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2013-05-20

16日早朝、金沢市の中学校にいたクマは、麻酔銃で眠らせて山へ放すべきだった 

石川県は、全国で初めて、クマに対して個体数調整を導入した県です。この、個体数調整という殺し方は、野生動物にとって、大変理不尽で問題のある殺し方です。

これまで、クマは、狩猟か有害獣駆除かのどちらかで殺されてきました。狩猟は趣味のハンティングであり、狩猟期間が決められています。

有害駆除は、クマが農作物を食べたなど、有害とみなす理由があって殺すものです。

 

ところが、個体数調整というのは、人間がクマの個体数を調整するという名目で、生息地の中に入っていって何の害もないクマを殺すものです。石川県に何頭クマがいるかなど、正確には誰にもわかりません。何頭いたらいいかも、人間にわかるものではありません。わからないのに何もしていないクマを殺すのです。クマたちの命への尊厳が少しでもあれば、できることではありません。

 

今回の事件ですが、なぜこのクマが、午前3時半に、北陸新幹線の工事をしている所まで出て来たのかという問題です。

単に迷い込んだだけかもしれませんが、他にも考えられる理由があります。今年、3月~4月にかけて、奥の山で個体数調整として、金沢市だけで9頭のクマを撃ち殺しています。

以前聞いたところでは、ダム湖に船を浮かべて、その船に乗って、奥山へ個体数調整に入るのだそうです。いわゆる、春グマ狩りです。この時期は、雪が消え、まだ若葉が出ていない時期であり、クマたちが棲む落葉広葉樹林の中が一番見渡せる時期です。つまり、一番、クマを見つけて撃ちやすい時期なのです。しかも、この時期は、熊の胆が一番大きく、何十万円もの高値で売れる時期でもあるのです。

猟友会員たちが、冬ごもりからやっと覚めたクマたちを追いかけることによって、クマたちはここに居ては殺されると危険を感じ、里の方に降りて来たのではないかとも考えられます。

 

金沢市の担当者に電話で聞くと、今回、担当の獣医師をたたき起こして、麻酔剤の調合をしてもらっていたということです。金沢市は、クマなどの大型野生動物用の麻酔銃を保持しているそうです。市の担当部署としては、このクマを捕獲して、金沢の奥山に放獣しようと思ったのだそうです。しかし、クラブの早朝練習の生徒たちが登校する時間になってきたのに、獣医さんが来るのが遅れたので、仕方なく射殺したと言われていました。5月~8月の期間に、さらに個体数調整枠として、金沢市では石川県から10頭殺していいと割り当てを貰っていたから、それを使って射殺したということでした。

 

<熊森から>

金沢市がそこまで考えておられたのなら、人間は言葉を持っているのですから、学校の周りを車で回って、拡声器で、今、校庭にクマがいるので獣医さんが来るまで登校しないようにと呼びかけてもらったら、解決した話ではないでしょうか。それをせずに、さっさと殺してしまった金沢市。個体数調整捕殺枠があることによって、安易に射殺したのではないかと感じました。個体数調整を県に導入した石川県に猛省を促したいと思います。

 

石川県は、クマ肉や熊の胆が高く売れる地域です。心配になったので、念のために、市の担当者に、殺したクマの遺体は、その後どうなったのかたずねました。

以前、石川県民らが、石川県内のある市で、有害駆除したクマの肉を、行政や、新聞記者、警察などみんなが、猟友会員らから口止め用に?分けてもらっているのを見たことがあるからです。(焼却することになっているのに、実際はしていなかった)

また、狩猟期でもないのにクマを殺して解体している猟友会員らの現場を、たまたま見てしまった人たちもいます。

隣の福井県は、クマとの共存をめざして、出て来てはいけない所に出て来たクマはつかまえて、居てもいい所にドンドン放獣してくださっています。一方、石川県は、捕まえたクマはすべて殺すことにしています。この違いは、何でしょうか。

 

今回、金沢市の担当者が言われるには、大きくて焼却炉に入らなかったため、体をいくつかに切り分けて、焼却したということでした。漢方薬として高く売れる熊の胆のことも、売られていないか心配になったので聞いてみましたら、これが熊の胆かとみんなで確認してから、こちらも焼却したということでした。

 

最後に、今回の射殺場所は、学校であり、全生物の命の尊厳を生徒たちに教えなければならないところです。今回の金沢市の対応は、教育上からも問題です。熊森は、金沢市、石川県、環境省に、抗議文を送ります。

 

 

地下水脈を各所で分断するリニアモーターカーは、取り返しのつかない国土大破壊 

3・11東日本大震災以来、すっかりリニアモーターカーのことを聞かなくなっていました。さすがに、震災復興でそれどころではなくなったのだろう。人々の価値観も、3・11以降すっかり変わっただろうから、このような国土大破壊計画は立ち消えになったにちがいないと、日本の森と動物を守ろうと真剣に活動し続けている自然保護団体としては、うれしく思っていました。ところが、最近、リニア中央新幹線という名前で、JR東日本が建設を進めると聞いて、危機感でいっぱいになりました。

 

リニアモーターカーは、東京ー大阪間のほとんどをトンネルにして走らせるということですから、地下水脈が各所でぶち切られ、日本国始まって以来の取り返しのつかない国土大破壊になります。すでに実験区間の山梨県では、川の水が干上がったり、井戸が枯れたりという情報もあります。私たちは調査に行ったことはありませんが、ちょっと頭で考えてみただけでも、そうなることが簡単に予測されます。JR東日本は、大スポンサーなので、マスコミはこのような事実を報道できないのだそうです。

 

これから日本は、間違いなく縮小社会に進みます。明治以降一気に4倍にも爆発増加した人口は、この狭い国土で養うことのできる適正人口に収束していくことでしょう。その先は、自然と共存する持続可能な社会の実現です。そうなったとき、建造物はどんどん劣化しますから、すでに造られた新幹線や高速道路などのメンテナンスだけでも、次世代の人たちにとっては大変な負担になると思います。これ以上の巨大な建造物は、自然環境保全のためにも、次世代を苦しめないためにも、造るべきではありません。

 

リニアモーターカーの予定コースに当たる山々は、人間だけのものではなく、クマを初め、たくさんの生き物たちの掛け替えのない命の土地です。彼らに、リニアモーターカーを造ってもいいかきいてみなければなりません。水脈を切り刻んで、強力な磁場を出現させてもいいか、相談して下さい。きっと、やめてほしいと泣いて訴えることでしょう。

 

戦後、わたしたちはもう十二分に、破壊し過ぎるまで国土を破壊し尽くしました。これ以上地球を傷つけることはやめましょう。東京大阪間を1時間で移動したければ、飛行機に乗ればいいのです。3・11を体験した日本人は、今こそ、この国にとって何が今大切なのか、価値観の転換が求められると思います。大切なのは、使えばすぐ消えてしまうお金ではなく、一度破壊したら二度と元に戻らない地球環境の保全です。人間も含めたすべての生き物たちの命です。リニアモーターカーを走らせるには、大量の電気が必要で、原発を再稼働させなければならなくなります。JR東日本は、リニアモーターカーを造るような巨額のお金があるなら、福島原発事故の処理に提供してほしいと思います。

 

ちなみに、ドイツは、リニアモーターカーの建設から撤退。中国のリニアモーターカーは、上海浦東国際空港と龍陽路駅の間約30キロを7分間で走る 観光リニア。

日本では、山梨リニア実験区が今年完成するそうです。どうかそこで終了してくださるようお願いします。今後は、巨大プロジェクトや科学技術の暴走を止めていかないと、近い将来、人間までもが生きていけなくなると思います。

 

 

 

国土を支える地下水脈は健在

5月13日 神戸パタゴニアで橋本淳司先生のアクティビティがありました。橋本先生が最初に見せてくださったのが、下の図です。赤線は、地下水脈を表しています。

 

かつて東京湾に注いでいた利根川ですが、千葉県銚子に流れるよう川の付け替え工事が行われてずいぶん経ちます。驚いたことに、川は付け替えられても、地下水脈は昔のまま東京湾にしっかりと注いでいました。

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