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2013-09

本部チェンソー隊、9月29日、国有林(ヒノキ人工林)初間伐へ

民間市民団体が、国有林の間伐に乗り出すのは、新しい動きです。少なくとも、兵庫県では初めての試みではないかと思います。兵庫森林管理署と当協会の信頼関係が基盤にあります。

 

当日のことはマスコミの皆さんに発表してよいという許可を、兵庫森林管理署から得ました。取材していただいて、全国にこの流れを広めていただきたいです。

 

国有林は、国民みんなの手で大切に守っていこうというのが、熊森の考えです。

 

当日は、熊森チェンソー隊が下草がはえるように人工林内を間伐して、光を入れていきます。

 

現地国有林の外観(兵庫県千種町)

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上の現地国有林の内観

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こういう日が来ることを、熊森はずっと夢見てきました。ここに、また、新たな熊森の夢が実現します。このような機会を与えてくださった兵庫森林管理署の皆様には、心から感謝申し上げます。

 

作業はこの日だけでは終わりません。今後も続きます。林業経験者などチェンソーに熟練されている方で、今後国有林の間伐にボランティア参加ができる方は、どうぞ、熊森本部まで、ご連絡ください。

 

今年、熊森本部は、ドングリを集めていません

毎年秋になると、「ドングリを拾って送りましょうか」

というお問い合わせを、たくさんの方からいただきま

す。

皆さまの動物たちを思うやさしいお気持ちをうれしく

思います。



ただし、熊森は毎年どんぐりを山に運んでいるわけで

はありません。

毎年、山の状況やクマの行動などから必要性を判断し

ています。

春や夏からクマが里に出てきている場合は秋にどん

ぐりを運んでも有効でない場合もあります。

今年は、現在のところ、本部ではどんぐり運びを行

う予定はありません。



ただ、特定の地域でどんぐりが緊急に必要な場合も

ありますので、もし、すでに集めてしまわれた方が

おられましたら、本部までお問い合わせください。

実のなる木の繁る森再生に向けて・・・ 地元苗木畑作りや、囲い内へのじか植え

本部森再生チームでは、地元協力者に土地を提供していただき、実の成る木の苗木畑を作っています。

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また、植樹地に、シカよけの小ネットをいくつか間をあけて張り、その中にトチの実などの種子をじか植えすることもしました。

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冬の積雪が多く、急斜面で、シカ密度が高い。この3つがそろった地域で、人間の力で森を再生することは、想像を絶するむずかしさがありますが、野生鳥獣と共存できる国をめざして、みんなでがんばっています。

9月23日 本部クマ部会が山の実り豊凶調査・・・ 並作です

熊森では、今年も春の花の時期からずっと現地を回り、ドングリ類の豊凶を予測し続けてきました。今年は、3年連続になりますが、ハイイロチョッキリの出現もほとんどなく、ドングリは木についたまま、無事、秋を迎えることができました。熊森を指導してくださっている研究者のおひとりによると、虫の発生が抑えられているのは、冬の気温が低かったからということです。

 

9月23日(月)に本部クマ部会で参加者を募り、計10人で兵庫県北西部のクマ生息地の山の実りの豊凶調査(最終)に出かけました。調査方法は、兵庫県森林動物研究センターに教えていただいた調査法を参考にさせていただきました。

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まずは調査地1カ所に対して10本ほど調査木を決めます。道のそばの林縁部で、できるだけ樹木全体が見えやすく、日当たりも良好で健康そうな樹木を選びます。そして、その樹木を双眼鏡で見て、ランク分けをしました。

×凶作→0点:前方投影面積で樹幹1㎡当たりの平均結実数1個未満

△不作→1点:前方投影面積で樹幹1㎡当たりの平均結実数1-4個

○並作→2点:前方投影面積で樹幹1㎡当たりの平均結実数5-9個

◎豊作→3点:前方投影面積で樹幹1㎡当たりの平均結実数10個以上

以上のようにランク分けを点数化して10本の平均を出すという方法です。実際は、兵庫県ではこの数字を計算式に当てはめて最終的には6段階の評価にしていますが、私たちはこの4段階評価でも十分豊凶を知ることはできると考えました。

IMG_0011ブナ

ということで、実際にやってみるといろいろな問題点が出てきました。

・双眼鏡の良し悪しで豊凶が違って見える

・実を探すのが人によって得手不得手がある

・逆光や日陰の具合によって見えにくいときがある

・見えやすい木と見えにくい木で豊凶結果に影響されてしまう

・特にミズナラは下からだと実が見えにくい

・豊作の樹木を見たあとに少し実なりの悪い木をみると、たとえその樹木が豊作であっても並作などと評価を低くしてしまう

・クマの生息地とそうでない場所を同じ基準で考えて良いのか

 

今回は初めて豊凶調査をする人がほとんどでしたので、ブナ、ミズナラ、コナラの特徴をお教えしました。特にミズナラとコナラの違いはしっかりと覚えていただきました。

IMG_0040ミズナラ

そして、もうすでにブナの実が落ちていたので、みなさんに味見していただきました。みなさん、アクもなく、香ばしくておいしいと言われていました。昔の人たちが食料にしていたのもうなずけます。

結果的にはブナは1.9点、ミズナラは1.8点で、共に並み程度ということですが、今回の調査で様々な改良点を考えると全体的に厳しく見ていたかなと思うので、並以上かなと思います。ただこれはこの地点においてはという話ですので兵庫県全体を見ていくと、また違う結果の地域があるかもしれません。(当協会は、クマの生息地のみ、調査しています)

今回、ボランティアの皆さんに集まっていただいて豊凶調査をしたのは、初めてです。今後、調査方法を改良しながら、多くの会員のみなさんに参加していただき、結果をクマ保全に生かしていきたいと思います。

 

 

ツキノワグマ:「大量出没」なしか 餌の実り良く−−県見通し /福井

毎日新聞 2013年09月06日 地方版

 クマの出没シーズンを前に、県は5日、県内市町の担当者を集めた「ツキノワグマ出没対策連絡会」を開き、今年の出没見通しを説明した。餌となるブナなどの実が比較的良く実ったため、大量出没はしないとみられる。

県自然環境課によると、クマが大量出没する年は、奥山に分布するブナやミズナラの実(ドングリ)の実りがいずれも悪い傾向がある。奥山に餌のドングリが少ないと、クマは6、7月の活動のピークを過ぎても、頻繁に人里に出没するという。

今年のブナは並作、ミズナラは不作だったが、過去に大量出没した年よりも良好という。クリは豊作で、クマが山から人里に下りて餌を探さなければならないような深刻な状況ではないという。

今年4〜8月の県内のツキノワグマの出没は141件。2009〜12年の同時期の出没数(47〜116件)より多かったが、7月は53件、8月は15件と減少している。

大量出没の可能性は低いものの、近年は里山に放置された柿やクリを目当てにクマが来ることが多く、同課の担当者は「クマを呼び寄せないよう、餌となる作物の取り残しに注意し、残飯や生ゴミの除去を徹底してほしい」と話している。

北海道、今年、山の実り豊作、ヒグマの食料充分あり(北海道野生動物研究所)

<ヒグマ>北海道「例年より増」予想 ドングリ生育悪く

 

<ヒグマ>北海道「例年より増」予想 ドングリ生育悪く

ヒグマの出没が、今秋は例年より増えると予想されている=北海道斜里町で

  北海道は、今秋のヒグマの出没について「例年より増える」との予想を発表した。餌となるミズナラなどのドングリの生育が全道的に悪いことから、餌を求め て市街地や農地へ現れる恐れがある。また、キノコ採りなどで山に入る機会が増えるため、道は10月31日までを「秋のヒグマ注意特別期間」として注意を呼 びかけている。

 

上の新聞報道をうけて、ヒグマたちが心配になり、熊森顧問の北海道野生動物研究所所長門崎允昭博士に今年の北海道の山の実りについて電話で問い合わせてみました。

 

門崎顧問によると、山の実り調査から帰ってきたばかりだが、ドングリ類(ブナ、ミズナラ、カシワ、コナラなど)はどれも豊作で、他に、サルナシ、ヤマブドウ、クルミなど、みんな豊作だということです。特に黒松内町のブナは、大豊作で、地元では今のうちに苗木作りをしようということになっているそうです。ヒグマたちの今年の秋の食料は充分にあり、北海道は何の心配もないということでした。

 

どうして、180度正反対の結果がマスコミに出るのか門崎博士に尋ねたところ、情報提供者があるところだけを部分的に見て判断したのではないかというお答えでした。

 

 

 

 

 

 

秋の八幡平クマ牧場・阿仁クマ牧場を訪れるツアー(最終回)のお知らせ

経営破たんした八幡平クマ牧場に残された20頭のヒグマ達ですが、昨年の事故後、終生保護飼育を願うわたしたちの願いを受けて、秋田県によって継続飼育されてきました。この間、私たちが集めた「八幡平熊牧場クマ基金」から、飼育設備の改善やえさ補給に支出が続き、ヒグマたちの命を支えてきました。
11月初め、動物福祉に配慮して北秋田市阿仁に新しく建設されたヒグマ園に、全頭めでたく引越せる予定です。今回は、八幡平熊牧場に於ける最後のヒグマたちとのふれあいです。大きなヒグマたちと目の前でふれあえる最後の感動体験です。
先着15名。ぜひ、ご参加ください!

 
詳細は、こちらよりご覧ください(PDFファイル)。

この森に昔のように生き物たちがいたら最高なんだけど・・・神戸市の保育園の先生方を原生林にご案内

9月7日、神戸市の保育園の先生方を岡山県の若杉天然林にご案内しました。

講演の度に、「百聞は一見にしかず、ぜひ一度現地を見てください。現地を見ていただけたら、説明の言葉はいりません」とお話していたら、先生方の方でバスをチャーターして、本当に研修会を企画してくださいました。感激です。この日は雨もよう。しかし、決行です。

バスは、湊川神社前から出発しました。バスの中でマイクをまわすと、さすが、保育園の先生たちだけあって、「本当の森を一度見ておきたい。今日学んだことをこどもたちに持って帰りたい」という意気込みの声が一番多かったです。

 

第一下車地点はは、兵庫県のたつの動物園。森づくりの名人、クマさんをまず見ていただきます。

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長野生まれのメスとオスの兄弟グマ。平成元年にここへ連れてこられたとき、1~2歳だったそうですから、もう26歳です。

クヌギとコナラのまだ青いドングリを周辺の木から取ってきて投げてやると、すぐに気付いて食べてくれました。

熊森の要請で獣舎を2倍に広げてもらったのは良かったのですが、なぜか兄弟の獣舎の間に仕切り鉄板がびっしりと張られて、お互いの姿を見ることができなくなっていました。理由があるのでしょうか。今度、改善を申し出てみます。

「26年間、この檻の中?」先生方は不憫そうに?長い時間見ておられました。

でもここのクマさんは、えさもいろいろと与えられ、そうじもきちんとしてもらってとてもめぐまれている方です。

 

バスはやがて奥地の人工林地帯に突入。行けども行けどもスギ・ヒノキです。

当協会が佐古井の森と命名しているところで、2度目のを下車していただきました。

原生林内に入ってしまうと樹木がどれも巨木の為、下から見上げても実りが見えません。しかし、この場所のガードレールのところから見下ろすと、実りをま近に見ることができるのです。

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ミズナラ

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ブナ

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クマノミズキ

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今年はそれなりに実っています。ホッ。

 

3度目の下車です。30年生のヒノキ人工林に入ってもらいました。間伐していましたが下草なし。隣のスギ人工林も下草なし。道中延々と見てもらってきた青々とした人工林の中は、みんなこうなっていたんですよという説明に、絶句。これじゃ動物たち棲めないよね。この町の人工林率は、85%です。

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いよいよ、若杉原生林です。「わあ、さっきの山と全然違う」

なぜ21世紀の今も、このような森を残さなければならないのか、説明に聞き入ります。

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谷川の水量にびっくり。

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「つめたーい!」そのわけは・・・

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班ごとに説明を聞きながら、森の中に入っていきます。

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みなさん3キロコースを歩いてくださり、しっかりと学んでくださいました。「ようく、わかりました」

 

しかし、案内者としては残念です。昆虫や、魚、両生類、爬虫類、鳥、獣、…みんな激減していなくなっているのです。昔あんなにいた生き物たち。どうして消えてしまったのか。植物も全体的に弱っています。17年前は、そこのササの横にクマがいたりして…なんて脅かしっこしたものですが、ササがスカスカで間が見えますから、もうこんな冗談も言えなくなってしまいました。いったい日本の山で何が起きているのか。まだ、若杉原生林はいいほうなのです。

 

若杉原生林が開発されそうになったら、この日の参加者の皆さんはきっと、「絶対反対!!」って、声を上げてくださることでしょう。

行きも帰りも、バスに乗っているときだけが雨、バスから出ているときは雨が止んでいる。信じられないような天候の日でした。

参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。

本当の森を見てしまった仲間の誕生です。

くまもりは、こんなすてきな仲間を、これからもどんどんと日本に誕生させていきます。

 

巨木トラスト活動が『ビッグイシュー日本版』に掲載されました

2012栃巨木調査2

ホームレスの方が街頭で販売している雑誌『ビッグイシュー日本版』の創刊10周年記念号(第222号 9月1日発行)に、巨木トラストの記事が2ページにわたり掲載されています。

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すべての人に「出番」と「居場所」のある社会をという理念のもとホームレスの方を販売員として街行く人々に販売されてきた雑誌であるビッグイシューの10年の歩みを記念すべき号に記事を載せていただいたことはとても光栄です。

10周年記念号の表紙は、ブルーナのうさぎが目印です。現在、街頭で販売されていますので(定価300円、160円が販売員の収入になります)、ぜひトラストの記事をご覧ください。

 

ビッグイシュー日本HPはこちら

8月30日 新生環境教育チームで、2回目の環境教育

兵庫県西宮市にある、ある食品株式会社 の能力開発センターで、環境教育をさせていただきました。

今回の熊森環境教育実施スタッフ7名中6名は、2回目の環境教育でした。

こちらの学生の方々には事前に、当協会の小冊子「くまともりとひと」の感想をいただいたのですが、原稿用紙いっぱいに一生懸命、思いを書き綴ってくれていました。

今回の環境教育プログラムは1時間目に小学校低学年向きの「もりとどうぶつ」、2時間目に太郎と花子のお話でした。

今回の聞き手である14名の学生の方々は、メモを取りながら真剣に話を聞いてくださり、くまもり紙芝居「どんぐりのもりをまもって」では涙する学生も。

太郎と花子のお話では、クマの意外な一面に笑いが起きるなど、和やかな時間になりました。

小冊子を読んでいたこともあってか、皆さんとてもよく理解してくださいました。

みなさん、純粋な気持ちで熱心に聞いてくださり、こちらもとてもやりがいを感じました。

 

授業後には、ご丁寧に今度は授業の感想文を送っていただきました。

現在、よりよい授業方法を模索中の私たち環境教育チームとしては、うれしい限りです。

その中には、人工林化によって野生動物のすみかが減っていることを初めて知った、クマは肉食だと思っていた、など様々な感想が書かれていました。

荒廃した山から食料を求めて出てきた動物達をただただ捕殺し、森林の問題には目をつぶるという、人間の身勝手による悪循環を嘆く声もみられました。

 

熊森環境教育プログラムは、森林動物の実状への理解とともに、1人1人の小さな活動が森林再生の大きな力になる、という意識を持ってもらうことを目標としています。

「動物が可哀そう」から「自分にできることをしよう」へと、思いを行動に移せるような授業作りを、今後目指していきます。

小さなころに感じたこと、慣れ親しんだものは、その人の人生の大きな基盤になります。

次の世代に環境保護を伝えていくことが必要とされる今、子供たちが自然への興味関心を持つきっかけ作りとなることも、環境教育の意義だと考えています。

 

そんな環境教育を目指して、今後も熊森環境教育チームは練習・実践を重ねていきたいと思います。

毎月第1土曜日午後13時半から本部で練習していますので、環境教育をしてみたい方なら、初めての方でも大歓迎。お気軽にご参加ください。

 

食品株式会社 能力開発センターの皆さん、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

 

 

 

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