くまもりNews
クマ被害を防ぐため、兵庫県の奥地でクマの棲める森を再生し続ける
- 2016-11-21 (月)
- くまもりNEWS
クマ問題もシカ問題も、元をただせば、すべて人間が引き起こした森林破壊が原因です。
兵庫県のクマの場合、年間の農業被害は少しです。平成25年度の被害面積は約1ヘクタール被害額は120万円程度です。(140頭殺されることになった理由のひとつ)
平成27年度 兵庫県ツキノワグマ保護計画(兵庫県)より
昔からクマと共存してきた集落では、クマはおとなしい動物であり共存できるとして問題になっていませんが、クマに慣れない集落では精神被害や、人身事故の恐れを思い、クマは害獣視されがちです。
クマが集落に出て来るようになったのは、本来のクマの生息地がクマが棲めないスギの人工林にされたこと、残された自然林も大気汚染、地球温暖化、シカの食害などによって内部が大荒廃し、クマが棲めなくなったことです。
熊森は、あの手この手でこの20年間、人工林を少しずつ自然林に戻してきました。
11月12日、人工林を除去した跡地に、大阪西ライオンズクラブのみなさんが、熊森と共に恒例の実のなる木の大苗を植樹をしてくださいました。
元人工林だった斜面に、ヤマザクラやシバグリを植樹
植樹後は、シカよけ柵を張ります。
積雪時期を前に、網を外しやすいように工夫します
昨年春、皮むき間伐を施していただいたところです。
スギの葉が枯れて、林床が明るくなってきている
1昨年、斜面の下の平地に実のなる木を植えていただいたところです。
苗木が大きく育っている
兵庫県の樹医さんの話では、斜面と比べて平地は肥沃な大地となるため、植物の成長がいいそうです。国土の平地は、みんな人間が取ってしまっているため、人間のいるところでは植物は毎年良く育つわけです。
今年、クマたちが棲む冷温帯のドングリ種は実りがほとんどありません。しかも、兵庫県では、多くの所で、柿も不作年となっています。
一方、平地の暖温帯のドングリ種は良く実っています。冬籠り前のクマたちが、暖温帯のドングリを食べに来ることを認めてやってほしいものです。
大阪西ライオンズクラブのみなさん、今年も実のなる木の植樹をありがとうございました。
国は、ハンターを増やしてクマ・サル・シカ・イノシシを殺すこと、ジビエ料理を広めることばかりに固執していますが、人間としておかしくありませんか。奥山だけでも人工林を除去して、動物の棲める自然林を再生していただきたいものです。私たちは24年間、お願いし続けています。
11月17日のテレビ朝日報道ステーションによると、群馬県赤谷では、日本で唯一、林野庁による人工林の自然林化が始まったそうです。
獣害問題に対して、生息地復元で解決していただけるよう、国民が、もっともっと行政に声をあげていく必要がありそうです。
兵庫県クマ狩猟第1日目 兵庫県は、狩猟を駆除と表現したのか?! 本当なら、熊森怒り爆発
- 2016-11-16 (水)
- くまもりNEWS
(追記)11月16日兵庫県担当者に確認したところ、県としては140頭駆除するなど言っていないのに、このようにマスコミに報道されて戸惑っているということでした。NHKに熊森が電話して、言葉の訂正をお願いしました。
以下、NHKオンラインより (11月15日NHKホット関西ニュース18:10~)
くまもりより 上をクリック後、特集レポート動画を視聴して下さい。
兵庫県クマ猟解禁 初日は1頭を捕獲
全国でクマに人が襲われる被害が相次ぐなか、兵庫県は、15日、ツキノワグマの狩猟を20年ぶりに解禁しました。
初日の15日は、1頭が捕獲されたということで、県は、1か月間で最大140頭のクマを駆除したいとしています。
ことしは、秋田県の山林で4人がクマに襲われて死亡するなど、クマの被害が増えていて、兵庫県内でも2人が大けがをしました。
人里近くでの目撃も相次ぎ、兵庫県は人的被害を防ぎたいとして、保護のため禁止してきたツキノワグマの狩猟を20年ぶりに解禁しました。
15日は、シカやイノシシなどの狩猟解禁日でもあり、クマが多く目撃されている県北部の豊岡市の山林にもハンターたちが次々と入り、周囲の音や猟犬の鳴き声などを頼りに、獲物を探しました。
兵庫県によりますと、初日の15日は、県西部の佐用町で1頭のクマが捕獲されたということです。
ツキノワグマの狩猟期間は1か月間で、兵庫県は、推定で県内に940頭生息するツキノワグマを、最大で140頭駆除したいとしています。
クマ猟を申請したハンター1人につき、1頭の捕獲を認めていますが、ハンターの間には、ツキノワグマに遭遇した際の対応に不安を訴える声も多く、兵庫県は、今後、駆除がどの程度進むか、状況を見守ることにしています。
(熊森より)
明日、県庁担当者に問い合わせます。狩猟を駆除と表現していたとしたら、県民だましもはなはだしい。許せないことです。狩猟と駆除は全く別物です。
狩猟というのは、山の中にいるクマを、スポーツやレジャーとして撃ち殺すもので、殺したクマの遺体はハンターの所有物になります。
駆除は、有害駆除と言って、人間の所に出て来たクマが被害を引き起こしたため、やむなくごめんなさいと言って殺処分するもので、殺したクマの遺体は、兵庫県では兵庫県森林動物研究センターが取り上げます。ハンターの物にはなりません。
明日、本日のニュースの、「駆除」は、兵庫県行政の言葉か、報道者の言葉か、確かめます。
第一、兵庫県のこれまでの説明では、今年度すでに12頭のクマが有害捕殺されていますから、狩猟で獲る上限は、128頭のはずです。本当に140と言われたのかも、明日確かめます。
本当に兵庫県が人的被害を防ぎたいのなら、狩猟を再開するのではなく、奥地のスギの放置人工林を伐採して、野生動物たちが棲める広葉樹林森を復元・再生すべきでしょう。野生動物が人里に出て来なくてもいいように、人間が破壊してきた奥山を、彼らに返してやればいいのです。
県内で残念ながら2件の人身事故が起きましたが、人間が音の出すものを持って歩いていたら、事故は起きていなかったと思われます。行政としては、そういう情報を、もっと地元の方々に伝えてあげて欲しいです。
佐藤八重治氏の講演によりますと、人身事故を起こしたクマの多くは、人間に痛い目に遭わされたことのある手負いグマだったということです。今回の狩猟再開で、手負いグマが何頭も誕生する恐れが十分にあります。
以下は、熊森本部に入ったメールですが、この方の言われる通りだと思います。
●私も熊を射殺する兵庫県知事の決定に反対です。熊は臆病な動物でその熊が人里に出没しているということは、山に熊の餌が不足しているからであります。
熊を全て殺さない限り、人への被害は抑えることが出来ないのではないでしょうか。山に熊の餌が不足しているのは人がお金になる針葉樹を植林し過ぎた結果であり、 熊に罪はないと考えます。
生態系を維持する為にも動物との共生を考えるべきではないでしょうか。山に熊の餌になる木を増やし、人は鈴を着けて行動する。
個体数の少ない熊を殺すなんてとんでもないことであると思います。どうか熊森協会のさらなる活動で、動物と人が共生していける社会が出来ることを祈ります。
それが人類が生き残れる条件でもあると私には思えます。
<猟友会員の方々からも、熊森本部に声>
A「兵庫県は、なぜクマ狩猟を再開するのかさっぱりわからない。猟師仲間でも、反対している者が多い。兵庫県森林動物研究センターの研究員が論文発表をしたいがために、わしら猟師を利用して、データ集めをしようとしていると思う。何とか狩猟をやめさせたいのだが、仲間には声をあげることに慣れていない者が多い」
B「兵庫県内の○○という熊肉販売店から、クマを獲ったらすぐに連絡してくれというお願いが、猟師たちに入っている。狩猟したクマが、どういうルートで動いていくのか調べたらどうか。店での販売価格は、100グラム2千円ぐらいだ」
C「県は、クマを獲ったらすぐに森林動物研究センターに電話するようにといっている。指定場所に運んで待ってたら調査員が行くといわれても、そんなんめんどくさいやないか。電話せん奴、いっぱい出ると思うな。」
兵庫県クマ狩猟再開問題 テレビニュース熊森出演情報
- 2016-11-16 (水)
- くまもりNEWS
<放映済>
・11月9日(水)サンテレビ 21:30~ 特集
<11月11日(土) クマ狩猟再開反対署名第2弾(10月分)提出>
・11月12日(土)NHK朝のニュース 署名第2弾(10月分)提出
・11月14日(月)読売テレビニュースten 関西全域17:00~「真相究明ゲキ追コーナー」狩猟解禁前日
・11月15日(火)関西テレビ ニュースワンダー 17:00~ 関西テレビ ニュースワンダー 狩猟解禁日
・11月15日(火)NHKテレビニュースほっと関西 くまもり&とよ君登場予定狩 狩猟解禁日
・11月 19日(土)テレビ朝日 兵庫県クマ狩猟再開問題 特集 スーパーJチャンネル
<今後の予定>
・11月 25日(金)関西テレビ兵庫県クマ狩猟再開問題 特集 17:00~
11月15日 兵庫県クマ狩猟再開日 トラスト地での狩猟禁止
- 2016-11-15 (火)
- くまもりNEWS
兵庫県は、今日から1か月間、クマ狩猟再開を強行します。
来年は3か月にすることでしょう。井戸県政の汚点です。残念です。
兵庫県のクマ狩猟再開理論も、140頭枠も、もう完全に破たんしています。
何とか止めようと、熊森はできる事はすべてやってきました。
もっと大きな会にならないと止められません。無念です。
今日は、夜明けと同時に、山では一斉に銃声がパンパン破裂するのでしょう。
銃に撃たれたら動物たちも痛いんだよ。クマも痛いと声を上げて泣くんだよ。こういうことがわからない人が、いるのでしょうか。
20年前に大変な努力によってクマ狩猟禁止を勝ち取った尼崎市の子どもたちへの裏切りです。
私たちはほんのささやかな抵抗しかできませんが、トラスト地では、狩猟をお断りします。(宍粟市内、豊岡市内)
県にも届けてあります。
山主が断れば、その山で狩猟はできないそうですから、自分の山を野生動物の血で汚したくない人は、ぜひ当協会のように、意思表示をされるといいと思います。
大学の先生が、行政の方が、殺生を楽しめと教えしや。
完全に狂っている。
今こそ、奥山自然林復元!
平野虎丸顧問のブログから
過剰スギ植林のおかげで自然がなくなり、野生動物たちは害獣と呼ばれ、害獣食が大人気、というニュースまで出来上がります。
害獣を殺して埋めるだけではもったいないので食べてしまうことが森のためにも人間の為にもなる、という話のようですが、動物たちは害獣ではなく、人間に森を奪われ棲みかを追われた被害獣です。
人間こそが害獣です。もはや、地球にとって、人間は動物以下の存在になっています。
害獣を食べて森のために良いことをしていると思い込んでいる人たちは、森を破壊している林野庁とマスコミに洗脳されているだけです。
テレビ局に兵庫県のクマ生息地の山々を初案内
- 2016-11-15 (火)
- くまもりNEWS
11月9日、丸1日とって、あるテレビ局の方が、兵庫県のクマ生息地を取材してくださいました。
これまで熊森は、「とにかく、山に入って下さい。誰の言っていることが本当か、山の中を見たら、すぐにわかります」と、知事さんやマスコミ関係者にお願いし続けて来ました。しかし、みなさん忙しくて、応じていただけませんでした。
今回、ついに来てくださった。本当に感激でした。本部スタッフ3名で一生懸命ご案内しました。
クマ生息町の山は、延々と人工林が続きます。
集落近くのぬかるみ道で、真新しいクマの糞や足跡を発見
この足跡を残したクマは、きっとまだその辺にいることでしょう。
大きい声を出して、人間が来ていることを知らせながら歩みます。
住民に、クマが爆発的に増えていると思うかたずねてみました。
「山にはおらんから、増えてないやろな」という答えでした。
いよいよ、山奥に入って行きます。
急斜面で、カメラさんは本当に気の毒でした。ケガをされないかひやひやしました。
一見いい自然林なのに、なぜ動物が棲めなくなったのか説明しながら進みます。
標高1000メートル近くになって、やっとブナ・ミズナラの原生的な森に、少し、下層植生が現れ出しました。雪が降ってきました。
左は原生的な森、右は動物の餌が全くない放置人工林。林内が対照的です。
原生的な森のブナの幹をみんなで見て歩きました。どのブナの木にも、古いクマの爪痕がいっぱいついています。この爪痕は、材が柔らかい春の時期に、花や若葉を食べにきたクマたちが木に登った跡と思われます。
ブナの木にびっしりついた古いクマの爪痕
かつて、このあたりはクマの恒常的な生息地であったことがわかります。最近のクマの爪痕が少しくらいあるかもしれないと思って探しましたが、全く見つかりませんでした。
ミズナラに一つぐらいは熊棚が出来ていないかと思って探しましたが、これも残念ながら全く見つかりませんでした。
クマの糞も一つも見つかりませんでした。今は、もうほとんどが、下の集落周辺に移動してしまっているのがわかっていただけたと思います。
かつてこのあたりは、人間の背丈より高いササにびっしり覆われた場所でした。臆病者のクマたちが何頭か姿を隠しながら棲んでいたと思われます。
多くの研究者たちは、下層植生が消えたのは全てシカとして、シカを犯人にしていますが、いくらなんでもあれだけ生えていた大量のササを、シカが食べきれるわけがありません。
ある研究者の観察では、まず初めに、地球温暖化で雪の上にササが出るような年があったり、数十年に一度のササの一斉開花があったりで、地上部のササが枯れました。ササは地下茎がありますから、いったん地上部が枯れても、また地下から芽を出してきます。その芽を今度はシカが食べてしまうので、ササが復元できなくなってしまいました。もし原生林内を囲うと、その中だけには、ササが生えてきます。
シカも関係していますが、全てシカが下層植生を枯らしたようにいうのは、まちがいです。地球温暖化で枯れたのなら、大元の原因を作ったのは人間です。
このあと、下の別の集落に移動しました。クマたちと共存している地元の人たちの姿がありました。
テレビ局の方は、人身事故があった現場も取材されていました。
帰りの車の中で、突然、東京のテレビ局の方から携帯に電話が入りました。近々、兵庫に行くので、山を案内してほしいということでした。
今回のクマ狩猟再開は、兵庫県森林動物研究センター研究員の、「兵庫の森は絶好調、歴史始まって以来の豊さを誇る森」ということが前提となっています。
もう少し早くマスコミのみなさんが熊森に注目してくださって、現地を見にきていただき、前提が全く間違っていることを報道してもらっていれば、狩猟再開はくつがえせたのではないかと思いました。兵庫の奥山は、人工林も自然林も、林内は大荒廃しています。
兵庫県クマ狩猟枠140頭の計算が、完全破たん なのに狩猟再開?!
- 2016-11-15 (火)
- くまもりNEWS
10月11日の兵庫県井戸知事記者会見の後、熊森は知事と兵庫県担当部署に、以下のような公開質問状を出していました。
以下の2つの質問にお答えください。
①坂田宏志氏のツキノワグマの個体群動態の推定(兵庫県2015 年)によると、
2015年の個体数は、人為的死亡個体数を引く前の段階で中央値940.0頭(90%信頼限界では691.1~1,212頭)、2015年末の段階で中央値919.0頭(90%信頼限界で670.1~1,191頭)で、2014年から個体数が増加していると推定された。と書かれています。
ならば、2015年の有害捕獲後のクマ数は919頭ですから、2016年の事業としては119人しか狩猟者を募集できないはずです。
②さらに、兵庫県は環境省の安定生息数800頭に、こだわっているようですが、環境省は、成獣が800頭いれば安定としています。これに従うと、919頭の推定数のうち、幼獣数を引き去らねばなりません。兵庫県の主張通りいくなら、残りの成獣数から800頭を引いた数が、狩猟すべき数とならねばなりません。狩猟者募集はゼロ人になるはずです。
しかし、いつまで待っても、お返事は来ませんでした。県庁担当者に直接問い合わせると、何と、
答え①:2016年度当初のクマ推定数を940頭とすることにした。
答え②:環境省は成獣800頭としているが、兵庫県は独自に成獣+幼獣=800頭を安定個体群とした。
よって、問題ないという答えでした。
(熊森から)
もはや、狩猟枠140頭は完全破たんしていることが証明されました。
2015年末が919頭なら、2016年度の事業としては、当然、2016年当初の919頭を使用すべきです。ミスであったと思われます。答えは全くこじつけで、説明になっていません。
兵庫県はこれまで環境省規定を前面に持ち出して、140頭の狩猟枠を決めたと言ってきたのに、ミスを指摘されると、突然、兵庫独自に策定したなどとごまかす。第一、兵庫県が、環境省のガイドラインを守らないのであれば、その理由を示さねばならない。理由もなく守らないのなら、環境省を侮辱し、環境省の存在を否定したことになります。
熊森の公開質問状にはお返事がきませんでしたが、日本福祉大学山上
俊彦先生が出された質問には、兵庫県から回答が来たそうです。どのよ
うに質問され、どのような答えが来たのか、見せていただきました。
以下、山上先生質問状
兵庫県知事は10月11日の記者会見にて「平成28年度ツキノワグマ狩猟 禁止の制限的な解除」を発表されています。しかし、その内容には以 下のような事実誤認があるため兵庫県は狩猟を行う条件を満たしてい ないと考えられます。従って狩猟解禁は撤回されるのが妥当と考えま す。 1.推定生息数が絶滅する恐れが当面ないレベル(800頭)を上回る 940頭まで回復してきたとした点 兵庫県は環境省の「特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン (クマ類編)」に準拠して保護計画を作成したものと考えられます。 https://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan3-2c/ このうち、特別編(後編) https://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan3-2c/chpt2b.pdf において、個体群水準が定義されています。p.58です。ここで個体数 は成獣数と定義されています。成獣の定義ですが、特別編(前篇) https://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan3-2c/chpt2a.pdf において定義されています。p.38です。ここでは野崎氏の定義を用い て、4歳以下を幼獣・亜成獣、長野県の定義を用いて4 歳以上が繁殖齢 個体としています。 兵庫県には東中国地域個体群と近畿北部地域個体群が存在し、円山川 で分断されています。環境省の基準は「個体群」かつ「成獣」の個体 数を判断基準としているので、兵庫県全体の頭数を基準に補殺や狩猟 の意思決定を行うことはそもそも出来ません。940頭は個体群の頭数 ではなく、異なる個体群の一部の数を足したものであり、幼獣も含ん でいます。 2.承認者数は1人1頭で、140頭までで140人に許可するとした点 兵庫県のツキノワグマ生息数は森林動物センターの「ツキノワグマの 個体群動態の推定(兵庫県2015年)」に拠っています。 http://www.wmi-hyogo.jp/upload/database/DA00000481.pdf 2015年の生息数940頭は有害補殺前の頭数です。(p.15)有害駆除等を 控除すると生息後は919頭です。(p.16) 919頭では狩猟の上限は119頭です。 次に、幼獣の数です。鳥獣対策課長は農政環境常任委員会にて兵庫県 のクマは妊娠率が高いので年平均20%増加すると回答されていると聞 きました。 兵庫県公表数値では、個体数は、 2011年477頭 2012年571頭 2013年688頭、 2014年813頭、 2015年940頭ですから、 幼獣数は少なくとも、 940-813=127頭、生存率が0.933(p.14)とされているので、このうち 生存しているのが 127×0.933=118頭で1歳 813-688=125頭のうち生存しているのは 125×0.933×0.933=108頭が2歳 919から控除すると 919-108-118=693頭となります。 亜成獣は 571-477=94頭で、 94×0.933×0.933×0.933×0.933=71頭が4歳、 688-571=117頭で 117×0.933×0.933×0.933=95頭が3歳です。 つまり、幼獣と亜成獣を控除すると成獣は多くて、 940-71-95-108-118=548頭となります。 成獣数は環境省の基準を下回ります。 以上から兵庫県は個体群の生息数ではない数を見て800頭を超えてい るとし、その数には幼獣も含まれていることから生息数が安定的に推 移するための環境省の基準を満たしていない。このことから、ツキノ ワグマの狩猟を解禁することはできません。また、生息数から駆除さ れた個体数を控除せずに狩猟許可人数を算出していることは県民、国 民に対して間違った報告をしたことになります。 {兵庫県庁からの回答} 本県の「ツキノワグマ保護計画」は、環境省のガイドラインに準拠 したものではなく、ガイドラインを参考に本県独自に策定したもので、 狩猟禁止を解除するレベルの800頭は成獣・幼獣の区分がない生息数 そのものとしています。 また、捕獲上限の140頭については、県環境審議会委員の「捕獲数 の制限設定を設けるべき」との意見を踏まえ、800頭を下回らないよ う、平成27年度当初の推定生息数940頭を基準に設定しています。
兵庫県クマ狩猟再開反対署名第2弾7084筆(10月分)を、兵庫県に提出 11月11日
- 2016-11-12 (土)
- くまもりNEWS
前回提出した第1弾署名(9月分)と合わせて、13707筆の署名を兵庫県井戸知事に届けたことになります。
遠藤環境創造局長に森山会長が署名を提出
兵庫の山は豊かな森でいっぱいとか、(生息地を失ったクマが)爆発増加しているなど、森林動物研究センターの研究員が出した事実誤認情報を元に、クマ数を低減させねばならないとして、兵庫県が不可解極まりないクマ狩猟再開を決定し、進めています。
真実を知事、議員、県民に伝えて、クマ狩猟再開を止めようと、この間、私たちは動きに動いてきました。
しかし、自然保護団体がまだまだ小さくて、自然が何たるものなのかや、生命の尊厳、野生動物たちの心や痛みがわからない研究者たちの暴走を止めることができませんでした。本当に無念です。いつか必ず真実が明らかにされる時が来ることを信じます。
何も悪いことをしていない野生動物たちが狩猟で殺される。一つしかない命をスポーツや遊びで奪われる。狩猟再開を止められなかったわたしたちは、クマを初めとする森の動物たちに、謝っても謝りきれません。
野生動物の生息数をコントロールしなければ、人間は生きられないなどという間違った自然観に、国中が汚染されていく。もはやこれは狂気です。空恐ろしいことです。
熊森は今後も、真実を訴え続けてまいります。
<今後のクマ狩猟再開反対署名について>
兵庫県民を中心に、クマ狩猟を止めるまで、ひとりひとりに説明しながら気長に集め続けます。
署名提出後、今回のクマ狩猟で違反者が出ないように、県庁担当者のみなさんに、いくつかの申し入れを行いました。
森山会長講演会 in 宮崎市 多くの入会者
- 2016-11-12 (土)
- くまもりNEWS
熊森会員をもっと増やして大きな活動ができるようにしよう。11月6日、くまもり宮崎県支部が、森山会長講演会を企画しました。
会長は前日に九州入りし、熊森顧問である平野虎丸氏がトラストされた阿蘇のすそ野の山を、平野顧問や、宮崎県支部長、福岡県支部長らと視察しました。
平野顧問がスギを伐倒除去しておられるトラスト地50ヘクタール
このあたりは昔、毎年野焼きして、牛の牧草地として草原が保たれていた場所です。
大変なだらかです。火山灰はミネラル分がいっぱいなのだそうです。植物が良く育っていました。
戦後、この草原が、スギの人工林に変わり、放置されたのです。平野氏は、このトラスト地を、花いっぱいの雑木林にしようとされていました。
阿蘇山のふもとのトラスト地とは、とてもすてきだと思いました。
代々林業家だった平野氏から、この日も、いろいろ教わりました。
夜は、地元会員が経営する料理店で、くまもり宮崎のスタッフのみなさんと懇親会が持たれました。
お料理は最高。その上、宮崎県会員のみなさんの熱さに圧倒されました。人材となる方でいっぱいでした。
いよいよ、6日の講演会です。
宮崎県鶴永支部長はもちろん、みやざき中央新聞の松田社長がご挨拶されました。くまもり九州ブロック長の福岡県南里支部長も力強い呼びかけをされました。
この日、森山会長の約2時間講演に熱心に耳を傾けてくださった参加者は、108名でした。上田熊本県支部長も駆けつけて下さいました。
講演後、感動された多くの方がくまもり会員になってくださいました。
国に頼っていてもだめ。市民の力で、宮崎の山をよみがえらせよう!
九州はいつも本当に熱いです。
まだ若い宮崎県支部長ですが、家族を挙げての総協力体制のもと、地元会員のみなさんにしっかり支えられており、今後の支部発展が楽しみです。
クマ生息地では、早朝、夕方以降、死角となる曲がり角で音を出そう
- 2016-11-11 (金)
- くまもりNEWS
残念ながら兵庫県で5年ぶりに、クマによる人身事故が2件発生してしまいました。
本部は現場に急行して、ご家族や近隣の方にお話をお伺いしたり、原因を探ったりしました。
どちらもご本人はケガをされて入院しておられ、お会いできませんでした。
心よりお見舞い申し上げます。
①10月17日午前6時ごろ(宍粟市)
事件は山裾の集落で起きました。
事件があった集落の裏山
事件があった死角となる四つ角
全く見通せない90度の曲がり角(写真左端)で、上の方からは新聞を取りに降りて来られた男性が、下の方からは、集落周辺の柿を食べて山へ帰ろうとと朝帰りを急いでいたクマが、ばったりと鉢合わせしました。
どちらも、心臓が飛び出すほどびっくりしたのだろうと予測されます。
男性は、静かに後ずさりされましたから、クマ対応としては正しかったと思います。しかし、悪いことに、後方の溝にはまってこけてしまいました。
新聞では、クマは男性の頭をかじって山へ飛んで逃げたということでしたが、近隣のみなさんの話では、クマは頭を齧ったのではなく、頭を前足ではたいて山へ逃げ帰ったのだそうです。人間から逃げたい一心でやったのでしょう。
事故現場から山までの間に、点々とクマの糞が落ちていました。
近所の方が、「クマさんの方も、人間に出会ってしまって、恐怖のあまり、便をちびりながら山に逃げ帰ったんでしょうね」と語られていました。
全く、双方に、不運な事故だったと思います。
この後、周辺に設置された捕獲罠に、2週間後にクマがかかり、殺処分されました。このクマだったかどうかはわかりません。
②11月7日早朝(養父市)
スキー場近くの山深い集落に住む男性が、スキー場の仕事場へ出勤するため、みんなが通らない近道となる裏道を早朝、歩いておられました。
またしても双方にとって全くの死角となる、四つ角です。
事件があった死角となる四つ角
この四つ角で、奥から歩いてきたクマと、手前から奥に行こうとしていた男性が、ばったり鉢合わせしてしまいました。クマが男性に襲いかかってきたので、男性は持っていた工具でクマを殴り抵抗したところ、クマは山に逃げたそうです。現地では、直ちに、クマ捕獲罠が設置されました。もし、かかれば、殺処分です。
(熊森から)
人間と臆病者のクマが、こんな近くで共に暮らしている状況にまず問題があります。
昔、山にえさがあったころ、クマは山から出て来なかったと、地元のお年寄りはみなさん証言されています。本当は、動物も平地が暮らしやすいのです。せっかく山にとどまっていてくれたのに、その山の餌場とねぐらを壊したのは人間です。私たち県民の力で、もう一度、動物の棲める森を復元しませんか。いつまでたっても国はやってくれないし、できないようです。
森が復元するまでの間、山の実り凶作年の秋ですから、早朝、夕方以降は、どうか地元のみなさんは、クマに近づきすぎないように気を付けてください。見通しの悪い四つ角などでは、鈴など音のするものを持って、クマに人間が近づいていることを知らせてやってください。クマは基本的には大変な臆病者です。クマが人を早めに察知できたら、クマの方から離れます。
熊森は地元のみなさんに、このことを精一杯お伝えしたいです。
本部:クマ目撃情報があった現場へ
- 2016-11-11 (金)
- くまもりNEWS
今年は山の実り凶作です。10月に入って兵庫県のクマ目撃数も急増。
午前6時10分、集落近くの畑でクマ目撃の新聞情報
<現地調査へ>
本部が現地に行くと、集落の裏の畑に、鉄格子でできた箱罠が4基仕掛けてありました。
中には米糠と食パンが入っていました。罠を設置した猟師の方にお会いして、長時間いろいろとお話をお伺いすることが出来ました。
写真右上が箱罠
この方は、都会に永らく出ておられ、5年ほど前に帰郷されたそうです。
山には興味がないようで入っておられず、森林内部の大荒廃ぶりはご存じないようでした。
シカもクマも野生動物は人間に害を及ぼすので、山から出てきたら片っ端から殺しておかねばならないと思い込んでおられました。
畑に掛けた箱罠にシカがかかり、1週間ほど放置しておいたら弱ってきたので殺した。箱罠から死体を引き出したが、雨が降ってきたので外に放置して帰った。早朝、クマがそのシカを食べにきているのを住民が見つけ、警察に通報されたとのことでした。
裏山にはクマが1頭棲んでいて、このクマはあちこちで目撃されて目撃数を増やしていると言われていました。このクマは山から出て来ても、この方が睨むと山の中へ逃げ帰って行くのだそうです。
民家の裏の畑にクマが出て来るのは良くありませんが、今回の場合は、人間がシカやクマを山からえさでおびき出しています。
本部は、クマ目撃現場をいくつか回って現地調査をしています。