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2017-07-20
くまもり本部:第3回自然保護カフェ実施!
くまもり本部では今年から、自然に興味のある方同士が
情報を共有したり、保護活動に繋げていく、
「自然保護カフェ」を3回開催しました。
3回目となる7月15日(土)のカフェには、ご近所の方や
他団体で活動されている方、新入会員さんなど、
様々な方がご参加くださいました。
この日は、自然エネルギーについての話で盛り上がり、
独自で勉強したことや疑問、体験談などを皆で語り合いました。
会場:本部事務所近くのカフェ・ブルー ブルージュ
くまもりにいると、様々な立場や境遇の方と出会います。
そうした中で感じるのは、
どんなところで育っても、どんな仕事をしていても、
全て私たち人間は、自然と繋がっているんだということ。
本部周辺は、マンションや一戸建て住宅、お店などで埋まっています。
もちろん、そこに住む人たちは、自然からの恵みなしでは生きていけません。
しかし、日常生活に追われていると、意外とそのことに気づくのは難しいです。
カフェが、自然を守ることの大切さを地域に発信する場となれば嬉しいです。
くまもり自然保護カフェ、今後も計画していきますので、
自然についてもっと知りたい方、自然保護活動を始めたい方、
是非ご参加ください。
おいしいコーヒーと、自然を愛する仲間が待っています!(SY)
報道言葉は「豪雨災害」ではなく、「谷筋、急斜面の人工林崩壊による土砂災害、流木災害」に
福岡県、大分県を襲った今回の災害で、7月17日現在、死者34人、不明7人となっています。イヌやネコ、野生動物まで入れれば、さらに多くの命が失われました。痛ましい限りです。
ところで、「北九州豪雨災害」という報道言葉が氾濫していますが、大変違和感を覚えます。これではまるで、災害の原因が、豪雨だけにあったように錯覚されてしまいます。
豪雨は自然現象です。このような悲しい災害は、今後も防ぎようがないものなのでしょうか。
7月16日日経新聞記事に、専門家の言葉として、「山間部から広がる河川の下流域では、どこでも起こる災害だ」というのがありました。
私たちは山を25年間見てきた者として、この専門家先生の言葉に異を唱えたいと思います。
豪雨だけでは、これだけの災害は起きていなかったはずです。
谷筋、急斜面の人工林崩壊による土砂災害、流木災害が、ここまで被害を大きくしたのです。
では、山国日本では、仕方のない災害だったのでしょうか。
いいえ、谷筋、急斜面がスギの人工林、しかも、※挿し木スギの人工林だったという人災面が占める割合は限りなく大きなものです。(※挿し木スギの成長ははやいが、木を支えるための直根が欠けている上、根が地中深くに入らないという特徴がある)
今後、谷筋、急斜面の人工林を早急に、実生の自然林に転換していく必要があります。
豪雨気候、山国地形、これはどうしようもありませんが、谷筋、急斜面を自然林に戻すことで、今回のような災害は今よりかなり減るはずです。
<2009年8月、兵庫県西北部甚大災害の場合>
2009年に、兵庫県佐用町周辺でも同様の災害が起き、死者20名、不明2名、家屋の全半壊並びに一部損壊1100戸以上、床上・床下浸水2000棟という甚大な被害が生じました。
私たちが現地調査に行った時、崩れている山の斜面はほとんどが人工林であることが見ただけですぐにわかりました。
すごい数の流木は、ほとんどどれもが、幹がまっすぐで根がついていましたから、人工林のスギが植わったまま山腹が崩壊し、流されてきたものだとわかりました。無数の流木が橋げたに絡まって川をせき止め、洪水を起こしていました。
産経新聞より 兵庫県朝来町
しかし、当時も兵庫県のマスコミはどこも、「豪雨災害」としか報道しませんでした。谷筋や急斜面にスギをびっしりと植えたのは、戦後の林野庁の国策であり、国中の行政が推進した結果です。この国策の失敗に、触れてはならぬというタブーがあるのでしょうか。
当時、熊森は、兵庫県の大きな新聞社の責任者に電話をして、「報道に人工林の「じ」の字も出てこないのはどういうことですか。もう2度とこのような災害が起きないように、真の原因を県民に知らせるべきです」と訴えました。責任者は、「甚大災害の原因は、人工林です。しかし、書けません」と言われました。がっかりです。
私たちは、行政にも訴えました。「谷筋、急斜面に植えたスギの人工林が甚大災害の原因です」。
行政は、私たち自然保護団体が訴えると、いつもきまって、「データは?書かれた論文を見せてください?」と、言われます。
「私たちは研究者ではないので、そのようなものはありません」と答えると、「お帰り下さい」となります。
これっておかしくないですか。
現地を見れば、小学生でも、崩れているのはほとんどが人工林だ。谷筋、急斜面にスギを植えてはならないと気づくはずです。なぜこんな単純な、見てすぐわかる真実に、データや論文が必要なのでしょうか。
各地で同様の災害が多発し続けています。当協会顧問の熊本県の代々の林業家である平野虎丸先生も、声を大にして、「戦後植えられた人工林のスギがそれなりに太くなってきており、あの小さな根ではますます自分の体重を支えきれなくなってきている」と、声を大にして災害原因を訴え続けられています。しかし、いまだに、甚大災害の原因が世に伝えられていません。わたしたちは残念でなりません。
以下は、2009年に兵庫県で起きた局地的豪雨による被害状況を兵庫県がまとめたものから転載しました。
<有林地における山腹崩壊面積>
庵川 ・・・ 人工林0.14% 天然林0.02 %
神子畑川・・・ 人工林0.04% 天然林0.009%
田路川 ・・・ 人工林0.02% 天然林0.000%
<流木の内訳> 立木81%、 間伐材10%、 風倒木9%
山腹崩壊には土質や斜面の勾配など、様々な要素が関係しており、自然界の出来事はこの上もなく複雑です。
自然林なら山腹崩壊が起きないという訳ではありませんが、兵庫県のデータからも、人工林という要因は、この上もなく高い原因です。
熊森は近々、九州北部災害地に調査に入る予定です。
九州のマスコミのみなさん、人工林が大きな災害原因を占めることを、どうか勇気を出して報道していただきたいです。
谷筋、急斜面、尾根筋、山の上3分の1、奥山の人工林は、野生動物のためにも、地元の災害を減らすためにも、都市の水源確保のためにも、自然林に戻すべきです。
当時、林野庁が良かれて思って計画し、多くの国民が協力して造った人工林です。熊森は誰も責める気はありません。
しかし、弊害が明らかになった今、国民の命と財産を守るためにも、国を挙げて早急に人工林の自然林化に取り組んでいきませんか。
行政のみなさん、国民のみなさん、林業も大切ですが、命あってのものです。
経済のために、全ての山を人間が利用しようと考えたことが、欲張り過ぎた、人間のおごり、失敗の元だったのです。
日経7月3日の私見卓見欄に、林野庁の方が、「山にお金が戻る仕組みを確立し伐採から再造林への循環を作ろう」と訴えておられましたが、これでは、今後ますます激甚災害が多発する一方となります。何とか考え直していただきたいものです。
(参考)
①農林水産省九州森林管理局の調査結果発表 (表層崩壊同時多発)
今回の豪雨で、朝倉、東峰、日田で、少なくとも300か所の土砂崩れが発生。ほとんどは、深い岩盤までは崩れず、表土層と樹木が滑り落ちる「表層崩壊」とみられる。
②熊本大学北園芳人名誉教授(地盤工学)
日田市小野地区の土砂崩れに関しては、深層崩壊に近い。