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<勇気の出るニュース> 犬の殺処分、ゼロを達成 神奈川の保護センター

自然を守るためにも、人間としての倫理観からも、いきものの命を大切にする文明の構築をめざしている熊森です。わたしたちの必死の運動にもかかわらず、野生動物の命の方は、環境省の方針により、ますます物扱いされ、軽んじられていく一方です。

 

 

しかし、飼育動物である犬や猫の方は、動物愛護団体の皆さんや心ある関係者のみなさんの長年にわたる必死の取り組みのおかげで、どんどん生命尊厳の方向に改善されてきているようです。ほんとうにすばらしい。とても、勇気が出るニュースでした。世の中の流れを変えるというのは、大変なことです。ご尽力くださった多くのみなさんに、心からお礼申し上げます。

 

 

(以下、朝日新聞デジタル 4月19日(土)ニュースより)

横浜、川崎、横須賀の3市以外で捨てられたり逃げたりした動物を預かっている神奈川県動物保護センター(平塚市)で昨年度、殺処分された犬がゼロだった。1972年のセンター開設以来、初めてのことだ。川崎市内の動物を預かる市動物愛護センター(高津区)でも、昨年度の犬の殺処分数が初めてゼロになった。

【写真】神奈川県内の犬の殺処分数の推移

 

 

いずれも病死など収容中の死亡を除く。県内にセンターは四つあり、横浜市動物愛護センター(神奈川区)と横須賀市動物愛護センターは昨年度の殺処分数を集計中だが、ともにゼロではないという。

 

 

動物愛護の観点などから、殺処分の数が年々減っているのは全国的な傾向だ。環境省の統計によると、40年前の殺処分数(収容中の死亡を含む)は年間115万9千匹以上だったが、2012年度は30分の1の約3万8千匹に。県内でも1992年度には約6300匹だったのが、2012年度は217匹まで減っていた。

4月12日 日本自然保護連合の会議に熊森が初出席

栃木県日光市で開かれた日本自然保護連合の会議に、熊森が初めて参加させていただきました。この会は、1971年に設立されたそうです。この会を知ったのは、今年2月に山梨県甲府市で開かれたリニア新幹線公聴会を傍聴させていただいたとき、理路整然と公述し、野生動物への配慮もあって、見るからに人格者という感じの公述人がおられたため、ご挨拶に行ったのがきっかけです。その時、この方が、慶応大学名誉教授川村晃生氏で、リニア・市民ネットの代表であり、日本自然保護連合の代表でもあることを知りました。

 

 

日本自然保護連合の運動方針は、「金もいらぬ。名誉もいらぬ」とか、「国からは1円ももらわない」とか、「不偏不党」など、まるで熊森と同じです。そして、本気で日本の自然を守ろうとしているところも、まるで熊森です。こんなすばらしい会をどうして今まで訪ねなかったのかというと、名前は聞いていたのですが、もう、会はなくなってしまっていると、熊森が間違って思い込んでいたからです。会がなくなったのではなくて、取り組んでいる問題別に会を分科させたのだそうです。

 

日光での自然保護連合の会議

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今回、出席させていただいて、分野こそ違うものの、日本自然保護連合は熊森と思いがほとんど同じだと感じました。熊森より30年近く前から、日本の自然保護運動に取り組んでこられたため、これまでの流れや、日本の自然破壊の歴史など良く知っておられ、学ぶことが多かったです。いろいろと教えて頂ける先輩方が見つかって、うれしく思いました。

 

 

「21世紀は環境の世紀」と言われながら、実際は、八ッ場ダムやリニア中央新幹線、沖縄辺野古埋立てなど、さらなる大自然破壊が進む一方の21世紀の日本です。

 

国土地理院によると、日本の湿地の減少は著しく、2000年には821平方キロメートルにまで減少しています。大正時代からこれまでに、破壊された湿地は1290平方キロメートルで、琵琶湖の面積の2倍に当たるそうです。

 

なぜ、日本の自然が守れないかというと、今、政・財・官・学・報・司(政治、財界、官僚、学者、報道、司法)のヘクサゴンが、環境・平和・命よりもお金が大事とする金まみれ思想に犯されており、日本を土建国家にしてきたことにあると言われます。また、NPO・NGOの中には、自ら、行政や大企業に積極的に利用されるようにすり寄り、結果として、自然破壊事業に協力するところもあります。目的は、すべて、金、金、金、地位、地位、地位・・・です。(もはや、人間として狂っている)

 

 

この日のいくつかの発表の中で、設立43周年の「日光の自然を守る会」が、戦後どれだけの原生林が日光で伐採されたのか、地図で示してくださったのが、印象に残りました。空恐ろしい面積でした。こんなことをしておきながら、人間は野生動物たちに生息地を全く返そうとしていないばかりか、今、テレビや新聞を使い、国を挙げて野生動物を殺し食べようと環境省が呼び掛けていることに、人間としての恐ろしさをみる思いでした。

 

真実を求める勇気を持ち、立ち止まって、この情報は本当かなと考えてみる賢い国民を、民間の力で増やしていきたいものです。

江戸時代に作られた、日光東照宮に行くための日光杉並木街道

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4月12日 くまもり福島会津地区主催講演会 「原発と人間、そして牛の泪」に130人

この度、くまもり福島会津地区が、鶴ヶ城のそばにある会津若松市民文化センターで、講演会を持ちました。講師は、福島県浪江町で、被曝して売り物にならなくなった360頭の牛を、自身の被曝も顧みずに守り続けている、「希望の牧場」吉澤正巳氏です。

 

 

以下は、講演会ちらし

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福島第一原発事故により、牧場の放棄と家畜の殺処分を命じられた畜産農家たち。「死の町、絶望の町、私たちの町は、チェルノブイリになったのだ」吉澤さんは訴えます。

 

 

「会津に暮らす私たちも、共に考え語り合いたい」 くまもり会津地区の皆さんの呼びかけに応じて、小さな町にもかかわらず、130名の方がお集まりくださったそうです。講演後、活発な質疑応答が90分間も続き、4時にやっと閉会できたといううれしい悲鳴でした。大成功ですね。企画準備に携わって下さったみなさん、当日ご参加くださったみなさん、応援して下さったみなさん、どうもありがとうございました。

 

 

同会場で4月12日13日の2日間開催した写真展の方も好評でした。

写真

■つながれたまま死んでいった牛たち

■のら牛となり殺処分されていった牛たち

■今、生かされ続けている牛たち

 

 

<熊森本部から>

くまもり会津地区の会員の皆さんは、トラスト地の中にある2ヘクタールのクリ園を整備したり、会員所有地に、野生動物たちのために、実のなる木を植樹したりする活動を続けてくださっています。

 

 

会津の農家会員の中には、「希望の牧場」に米ぬかなど牛の餌を運び続けておられる方もいます。農家は、農業をしていると、絶えず小さな動物たちと出会うことになるので、日々、人間以外の多くの命について考える機会が多くなります。そのため、「この地球は人間だけのものではない」と、日々、実感するようになりますと、その農家の方は話されていました。

 

 

 

2014年 4月13日 第7回いきものの森活動 ~植樹地のパッチディフェンス完成~

4月13日(日)。この日もいきもりメンバーにお願いしていきもり活動を実施しました。この日の目標はパッチディフェンス4個を完成させることです。

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手前にあるのが昨日川にかけた橋です。この橋を渡った奥の緑のところがパッチディフェンスです。

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昨日木の杭を打つところまでいけたので、この日の作業も順調に進みました。

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少しでも歩きやすいようにするために、丸太を動かしてくれています。

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ネットを固定するような地道な作業も一人より二人の方が断然早いです。

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けっこう急な斜面ですが、みなさん山を歩くのにも慣れてきました。斜面に苗を植えると斜面が崩れるのを防ぐことができます。

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伐採した切り株をチェンソーで切って看板にします。

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見事、立派なパッチディフェンスができました!

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今日は立体的な写真が撮れました。

今日のいきものたちです。

ミヤマキケマン
ミヤマキケマン
カンスゲ
カンスゲ
キブシ
キブシ
コチャルメルソウ
コチャルメルソウ
ザゼンソウ
ザゼンソウ
サンインシロカネソウ
サンインシロカネソウ
ネコヤナギ
ネコヤナギ
フサザクラ
フサザクラ
ボタンネコノメソウ
ボタンネコノメソウ

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキノワグマ26頭、秋田県阿仁牧場でナゾの大量死 繁殖中止の改善策があったばかり 

秋田県北秋田市の阿仁熊牧場で3月19日から4月3日にかけ、飼育していたツキノワグマ26頭(メス19頭、オス7頭)が相次いで死んだというニュースには、熊森も大きなショックを受けました。

 大半の死因は不明で、管理する北秋田市は北海道大学の専門獣医などにも来てもらい、調査を進めているところだということです。解剖して内臓などを調べたり細菌検査をしてみたりしたが、今のところ異常は見られず、わけがわからないそうです。

 担当者に聞くと、毎日見回りして下さっているので、すぐに異常を発見できたようですが、原因がわからずうまく手当てができなかったということです。自然界では、1頭ずつひっそりと離れて暮らしているクマという動物を、狭い所で多頭飼育することには、無理があるのかもしれません。

 

 

熊森としては、それでなくともツキノワグマの多頭飼育を行っている阿仁熊牧場が、客寄せのために毎年何頭かの子熊を産ませていることを知って、これ以上増やさないようにとお願いしてきました。熊森がお世話している24歳と25歳のクマたちは、子熊でなくても十分人を引き付けるというお話をさせていただいたことによって、阿仁熊牧場は今春の子グマ出産をゼロにされました。

 

八幡平熊牧場から去年の年末と年始に阿仁の新しくできた終生保護施設に移送したヒグマたちは、全員が元気だということです。現在、除雪をしながら、運動場造成の工事が始まっており、7月19日20日21日と、開園行事が予定されています。

 

阿仁熊牧場としても、お祝いムード一色で開園したかったでしょうが、こんなことになってしまって苦しいところでしょう。しかし、隠さずに正直に死亡事実を発表されたことはよかったと思います。これによって、長い目で見れば、国民の信頼を得られると思います。

1日も早く原因が究明され、二度とこのようなことが起きないようになることを願います。

尚2010年に愛知県豊田市で有害捕獲され八幡平熊牧場にもらわれ、1昨年阿仁に移送されたアイチとトヨコのメス2頭は、生き残れたそうです。熊森としては、今回、原因不明でなくなった多くのクマさんたちの冥福を祈りたいと思います。

 

 

 

 

 

クマ130頭を胆汁採取から救出へ、動物保護団体が中国で計画

ロイター 4月15日(火)18時7分配信

[北京 15日 ロイター] -香港を拠点とする動物保護団体「アニマルズ・アジア」は15日、胆汁の採取を目的にクマを飼育している中国の施設から、過去最大規模となる130頭を救出する計画を明らかにした。中国のクマ牧場をめぐっては、動物虐待に当たるとして批判が強まっている。

同団体によると、中国国内では最大1万頭のクマが胆汁を取ることを目的に飼われており、劣悪な環境下に置かれていることも多い。

漢方薬の原料となるクマの胆汁は、胆のうを切開した部分から繰り返し抜き取られる。アニマルズ・アジアは、広西壮族自治区の南寧にあるクマ牧場を引き取り、向こう3年で500万ドル(約5億1000万円)を投じてクマの保護区に作り変える計画だとしている。

専門家によると、クマの胆汁を売ることは中国本土や日本などアジアの一部では合法だが、輸出入はワシントン条約で禁じられている。

 

<熊森から>

中国のクマ牧場のクマの胆汁採取場面の写真を見た多くの人たちは、熊森会員でなくとも、その残酷さに卒倒しそうになると思います。お金に狂うと、人間がどこまで残酷になれるかを示しています。熊森は、ロイター配信ニュースが本当かどうか確かめる方法を持っていませんが、もし本当なら、すばらしいニュースだと思います。

 

2014年 4月12日 第6回いきものの森 ~植樹地の橋造り~

4月12日(土)。この日は「いきもりの森」の活動日ではなかったのですが、5月に予定されているの植樹会の準備に間に合わせるため、ボランティアの方に参加していただきました。

今日の目標は橋造りを終わらせること。普段山を歩き慣れていない方々に植樹していただくので川に落ちないように橋を架けます。

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林業では木を倒す時に木に引っかけた滑車にワイヤーを通してチルホールという機械を使って引っ張って倒すことがあります。倒す方向と重心が逆になるときによく使います。今回はこれを使って、以前倒してあった木を引っ張ってきて橋にしました。

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足元が丸太の海になっているので、ワイヤーを引っかけるだけでも大変です。

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一本ずつ運んできて針金でしっかり固定します。

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長靴で川に入って3人がかりで動かします。真ん中の人は長靴の中までビショビショです。

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橋の横には杭を立てて橋を渡るときに持ち手になるようにしました。橋の固定にもなっています。

この日はこの後パッチディフェンスの位置を決めたり杭を刺したりと思ったより多くの作業ができました。みなさん本当にありがとうございます!

3月21日 くまもり自然農塾再開  第1回目は座学

2008年から開始した、熊森自然農。耕さず、肥料を入れず、虫や草と共存する米作り。

三重県赤目の川口由一先生の自然農塾に長年通っておられる熊森会員から、川口先生の自然農法の話を初めて聞いたときは、目から鱗というより、驚愕でした。虫や草を排除せずにお米を育てるなんて、まさに、全生物と共存しようという熊森理念にぴったりの農法です。

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さっそく、熊森も取り組んでみることになりました。すばらしい指導者を得て、兵庫県但東町で多くの学びを得ながら5年間続けてきた熊森自然農塾でしたが、お米の収穫量が落ちたため、昨年度は初めて1年間、田んぼを休ませました。

 

2014年度 くまもり自然農塾 再開!さて、今年の収穫量はどうなるでしょうか。

3月21日。うれしいことに、定員いっぱいの塾生がそろいました。第一回目は座学でした。

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第1回座学  熊森本部事務所にて

今年の自然農塾の取り組みについて、説明がありました。

その後、自然について、農について、人間の生き方について・・・参加者全員で、お互いに思いを語り合い、熱い気持ちを共有できました。

 

人間は、大昔より飢えに悩まされてきましたが、今や、日本は飽食の時代です。しかし、その代償か、私たちの生活は、気が付くといたるところで自然循環の営みから外れてしまい、他生物を排除し、大地を痛めていく持続不可能な農法を行うようになっています。

これから体験する熊森自然農は、自然循環の営みにそって進められます。かけがえのない全ての命について考えるきっかけになればと願っています。

 

※ 自然農塾概要

3月21日から12月7日(予定)12回 開催。次回は、4月20日(日)兵庫県但東町の現地で、苗床作りです。

今年は、黒米と農林22号というお米をつくります。畔には、黒豆も植える予定です。さて、どうなりますか。ブログを通して、みなさんに熊森自然農の進展をご報告してまいります。乞う、ご期待。

4月5日 くまもり通信79号送付完了

連日続いていた通信79号の発送作業ですが、ボランティアさんたちの応援を得て、本日、無事終了しました。発送作業に携わって下さった本部事務所近隣会員のみなさん、どうもありがとうございました。

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通信発送作業のもよう

くまもり通信を、多くの方に読んでいただきたいです。今なら残部があります。1冊100円で販売していますので、広めてくださる方は、ご注文下さい。

ページ    目次

2   巻頭言 奥山に動物たちの餌場づくり 森山会長
3   特集 新顧問 小川眞先生(菌類研究)「すべて、「土」あってのもの」
9  「狩猟歴45年のハンターが語る クマ・シカ・イノシシ」
●●●●兵庫県大屋町 村上呉武 氏
13   北海道 ヒグマの森140ヘクタールを北海道熊森会員が個人トラスト
14 奥山復元・再生
15   秋田県八幡平ヒグマ阿仁へ移送完了 全頭、元気に冬籠り中
16   鳥獣保護法の改訂と大きな問題
17   外来種 「京都府、鴨川のヌートリア根絶殺害は、無用の殺生」
18   大自然破壊 「今からでも止めよう・八ツ場ダム ・リニア中央新幹線」
19 支部活動報告
●●●・京都府ー台風18号被害
●●●・岐阜県ー炭まき山で菌根菌成長
●●●・三重県ー大台町環境フェスタ出展
●●●・群馬県ー植樹苗に実り・マツに炭効果
21  太郎と花子のファンクラブ
22  会員投稿 / 編集後記

 

「狩りガール」を持ち上げるテレビ番組に苦言

いつの世でも、どこの国でも、国民の洗脳や国民の意識改革の宣伝に、効果的に利用されるのは、若くてきれいな女性です。

危険なものや間違ったことでも、「若い女性もやっています!」とプロパガンダされると、多くの国民は、警戒心を失い、同化されやすくなります。

若い女性は、間違ったことに利用されないように、本当に、何が正しくて何が善なのか、よく勉強して、慎重に行動して欲しいと思います。

4月3日、毎日テレビ夕方6時過ぎからの放送「VOICE」で、「狩りガール」が、取り上げられました。

「VOICE」への意見は

→voice@mbs.jpまたは、FAX06-6359-3622

この番組は、近畿2府4県と徳島県の一部に報道されています。

「狩りガール」報道は、今や国策プロパガンダ放送局に成り下がってしまったかのように見えるNHKテレビが、昨年10月に、「狩りガール」を持ち上げるニュースを流していましたから、別に、目新しいものではありません。しかし、本当にこんな方向に日本文化を進めていってもいいのか、全国民がしっかり考えねばならないと、今回のテレビ報道で改めて強く思いました。

近年、環境省は、日本人は狩猟民族であるとして、「すごいアウトドア」というキャッチコピーで、若者たちにハンターになることを呼びかけています。そのポスターの真ん中には、猟銃を持った若い女性の絵が描かれています。縄文時代ならともかく、日本人は誰が見ても農耕民族です。たとえシカが増えすぎて困ったとしても、レジャーや遊びとして国民にシカを殺させるのは、間違っています。環境省の政策に大きな問題があることは、報道関係者ならば、ちょっと調べていただければ、すぐにわかることだと思うのですが。

今回のテレビ報道では、銃という武器を持った圧倒的強者である人間(=若い女性)が、無抵抗の野生動物たちを、笑いながら撃ち殺していました。「野生動物たちが山から出てきて、農作物などに被害を与えたから、退治してやる」という、英雄気取りなのでしょうが、自分が被害を受けたわけでもないのに、ファッション感覚やゲーム感覚で、厳しい自然界の中で、人間の援助も受けず、一生懸命に生きている野生動物たちの命を奪うなら、人として許されるものではありません。冷静になり、慎重に考えなおしてほしいと思います。(この狩りガールと個人的に話し合ったわけではありませんから、彼女を深いところまで知って書いているわけではありません。ただ、報道の仕方に問題を感じたのです)

「狩猟者を増やしたい。そのために、若い女性を使おう」

環境省の政策の後ろには、戦後の森林政策の失敗を覆い隠そうと躍起になっている人達の黒い企てと、研究という名で無数の元気な動物たちを解剖し続け、命の尊厳がわからなくなってしまい、一般人の感覚からはるかにかけ離れてしまった研究者の存在があると、私たちは感じます。

「狩りガール」のみなさんは、かつて、野生動物たちが棲んでいた山が、今どうなっているか、奥まで入って一度検証してみてほしいと思います。

国策により、戦後、青森から福島まで、東北6県分の面積に等しい広大な原生林が伐採されました。その跡地などに、1000万ヘクタールの針葉樹一辺倒の人工林が奥山を中心に造られました。

しかし、林業の低迷で、今や多くの人工林は放置され、内部は砂漠化しています。広大な奥山人工林内には、動物たちの餌は何もありません。動物たちは本来の生息地では、生きられなくなっているのです。動物たちは、被害者です。

人間は、各地で、動物たちの欠席裁判を行い、死刑判決を下していますが、これは弱い者いじめです。こんなことをしていては、この国で、人と野生鳥獣との共存などできないでしょう。

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自然界のことは、人間の頭ではわからないことが多過ぎるのですが、戦後の拡大造林や東京オリンピック時に行ったヤマイヌ全頭殺害、地球温暖化など、様々な人間活動の結果、シカは生息数のバランスを崩して増えているのではないかと思われます。

すべて、人間の失敗です。人間が問題の原因を作ったのです。目の前の現象だけを見て、被害者である野生動物たちを加害者扱いし、山奥にまで入り込んで命を奪うという、相手の存在を全面否定する行為を、若い女性が、笑いながら軽々しくやってほしくはありません。まず、彼らがどこにいたらいいのか、生息地を保証してやるところから始めるべきでしょう。

狩猟行為は、山奥にはりめぐらされた林道、車や銃、犬があれば、女でもできるかもしれませんが、狩猟の後始末は、女性には一般的にむずかしいと思います。殺したシカやイノシシは、山に埋めるか、焼却場へ持って行くかしなければなりません。山中に放置すれば、クマを初めとする多くの野生鳥獣の餌となり、ますます山の生態系が狂ってしまいます。しかし、若い女性に、重いシカやイノシシを運ぶことなど、普通は無理です。

「狩りガール」を推奨している人たちに、なぜ若い女性を狩猟に巻き込むのかたずねてみました。

答えは、「若い男の狩猟者を増やしたいのだが、呼びかけてもなかなか増えない。罠猟免許を取る人は増えたが、銃猟免許者は減る一方だ。若い女性に目を付けたのは、若い女性が銃を持つと、彼氏が影響を受けて銃を持つようになる。そこを狙っている」と、いうことでした。

私たち人間にとって命はたった一つしかない最高に貴重なものですが、野生動物たちにとっても同じです。なぜか、優秀な官僚のみなさんには、現在起きている野生動物問題を、野生動物を殺さないで解決しようという努力がまったく見られません。初めから、殺害ありきです。これは、恐るべき倫理観の欠如です。

動物用防除柵を作ったり、奥山の針葉樹一辺倒の人工林を広葉樹林に戻して生息地を復元したり、シカに関しては、人間が彼らから奪った草原や湿原を返してやったり、シカが増え過ぎないようにシカ用避妊薬を開発したり、シカの天敵であるヤマイヌやキツネなどを放して、人間が壊した生態系のバランスを自然の力で取り戻したりして、人間は、あくまで生命尊重思想の上に立って、非補殺対応をめざすべきです。

若くてきれいな女性には、生き物の命を大切にする、人にも生き物にも優しい人間であってほしいと願います。

メディアのみなさんは、生き物の為にも、人間の為にも、慎重な報道を心掛けてほしいです。身の回りに、軽い気持ちで銃を持つ人が増えれば、銃を持たないわたしたちは、不安でたまらなくなります。

神道や仏教の影響も大きかったのでしょうが、日本人は殺生を嫌い、物言えぬ弱者である野生鳥獣を大切にしてきました。このような文化を大切にしていかないと、自然破壊にいっそう歯止めがかけられなくなり、やがて日本文明は水源を失って滅びてしまうでしょう。

メディアの皆さんは、番組制作にあたって、必ず、反対者、疑問者の声も同時に拾っていただきたいと思います。でないと、国民は、何が正しくて何が善なのか、考える力を失ってしまいます。

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