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2013-08-14

わたしたちの声も聴いてほしい 栃木県庁で記者会見 8月2日

環境省担当官によると、「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」についておかしいと意見を言ってきたのは熊森だけだということでした。誰かが声を上げねばならないと危機感を感じた熊森は、お昼の12時から午後1時まで、栃木県庁で記者会見をさせていただきました。

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「野生鳥獣が田畑に出て来たのはハンターが減ったからと環境省が説明するとき、1970年以降の狩猟者が減りだした後のグラフだけを見せて、世論操作しています」・・・熊森の説明を、新聞記者のみなさんが熱心に聞いてくださり、多くの質問も受けました。

 

人工林率46%という栃木県の森の状況を、栃木県会員の方に補足説明していただきました。以前と比べると森の中の昆虫がすごく減ったという証言をしてくださいました。

戦後、人間が森の中をどれくらい荒廃させたか見ないで、山から出て来た動物ばかりを見て、殺す対策しかとらないのは、あまりにも悲し過ぎます。いろんな意見の人を集めて、いろんな意見を出し合ってもらい対策を考えていく。国策を誤らないために、環境省にはそんな国づくりをお願いしたいです。

 

次の日の朝刊では、多くの新聞社が、熊森の意見を紹介してくださいました。ジャーナリストは死んだとか言われるけれど、奥山を歩き続けている市民団体である熊森の見解を紹介してくださる記者さんが、栃木県にはたくさんおられました。まだまだ日本は民主主義国家だと思うと、うれしくなりました。記事にしてくださった記者のみなさん、本当にありがとうございました。

 

8月3日朝刊掲載新聞

東京新聞、毎日新聞、産経新聞、読売新聞、下野新聞

 

 

例外種以外のほとんどの狩猟鳥獣の捕獲数が激減している事実を、どう考えるか

わが国の狩猟対象鳥獣は、鳥類29種、獣類20種(うち5種類は外来種)の、計49種である。

今年の3月12日、環境省や有識者が出席して、「狩猟鳥獣のモニタリングのあり方検討会」が持たれた。事務局は、自然環境研究センターである。

その中で配布された資料に、狩猟鳥獣の1923年(大正末期)から現在までの捕獲数(狩猟数+有害捕殺数)の推移グラフがある。それを見て驚いた。例外種と外来種以外は、どれも激減している。

 

<鳥類29種の場合>

捕獲数が増えているのは、カワウ1種のみで(Aタイプ)、あとはキジに代表されるように、どれも激減している(Bタイプ)。以下、環境省HPから。

 

(Aタイプ)

カワウ

 

(Bタイプ)

ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾ ライチョウ、ウズラ、ヤマドリ(コシジロヤマドリを除く。)、キジ、コジュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズ メ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス

 

 

<獣類20種の場合>

捕獲数が増えているのは、特定外来生物法2004年によって根絶殺害捕殺が始まっている外来種を除くと、イノシシとシカのみで(Aタイプ)、あとはウサギに代表されるように激減している(Bタイプ)か、クマのようにどちらともいえないもの(Cタイプ)である。

 

(Aタイプ)イノシシ、シカ

(Bタイプ)

タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン、イタチ、アナグマ、ハクビシン、リス、ウサギ、

< 熊森の考察>

これらのデータは、いったい何を意味しているのだろうか。

狩猟者が減って、捕獲される狩猟鳥獣が減ったのか、かれらが田畑を荒らさなくなったので、有害捕殺しなくてもよくなったのか、または、例外種を除いて、これら自然界の野生鳥獣の生息数が激減したのか。

いつも見ている狩猟者数の推移グラフを、ここでもう一度見てみよう。

狩猟者登録数の推移 環境省グラフを熊森編集 特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン(イノシシ編)H23

もちろん、地域や種類によっても違うし、生息環境も、森林に生きるもの、草原に生きるものなど、個々の状況は違うだろうが、西日本に住んで山の中を歩き回っているわたしたちに言わせれば、例外種以外は、我が国の野山から野生鳥獣が限りなく激減していっているように思える。

 

狩猟対象鳥獣以外にも言えることだが、むかし、どこにでもいた鳥獣が見当たらなくなってきている。緑に覆われた国土を見て安心している人がほとんどだが、実際は、野生鳥獣の棲めないひどい自然環境になってきていると言えるのではないか。スポーツやレジャーとしての狩猟など奨励している場合ではないのではないかと思えるのである。

 

農家がシカ、イノシシなどの大型動物に田畑を荒らされるようになって、所によっては農業ができないほど困っておられるのは、私たちも各地で見聞きしてきた。なぜ多くの鳥獣が激減する中で、これらの大型動物だけが大量捕獲されているのか。誰も説明できない。人間には自然界がわからない。

 

今、必要なのは、一般的なハンターを増やすことではなく、シカ、イノシシ、加えるなら、クマ、サル、この対策員を養成することではないか。しかも、これらの動物だけを見ているのではなく、彼らの本来の生息地が今どうなっているのか調べ、どうしていけばいいのかまで考えられる専門知識と、生命尊重を最優先にして考えられる倫理感あふれた対策員が必要とされていると思う。

 

 

 

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