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ノーベル賞受賞・山中伸弥教授が「人類は滅ぶ可能性がある」とつぶやく
- 2019-09-25 (水)
- くまもりNEWS
以下、9/22(日)ネット配信 FRIDAYより要約
「人類は滅ぶ可能性がある」
『シリーズ人体Ⅱ 遺伝子』という生命科学の最前線を視聴者に伝えるNHK番組の中で、iPS細胞の生みの親としてノーベル賞を受賞し、現在も生命科学研究の最先端を走り続ける京都大学山中伸弥教授(57)がつぶやいた。
生命の根本に関わる遺伝子まで操作することが可能になった現在、こうした生命科学が発展するからこそ生まれてくる「危険性」がある。
人類が滅ぶ可能性がある、という発言について、山中さんはこう説明した。
1万年後、私たちとは全然違う生物が、地球を支配していても不思議ではありません。
しかも、自然にそうなるのではなく、人間が自らそういう生物を生み出すかもしれません。
「一歩間違うと、新たな生物に地球の王座を譲り渡すことになります。いま、人類はその岐路に立っていると思います」
山中さんの懸念は、研究者の倫理観が低下して生命に対する畏れを失い、研究に歯止めが利かなくなった結果、人類が滅亡するかもしれないというものです。
山中さんは科学者、研究者に求められる姿勢として、「密室で研究しないこと」を挙げていました。
いま、科学の進歩は加速度的にスピードを上げている。この先、人類はどんな道を進むのか。
生命倫理の規範は、誰かがひとりで決めるものではなく、さまざまな立場の人の意見を反映して決めていくべきだ。
熊森から
研究というのは大変面白いものですが、人間は狂いますから、部屋に閉じこもって研究していると、往々にして、自分のしていることの是非がわからなくなっていきます。
研究者は博士号を持っていたり教授の肩書きを持っていたりするので、人々から一目置かれがちなのですが、実は大変危険な存在です。
なんだかんだと理由を付けて、研究内容を隠ぺいしようとする研究者がいますが、私たち国民の税金で研究しているのですから、私たち国民は、それを認めてはならないと思います。
北海道で、ヒグマと共存の流れを その1
- 2019-09-30 (月)
- くまもりNEWS
動物写真家 安藤誠顧問のご尽力でクマ会議を開催
~釧路市・鶴居村~
昨年、顧問に就任していただいた世界的に有名な野生動物写真家で、ネイチャーガイドの安藤誠さんを訪ね、9月13日、14日に北海道釧路市、鶴居村にある安藤顧問の運営するウィルダネス・ロッジ、ヒッコリーウィンドに行ってきました。20年近く応援いただいている元衆議院議員・赤松正雄顧問も同行くださいました。
安藤顧問は、「今年は、マスが早めに遡上しているからきっとヒグマに会えるよ」と知床に連れて行ってくださりました。河口付近を望遠鏡で覗くと大量のカラフトマスがやって来ているのがわかります。安藤さんからは、嬉しくてたまらず、待ちきれなくて海に飛び込んでしまったクマを見たと教えてもらいました(もちろん、海の中ではマスたちの方が上手で捕まえることはできません)。
クマが現れるのを待っているとき、オジロワシもやってきて、見事にマスを捕まえる一瞬にも出会いました。
しばらく、待っていると、別の場所で待機していたスタッフから、橋の付近でクマが現れたという連絡があり、駆け付けると、マスを取りに来た若いオスグマに会うことができました。水に頭をもぐらせたり、飛び跳ねたり、必死でマスを探す様子は何とも言えない迫力があり、ついに会えたと、一同、感激のひとときでした。
橋にはクマを観察している人たちがたくさんいました。「本当は、人がいる所に出て来たくないけど、隠れられる場所はベテランの雄グマがおり、若いクマは入っていけないからこんなところでマスを捕るしかない」「人が河口付近で、サケやマスを捕ってしまわないで、もう少しだけでも川を遡上できるようにすれば、クマたちはこんなに人に近いところに出て来なくてよくなる」と安藤顧問から教えていただきました。
知床から車で帰る道中に、道路のカーブでばったり、メスの4~5歳のヒグマと出会いました。クマはとてもビックリしたようで、さっと道路わきに車をよけ、しばらく必死で頭を隠していましたが(お尻が出ており、文字どおり「頭隠して尻隠さず」でした)、その後、車が近づこうとするとさっと、山へ逃げていきました。突然の人との遭遇に動揺し、困惑しているクマの気持ちが感じられるできごとでした。
ヒグマたちも本州のツキノワグマと同様、人間に遠慮して、できるだけ接触を避けて暮らしていることがよくわかりました。実際に、出会えたことでヒグマがより身近に、愛おしい存在になりました。
翌日は、釧路湿原を案内していただきました。湿原の脇には、まだ緑の実をつけたミズナラの森が広がっていました。北海道は下草も豊富で、森も豊かに残っていることを実感。スギ・ヒノキの放置人工林だらけで、本来の生息地が荒廃してしまっている西日本のツキノワグマたちにこの環境を分けてあげたいと思いました。
14日、夜には、安藤誠顧問の呼びかけで集まった方々と「クマ会議」を開催。ヒグマやツキノワグマと共存していくために何が必要かを話し合いました。北海道の熊森会員や安藤顧問の写真仲間も駆けつけてくださりました。車で数時間かけて来てくださった方もいました。
安藤顧問は、小さい頃からよく知っているメスのクマが、子どもを守るためにカメラマンを威嚇したら通報され、子どもの前で射殺されてしまったことを報告。人間の無理解で捕殺されてしまうクマがいかにたくさんいるか、正しい知識を持ち、備えをすることでクマたちと共存できることを伝えていきたいと熱く語りました。昨年度、ヒグマ約800頭、ツキノワグマは約2600頭が有害獣として捕殺されています。この中には、捕殺の必要が無かった事例もたくさんあります。
参加した方々からも、豊かな環境が残っている北海道だからこそ、自然もクマも失われないように守りたいといった声が出ました。北海道でも、ヒグマとの共存をめざし、人々のつながりができ始めていることを実感することができました。
安藤誠顧問の写真は、野生動物たちが感情豊かに生きている姿を伝えるだけでなく、自然や野生動物を愛し、共存したいと願う人たちをつなぐ力があります。
この秋、日本熊森協会では、安藤誠顧問の講演会を、福岡、神戸、東京で開催します。
美しい写真とともに野生動物たちの生きざまや、共存への思いを熱く語っていただきます。みなさまぜひ、お越しください。
※いずれも参加申し込みが必要です。
神戸市 10月23日(水) 神戸国際会館セミナーハウス701号室 19時~
東京 11月3日(日) くまもり東京シンポジウム お茶の水女子大学共通講義棟2号館
クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました!
- 2019-09-20 (金)
- くまもりNEWS
今年は、一人でも多くの子どもたちに原生林を体験させてあげたい!とクラウドファンディングを呼びかけました。
多くの方々にご協力をいただき、「子どもたちを原生林に連れていきたい!!~本当の森体験ツアー」を無事実施することができました。
(2019年8月4日 若杉原生林にて実施済み)
クラウドファンディングにご支援ありがとうございました。
早野 誠次 様
aimai 様
わだちゃん 様
Yumi Fukushima 様
ドラフト 様
中野会計事務所 様
kabu 様
さくら 様
松山祥子 様
近藤眞奈美 様
浩山 様
岩村菊代 様
森山なつ子 様
ほか30名の方からご支援をいただきました。
原生林ツアーの様子はこちらからご覧いただけます。
とよ君 絶対安静の効果あらわれる?
- 2019-09-14 (土)
- くまもりNEWS | 豊能町誤捕獲クマ「とよ」
みなさまこんにちは。
9月12日~14日までインターンシップをしております、S田です。
13日はクマのとよ君のお世話に初めて同行しました。
とよ君の近況報告に加えて、私の感じたこともお伝えできたらと思います。
高代寺に到着するとさっそく、とよ君の獣舎の方から「ガタンッ(ごはんちょうだい!)」と物音がしました。
まず初めての顔合わせということで、人除け柵の内側に入って寝室の横へ行きました。しゃがんで挨拶すると、とよ君と一瞬目が合いました。良い目をした賢そうなクマだなと思いました。とよ君のほうはというと、「さ、ごはん ごはん」という感じで、少し足を引きずりながら寝室に入っていきました。長い食事制限に加えて、狭いスペースから出られないストレスがそろそろ限界なのでしょうか。何度もごはんを催促します。
バルコニーの様子は、敷いてある合板の上や、水入れの中にフンがたくさんありました。合板をガリガリかじっていたようで、木の屑も散らばっていました。獣舎の様子を一通り観察してから、職員の方がごはんを用意しました。
現在、とよ君は投薬はせず、運動制限をしている状況です。
すでに、とよ君の行動を寝室とバルコニーに限って1ヶ月以上が経過しています。
今日のとよ君は、病状がひどかった時を見ていない私には、少し後ろ足は引きずってはいるものの元気そうに見えました。一時は、腰が立たないので前足でからだを支えてズリズリ引きずりながら移動していたという話を聞いて、今のとよ君とのギャップに少し驚きました。
ただ、投薬や運動制限によって劇的に良くなったわけではありません。足の調子が良い日と悪い日があり、まだまだ病状は安定していないとのことです。
頻繁に会っていないと、とよ君のシグナルにも、からだの小さな変化にも気が付くことができないのだということを感じました。
そして、見るべきポイントをしっかり把握し、継続的に観察しているお世話隊のみなさんが、本当に貴重な存在であるということがわかりました。
その後 獣舎の掃除をして、何度かに分けてカキやリンゴを与えてお世話は終了しました。
とよくん、また会う日まで。
今年も冬ごもり用のドングリ集めをします。
アベマキ、クヌギなど本部までお送りください。
9月8日、兵庫県選出の国会議員が、荒廃した兵庫の奥山を視察
熊森本部は、国会議員のみなさんに、戦後の拡大造林政策で荒廃した日本の奥山を、現地でご自分の目で見ていただきたいとずっと願ってきました。現場で、五感で体感しないと、野生動物たちが悲鳴をあげているわけがわからないからです。
都市部から奥山まで視察に行くには、往復と現地滞在で、丸1日を要します。
国会議員のみなさんは超多忙です。
これまで熊森と奥山に入ってくださったのは、視察当時、兵庫県選出の国会議員だった赤松正雄氏と、石井登志郎氏のお二人だけです。
うれしいことに、この度、兵庫県選出の片山大介議員が、9月8日の丸1日を開けて、室谷悠子熊森会長らと共に兵庫県の奥山に入ってくださいました。
熊森本部の案内で奥山荒廃をご自分の目で見られた3人目の国会議員の誕生です!
この日、午前9時、車で神戸市を出発し、兵庫県北部の人工林地帯に向かいました。
人工林地帯に入ると、さすがに片山議員も「よくここまで植林しましたねえ」と、人工林率の高さに驚いておられました。
これまでも見て来られた風景だと思いますが、説明がないと、山を見ているようで見れていなかったのだろうと思いました。
この日は、9月に入ったというのに猛暑日。片山議員は熊森本部スタッフの説明を聞きながら、人工林、広葉樹植樹地、天然林と湧き水などを、噴き出す汗をぬぐいながら山に入って視察し続けてくださいました。また、地元リーダーの話を聞いたり、地元の人達と言葉を交わしたりもしてくださいました。
片山議員は、翌朝、東京での会議に出なければならないので、夕方まで奥山の視察を続け、夜の新幹線で東京に向かわれる予定でした。
ところが、あいにくこの日の夜、台風15号が関東地方を直撃する恐れがあるという情報が入り、新幹線が計画運行を発表。新幹線が動いているうちに東京に向かうには、午後3時に姫路駅に着いていなくてはならないことになりました。
残念ながら、最後に見ていただく予定だった若杉天然林の視察を中止せざるをえませんでした。若杉原生林は、また別の機会に見てくださるそうです。片山議員、本当にありがとうございました。
百年先千年先を見越して、今取り組まねばならない日本の奥山水源の森の緊急保全活動。このような私たちの市民活動を支援したところで、1円にもならない上、生きている間は評価もされないし、票にもつながらないと思います。
それでもいいので、この国の未来のために動きたいと時間を割いてくださる国会議員が目の前に現れました。国民のひとりとして、久し振りになんとも言えないすがすがしくて幸せな気分にひたることができました。
片山議員に続いて、かつてクマたちが多く棲んでいた奥山水源の森の荒廃実態を見ておこうと思ってくださる国会議員さんや地方議員さんがおられたら、ぜひ、当協会にお知らせください。経費は、当協会の会員の会費を使わせてもらいますので、無料です。
熊森事務所に帰り、今日撮影した写真を使ってさっそくこの日のブログを書こうとしたのですが、不注意で画像を消去してしまいました。がっくりしていましたら、片山議員が東京に向かう新幹線の中で書いてくださったと思われるツイッターが、片山議員のカメラに記録された写真と共にアップされていました。
<片山大介議員のブログ>も、ご覧になって下さい。
兵庫県戸倉トラスト地 植生調査の結果
こんにちは。インターンシップ学生のTです。9月2日に、広葉樹植樹地の植生調査を行うため、奥山保全トラストさんが保有している戸倉トラスト地を訪れました。今回はそのことについて、書かせていただきます。専門知識がないので、あまり専門的なことは書けませんでしたが、どうか、あたたかい目で閲覧していただけたら幸いです。
戸倉トラスト地は、兵庫県宍粟市にあります。2006年に購入され、その広さは、120ha(363,000坪)になります。今回、トラスト地の入り口部分に入らせていただきました。
また、今回の植生調査に主原憲司先生も来てくださいました。
車から降りて、少し歩き始めたとき、シカにかじられたオタカラコウとシダを発見。これらは、シカが本来食べるものではありません。主原先生いわく、これは森の中のシカの食料が減ったことが原因だそう。それによって、シカが本来食べようとしない植物を食べ始めたということです。今後、さらにシカの食料がなくなると、毒性のある植物まで食べるようになるそうです。とてもかわいそうです。
シカにかじられたオタカラコウ
シカにかじられたシダ
丁寧に植生について教えてくださる主原先生
また、トラスト地でヤマビルを初確認しました。職員さんによると、去年は全くいなかったそうです。不幸なことに、ボランティア学生が一人、ヤマビルに血を吸われてしまいました。痛みがないので、昼休憩まで気付かなかったそうです。ヤマビルのいる時期には、十分な対策が必要ですね。
ポイズンリムーバーで毒を抜いている様子
戸倉トラスト地では、クマのエサを確保するために、クマの好きな実をつける木(クリ、サルナシ、ウワミズザクラetc…)が植えられています。中には枯れているものもあり、全ての木々が順調に成長しているとは言えないようです。
また、主原先生の指示で、大切な苗木を守るため、自然に生えてきたコシアブラの木(約3メートル)を数本、初めて除伐しました。これから苗木がすくすくと成長して、美味しい果実を実らせてくれることを願うばかりです。
シカよけ網で囲まれた植樹地
森林環境税・譲与税の学習会 in 東京
- 2019-09-01 (日)
- くまもりNEWS
首都・東京で放置人工林を豊かな天然林へ 8月24日
森林環境税・譲与税法が成立し、各自治体に森林整備のため、森林環境譲与税が配られ、予算化されています。
森林環境税の導入をきっかけに、首都・東京で、豊かな森再生の流れを広めたいと急遽学、学習会を開催し、室谷会長が講師をしました。7名の議員の皆様を含む25名が参加してくださいました。
東京都のクマ生息地である多摩地域の人工林率は60%を超えており、その多くが放置され荒廃しています。
首都圏全体を見ても、水源地の森が人工林になってしまっていることがわかります。
水源確保、土砂崩れによる災害防止、東京で絶滅寸前となっているツキノワグマの生息地確保(生物多様性保全)、花粉症軽減のためにも、放置人工林の天然林化が必要です。
放置人工林の天然林化はほぼ計画されていない
勉強会に、先立ち、熊森本部と東京都支部で、東京都の全自治体に今年の森林環境譲与税に使途について聞き取り調査をしました。聞き取りの結果、森林を持つ自治体でも、都市部でも、森林環境譲与税を天然林化(広葉樹林化)に使うという自治体はほとんどありませんでした。
東京都も水源地域の間伐は実施していますが、自然の森に戻していくという事業はなく取組みが全く進んでいません。
市民が声をあげ、水源の森再生の流れを
森林環境譲与税の使途を決めるのは、自治体です。市民が声をあげ、要望することで、税を豊かな森再生のために本当に必要なことに使ってもらうことができます。
参加された議員の皆様から「森林環境税や譲与税について、詳しく知ることができたので、自分の自治体で動いてみたい」「各自治体を指導する立場にある都や県に働きかける必要があるのでは」と言った声が上がりました。
学習会の後、参加者で意見交換をし、東京都支部でも取り組んでもらえそうな自治体を探して、要望をしていこうことになりました。
【熊森の提案する森林環境譲与税の使途】
1 森林がある自治体 放置人工林の天然林化(広葉樹林化)を進めるための事業(予算)をつくってほしい 2 都市部の自治体 ①自治体の水源地にあたる地域の放置人工林の天然林化を応援してほしい ②子どもたちの森林の大切さを伝える環境教育の実施 |
森林環境税・森林環境譲与税についてたくさんの人に知ってもらい、大切な税金を本当に必要なことに使ってもらうために、これからも全国で学習会を開いていきたいす。
ぜひ、日本熊森協会本部事務所までご連絡ください。
初めまして「とよくん」
- 2019-08-31 (土)
- くまもりNEWS
初めまして。インターンシップ学生のTです。8月29日から9月5日まで熊森協会でお世話になります。
初日の今日は、くまの「とよくん」のお世話をさせていただきました。それについて僕が感じたこと、とよくんの近況報告を書かせていただきます。
初めに僕が獣舎の方へ歩いていくと、とよくんは獣舎から顔を出して「初めまして。」と言わんばかりにこっちを見ていました。そのあと獣舎へ行くと、エサ用の穴からクンクンと顔を出してくれました。ツキノワグマを間近で見たのは初めてでしたが、とても愛くるしい印象でした。
とよくんは4本の足を使って歩いていました。とよくんの後ろ足について調子が良くなかったことを事前に伺い、心配していましたが、これを見てほっとしました。この日も、職員さんがキウイに薬を入れて、とよくんに投薬していました。これからさらに良くなることを願うばかりです。
最初に僕がさせていただいたのは、うんちのお掃除です。大きいうんちがどーんとバルコニーに落ちていました。排泄は良好なようです。職員さんと協力して、数回に分けてバケツへ。その後、職員さんがモップを使ってバルコニーを綺麗に掃除しました。
そのあとバケツの水を入れ替えさせていただきました。思った以上に大変でした。
とよくんにご飯を与えさせていただきました。数回に分けて与えました。そのたびにとよくんは、それをすぐさま完食。次はまだかと訴えてきます。とよくんにとって、今の時期は冬に備えて脂肪を蓄えないといけない時期。それに加えて食事制限中でおなかがすいているのか、とよくんは少しイラついた様子でご飯を求めていました。それを見てとても申し訳なく感じましたが、とよくんの足にとって食事制限は欠かせないものだと聞きました。がんばれ。とよくん。
餌を元気に食べるとよくん
とよくんは外へ出たいのか、バルコニーの檻を噛み始めました。今のとよくんの生活空間は狭いので、ストレスが溜まってしまうかもしれません。とよくんのストレスをためさせないためにも、スライス丸太に加えて、大きい丸太を投入。とよくんのストレスがたまらないことを願うばかりです。
追記:とよくんの写真が少なめだったので、8月26日に撮影されたものをお見せします。この日も、元気にご飯を食べていたようです。
鼻にご飯を付けたままのとよくん
山菜のミズを元気に食べるとよくん
東京都が絶滅危惧種のクマ4頭目を有害捕殺、8月22日、東京都支部と熊森本部が現地に出動
推定生息数60頭、東京都の絶滅危惧種クマ守れ!
くまもり東京都支部員たちの必死の現場訪問活動や行政への要請活動にもかかわらず、東京都は今年4頭目のクマを有害捕殺しました。
そして、現在も、まだ、クマ捕獲罠を設置中です。
場所は奥多摩湖の隣山、中腹に位置します。
建物裏側には古い物置きがあり、放置されて腐敗した味噌や古い果実酒などが入った一部破損した容器が置かれています。その周辺からは腐敗臭が漂っていました。
ここにクマが夜、出てきました。
行政は、クマを誘引している生ゴミ(倉庫内)の除去は行わずに、クマ捕獲罠を設置しました。
倉庫内の誘引物を生ゴミに出す準備 8月17日撮影
くまもり東京都支部は、クマが出てこないように、誘引物の除去や電気柵の設置を家主に申し出ました。しかし、受け入れてもらえません。
捕獲したあと殺処分するのではなく、放獣してほしいというくまもりの長年の切なる願いに対して、東京都行政はいまだに放獣予算を付けようとしません。(都内の業者に依頼すれば、1頭1回放獣20万円)
住民の安全とクマの救命の両方を願うなら、クマを誘引している物を片付けて、クマの忌避剤を撒くしかありません。
8月22日、本部職員2名が出動し、レンタカーを借りて、東京都会員2名と計4名で、現地で被害防除活動を行いました。
以下は、その時の報告です。
現地に着くとうれしいことに、先日訪問したくまもり東京都会員たちと神奈川県支部長の説得を受けて、家主が生ゴミを町の回収に出してくださっていました。感謝。
生ゴミが消えていた現地
しかし、クマの誘引物を入れたクマ捕獲用の箱罠は、口を開けたままです。これでは5頭目がやってきて、また捕殺されます。
家主はおられませんでしたが、奥様がおられ、夜ごそごそとやってきたクマと、台所の窓を挟んで目が合った話など、詳しく語ってくださいました。私たちが、クマは東京都の絶滅危惧種に指定されているというお話をしたところ、奥様は、「それは知らなかった。」と大変驚かれていました。
そして、「クマはどこにでもいるものだと思っていた。昔からこの地域はクマが出てくるから、東京にはたくさんクマが棲んでいる、むしろ昔より数が増えているんじゃないかと思っていた」と、話されました。
クマの侵入経路を教えてくださる奥様(中央)
生ゴミは片付けてもらっていましたが、現場にはまだ腐敗臭が漂っています。建物の周囲を歩いてみると、果物やなにかよく分からないものがビンに詰められたまま、大量に廃棄されていました。ものすごいにおいで、このままではまたクマを引き寄せてしまいます。クマは、腐敗臭に誘引されることを伝えると、また、大変驚かれていました。しかし、奥様は足の調子がわるく、ほとんど遠くへは歩けません。重いものも持てなく、これらのビンも捨てたいがどう処理をしようかと悩んでいるということでした。
果物を漬けた古い液体などが放置されていた
とてつもなく強い腐敗臭でした。4人で悶えながら、処理をしていきました。ビンの中身は新聞紙などにしみこませたりなどしてごみ袋に回収しました。4人で3時間かかりました。
ビンはきれいに洗ってゴミ袋に入れ、ゴミ捨て場へ
クマの通り道と思われる場所は、はしごでふさがれていました。もし今度通ったら、倒れて音がするようにと、防犯ベルの代わりに設置したものです。
奥様が設置された、クマを防ぐはしご
そこで、私たちは、用意してきたクマの忌避剤を設置しました。1つ目は、ペットボトルに入れたニコチン水です。喫煙所から煙草の吸殻をもらってきて作りました。ペットボトルの上部には、クマの嫌がるニコチンの臭いが出るように、小さな穴をたくさんあけてあります。
ニコチン水
2つ目は、東京支部のKさんが取り寄せてくださったウルフンエキスです。実験的にクマの通り道に設置してみました。相当きつい臭いです。こちらも、奥様の許可のもと、設置しました。家屋に近いところでは臭いがきつすぎるため、ハシゴでクマの侵入経路をブロックしているあたりに設置しました。
ウルフンエキス設置
誘引物の回収と、クマ侵入経路上に忌避剤の設置を行ったことで、家主の奥様から大変喜ばれました。生ごみやにおいの出るものはもう外にはおかないよう約束していただきました。
あと、この場所へクマが来る残りの要因は、ただ一つ。クマ捕獲用罠の中に入れられた誘引物だけです。
この後、役場へ向かい、回収したごみを受け取っていただきました。役場の担当課長を訪ねましたが、不在でした。事前に、「行きます」と、支部の方からお伝えしてあったのですが、熊森とは会いたくないのでしょうか。
仕方がないので係長さんに、「今日、私たちはクマの誘引物を除去してきました。しかし一つだけ除去できていない誘引物が残されています。それは捕獲罠です。罠があることでクマを誘引しています。本当に地元の方の安全を守りたいのであれば、クマが出てこないように、どうか罠の撤去をご検討ください。そして、こうした誘引物除去作業は、本来罠をかける前に最優先で行ってほしいです。人手が足りないのであれば、私たち市民団体にも相談してください。可能な範囲で出向きますのでよろしくお願いします」と伝えました。しかし、係長は、クマ捕獲罠を撤去するとは言ってくださいませんでした。
帰りに現地の山を見ると、スギやヒノキの放置人工林に多く覆われていました。これも何とかしなければなりません。くまもりが地元議会に、放置人工林の天然林化の陳情を出したのですが、採択されなかったということでした。
スギやヒノキの放置人工林で覆われていた東京都の奥地
この日はずっと鼻に臭いにおいが付いていました。
東京都にも熊森会員がたくさん誕生したら、今日のようなボランティア活動がもっともっと行われるようになります。
この国で、市民団体を大きく成長させて、郡部国民と都市部国民が助け合い、自然や野生動物たちの命も大切にするやさしい国を作っていきたい。
これが、熊森協会がめざしているものです。