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2011-07-11

3/14 兵庫県野生動物保護管理運営協議会での森山会長の質問と当局の答え

《3/14 兵庫県野生動物保護管理運営協議会での森山会長の質問と当局の答え》

3月14日、兵庫県野生動物保護管理運営協議会が、兵庫県民会館303号室で開かれました。

上写真は協議会委員のメンバー

下写真の委員と向かい合って座っておられる方々は兵庫県庁担当者と兵庫県森林動物研究センターの研究者たち(兵庫県立大学)や専門員たち(県庁職員)からなる当局

森山会長発言要旨 シカ問題

■地元ではシカ問題が深刻であることはわかりますが、山から出て来たシカを捕殺して解決するというのはあくまで対症療法であると思います。大量に捕殺してもシカが減らないので獲り続けるということですが、どうしてシカが最近そんな状態になったのですか。原因が分からないと本当の対策を立てられないのではないかと思います。

●原因諸説として以下の3つがよく挙げられています。

①シカが増えだしたのはオオカミが絶滅したから⇒しかし、オオカミが絶滅したのは明治ですから、今の事態とは関係がないと思います。

②猟友会員が減ったから⇒猟友会員は1970年頃が最大でした。以前は今より少なかったけれど、シカは人間の所には出てきていませんでした。よって、この説も説明がつきません。

③地球温暖化で雪が減ったからシカの生き残りが増えた⇒では、今年すごく雪が多かったので、シカはどっと減ったんでしょうか?

シカの世界にいったい何が起きているのか、県としての見解を教えてほしいです。

(研究員の答え)

県の見解としては、毎年シカの自然環境の状態が良くて、シカの妊娠率、栄養状態なんかも見てますけど、非常に好調です。妊娠率15%~18%くらいの自然増加で、自然に増加するもんですから、獲らなければやはり自然に増加していく。シカの世界では毎年15%以上増えていくという状況が今起こっているという風に考えています。

森山会長発言要旨 クマ問題
■先ほどの委員が、クマ数は回復しているとして個体数調整の開始を提案されましたが、私はとても危険だと危機感を持ちました。

クマというのは日本最大の動物です。人間活動がここまで大きくなった今、人との共存は大変です。ワシントン条約でクマが保護対象獣に指定されているのは、よほど人が気をつけないと絶滅させてしまう、現にヨーロッパなどでは各地で絶滅させてしまったという経緯があるからです。クマは繁殖力も弱いので、慎重に取り扱うべきだろうと思います。

私たちは去年2010年の大凶作は普通の凶作と思っていません。日本の山で2004年2006年に引き続き、動物が棲めないような奥山の実りゼロという異常事態が起こったのです。たとえば、去年、山火事のように広がったナラ枯れによって、クマは主なエサであるミズナラを大量に失いました。原因はわかりませんが、自然界で人間活動による異変が起きている。それによってクマが生きられなくなって山から出て来た。

去年の夏から秋、冬にかけて、兵庫県でも驚くほど多数のクマが山から出てきました。兵庫県は蜂の巣にクマが付いたとき以外はハチミツを使ってクマを獲らないと決まってるはずなのに、去年現地を巡回していましたら、結構捕獲誘引剤としてハチミツが使用されていました。

こういうことをすると、クマが遠くからも集まってくるため、目撃数や捕獲数がどっと増えるのはあたりまえです。先ほど発表された兵庫県内のクマ生息推定数は、目撃数と捕獲数を2大パラメーターとして算出したという事ですから、それによって推定生息数を出すと、実際よりすごく多くなってしまうんじゃないかと思います。

先ほどからの県担当者の話は、人間の視点だけに偏っています。集落の柿の木を伐ってしまったらクマが来なくなるから伐れと言われますが、クマにしたら山のドングリはなし、カキやクリもなしでは、食べる物がなくて生き残れない。餌を探して町中に入っていくしかない。本当にこんな対応が正しいのかどうか、もっともっと議論をしてもらいたい。私たちは去年の秋に危機感を感じて、地元農林事務所に電話をして、担当者に状況を聞こうとしましたが、「忙しい。1分1秒の余裕もありません。」と断られました。県庁に緊急協議会の開催を要望しましたが、これも断られました。

私たちの祖先はほんとに生き物にやさしかったので、猟友会の方でもよく「三つ熊は獲るな」とか「子グマはよう撃たん」とかそういう人がいっぱいいました。だから、今も日本にまだクマが生き残っているのです。去年の兵庫県行政は、親子グマでも獲るし、子グマも7頭殺しています。こんな方向に日本文明を変えていっていいのだろうか?と思います。

いろんな生き物がいてクマがいて、初めてこんこんと水が湧き出す豊かな森が維持形成されます。そのお蔭で農業用水が得られるのです。動物たちに、この国で一緒に生きようというやさしい気持ちを失ったなら、日本文明は滅びるんじゃないかと思います。

去年同じように滋賀県や岡山県でもクマの目撃数がとても多かったわけですけども、滋賀県は9頭しか捕殺していません。岡山県の捕殺数はゼロです。2004年と2006年の山の実りゼロという大凶作年、兵庫県で捕殺されたクマ数は、7頭と4頭でした。去年は70頭捕殺、いくらなんでもこんなに殺してしまっていいのでしょうか。

昨年、私たちはせっせと地元を訪問しました。地元でも、「これくらいのことでクマを殺さなくてもいいんじゃないか」という声がすごくたくさんありました。他府県でも、多くの集落で、「今年の山は異常だから、柿はクマにあげよう」と、クマをみんなで見守ったところがたくさんありました。これこそが日本文化であって、こういう考え方があるからこそ、日本に豊かな森が残ったし、いろんな動物も残ったのだと思います。、

このような原因不明の異変が山で起きている時に、出て来たクマは全部捕殺してしまえとか、個体数調整を始めようというようなことを、人間がする権利はあるのだろうか。人間が、自然界をここまでいじっていいのだろうかと思います。県民は、去年兵庫県が70頭も絶滅危惧種のクマを有害駆除したことを知りません。マスコミに発表していただきたいし、私たち自然保護団体にも情報を流して欲しい。県だけで暴走しないで、もっといろんな意見を聞いていただきたいと思います。

司会者は、いつものことながら、ありがとうございましたとお礼を言って、会長の発言は議題に取り上げず、次の話題に移ってしまいました。兵庫県では自然保護団体が協議会に参加していると言っても、これでは形だけの参加ですね。

7月8日 熊森と兵庫県野生動物担当者の意見交換会

昨年度の兵庫県のクマ大量捕殺に危機感を感じる県民有志の会(熊森会員+非会員)が、今年になってから何度も県担当者に面会を申し込みましたが、忙しいという事で会っていただけませんでした。そのことを知ったある県会議員が双方を引き合わせようとご尽力くださり、やっと1時間の面会がかないました。

県からは、自然環境課課長様ら8名の方々がご出席くださいました。お忙しい中、本当にありがとうございました。この日の話し合いで、熊森と県の、森や動物に関する現状認識のどこが違っているのか、大分はっきりしてきました。

この日の話し合いでは、討論して歩み寄る所までいきませんでした。1時間ではとても足りなかったので、今後、定期的に、県と熊森などの市民団体との意見交換会を持つことを提案しましたが、職員が3割も削減され忙しいので無理と断られました。文書なら受けるという事でした。3割も人員を削減されたら大変だろうと思いました。

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