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2011-02

冬眠できずに雪の上をさまようクマの保護施設を

今年、兵庫県北部但馬地方は大雪です。1月に、こぐま2頭が冬眠できずに雪の中をさまよっているという情報を得て、どんぐりを持って何度か、現地調査に行きました。(母グマを駆除された可能性大)。今年、年初めに、熊森本部がした初仕事でした。積雪120センチ。地元の人も、クマたちはどこに行ったのかわからないということでした。

ドングリを置いても1日に雪が30センチ~40センチ積もるから、すぐ雪に埋まってしまうと、地元の方が教えてくださいました。しかし、何とか見つけてほしいと願い、何カ所かに置いてきました。絶滅危惧種のクマが、冬眠場所がわからず雪の中をさまよっていると知って、うちの納屋で春まで寝ていたらいいよと言ってくださる方がおられないかなあと思いました。昔の山里には、きっとこういうことをしてくださる人がおられただろうと思いました。

全国で、母グマを殺されてさまよっている子グマがたくさんいます。春まで寝かせて雪解けに放してやれる保護施設が本当に今必要だと思いました。

さすがに、2月になって、クマの目撃はなくなったようです。さまよっていたクマは死んでしまったことでしょう。

雪かきボランティア

日頃お世話になっている兵庫県但馬地方の方々が大雪に困っておられると聞いて、雪かきボランティアに参加しました。2階の屋根から雪降ろしをする仕事ができるといいのですが、慣れないと危険なため、屋根から降ろした雪を川に捨てる作業をしてほしいと、地元の方々に言われました。本当に田舎の方々は、いろいろと大変です。しかも、過疎化高齢化しています。会員の皆さん、熊森本部といっしょに、雪かきボランティアに参加してみませんか。

 兵庫県2010年度、絶滅危惧種 のツキノワグマを、なんと70頭も捕殺 

兵庫県では、クマは絶滅危惧種であり、保護動物です。近年、奥山の実りなしという3度の異常年に、食糧を求めて次々と山からツキノワグマが出てきました。奥山のクマたちの生息地だった山が、人間活動によって大荒廃していることを、クマたちが私たち人間に教えてくれているのです。その結果、目撃数も大変多くなりました。(県行政は、クマ目撃を通報するように強く指導している)しかし、日本一のクマ保護先進県であった兵庫県では、これまでクマを捕殺することは、わずかでした。(以下グラフ参照)
奥山の大凶作年に兵庫県で殺されたクマの数

2004年度・・・・7頭捕殺、
2006年度・・・・4頭捕殺、
2010年度・・・70頭捕殺!子グマも何頭か殺されています。(他に、2頭が作業中に死亡し、11頭のクマが交通事故死したそうです)計83頭のクマが兵庫県で消されました。

クマの絶滅を止め、クマの棲む豊かな森を兵庫県に復元しようと長年、全力で取り組んできたわたしたちの苦労が水の泡となりました。大ショックです。どなたの指示や判断で、兵庫県が突然、クマの大量捕殺に方向転換することになったのか、調査中です。

昨年秋、兵庫県で大量捕殺が進んでいることを察知して(マスコミは報道しなかった)、驚いて兵庫県庁担当部局に電話をしました。

熊森:なぜ、兵庫県はクマ大量捕殺に方向転換したのですか?!これでは絶滅してしまう。他県のように、緊急対策会議をすぐに持ってください。
県庁:その必要はありません。
熊森:他県のように、捕殺数の上限を決めてください。
県庁:予定していません。

熊森:大変なクマ数が殺されています。そのことで。
豊岡農林事務所:忙しくて、1分1秒の余裕もありません。(対応拒絶)

熊森:イノシシ罠への誤捕獲が、大変な数にのぼっています。イノシシ罠は、上部にクマの脱出口がついたもの以外は設置してはいけないように指導してください。
森林動物研究センター:兵庫県は、イノシシ罠にかかったクマは放獣しています。(2010年度兵庫県内のイノシシ罠へのクマの誤捕獲は110頭で、うち109頭を放獣したとのことです)

熊森:これ以上クマを殺したら絶滅してしまいます。クマが集落に出て来ないようにドングリを運びますから、今、どこにクマが出ているのか教えてください。
地元役場:言えません。県に聞いてください。(県は教えてくれませんでした)

せっかく兵庫県井戸知事が、行政と県民との共働を打ち出してくださっても、行政担当者は、わたしたち県民がボランティアで動こうとしているのに、完全無視。これが日本の実態です。何とかここを変えていかないと、絶滅危惧種を守ることすらできません。絶滅危惧種を70頭も殺したというのは、ビッグニュースです。記者さんはぜひ詳細を調べて、記事にしてください。(県民は誰も知りません)

ちなみに、兵庫県では、クマの捕獲は、森林動物研究センターの県庁職員らが担当されており、2010年度は、計211頭のクマを捕獲し、139頭のクマを放獣したということです。これでは、作業者は、過労死寸前の激務となったのではないでしょうか。一方、クマは、捕獲されるたびに全身麻酔や様々な処置を施され、弱っていきます。熊森としては、両者のためにも、捕獲しないクマ対応を進めるべきであると考えます。

ちなみに、近隣府県の2010年度のクマ有害捕殺数は以下です。
岡山県・・・・0頭  滋賀県・・・・9頭  鳥取県・・・・40頭  京都府・・・・58頭

2011年2月26日(土) 鳥取県支部 宮澤正義先生講演会

2011年2月26日(土) 鳥取県支部 宮澤正義先生講演会

2010年、鳥取県でもクマが夏から次々に人里に現れ、捕獲数は117頭に上り、その内、補殺数38頭、放獣数79頭(内誤捕獲47頭)となりました。人 里へ現れたクマをなぜ殺してはいけないのか、クマが自然の中でどのような重要な役割を果たしているのかという事を、20年間10頭のツキノワグマと共に家 族として過ごされてきた宮澤正義先生から、鳥取県の皆さまにお話頂きます。ご家族、ご友人をお誘い合わせの上是非ご参加ください。

日時:2月26日(土)
13:30~15:30 宮澤正義先生 講演
15:30~16:00 質疑応答

場所:鳥取市文化センター
対象:会員および一般
主催:日本熊森協会鳥取支部
連絡先: 圓田章三 支部長
TEL:080-5614-1397/085-858-4043
FAX:085-858-4043

チラシはこちら

宮澤正義先生

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2011年2月6日投票:愛知県知事選挙公開アンケート結果

アンケートによる意識調査

日本熊森協会では、選挙などの機会に、意識調査アンケートを行ってきています。今回、愛知県の知事選挙で、2011年2月6日に投開票が行われるに際しまして、アンケートを行いました。締め切りは2月3日でしたが、その後、他候補者からの回答を頂き次第、追記してまいります。

以下、回答順です。


薬師寺 みちよ 様
回答1. 1(大いに取り組む)
回答2. 2(取り組む)
回答3. 1(大いに取り組む)
コメント:野生動物が棲めるような自然林の保護は現代人の義務だと考えます。

みその 慎一郎 様
回答1. 2(取り組む)
回答2. 2(取り組む)
回答3. 1(大いに取り組む)
コメント:基本的には森林の再生による生態系保護が重要です。COP10開催県として、絶滅危惧動物の保護には十分配慮し、農作物被害や人間への危害を最小限にすべく努力すべきだと思います。

大村 ひであき 様
回答1. 2(取り組む)
回答2. 2(取り組む)
回答3. 1(大いに取り組む)
コメント:私は「環境マニフェスト」におきまして「10大環境政策」を発表させて頂きました。藤前干潟・COP10の継承、木曽川導水路の見直しや長良川河口堰の開門調査、森林や里山の保全、河川の自然再生などを記載させて頂きました。自然の森の再生・復元、絶滅危惧種の保全に取り組んでまいります。

どい 敏彦 様
回答1. 2(取り組む)
回答2. 2(取り組む)
回答3. 2(取り組む)

コメント:皆様の資料とホームページを見させていただきました。とても貴重で有意義な取り組みをされており、今後の私共の取り組みにとっても大変参 考になりました。ありがとうございました。愛知県の森林面積率は43%と全国平均より低くなっていますが、世界的に見れば「森」の地域と言えます。森林 は、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の吸収に重要な役割を果たしています。人類生存の基盤である生態系を守るため、環境破壊をひきおこすような大 規模開発に反対するとともに、環境アセスメント制度を改善し、住民参加と情報公開、代替案の検討を義務づけ、事後評価することが必要です。県として、奥 山、里山の保全計画をつくります。「野生生物保護基本法」の制定を国に働きかけます。日本は、世界でも有数の「森」の国ですが、その荒廃が進んでいます。 絶滅が心配されている野生生物を、開発から守り保護に力を入れるようにします。野生の熊やイノシシ、シカなどが森から里に近づいて人間に捕殺されるケース が急増しています。捕殺だけの対応ではなく、野生動物との共存のために生息する頭数や状況の把握、森林の保護・管理、野生動物による被害の防止と救済に総 合的にとりくみます。環境破壊の設楽ダム建設やトヨタテストコース建設について、見直し・中止を進めます。


以下、今回のアンケートで各候補者の方々に送らせていただいた質問文です。

公開アンケート

<絶滅危惧種愛知県クマの早急な保護獣化と、自然の森の再生・復元を>

地球規模で、人間活動による森林破壊、野生動物の絶滅に歯止めがかからなくなっています。愛知県でも、戦後の拡大造林策により、スギなどの人工林率が64%にも達しており、豊かな森のシンボルであるツキノワグマは絶滅寸前に陥っております。愛知県庁によると、愛知県のツキノワグマは生息推定数6頭で『レッドデータブックあいち2009』では絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に指定されています。しかし、いまだに狩猟対象獣です。2010年は全国的に、ドングリ類が奥山に実らず、食糧を求めて人里に出てきたクマたちの多くが有害獣として捕殺されました。愛知県には野生のクマを守る体制がまったくといっていいほどなく、2010年秋だけで、イノシシ罠に誤捕獲されたクマなど 5頭が捕殺、4頭が施設等に譲渡という、環境先進県とは到底よべない遅れた状況にあります。愛知県のクマ保護体制の構築と生息地の再生・復元が急務です。

Q1、里に下りてきて捕獲されたクマを殺さずに奥山へ帰す放獣体制の構築に

1、大いに取り組む  2、取り組む  3、どちらともいえない  4、そのようなことには取り組まない

Q2、イノシシ捕獲おりへのクマの錯誤捕獲をなくす為に、クマが抜けられるようにおりの上部に穴を空けたクマスルーおりの全県での普及に

1、大いに取り組む  2、取り組む  3、どちらともいえない  4、そのようなことには取り組まない

Q3、野生鳥獣の保全、地元の方々の安心、水源地の保全、災害の防止のためにも、荒廃した放置人工林の間伐などによる動物の棲める自然の森の再生・復元に

1、大いに取り組む  2、取り組む  3、どちらともいえない  4、そのようなことには取り組まない

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第一回くまもり読書感想文コンクール・結果発表

第一回くまもり読書感想文コンクール・結果発表

第 1回くまもり読書感想文コンクールに、37名のみなさんから、ご応募がありました。どの作品からも、書いた人の熱い想いが伝わってきました。みなさん、ほんとうにありがとうございました。読ませていただいて、若い人たちのやさしさや純粋さに心が洗われる思いで、思わず涙したこともしばしばでした。

審査の結果、入賞者は下記のみなさんとなりました。

小学生部門
最優秀賞 平坂 優衣 (小)

中・高校生部門
最優秀賞 森 瑛美 (高)
優秀賞 野村 采美 (中)
優秀賞 森 美樹 (中)

入賞者のみなさんは、5月1日に兵庫県尼崎市のホテルホップインアミングで開かれる第14回日本熊森協会総会で表彰式がありますので、ぜひご出席くださるようお願いします。

若いみなさんに、自然保護について考えていただくため、今年もまた、読書感想文コンクールを予定しています。残念ながら今回入賞できなかったみなさんの、再挑戦をお待ちしています。

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