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2021-06-03

秋田県 目の見えない高齢グマを捕獲して山に放獣?! 人間側に必要な傷病グマ保護の発想

5月31日午前9時すぎ、秋田県大館市の自動車リサイクル会社の敷地に1頭のクマが侵入し、大捕り物となりました。

従業員は全員避難して無事でした。クマは会社敷地内から出てこないよう閉じ込められました。クマが侵入した会社の社長は「クマは中に入ってからおとなしくしていた。いまは寝ていると思う。クマは目が見えないかもしれない。動いてもあちこちぶつかっていた」と状況を語られました。

午後6時過ぎ、秋田県の職員が麻酔薬を仕込んだ「吹き矢」でクマを眠らせ、捕獲に成功。クマはその後、山に放されました。

ニュースでは「クマがけがをしていた」という旨の話があります。

熊森は、大館市や秋田県の担当者に電話で聞き取りをしました。

 

大館市林政課 

 

熊森:クマは、けがをしていたのですか?

担当者:けがではなく、かなり老いたクマだったと思われます。今回の場所は建物の中だったので、麻酔をして不動化してから対応を考えることにしました。クマは、動きがゆっくりだったので麻酔薬の入った吹き矢はすぐ命中しました。眠っているクマを調べたら、眼球が白く、白内障になっており、目が見えていないのだとわかりました。今回のクマは、人に危害を加えない様子だったので山に放すことにしました。

熊森:山に放しても生きていけませんよね。保護して、北秋田市のくまくま園で残り少ないクマ生を送らせてやってほしかったです。

担当者:それは検討しませんでした。

 

秋田県庁自然保護課 

 

熊森:秋田県でクマを放獣したのは初めてですよね?

担当者:昭和期に研究のために学術放獣をしたことはありますが、今回のように有害捕獲したクマの放獣は初めてです。それもこれも、獣医師の資格をもった職員が県庁に来てくれたおかげです。

熊森:今回の放獣は秋田県のクマ保護一歩前進であり、よかったです。しかし、このクマは山に帰すにはあまりにも衰弱していたようです。会員から「もう一度捕獲して保護施設で飼育してやってほしい」という悲痛なメールも入っています。

 

地元のクマに詳しい方

 

熊森:どうして、老いたクマが山から出てきたんでしょうか。

地元:このクマが来た山には採石場があって、1週間に1回ダイナマイトで山を爆破しているんだよ。すごい音だよ。ドーンて。その音から逃れるために、出てきたか、または、若いクマに嫌がらせをされたんじゃないかな。

熊森:もう一度捕獲して、北秋田市のくまくま園で保護飼育してもらえないのでしょうか。

地元:罠を設置してもう一度捕まえたら、体力的に死ぬ恐れがある。大館からくまくま園までクマの体に負担がかからないようゆっくり運ぶには、3時間はかかる。多分この高齢グマは耐えられないね。今回はあきらめるしかないよ。

 

熊森から

目が見えない高齢グマが、どうして今日まで生き延びられたのか不思議でした。

残り少ないクマ生ならば、山に返さずに現地で保護してやってほしかったです。

昔の日本人ならそうしただろうなと思いました。

日本に傷病野生グマの保護施設は皆無です。日本人の民度の低さを表していると言われても仕方がありません。

山にいるクマは自然ですから仕方がありませんが、人間のところに助けを求めてやってきたクマは、助けてやる。熊森はそういう国をめざします。(完)

5月23日24日 本部と石川県支部による白山調査

くまもりを支えてくださっている全国の皆さん
いつも温かいサポートをありがとうございます。
昨年秋、山からクマが大量に出て来た石川県は、捕殺上限数を超えても尚、ことごとくクマたちを駆除し続けました。
クマとの棲み分け共存をめざす熊森本部と石川県支部は、今回、クマたちが生息してきた白山の森がどうなっているのか調査に入りました。
指導してくださったのは、白山自然調査歴60年のくまもり協会顧問主原憲司先生(昆虫研究者、京都府在住、72歳)です。
5月23日夕、主原先生によるプレ学習会
(コロナのためzoomで開催、参加者約20名)♪
       zoomによる本部プレ学習会 於:一里野高原ホテルろあん
5月24日終日、白山一里野、白山白峰の現地調査。
くまもり本部4名、石川県支部11名参加 ♪
中宮ビジターセンターで
主原先生は60年以上にわたり、全国各地で、昆虫とその食草となる植物、森に生きる様々な命の緻密な生態観察を現場で続けてこられました。その知識量は膨大で、『日本の宝』と言っても過言ではない方です。
熊森の強みは、ツキノワグマ研究の第一人者である長野県の宮澤正義先生をはじめ、初期からこのような日本の研究第一人者に指導していただき活動を続けてきたことです。先生たちは、心からくまもり協会の理念に賛同してくださり、貴重で膨大な資料をくまもりに惜しみなく提供し続けてくださっています。
今回は、そんな主原先生と共に、「クマを頂点とする奥山生態系の食物連鎖」が白山でしっかりと保たれているのかという視点から、白山の森を直接観察して歩きました。
氷河期から種を繋いできた『ウスバシロチョウ』が飛び交う森には、西日本の森が失ってしまった様々な昆虫たちが今も多数存命しており、25年前の生き物たちが豊かだった兵庫県の奥山自然林をほうふつとさせると森山名誉会長が感想を述べていました。
ヤブデマリの花に止まるウスバシロチョウ(羽に鱗粉がないため透明)
このまま地球温暖化が進めば、30年後には、白山も西日本の森のように昆虫を失っているだろう。今のうちに、本当の森とはどのようなものだったのか、多くの人たちに見ておいてもらいたいという主原先生の言葉が、叫びのように聞こえました。
白山には、春と夏のクマの食料はありましたが、2005年、ミズナラがナラ枯れで9割枯死したため、冬ごもり前にクマが大量に必要とする秋の堅果類が消えていました。
そして、ナラ枯れ大量枯死後のミズナラとコナラに、驚くべきことが起きていました。主原先生が2年前に発見された出来事です。
今回の白山勉強会のレポートを、順次、アップデートしていきたいと思います。
皆様、楽しみにしていてください。
お願い!!
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