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<豊能グマ移送後速報> 4月10日

移送日翌日、クマが心配で、本部から2名が様子を見に行きました。

運動場の隅を見てびっくり。何、これ?

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自動撮影カメラによると、クマは、人が帰ったあと、さっそく運動場の隅に大きな穴を掘り始め、寝室から藁を運び出しては、口でさかんに藁をしごいていました。逃走口探し?

砂利の下はコンクリートですから逃げられません。

 

クマの動きは、昨日と打って変わって落ち着いていました。

 

ここが気に入って、早く慣れてくれるといいですね。

 

 

 

 

<祝> 4月9日 大阪府豊能町誤捕獲グマ、新獣舎引っ越し  

4月9日午前8時半、豊能町のお寺の新獣舎前に、熊森移送班集合。

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本日、移送檻を運んでくださるのは、早朝、奈良からユニック車に乗って駆けつけてくださった熊森奈良地区の地区長(現役プロ)です。熊森本部スタッフたちと最終打ち合わせをし、獣舎の点検後、みんなで車で1時間ほど離れた豊能町役場に向かいました。

役場駐車場で、撮影担当班(熊森会員プロカメラマン)と合流。熊森移送班計13名、ここで本日の移送を無事成功させようと、心を一つにしました。

熊森本部としては、何度もみんなで移送手順を練り、現場にも行ってシュミレーションを行っていましたが、それでも命あるものを運ぶのですから、失敗は絶対に許されません。みんな緊張で無口になりました。

 

午前10時過ぎ、クマが295日にわたって保管されてきた倉庫へ車で行きました。

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黄色ヘルメットはオール熊森です。

シャッターを下ろした部屋の中で、9か月以上狭い檻に閉じ込められたまま、気もふれずに耐えてきた豊能グマ。本当によくがんばったと思います。お世話をしてくださった町職員と、毎週お世話や励ましに通ってくださった熊森会員のみなさんのおかげです。

熊森移送班メンバーは、クマが安心するようにと次々とクマに声をかけます。

 

奈良地区長は、さすがプロ。1tもあるクマの入った移送檻をスムーズに倉庫から引き出し、ユニック車に乗せてくださいました。

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よし、お寺に向かって出発だ。クマは道中、気がまぎれるようにとメンバーが差し入れた間伐材の輪切りを齧り続けていました。

 

お寺に、クマをのせたユニック車がやってきました!写真班が先回りして撮影です。

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慎重に、移送檻の口と、獣舎の口を合わせます。午後1時3分、移送檻の扉を持ち上げると、一気にクマは運動場に飛び出しました。この瞬間をマスコミの方々に撮って欲しかったです。

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この後、獣舎の挿入口をボルトで締め溶接するためには、クマに一度寝室に入ってもらわねばなりません。好物のキウイやブドウで誘導するようにしてはいたのですが、いつ入ってくれるのか見当がつきませんでした。

しかし、クマは初めて入った獣舎の中をものすごいスピードでぐるぐると何回も走りまわり、途中プールにも何度か飛び込み、午後1時7分、寝室に入ってくれました。なんと、獣舎に入ってから、わずか4分後のことです。それっと、寝室の外から鍵!獣舎の内外から、しっかりと挿入口の鉄板をボルトで固定。後は溶接する方が来るのを待つのみです。こうして、あっけなく移送作業完了。

あんな狭いところに長期間閉じ込められていたのに、このクマの走りの速さ。体の柔らかさ。もう、人間では考えられないことです。

 

下の写真は、麻酔を使わないクマの移送を無事成功させて、満面笑みの熊森移送班メンバーたち。

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移送作業終了から約1時間後の午後2時になると、マスコミの方々がみんなで獣舎のところにやってこられて、猛スピードで獣舎内を走り回ったり天井に上って降りてくるクマを楽しそうに撮影しておられました。クマは興奮してそうしているのでしょうが、人間から見ると最高のアスリートの演技です。クマはこんなすごい動きができるのかと、ほれぼれします。

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セメントのあくが出ないように、 プールには防水加工が施されています。

この日、クマの所有権は行政から民間に移りました。今後は何でもオープンにできます。このクマとの楽しいお話を、ブログでいっぱいお伝えしていきたいです。

 

野山を走り回って成長した野生グマを檻に入れて飼うことは、可哀そうではありますが、大阪府の殺処分からこのクマを救ったわたしたちは、やさしい住職さんと協力して、その分このクマを大事にし、愛情を持って最後まで終生保護飼育する決意です。

 

クマほど現代日本人に誤解されている動物も少ないだろうと思います。大阪府のみなさんにも見に来ていただいて、クマの優しさや賢さ、すばらしさを知っていただき、私たちの祖先が続けてきた人とクマが棲み分けて共存する社会を再構築していきたいと思います。

 

この日の夕方、熊森移送班は、このクマが収容されていた倉庫に戻り、みんなできれいに掃除して、通い続けた倉庫にお別れを告げ、帰途に付きました。

 

熊森の麻酔なしクマ移送に付き添ってくださった獣医さん、猟友会、行政など、すべてのみなさんに感謝します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熊森も絶賛したい 東京大学教養学部の卒業式、石井洋二郎学部長のあいさつ

<以下、4月7日ヤフーニュースから>

 

3月にあった東京大学教養学部の卒業式。石井洋二郎学部長のあいさつが、ネットで注目されています。半世紀前の日本一有名な卒業式の式辞「肥った豚よりも…」が、実は本人が話していなかったことを明かし、ネット上にあふれる不確かな情報への接し方に言及。

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伝説の式辞「肥った豚よりも…」はデマ?

石井学部長が取り上げたのは、1964年に東大総長だった大河内一男さんのあいさつです。「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」と発言したとされています。この発言は、東大卒だからといってエリート意識を持たないようたしなめる格言として、知られています。

石井学部長は、大河内さんのあいさつについて、実際は大河内さんの発言ではなくJ・S・ミルの引用だったこと。原稿には、J・S・ミルの引用を明記した上で書かれていたが、実際には読まれなかったこと。そして、原文をかなりアレンジした表現になっていることなど、内幕を明かしました。

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「善意のコピペは、悪意の虚偽より…」

 その上で、石井学部長は「この幻のエピソードはまことしやかに語り継がれ、今日では一種の伝説にさえなっている」と指摘。ネット上にあふれる情報について次のように警鐘を鳴らしました。

「善意のコピペや無自覚なリツイートは時として、悪意の虚偽よりも人を迷わせます。そしてあやふやな情報がいったん真実の衣を着せられて世間に流布してしまうと、もはや誰も直接資料にあたって真偽のほどを確かめようとはしなくなります」

「必ず一次情報に立ち返って」

 そして、石井学部長は卒業生に対して、こう呼びかけました。

「あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、『教養学部』という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる『教養』というものの本質なのだと、私は思います」

自分のあいさつに対しても「必ず確かめて!」

 最後に、ニーチェの「ツァラトゥストゥラ」の言葉から「きみは、きみ自身の炎のなかで、自分を焼きつくそうと欲しなくてはならない。きみがまず灰になっていなかったら、どうしてきみは新しくなることができよう!」を紹介した石井学部長。さらに、こう付け加えました。

「いま私が紹介した言葉が本当にニーチェの『ツァラトゥストゥラ』に出てくるのかどうか、必ず自分の目で確かめることもけっして忘れないように」

ちなみに教養学部によると、公開された文章は、大河内さんの時とは違い、すべて実際に読み上げたそうです。

 以上。注:石井学部長の全文は、ネットで探していただくと読めます。

<熊森より>

石井学部長は、情報社会の今、全人類が胆に銘じておかねばならない本当に大切なことを言ってくださったと思います。

熊森がまだ小さな会だった時、新聞やテレビに何度もその活動が取り上げられました。私たちはその後まったくぶれることなく熊森道を歩いてきましたので、私たちは当時と何一つ変わっておりません。

むしろ、会が大きくなった今、かつてと比べると、大きくすばらしい自然保護活動が展開できていると思います。しかし、マスコミには、ほとんど無視されるようになりました。

別に有名になりたくて活動している訳ではありませんからいいようなものの、こんな大きな活動を行っているのに、報道から抹殺されるのは、あまりにも理不尽です。

その後ろには、当協会に対する悪意に満ちた誹謗中傷嘘がネットに流されていて、それに影響を受けた人たちが少なからずいます。

目立つことをすると必ず、引きずり落としてやろうという一部の悪意に満ちた人たちの無責任な嘘情報が流れ出す。これが世の常なのでしょう。

報道関係者の皆さんは、そのような情報に惑わされず、自分の目で見て、自分の頭で考えて、世の中を良くするには今、何を報道すべきか判断し、大切なこと、本当にまじめひとつにがんばっている人たちのこと、真実をぜひ報道してほしいものです。

大阪府豊能町誤捕獲グマ、新獣舎への移送方法とマスコミへの無連絡について

●当協会は、豊能グマの引っ越し等について、大阪行政に情報発信を止められていたため、何もかも移送後の発表となりましたことをお許しください。

 

当協会が大阪府豊能町のお寺に建設していたクマ保護飼育用の獣舎が完成し、3月31日、大阪府の検査に合格しました。

(土地提供は、お寺。設計や建設費負担は全て日本熊森協会です)

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完成獣舎70平方メートル(うち、運動場55平方メートル)

 

(1)新獣舎への移送方法

豊能グマの移送に関しては、以前から当協会は、クマのため、他でも一般的に行われているように、クマに麻酔をかけずに檻ごとユニック車にクマを乗せて運び、移送檻の口と新獣舎の口を合わせて新獣舎にクマを移す予定でした。(全身麻酔をかけるとクマが死亡するリスクがあるなどのため)

そのため、プロのユニック車運転手も、協会会員内で確保していました。しかし、大阪行政はクマに麻酔をかけない移送は認めないと言い出し、またしても当協会と平行線となりました。クマを1日も早く広い獣舎に移してやりたいので、熊森はあせりました。

 

万一の場合に備えて、熊森がクマ取り扱い専門会社に業務委託し、必要な時はすぐに麻酔できる用意をした獣医に同行してもらうという条件を出したところ、やっと4月6日に、大阪行政から移送許可を得ることができました。

 

(2)マスコミへの無連絡について

さっそく記者会見をして、これまでお世話になったマスコミ関係の方々に4月9日の移送等を発表しようとしたのですが、大阪行政から止められました。大阪府も記者会見はしないと言われました。移送時にはマスコミに入っていただきたかったのに、本当に残念でした。このクマのことに関心を持ってくださっていたマスコミのみなさん、そういうわけでお約束していたのに当協会は連絡できませんでした。誠に申し訳ございませんでした。

 

ところが当日、移送終了後、驚いたことが起きました。獣舎から離れたところにマスコミの方が続々とやってこられて、行政の方たちと打ち合わせをされていました。置かれた机には、報道関係者の名前を書く紙も用意されていました。この日、絶対にマスコミに言ってはいけないことになっていたので、私たちは約束を守り誰にも言いませんでしたが、いったいこれはどういうことなのでしょうか。

 

この日の夕方のテレビニュースを見られた熊森会員の中から、私たちが寄付したのに、ニュースには熊森協会の「く」の字も出なかった。熊森は寄付金を本当に使ったのかという声などが電話で届きました。この様な誤解が生じるのは当然で、本部としては大変つらいです。

 

昨年9月、熊森の森山会長がお寺の住職さんに、大阪府がこのクマを殺処分しようとしているので、このクマを助けるために飼ってやってほしい。お金は全額用意するといって頼んで受けてもらったのに、ニュースではまるで、1円すら出さなかった大阪府が、殺処分を避けるためにお寺に頼んで保護飼育を受けてもらったような報道になっていました。

 

どうしてこうなるのかといわれても、大阪行政の仕組んだことですから仕方がありません。天は見ています。

 

今さら熊森が移送記者会見をしても、もう終わったことですから誰も集まってくださらないでしょう。熊森は、世間に説明する場を奪われました。ニュースが正しい実態を伝えられていない典型的な事例です。

 

今回のクマ保護にかかった費用は、獣舎建設費だけで1264万8千円です。これまで内部で集めた寄付金は790万円です。今回、記者会見の機会を奪われましたので、外部に寄附の呼びかけをしようと予定していたのにできませんでした。

このブログを読んでくださって、寄付に協力しようと思ってくださる方が生まれたら、うれしいです。是非よろしくお願いします。

 

★郵便局よりお振込みされる場合
 郵便振替口座 00980-7-203246 口座名 「くま保護基金」

 ★ゆうちょ銀行以外の銀行からお振込みされる場合
■銀行名: ゆうちょ銀行 ■金融機関コード: 9900
■店番: 099 ■預金種目: 当座
■店名: 〇九九 店(ゼロキユウキユウ店)  ■口座番号: 0203246

 

 

 

3月28日 第2回リニア市民ネット・大阪の勉強会

福島区民センターの301号室いっぱいに、参加者が集まってくださいました。多くの方が集まってくださる。これだけでまず集会は成功です。

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その上、リニア市民ネット・大阪代表の春日先生のお話がとてもわかりやすくて、いい勉強になりました。参加費500円は、十分値打ちがあったと思える勉強会でした。

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南アルプスにはツキノワグマだけで100頭ぐらいが暮らしているのではないかと言われています。リニアのトンネル貫通で水脈が分断されると、谷川が干上がり、森の生き物たちは飲み水を失い、生き残れなくなる恐れがあることがよくわかりました。

 

リニア問題は、調べれば調べるほど、熊森の取り組むべき問題です。この問題に取り組まなかったら、後世、熊森は自然保護団体として信頼されないだろうと感じます。あんな大自然破壊に気づかなかったのか、または、気づいていたが、取り組む勇気がなかったのかと言われるでしょう。

 

昨年から取り組んでいる大阪府豊能町誤捕獲グマの保護飼育のように、1頭のクマを守ることももちろん大切ですが、クマ個体群をはじめ、その他の無数の野生鳥獣たちの飲み水を守って、広大な南アルプスの森を残すことができれば、どれだけのかけがえのない大自然を守ったことになるかしれません。

 

リニアの代替案としては、地下水脈を切らない地上リニアか、第2東海道新幹線の建設など、どうでしょうか。人口減少期を迎えている今、どちらも不必要かもしれません。今ある新幹線が老朽化しているので、メンテナンスをするというのはどうでしょうか。

 

どこまでも国土破壊の土建国家でなければ経済が持たないなどという国の仕組みは、どう考えてもおかしい。国の自殺行為だと思います。

 


			

山口県の山を本部と支部で調査

3月21日、山口県のクマ生息地を調査しました。案内してくださったのは、88歳の元森林組合長さんです。健康の秘訣は、山を歩き続けていることだそうです。今も現役で山関係のお仕事をされています。健脚ぶりには驚かされました。

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下写真は、左がスギの人工林で、右が自然林です。

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自然林の中は、落葉樹と常緑樹が混在していました。兵庫県北部の落葉広葉樹だけのクマ生息地を調査し続けている本部には、不思議な光景でした。

ここでは、放置人工林の中でも、常緑の低木が生えていました。気候が植物の生育にいいのでしょうか。放置人工林の中は茶色一色と思い込んでいる本部には、これも不思議な光景でした。

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放置人工林の中

尾根筋にイノシシのぬた場が2つありました。どちらにも、池のように、水が溜まっていました。

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途中の山道に、糠入りのイノシシ罠が設置されていました。ここはイノシシがよく獲れる場所なんだそうです。

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以前、誤ってクマもかかったそうです。絶滅危惧種であるそのクマはどうなったか知りたいと思いました。熊の胆は高く売れるから、逃がすわけないということでした。

 

奥の方に入っていくと、クマの爪痕がいくつも見つかりました。古いのも多かったですが比較的新しいものもありました。

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山口県のクマはこんなところで暮らしているのかなど、いろいろと勉強になりました。

所変われば、生息環境も変わります。日本は、もう十二分に開発されました。これから人口もどんどん減っていきます。開発をやめて、自然復元に税金を使って欲しいものです。ここに残された二次林も、このまま未来永劫、残りますように。

 

山口県支部長はいろいろな生き物を飼っておられますが、ヤギを5頭も飼っておられるのにはびっくりしました。

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この辺では、他にもヤギを飼っておられる方は何人かおられるそうです。ヤギを飼っていると草刈りをしなくて良いそうです。いろんな動物と触れ合って暮らすことは、人間の心身の健康にも大変プラスになるだろうと感じました。

 

3月31日 (本部)兵庫県豊岡市 雪解け後の広葉樹植樹地メンテナンス

今冬、豊岡市では、降雪も雪解けも早かったです。この日、すでに雪はありませんでした。シカの食べないミツマタの黄色い花が満開で、私たちを迎えてくれました。

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和紙の原料であるミツマタの花。

昨年、1haほどのスギ人工林の皆伐地に、実のなる木を植樹しました。谷地形のためか、スギを植える前が棚田だったためか、雪で、苗木のシカよけ柵が、バタバタと倒れていました。

まだシカが入らないうちにとボランティアを募り、急いで補修に駆け付けました。

 

中には、シカよけ柵の杭が倒れて、苗木を折ってしまっているのもありました。

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防鹿杭が倒れて苗木を押しつぶす。

 

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斜面から近い部分は斜面の雪が移動してくるので被害が大きい。

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根元近くで折れた防鹿柵の杭

この日は総勢7人で作業。気温は20℃を越え、炎天下での作業という感じでした。

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斜めになった杭もきちんと打ち直して補修。

ネットに穴が開いている場所は、紐で縫って補修しました。

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シカが角で開けた穴を補修

 

本部では2012年から、シカよけとして、パッチディフェンスを作っています。

今回の雪被害は今までで一番大きかったです。立地場所によって、雪被害はかなり左右されます。

斜面に植樹する場合、尾根に近い部分から植樹して行くと、雪の被害が少ないのではないかと思いました。

 

無事作業を終了。ほとんどの苗木を救うことが出来ました。

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急きょ駆け付けて下さったボランティアのみなさん、本当にありがとうございました。

 

3月27日 兵庫県千種町、15年前に皆伐したスギ人工林跡地での生態調査(本部)

ここは標高1000メートルの斜面です。積雪は、多い時には4メートルにも達します。

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2000年に人工林が皆伐された後、熊森も含め、いろいろな団体が、シカよけ柵を付けて実のなる木の植樹に挑戦しました。

 

しかし、春先の雪解け時に、雪が斜面を滑り下ってシカよけ柵や苗木をぎ倒してしまうため、苗木が育ちません。現在は、ササやススキなどに覆われる草原になってしまっています。

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2014年7月撮影

3月27日に訪れると、まだ1m前後の雪に覆われたままでした。このような環境で、いきものたちはどのようにして食糧を確保しているのでしょうか。

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写真はウサギの足跡。進行方向は奥から手前へ。

雪面をよく観察すると、まず動物の足跡に目をひかれました(写真上)。

足跡の多くはウサギで、先を辿ると、低木に行き当たります。芽の部分にウサギ独特の刃物で切り落とされたような食痕があり、その近くにウサギの糞が落ちていました(写真下)。

数は少ないのでしょうが、兵庫の山にまだウサギが生き残っていた!(うれしくなりました)

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ウサギの食痕

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ウサギの糞

低木や幼木の木の芽や樹皮が、ウサギの食料源になっていることがわかります。

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皆伐地に点々と生える低木。樹種はコハクウンボクなど。

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低木は、枝先まで雪に埋もれている

周りに残された人工林は、スギやヒノキの単一林で、林内に動物たちの食糧はありません。

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皆伐地周辺の人工林内。

また、この場所では、シカやイノシシの足跡や食痕、糞は確認されませんでした。局所的にみられるブナの木には、クマの古い爪痕が見られました。新しいのは見つかりませんでした。

大型野生動物たちは、みんなどこへ行ってしまったのでしょうか?

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ブナ樹皮に残る古いクマの爪痕

調査当日は春先の温かい日でした。日の当たるところでは、雪が解けて足跡が消えてしまい、どの動物の足跡か、はっきりしません。と言って積雪時は、ここには入れません。

 

来年は、自動撮影カメラなどを使い、冬季間の動物の生態調査をしてみたいと思いました。

 

 

豊能グマお世話日記 3月20日

まず、水からあげましたが、今日は飲みませんでした。
メンバーが摘んできたツクシは匂いを嗅いだだけでした。
菜の花は軽くぱくりと口にくわえましたが
そのまますぐ口から落としてしまいました。
春のごちそうになるかなと想像していましたが、残念。

キウイフルーツをあげると待ってましたとばかりにあっという間に
丸ごと食べて、4袋ほど平らげました。

リンゴは熟れていい香りがしていましたが今日は食べませんでした。
ブドウは1パックくらい食べました。
殻付きのクルミは2袋。
今まで喜んでいた殻なしのクルミはこの日は食べませんでした。
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間伐材の木の輪切りはいつものように元気よくかじっていました。

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今日は新しい参加者がお世話に来られました。
初めてお世話したクマさんの感想をお聞きしてみました。
「かわいいですね。目がかわいいし、姿も。」
クマが檻の鉄格子にぶつかってくるのも怖くはなかったそうです。

新しい獣舎に移って地域の人と交流できるようになったら、
やっぱりこんなふうにかわいいと思ってもらえたら嬉しいです。

3月18日 リニアと国の責任 参議院会館院内集会

参議院議員7名、議員外参加80名で、午前11時から午後2時までぶっ通しで中身の濃い勉強会が開かれました。

 

講師は五十嵐敬喜氏(1944年生まれ、弁護士、法政大学名誉教授)と橋山禮治郎氏(1940年生まれ、千葉商科大学大学院客員教授)のお二人でした。まさに、日本の国を思い、日本を良くしたい一心でがんばっておられることが、強く伝わってきました。青年の心意気でした。日本に、こんな先生方がおられたのかと、あらたに偉大な方たちを知り、感動しました。

 

おかげで、知らなかったことをたくさん学ぶことができ、収穫は十分で、兵庫県本部から参加した甲斐がありました。熊森東京都支部からは数名が参加してくださっており、大変心強く感じました。

 

<出席された各国会議員からのお話>

皆さんとてもよくリニア問題について勉強しておられ、発言も堂々として頼もしかったです。こんな国会議員もおられるのかと、初めて知りました。すばらしいです。この前の衆議院選挙での熊森アンケートでよくわかりましたが、ほとんどの国会議員の方々は、リニア問題をご存じありません。この議員さんたちが他の議員のみなさんや官僚のみなさんにロビー活動をしてくだされば、リニアに大問題アリと言うことで、リニア事業が直ちに凍結され、喧々諤々の国会審議が始まるのではないかと感じました。国会議員さんたちの横のつながりがどうなっているのか気になりました。

 

<沿線住民の問題から全国民の問題へ>

沿線住民代表の方々が、それぞれ活動報告をされました。メディアに見放された中で、これまで少ない人数で、よく踏ん張ってこられたと思います。表彰ものです。少しでも労をねぎらってあげたいと思いました。今後は、一人でも多くの国民が、今を生きる大人の責任として、沿線に住んでいなくても、リニアという国家的プロジェクトに国民として声を上げていけるよう、勉強し始めてほしいものです。沿線住民と全国民が手を結ぶ時が来たと感じました。

 

<五十嵐先生のお話>

リニア事業は、国がゴーサインを出さなければ進められないという国家の関与が不可欠な事業である。

審議会が御用学者ばかりで、事業促進の声しか出なかったため、審議が全く深まらなかった。メディアは、ちょうちん記事ばかり書いてきた。国民や議員に、リニアの問題性がほとんど何も伝わっていない。事故が起きたらどうするのかをはじめとするリニアの様々な問題点が何も解決されておらず、全員無責任体制で、工事が昨年7月から着工している。

リニア問題は国家の存続にかかわる大問題であり、国民的議論が今こそ必要な時であるが、福島原発と同じで、多くの国民は、問題も聞こうとも問題について考えようともしていない。

 

熊森から・・・工夫して、問題を聞こうとする国民、問題を考えようとする国民を増やしていかねばならない。まず熊森会員から。

 

<橋山先生のお話>橋山先生は、国会のリニア関係の全審議会をチェックしてきたという、もう信じられないような本気の先生です。

ドイツでは、政府がリニア事業を認めた後、実験線が走り出した。しかしリニアの大問題性に気付き始めた国会議員たちが連邦議会で再評価し始め、喧々諤々の議論が湧きあがった。結果、すべての委員会でリニア事業は認められないという結論が出るようになり、6年後にリニア事業は中止された経緯がある。

日本の場合、リニアが浮上した時の2011年度の国交大臣であった大畠 章宏議員が、閣議にもかけず、国会にもはからずに、直ちに認可してしまったことから、後々、非常に残念な結果を生むことになった。

国民の議論が全くなくしてここまで来た。国民のほとんどがリニアのことを知らない。政治家、首長、国民、メディアのすべてが無知無関心無責任でここまで来た。

リニアの大問題に気づいた国会議員・学者・研究者・国民が、もう1回原点に戻って考えるべきだ。反対・賛成でなく、とにかくいったん凍結する。本気でこの鉄道方式がいいのか、あらゆる関係者の間で議論する。こんな大問題を、国会議員のほとんどは知りませんでしたなどだめだ。

速くて面白そうだけで認可するなど、愚策だ。国にとってプラスになるのか。国民は幸せになるのか。公共的利益はあるのか。考え直す必要がある。

 

(会場からの質問)リニアを動かすにはヘリウムガスが不可欠だが、ヘリウムガスは地球大気の0.0005%しかなく、ヘリウムが不足してリニアが走れないという事態に発展するのではないか?

 

熊森から・・・皆さんお忙しいと思いますが、3月28日のリニア問題大阪学習会に一人でも多くの方に参加していただきたいです。問題が見えてくるのはとても知的で楽しいことです。大都市の市民が本気で考えないと、この国が良くならない。考えない大人ばかりでは、この国が本当にかわいそうです。被害を受けるのは、子や孫、物言えぬ多くの他生物たちです。

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