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カテゴリー「くまもりNEWS」の記事一覧

会員必読 「多種共存の森」清和研二著

「天然林では多くの種が共存しているのはなぜか」

こんなことを疑問に思って研究した人がいたなんて驚きでした。東北大学大学院農学研究科教授の清和研二先生です。

 

多種共存の森 1000年続く森と林業の恵み

 

清和先生は、徹底した現場主義。さまざまな鳥獣や虫、微生物や菌類のはたらきによって、自然界は最終的に多種共存の森になっていくことを、土の中の生き物たちや病原菌レベルまで動員して証明されました。<ジャンゼンーコンネル仮説>の証明。

 

自然界の意思は、どこまでも多種共存だったのです。それに逆らうような人間の自然への干渉は、遅かれ早かれ失敗に終わるしかありません。副題は、ー1000年続く森と林業の恵みーです。

 

熊森会員のみなさんにぜひ読んでおいてもらいたい衝撃の1冊です。

 

 

 

 

 

「水と生きる サントリー」 水源涵養のための本気の森林再生事業に脱帽 

サントリーエコ戦略部山田健著の「水を守りに、森へ」―地下水の持続可能性を求めて―(筑摩選書)は、自然保護団体の私たちもが目を見張る、一企業のすばらしい森林保全事業をまとめたものです。行政でも、ここまでやっているところはないと思います。みなさんに是非読んでいただきたいです。楽しくてためになります。元気が出ます。

 

水を守りに、森へ 地下水の持続可能性を求めて

 

山を歩き続けられた山田氏は、延々と放置され大荒廃している人工林はもちろん、ナラ枯れ・松枯れ・シカの食害などで大劣化していく自然林にも、真正面からしっかりと目を向けておられます。そして、日本の森と水は意外なほど危ういということに気づかれたのです。

 

国や自治体の限界を知った山田氏のすごいところは、広大な日本の森の危機を救うために、水に生かされている企業こそが立ち上がるべきだと、勤務するサントリーを動かし、実際に本格的な森林再生事業を各地で展開されているところです。

 

くまもりから

この本を読んで、くまもり顔負けの本気でかつ大規模な森再生活動を行っている企業が日本に存在することを知り感激しました。同じ活動を行ってきたわたしたちが参考になることも、多々書かれています。自然界のことも本当によく観察して、ごまかさずしっかりととらえておられます。

 

サントリーが製品に使用されている水は、すべて地下水だそうです。「サントリー南アルプスの天然水」は特に有名です。

 

サントリーの山梨県北杜市白州取水場から30キロ離れた南アルプス山脈の場所で、今まさに、地下水脈をぶちぎるリニアモーターカーの南アルプス巨大トンネル工事が始まろうとしています。サントリーが声をあげてくだされば、リニア・ストップへの大きな力になりますが。

 

新本紹介 「リニア中央新幹線に未来はあるか」西川榮一著 

 

JR東海主張<リニアによって二酸化炭素排出量は増えない>のからくりを知りずっこける

先日の大阪でのリニア学習会場で、今年2月に出版されたばかりの本を買いました。神戸商船大学名誉教授西川榮一氏(交通機関工学)が、大阪のある市民団体から依頼を受けて執筆されたものです。

「リニア中央新幹...」の画像検索結果

 

さっそく読ませていただきました。西川先生は、機械工学や交通機関工学がご専門なので、その角度からリニアを論じておられ、これまで読んできた本とはまた別の視点でおもしろかったです。

【西川先生の結論】

スピードアップするとエネルギー使用量は増加し、輸送コストも増え、システムは巨大化し、安全リスクは大きくなる。リニアは、JR東海や国交省など、推進側の一方的な審議しか受けていない。(今からでも遅くない)リニアは、環境や安全を主務とした社会全体の立場に立つ独立した第三機関による審査を受ける必要がある。今や、交通輸送、産業活動、人間活動の最上位にある地球環境の評価基準が最優先されねばならない時代である。

 

(くまもりから)大阪の市民団体がお願いしただけで、リニアのことを調べて本にしてあげようと思ってくださる研究者がこの国におられたなんて、感激です。

 

この本によって、JR東海の主張の問題点がさらにわかってきました。以下は、その一例です。

2045年、リニア全線開通しても東京ー大阪間の旅客輸送によって排出される二酸化炭素総量は増えない <JR東海>

(Q リニアは、新幹線の5倍のエネルギーを消費すると言われているのに、なぜ二酸化炭素総量が増えないのか)

 <JR東海側の言い分>

リニアを導入しなかった場合の排出される二酸化炭素総量(飛行機、新幹線、車、バス)・・・合計43万トン

リニアを導入した場合の排出される二酸化炭素総量(リニア、新幹線、車、バス)・・・合計43万トン

 <西川氏の反論>

飛行機の燃料使用量は多くて、現東海道新幹線の5倍です。JR東海の試算では、2045年、リニアを導入した場合の飛行機の使用量がよく見るとゼロになっています。東京ー大阪間が67分で行けるようになったら、飛行機利用者がいなくなってしまうという身勝手な前提のもとに作られた予測のようですが、そうなることはありえないと思われます。

 

 くまもりから

JR東海の国民をだますような説明は許せないと思いました。一度なくした信用は、元に戻らないことを知るべきです。

 

2月21日  大阪「ストップ・ リニア!訴訟」集会に70名  その2

 <行政訴訟で市民が負ける訳>

裁判になったところで、日本では、市民が行政を訴えた裁判は、負け続けるのが常です。リニアも裁判だけでは止められません。なぜなら、日本では、いくら市民側に理があっても、学者たちも裁判官も、ほとんどみんなが行政側つまり権力側についてしまうからです。(強い者についておくと、自分が有利になる)それでもわたしたちは、リニア工事を認可した国交省を行政訴訟で訴えるしかないのです。

市民が負けるしくみ

①圧倒的な情報量の差・・・行政は、見せたくない教えたくない情報は、市民が情報公開を請求しても、黒塗りでしか出してきません。情報が不足し過ぎて市民は勝てないのです。

 

②圧倒的なエネルギーの差・・・市民は、本業の傍ら手弁当でお金を出し合って自由時間を使い果たし、社会正義を訴えるためにふらふらになるまで戦います。しかし、行政側は、市民の訴えをつぶすことが仕事で、それがすなわち収入であり自分のお金を使うこともありません。自由時間は休息してエネルギーを貯えます。

 

③第一、そもそも日本には自然を守る法律がないので、勝てません。開発許可後、市民から異論が出て10年たっても着工できない事業は許可を取り消しますというような法律が1本でもあれば、どれだけの無茶な開発がこの国で止まるかしれません。

 

要するに、日本はいまだ、市民社会でも民主主義国家でもないのです。

 

 

<唯一、市民が勝てる道=首長を動かす>

こんな日本ですが、田中康夫長野県知事や嘉田由紀子滋賀県知事の例からもわかるように、自然を守ることの大切さがわかる首長が選挙で選ばれて動いてくれれば、自然を守ろうとする市民の声が直ちに実現します。

 

くまもりから

川村先生、長時間いろいろと教えてくださってありがとうございました。

今後、首長さんに「環境破壊の超特急リニア」の実態を伝えていかねばならないと思います。また、工事は始まりましたが、まだまだ止められるということなので、リニアについて知るだけでなく、多くの国民にリニア問題を伝えられるような運動を起こしていかねばならないと思いました。

●いつも思うのですが、もっともっと多くの方に聞いていただきたかったです。

 

参考資料

●2011年5月27日、大畠章宏国土交通相(民主党)は、東海旅客鉄道(JR東海)が計画しているリニア中央新幹線(東京―大阪間)の建設を同社に指示した。(日経新聞より)

 

●2014年10月17日太田昭宏国土交通大臣(公明党)は、JR東海が申請したリニア中央新幹線(品川―名古屋間、総事業費5兆5235億円)の工事実施計画を認可した。

 

●2016年、石井 啓一現国土交通省大臣(公明党)

2月21日 大阪「ストップ・ リニア!訴訟」集会に70名 その1

東京ー大阪間 大深度地下時速500キロ工事を進める文明には絶望しかない 川村晃生代表

 

大阪市弁天町で、リニア市民ネット大阪主催・日本熊森協会後援の「ストップ・ リニア!訴訟」大阪集会が持たれました。集会では、山梨県在住のリニア市民ネット代表慶応大学川村晃生名誉教授が、90分間にわたり、文学者として人々の胸をうつ格調高いお話をしてくださいました。

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(会場風景)理路整然と熱弁をふるう、まるで青年のような川村先生

 

大阪が、リニアを受け入れないという決断をしたら、リニア中央新幹線工事は止まるそうです。(ようし!)

何も知らない国民

大阪で、「リニア、いらん!」の声が高まらないのは、ひとつには、リニアがどれだけ国土や国民生活に害を及ぼす危険なものか、500キロの速度を出すために湯水のようにエネルギーを使わねばならないなど、新幹線とは全く違うものであるということが、国民にほとんど何も伝えられていないからです。(今回もすべての新聞社に連絡しましたが、大手メディアの参加はゼロ。大手メディアの記者さん、がんばって!)

考える力を失った国民

また、想像力や思考力を失い、わが身に火の粉が降り注ぐまで黙っている国民が大量に増えたことも、原因のひとつでしょう。

 

JR東海の経営戦略

リニア列車と地下の壁の間は4センチ。確かにすごい技術だとは思いますが、地震などで壁がずれれば、乗客全員即死も充分に考えられます。JR東海は何兆円もの大借金をしてまで、何のために、母なる大地の地下水脈をぶちぎりながら、ジェットコースターさながら東京大阪間を67分間の弾丸列車を走らせようとしているのか。原発と同じで、国内がダメでも、海外への技術輸出でもうけたいという、JR東海という企業の長期ビジョンによる経営戦略のようです。国も日本経済の発展になると、後押ししています。(経済第一は、地球環境を破壊する。人類破滅への道)

 

絶望しかない

川村先生は、地球環境を破壊し、無数の生物に命を奪うまでの取り返しのつかない負担を強いながら走るリニアを、それでも造ろうとする文明、それを認める文明に、もはや絶望しかない。この文明を前に、どうして希望など語れるのか。みんなで絶望しようと訴えられました。

 

原告審査中

現在、「リニア・ストップ!訴訟」の原告団には600名が名乗りを上げています。しかし、裁判所が原告適格者かどうかを振り分けるので、最終的に原告団が何名になるかは、まだわからないそうです。自分が健康被害を受けるなどの直接被害を受ける人しか、原告になれない可能性があります。(つづく)

 

2月18日(木) 本部【いきものの森】活動 青空の下、トチ苗木移植作業 兵庫県宍粟市千種町

本部の「チームいきものの森」では、動物たちが棲める豊かな森の再生をめざし、必要な山に、実のなる木の植樹を行っております。昨年も、たくさんの実のなる木を植樹しました。(その時のブログです。→http://kumamori.org/news/category/field/30550/

ただし、「植えない森造り」と言って、本来は自然再生が一番いいので、再生できる山は自然に任せます。

 

熊森活動に賛同してくださる千種町の方が、トチノキの苗木を200本ほど育ててくださっています。昨年の植樹活動の時にも、20本ほどここから苗木をいただきました。苗木は、小さいうちはポットで育てますが、根が張って大きくなってくると、広い苗畑へ移し替えてやらねばなりません。

今回は春休み中の大学生の参加も得て、6名で作業してきました。

 

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地元の方に聞くと、異常暖冬の今年、この地域では記憶にある限り、初めての雪のない2月だそうです。

まず、畑の縁に溜まっていた、草や落ち葉、枝などをロール状に巻き取っていきます。

 

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苗畑

シカよけ網で囲まれた苗畑に、穴をあけていきます。

苗木の葉は落ちていましたが、しっかりと冬芽が育っており、トチの命を感じました。

 

 

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トチの冬芽

畑への移し替えが必要な苗木は、おおよそ150本でした。みんなで手際よく、移し替え作業を終えました。

植樹会は根付きの良い、春と秋に行います。

くまもりにとって、地元のみなさんのご協力は、ほんとうにありがたいです。

 

最後に、地元の方に連れられて、近くの放置人工林を見に行きました。このあたりにはこんな山がたくさんあるそうです。ここもくまもりの活動で間伐か皆伐し、都市の人達を呼び込み、地元のみなさんと広葉樹の自然の森に戻していけたらいいなと思いました。

みなさん、本部の「いきものの森」活動に、どうぞ参加してください。

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近くの放置人工林

会員のみなさんへ 会費・ご寄附 クレジットカードが使えます!

完全民間の当協会を支えていただき、誠にありがとうございます。

日本熊森協会のホームページより、クレジットカードによる会費・ご寄附のお支払が可能になりました。

新規ご入会の方はもちろん、既に会員の方のお支払いもできます。

お手元にVISA、またはMASTERのクレジットカードがあれば、いつでもどこでも受け付けていますので、ぜひご利用ください!

 

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再び クマの皮はぎ行為は林業にマイナスでも、豊かな森造りにとってはプラス 殺処分は行き過ぎ 

下の写真は、パンフレット 「京都府のツ キノワグマ」の<クマ剥ぎ被害防止ページ>にあるクマ剥ぎ山の写真です。

京都府では、皮はぎ行為を行ったクマは、除去(=捕殺)と決められています。

(PDFファイル、1,013KB) (PDF:1,012KB)

 

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クマの皮はぎにより、赤く枯れたスギやヒノキ

(くまもり感想:人間が間伐したようにうまく枯らしている)

クマの皮はぎとは

樹木の水分の吸い上げが著しい6月~7月ごろ、ふつう、母熊が子熊を連れて15年生~40年生のスギやヒノキにやってきて、幹の樹皮を歯などで一方向だけはぎ取り、樹液でぐっしょりぬれた形成層をかじって食べる行為です。(地方によって、皮はぎ文化を持つクマと、持たないクマがある)クマの皮はぎは、一方向だけの皮はぎなので、スギの木は枯れません。

ただし、かじられた幹の部分は傷を負ったことになるので、その後、樹洞ができるなどいびつに成長し、将来的には、ニホンミツバチをはじめ、多くの森の動物たちに巣穴を提供します。(樹洞が形成されない場合もある)

20年ほど前に、福井県の林業家の方からお手紙をいただき、クマの皮はぎ現場を案内してもらったことがあります。クマの真似をして樹液を舐めてみました。この時期のスギの樹液の甘いのにはびっくりしました。(甘くないのもある)

林業にはマイナスであっても、森造りにはプラス

材の価値を落とされた林業家にとっては、これは林業被害です。しかし、この行為は、林業にはマイナスであっても、森造りにはプラスなのです。林と森は全く別物です。クマは林業をしようとは思いませんが、本能的に、生物の多様性を誇る森を造ろうとしています。

樹皮を全周剥いで、スギを枯らし出したクマたち

最近、クマの皮はぎに変化が起きてきて、樹皮を全周はぐクマたちが現れました。こうなると、スギは枯れてしまいます。

京都府は、皮はぎグマに対しては、加害個体を除去する(=捕殺)と決めています。

奥地の山は元々、クマたち野生動物が暮らしていた森でした。戦後、人間が林業でもうけようとして、森の木を皆伐し、スギだけヒノキだけを植えて、林に変えました。ところが、林業がもうからなくなったため、間伐などの手入れもできず、人間はこれら人工林を放置して、今、山を大荒廃させています。

クマに任せておけば、放置人工林も豊かな自然の森に戻っていくでしょう。

林業用地は徹底した防除を

私たちが木を使う限りは、国産材でなければならないと思います。国内林業はとても大事な産業ですが、将来の水源地を確保するためにも、林業は奥地から撤退し、確保した林業地は、徹底した防除を施すべきであると思います。

一つの事象でも、見る角度が違うと、害が益になります。スギの皮をはいだクマは殺処分と決めるのは行き過ぎです。人間が彼らの生息地を奪い過ぎたのです。

人間も生きていかねばなりませんが、人間の視点からしかものを見ないのでは、私たちを生かしてくれている豊かな自然を失って、人間も滅びることになります。

 

2月18日 大阪府高代寺 元野生グマ「とよ」の冬ごもり 熟睡中でした

異常暖冬ですが、高代寺山の山頂の最低気温は、このところ毎日零下を記録し続けています。

本部には、くまもり会員による冬ごもり中の「とよ」の安否確認報告が次々と届いています。みなさん、ほんとうにありがとうございます。

 

2月15日午後3時到着 Hさん

運動場のすのこの上に5日前にはなかったフンがひとつだけありました。

「とよ」が寝ている4番寝室の入り口のワラの奥をじっと見ていると、黒い物が動き耳のような丸いものが見えたと思った次の瞬間、ひょっこり頭をあげた「とよ」の顔がこちらを向いていました。ぬれた鼻が光り、口が少し開いていました。

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奥の黒い塊が「とよ」

カメラを向けたら、すぐにまた頭を下げて寝てしまいましたが、生きている「とよ」を、確かにこの目でみることができました。

 

2月17日 K氏H氏さん

高代寺山頂は寒い北風の中、あられが降っていました。

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右端寝室で冬ごもり中。扉をまだ自分で閉められず、少し開けたまま中で寝ている。

暗くてハッキリとは確認できませんでしたが、「とよ」は、4番寝室で休んでいる様子でした。プールの水はきれいなままでした。そっと見守って下山しました。獣舎の横の梅のつぼみが大きくふくらんでいました。

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 うめのつぼみ

2月18日午後0時半到着 気温10度、晴れ お世話隊6名

「とよ」は、1月21に冬ごもりに入ってからも、太陽があたっている時には時々運動場に出たり、非常食のドングリが少し減ったと思ったら新しいフンが増えていたりで、完全には寝ないのかなと思われました。しかし、この日訪れて住職さんにきくと、最近は全く運動場に出ていないということでした。

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「とよ」が寝ている4番寝室をみんなで観察したところ、奥の方に「とよ」の体の黒いかたまりが見えるものの、全く身じろぎしませんでした。熟睡中のようでした。

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すきま風が寒いのか、「とよ」は開いた入り口に、自分で藁を積み上げていた

この日は、運動場に冬の間たまったフンなど片付けてやるつもりでしたが、「とよ」のあまりの熟睡ぶりに、そっとしてみんな何もしないで帰ってきました。

 

●いったん野生で大人になったクマでも、人間の飼育下で安心して、熟睡のような冬ごもりをすることが、確かめられました。

 

 

 

 

 

2月5日 保育士さんの研修会での森山会長講演 (神戸市)に、うれしい感想

神戸のポートアイランドで開かれた保育士さんの研修会で、森山会長の1時間講演がありました。

 

木でできた南欧風のとてもステキな会場でした。

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会場風景

 

森山会長は、「これだけ科学が発達した21世紀の今も、実は、人間は自然に生かされている、生かされているだけに過ぎない動物です。しかし、現在、多くの人々が自然から離れて暮らすようになったため、このことがわからなくなってしまっている人が多く、とてもこわいことです」というお話から始めました。

 

人間が生きていくために必要な3大要素は、酸素、水、食料です。そして、食料生産には大量の水が必要です。

日本の食料自給率は39%です。多くの食料を海外から輸入していますが、このことはバーチャルウォーターといって、みなさんご存じのように、海外の水を大量に輸入したことになります。日本地下水学会によると、そういう意味での水の輸入量たるや800億立方メートルにもなるそうです。(ちなみに、日本国内での年間水総使用量は900億立方メートルで、そのうち農業に使われている水は300億立方メートルです)

くまもり顧問である水ジャーナリストの橋本淳司先生によると、日本が食料自給率を50%に引き上げようとしても、今のままだとそれを可能にするだけの農業用水が確保できないそうです。日本はとても雨が多い国ですが、降水季節に偏りがあり過ぎるのと、あまりにも人口が多過ぎるため、ひとりあたりの降水量は世界平均の4分の1しかないのです。

 

どんなに時代が変わろうと、「水は森から」 得るものです。

林業名目や観光で森を破壊し続けることを直ちにやめ、壊し荒廃させた森は手遅れになる前に復元・再生させることが、今、日本にとって必要なことです。森の維持形成にはクマをはじめとする全ての野生生物が必要です。私たちは祖先がしていたようにあるだけの知恵をしぼって野生生物たちと共存しなければならないと、森山会長は訴えました。

ご出席くださった皆さんは、身じろぎもせず、会長の話に聞き入っておられました。

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森山会長は最後に、参加された保育士さん達に向けて、「現在起きている地元の獣害は、人間による自然破壊や防除不足がもたらしたもので、野生動物たちを有害捕殺するのは間違っている。保育士のみなさんには、全ての生き物に共感できるやさしい子供たちを育てていただきたい。それが、日本の自然を守り、日本文明を存続させることになるのです」と、講演を締めくくりました。

 

<若い保育士さんたちからの講演感想要旨>

・今日、自分の生活を支えている水や食料と自然がどのように関係しているのか実感できました。

・実家は地元で、小学生のとき、家の裏の柿の木にツキノワグマが来た。クマは怖い生き物だと言われていたので、今日の講演を聞くまでそう思っていたが、今日180度見方が変わりました。台風がきた時、床下浸水したり裏山が崩れたりしたが、原因は自分たち人間にもあることをすごく感じました。裏山は本当に下草が消え茶色一色で砂漠化しています。くまもりの活動に、ぜひ参加したいです。

・先生のお話を聞いて涙が止まりません。今日のお話は、まさに今私たちがめざしている保育そのものです。ジブリ製作の「平成狸合戦ポンポコ」という映画も、森の大切さを動物の視点から子どもたちにわかりやすく伝えています。くまもりの活動に参加できればなあと思いました。

・山にスギがたくさん生えているのはいいことと思っていたので、自然について考えさせられました。ボランティア活動に参加させていただきたいと思いました。

 

講演会でいろいろとお世話になったみなさん、ありがとうございました。

 

 

 

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