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2019-11-30
絶滅危惧種の東京都ツキノワグマ、今年14頭も有害駆除 東京都議会で高倉良生議員が質問。
- 2019-11-30 (土)
- くまもりNEWS
全国各地でクマが大量に駆除される現状に、熊森は非常に心を痛めております。
東京都のクマ生息地にあたる西多摩郡の山々は台風によりスギやヒノキの人工林が崩れ、人々はライフラインを絶たれたまま未だに復旧が追い付いておりません。
クマなどの野生動物は、拡大造林政策によって植え替えられたスギやヒノキの人工林によって餌場を失った上、今年は山の実り凶作年。今日、明日、来年まで生き延びられるかという瀬戸際です。
正直、東京都の奥地では、人もクマたち野生動物も、オリンピックどころではないでしょう。
一方、東京都議会では、オリンピック関連の質問でにぎわっていました。そんな中、ただお一人、無残に殺されていく野生動物たちに心を寄せて、東京都のクマと森について14分間質問してくださった議員がおられます。当協会赤松正雄顧問の友人でもある高倉良生議員です。
以下は、2019年11月27日 東京都議会 環境・建設常任委員会における高倉議員の質問と当局の回答です。インターネット中継で視聴可能です。
高倉議員
①クマの出没時、捕殺ではなく、第一に追い払いや誘因物の除去、電気柵の設置を徹底してください。クマ専門の被害防除事業を行ってください。
②絶滅防止の観点から、子連れのメスグマは原則捕殺しないことをルール化してください。
③ツキノワグマの違法捕獲が発生しないよう、捕獲許可権者である東京都が捕獲従事者の監視体制の強化、各自治体への指導を徹底し、違反者に対しては適正な処分をしてください。
④森林環境税・森林環境譲与税を活用し、クマが生息する西多摩郡で、林業に不向きな非経済林は、小面積皆伐を行い自然林への誘導を行ってください。
以下は、当局の答弁です。
東京都近藤豊自然環境部長
●クマのことについて
東京都では、クマの被害防止のために電気柵の設置や誘因物の除去などを行っております。今後も行ってまいります。
(熊森から: 熊森本部は、今年8月に熊森東京都支部の要請を受け、兵庫県から東京都奥多摩町のクマが出て来ている現場まで、誘因物の除去に飛んでいきました。
また、熊森東京支部のメンバーは、地元行政に電気柵を設置してほしいとお願いしましたが、行政担当者から「クマ用の電気柵は予算が無くて設置できない」と何度も断られ、熊森が電気柵の費用を負担して設置してあげるからという交渉までもしましたが、行政担当者に断られるという歯がゆい思いをしています。なので、支部のメンバーは、東京都でクマ対策にも電気柵設置の補助金がでる、もしくは電気柵そのものをクマが出て来て困っている地域へ貸し出しの仕組みを作ってほしいと、訴えていました。なのにこの答弁!これは虚偽ではないでしょうか)
●人工林のことについて
東京都では、これまでに約3000ヘクタールの人工林の間伐を行ってきましたので、これからも行います。
(熊森から:今年8月、熊森本部がクマがたくさん集落に来ているという集落の裏山を見に行くと下の写真のような光景が広がっていました。
この場所の人工林の間伐は全く出来ていません。
人工林は一般的な林業用の間伐を施しても、自然林になど戻りません。自然林に戻すには9割程度の間伐が必要だと思われますが、それは、もはや間伐と呼べないものです。
高倉議員は、人工林を自然林に誘導してくださいと言っているのに、近藤部長は質問に真面目に答えておられません。
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熊森から
東京都の行政担当者の皆さま、どうか議員に、都民に、正直に答弁してください。
いかに嘘をつくかというのが行政の仕事にならないようにしてください。
この国がダメになってしまいます。
手が回っていないのであれば、正直にそうおっしゃってください。
高倉議員が提案された内容は、クマと人の不幸な事故を回避するために最も重要な基本的対策です。
都民のためにも、クマをはじめとする多くの野生動物たちのためにも、必ず取り組んでいただきたいです。(完)
11月21日・22日、ついに四国のクマのえさ場づくり始まる 高知県香美市熊森第2トラスト地22ha
- 2019-11-30 (土)
- くまもりNEWS
残りわずか16頭と言われる四国のクマたちの絶滅を回避するには、調査研究だけではだめです。
短期的には、給餌したり、気候風土が似ており遺伝的にも近いと言われる紀伊半島のクマを導入することなどが必要でしょう。
また、長期的には、戦後の拡大造林で高標高にまで植え過ぎたスギ・ヒノキを除去し、えさ場となる天然林を復元してやることが必要です。
この分野は熊森が会設立以来ずっと取り組んできた分野なので、まず第一弾として熊森がお手本を見せて、行政に続いてもらおうと考えています。
今回伐採することになった人工林は、2018年10月に、熊森が四国のクマの餌場復元のために購入した、高知県香美市と徳島県那賀町の県境の標高約1050mにある、広さ22ヘクタール(甲子園球場約4ヘクタール)のトラスト地です。このトラスト地面積の90%以上がスギ・ヒノキの人工林となっています。
この歴史に残る記念すべき伐採作業に参加したのは、熊森本部2名、熊森愛媛県支部2名、そして地元地域おこし協力隊1名の5名です。
11月21日(作業日1日目)天気快晴
先週みんなで整備した旧街道を、伐採用大型工具などを背負ってトラスト地まで登りました。
空身では1時間15分程で登れるのですが、今回は大荷物のため、2時間15分かかりました。トラスト地が近づくとますます急勾配となり、さすがの猛者たちも限界状態でした。
何とかして四国のクマたちにえさ場を造ってやりたいという強い気持ちがなければ、登れるものではないと思いました。
トラスト地まで登ってしまうと、標高差50m前後のフラットな地形が約20ヘクタールほど広がっています。そこが熊森トラスト地です。
伐採現場は太さ30cmほどのヒノキに覆われています。
急に大規模な皆伐をしてしまうと、乾燥に強い植生ばかりになってしまったり、急激な環境変化で野生動物の移動経路を変えてしまったり等、様々な問題が懸念されるため、今回は50m四方の小面積皆伐を行い、様子を見ながら徐々に伐採面積・伐採箇所を広げていくことにしました。
長年放置され枝打ちがされていないため、伐倒時に掛かり木になりやすい場所です。
記念すべき最初の1本目の伐倒
予想どおりかかり木に。みんなでロープを引いて倒しました。
ヒノキの高さ13~15m程。枝は堅くて多く、枝払いだけでも一苦労です。
倒した木は、枝を落とす人、3~4mごとに切って丸太にする人、みなで分業して片づけていきます。
切った枝葉の量だけでもものすごい量です。
当協会の研究者から、ヒノキの葉はアレロパシーが強いから、置いておくと他の植物が芽を出せず、植生回復が遅くなるというアドバイスをいただいていましたので、皆伐地の外に全て運び出しました。
幹の部分は丸太にして、積み上げて置いておきます。丸太が崩れないよう、切り株にかけて積み上げています。こうしておくことで、皆伐地の地面が露わになり、今後植樹活動がしやすくなります。
急遽予定を空けて駆けつけてくださった那賀町地域おこし協力隊の方は、まだ伐倒をしたことがないという事でした。熊森スタッフの指導のもと、1本伐倒体験をしていただきました。
1日目は約4時間にわたる作業の末、約20本伐倒。ようやく青空が仰げるだけ林冠が空いてきました!
11月22日(作業日2目)天気雨
朝早く山を登り、午前中に現場に到着しました。
昨日ある程度伐倒したために、どんどん切る本数が増え作業が進みました。
視界はどんどん開けていきます。
そして午後4時、目標としていた40m四方の小面積皆伐が、無事終了しました!
2日間で計9時間作業、合計65本のヒノキを伐りました。
伐採前
伐採後
雨足が強まってきたため、まだ倒木処理が終わっていないものもありましたが、下山。
作業にかかわってくださったみなさま、本当にありがとうございました。
本部に電話報告すると、よくやったと大変喜んでもらえました。
今後も、このトラスト地の人工林を伐り進めてまいります。
来春には、クマの食料にもなる、実のなる樹をどんどん植樹していこうと考えております。
やるべきことはたくさんありますので、ご協力いただけます方はぜひ日本熊森協会までお問い合わせください!
日本熊森協会本部 TEL:0798-22-4190 FAX:0798-22-4196
メール:field@kumamori.org 担当:水見(みずみ)
ドングリ十分に集まりました。ありがとうございました。以後、ストップをかけてください。
- 2019-11-30 (土)
- くまもりNEWS
みなさん、お久しぶりです。大阪府豊能町高代寺の「とよ」です。
クリやドングリをもらってご機嫌の11月初旬のとよ
集まったドングリ 於:熊森本部事務所前
今年も全国からたくさんのクヌギやコナラ、アベマキ(落葉広葉樹)のドングリを送っていただきました。ドングリ拾いは腰が痛くなって本当に大変なんだよと、本部スタッフの皆さんが教えてくれます。
今年も皆さんに、ご苦労をおかけしました。本当にありがとうございます。
例年、ボクは冬ごもり用に400キロのドングリを平らげてきました。
おかげさまで、今年も、十分な量のドングリが集まりましたので、ストップをかけてください。
集まり過ぎた分は、和歌山県の太郎君にも運んでもらっています。
間違ってマテバシイやアラカシなど常緑のドングリを送ってくださった方もいます。
ボクたちクマは、食べませんので、和歌山のイノシシのポーちゃん(メス)にあげてもらっています。
イノシシは何でも食べるようです。
ボクは今年の夏、突然、両後肢がマヒして歩けなくなり、皆さんにも大変ご心配をおかけしました。8月14日以降、再び四つ足で歩けるようになりましたが、依然と比べると、後ろ足が弱っています。お世話隊の皆さんが、今年は太り過ぎると足に負担がかかるからと、冬ごもり前の食い込み期のドングリを、去年までの食べ放題ではなく定量給餌に変えました。今は1日ドングリ6キロ給餌になっています。
それでも、11月末には、おかげさまでおなかが地面に近づくほど太りました。
お世話隊の皆さんが、もう何時でも冬ごもりに入れるねと、ボクのおなかを見て安堵したように言われています。
ここまで太ると、ちょっと体を支えるのがしんどくなっています。
そこで、以前は立って排泄をしていましたが、最近は、座ったままするようになりました。
今年はまだまだ、気温が高い。
でも、初雪が積もれば、春まで冬ごもりです。
ボクたちの仲間の野生のクマたちは、今年ブナ・ミズナラ・コナラなど山の実りが悪くて、冬ごもり前の食い込みができず、苦しんでいるということです。
クヌギやアベマキ等、里のドングリを食べに来たら、あげてほしいな。
最悪の場合は、常緑のドングリでも食べちゃうクマもいます。
柿とドングリどっちが好きと聞かれたら、断然ドングリです。
冬ごもり中に死なないようにするには、ボクたちには今、ドングリが必要なんだ。よろしく。
11月下旬の、もう十分に太ったとよ。
11月16日、増える人身事故とクマ捕殺を食い止めるため、本部と支部が初のテレビ電話使用会議
- 2019-11-30 (土)
- くまもりNEWS
クマの人身事故と捕殺に歯止めがかかりません。熊森としても何とか手を打とうと連日奮闘しています。
この度初めて、テレビ電話を使って、本部・支部合同クマ部会を実施しました。
まず、室谷会長が、今年、全国各地で山の実りが凶作で、クマは今、冬ごもり前の食い込みに必死の状況であることを話しました。
今の日本はえさを求めて出てきたクマを撃ち殺すニュースばかりです。
その一方で、人身事故が多発です。
人間がクマに対する正しい対処法を身につけない限り、いくらクマを殺しても、1頭でもクマがいる限り、人身事故は起きます。
マスコミの皆さんには、クマが出てきたので、こんな風に対処したら殺さなくても済みましたというニュースを、どんどん報道してもらいたいです。
狩猟は罠禁止なのに、大量罠常設で有害が認められるのはおかしいと室谷会長
続いて、本部クマ保全担当の水見より、全国のクマ捕殺数の推移と、西日本のクマ捕殺数の推移が提示され、過去最多、こんなに捕殺してもクマによる人身事故が減らないことが指摘されました。
27年間民間としてクマ問題に取り組んできた熊森としては、クマが人里に出て来る原因や、人里に出てきたクマへの対応法など、地元の人たちに伝えたいことがいっぱいです。
マスコミが現象を報道するだけで、原因や対策を報道しない今、どのようにして原因や対策を地元に伝えれば良いのかが課題です。みんなで知恵を絞りました。
(1)新たな人身事故を起こさない対策
これまでしてきたように、事故現場の検証と、けがをされた方からの聴き取りを行い、その地域での事故例の原因と対策をまとめてチラシを作る。そのチラシを使って、以下のことをする。
・学校で、人身事故が起きないコツを熊森が授業して、帰宅後、家の人たちに伝えてもらう。
・地元町内会でチラシを回覧板にして回してもらったり、町内掲示板に掲示させてもらったりする。
・新聞に折り込みチラシを入れてもらう。
・新聞広告を出す。
・警察や地元行政にチラシを送る。
クマが出ていることがわかれば、人間はすばやく家に入り、戸締りをすることを行政が指導すべき。
夕方・夜・・明け方など、クマの活動時間には当分出歩かないか、音のするものを持つなど熊対策。又は車を使うこと。
?最近ガラスを割るクマが続けて出たが、クマはケガをしないのか。なぜ、ガラスを割ろうとしたのか。この問題について熊森は情報不足です。
(2)大量捕殺を止める対策
クマ狩猟で罠使用が認められていないのは、獲り過ぎてしまう恐れがあるからである。
ならば、クマ用捕獲罠を半年間も常設している問題はどうなる。こちらこそ獲り過ぎてしまう。
不特定グマを常設罠で捕獲することを禁止する→署名を集める
住民監査請求。
環境省に頼んで、クマ捕殺が暴走している都道府県に助言・勧告してもらう。
人々の、クマに対する誤解を解く。クマが水源の森を造ってくれていることを知り、クマに感謝できる人づくり。
熊止め林造り
(3)シカ・イノシシ用常設罠にかかった誤捕獲動物を殺処分している件
「鳥獣保護管理法」に違反しているため、絶対に認められない。
情報公開で、データ集め。
住民監査請求。
石川県支部からは、クマが連日出ている。先週はカキもぎに現地へ馳せ参じたが、そこの地域はすでに実施済みだった。しかし、地域の方も手が回っておらず、クマ対策が不十分なので、支部として地元をどう支援していけるか考えていきたいという声が出ました。その他支部からも積極的な発言が相次ぎました。
熊森本部から
テレビ電話はこれまでのスカイプと違って、発言者のお顔が自動的にアップ動画で出るなど、優れもの。共に会議している感じがする。
こんな便利なものができているのなら今後も利用すべきだ。
テレビ電話で会議を実施するにあたって、本部は利用料金を払う必要があるが、支部側は無料。
支部側はスマホがあれば誰でも参加できる。
今後も機会を見つけて使っていきたい。