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10月2日 日経夕刊記事に、1990年代前半の兵庫県クマ推定生息数は350頭程度とのミス?記述

日本経済新聞「クマ出没 ご用心」の記事に、上記見出し記述がありました。あり得ない数字であるため、新聞社に電話をして、この記事を書いた記者と電話でお話させていただきたい旨、伝えました。ところが、社の規定により、記者の名前を知らせたり、電話をつないだりはできないことになっている、ということでした。最近このような新聞社が増えています。これでは、記事のミスを直せませんし、記者も成長できないのではないでしょうか。マスコミ界に、反省を促したいと思います。

 

兵庫県森林動物研究センターに電話して、係官に確認したところ、1990年代前半の兵庫県のクマ推定生息数は、75頭~85頭であり、兵庫県職員が350頭と答えるはずがないし、そんな数は聞いたこともない、ということでした。

 

どうしたら日経新聞社に訂正していただけるのでしょうか。新聞記事の社会に対する影響は限りなく大です。

 

いつも思うのですが、最近の新聞は以前と違って、ほとんどが、行政発表の垂れ流しばかりです。(だからどの新聞を読んでも、内容はほとんど同じ。全く読みごたえがありません)

行政はこう言っているが、○○はこう言っているというような、多角的な記事がないのです。これでは読者が、どちらの言い分が正しいのだろうかと考えたり判断したりすることができなくなって、1億2千何百万人、権力を持った者の総ロボット化に進むのではないでしょうか。

 

今、ネット上で蔓延している、匿名による誹謗、中傷、虚偽、捏造などは、人として許されるものではありませんが、きちんと名乗った議論は、絶対に、社会には必要です。

兵庫県にいったい何頭のクマがいるのか  マルコフ連鎖モンテカルロ法は使えるのか  兵庫県、クマ推定生息数を一挙に下方修正

兵庫県にいったい何頭のクマが棲んでいるのか。人間の国勢調査のようなことができればわかると思います。しかし、クマには不可能です。

兵庫大学の研究者が、2011年に、神戸市で開かれたシンポジウムで、クマ目撃数とクマ捕獲数を2大因子(パラメーター)として、階層ベイズモデルを構築し、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて、県内クマ推定生息数を算出したと発表されました。

 

その結果は、90%信頼限界では、300頭~1650頭で、中央値は650頭ということでした。

 

兵庫県で1992年は60頭絶滅寸前と言われていたクマが、650頭に増えている?!

 

650頭、この数が独り歩きをし始めました。

 

初めてこの発表を聞いたとき、そんなことは絶対にありえないと私たちは確信を持って言えました。なぜなら、私たちはクマ生息地を歩き続けて痕跡を見続けてきたからです。10倍以上にクマが増えたなら、爪痕、フンなど、いくら鈍感な人でも、絶対にクマの異常増加に気づきます。

 

むずかしい数式を使って、何日もコンピューターを操作しながら計算した結果だから間違いないと、行政の方はこの数を採用されましたが、最先端の科学的技法を使って出した結論より、人間の感じることの方が正確なんだなあと、この時、つくづく思いました。しかし、大学の先生が発表すると、肩書社会の日本では、マスコミをはじめ一般国民も、ほとんど全員がそちらを信じてしまいます。しかも、この研究発表では、クマの年間増加率が、平均22.3%となっており、年によっては30%にも達しています。クマの年間増加率が、草食動物であるシカより高い!そんなこと絶対にありえません。

 

行政の方に、この推定生息数はありえないというと、反論するならデータを出せ、論文を見せろと怒られました。現代人はみんな、科学病、数字病にかかってしまっているのではないでしょうか。複雑な計算などしなくても、わたしたちが活動を始めた20年前から、クマが10倍に増えているかどうかぐらい、山に入って観察していれば、子供でもすぐわかることです。

 

私たち熊森本部は、2011年、毎月クマ部会を持ち、1年かけて大変な労力をさいて、この発表がどれほど現実離れしているかを証明しようと試みました。何人もの研究好きの会員が、参加して下さいました。

 

有名国立大学で数学を教えておられる博士会員にも力になって頂きました。難しい部分を省略して簡単にまとめると、先生は、世の中には3つの嘘があると言われます。1つは普通の嘘、2つめは真っ赤な嘘、 3つめは統計の嘘だそうです。 統計もモンテカルロ法などは、コンピューターを使って、パラメーターをいくつもいれて 何回もシミュレーションして、頼まれた側(お金をくれた側)に都合のいい結果がでるようにするのが、研究者間での常識になっているということでした。先生によると、どういう結果を出せばいいのか、初めに結果ありきという時に使うものなのだそうです。

 

兵庫県のツキノワグマは、生息地は荒廃する一方なのに、生息数は激増していることになって、絶滅危惧種Aランクだったものが、絶滅危惧種Bランクに落とされ、2012年からは、有害捕獲原則殺処分に変更され、これまでの日本一の兵庫県のクマ保護体制は、一挙にくつがえされてしまいました。これまで私たちがすべてを投げ打って、クマたちの棲む豊かな森を兵庫県に残そうと、20年間も苦労して命を懸けて作り上げてきた保護体制だったのに、本当に無念です。

 

2012年初め、この新方針に対して、協議会や審議会がもたれました。ここで、委員たちの中から、クマがシカより増加率が高いなどあり得るのかなど、推定生息数の出し方に、疑問が相次ぎました。すると、しばらくして、兵庫県は、推定生息数や年平均増加率を、一挙に下方修正されました。これは、勇気のいることで、私たちは高く評価します。しかし、これまでのクマ異常増加説は一体なんだったのか。下方修正されたなら、有害捕獲原則殺処分などの対応はなぜ変更されないのかなど、疑問はいくつも残ります。

 

以下、兵庫県内クマ推定生息数の上限値に関するグラフ(兵庫県資料をもとに日本熊森協会作成)です。

2011年県発表

クマ推定増加率22.3%
推定生息数313頭~1651頭
中央値650頭

 

2012年県訂正発表 

クマ推定増加率11.5%
推定生息数300頭~751頭
中央値506頭

 

( 熊森より)修正グラフを見て、私たちが驚いたのは、1994年からさかのぼって、数字がいじられていたことです。当時は今のようなデータは取っていませんでしたから、当時の推定生息数の上限値など今更出せるはずはありません。これは、クマの年増加率が、シカより高くなり過ぎないようにするための操作ではないかと、考えられます。

 

もし、1994年当時の推定生息数を、当時、㈱野生動物保護管理事務所が調査発表した75頭~85頭の推定数を使うなら、このグラフは、以下のようになります。もちろんこのグラフは、上限値ですから、一般に使う中央値はぐんと下がってしまいます。

 

 

 (結論)

このようなわけのわからないことになったのは、研究者のみなさんが悪いわけではなく、いかに、最先端の科学技術を使っても、自然界や野生鳥獣の生息数など推定できないかという現実の表れだと思います。生息数もわからないのにどうやって、ワイルドライフをマネジメントなどできるのでしょうか。日本の野生鳥獣対応は、根本的に発想転換して、もう一度(日本に野生動物の保護管理思想が導入された)1999年以前に戻して、やり直さねばならないと考えます。

 

米田一彦氏もご著書で、私たちのこの結論と同じことを、当時、環境庁案に賛成した反省を込めて、書かれていました。

 

<追伸> 

2011年2月に神戸市で開催されたシンポジウムで、若い研究者のみなさんが、クマに関していろいろと発表されました。当協会員も当日、多数会場に行っており、みんな呆れてしまいました。感想を一言で言うと、「乱暴」「暴論」の一言でした。もっと自然というものを、ていねいに愛情を持って見ていただきたいと思いました。

推定生息数以外は、私たちがその場ですぐに反論できることも多く、会場でいくつか指摘もさせていただきました。あの会場に出席されておられた一般市民の方々が、誤った知識を持たれたままにならないよう、私たちのわかる範囲でしかできませんが、そのうち反論させていただこうと考えています。

私たち熊森協会は、兵庫県立大学の若い研究者のみなさんに、立派に育っていただきたいといつも願っています。

 

人間にはわからないクマ推定生息数 わからなくてもいいではないか ヘアートラップ法の欺瞞

野生鳥獣の保護管理(ワイルドライフマネジメント)に取り組む研究者や業者にとって、保護管理をおこなう地域内に対象となる野生鳥獣が何頭存在するのかを、できるだけ正確に把握しておくことが、まず最初に必要なことです。

し かし、一般の方は意外に思われるでしょうが、これだけ科学技術が進歩した21世紀においても、広大な森の中にひそんで生活している野生鳥獣の生息数を推定 することは不可能なのです。そこで、時には対象野生動物の命を奪うことさえいとわない、科学の名を借りた暴力的な調査方法すら考案されます。しか し、そこまでしても、はっきりした推定生息数は出せません。

 

生息数などわからなくても、人間の所に出て来なければいいではないかと、私たちは考えます。他方、保護管理を仕事としたい人にとっては、そうはいきません。それでは、仕事が無くなってしまうからです。

 

クマの推定生息数を出すために最近よく使われる調査方法のひとつにに、ヘアートラップ法があります。DNA鑑定まで取り入れた科学的な調査方法として脚光を浴び、いくつもの行政で予算が組まれて、専門家なる人たちがその予算を使い、実施しています。

 

山 の中で、数メートル四方を有刺鉄線で囲み、真ん中の高い所に、ハチミツやリンゴなどクマの好物をぶら下げておきます。それを狙ってやってきたクマが、有刺 鉄線をくぐり抜けるときに、有刺鉄線にそのクマの毛をひっかけます。その毛を採集して、DNA鑑定を行い、何種類のクマがそこにやってきたのか割り出しま す。そこまではよいとして、これで得られたクマの頭数に、クマが生息すると思われる山林の面積を、掛けるのです。しかし、ちょっと考えてみるだけで、こんな方法で生息数など出せるはずがな いと思われます。

 

山の状態や動物の生息状況など、自然界は均一ではないからです。

 

しかもクマの好物をぶら下げて、クマたちを呼びこんでおりますから、集めておいて面積をかけたら、実際より大変多くクマがいることになってしまうのではないでしょうか。

 

今 年の夏持たれた日本奥山学会の研究発表会で、こんなわたしたちの疑問に、ヘアートラップ法に取り組まれた大学の先生が、みごと答えてくださいました。発表主旨は、「ヘアートラップ法では、クマの推定生息数など絶対に出ない」というものです。この発表を聞いて、DNA鑑定などという、一見神の宣託のような、 一般人が見ることもコメントすることも不可能な世界が、私たちの想像以上にあいまいなものだということがわかりました。

 

日本で初めてヘアートラップ法を採用し、予算化した行政に、1年後お邪魔したことがあります。「県内に、クマが何頭いたかわかりましたか」とたずねると、「あんな方法でわかりっこないよ。だまされた」と、吐き捨てるように言われたのを覚えています。

 

行政のみなさんは、大学教授とか専門家とかの肩書きに、本当に弱いんだなあという印象を、ヘアートラップ法だけではなく、あらゆることで、ふだんから感じま す。こんなことになるのは、日本の行政は大変優秀ですが、なぜか3年ごとにコロコロと部署替えをするシステムを採用している為、いつも担当者が素人だから だと思います。言葉は悪いですが、仕事をしたい人お金を欲しい人に、簡単にだまされてしまうのです。

 

私たちのように、利権 などとは全く無関係に、長年活動を続けている市民団体の声を行政が聞いて、参考にしてくだされば、もっといい世の中になるのではないかと思われます。第 一、私たちの税金を無駄遣いしなくてすみます。ヘアートラップ法を採用されている行政のみなさんに、今年の日本奥山学会での発表DVDをお送りして見ていただければ、こんなことに予算を組むのはやめようと思われると、予測されます。いかがでしょうか。

 

推定生息数が出たとして、 次に、保護管理派の人たちがすることは、「その地域に対象動物が何頭生息しているのが適正か」という数字をはじき出すことです。ここまで来ると、人間には絶対にわからない領域のはずです。「空が真っ黒になるほどリョコウバトが飛んでいても、大地かと見間違うほどバイソンが地平線まで広がっていても、それは豊かなアメリカの自然だった」という例から 考えてみてもわかることです。

 

最後に、保護管理派の人たちがおこなうことは、現状は、「多すぎると殺し、少なすぎると増やし、一定数に保つ研究であり、仕事」です。野生鳥獣をなぜ一定数に保たねばならないのか。目的からして疑問です。何度も言いますが、人間の所に出て来なければよいだ けではないのでしょうか。1999年に、当時の環境庁が、保護管理派の言いなりになって、信じて、野生鳥獣の保護管理を我が国に取り入れたところから、全てが変になっていったと感じます。人間に出来もしないことを、しかも、大量の野生鳥獣殺しを伴うことを、始め出したからです。

三井寺(滋賀県大津市)、ヒノキ人工林を広葉樹に切り替え、動物と共存へ

三井寺の森、広葉樹へ“転生”見直し

「動植物と共存を」

以下、京都新聞より

長等山一帯に広大な境内を持つ三井寺。森林のあり方を抜本的に見直す指針作りに乗り出す(大津市園城寺町)
長等山一帯に広大な境内を持つ三井寺。森林のあり方を抜本的に見直す指針作りに乗り出す(大津市園城寺町)

 湖国屈指の名刹(めいさつ)、三井寺(園城寺、大津市)が境内の広大な森林のあり方を抜本的に見直す指針作りに乗り出す。戦後の林業政 策を受けてヒノキなどの人工林が大半を占めていた現状から、土地本来の特性に合った広葉樹などへの切り替えを積極的に検討する。「動植物と共存できる多様 性に富む森林に転換したい」という。

精進料理にも使われるミョウガなどの若芽が無残に食い荒らされている-。長等山一帯に甲子園球場約30個分の境内を持つ三井寺では近年、金堂(本堂)周辺の麓までシカやイノシシが現れ、被害が目立っている。

そんな現状を前に、僧侶たちは自問する。「果たして動物が悪いのか。経済性優先でヒノキやスギを植え、動物のエサ場となる自然な山の姿を奪ったのは人間で はないか」(福家俊彦執事長)。そんな反省に立ち、「長等山三井寺森林景観保全・再生ガイドライン」の作成を決めた。NPO法人森林再生支援センター(京 都市)に助言を求め、景観や防災面も考えた森づくりを長期的に検討し、推進する。

同センターによると三井寺境内は現在、約7割がヒノキ 林、約2割がシイ林。ただ、地形や土壌を考えると、ヒノキに実際適した場所は2割に満たないという。同センターの高田研一常務理事(61)は「適した場所 に適した樹木を植える『適地適木』の原則で、サクラやモミジなど多様な木への切り替えを検討したい」と話す。

林業が衰退し、森林の荒廃が 全国的な問題になる中、京都市では東山の森林再生を官民で進める「京都伝統文化の森推進協議会」が5年前に発足し、植樹や間伐を進めている。三井寺でも植 樹などを市民参加で進め、寺や森に親しんでもらう仕組みづくりを視野に入れる。高田常務理事は「有名社寺が多く、人と自然の調和を追求しやすい京滋から森 づくりの百年の計を示す」と理想を描く。(三好吉彦)

■三井寺 天台寺門宗総本山。7世紀創建。天智、天武、持統の3天皇の産湯に用いられた霊泉があり、三井寺と呼ばれる。金堂(本堂)や黄不動尊など国宝10件所蔵。近江八景の三井の晩鐘も有名。

【 2012年10月01日 09時31分 】

 

(熊森から)

くまもりは三井寺に大拍手を送ります。

 

福家執事長さんの言葉に、人間本来の声を聞いた思いがします。

 

人間が動物たちの森を一方的に壊しておいて、生きられなくなって動物たちが山から食料を求めて出て来たら、罠をかけて大量に殺してしまう。平成の日本では、このようなことが今、当たり前のように全国で行われています。森を復元してやりもせず、出て来た動物たちを殺すだけなら、そのうち動物たちは絶滅するだろうし、第一、誰が考えても、こんなの人間としておかしいと、私たちは思ってきました。

 

仏教界が、日本の森と動物を救うために立ち上がってくだされば、若い人たちがお寺に行くようになると思います。他のお寺にもぜひ波及してほしいです。

 

 

本部クマ部会のお誘い 10月2日(火)午後7~9時 於:熊森本部3階

2010年ほどではありませんが、今年の山の実りは良くなく、すでにツキノワグマだけでも今年度1500頭以上が、有害捕殺されています。

この数は、秋が進むにつれますます増えていくと考えられます。

月一回の本部クマ部会。 今回は、この秋のクマの補殺を減らすために、クマ生息地に泊まり込んで調査や住民の聞き取りを行ったくまもり本部ス

タッフの報告もききながら、どうしたら捕殺数が減らせるか、知恵を出し合っていきたいと思います。

クマの絶滅を止めるためにはたくさんの人の力が必要です。

会員、非会員を問いません。連日のクマ大量捕殺の現実に胸を痛めておられるみなさんの、ご参加をお待ちしています。

クマの棲める自然は、他の動物たちも生き残れる最高に豊かな自然です。みんなで力を合わせて、この自然を次世代に残しませんか。

●猟友会員の内部告発から  長野県ではシカ捕獲用くくり罠12センチ規定を上限なしに規制緩和、実に多くのクマが次々とかかって秘密裏に処分されている

今年も各地の猟友会員から、見るに見かねた内部告発がいろいろと熊森に入ってきています。

そのなかのひとつ、見出しの件で、さっそく長野県庁野生鳥獣対策室に電話をしてみました。

 

熊森:環境省のくくり罠直径12センチ規定は、イノシシ罠やシカ罠にクマが誤捕獲されないように、私たち自然保護団体が、本当に苦労してやっと勝ち取った成果なのに、長野県では上限なしに規制緩和されているんですか。がっくりです。

 

長野県担当者:上限なしと言っても、罠の構造上最高は直径20センチまでですから、直径20センチまでの罠を認めたということです。足が罠にかかったら直径4センチまで締め付けた時点で、ストッパーがかかるようにしてあります。

 

熊森:直径4センチでストッパーがかかるということは、強力バネで締め上げますから、クマが誤捕獲された場合は、足が切れてしまうことも多いはずですね。先日お聞きした所、今年のクマが誤捕獲された例は153頭(8月末現在)ということでしたが、何と言っても、日本一ツキノワグマが多いのは長野県と言われていますから、12センチ規定を外せば、誤捕獲例はもっともっと多くなっているんじゃないですか。規制緩和は、ある地域で、ですか。長野県全域ですか。

 

長野県担当者:県全域です。シカをたくさん取らねばならないので、仕方がありません。

 

熊森:電話をしてこられた猟友会員の方が、シカは直径12センチで十分獲れるし、他県では12センチでいくらでも獲っていると言われていますが。多数のクマが、誤捕獲されて、次々と闇から闇に殺されているという内部告発が届いているのですが。

 

長野県担当者:こちらにはそういう話は来ていません。現在、長野県を4地域に分けており、誤捕獲されたクマは、「連絡を頂けると無料で放獣させていただきます」と猟友会のみなさんに言ってありますし、ちゃんと放獣担当者も付けていますから、誤捕獲されたクマが、闇から闇に処分されているというようなことは、ありえないと思います。以前、お盆から1か月間、直径12センチ規定を守ってくださいという通達を出した年があります。

 

熊森:今年、山の実りが悪いので、クマがどんどん人里に降りて来て誤捕獲されているということです。今年も通達を出してください。

 

長野県担当者:うーん。多数のクマが誤捕獲されているなんて話は、こちらに来ていないしね。

 

熊森:来ていなくても、このような情報があったのですから、一度真偽をたしかめていただけませんか。情報をくださった猟友会員の方は、名前も電話も明かされているし、いろいろとお話を聞かせていただきましたが、いい加減な情報を流してきたとは思えませんでした。県庁に情報が入っていなくても、そのようのことが起きていないか、この際、調べてみてくださいませんか。くくり罠は、とにかく、無差別にどの動物にもかかるので、せめて囲い罠とか、誤捕獲した動物が逃がせる罠に、変えてください。

数年前、国がクマが誤捕獲されないようにくくり罠の直径に規制をかけた時、12センチ以下にしないとクマがかかってしまうということで、12センチになったのであって、12センチは意味のある数字です。12センチ以下でも、子グマや成獣グマの指がかかって、結構各地でクマが誤捕獲されています。環境省に電話をさせていただいたら、都道府県に権限委譲しているので、問題があれば、全て、都道府県に言ってほしいと言われました。

2012/09/23(日) 熊森本部主催:太郎と花子のファンクラブ参加感想

友だちに誘われて、和歌山県生石高原山頂で飼育されている太郎と花子に会いに行きました。車は、兵庫県西宮市にある阪急夙川駅南ロータリーを、午前8:30に出発です。
参加者は思い思いに野菜や果物の差し入れを持ち寄ります。午前11時に現地到着。

 

わたしが持っていったのは今年できた熊棚(くまだな:クマが木に登って枝を折りながら実を食べ、その枝をお尻のしたに敷いていくためにできる「木の上の棚」のようなもの)にわずかに残っていたオニグルミの実です。野生のクマが食べるまるのままのオニグルミを太郎と花子も食べるのかなと気になっていました。


まず太郎にクルミをあげました。太郎は大好きなニンジンを食べたところでしたが、珍しいものが転がってきたので興味を持ったみたいです。クルミを口に運びもぐもぐとしましたが、そのまま口から出してしまいました。どうもお気に召さなかったようです。
花子にもクルミをひとつ。花子は転がってきたクルミを拾い上げると、そのままぼりぼりと食べだしました。クルミの堅い殻も平気で噛み砕き、下に落ちたかけらもぜんぶたいらげました。野生のクマと同じクルミを食べてくれたことがなんだかとてもうれしく思えました。

 

小さな女の子が訪ねてきました。太郎と花子がおみやげのクリをパキッと食べるたびに女の子は満面の笑み。ほかにも何人かのお客さんが太郎と花子に会いに来てくれました。山の中にひっそりとたたずむ熊舎を訪ねてくれるひとがいるのですね。嬉しいことです。

 

太郎と花子の無垢な喜びが、彼らはわたしたちの素晴らしい友だちであり、彼らの仲間もまた同じだということを教えてくれました。わたしたちも彼らのよい友だちでありたいと願った一日でした。(M)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参加者の差し入れのマクワウリをおしいただくようにして食べる花子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーナツ大好き(太郎)                       おなかいっぱい、一休み(花子)

 

参加者12名

 

 

9月9日(日) 盛りだくさんな自然農塾の一日

①田んぼで実り具合を確認

猛暑の草刈りから1ヶ月、今日はいよいよお米の稔り具合を見ます。

黒米は分けつも実り具合もしっかりとしていますが、コシヒカリは分けつが悪く

未だ花の咲いているものもあり、成長にバラつきがあります。大豆は実が未だ小さいので

収穫は次回に延期しました。

 

 

 

 

 

 

しっかりとした黒米

 

稲の花が咲いてます。

 

こちらは黒米

 

こちらはこしひかり

 

崩れた土手を修理してしっかり最上段のため池の水の管理をします。

②但東町の田んぼアート祭りに参加

お昼時は、田植えの時にお手伝いをした大河内地区の行事である「田んぼアートのお祭」に参加しました。

この田んぼで昨年収穫した紫黒米を炊き込んだおにぎりとお団子を「ふるまい」でいただきました。

絶品の手作りからし漬けのレシピはご本人がおられなくて、次回になりましたが本当にいつもながらの

おいしい楽しいお祭りでした。ありがとうございました。 地元のお野菜は安くて新鮮、皆いっぱい買いました。

今年の田んぼの図柄はトンボです。右の羽2枚と周囲は自然農塾有志で植えました。

 

 

③「あーす農場」見学

兵庫県朝来市和田山町の山間で自給自足生活をしておられる「あーす農場」を訪ねました。

昔からの熊森の会員でいらっしゃる大森さんは、1984年に西宮から子供さんやご自分の健康のためにここに移住して来られました。

農場の中を流れている川沿いには母屋の他に、鶏小屋、ヤギ小屋、鴨小屋、烏骨鶏の小屋、パン焼き窯の小屋、子供のための図書館、などが並んでいます。

川では水力を利用して発電しており、使用電力の半分はまかなっているとのこと。

ガスは家畜などの糞による自家製発生器のメタンガスと薪です。

家の周囲では、無農薬有機肥料による野菜やお米を作っておられ、

お米は冬期灌水で合鴨農法にも取り組んでいます。

半年ほど田んぼでお仕事した鴨はいずれ食卓にのぼるそうです。

この日も、鴨が田んぼから川に逃げ出し、大騒ぎの捕り物に参加した熊森のI君がつかまえると、

大森さんが「要るなら持って帰っていいよ」と言われました。

もちろん、誰も頂きませんでしたが。

 

 

 

 

大森さんの田んぼのお米は、コシヒカリ、もち米、ハッピーヒル(福島正信さんが開発した品種)等どれも

しっかりと実っていてうらやましい限りです。

 

田んぼなどの見学の後、大森さんにお話を伺いました。まず、何よりも気になるクマの話から。

「クマさんは可愛いよ。山の稜線をおなかの大きくなった母グマがのっこのっこ歩いていて、

春になるとコグマを2匹連れてたりするよ。今年はここら辺には出て来ないなー、

ずっと下の方に居るよ、大屋の方にね。」

その後、なぜ、ここで暮らそうと思われたかについて質問しました。

昔、移住する前に見に来たときはここはまだ、何軒か住んでいたので棚田がきれいで桃源郷のようだった。

友人が、下に降りてこいよとすすめてくれるが、上で自分が守らないと下の集落も守れないからここで

がんばっていると、断っておられるそうです。

_____でも、ここはどう見てもずいぶんと山奥で野生動物や植物たちの棲家なんだけどなー、

もう少し里山でこのすばらしい自給自足生活をみんなに広めてもらえればもっと良いのではないのかなー_______

私が考えるほど、簡単な問題ではないのでしょうから、次回ゆっくりと農作業に来てからお話もしたいなと思いました。

大森さんの「あーす農場」には毎年、海外も含めて300名ぐらいの方が来られるだけあって、大変、チャーミングな方でした。(H)

 

9月22日(土) くまもりチェンソー講習会 ステップ3 3名が修了 修了者累計18名に!

9月22日(土)にチェンソー講習会ステップ3を実施しました。心地よい秋晴れの中、快適な講習会となりました。

まずはステップ2の復習から。丸太の輪切り、切株の水平切り等でウォーミングアップをします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水平にチェンソーの刃を入れるのは意外と難しいです。伐倒の基本となるので、念入りに練習します。

 

 

 

 

 

 

 

3名の方が無事に講習会を修了することができました。お疲れ様でした。

これで、日本熊森協会が養成したステップ3の修了者は合計で18名となりました。本部の林業経験者3名と合わせると、21名が、間伐作業に従事することが可能です。来月から、修了者のみなさんにも参加していただいて、現地での実際の間伐作業に力を入れていく予定です。

 

 

 

 

 

 

兵庫県氷ノ山を再び入らずの森に  9/13くまもり実り調査実施 ③ 自然林にもクマが棲めなくなった訳 断崖絶壁に残されたお花畑から考える

去年、氷ノ山のヤマブドウは良くなっていたが、今年はだめだった。ほとんどのヤマブドウに、実りがない。やっと、少しだけ実の付いたヤマブドウを発見。今年の夏の暑さのせいか、実が干しブドウのように、干からびていた。

 

 

 

 

 

 

 

奥山広葉樹林の林床植物と、そこに群がる昆虫が完全に消えている・・・シカの威力のすごさ

 

 

 

 

 

 

せっかく人工林にされずに残された氷ノ山奥山の広葉樹の自然林だが、シカが下草をほとんど食べてしまっており、広範囲の自然林の林床には、シダぐらいしか残され ていなかった。この日、シカを8頭見かけた。神様のように美しかった。クマとシカは同時に存在しないとよく聞く。もっとクマが増えてもらわないと、シカが林床植生を根こそぎ食べて しまって、森が持たなくなるのではないだろうか。しかし、ここまで下草がなくなったら、もう、クマは棲めないのではないか。

 

下草や昆虫が消えた氷ノ山の自然林(音声なし)

しかし、シカの存在も、自然だ。山にシカがいて森が消えるなら、とっくにこの国の森は消 え ていただろう。シカは山に居て良いはずだが、奥山には、居てはいけないのだろうか。氷ノ山に豊かな森が残っていた時、いったいシカはどこにいたのか。シカ は、奈良公園のような里山の動物なのだろうか。里山にいるべきなのだろうか。それとも、本来、平地の草原にいるべき動物なのだろうか。数がもっと少なければ、奥山に居てもいいのだろうか。生態系のバランスが、人間によって壊されてしまって増え過ぎたのだろうか。こんな単純な疑問ですら、答えられる研究者はだれもいない。人間には、いまだに何もわかっていないのだ。なぞだらけである。自然界に圧倒されそうになる。

 

なぜ、かつて奥山の林床は、 お花畑の花々が咲き乱れ、その草花に来る昆虫たちがいっぱい飛び交っていたのか。一口で山と言っても、南北に長い日本列島。気候も積雪量も、自然生態系も 全く違う。その地域の昔の山を知る人にしか、語れない。現存する人で、氷ノ山の昔を語れる人はおられるのだろうか。以前、氷ノ山麓に住む80代のお年寄りに聞き取りをしたことがあるが、答えはなんと、「入ってはいけない山だったから、入ったことがない。どうなっていたか知らない」だった。「戦後の拡大造林で、初めて氷ノ山に入った時、あまりの美しさに、神様が住んでおられると思った」と、その方は語られていた。

 

氷ノ山の断崖絶壁に、シカの影響を受けていない場所が残されている

 

 

 

 

 

 

 

断崖絶壁というのは少し大げさかもしれないが、この谷川の周辺は急峻で、さすがのシカでも上がれない。このあたり一面だけには、多種多様な草花が咲き乱れ、これまた多種多様な虫があちこちで飛び交っていた。もし、このような林床植生が、氷ノ山の山の中に広範囲に広がっていたら、クマたちも、夏の昆虫食には困らなかっただろう。この日名前が分かっただけでも、植物と虫の種類は相当数に上る。記録しておこう。

 

急峻な崖に残されていた氷ノ山の下層植生(音声なし)

キタヤマブシ、クサアジサイ、オタカラコウ、シラネセンキュウ、ヒヨドリバナ、オオバギボウシ、ツリフネソウ、ウワバミソウ、アザミ、イラクサ、イナカギク、イヌトウバナ等々

神様が住んでおられたかつての氷ノ山を想像しながら、この日の調査を終えた。

兵庫県氷ノ山を再び入らずの森に      (大段ケ平から見た氷ノ山山頂)

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県のクマたちの聖地であるべきはずの氷ノ山を調査し、生きようとしただけで(=人間の近くにある食料を得ようとしただけで)、連日殺されていく多くのクマたちの駆除を、何とか止めたいと決意を新たにした1日だった。

 

この地球は、人間だけのものではない。人と動物、何とか国土から生まれる食料を分かち合って共存していく国に戻していきたい。私たちと共に活動して下さる方、募集。

 

 

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