険心をあおって楽しませています。あー楽しかったと参加者たちも最後に言っていました。確かに安全の中でしか生きて来なかった若い人たちにとっては、スリルもあって楽しかったんだと思います。

 

生き物に触れ合える場を番組が作ってあげたのは、いいことでしょう。(ただし、若い女性タレントに胸まで泥沼にめり込ませて獲らせていたのは、危険極まりないです。その部分の沼底が背丈を超えて深かった場合、全身が沈んでいく恐れがあり、そうなったら、もう誰も助けられなかったと思います。事故が起きなかったのは幸いでしたが、あの泥の深さまで行かせるのは、今後、絶対にダメです)

 

 

 

もう一つの罪の面は、やはり、<外来種=殺すべき対象>という、カルトと言っていいまでの誤った思想を、科学的検証もせず垂れ流しにしていることです。若い男性タレントが、獲った魚を観察した後、「(水に)もどしてあげていい?」とスタッフに尋ねていました。他生物に対する人間の共感本能からは、これまた当然の発言です。しかし、そこに、「外来種だからだめ。生態系に悪い影響を与える。在来種を守るために駆除しなければならない」という答えが何の解説も検証もなく提示されるのです。そして、最後のまとめは、心無い誰かがペットの外来種を自然界に放したために、日本の生態系が破壊されたのですと、個人を悪者にしています。

 

しかし、こんなことになった責任は、外来種が自然に逃げ出すこともあるし、飼い主が家庭内の狭い飼育環境をかわいそうに思ったり、飼いきれなくなったりして自然界に逃がす恐れがあることなども十分知りながら、儲けるために輸入し続ける無責任な輸入業者や、それを許している無責任な環境省にあります。本当に責任を問われなければならない悪は、後者の方であるのに、個人の責任までに止めてしまっているのはダメでしょう。

 

また、今さら日本の生態系から外来種だけを全部取り除くことなど不可能なのに、この番組は、みんなで毎年外来種を捕獲して殺し続ければ何とかなるという一部の研究者たちが考えた誤った思想を広めることに無批判に加担しています。池を2か月間干して、獲り切れなかった外来種を駆逐すると番組のリーダーのような方が叫んでおられましたが、同時におびただしい在来種も昇天させられていますから、この部分には嘘があります。

 

外来種を日本の生態系に放り込むということは、もう人間がその後何をしても取り返しのつかない事態を生む大変なことのです。番組内でも、図らずも、去年もたくさん獲ったのにまだ外来種が減っていないことを示す箇所が何か所かありました。人間が獲っても獲っても、生きものは環境収容力までは増え続けて減りません。ならば、外来種根絶作戦は、無用の殺生をしてるだけなのです。(まだ野外繁殖していないなど、生態系から取り除ける時期の外来種であれば、取り除いて人間が責任を取って終生保護飼育すべきです。)

 

外来種根絶殺害に夢中になっている学者には、していることの滑稽さがもう見えなくなってしまっていると思われます。研究者とはそういう者です。しかし、多くの人が第3者としてこの番組を見ているということですから、外来種根絶殺害のおかしさ、残酷さ、無意味さに気づいて、指摘する人がこれまで出て来なかったのだろうかと、残念に思いました。

 

この番組から、外来種根絶殺害論者に利用されている部分を、取り去るべきです。第一、今の私たちの生活は、外来種と在来種が織りなした新しい生態系によって成り立っており、今さら外来種だけ外すことはできないし、そのようなことをしたら生物学者池田清彦氏(早稲田大学名誉教授)も言われているように、人間は生きていけなくなります。

 

大事なことは、外来種の輸入を止めることなのです。ミシシッピーアカミミガメはかつての10分の一に減ったというものの、今も年間10万匹も輸入されています。熊森は当初からこの問題については、外来種の輸入を止めることが一番であると、環境省にずっと訴え続けてきました。遅きに失しましたが、現在、何種類かは輸入が止められました。しかし、未だに多くの外来種が我が国では合法的に輸入されています。

 

最後に、この番組で絶対にやめてほしいのは、面白いから、視聴率が取れるからということでしょうが、子どもを外来種捕獲隊長にしていることです。子どもには、外来種根絶殺害論の正邪などわかりません。大人に言われて深く考えることもできないまま、間違った極端な研究者に洗脳されて誤った行動に参加してしまいます。

いずれ、外来種根絶論の間違いや残酷性が問題になる時代が必ず来ると私たちは確信しています。そのとき、大人たちに踊らされて、外来種根絶という誤った残虐行為に隊長という責任ある立場で参加してしまったことを悔いて、彼が苦しむ時が来るでしょう。まさに、オウムの事件と重なります。

 

 

 

「外来生物」は本当に「悪者」なのか 実はイネもレタスもキャベツも外来種!?

以下、2018年8月16日掲載デイリー新潮より

 

ブルーギル

「外来種」とは、もともとその地域に生息していなかったのに、人為的要因によって他の地域から入ってきた生物のことを指す。テレビ東京の人気番組「緊急SOS 池の水ぜんぶ抜く大作戦」では、外来種を駆除するシーンがたびたび登場したり、最近だと、サクラの木などを食い荒らす外来種「クビアカツヤカミキリ」や、強い毒を持ち“殺人アリ”とも呼ばれる外来種「ヒアリ」のニュースなどが世間を騒がせており、外来種=悪という印象を持っている方も多いのではないだろうか。

 

しかし、「ホンマでっか!?TV」でおなじみの生物学者・池田清彦氏の著書『ナマケモノはなぜ「怠け者」なのか』に収録されているコラム〈外来生物は悪者なのか〉によると、「外来種が病原菌をまきちらしたり、産業に甚大(じんだい)な影響を与えたりすれば、駆除せざるを得ない。だが、さしたる影響を及ぼさない場合や、駆除費用がかかりすぎて、費用対効果がマイナスの場合は、何もしない方が賢い」という。

 

それでもいずれ生態系を脅かすかもしれない外来種は駆逐すべきなのだ!と勇むかたもおられるだろう。しかし、同書によれば「外来種排斥原理主義者たちは何であれ外来種が存在することが許せないようであるが、外来種を全部排除すると、われわれの生活は成り立たない」のだという。いったいどういうことなのか。

さてここで、旅館の朝食なんかを思い出して欲しい。白米に味噌汁に梅干しにキャベツの漬物……そんな典型的な日本の食卓風景に、実は外来種が潜んでいるのである。

「レタスもキャベツもイチョウもウメも外来種だ。たかだか2500年前に日本列島に入ってきたイネは、日本の低地の自然生態系を完膚なきまでに破壊した、史上最悪の侵略的外来種である。そうかといって、イネを排除しようとする人は私の知る限りいない。外来種の排斥よりもわれわれの生活の方が大事だからだ」(同書コラムより引用)

 

つまり、外来種排斥原理主義者たちの主義に則れば、哀しいかな、もう日本でお米は食べられないということになってしまうのだ。これは我々日本人にとって大きなダメージだろう。

 

「入ってきた当時は、日本の自然にそぐわないとして嫌われる外来種も、侵入して長い年月がたてばわれわれの生活になじんできて、違和感がなくなってくる。アメリカザリガニは侵入してきてまだ90年弱しかたっていないが、子どもの頃ザリガニ捕りをした人たちにとっては、なつかしい日本の風物詩であろう。コスモスも明治時代に導入された比較的新しい外来種だが、秋の田園を彩(いろど)る花として多くの人に親しまれている。外来種だと思っていない人もいるに違いない」(同書コラムより引用)

 

秋の季語にもなっているコスモスも外来種だったとは……。こうなってくると、外来種・在来種という呼び方すらも、なんだか意味をなさないような気さえしてくる。前掲書で池田氏も述べているが、ブラックバスもあと100年もすれば日本の自然に馴染んでしまい、排斥の声なども潰え、各々の生命の自由を謳歌しているのかもしれない。生命の深慮の前には人の浅知恵にどれほど意味があるのか、考えさせられる。

熊森から

熊森は、池田清彦先生の言われるとおりだと思います。
テレビ番組「池の水ぜんぶ抜く」で、池のコイが外来種であると判明したとのことで、外来種のレッテルを張られていました。そんなことを言い出したら、セイヨウミツバチやスズメをはじめ、私たちの身の回りは外来種だらけで、いずれもそれなりに生態系に大きな影響を与えています。我が国の犬、猫はもちろん、人間も外来が多くなっています。そもそも日本人自体が、外来です。

教育上いいの? テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く」の“殺生正当化” 専門家が指摘

以下、「週刊新潮」2018年8月9日号 より

 

結果的に生き物を殺すにも拘わらず、嬉々として捕獲に励むチビッ子たち……。テレビ東京の人気番組「緊急SOS 池の水ぜんぶ抜く大作戦」では、“外来種=悪”と決めつけ、生き物をバケツに放り込むシーンが度々、登場。まるで地獄絵図のような光景には、専門家も首を傾げるのである。

 

 

番組は、住民や自治体からの応募に応じて、手つかずの池をかい掘りし、迷惑外来生物の駆除やゴミの撤去を行うというドキュメントバラエティだ。司会のお笑い芸人の他に毎回、様々なゲストも参加。日比谷公園を取り上げた際には、小池百合子都知事も胴長姿を披露している。

 

TV情報誌記者によると、

「2017年の放送開始当初はスペシャル番組でしたが、シリーズ化されると10%を超す高視聴率を記録。視聴者は、池の中から何が出てくるのかといったワクワク感を持つようで、今春からは月イチのレギュラー番組に昇格したのです」

 

その一方で、番組の問題点が取り沙汰されたことも。

「今年2月、ヤゴを捕食する外来魚を駆除する様子を収録した際、一般参加者1千人が池の中を踏み荒らし、在来種を含む多数の小魚が死んでしまいました。現場で専門家が足りていなかったことや杜撰な進行が物議を醸したのです」(同)

“極端すぎる”

 この時は、テレ東の社長が定例会見で弁明する事態にまでなったのだが、のど元過ぎれば何とやら。千葉県のお寺の池を舞台に、50人の地元小学生が参加した7月22日の放送では、

「この池に巣くう影の支配者が出たー」「ヤング隊、総動員でブルーギル(外来魚)の駆除に掛かる」

といった大仰なナレーションを合図に、ブルーギルを捕獲。殺生を禁ずる仏教の寺での大量駆除は、ブラックジョークと言うほかないが、子どもたちに命を奪うという実感はないようで、まるでお祭りイベントに興じるかのよう。仕舞には、水も張っていないバケツに、山のように入った魚の映像が流れたのである。

 

「外来種だからすべて駆除という考えは極端すぎる。いかがなものかと思います」

とは、生態学の専門家で、『「自然」という幻想』の訳書がある慶應大学の岸由二名誉教授。

「番組では、それぞれの生態系をどうしたいのか目標を立てずに、外来種の駆除だけが目的のような印象が強い。私も外来植物の駆除を行っていますが、場所によっては在来種を除去することもある。目標によってケースバイケースで必要な駆除が異なるのです」

在来種か外来種かのみを基準とするのは、生態学的にも疑問だというのだ。さらに、大問題なのは、

「仮にその動物が悪だとしても、子どもたちに乱暴に動物を抹殺させるのは、教育上、いいとは思えない。自然を守るためでも、動物の駆除は大人が行えばいいこと。市民参加でイベントのようにするものではないし、ましてやテレビで面白おかしく放送することでもありません」(同)

殺生を正当化した番組のほうが、外来種よりも悪影響というのである。

 

熊森から

デイリー新潮さん、この問題を取り上げてくださって本当にありがとうございます。

岸由二先生、貴重なコメントをありがとうございます。

外来種根絶殺害は外来種根絶殺害原理主義者が環境省の官僚を動かして政策化したものと思われます。この機会に自然生態系とは何かがある程度分かっている多くの人達に様々な意見を出していただき、政策再検討がなされることを願います。今も、アライグマやヌートリアをはじめ、残酷なだけの外来種の無用の殺生が、私たちの税金を使って全国で展開されています。由々しきことです。

 

ピレネー山脈絶滅回避の「ヒグマ2頭放獣」方針 農家ら猛反発  フランス政府は「クマと共生を」

以下は、毎日新聞より 8/14(火) 19:06配信

<仏南部>絶滅回避の「ヒグマ2頭放獣」方針に農家ら猛反発

 ◇「クマいなくなっても誰も困らない」に政府「クマと共生を」

【パリ賀有勇】

 

スペイン、アンドラとの国境に連なるフランス南部ピレネー山脈に生息するヒグマを絶滅から救うために、仏政府が国外から輸入したメスのヒグマ2頭を放獣する方針を打ち出し、クマによる家畜被害を恐れる農家との間で摩擦が生じている。

仏政府の計画では、今秋にスロベニアからメスのヒグマ2頭を譲り受け、3000メートル級の山々からなるピレネーに放す。フランス狩猟・野生動物事務局などによると、ピレネーのヒグマは乱獲の末、1940年ごろに150頭まで減少。密猟などにより95年には5頭にまでなった。

対策として96年から計8頭がスロベニアから輸入され放獣された。専門家は絶滅を回避する最低頭数を50頭と試算しているが、現在では43頭まで回復。だが、メスがいない地域があるために新たなメスのヒグマの放獣計画を打ち出した。

世論調査では7割の地元住民が計画を容認するものの、羊の放牧農家らの猛反発を招いている。ピレネーでは羊乳を用いたチーズが特産品だが、クマに捕食されるなどして年間200頭程度の羊が犠牲に。クマの犠牲になったケースでは政府が損失補填(ほてん)している。インターネット上には、羊飼いとみられる男性らが、覆面姿でライフルを持ち新たな放獣を警告する過激な動画も投稿されている。放牧農家のフェレイさん(65)は「クマがいなくなっても誰も困らない。被害があるのになぜ頭数を増やすのか」と語気を強める。

「絶滅による影響の有無ではなく、われわれに種を絶滅に追い込む権利があるのか。倫理的な問題として考えてほしい」。放獣推進派のNGO「熊の地」のアラン・レネス代表は、ピレネーのクマが25万年前から生息していたことを説明し、クマと共生する意義を説く。異国のクマとの交雑が進むことへの疑問の声もあるが、「同種のヨーロッパヒグマであり、遺伝的に大きな相違はなく、生息環境や生態の類似性などあらゆる調査結果が考慮された」と理解を求める。クマなどの生息は生態系や豊かな環境が保たれていることの証しと力説し、「生物多様性と人間生活の営みの両立は簡単ではないが不可能ではない」と訴える。

 

熊森から

いろいろな意見があると思います。

お互いに対話するのがいいと思います。

フランスのマクロン大統領は、環境問題こそ、フランスがトップに立たねばならない。フランスは地球の未来を最も心配している国のひとつだと言われています。このヒグマ問題にはどのようなお考えをお持ちか、聞いてみたいですね。

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