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2012-06

6月9日 本部チェンソー講習会 ステップ2      於:兵庫県山崎町

今回の参加者は、全員男性です。毎回、参加者の真剣さ・熱心さに圧倒されます。

「今日の講習は、このスギの人工林で行います。まず、伐った木を倒す方向を決めることから始めます」

 

プロの技から学ぶ

自分たちの力で人工林に光を入れて下層植生を復活させ、日本の荒廃した奥山を保水力豊かな山によみがえらせたい。動物の棲める山を復元して、動物たちが里に出て来て殺されることがないようにしてやりたい。集まりつどった優しきつわものたちです。

実験動物を「動物愛護管理法」から外す動きに危機感 6月19日 緊急集会 於:衆議院第一議員会館 参加者募集

テーマ  ~動物の命と福祉を求めて・実験動物~

 

1 開催日 平成24年6月19日、午後5時から午後7時

 

2 場所  衆議院第一議員会館 大会議室(国会議事堂裏)

 

詳細は、「THEペット法塾」様のホームページにございます。

 

現在国会では「動物愛護管理法」の改定案作業が進められています。

 

平成24年5月31日の民主党動物愛護対策ワーキングチームで、実験動物に関しては、動物愛護管理法とは別の法律をもって規定しようという方針が示されました。これは、動物愛護管理法の基本原則を根底から踏みにじるものです。いずれ、家畜や野生動物も適用外にしていこうということになっていくのではないでしょうか。「動物愛護管理法」の「動物の命」と「人と動物の共生」の基本理念は、痛みと感情を有する動物の命において、ペットだけではなく、実験動物、家畜、野生動物など全ての動物を対象とするものであったはずです。

 

実験動物であっても、「動物の命」において差異はなく、動物の命への尊厳、畏敬、いたわりが必要です。動物を、あたかも物として利用し、痛みや苦しみを与え続けて、 利用が終われば殺して廃棄するという、行政、業者、社会は人倫からも許されるものではありません。この感覚は、圧倒的多数の国民の本能的な感覚でもあります。

 

実験動物が、「動物愛護管理法」から外されることのないよう、いくつかの動物福祉団体がいっしょになって緊急集会を持つことになりました。熊森も、八幡平クマ牧場に残されたクマたちの今後を念頭に、この集会に参加しようと思います。

 

 

5月26日 東京都の私立高校1年生528名に、森山会長が3年連続講演

<「森なくして人なし、森あっての人間」と言って、私たちの祖先はかつて、森や動物たちに畏敬の念を持ち、保全に成功していたんだよ。今、環境省が取り組んでいる西洋文明型ワイルドライフ・マネジメントとは正反対の自然観・動物観を祖先は持っていたんだ>(体育館にて)

 

この高校では7年前から理科の先生たちが中心になって、新入生に森の大切さを伝えるプロジェクトを立ち上げています。夏の林間学校では、実際に長野の森を訪れます。私立だからこそできる先進的な取り組みかもしれません。全国に広まってほしいです。

 

今年も事前に全員が、くまもり小冊子「クマともりとひと」を読んで感想文を提出してから、森山会長の講演会にのぞみました。日本の森や動物たちの危機的な現実を初めて知った生徒たちの感想文は、若者らしい純粋な心や正義感にあふれており、読んでいくうちに心が洗われる思いがします。

 

マスコミ情報をうのみにして、クマを凶悪犯人のように誤解していた生徒たちがほぼ全員でした。情報に受け身でいる限り、国民は真実に触れることが出来ない社会のしくみになっていることに気づいてくれたことでしょう。

 

講演では、20世紀、人類が地球環境を破壊し続け破滅に向かって突き進みだしたのは、

①経済第一主義、

②人間至上主義、

③科学技術信仰、

④グローバル経済など、西洋型の誤った人類発展思想が原因であり、早晩方向転換しなければ未来が危ういことが、語られました。

 

また、森山会長は、家庭や学校だけに目を向けている高校生でなく、広く社会や世界にも目を向け、真実を知る力を身に付け、声をあげる高校生になって欲しい。高校生にはその力が十分あると、期待を述べました。最後は、くまもり関東支部長(教員)が、高校生でもできる東京でのくまもり間伐活動などを、紹介しました。

 

高校生のみなさんへ・・・床に座ってしんどい姿勢で長時間にわたる話を聞いてくださって、本当にありがとうございました。心から感謝します。

 

最後に・・・この学校の先生方のお顔が生き生きと輝いておられたのが、とても印象に残りました。

八幡平クマ牧場クマ基金へのご寄付願い ⑮

郵便振替口座番号 00980-1-301781

口座名  八幡平クマ牧場クマ基金

<基金へのご寄付の呼びかけ>
本年4月20日、秋田県鹿角市八幡平クマ牧場で、6頭のクマたちが施設の外に出てしまう事故があり、飼育作業員2名が死亡、クマたちも6頭全て射殺されるという痛ましい事件がありました。この後、牧場に残された29頭のクマたちは、牧場経営者1名と秋田県庁から週3回派遣される3名の職員たちによって、給餌などの世話を受けてきました。6月からは、県職員1名と、臨時採用された3名が、お世話くださることになるそうです。

秋田県は現在、残されたクマたちの引き取り先を一生懸命探してくださっています。ただし、今のところ、冬以降も残されるクマが出た場合、殺処分はやむをえなしの方針です。

当協会は、人間が生き物を飼うからには、最後、寿命を全うするまで飼い続ける責任があると考えています。今回のことは、このことを国民に示すまたとないチャンスです。当協会は、全頭の救命措置を秋田県に強く要望します。生き物の命を大切にする解決法は、全国の子どもたちに夢や希望を与えると同時に、大人や社会への信頼感を育てます。海外に向けては、日本人の責任感や日本文化の高さを示すことになるでしょう。

当協会が5月21日22日の両日、牧場を現地視察した結果、予想外に施設が老朽化していることがわかりました。これから暑い夏を迎えるにあたって、当面、水の供給、給餌、日陰作りなど、残されたクマたちの飼育環境を早急に改善していく必要があります。牧場経営は、すでに破たんしており、経営者には経済的余裕が全くないということです。クマたちの安全面や健康を保つ面から、資金面の援助が必要です。当協会の予算は、本来の奥山保全・再生活動と大型野生動物保全のための予算であり、クマ牧場のクマを救うための予算は組まれておりません。それ故、当協会にも、当然、限界があります。

現時点では、当協会以外に基金立ち上げの動きがないようなので、当協会が八幡平クマ牧場に残されたクマたちのための基金を立ち上げることにしました。会員のみなさんをはじめ、心ある多くの国民のみなさんのご協力をお願いいたします。尚、基金は当協会が責任を持って管理し、会計報告も行います。このような問題はひとりでは解 決できませんが、多くの者が力を合わせることによって、夢が実現されます。まず私たちが寄附金を入れます。志を同じくするみなさんが後に続き、ご協力くださることを願っています。

一般財団法人 日本熊森協会 会長 森山まり子                 (2012.6.4)

8月5日(日)くまもり本部原生林ツアーのお知らせ

くまもり設立以来、毎年実施している原生林ツアー。好評につき、今年も実施が決まりました。詳細はこちら(チラシ/pdfファイル)よりご覧ください。
もうわずかにしか残されていない、我が国の原生的な森林。初めての方がこのような成熟した森を体験すると、森に対して抱くイメージがきっと一変することでしょう。この機会にぜひ体験ください。
先着40名。多くの皆さまのお申し込みを、お待ちしております!

全頭救命に向けて、本当によくやってくださっている秋田県を初め、牧場経営者など、関係者すべてを支援する体制を民間としても作っていきたい⑭

今回秋田県に来て古い映画の看板を見て気づいたのですが、1992年当時、兵庫県尼崎市の中学生たちが「ツキノワグマを絶滅させるな」と立ち上がって、当協会発足の原点となる激しいクマの保護運動を展開した背景には、1991年の校内映画上映会で、愛くるしいいたずら子グマを主人公にした秋田県が舞台の映画「イタズ」を見ていたからかもしれません。この映画を見ると、クマが人間と心を通い合わすことのできる素晴らしい動物であることがわかります。もう一度この映画を見てみたくなりました。

<秋田県庁に申し入れる熊森森山会長>

前日、秋田県佐竹知事さんとの会見を急遽申し込みましたが、急なことでかないませんでした。しかし、秋田県生活環境部部長さん、次長さん、課長さんら偉い方々が、50分間対応して下さいました。驚いたのは、ずっと県庁記者クラブの若い記者さんたちが、横で取材されていたことです。このオープンさは、民主主義の基本です。部長さんを初め、みなさんが真剣に私たちの申し入れを聞いてくださいました。何と誠実で良心的な行政なのだろうかと、感激しました。

熊森の申し入れ内容

◎必ず、全頭救命を果たしてほしい。長年クマ保護活動に携わってきた実践自然保護団体として、熊森はできる限りの協力を惜しまない。

●事件後1ヶ月、経営者もクマたちも疲労困憊しきっているため、これ以上の人的クマ的消失がおきないよう、負担軽減、飼育環境や飼育方法の改善をお願いしたい。(すでに、秋田県は連日次々と手を打っていっておられました。すばらしい県職員さん達です)

●今、日本中、世界中が、八幡平クマ牧場に残されたクマたちはどうなるのか、注目している。いったん生き物を飼ったなら、最後まで責任を持って飼うのは、人として当たり前のことだ。秋田県だけで全頭救命が無理なら、環境省(国)にも入ってもらい、飼育した動物に大人が責任をとるところを子どもたちに見せてほしい。その教育効果は計り知れないから、文部科学省も予算を組んで協力してくれるのではないか。

このあと、県庁記者クラブで、記者会見を持っていただきました。

記者さんたちが熱心に質問され、関心の高さがうかがわれました。ありがたかったです。残り28頭のクマたちの引き取り手が、現れなかったらどうなるのか、みなさんとても心配されていました。どうなろうとも、熊森の選択肢に、殺処分はありません。

人間が、金儲けの為に、または楽しむ為に、狭い檻に生涯クマたちを閉じ込めて生の喜びを奪い、利用するだけ利用して、利用できなくなったら安楽死という美名の元、殺処分してしまう。それではまるで、人間が悪魔になってしまっています。こんなことが許されるなら、人間という動物は倫理観を失い、人間社会までだめになってしまうでしょう。純粋な子供たちは、夢や希望を失い、誰もがもう大人のいう事など信用しなくなるでしょう。その弊害は計り知れなく大きく、取り返しのつかないものです。

経済第一主義病、人間至上主義病に冒され、生き物の命を使い捨てて平気な思想が、森を壊し、自然を破壊し、地球環境を復元不可能にまで痛めつけ、人類を破滅へと導いているのです。八幡平クマ牧場のクマたちの全頭救命は、単にクマたちだけの問題ではなく、日本人が西洋の自然観から脱却し、全生物の命を尊重する持続可能な祖先の文明へ立ち戻れるか、国の命運をかけた重要な局面なのです。

わたしたち心ある国民が力を合わせて、秋田県を初め、牧場経営者など、関係者すべてを支援する体制を作っていきたいと思います。

世界に広がるクマサンクチュアリ  リピーターが多く、経営も黒字(ドイツ編)⑬

世界の流れはアニマルライト。動物たちにも幸せに生きる権利がある。幸せに生きている動物たちを見ていると、人間まで幸せな気分になってきます。

海外のある大きな団体が、これまで虐げられて惨めな生活を送っていたクマたちを次々と救い出して、快適な環境で幸せな余生を送ってもらおうと、クマサンクチュアリを各国に造っています。「日本にも造りたいので、ぜひ熊森にも見ておいてもらいたい」と言われ、2005年、青年スタッフ3名が、ドイツのクマサンクチュアリを訪れ、いろいろと学んできました。

<クマサンクチュアリの入り口で>

「日本にもいつかクマサンクチュアリを造りたいので見学に行きたい」と連絡しておいたため、3名は現地スタッフのみなさんから、大歓迎を受けました。黒字経営にする方法など、立ち入ったことも詳しく教えてくださいました。

ここでは、人間が檻の中に入ります。

施設は、6ヘクタールの森を、クマが逃げ出さないように、電気柵や金網で囲ったものです。園内には小川や池もあります。ここで保護飼育されているクマたちの名前や紹介が、写真入りで展示されていました。

この日は、小学生たちが遠足で大勢来ており、クマたちの動きをやぐらから、興味深そうに見おろしていました。教育委員会の指導により、子供たちは小学生の間に1回は必ず、このベアサンクチュアリを遠足で訪れ、動物福祉や生き物達との共存について学びます。森の中のクマたちのゆっくりとした動きは、人々の心を癒します。元来クマは、大変優しくて魅力的な動物です。多くの子どもたちが、次回は両親を誘って再び訪れることになるのだそうです。

クマは、繁殖期や子育て、親別れ直後の兄弟以外は、一人だけでひっそりと生きる動物です。広い園内で、どのクマも、ひとりでそっと孤独にくらしていました。これが、クマ本来の生き方なのです。

ここのクマたちはどれもヒグマ系で、ぬいぐるみとまちがえそうです。食料は、森の中から自分で調達したもの、人間が与えたものの両方でカバーしているそうです。お年寄りたちが、クマたちの動きを見ながらのんびりと、終日ベンチに座っていました。

<金網越しにご対面>

これまで苦難のクマの人生があったのでしょうが、もう大丈夫。ここでは死ぬまで大切に保護飼育してもらえます。

いいな、いいな、こんなクマサンクチュアリが日本にもあれば、クマと人がお互いに畏敬の念を持って接し合えるような関係を再構築していけるような気がします。それはまさに、私たち日本人の祖先が持っていた、全生物と共存する持続可能な文化の再興に他なりません。

以下の絵は、2005年当時、ドイツのクマサンクチュアリを訪れた日本熊森協会の現副理事長と現環境教育部長が描いた、冬ごもり部屋を併設した日本版クマサンクチュアリです。建設費にいくらかかるのか、まだ見積もりを取ったことはありません。

世界に広がるクマサンクチュアリ  The Bear Sanctuary

ブルガリア、ドイツ、カンボジア、カナダ、中国、ベトナム、エクアドル、ギリシア、オランダ、ハンガリー、マレーシア、インド、インドネシア、パキスタン、ルーマニア、アメリカ

観光客を呼ぶクマ牧場 北秋田市阿仁熊牧場の飼育作業効率の良い獣舎設計に学ぶ⑫

鹿角市のお隣にある、北秋田市の阿仁熊牧場をおとずれてみました。ここは、クマが約80頭が飼われていますが、ほとんどすべてがツキノワグマです。周りは自然がいっぱいで、とても美しい所でした。

このクマ牧場は、マタギの里観光協会株式会社という会社が運営していますが、牧場の施設も中にいるクマたちも、北秋田市の所有物で、運営経費の多くも北秋田市から出ているという第3セクター運営でした。どうして、北秋田市がそこまでするのかというと、町村合併前の阿仁町だったころ、マタギの里阿仁町ということで、観光客を集めるために造られた経緯があるからです。

第3セクターで、行政にも入ってもらっているからでしょうか、この牧場は隅々まで人の手が入っており、花壇もあって、清潔できれいでした。

この牧場では、オスとメスを完全に真2つに分けており、繁殖調整がなされていました。この日は、2人いる飼育作業員のうちの1人がお休みだということで、一人の若い男性職員が、餌やりから掃除までをひとりでこなしていました。私たちが行ったときは、彼は、高圧ホー スの水を運動場の上からかけて糞尿の洗い流しをされていました。1日4回こうやってお掃除しているということでした。この牧場は大変計算して管理しやすいように合理的効率的な設 計がなされていました。80頭もいるクマさんのお世話ですが、無理すれば1人でもできるということでした。

餌は、トウモロコシの粉などを上からコンクリートの運動場にまくやり方で、餌やりもとても簡素化されており、野菜や果物なども与えているということでした。

入り口で1袋200円のクマフードを買って、クマたちに与えてみたのですが、どのクマもお腹がいっぱいのようで、大好物なはずなのに、そんなに欲しがりませんでした。ちなみにこのクマフードは、10キロが3000円ということで、高いものです。この牧場の周りの山林にもフキがいっぱい生えていたので、採ってきてクマたちにあげると、どのクマも大喜びで食べていました。男性職員の方が、「へえっ、クマさんはこんなものが好きだったのか。それなら、この牧場の周りにいっぱい生えているよ」とびっくりされていました。青菜は人間同様、クマたちにとっても、おいしいもの、体が求める物なのでしょう。

八幡平クマ牧場の飼育が重労働なのは、獣舎があちこちに分散されており、重い残飯を持って扉を開けたり閉めたりしながら走り回ることにあります。餌や牧場設計を根本的にここのように変えることによって、飼育作業はずいぶん簡素化されるだろうと思いました。

そのためには、施設の造り直しが必要です。いったいどれくらいお金がかかるのだろうか。さっぱり見当もつきませんが、億単位であることは間違いありません。

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