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2013

(速報3)八幡平ヒグマ阿仁移送準備ー12月15日写真ー

14人で、移送準備をされている様子

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みなさん、この日まで、本当によくやってくださいました。すごいです。

まさに、プロジェクトXですね。

12月16日、無事なる全頭移送完了を、祈ります。

 

(速報2)マスコミシャットアウト,新施設へ移送準備の緊迫前日…熊森本部職員報告<八幡平ヒグマ、阿仁熊牧場新施設へ>

12月15日報告

・大館能代の天候不良により、着陸できなければ羽田に引き返すという話でしたが、なんとか1時間ほど上空で飛びながら天候の回復を待つと同時に空港の除雪も待って、無事着陸することができました。

 

・空港から八幡平へ移動するときに千葉県のSさんが心配して長崎さんに電話をしてきていました。

 

・現時点で,太郎と姫子は既に移動オリに入れられており、太郎はオリ入れに1時間、姫子はなんと1日半もかかったそうです。昨日雪がたくさん降ったそうです。あの2頭のオリだけは、運動場より下の方にあるので、もう少し雪が早ければ、もう、下から上に移動できなくなってしまっていたということです。セーフというか、その前に移動オリに入れられており、本当に良かったです。

 

・僕が到着した頃にはイチローとケイコも移動オリに入れられていました。イチローは入ったばかりで、少し興奮していたので、餌で落ち着かせていました。ケイコは移送檻に藁を入れてもらっており、藁がとても気に入ったようで、藁とたわむれてご機嫌でした。

 

・太郎と姫子の様子も見に行きましたが、姫子は落ち着いていました。太郎は少し興奮していましたが、水をたくさんもらって落ち着いていました。ベニヤ板をオリの鉄柵に張り付けてありましたが、それがないと途端に興奮し始めるそうです。

 

・それまでみなさん雪の中で頑張っておられたので、一旦休憩してから、また準備を再開しました。

 

・まずケイコをユニック車で上のクマ牧場入口まで運んだのですが、ユニック車が雪にはまって動けなくなり、みんなで雪かきをしたり、除雪車でひっぱったりしてなんとか動かしました。その間もケイコはオリにつけていた鎖で遊んだり平然としていると県の職員の方が言われていました。ケイコは比較的おとなしいので良かったです。これだけの雪の中での作業なので、アクシデントが起きても不思議ではないのですが、今日は14人もいたので、これだけ大勢いると、少々のことがあってもなんとかなると言っていました。

 

・午前中にたくさん餌を与えたそうです。みなさん手際よく作業をしているので、僕が下手なことをして迷惑をかけても申し訳ないので、勝手なことをしないように気をつけました。オリの片側で作業をしているときに、クマを反対の入口に誘導するために餌を与えていたのですが、全く食べてくれませんでした。伊藤さんが、クマにとってはそれどころじゃないんでしょうと言っていたのが印象的でした。たしかに、クマにとっては、これからどうなるのか、餌どころじゃないですよね。でも伊藤さんがジョーロでカタカタ音をさせると、クマが近づいてきてジョーロに噛みついていました。こうやっていろんなことをして気を紛らわせてやっているのだと言われていました。

 

・去年生まれのトチとツツジのオリ入れを手伝ったのですが、餌で入れようとしてもなかなか難しくて、餌がどんどんなくなるばかりでしたが、なんとか入れることができました。10分か20分くらいで入れられたので、だいぶ早い方だと思います。

 

・移動オリへ入れるのは高橋獣医が中心となり、ユニックへの積み下ろしは県庁の方や長崎さんの会社の皆さんが中心となって、うまいチームワークで作業をされていました。本当にみなさん良い人ばかりで、みなさんがクマに愛情を持って声をかけておられる場面を何度も見ました。中でも、庄司さんという方は、動物にすごく愛情をもっておられる感じで、こちらにまでそれが伝わってきました。

 

・八幡平の気温はー5度で、積雪は約1mです。昼ごはんはとっと館できりたんぽをいただきました。

 

・秋田さきがけ新報の記者が来られましたが、車を溝に落としてしまい、レスキューを呼ばれていました。今日はマスコミは呼んでいないとお伝えして、帰っていただいていました。マスコミは、明日、八幡平でトラックにクマを載せるときに来るそうです。

 

・最後にビデオを回しながら、これまで世話してこられた方々に、一言ずついただきましたが、地元採用の非常勤の方たちは照れて、お話していただけませんでした。

 

以上、思いつく限りの報告でした。明日は長崎さんの会社の社員の方が、僕を阿仁、そして、帰りには秋田空港まで送ってくれるそうですが、天候次第では帰りの便もどうなるか分かりません。また連絡します。(I)

(速報1)秋田県八幡平熊牧場ヒグマ、明日、12月16日、阿仁の終生保護飼育施設に移送

<秋田県八幡平熊牧場に残されたクマたちの終生保護飼育を願い続けて来てくださったみなさんへ>

 

いよいよ、八幡平熊牧場に残された熊たちの救命プロジェクトが、最後の山場を迎えます。

明日から、北秋田市阿仁熊牧場隣に新設された終生保護飼育施設への、ヒグマたちの移送が始まります。

新施設の建設工事が遅れ、深い積雪の中という厳しい気候下になってしまいましたが、無事に全頭の移送が完了しますように、みんなで見守りましょう。

 

北秋田市から管理を任されている(株)マタギの里社長によると、12月13日に完成したばかりの新保護施設には、到着したヒグマたちが、生まれて初めての冬眠に入れるように、稲藁がどっさりと用意されているということです。

 

(現地派遣本部調査研究員12月15日午後報告より)
 
今朝、現地は悪天候のため、着陸できなければ引き返すかもしれませんというアナウンスの元、羽田を発ちました。大館能代空港上空で、除雪作業が終わるのを待ったため、飛行機は周辺を約1時間旋回し続けました。
 
 
ただ今、八幡平熊牧場。積雪1メートル。昨日まで、積雪ゼロの兵庫県西宮市にいたので、どこに来たのだろうという感じです。
 
 
本日は大勢の方が来られており、みなさん忙しく動き回っておられます。
最大グマであるコディアックグマの太郎250キログラムと姫子200キログラムは、一昨日、移送用檻にうまく入ってくれました。餌で誘導しただけで、麻酔などは一切使っていないそうです。
計4基造った移送用檻ですが、4頭のクマがすでに入っており、一応みんな檻の中で元気にしておりますが、少し、気のせいか、不安そうにしているようにも見えます。
 
外気は低く、手がかじかんできて、これ以上電話はできません。以上です。(I)
 

環境省主催 狩猟の魅力まるわかりフォーラム 静岡県

今日は、静岡市で、「すごいアウトドア!!狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が開催されました。静岡県には熊森支部がないのですが、4名の県民が協力して、がんばって、「すごいアウトドア」感覚でハンターを養成することに疑問を呈するチラシを、会場近くで配布しました。

 

興味を示してくれる人はあまりいなかったということですが、訴えたいことをメモにして、マイクを使って訴えたそうです。

 

最近、自分の意見を言わない国民が、増えてきていると感じます。これでは、良い国を、子や孫に残せません。今回、勇気をもって初めて声を上げたみなさんに、拍手を送りたいです。

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・・・

ちなみに、12月7日に高知県で行われた「 狩猟の魅力まるわかりフォーラム」では、「すごいアウトドア!!」というキャッチコピーがチラシから抜けていただけあって、参加者の報告によると、内容もそのような軽々としたものではなかったということです。

兵庫県朝来町伊由峠植樹地のメンテナンス

せっかく集まったのに、柿の実もぎができなかったので、1999年11月4日に兵庫県尼崎市の中学生たちが、義務教育最後の遠足を返上して、熊森の指導で人工林地帯の山中に植樹した実の成る木の植樹地の手入れを久しぶりにしようということになりました。

 

人工林地帯の中に、ここだけクリやクヌギなどの落葉広葉樹がまるで公園の樹木のように育っていました。緑色の背の低い木は、アカマツで、これは植林ではなく、自然の芽生えです。手前の枯れたように見える草は、ススキです。

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あれから14年、そばに行くと、かなり木々が大きくなっていました。写真は一番大きく育っていたクリの木です。今年も、実をたくさん落としたことがわかりました。

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まだ外さないでいたシカよけチューブの残りなど、片付けていきます。

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皆で記念写真

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上の植樹地にも移動

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「生き物の棲める森へ」と当時の美術の先生が、生徒たちの願いを込めて書いてくださった記念碑が、今も健在でした。

しかしその横で、薬きょう(銃砲の発射薬を詰める容器)がいくつも落ちていました。ここは、ハンターの狩猟場になっていました。植樹した生徒たちが知ったら悲しむことでしょう。生き物の棲める森を戻そうとしたのですから。

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ここでもメンテナンスをして、終わりました。隣は、林内が昼なお暗い人工林です。

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あの時の中学生たちは、29歳になっていると思います。熊森協会があの後、植樹地のメンテナンスをしてきましたので、機会があれば、植樹地にドライブがてらに来てみてください。

 

クマの有害捕獲は、3年前から、原則殺処分に変更されました(兵庫県)・・・誘因物を山に運び、クマを捕獲しないことが、今、保護に必要

12月13日夜、兵庫県の丹波県民局(0795-73-3795)管内で、クマの捕獲わなが設置されたという情報を得ました。

 

かつて兵庫県は、クマ保護日本一の先進県でしたが、残念ながら、3年前から、クマ保護体制は、かなり弱まってしまいました。十分に生息数が回復したから、もう、そこまで保護しなくても良いという考えの人たちが、今は県行政を動かしているように見えます。

 

そのため、兵庫県版レッドリスト(絶滅危惧種)のAランクに指定されていた兵庫県ツキノワグマですが平成23年度には、Bランク指定に落とされてしまいました。絶滅危惧種であることには、現在も変わりがありませんが。

 

そして、有害捕獲に関しても、これまでのように、山奥に学習放獣して命を助けたりせず、残念ながら、原則、捕獲=殺処分すると変更されてしまったのです。

 

クマが増えたか減ったかは、一般に思う以上に判定は難しく、人間にはわからないことだらけなのです。ただし、動物たちの棲めない人工林を奥山に造り過ぎて放置し、荒廃させたままであることを思うと、クマが安定して生息できるような県になったとは、私たちには到底思えません。

 

どちらにしても、絶滅危惧種なのですから、奥山生息地を復元し続けると同時に、人間側の努力で、クマを捕獲しないですむようにしていかなければ、豊かな森づくりの名人であるクマを、この国に残すことはできません。

 

このような努力を、地元の方たちだけに押し付けるのではなく、豊かな自然から得られる、水・酸素・農作物などをいただいている都市市民も、お金や力を提供すべきであるというのが、私たちの考えです。

 

冒頭のクマ捕獲わなが設置された集落では、夜、民家の庭に残されたカキの実を狙って、クマが出て来ており、困り果てた末に、行政に、クマを捕獲してもらうことにしたということです。しかし、兵庫県のクマ対応基準が、3年前から変更されたことはご存じではなく、捕獲されたクマさんは、山奥に放してやってもらえるのだという認識でした。

 

丹波県民局に捕獲中止をお願いしようと思ったのですが、運悪く土日で、連絡が取れません。とりあえずクマが出てこないように、集落の柿の実を取って、山へ持って行けないか。地元自治会でも、柿の実取りを呼びかけているが、なかなか思うように進んでいないということのようだったので、私たちが手伝えばいいのではないか。夜の急な呼びかけにもかかわらず、地元町の人たちも含め、13人が現地に駆け付けてくださいました。

 

当日現地に急遽集合。本部は、柿もぎ用道具を用意。

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集落に残された柿の実取りを、手伝おうと思ったのですが、これまでつながりがあった町でもないので(これまでクマなど出たことがない集落だそうです)、みんなで行ってみたものの、残念ながら、柿もぎはできませんでした。

 

今でも熊森本部は連日フル回転で活動していますが、もっともっと会を大きくして、ふだんからもっと多くの地元とつながっておくようにしないと、こんな時うまくいかないとつくづく思いました。

 

遠く、滋賀県や姫路からも駆けつけてくださった方がいました。みなさん、ありがとうございました。

 

本部は、12月16日(月)になったら、県民局に電話して、交渉してみます。人間にとって命が一番大切なように、動物にとっても、命が一番大切なのです。

狩猟や捕獲の規制緩和に反対の声をあげて下さい パブリックコメント③

12月17日締め切り環境省パブリックコメント

<鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についての素案>がめざす狩猟や捕殺の規制緩和

ー素案概要ー

①シカやイノシシを望ましい個体数にまで下げるために、これまでの狩猟者や鳥獣被害対策実施隊員だけではなく、認定業者に効果的な捕殺をお願いするようにしていく。

②農林業者は、被害を防止する目的で、狩猟期間だけではなく事業地内で時期を問わず、許可なく囲い罠や箱罠を用いて狩猟鳥獣を捕殺できるようにする

③地域の若い捕殺従事者を確保するため罠猟・網猟に限り、農業高校等の在学中に狩猟免許が取得できるよう、狩猟免許を現行の20歳から引き下げる

④シカなどの個体数が増大している鳥獣については、許可なく捕殺しても良いこととし、鉛弾を使用していないという条件で、捕殺個体を現場に放置しても良いこととする。

⑤シカの捕殺は、安全管理を厳格に行えることを条件として、夜間発砲を限定的に認める。

 

<実際のパブリックコメント要領>

氏名、住所、電話番号を書いて、

〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 環境省野生生物課鳥獣保護業務室宛て <鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についての素案>に関する意見と書いて、1217日までに出す。郵送。FAX03-3581-7090。メールshizen-choju@env.go.jpのいずれかまで。

 

 意見例

①7ページ13行目 捕獲認定事業者に効果的な捕殺を行ってもらう。

→意見 反対 公的機関が透明性を持って行うべきである。。

 

②8ページ13行目 農林業者は、狩猟期間だけではなく事業地内で時期を問わず、許可なく囲い罠や箱罠を用いて狩猟鳥獣を捕殺できる。

→意見 反対 クマの錯誤捕獲が続出することが考えられるため、クマの冬眠期間以外の罠かけは禁止する。

 

③8ページ27行目 農業高校等の在学中に罠猟・網猟の狩猟免許が取得できるようにする

→意見 反対 罠猟・網猟には錯誤捕獲などの事故が付き物。高校生ではまだ判断力が弱い上、責任が取れない。

 

④9ページ2行目 シカなどは、許可なく捕殺しても良い。鉛弾不使用ならば、捕殺個体を現場に放置しても良い

→意見 反対 捕殺が暴走する。鉛弾使用不使用を確かめられない。鉛弾不使用であっても、大量のシカ死体が放置されることにより、野生鳥獣の生態が狂ってしまう。

 

⑤9ページ7行目 夜間銃を限定的に認める、

→意見 反対。こんな狭い国では、必ず事故が多発する。

 

その他

 

⑥12ページ18行目 山中で回収できなかったシカ個体を、猛禽類等が採餌すること等により鉛中毒被害が増加することが懸念されるため、非鉛弾の普及をはかる必要がある。

→意見 強化賛成  早急に非鉛弾銃への切り替えを義務付けるべきである。猛禽類だけでなく、クマ、タヌキなど多くの雑食性動物が、鉛散弾を浴びたシカ肉を大量に鉛玉ごと体内に取り込んでいることが考えられる。強力な胃酸によって溶け出た鉛が体内をめぐり、悲惨で取り返しのつかない鉛中毒を招くことは、よく知られている。1日も早くスチール弾銃へ切り替えるべきで、銃転換にあたっては、猟友会員への補助金措置が必要である。

 

 

大量捕殺推進一辺倒の環境省素案に、言葉を失う パブリックコメント② 熊森解説

<鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についての素案>への熊森解説

素案全体について)

増加したシカによる農作物被害や森林被害が拡大し、地域によっては大変な問題になっているという現状認識は、熊森も同じです。

●しかし、物事にはすべて原因があります。問題を解決するには、原因を特定し、その原因に対して対策を取らねばなりません。ただし、自然界のことは、実際には、人間に原因がわからないことだらけなのです。

●素案では、ハンターの減少が、シカ増加の唯一の原因になっています。よって、この素案は、対策として、いかにハンターを増やし、いかにシカを大量に捕殺するか、そのこと一色になっています

 

●熊森は、これまで何度も指摘してきたように、シカ問題は、シカが数的バランスを崩した結果であって、ハンター減少が原因ではないととらえています。

 

狩猟者数の変化 (黒色折れ線グラフ)と シカ捕殺数 (水色)

全国狩猟者登録数とシカ捕殺数の推移

日本に狩猟が入ってきたのは明治からです。以前、今より狩猟者が少なかったとき、シカ捕殺数も少なかったのです。しかも、ハンター減少が原因なら、狩猟鳥獣のすべてが増加するはずです。よって、シカ捕殺推進一辺倒の素案にパブリックコメントをと言われても、根本から考えが違うとしかコメントのしようがありません。

こんなことになるのは、素案作りにかかわった検討小委員会の委員選びに問題があります。原因はハンター減少だという論者ばかり委員に集めて、検討会を持てば、幅広い意見は出ません。

本来、検討会や審議会は、多様な意見の者たちを集め、激論を戦わして真理に迫るべきなのですが、実際は、国が、国の森林政策の失敗や人間側の責任に触れない意見を言う、狭い範囲の人たちだけを集めており、大きな問題です。

 

しかも、この素案は、国民に、

・明治になるまでの1200年間、殺生禁止令が出ていた

・明治時代の初めに3000万人だった人口が、爆発増加し、現在4倍に増えた

・車社会が発達し、道路が奥山まで伸びて、人間は、かつて野生鳥獣の国であった国土まですべて自分のものにしてしまった

・戦後の林野庁の森林政策であった拡大造林策が行き過ぎて、日本の山は動物が棲めないまでに荒廃した

等の社会的背景や、シカは本来、豊かな自然生態系を我々に提供してくれる益獣であることなどを、全く知らせていません。それどころか、戦後、人間が行ってきた森林の大破壊には一切ふれず、森林劣化は全てシカが原因だと、シカに責任転嫁しています。

 

その上、シカの殺処分を「管理」「個体数調整」と表現し、大量に捕殺することは、「積極的な管理」などと表現し、読んだ一般国民に、国が何をしようとしているのか具体的なイメージが浮かばない書き方になっています。

 

●熊森が考えるシカ増加原因説

   地球温暖化による冬季積雪量減少

②人間による  シカ捕食者の消滅

  拡大造林による一時的な奥山草原化とその後の放置による奥山荒廃

  シカの山奥移動を可能にした奥山開発や道路網の整備

  平地での過度の駆除による奥山追い上げ

  耕作地の放棄や林道壁面緑化による餌場提供

原因の一つ一つに対策を練っていくべきです。

 

・このような

このような人間活動によるさまざまな原因説が考えられますが、素案には、人間活動の反省や責任が全く書かれていません。

 

 ●自然界の生物数をコントロールできるのは自然の力だけなのに、殺処分の強化により、人間が自然界の生物数をコントロールできるかのように書かれています。一定以上の広い土地を野生鳥獣に返してやり、野生鳥獣が自然界のバランスを取り戻せるようにすれば、その中で、何頭いてもいいのです。

●野生動物の命のすばらしさや生命尊重が完全に抜け落ちています。

●非捕殺対応が、全く議論されていません。

 

●今、シカは、どこにいても、個体数調整という名で人間に殺されます。

シカたちはどこにいればいいのか、いてもいい場所をシカたちに示してやるべきです。

 

 

 

 

 

 

千葉県で見かけた、昔ながらの、殺さないイノシシ対策

里 山と田んぼの間に張り巡らされたトタン。子供のころ、どこでもよく見られた、イノシシから田畑を守るための農村風景です。(千葉県2013年)

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現在、環境省野生生物課鳥獣保護業務室がパブリックコメントを募集中の素案全13ページには、初めから終わりまで、いかに殺すかという話しか出てきません。

 

人間が知らないだけで、イノシシも豊かな自然の構成員として、役立つことをたくさんしてくれているはずですから、殺すのではなく、祖先がしてきたように、彼らとの棲み分けをめざしていくべきです。殺すということは、相手の命と存在の全面否定です。この素案は、人間の狂気としか思えません。

 

これから、鳥獣保護業務室という名も、鳥獣捕殺業務室という名前に変わるのでしょうか。

 

12月17日締め切り 環境省野生生物課が募集中のパブリックコメント!①

 環境省野生生物課鳥獣保護業務室が、

<鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についての素案>

に対する、パブリックコメントを募集しています。

素案の内容は、一口で言うと、イノシシ、シカ、特に現在、増加に歯止めがかからなくなっているといわれるシカ問題に、これから国として、大量捕殺一辺倒でのぞんでいくというものです。

 

野生鳥獣と人との共存においては、①生息地環境管理②被害防除③個体数(群)管理の三つが必要と言いながら、大切な前の二つは完全に吹っ飛んでしまっています。つまり、環境省としては殺す以外の対策はとらないということです。

パブリックコメントで出したわたしたち自然保護団体や一般国民の声は、いくら多数であったとしても、取り上げられて大筋が変わることはありえません。しかし、応募しないと、国民からの意見や反対はなかったと記録されてしまいます。

それはまずいので、無駄なようではありますが、やはり、パブリックコメントに応募しましょう。今回の素案を作ったのは、環境省の担当官ではなく、環境省から委託された、中央環境審議会自然環境部会の鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の委員たちです。

 

 

(平成25年8月1日現在) ○印は委員長

【臨時委員】
氏名 職名
石井 信夫 東京女子大学現代教養学部教授
尾崎 清明 (公財)山階鳥類研究所副所長
小泉  透 (独)森林総合研究所研究コーディネータ
染  英昭
(土壌農薬部会)
(公社)大日本農会会長、(公財)中央果実協会副理事長
高橋  徹 (一社)大日本猟友会総務委員会委員長代理

 

【専門委員】
氏名 職名
磯部  力 國學院大學法科大学院教授
坂田 宏志 兵庫県立大学自然・環境科学研究所准教授
(兵庫県森林動物研究センター主任研究員)
汐見 明男 全国町村会政務調査会財政委員会委員長(京都府井手町長)
羽山 伸一 日本獣医生命科学大学獣医学部教授
福田 珠子 全国林業研究グループ連絡協議会副会長
三浦 愼悟 早稲田大学人間科学学術院教授

 

 

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