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2017-12

クマ狩猟終了 兵庫1頭、岡山0頭 これを見ても、まだクマ絶滅の危機に気づかない行政とは! 

今年の11月15日から1か月間、兵庫県と岡山県は、クマが爆発増加しているという若い研究者(=現在、野生動物捕獲会社社長)の言葉を信じて、狩猟を推奨しました。

 

岡山県:上限30頭 狩猟者は誰でもクマを撃って良い。 結果0頭

・・・・11か所でクマ狩猟講習会を開催

兵庫県:上限は100頭 クマ狩猟許可取得者154名   結果1頭

・・・・3か所でクマ狩猟講習会を開催

 

兵庫県は今年、ドングリの実りが良かったため、一部のクマが里から山に帰っていることが、熊森のクマ痕跡調査からわかりました。

この1か月間「山中にいるクマまでも殺さないでほしい」という思いでいっぱいでした。

熊森本部は、兵庫・岡山の両県行政にほぼ毎日電話して、クマの狩猟状況を聞いてきました。

11月26日に、兵庫県朝来市で1頭のクマが狩猟された時は、山の中に潜んでいただけなのに、絶滅が危惧されるのにと、胸が痛みました。

詳細は、兵庫県鳥獣対策課のHP参照

12月15日付の神戸新聞によると、このクマはシカやイノシシを追い込む狩猟中に出て来たために銃で撃たれたということです。

 

 

12月14日の兵庫県知事定例記者会見で、兵庫県井戸敏三知事は、クマ狩猟数1頭の結果に対して、次のように答えられました。

「率直な感想として、昨年発生したハンターの死亡事故が起きたことでちょっと慎重になりすぎたと思う。

だけど、1頭では困る。適正頭数よりも130-140頭オーバーしているはずなんで、さらにどういう対応をとるかというのも考えないといけませんね。」

 

 

2016年5月10日、熊森本部は井戸知事にお会いし「クマは爆発増加などしていません。山が大荒廃したので、餌を求めて生きるために里に出て来ただけです。狩猟再開ではなく、昔のように人間とクマの棲み分けができるよう、奥山の生息地復元に取り組んでください。」と、多くの資料をお持ちして説明しました。

その後も、全国から同様のメッセージを井戸知事へ何度も送りました。にも関わらず、知事からクマの生息地復元の話は全く出ず、出てきたのは「狩猟数をもっと増やすにはどうすればいいのか」というものでした。

兵庫県は、来年度以降も、クマ狩猟を継続する方針だそうです。

 

生息地を失った兵庫県や岡山県のクマが爆発増加しているのなら、その原因を聞きたいです。研究者の計算ミスであったことに、もういい加減に行政の皆さんも気づいてほしいです。

 

今こそ、「王様は裸だ」という、子供の登場が必要な、両県です。

 

なぜ、「クマは、もう山におらん」という、猟師たちの声を信じずに、有名大学出ではありますが、現場経験の少ない若い研究者のコンピューター計算の結果に、優秀な行政マンたちが引っかかってしまうのでしょうか。残念の一言です。

 

クリックしていただくとグラフが拡大します。

 

兵庫県が重用している若い研究者によると、1992年にクマが絶滅するとして、兵庫県猟友会が狩猟を自粛し、1996には兵庫県も正式に狩猟を禁止したため、60頭だった兵庫県のクマが爆発増加し始め、20年後の2016年には、約16倍の940頭にまで増えたそうです。

 

 

 

ならば、単純計算としても、狩猟自粛前の1991年の狩猟数である15頭の16倍にあたる240頭のクマが狩猟されねばなりません。現在は、昔と違って、クマ生息地の多くが下層植生が消えて遠くまで見渡せますから、以前よりはずっと狩猟しやすいはずです。

 

昨年、大阪から来たハンターが兵庫県で死亡事故を起こしましたが、兵庫県担当部署は、クマ狩猟とは関係のない事故だと言われました。関係あるのかないのかどちらなのでしょうか。

 

ちなみに、人里に出て来たからとして、今年兵庫県は有害駆除したクマ数は、32頭です。クマは本来の山に棲めない、集落周辺に潜んでいるという熊森の主張がこれからも確認されたはずですが・・・

 

熊森の見解は、兵庫のクマが現在仮に940頭いるのなら、昔はもっといたのではないかというものです。何頭いてもいいのです。山の中に棲んでいてくれたら。人間には、山中にいる野生動物の生息数を調整する権利も能力もありません。

人間がしなければならないのは、人間が破壊したクマたちの棲息地を復元してやり、かれらが山中に棲めるようにしてやることです。

12月4日 本部 奥山の生き物調査 (兵庫県)

 

登り口となった標高650m付近は、まだ雪がありません。

頂上に近づくにつれて数センチ程度の積雪が現れてきました。

この日は地下足袋ではなく長靴で来ていたので、雪対策はバッチリでした。

 

ブナにつけられた新しい爪痕を発見しました。

爪痕が深いので、幹が柔らかい春につけられたものだと思われます。

花か若葉を食べに来たのでしょう。

 

山中でのクマの痕跡は、以前と比べると激減です。

そんな中、まだ山にクマが居るかどうか、各地で奥山の生き物たちをチェックし続けている熊森のなかまたちの存在は貴重です。

昆虫も、いなくなったと言っていいほど、激減しています。

 

以下、一般社団法人「ハニーファーム」代表理事 船橋康貴氏の言葉(みやざき中央新聞12月11日号より )

私たちが食べている作物の70%が、蜜蜂の受粉に基づくものです。

ネオニコチノイド系農薬が近くで撒かれた時、私の育てていたミツバチ40万匹が、一夜で全滅しました。

地球温暖化もミツバチが少なくなった原因の一つではないかと言われています。

よく、クマやイノシシが人里に下りて来て畑を荒らしたり、人間を脅かしたりしていると言いますが、あれは、ミツバチが少なくなって森の中の植物が受粉できなくなって、木の実が実らなくなっているからです。お腹がすいて里へ下りてくるのです。

 

 

15時、自動撮影カメラには、イノシシが雪の中を寂しそうに歩く姿が写っていました。

見たところ、餌らしきものは、ありません。

 

午前7時、オスジカが座り込んでいました。ここで寝ていたのでしょうか。

 

この辺りは、これまでも何度かヤマドリが写りました。メスですね。

 

今回、ツキノワグマは映っていませんでした。

この辺りの積雪は3m~4mにもなるそうです。

雪の間も生き物たちが撮影できるように、木に登って高い位置に自動撮影カメラを設置し直してきました。

 

この国で、共に生きるなかまたち。

熊森のブログを通して、多くのみなさんに野生動物たちを身近に感じてもらえればうれしいです。

今後も奥山での生態調査を続けていきます。

 

 

第7回ストップ・リニア!訴訟口頭弁論 訴訟が各地で起き、反対の声が増大していく必要あり 

11月24日、東京地裁傍聴100席の抽選に、143名が並びました。熊森会員も6名参加。

 

東京地裁前集会のようす

 

陳述1 川本正彦氏(愛知県の原告。「春日井リニアを問う会」事務局長。以前、リニア市民ネット・大阪の勉強会で講師として招聘。)

 

(要旨)主に家庭用燃料として使用していた亜炭の採掘は昭和40年ごろまで名古屋でも行われていた。その後、鉱山は閉鎖された。しかし、一部柱を残す形で地下の亜炭層を採掘したため、空洞になっている場所が多く、昭和50年代ごろから亜炭鉱跡地で陥没が起きるようになった。亜炭鉱跡地にトンネルを掘ることは危険。坑道の中に地下水が充満していることで安定を保っている場所もあり、リニアトンネルの掘削によってその地下水が抜けて陥没が発生することも予想される。

 

(くまもりから)公園に出来た直径5m、深さ2mほどの陥没写真を見ました。住民の不安は相当のものだと思います。

 

 

陳述2 大沼淳一氏(元愛知県職員 愛知県公害調査センターで、長年水質汚染について調査研究)

 

(要旨)飛騨外縁帯と領家帯との間に分布する美濃帯を掘り起こしたことで、過去に水質汚染が何度も起きている。

リニアの話を聞いた時に、「またか!」と思うとともに、「再び、水質汚染を起こしてなるものか!」と思った。

 

美濃帯を掘り起したことから発生した公害事件

①<愛知県犬山市でカドミウム汚染米が発生>採石された岩石中に存在する黄鉄鉱が、水と空気に反応して硫酸を生成し、採石場からの溶出水が強酸性をおび、カドミウムや鉛などの重金属類を溶かした。

 

②東海環状自動車道(愛知県豊田市-岐阜県-三重県四日市市をつなぐ幹線道路)建設残土ストックヤードで、2003年にその下流で放流されたマス、アマゴ1000匹が死んだ。

 

住民が知らない間に、安心して生活できる環境が壊されようとしている。このような水質汚染問題は、沿線各地で起こる可能性がある。

 

リニア中央新幹線建設事業の環境影響評価が大変ずさんであることは毎回、口頭弁論の傍聴に行くたびに感じてきた。ここまで沿線住民の生活を危険にさらし、日本の自然環境を大きく破壊してまで作らなければならないものなのか、国民のみなさんに考えてもらいたい。

 

(夢の超特急リニアは、土建国家日本の大手建設会社にとって、国土を壊滅破壊すれば巨額の利潤が得られる夢のプロジェクトです。

 

それ以外の人や生物にとっては、取り返しのつかない環境破壊を引き起こされるだけの悪夢のプロジェクトです。)

 

(くまもりから)

口頭弁論終了後、シンポジウム「リニア新幹線隠された真実」が衆議院第一議員会館で行われました。

リニアの採算性や経済効果の予測が過剰であることや、トンネルを掘るために本来しなくてはいけない調査がなされていないことなどそれぞれの専門家の方々よりお話を頂きました。

会場から、「実際に測量が始まり、工事が始まって、既成事実がつくられようとしている。どうすればいいのか」という質問がでました。

弁護団の山下弁護士は、「各地で起きる様々な現象に対して、各地の権利を侵害される人たちが各地で個別に訴えを起こしてくれるよう期待している」と答えられました。

 

ストップ・リニア!訴訟だけでは、リニアは止まりません。

リニア事業に対する訴訟が各地で起き、リニア反対の声が市民の間でどんどん大きくなっていかねばなりません。

 

訴訟集会&シンポジウム(衆議院議員会館にて)

 

次回以降の口頭弁論は、

2018年 1月19日 第8回口頭弁論 品川・川崎からの陳述

2018年 3月23日 第9回口頭弁論 町田・相模原からの陳述

です。どうぞご予定ください。

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