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2012-12-18

岩手県 第3次ツキノワグマ保護管理計画にご意見を   意見公募しめきり2013年1月4日

人工林率44%の岩手県では「第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)」に関する意見を、公募中です。熊森は、以下2点について強く反対します。

 

<主な改正点>

A ②ア(ア)捕獲数の管理年次19ページ

現行・・・4月1日から翌年の3月31日までの1年間を管理年次とする。

改正案・・・狩猟期を起点とし、11月15日か ら翌年の11月14日の1年間を管理年次とする。

(改正理由)狩猟期の銃における捕獲行為により、ツキノワグマに人の怖さを学習させる効 果が期待できるから。

熊森意見

過剰捕獲となるので反対です。

(反対理由)ツキノワグマはすでに、人の怖さを十分に知っています。改正する本当の理由は、県の説明とは違うと思われます
現行ですと、近年、奥山の昆虫や実りがない年が多く、夏から秋にかけて、多くのクマたちが食料を求めて人里に出て来て、有害捕殺されます。その数が余りに多いと、今年クマを殺し過ぎたとして、11月15日からハンターの人たちが楽しみに待っていたクマ狩猟が、自粛という名目で止められてしまいます。クマ撃ちを楽しみたくてハンターになったのに、クマ狩猟できないのなら、何のために税金を出したんだ。ハンターたちに不満がたまります。

猟期が始まる11月15日から、捕殺数をカウントするように変えると、毎年、必ず、狩猟は認められます。狩猟自粛年がなくなるのです。岩手県の今回の案は、狩猟好きの人たちばかりが集まって、考えだしたものだと思われます。多くの県民は、野生動物の殺生を嫌っているので、県民の思いからあまりにも外れ過ぎた、ハンターだけが喜ぶ改正案を進めるのは問題です。このような案が出て来ないように、検討会委員会委員には、野生動物を守りたい人や教育者などを、せめて半分は入れるべきです。

まず猟期に思い切りハンティングして、クマを獲ってしまうと、その次の年次、山が大凶作年になって、夏から秋にかけてクマたちが人里に多数出て来た場合、「もう年間捕獲上限数がハンティングで獲られてしまったので、有害駆除できません」とは決して今の日本ではならないと思います。「被害の恐れがあり止むを得ない」として、多数のクマを殺すはずです。こうして驚くほど過剰なクマ捕殺が行われるようになります。よって、絶対に反対です。クマは、ハンターに殺されるために存在しているのではありません。野生で生きるために、存在しているのです。

B ②ア(エ)21ページ

現行・・・春季捕獲は認められない。

改正案・・・ 地域及び期間を限定して春季捕獲(いわゆる春グマ狩り)を認める。

(改正理由)春季における捕獲は、伝統的な猟法の存続による狩猟技術の維持、狩猟資源の持続的な利用による個体数調整、銃器による追払い効果による被害の抑制などの効果が期待できる。

熊森意見

過剰捕獲となる上、あまりにも殺し方が残酷なので、反対です。

(反対理由)雪解け時ほど、クマの殺しやすい時はありません。夏と違って、どこにクマがいるのか見つけやすいし、冬ごもり中の6か月間、クマは飲まず食わずで弱っていますから、殺しやすいです。冬ごもりあけは、母グマが、2頭の子どもを産んでいます。母子グマは殺さないようにすると言われても、監視者がいない山の中ですし、母グマだけが冬ごもり穴から出ていたら、子供がいるかいないか、判断を誤ります。母グマが殺されると子グマは生きていけません。春グマ狩りは、とても残酷で、卑怯です。春にクマを殺すことが、その年の農作物被害の抑制になど繋がりません。春グマ狩りは、山奥でひっそりと生きているクマたちを殺す猟法です。春グマ狩りなどしなくても、山に実りがあると、クマは里に出て行きません。

本当の理由は、県の説明とは違うと思われます。
冬ごもりあけのクマは、胆嚢が、1年で最も大きいのです。金より高く売れるというクマの胆嚢を売ることを考えると、春グマを獲るのが一番儲かる殺し時期です。この改正点も、ハンティングを好む人たちからの要望であると思われます。

 

<くまもり感想>

一般の県民は善良で専門知識もなく、改正案の裏が読めないので、岩手県の今回の改正案のおかしさに気づきにくいかもしれません。今回の改正案が、まるでハンターを喜ばせるだけの改正案になっていることがわかる方は、どんどんと声を岩手県に届けてください。クマは、ハンターに殺されるために存在しているのではありません。野生で生きるために、存在しているのです。生かしてやるべきです。人間がクマたちの頭数調整をしないと増え過ぎるというのもおかしい。自然界は、自然の力で数を調整しています。今回の保護管理計画案には、数字がたくさん出てきます。しかし、人工林率44%という大変な数だけは、どこにも出されていませんでした。残念です。岩手県は、動物が棲める広葉樹林を戻すことにこそ、最優先して取り組むべきでしょう。

 

岩手県ホームページ

上記ホームページトップの左端、総合案内部分の、パブリックコメント・情報公開・個人情報保護等からクリックし始め、「第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)」を探し当てて、ご一読ください。

(1) 第3次ツキノワグマ保護管理計画(案)
2 意見の募集期間
平成24年11月30日(金)から平成25年1月4日(金)まで
3 意見の提出先
(1) 郵便の場合    〒020-8570 岩手県環境生活部自然保護課
(注 住所の記載は不要です。)
(2) ファクシミリの場合 019-629-5379
(3) 電子メールの場合 FA0031@pref.iwate.jp

問合せ先(注 電話による意見の受付は行いませんので、御了承ください。)
岩手県環境生活部自然保護課 野生生物担当
電話番号 019-629-5371

「ツキノワグマ 福島県内に最大3384頭生息か」という記事の真相

福島県は、「クマの捕獲許可権限を県から地元市町村に降ろして、クマをもっと獲りやすくするように条例改正する案」に対する県民意見公募の最中に、記者会見し、福島県に生息するクマは、これまで考えられていた数の2倍以上いるかもしれないと発表されました。まるで、クマはたくさんいるから、市町村判断で、もっと簡単に獲れるようにすればいいではないかと、意見誘導しているようにもみえました。県庁担当者に、電話をしてみました。

 

熊森 ・・・「カメラトラップ調査」で、何種類のツキノワグマの斑紋が、識別できましたか?

福島県・・・11種類です。

熊森・・・では、福島県に、最低11頭のクマがいることは、間違いありませんね。でもなぜ、11頭が、3384頭になったのですか?まさか、森林面積をかけたりされていませんよね。

福島県・・・最大3384頭というのは、あくまで推定で、3384頭いると言ったわけではありません。いろんなことを加味して、出しました。

熊森・・・11という数字が、どのようにかけたり足したりされて、3384になっていったのか、その全過程を業者から入手して、見せていただけませんか。非常に興味があるので、検証してみたいのです。加味したこと全てを教えてほしいし、どのように加味したのかも知りたいです。

 

<熊森から>

「これは、科学的に調査した結果です」と数字を出されたら、ふつうの国民は信じてしまいますが、その数字が出される過程を、県民の皆さんに検証していただきたいです。科学は法則です。誰が追試しても、同じ結果にならねばなりません。私たちは、福島県にクマが何頭いるのか知りません。豊かにいればいいだけで、何頭いてもいいのであり、正確な数など分かるはずはないし、知りたいとも思わないし、知る必要があるとも思いません。第一、生まれたり死んだり、絶えず複雑な要因が絡まって変化する自然界を、しかも、見透せない森の中で大きく動き回っている動物を、数字で表す事などできません。生息地が十分に保障されて、人間と棲み分け共存できていれば、それでいいのです。

 

しかし、野生動物の数を人間がマネジメントすべきと主張している研究者や業者たちは、そうではありません。何頭いるのか、クマたちの迷惑も顧みず、耐えがたい負担をクマたちにかけてまで、数字を出そうとします。次は、適正生息数を決めます。そんなもの、人間が決められるわけないのに、推測します。そして、自分たちが決めた数より増えたと推測されると、殺します。クマたちにはこの上もなく迷惑で傲慢な人間たちです。アメリカ大陸が発見された時、大地が動いたと思ったら、バイソンの群れで、空が真っ暗になったと思ったら、量バトの群れだったという記録を読んだことがあります。ワイルドライフマネジメント派に、バイソンもリョコウバトも、適正生息数はいくらなのか聞きたいです。

 

11頭いたという数は信じます。しかし、その後、この数字に人間がくわえた操作は、使った数式も含めて、全て、仮定であり推測です。仮定や推測を、何回も何回も重ね続けて出した数字になど、意味はあるのでしょうか。自然界や命は、物ではないので、工業製品のように数式化などできないのです。人間のためにもクマたちのためにも、こういう自然界の実態に気づく人が増えてほしいものです。

 

< 以下、新聞記事です>

福島県は13日、今年度から導入したツキノワグマの「カメラトラップ調査」で、県内の推定生息数は最大3384頭に上ったことを明らかにした。ツ キノワグマの斑紋を撮影して識別する手法で、調査方法が異なるため単純比較はできないが、これまでの最大1600頭の2倍を超えた。

調査結果は同日、福島市内で開いた県と学識経験者らによる検討会で報告された。県は結果や検討会の議論をまとめて、2013年度からの県ツキノワグマ保護管理計画に反映させる。

調査は8~10月、クマの生息数が多いとされる西会津町で行った。山林の20か所にビデオカメラとハチミツを仕掛け、クマがハチミツを捕る際にあ らわになる胸の「月の輪形」の斑紋を撮影。斑紋は個体によって異なるため識別でき、映り込んだ頭数をもとに生息数を割り出した。

その結果、県内全体の生息数を514~3384頭と推定。従来は農作物を荒らされた場所にわなを仕掛け、捕獲した頭数をもとに推定していたが、この方法で1988年から2003年までに行った調査では、860~1600頭だった。

県は、捕獲頭数は年ごとにばらつきがあるため、実際に山で暮らすクマを数えた方が実態に即しているとして、カメラトラップ調査に切り替えた。た だ、予算の都合などで、今年度の調査は西会津町に限定され、短期間にとどまった。このため検討会では、委員から「結果として生息数を多く見積もっているの では」「調査地域を広げるべきだ」などの指摘があった。

県自然保護課は「調査地域を広げたり、複数年にわたって調べて経年変化をみたりして、精度を高めたい」としている。

県によると、今年度の県内のクマの目撃件数は10月末現在398件で、前年度同期(120件)の3倍以上だ。クマに襲われてけがをした人も5人おり、うち1人が死亡している。

県は住民に危害が及ぶ恐れがある場合、地元で迅速に対応できるように、希望する自治体に対し、クマ捕獲の許可権限を県から移譲する条例改正を目指している。来年2月の定例県議会に提案し、可決されれば13年度から施行の予定だ。

県が実施したアンケートでは、全59市町村のうち、会津地方を中心に27市町村が権限移譲を希望しているという。

(2012年11月14日  読売新聞)
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