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九州豪雨お見舞い 土砂崩れの原因報道を 人工林率福岡県朝倉市87%東峰村86%大分県日田市76%

 記録的な豪雨に見舞われた九州北部の福岡大分両県では、崩れてきた山に集落が飲み込まれるなど、被害は甚大です。
亡くなられた方には、心からお悔やみ申し上げます。
また、怪我をされた方、財産を失われた方、被災されたすべてのみなさん、すべての生き物たちに、心からお見舞い申し上げます。
それにしても、マスコミ報道はいつものごとく、天災で済ませています。
スギの人工林が崩れた              大分県日田市(毎日新聞より)
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確かに、記録的な豪雨でしたが、山がスギやヒノキの人工林ではなく下層植生が豊かな広葉樹の自然林であったなら、ここまでの災害には至っていなかったのではと思われます。
今後も、温暖化により、ますます今回のような集中豪雨が起きると言われています。
下草の生えていない放置人工林に早急に手を加えて改善していかないと、今後も恐ろしい災害が後をたちません。一刻も早く国民が山崩れの原因に気付くように、山が崩れたではなく、「保水力を失った人工林が崩れた」と、報道すべきです。
戦後の林野庁の森林政策の失敗により、日本が災害大国になってしまったことは、当事者たちが誰よりも知っておられます。私たちは今さら林野庁を責める気はありませんが、少なくとも国民に、本当のことを伝えていただきたいです。更なる災害を防ぐために。
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九州の山に詳しい、熊本県平野虎丸氏の7月7日ブログを以下に転載させていただきます。

大量流木で被害拡大 深層崩壊でごまかすな 朝倉・日田の土砂災害 テレビ朝日報道ステーション

平野虎丸です。ご訪問ありがとうございます。

福岡朝倉市と大分県で発生した大雨による土砂災害の死者は、7月7日現在、死者11名、不明者20名以上と報道されています。犠牲になられた皆様に心よりお悔やみ申し上げます。

30年も前から挿し木スギによる土砂災害の危険を訴えてきた者として、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
こういうことが二度と起こらないように、毎年土砂災害が発生するたびにブログなどで書いてきましたが、マスコミが土砂災害の専門家と称する大学教授の間違った解説を報道し続けるために、何時まで経っても、挿し木スギによる土砂災害の犠牲者をなくすことが出来ません。
残念です。
土砂災害による死者は90%減らすことができるのです。
土砂崩れの原因さえ知っていれば・・・。

7月7日のテレビ朝日「報道ステーション」をみていたところ、今回の災害は「流木が被害を拡大した」として、、九州大学元教授(河川工学)である橋本氏が大量流木の原因を「地下水の影響による深層崩壊」と説明されていました。
説明も間違っていますが、使用された図も間違っていました。
実際は根のない挿し木が崩壊しているにもかかわらず、描かれていた図は広葉樹でした。
樹木の種類も実生か挿し木かも分らない大学教授や司会者では、真実は不明のままです。
土砂災害を「大雨による深層崩壊が原因」として終わらせていては、国家の無責任な植林はいつまでも続き、植林による国民の犠牲もなくなりません。
土砂災害の専門家としてテレビ・新聞で間違った解説をされている大学教授の皆さんたちと直接話しあいたいと思います。
土砂災害から国民の生命と財産を守るために。

引用元 http://blog.livedoor.jp/rokuten1/

昨年度50頭のクマが捕殺された鳥取県八頭町の山を、熊森が調査

昨年、鳥取県で捕殺されたクマは71頭で、そのうちの50頭が柿の果樹園が多くある八頭町内での有害捕殺でした。

地元八頭町の方にたずねると、昨年秋はあっちでもこっちでも山からクマが出て来て、とにかく異常事態だったということです。

7月7日、熊森本部と鳥取県支部計6名は、八頭町の奥山調査に入りました。

主に調査した場所は、標高400mの山の稜線上です。

一番近い集落からは2.3kmほど離れており、まさにクマたちの生息地です。

 

現地の下層植生の豊かさに、熊森本部は驚きました。

隣接県なのに、この違いはどこからくるのでしょうか!

 

鳥取県八頭町

鳥取県八頭町の山、標高400m、2017年7月撮影

 

兵庫県宍粟市

兵庫県宍粟市の山 標高940m、2017年7月撮影

 

八頭町のクマ生息地

背丈を超える林床のササをかき分け、コナラの幹にクマの爪痕を探す鳥取県支部員。(2017年7月、八頭町)

 

森の中は人の背丈以上のササで覆われ、動物の痕跡を探すことも難しい状況でした。

ここでは自動撮影カメラをかけても、クマは撮影されにくいのではないでしょうか。

ササ藪の中にトンネル状の野生動物たちの獣道がいくつか形成されていました。

林道沿いには、種子をたくさん含んだ糞が落ちていました。

種子がたくさん入った糞。

 

山の実り凶作年でない限り、八頭町の山はクマ50頭を養う力があるということでしょうか。

しかし、山や自然に詳しい鳥取県会員は、この山には下層植生があっても、クマの秋の食料源であるドングリ類の木が少なすぎる。また、山の中腹まで、カキの果樹園が入り込んでいるため、クマが、凶作年の秋、簡単に人里へ降りて来てしまうと危惧されていました。昨年、捕殺された50頭のクマのなかには、荒廃した兵庫の山からやってきたクマがかなり含まれていたのではないかという見方をされていました。鳥取県庁に八頭町で捕殺されたクマのマイクロチップを分析されたかたずねてみようと思います。

 

八頭町の人工林率は51%でこのような山奥にも、スギやヒノキの人工林が広大に広がっている場所がありました。ここは以前、コナラやシバクリなどの実のなる樹が多くあった場所だそうです。また、10年くらい前からナラ枯れが発生し、標高400m以下では、ナラ類がかなり枯れてしまっていました。

 

兵庫県と比べると、一見うらやましいような鳥取県のクマ生息地の山ですが、昔と比べるとかなり劣化してしまっていることがわかりました。

 

この地域で、山の実りの凶作年がまた巡ってきても、クマの大量補殺が起きないようにするには、私たちが今、何をなすべきか、もう少し調査を続けて、本部と鳥取県支部で協議し、実行に移していきたいと思います。

殺しても鹿害は減らない 予算は防除柵強化に!奈良市D地区訪問

今年7月から、奈良公園等を除く旧奈良市D地区で、農作物被害を軽減させるためとして、シカ駆除が開始されることになりました。

 

<今年7月から鹿捕殺が予定されている奈良市D地区>

A・B・C地区(奈良公園、春日大社境内・春日山原始林)の鹿はこれまで通り保護。D地区の東半分は山間地域で、そこに鹿が生息しており、今回、管理(=駆除)対象となる。

 

このようなことを決めたのは、「奈良のシカ保護管理 計画検討委員会」の答申を受けた奈良県です。

担当部署は、奈良県奈良公園室です。

いったいどれくらいの「鹿殺せ」の声が届いた結果なのか、電話で問い合わせてみました。

その結果、

1、平成26年に、5つほどの自治会からなる自治会連合から、天然記念物であるシカを駆除してほしいとの要望書が提出された。

2、平成29年に、C地区の自治体から、シカの被害に悩んでいるのでD地区(駆除地域)に入れてほしいという要望書が提出された。

ということです。

奈良県奈良公園室にはシカを殺すのはやめてほしいという声もいくつか入っているが、シカ駆除を進めてほしいという声の方が多いということです。

 

奈良の神鹿(しんろく)文化は、日本が世界に誇れる大型野生動物とのすばらしい共存文化です。これまでいろいろと人々が工夫し対策を練って、旧奈良市のシカは、戦後1頭も駆除されることなく今日に至っています。何とか今後も、このすばらしい伝統を守り通していただけないものでしょうか。これこそ自然保護の原点だと思うのです。

 

熊森は、D地区を訪れて現地を調査し、奈良市鹿害阻止農家組合の方を含む住民の方々の声も聴いてみました。

今回訪れた場所は、奈良市東部にある笠置山地の山間地域です。地元の方にシカの被害状況についてお話を伺いました。

 

Aさん

この地域では、10年くらい前からシカがよく見られるようになった。畑をノリ網などのネットで囲うようにしているが、ネットの隙間を見つけて柵の中にシカが入ってくることもある。シカを駆除できるならしてほしい。シカが棲んでいた周囲の山は、2~3年前よりナラ枯れが深刻。シカも山に食べるものがなくて、集落の田畑にやってくるようになったんだと思う。

周囲の山は、猛烈なナラ枯れ。大量のコナラが枯れていた。

 

Bさん

2~3年前からシカがよく出てくるようになった。でも、奈良の鹿愛護会が集落の周りにネットで囲いをつくってくれたから、集落内の小さな畑は、シカから守られている。

 

Cさん

シカの被害が深刻な場所は、ノリ網などで田畑を囲っている場所です。ノリ網のようなネットは、シカがかみちぎって穴をあけて中に侵入してしまうし、地面との固定が弱かったらネットの下をくぐって中にシカが侵入してしまいます。一方で、金網やワイヤーメッシュで田畑を囲っている場所は、シカもなかなか侵入できません。組合に加入している農家さんは、市からの補助金をうまく活用して複数の田畑をまとめて金網で囲い、各々の田畑は電気柵で囲って2重の柵をつくっておられるところもあります。さすがにそうしたところにはシカが入りません。

シカが増えているのならある程度減らさなくてはならないと感じています。しかし、金網の防鹿柵をもっと普及できれば、もっと被害を防ぐことができますし、天然記念物のシカも殺さずに共存できると思います。そのためには、他府県のように奈良県も国からの防鹿柵への補助金をとってほしいです。

ノリ網の防鹿柵。高さは2m近くあるが、シカに破られてしまうことがある

金網で囲われた水田。この防鹿柵で囲えばシカの被害はかなり少ないとのこと

 

(熊森から)

回の奈良県の計画にあるように、旧奈良市D地区でシカを120頭殺してみたところで、隣接する京都府などから新たな鹿が入ってきて、元の木阿弥となるはずです。このやり方では毎年鹿を殺し続けねばならず、倫理的にも費用対効果の面からも問題です。

今回現地を調査してみて、農作物被害を減らすためには、予算はシカ捕殺ではなく、防鹿柵強化に使うべきだと確信を持ちました。

地元の方の中には、1時間も時間をとってお話をしてくださった方もおられます。地元ではシカを見かけると「シカさん」と言われる方もおられるそうで、シカに対する住民の深い愛情が伝わってきました。

 

 

<熊森解説>

今回、捕殺対象となるシカはD地区のシカだけですが、これを認めてしまえば、いずれ、CBAへと捕殺対象が発展していくと思われます。

なぜなら、現在、同じ地球の仲間である野生動物の命を奪うことに何の心の痛みも感じない西洋思考の研究者たちが我が国に増え、その権威ある肩書で行政の諮問機関である検討会や審議会の委員や座長となり、専門知識のない行政に答申を出して、野生動物たちを殺さないできた祖先のすばらしい共存文化を破壊し、科学的計画的と称する西洋型管理文化に変えようとしているからです。

彼らの論理的根拠は、野生動物は放置しておくと数が増え過ぎるから人間が野生動物たちのために管理(=殺害)してやらねばならないというものです。

しかし、自然界は本来、どの生き物も増減を繰り返しながら長期的には絶妙のバランスをもって一定数に保たれるものです。彼らの主張は、この自然界の法則を無視した、いやらしいまでに傲慢な人間中心の自然観です。この自然観を広めれば、研究者たちには多くの仕事がもたらされるという利得があります。

 

彼らは見事に、日本の行政を野生鳥獣管理に転換させましたが、最後まで残った唯一の目の上のたんこぶが、天然記念物である奈良のシカだったのです。奈良公園の野生ジカに関しては(飼育鹿は省く)、一般財団法人奈良の鹿愛護会が長年にわたって毎年正確な頭数調査を続けてきました。その結果、1100頭前後をずっと推移しているだけです。しかも、旧奈良市の天然記念物奈良のシカは、戦後1頭も殺処分されずにここまできました。1985年以降は、地域によっては、地元から有害捕殺申請が出れば、シカの捕殺が可能になったにもかかわらず、1件の有害捕殺申請も出ずに今日まで来たのです。一切殺さずに鹿と共存されたのでは、管理派研究者たちの沽券にかかわります。何とかして、自分たちの主張を正当化させるために、神鹿のワイルドライフマネジメント導入に成功すべく、行政に圧力をかけたのではないでしょうか。わたしたちは、今回の天然記念物奈良のシカの頭数調整捕殺開始を、このようにみています。

 

奈良の皆さんには、権威や肩書のある人の主張に惑わされず、自分の目と頭でしっかりと何が正しい対応か判断していただきたいです。

 

農家の人達の鹿害被害軽減や精神衛生のためにも、熊森は、無用の殺生となるだけのD地区シカ捕殺の中止を奈良県に要望します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本部8月6日 今年も晴天の空の下、第22回くまもり原生林ツアー実施

今年も熊森本部は、くまもり原生林ツアーを実施いたしました!

行先は、21年間毎年、岡山県西粟倉村にある「若杉天然林」です。

今年は、中型バスをチャーター。24名の方々がご参加くださいました。

ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。

 

行きのバスの中では、くまもりスタッフによるクマの生態、里山と奥山、自然林と人工林についての説明がありました。

途中、兵庫県たつの市の龍野公園で飼育されている2頭のツキノワグマに会い、クマとはどんな動物なのかみんなで観察。

その後、スギやヒノキの人工林の中に入って、他の生物が生息できないことや、国内林業の問題について学びました。

若杉天然林に到着し、お昼を食べてから、班ごとに分かれて天然林内を散策しました。

天候は晴れ、若杉天然林の気温は25度と、非常に過ごしやすい天気でした。

天然林内は、様々な広葉樹が太陽の光を浴びて、きれいな緑色に輝いていました。

広葉樹に溢れた若杉天然林のようす(2017年8月6日撮影)

 

林内では、班ごとに分かれて、くまもりスタッフがガイド。森の説明をしていきました。

くまもりスタッフ(右)がガイドを行い、様々な植物や昆虫を観察しました

 

子供も大人も、夢中になって植物や昆虫の観察をしていました。

以下は、参加されたみなさまからの感想です。

◎こんなに森の植物ひとつひとつに着目してトレッキングしたのは初めてです。

感動しました。この自然がいつまでも続くといいです。守っていかないといけないと改めて思いました。

◎ガイドさんが親切、丁寧に森のことを説明してくださってとても勉強になりました。

特に、植物の名前や見分け方などは今後の山登りの際に思い出しながら楽しみたいと思います。

◎今年も子供が楽しめるように、バス内のクイズ、紙芝居、天然林内でのスタンプラリーなど工夫をしていただいて、ありがとうございました。

 

子供たちの夏休み自由研究にも役だったかな!

年に1回は原生林に入りませんか。

来年も原生林ツアーを企画します。

くまもり本部2017年7月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)

※拡散希望

熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。

会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。

学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。

ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。

本部電話番号 0798-22-4190

本部FAX番号 0798-22-4196

メール contact@kumamori.org

 

2017年7月の活動予定

<皮むき間伐フェスタ>暗い森を間伐して、動物が棲める豊かな森を再生しよう

7月30日(日)9:30現地集合 10:00~16:00

内容:皮むき間伐、森の紙芝居、ネイチャーゲーム、ロケットストーブで炊き出し体験

参加費:ひとり600円(昼食のカレー代・保険代)

集合場所:酒井公民館(兵庫県三田市酒井212-2)

持ち物:帽子、飲み物、動きやすい服装、雨具、マイ食器(コップ・お皿)

当日連絡先090-3288-4190

  • 皮むき間伐は小学生以上であれば誰でもできる間伐方法です。真っ暗な放置人工林のスギやヒノキを間伐し、光を入れて豊かな森を再生していきます。1年でもっとも水分を吸い上げる今の時期が一番気持ちよく皮を剥くことができます。是非ご参加ください!

2017年6月3日 皮むき間伐

2017年6月3日 皮むき間伐

 

<自然保護CAFE> 自然を守る仲間になりませんか?

7月15日(土) 13:00~15:00

内容:自然保護に興味があるけどまだ参加したことない方、どんな活動があるのか分からない方など、熊森協会の自然保護をご紹介して一人一人に合った活動を楽しくお茶をしながらお伝えしていきます。これまでにボランティア活動に参加したことある方は体験談を話してもらったり、気軽に自然保護に関するお話ができればと思います。

場所:自家焙煎珈琲工房 ブルー ブルージュ(西宮市分銅町1-10)

※カフェをお借りするので1品以上のご注文をお願いします。

ブルーブルージュさんHPより

<いきものの森活動>森林整備

7月15日(土)苗畑のメンテナンス(兵庫県宍粟市千種町)

午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

  • いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

天候不順で中止になることがあります。

当日連絡先090-1073-0980(担当:家田)

2017年6月18日いきもり風景

 

<環境教育例会(於:本部事務所)>自然の大切さを伝える

7月6日(木)10:15~ 見学も歓迎。

  • 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。

2017年4月11日 環境教育例会風景

 

<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>飼育グマのお世話

7月6日、13日、20日、27日(毎週木曜日)

  • 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。

現地までの交通手段は本部にご相談ください。

2017年6月29日 とよのお世話風景

<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>飼育グマのお世話

7月23日(日)(毎月第4日曜)

参加費:1000円(交通費)

  • 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。

午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

2017年5月28日 太郎と花子のお世話風景

参加者がクマの背中を掻いてあげる

環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。

太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。

自車参加も可能です。

たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

第5回ストップ・リニア!訴訟(東京地裁)参加報告ーJR東海の環境影響評価のずさんさが鮮明にー

昨年5月、国交大臣のリニア工事認可の取り消しを求めて738人が原告となり起こした「ストップ・リニア!訴訟」。

現在、リニア沿線予定各地で起きている、またこれから起こるであろう深刻な事態について、原告の県陳述が続いています。

これまで岐阜県、山梨県の原告の皆さんが意見陳述をしてきました。

 

2017年6月23日、第5回口頭弁論が東京地裁で開かれ、全国から約200名の傍聴希望者が集まり、入廷者の抽選が行われました。

 

熊森は毎回、本部リニア担当者をはじめ、何人かの会員が参加しています。

 

 

口頭弁論前の集会でリニア市民ネット・大阪からもアピール

 

<原告の陳述>

今回の陳述県は長野県で、リニア中央新幹線の中でも最も難関工事になると言われている南アルプス貫通トンネル掘削の最前線にいる大鹿村釜沢集落で自治会長を務める谷口昇さん、その西側の出口となる松川町在住「飯田リニアを考える会」の米山義盛さんが意見を述べられました。

 

<JR東海の不誠実な態度と環境影響評価のずさんさ>

「水が抜けて一体誰が損害を受けるんですか」

上は、谷口さんが、長野県大鹿村がリニア工事によって受ける水源の水量変化について質問した時にJR東海側が発した言葉です。

口頭弁論の中で、谷口氏は、JR東海の自然環境や住民に対する姿勢の不誠実さを述べられましたが、まさにその通りだと感じました。

 

また、JR東海による環境影響評価のずさんさは、これまでも何度も指摘されてきましたが、今回の口頭弁論では、その点がさらにはっきりとしました。

長野県内の地図を見せて金枝弁護士が陳述されましたが、JR東海の計画には、変電施設も保守基地も非常口も、駅もすべて「概ね」の位置が、同じ大きさの丸印で記されているだけなのです。具体的な形状も大きさも何もわかりません。このような計画で、環境への影響評価ができるとは到底思えません。

 

大鹿村では、小日影銅山跡があります。リニアのトンネル掘削工事が鉱脈にあたる恐れがあり、そうなれば、周辺の土壌や水質汚染が危惧されるとして長野県環境影響評価技術委員会が事後調査の要請をしていましたが、評価書には反映されていませんでした。JR東海は、住民だけではなく、長野県に対しても不誠実であることがわかりました。

 

<口頭弁論後、訴訟1周年記念講演とシンポジウム>

 

於:衆議院第1議員会館 180名参加

 

ジャーナリストの斎藤貴男氏が「暴走するリニア新幹線」という題で講演され、リニアがいかに国策にかかわっているのかといった大変重要なお話をされました。この講演は別の回でブログに掲載します。

 

<残土問題>

リニア中央新幹線工事は、日本のど真ん中に延々と巨大なトンネルを掘るわけですから、水脈分断以外に今後大きな問題となるのが、残土の行先です。行先が決まらなければ掘り進められません。各地で、残土置き場候補地が挙げられてくるはずです。昨今の集中豪雨に見舞わわれれば、残土置き場が崩れるのは明らかです。自分の地域が残土置き場対象となった時、いかに反対を訴え、阻止するかが、今後の鍵になるということでした

 

この集会には、日本自然保護協会の辻村千尋氏やJR労組からも出席があり、それぞれ、国際自然保護連合の決議により、他県への土砂移動ができなくなっていることや、コストカットや人員削減が進んで、地上でさえ安全輸送に不安があるのに、リニアの場合の事故は地下深くで起きるので、安全輸送は一層難しくなる等述べられました。熊森本部は、リニア工事によって森林破壊や森林劣化が起こり、水源の森が失われ、野生生物は生息地をますます奪われ、ますます殺されると訴えました。

 

 

 

6月27日 岐阜の山中で2頭でいるクマを目撃 

本部職員2名と岐阜県支部スタッフが岐阜の奥山を調査しました。

6月27日午前11時ごろ、崩壊した林道を伝って登山中、中年男性がくしゃみをしたような音を聞きました。

「こんな山奥に、他にも来ている人がいるのかな」と話していると、10秒後ぐらいに「オーオー」というまたしても中年男性のような低くて太い声が、谷を隔てた対岸の斜面から聞こえてきました。

声の方を見ると、対岸の斜面の上から何かが10メートルぐらい落ちてきて、途中で止まりました。

てっきり人が滑落してきたと思い、助けに行こうと思った瞬間、真っ黒の塊のようなものが見えました。

人ではないとわかりました。「クマや」という声があがり、すぐに一同、カメラとビデオを取り出しました。

直線距離で100メートルはあるでしょう。

カメラを持つ者、ビデオを持つ者、それぞれを拡大してレンズをのぞくと、何と2頭がケガもなくじゃれ合っているではないですか。

 

 

しばらくして、2頭は別の方向に急斜面山を駆け上がっていきました。

人間には絶対あんなことできません。すごい運動能力です。

クマってすごいな。見とれてしまいました。

 

クマにとって6月は交尾の季節、成獣のオスメスだったのだろうか、それとも兄弟グマだったのだろうか。

一同興奮冷めやらず、とりあえずビデオのスイッチを切ったら、何と録画が始まりました。

えっ、一連の動きを動画撮影したつもりだったのに、撮影されていなかったのです。がっくり。

という訳で、今回は写真のみの報告です。

 

 

日本にはまだこうやって、野生のクマが人間と無関係に暮らしている原生林が残っている。

何とすばらしい国なんだろう。未来永劫、絶対にこの自然を残したいと思いました。

ちなみに、このあたりの森は、兵庫県と違って下層植生が豊かで植物も虫も多様性にあふれているように見えました。

兵庫県のクマ哀れ。

 

事故があっても地域住民が困っても、国が原発やリニアを推進する理由を解明 斎藤貴男氏講演

リニア中央新幹線を走らせるためのすさまじい国土破壊を初めて知ったとき、この計画は経済大国日本の繁栄を快く思わないどこかの国が、日本が二度と繁栄できないように国力を落としてやろうと仕組んだのではないかと、一個人として感じました。黒幕はアメリカか?などとも考えてしまいました。

 

祖先から受け継いだ私たちの生存基盤であるかけがえのない自然豊かな国土を、修復不可能なまでに破壊する、そんな事業を日本人が進めるはずがないと思ったからです。

 

 

6月23日、衆議院第一議員会館で行われたジャーナリストである斎藤貴男氏の講演「暴走するリニア新幹線」で、斎藤氏は、何があっても原発やリニアを動かそうと考えている人たちの思考を解明してくださいました。もし、これが本当なら、私たち一般国民にも責任があるような気がしてきました。

 

<原発やリニアを動かさなければならないと考える企業人たちのその理由>

(斎藤氏講演の要約)

 

我が国では、今後、間違いなく少子高齢化が進みます。
どんどん人口が減り、空き家でいっぱいになっていきます。
日本国内に本社を置く大企業にとって、確実に内需が減ってきます。
企業規模を小さくすればいいのですが、企業人は絶対にそんなことは考えません。
内需がダメなら外需です。
今もたくさん輸出していますが、これからは、今程度の輸出量ではやっていけない時代が訪れます。

 

内需が減っても大企業がさらに売り上げ規模を拡大して成長し続けるには、他の先進国と競い合ってでも国を挙げて国外の需要を獲ってくる必要が生じます。
それが、インフラシステム輸出という国策なのです。

開発途上国に、鉄道・道路・橋・ダム・発電所こういう社会資本、すなわちインフラをコンサルティングの段階から、つまり極端な話、どこに首都を作って、どこに第2の都市を作って、都市計画はどうで、高速鉄道や高速道路で結び、どこに発電所を作り、どこに工業地帯を作り、通信網をどうするかなど全部を、設計・施工・施行に使う資材の調達や完成後の運営メンテナンスに至るまで、全て、官民一体のオールジャパン態勢で獲っていこう。これが安部ノミクスの柱のひとつで、民主党も推進してきた政策です。

 

このようにして海外を市場として日本企業を成長させ続けていくには、①海外における資源権益の確保  ②在外邦人の安全対策が必要となってきます。日本企業が海外でテロに巻き込まれる恐れも生じてきます。そのような場合、政府は、お国のために身を挺して闘ってきた企業戦士を軍隊で守ってやらねばならないと考えています。よって、集団的自衛権行使容認や憲法改正が必要となってきます。

 

民主党の管首相も、海外に原発を売り歩きましたが、安倍首相も同様にしています。この原発と密接な関係にあるのがリニア中央新幹線です。リニアの消費電力量は新幹線の3倍と言われていますが、ピーク時の消費電力は40倍だそうです。これだけの電力をどうして手に入れるか。原発です。

 

リニア関西延伸の前倒しが決まりました。名古屋まで2027年、大阪までが2045年となっていましたが、この度2037年と短縮されました。そのために国は財政投融資3兆円を手当てすると決めました。なんとか東京オリンピックまでに東京ー甲府間のリニアだけでも開通させたいと言っている代議士もいます。オリンピックで外国人要 人がたくさん来る。リニアに乗ってもらいその素晴らしさを体感してもらって、輸出につなげたい。原発だけではなくリニアの輸出もやりたい。すでにJR東海の葛西さんはアメリカへのリニアの売り込みを進めています。もしうまくいけば世界に売り込める。原発を次々と再稼働させているのはそのためです。

 

反原発の人は、原発が止まっていても電力がちゃんと足りた、夏のピーク時だって乗りきった、これからますます少子高齢化なんだから原発なんかいらないよと言います。その通りなのですが、リニアを動かすためには増やさなければなりません。原発をインフラ輸出していくためには、我が国では危ないから動かしていませんでは、買ってもらえません。福島第一原発事故があっても原発は安全ですという説明をするためには、日本国内でちゃんと動かせていなければならないのです。企業人たちにとって、日本国というのは、原発やリニアを売り込むためのショウルームなのです。誰もこういうことをはっきり言っている訳ではありませんが、私はそう実感します。

 

(熊森から)

原発もリニアも、狭い日本には必要ないのに、なぜ推進しようとするのか疑問でしたが、インフラシステム輸出のためと言われたら、納得できます。
戦後、もっと速くもっと便利にもっと豊かにと、国内をコンクリートで固めて自然を破壊し続け、日本は大金持ちの国になりました。自然破壊ほどもうかる仕事はありません。今後はこれを海外でも展開していくということです。海外の自然を破壊して、日本企業が儲けて成長していこうとしているのです。

 

折しも7月6日の産経新聞に、<「いずれ橋は落ちる」老朽化したインフラの崩壊リスク>という大切な記事が一面トップに掲載されていました。20年後、7割の橋が建設50年を超えるそうです。コンクリートの寿命は100年と言われます。そのうち、一斉に橋が落ち、トンネルが崩れる時代がやってきます。少なくなった人口で、全てをメンテナンスなどできません。私たちが1回も経験したことのない、コンクリート崩壊の恐ろしい時代がやってくるのです。リニアも、やがて大深度地下で崩壊し始めるときがやってくることでしょう。事故が続出し、分解不可能なコンクリートごみの山だけが国中に残ります。現代文明は優れているようでも、いいのは今だけ、100年後は最悪の世の中となります。

 

将来世代のことを考えると、インフラシステム輸出までして日本企業は儲ける必要などなく、人口減に合わせて企業規模を縮小していくしかありません。儲けるために海外に出て、テロや戦争に巻き込まれるよりずっといいと思います。私たち国民も、成長神話を企業に求めてはならないのです。

これから日本がめざさなければなら文明は、つつましやかだがみんな幸福というブータンのような幸福度No1で持続可能な文明でしょう。

 

 

兵庫県知事立候補者へのくまもり奥山アンケートの結果です 7月2日投票時のご参考に

兵庫県知事選挙に4人の候補者が立候補されています。

各候補者事務所に熊森協会本部より、次のようなアンケートをFAXで送らせていただきました。

 

<アンケート前文と質問事項>

兵庫県の中部・北部の奥山は、戦後の国策であった拡大造林政策により、スギやヒノキなどの針葉樹の人工林で埋められたままになっています。その結果、山からの湧水が激減しており、大変なことになってきています。また、奥山を生息地としていたクマをはじめとする野生動物たち(国策の第一次被害者)は生きられなくなり、人里に出て来て、地元の人たち(国策の第2次被害者)を困らせ、大量捕殺されています。政治は、この両者を救わねばなりません。

 当協会は、
①奥山スギ・ヒノキ林を林業用に間伐するだけではなく、自然林へ大幅に転換させて、野生動物たちが山に帰れるようにし、昔のように人と動物の棲み分け共存を復活させること、それによって
②次世代の水源を確保すること、
③野生動物を大量捕殺するのではなく、被害防除対策に予算を集中させることを願っています。本来の生息地を失っている絶滅危惧種のクマを、スポーツやレジャーとして狩猟対象にすることはやめるべきです。
④当協会のような民間自然保護団体が奥山問題に参画できるように、兵庫県立森林動物研究センターが持っている情報を隠ぺいせず、せめて他府県並に公開することを求めます。
回答者のお考えに〇をお付けください。

 

 候補者への質問

Q1、奥山スギ・ヒノキ林の自然林化について

1、大いに進める  2、どちらともいえない  3、多くの人工林を温存する

Q2、兵庫県がツキノワグマを狩猟対象としていることについて

1、狩猟禁止とする 2、どちらともいえない 3、今後も狩猟対象とする

Q3、兵庫県立森林動物研究センターの、他府県並情報公開について

1、他府県並に公開する 2、どちらともいえない 3、情報を公開する必要はない

 

コメントがありましたらお願いします。

以上

 

6月26日現在、全候補者より回答がありましたので、ご紹介します。(クリックするとPDFが開きます)

(回答受信順)

津川ともひさ候補

井戸敏三候補

勝谷まさひこ候補

中川ちょうぞう候補

 

 

(熊森より)

各候補とも、誠実にお答えくださっていると感じました。

候補者の皆さん、超多忙の中、本当にありがとうございました。

★熊森会員をはじめとする兵庫県民の皆さん、どうぞ候補者選びの参考になさってください。

 

 

東中国山地の奥山では動物がほとんど撮影されない、西中国山地もドーナツ化現象!

人里でクマが目撃される例が各地で年々増えています。

今年もすごい数です。

熊森本部にも、なぜこんなにクマがひんぱんに目撃されるようになったのかとの問い合わせの電話やメールが入ってきます。

かつて奥山に棲んでいた森の動物たちが、重大な訳があって、人里に生息地を移動していることが考えられます。

野生動物たちにこれまで起きなかった異変が起き始めた時、それは絶滅の前触れであると熊森はとらえています。

 

<東中国山地>

東中国山地の山中に約2か月間かけていた7ケ所のセンサーカメラを先日回収してみて、がっかりしました。

クマが写っていたのは以下のたった1度だけでした。(画面の下を歩いている姿が、5秒間ほど動画で撮影されていました)

 

シカ、キツネ、タヌキ、ネズミ、ウサギもごくわずかに写っていましたが、数が本当に少ないのです。

この奥山は、奇跡的に残された巨木の自然林です。

その中の約80ヘクタールの面積のを選びカメラをセットしたのですが・・・

これでは動物たちはほとんどいないことになります。

去年の同時期は、もう少し動物たちが写っていました。

カメラのかけ方が悪かったのだろうか。

何か不都合なことがカメラに起こったのだろうか。

不安になってきました。

 

<西中国山地>

広島の奥山原生林を調査されている金井塚務先生の、2017年6月21日ブログを読んで納得しました。

長文ですが、みなさんもぜひ、お読みになって下さい。

広島の原生林には、まだシカが入っておりません。よって、林床はササで覆われています。

現地調査に同行させていただいたことがありますが、東中国山地をフィールドとしているわたしたちには、まだ広島にはクマたちが住める環境が残っている!と、うらやましいかぎりでした。

しかし、その広島でさえ、なぜかクマは奥山からどんどん姿を消しているのです。

 

以下の文は、金井塚先生のブログから、一部コピーさせていただきました。

 

「いま根本的な対策(クマが暮らしていける奥山を取り返すこと)を講じなければ、早晩西中国山地のツキノワグマは絶滅の道をたどるにちがいない。これは再々指摘していることでも有り、今年度策定の保護計画にも触れていることなのだが、クマの分布域の拡大と中核的生息地での密度低下が生じている。つまり分布のドーナツ化だ。確かに都市部への出没は突然生じることではあるが、全体的なトレンド(生息状況の傾向)を考えれば何時どこへ出てもおかしくない状況にある。クマはもはや奥山の動物ではなく、集落周辺の二次林を主たる生息場所としている野生動物なのである。たまたま山に餌がなかったから出てきたという突発的現象ではないのだ。」

 

<熊森から>

人間は鈍感でわからないだけで、何か日本の森、否、元東邦大学教授の大森禎子先生的に言えば、地球上の森が、人間活動によって野生動物を育めなくなってきているのだと思います。

森の危機を知らせてくれている野生動物たちに感謝しなければならないのに、深く考えることもせず、今年も害獣として、大量捕殺し続けている日本の行政には胸が痛みます。殺すという一番簡単で卑怯な対応ばかり続けていたら、気が付いたとき、とんでもないことになってしまっていたとなるのではないでしょうか。

 

<日本奥山学会7月2日のお知らせ>

奥山研究は1円のお金にもならないので、研究者がほとんどいません。

もっともっと研究者たちが誕生して、なぜ、野生動物が山から出て来るのか、研究する必要があります。

7月2日の、日本奥山学会の研究発表会に、まだの方はぜひ参加申し込みをしてください。

 

 

 

 

 

 

 

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