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2013-09-05

山の実り並作

春から、今年の山の実りがどうなるか見続けてきましたが、まずは順調に生育して秋を迎えたように思います。

 

9月2日の兵庫県クマ生息地の調査報告です。

道中、2004年の台風で各地の放置人工林が山崩れを起こしました。その跡地に、先駆種であるタラの木が大きく育ち、この時期、白い花を咲かせているのが目立ちました。自然にこうなったそうですが、まるで人が植えたようですね。30年もすれば、タラは、自然に消えていく運命にあるそうです。

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クマたちの大好物である秋の木の実の成り具合を、報告させていただきます。

①ミズキ

道中、実がたくさんついていました。これから完熟していくことでしょう。ミズキは15年に1回は大凶作になると言われていますが、それが去年だったそうです。(注:ミズキとクマノミズキは別です。)

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②シバグリ

よくなっていました。このあたりでは、低標高地のシバグリは、軒並みクリタマバチにやられて、たくさん枯れそうになっていましたが、高標高地のシバグリは元気でした。中国から入ってきたクリタマバチは、寒さに弱いそうです。

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③ミズナラ

ハイイロチョッキリなどの虫に枝を落とされることもなく、実っていました。ただし、木によって個体差があります。ミズナラの実は、8月中旬から、休眠が解除され、グングンと大きく成長し始めます。

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④ブナ

たくさん殻とがついていました。今年の夏も2010年に次いで異常な暑さでした。殻とがついてくれているのはいいのですが、中の実が受精できなかったシイナになっていないか、シイナ率が心配です。今後調べていこうと思います。

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このほかにも、ヤブデマリ、ヤマボウシ、ゴマギ、クロモジなど、いろいろな木に実がついていました。今年の山の秋は、それなりに実があるようでほっとしました。

昆虫、鳥、小動物が激減している状況は変わりません。夏に集落周辺に来ていた大型動物たちが、奥山に帰って、駆除用の銃や罠が使用されることなく、平和な秋が迎えられますように。

 

食性を変えて生き抜こうとする野生動物たち

人間活動や環境の変化によって食べ物を失い、生きられなくなってしまう動物もいれば、食性を変えて何とか生き抜こうとがんばる動物たちもいます。

クマ・サル・シカ・イノシシなどの人間により近い動物ほど、後者の傾向が強いかもしれません。そのような変化を見て、野生動物たちが食性を変えたと批判する権利は、人間にはないと思います。原因を作ったのは人間だからです。動物たちはみんな、必死で生き抜こうとしています。

 

1、まだ青い実の柿の木にできたクマ棚(8月下旬)

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まだ青い柿ですが、食べられるのでしょうか。味見をしてみたら、ほんのり柿の香りがして食べられなくもなかったです。もちろん、熟してからのおいしさには及びもしません。

 

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2010年の夏には、夜こっそり集落近くの青い柿を食べに来て、たくさんのクマたちが罠にかかり、殺処分されました。どうしてまだ実が青いのに食べに来たのか、よほど食べ物がなかったんだろうと思います。今年も、地域によっては、青い柿を食べに来ているクマがいます。

 

 

2、山に捨てられたシカの死体を食べるクマ

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最近は、大量のシカが有害獣として駆除されています。シカの死体を焼却処分にするのは大変ですから、山に捨てられたままになっているのも結構あるようです。

数年ぐらい前から、クマがシカの死体を食べているのを見つけたとして、問題視されていますが、これまで植物食に頼って生きてきたクマでも、本来は雑食性ですから、シカの死体が放置されていれば、食べます。人間が、シカの死体をきちんと焼却処置すれば起きないことです。人間側の責任が全てだと思います。

何とか、シカの死体を焼却処置にしていただけないものでしょうか。

 

熊森は、野生動物保護の観点から、クマを中心とする野生動物たちのさまざまな生態を、生活痕跡の調査や自動撮影装置など野生動物たちに負担をかけない方法で調べ続けています。私たちと一緒に調査してみようと思われる方がおられたら、どうぞご連絡ください。(中学生以上) 特に地元の方、大歓迎です。

 

 

 

 

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