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カテゴリー「くまもりNEWS」の記事一覧

第6回ストップ・リニア訴訟 南アルプスを愛する登山家が、物言えぬすべての命に代わって訴え

9月8日、熊森としてストップ・リニア!訴訟の第6回口頭弁論を傍聴するため、東京地裁に行ってきました。

傍聴の抽選には173名が並びました。

今回は、服部隆さん、林克さん、西ヶ谷弁護士から、静岡県のリニアトンネル工事についての陳述がありました。

 

服部さんは、登山歴46年のベテラン登山家です。

 

 

以下、服部氏の訴え

 

「登山歴46年、私たち岳人は、リニア・トンネル工事による南アルプスの自然破壊に対し深く憂慮しています。

本日、私は登山者の代表として、また物言えぬすべての命に代わって、裁判官各位に訴えます。

 

<トンネル掘削によ地下水脈分断について>

 

静岡県の北端でリニア路線が横切る地域を「南アルプス南部」と呼びます。

頂点は3000メートル峰で、そこから駿河湾に流下している130キロメートルの大井川。

その最上部地下をリニアが貫通します。

 

 

静岡県におけるリニア問題は、ここ大井川最上流部に集中しています。

この拡大図を見ると、まるで毛細血管のように無数の枝沢=谷が本流に注ぎます。

この無数の支流が減水、ないし枯れる恐れがあるのです。

資料によれば「二軒小屋」付近が毎秒2トン強の減水予測で、ここは登山基地です。南アルプスの真っ只中です。

毎秒2トンは冬の渇水時は本流が干上がることになり看過できません。

 

保全策として、JR東海は「導水路トンネル」を計画。

トンネル内にあふれ出した水を集めて11.4キロメートルほど下流の椹島(さわらじま)で本流に放水、「水を戻す」という案です。

しかしこれでは根本解決になりません。水が戻るのは椹島より下流のみ、上流部には一滴の水も戻らないのです。

すなわち「人間の都合」しか考えていない保全策です。

 

 

「隣に似たような谷があるから大丈夫」?!

環境アセス書でJR東海は「周辺に同質の環境が広く分布するから影響は小さい」と記述していますが、そんな単純な話ではありません。

その谷に棲む水生生物、魚、植物はどうやって移動するのでしょう。

また簡単に「重要種の移植」を持ち出すのも、水を戻さず見捨てるという宣言であり、この言い訳は免罪符にすぎません。

そもそも重要種とそうでない命をどうやって決めるのか?

厳しい自然条件の中で南アルプスに生きる命への敬意のみじんもなく、心の震えが止まりません。

 

生き物の生息場所には皆理由があり、安易に「移植」などすべきではありません。

この7月に奥西河内(おくにしごうち)の水源調査に行って、2.350メートル地点の谷筋でツキノワグマの糞を発見しました。

山は彼らのものです。

彼らが生きる場所です。

この谷は彼らが命をつなぐ場所なのです。

この谷水を減らしては、枯らしては決してなりません。

 

「上流部の谷に水を戻せないなら、工事は中止してください」これが、南アルプスに生きる生き物と私たち登山者の思いです。

ずさん極まりない、甘すぎるアセスメントを追認した国土交通省の、リニア工事計画認可の取り消しを求めます。

 

 

(熊森から)

大井川下流

 

リニア工事によって大井川の水が毎秒2トン減少することはJR東海も認めており、その保全策として、導水路を引いて水を戻すとしています。

しかし、この保全策にはそこに生息する動植物への配慮が全くありません。

トンネルを掘るのは大井川最上流部にもかかわらず、JR東海が保全によって水を戻す場所は11.4km下流であり、大井川中下流域住民のための利水対策にすぎません。

大井川上流におけるリニアトンネル工事は、上流に生息する「谷の水を生きる糧としている多くの動植物の減少そして死滅を意味」します。

山を知り尽くした登山家が物言えぬ生き物に代わって訴えてくれたことが、熊森としてとてもうれしかったです。

 

リニア事業によって、南アルプスに生きる動植物の生息地は確実に奪われ、移動できるものは益々人里に出てくるようになるでしょう。

そして、有害獣のレッテルを張られて殺処分されていくのです。

 

リニア事業を止めるためには、世論を動かすことが不可欠です。

一体誰のためのリニアなのか。

自然を、そして、私たち人間や動植物の大切な水源の森を壊してまで必要な物なのか。

一旦破壊してしまえば、後でいくら後悔しても、豊かな自然も地下水脈も、もう2度と取り戻せないのです。

全国民が、JR東海やJR東海から宣伝費をもらっているマスコミによるリニア宣伝に騙されず、自分の頭でよーく考えて見るべきだと思います。

 

口頭弁論後の集会

 

現在、リニア市民ネットは

リニア中央新幹線訴訟の公正な審理を求める署名が始めました。

まだの方はよろしくお願いします。(署名用紙

 

次回以降の口頭弁論は、

2017年11月24日 第7回(愛知県におけるリニア被害について)

2018年1月19日 第8回(東京・神奈川におけるリニア被害について)

2018年3月23日 第9回(内容未定)

です。

ストップ・リニア!訴訟の口頭弁論をまだ傍聴されたことのない方は、ぜひご予定ください。

 

8月24日 「とよ」に夏のプレゼント

①プールの水

プールの水を、ふだんの2倍量に増やしてあげました。

プールの中で泳ぎながら?水を飲む「とよ」

 

クマの水の飲み方は、犬や猫と違います。

口の先を水面につけて、ズーゥと飲みます。

宮澤正義先生は、前方に舌を丸めてスプーンのようにして水を飲むと表現されています。

 

水飲み中の拡大写真です

 

②青いドングリ

食べ物を、すのこの上に並べてあげました。

まず最初に飛びついて食べたのは、まだ青いクヌギのドングリでした。

 

食べる前

食べた後 殻斗を除けて、中の実だけ食べた

 

ドングリをもっとあげたいけれど、青い実は採集がむずかしいです。

次々と食べていきましたが、最後まで食べなかったのは魚の干物です。後で食べるとは思いますが。

 

お腹がいっぱい。

お世話隊のみなさんの傍に寄ってきて、甘える「とよ」

お世話隊の皆さん、いつもありがとうございます

 

 

 

 

 

 

くまもり本部2017年9月度> 自然保護ボランティア募集(初参加、非会員も歓迎)

※拡散希望

熊森協会本部では、各分野のボランティアを募集しています。

会員・非会員に関わらず、多くの方々にご参加していただきたいです。

学生さんや若い方も、みなさん誘い合ってご参加ください。

ご参加いただける方は、活動日の3日前までに電話、FAX、メールにて熊森協会本部事務局までご連絡ください。

本部電話番号 0798-22-4190

本部FAX番号 0798-22-4196

メール contact@kumamori.org

 

2017年9月の活動予定

<いきものの森活動>森林整備

いきもり風景(皮むき間伐)

9月9日(土)柿の植樹地の草刈りと電気柵設置(兵庫県宍粟市波賀町原)

9月23日(土)高代寺の竹の伐採(大阪府豊能郡豊能町)

午前8:00に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

  • いきものの森活動は人工林の間伐や実のなる木の植樹、クマの潜み場の草刈りや柿もぎなど、兵庫県北部を中心に実施しているフィールド活動です。参加者のペースに合わせて活動を進めていきますので、誰でもご参加いただけます。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

天候不順で中止になることがあります。

当日連絡先090-1073-0980(担当:家田)

 

<環境教育例会(於:本部事務所)>自然の大切さを伝える

環境教育例会

9月7日(木)10:15~ 見学も歓迎。

  • 小学校や保育施設などで、森や動物の大切さを伝える環境教育を実施しています。環境教育例会では、授業に向けての練習や打ち合わせ、プログラムの作製を行います。絵本の読み聞かせや紙芝居にご興味のある方、子どもがお好きな方、ぜひご参加ください。

 

<とよ君ファンクラブ(大阪府豊能町高代寺)>飼育グマのお世話

お世話の人にもらったリンゴを食べるとよ

9月7日、14日、21日、28日(毎週木曜日) 

  • 大阪府豊能町で保護飼育しているツキノワグマのとよ君のお世話です。

現地までの交通手段は本部にご相談ください。

 

<太郎と花子のファンクラブ(和歌山県生石町)>飼育グマのお世話

暑そうな太郎

9月24日(日)(毎月第4日曜)

参加費:1000円(交通費)

  • 和歌山県生石高原で保護飼育しているツキノワグマの太郎と花子のお世話です。

午前8:30に阪急夙川駅南口ロータリーに集合してください。

現地までは本部が用意した車にご乗車いただけます。

 

環境教育以外は兵庫県ボランティア保険(4/1~3/31の年間500円)への加入が必要です。

太郎と花子のファンクラブ以外は本部の車に乗車される場合、集合場所から現地までの交通費は不要です。

自車参加も可能です。

たくさんの方のご応募をお待ちしております。よろしくお願いします。

(農林水産省) 鳥獣捕獲「尾」で証明…ハンターによる補助金不正が相次ぎ、ルール統一へ

以下、読売新聞/ 2017年8月31日記事コピー

 

有害鳥獣の捕獲頭数を水増しして報告し、補助金をだまし取る不正が各地で相次いでいることを受け、農林水産省は、各自治体がそれぞれ定めている補助金申請時のルールを統一する方針を固めた。

捕獲個体の証拠写真を撮影する際、体の向きを統一し、提出する部位は「尾」に限定することで、同じ1頭を複数頭に見せかける手口などを防ぐ。来年4月から適用する。

鳥獣による農作物被害は年間200億円近くに達し、同省は2012年度から、シカやイノシシなど1頭あたり8000円の捕獲補助金を自治体を通じて支給している。補助金申請時には、証拠写真や鳥獣から切り取った牙や耳などを提出する必要があるが、細かなルールは自治体の判断に任されている。

兵庫県や鹿児島県で昨年度、同じイノシシを異なる方向から撮影して複数頭に見せかけたり、補助金が出ない冬季に捕獲したシカの耳を冷凍保存して、後に提出したりするケースが発覚していた。

 

(熊森から)

お金が絡んでくるとどうしても、不正をたくらんでもうけようとする人が出て来ます。

以前、ある県の猟友会長さんが、補助金制度は猟友会内に犯罪者を誕生させるものだとして、有害駆除費をゼロにしてほしいと言われていました。

それにしても、各地でハンターの不正が相次ぐというのは、困ったものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵庫のくまもり植樹地 クマがクマ止め林の柿の青い実を、早や食べ尽くす

8月18日、兵庫県のあるくまもり植樹地を見回りました。

ここは、15年前に柿の木を植樹した場所です。

3年前にも、クマが来て枝をボキボキに折って実を食べました。

その後3年間は実が付きませんでした。

今年、やっと再び実が付いたと思ったら・・・

派手にやってくれました

なぜか3つだけ青い実を残してあとは食べ尽くしていた

 

 

枝の折り過ぎです

 

まだ実が青いのに、もうほとんど食べ尽くしてしまっていました。

地面には、折られた柿の木の枝の残骸が積み重なっていました。

これでは、以後3年間は、また実がつかないと思います。

いかに兵庫のクマは夏の食料がないかです。

枝を折らずに、実だけそっと食べてくれたらなあと思わず願ってしまいますが、習性ですから仕方がありませんね。

 

4年前に植樹した柿の木は・・・

まだ実がついていない

早く大きく育ってほしいですね。

 

ヤマザクラ、ウワミズザクラ、ミズキ、昆虫・・・なぜか、この山にはクマの夏の餌がほとんど見当たりません。

現在、兵庫のクマは駆除対象です。

なんとか踏ん張って、山にとどまっていてほしいです。

 

今年も11月15日からは、兵庫県によって山中でのクマ狩猟が奨励されます。

無謀です。何とか止めたいです。

県庁に問い合わせましたが、今年の狩猟の詳細はまだ決まっていないそうです。

 

 

岩手県盛岡市で初のクマ追い払い中に人身事故 クマ射殺 

8月24日、盛岡市の市街地に近い河川敷で、クマの追い払いに参加していた62歳の猟友会員が、前頭部や左手首をクマに引っかかれるという事件が発生しました。

 

どのような状況だったのか、熊森本部は盛岡市の担当者にすぐ電話で聞き取りました。

 

※クリックすると、地図が大きくなります

 

◎以下、盛岡市農政課担当者のお話(地図参照)

・8月24日の朝6時と8時半に、クマの目撃情報が入った。現場は、盛岡ICの近くで、盛岡市街地にも近い。

クマは奥羽山脈のほうから雫石川を伝って現場に来たと思われる。

 

・雫石川の河川敷で、猟友会10人と警察4名の総勢14名で爆竹を鳴らして追い払いを行った。

 

・猟友会は2人一組となってチームで巡回していた。

 

正午頃に、堤防から下りた河川敷の藪の近くで猟友会の男性が爆竹を鳴らしていたところ、3~4m離れた繁みから突然クマがでてきて、2回の攻撃を受けた。2回目の攻撃を受けたときに、自分の身を守るために持っていた銃でクマを射殺した。

 

・射殺したクマは、体重108㎏、年齢は10~12歳のかなり大きなオスグマだった。

 

・盛岡市で、こうした追い払いを行ったのは初めて。

 

(熊森から)

今回けがをされた方に、お見舞い申し上げます。

熊森本部は、8月21日から24日まで東北地方各県のクマの生息地の調査に行っていました。24日はちょうど岩手県庁で県の担当者と、岩手県のクマ保護体制について話し合っていたところでした。

東北では、山から出てきたクマは当然のごとく駆除の対象とされます。そんな中、今回は残念な結果に終わってしまいましたが、盛岡市が初めて爆竹でクマの追い払いを行ってくださったことは、一歩前進でした。

 

今回のような場合、人は河川敷に下りずに、堤防の上から藪に向かって爆竹をならせば、男性もけがをすることはなく、クマも命を奪われずに済んだのではないでしょうか。

 

ぜひ、次回は追い払いに成功していただき、人もクマも無事に終わってほしいです。

クマは市街地に出たかったわけではなく、河川敷の茂みの中を歩いていたら偶然、市街地に出てしまったのだと思います。

河川敷の刈り払いも、なんとかお願いしたいです。

北海道下川町 なぜ草原の向こうにいるヒグマまで撃つのか ヒグマ捕殺許可権限はどこに

(以下、産経新聞記事より一部抜粋)

 北海道下川町役場森林総合産業推進課によると、下川中のグラウンド付近で8月9日午前7時50分ごろ、突然変異で色素が欠乏した『アルビノ』の個体とみられる全身が白いヒグマが目撃された。

様子を見た学校関係者が写真を撮影し、ボランティアの男性に声をかけてそばに近寄ったところ、ヒグマは学校南東部の下川スキー場の方へ逃げた。

 

下川中学校関係者撮影の白いヒグマ

 

学校関係者は「猟友会の人たちと現場を後で見たところ、木の根にアリの巣を掘った穴があり、ヒグマがアリを食べに学校付近の林道に入ってきていたのでは」と推測している。

9日午後5時ごろ、ヒグマはスキー場付近の牧場の草地で発見された。猟友会が2回発砲したが弾は当たらず、ヒグマは茂みに逃げた。14日になってもこのヒグマの発見には至っていない。この白いヒグマは約4年前、下川中学校の東側の西興部(にしおこっぺ)村で子熊の状態で最初に目撃されている。

今年4月になって、下川スキー場付近で成獣となった状態で目撃され、同町が警戒していた。(WEB編集チーム)

 

(熊森から)

ライフルの音がパンパンと鳴った時、ニュース映像ではこのヒグマはかなり離れた遠い草地にいました。

てっきり追い払っていると思い、下川町役場に問い合わせたところ、駆除しようと思って発砲していたとのこと。

アルビノで目立ってしまうこのクマが、狩猟も有害駆除もされずに西興部でここまで成長してきたのに、下川町はなぜ撃ち殺すのか。

「今、クマがアリを食べに来ているので、しばらく通行止めにします」などと人間側に注意喚起して、非捕殺対応を取れないものか。

または、ドラム缶檻で捕獲し、山に放獣してやれないのか。

北海道では、国有林も民有林もクマの放獣はお断りというので、放す場所がないそうです。

私たち熊森は自然保護団体ですが、自然保護の基本は、他生物の尊重です。これができなければ自然は守れません。

北海道のヒグマ捕殺許可権限がどうなっているのか調べてみました。

 

<北海道のヒグマ捕殺許可のしくみ>

北海道では、環境省から降ろされた捕殺許可権限は、北海道庁が持っていることになっています。

しかし、実際は、捕殺許可権限は全道に14ある北海道庁の出先の各振興局に降ろされています。

さらに振興局は、個々のヒグマのケースには関係なく、春に一括して包括的に、市町村に上限数を決めて捕殺許可権限を降ろしてしまっています。

 

市町村は振興局や道庁に相談する必要はなく、単独判断でヒグマを駆除し、駆除後、振興局に報告すればいいことになっています。

北海道は広いので、振興局の人が現地を見に行く事はないそうです。

 

市町村の担当者が判断すると言っても、ふつう、担当者はヒグマに詳しくないので、猟友会に相談することになります。

実質上、猟友会が、捕殺許可権限を持っていることになります。

駆除すれば、猟友会には駆除費が入ると共に、駆除したヒグマがもらえるそうです。

これでは結果的に、1年中クマを狩猟していることになり、ヒグマが守れないのではないかと思うのですが・・・。

 

ある振興局の担当者にお聞きすると、有害駆除は山中ではできないことになっているし、駆除の上限数も決められているから、以前のように駆除オンリーではなくなっていると言われました。しかし・・・

 

当協会顧問のカナダのフィッツアール先生の話では、カナダではヒグマの放獣もどんどん行われているということです。

北海道はカナダより遅れているようです。

多くの国民は、環境省から北海道に降ろされた捕殺許可権限は、道が責任を持って行使してくださっていると思っています。

実際は、猟友会の行使に任されている部分が大きいとは・・・。

 

ここまで生き抜いたアルビノのヒグマ、神の使いとして最後まで生き抜いてほしいです。

 

 

大人になったりりしい「とよ」 8月17日、冬籠り前の食い込み期に入っていることが判明

「とよ」オス7才は、青年期を脱して、今や凛々しい大人に成長しています。

 

1日に何十回もプールに入る「とよ」

 

その割に、大好きなプールにカエルが卵を産んだときは、気味悪がってプールに入れなくなるなど、クマ独特の怖がりの一面はしっかりと保っています。

 

この間の「とよ」のことは、日本奥山学会誌Vol5(定価500円)に、日本熊森協会調査研究部員が、「野生ツキノワグマの飼育からわかった行動と食性」(2015年~2017年)という題で研究発表したことをまとめています。

 

日本でこの本だけという、クマを飼った者にしか研究できないおもしろいクマの生態新発見でいっぱいです。日本奥山学会誌Vol5をまだお買い求めておられない方は、ぜひご注文ください。クマに関心のある者にはたまらない内容です。(p12~p31)おすすめです。

日本奥山学会誌Vol5

 

今年の「とよ」の話題としては、何と言ってもお世話隊に心をどんどん開いてきたことです。

以前のようにお世話隊を威嚇したり、お世話隊を見て常同行動をすることもなくなりました。

大変慎重で臆病なクマですが、学習能力は高いのです。

のんびりとくつろいで、金網をよじ登ってひさしの上で休んだり、お世話隊の真横で安心して食事をしたり、プールに入りながら、すぐ横にいるお世話隊の人達を眺めたりするようになってきました。(この変わりよう!)

ひとりでくつろぐ時にしていた行動を、お世話隊の目の前でもするようになった

 

お世話隊の横でも安心して食事をするようになった

 

プールにつかりながら、お世話隊をのんびり見ている「とよ」

 

本当はクマも、人間となかよくしたいのだと思います。金太郎物語のように。

人間が殺しに来るから、クマは、人間から逃れようと、人間をはたいたり噛んだりするようになったのだと思います。

人間に殺されそうになっても、無抵抗でしかおれない弱い動物もいます。

クマは人が素手で闘えば、人間より強い動物です。

人間が調子に乗って森を破壊し尽くしてしまわない為には、森にはクマが必要です。

クマに人間は必要ありませんが、人間にはクマが必要なのです。

 

しかし、8月17日にお世話に訪れると、「とよ」の様子がすっかり変わっていました。

この日、最高気温は32度、最低気温は23度でした。

冬籠り前の食い込み期が始まったようです。

これまであんなに大好きだったキウイやブドウなどの液果フルーツではなく、堅果フルーツのクルミを欲しがります。

そしてなんかとても落ち着かない様子です。イライラしてるようにも見えます。常同行動も始めました。

当分は傍に寄らないようにしようと思います。

何が欲しいのかわかりません。人間が飼育することには限界がありますが、しかたがありません。

 

春、冬ごもり明けにはけっこう太っていた「とよ」ですが、今はかなりやせています。

8月17日の「とよ」

 

自然界ではこの時期、クマは青いドングリやまだイガの青いクリを食べるのでしょうか。

そのようなものは入手できないので、私たちはひたすらドングリの実が落ち始める10月を待ち続けます。

クヌギやアベマキのドングリが落ち始めたら、会員のみなさん、集めて本部に送って下さいね。

お世話隊のみなさん(ボランティア)

 

お世話隊のみなさん、いつもありがとうございます。

「とよ」の飼育に必要な経費は、「くま保護基金」から出させてもらっています。

「くま保護基金」にご寄付くださったみなさん、本当にありがとうございます。

「くま保護基金」は1年後には、会費とは別に会計報告をさせていただきます。

 

 

太郎と花子の獣舎、ペンキ塗りでよみがえる 2頭とも大変元気

和歌山県生石高原のツキノワグマ太郎(28才)と花子(27才)、どちらも大変元気です。

山田さん一家、くまもり和歌山県支部、くまもり本部、くまもり南大阪地区、くまもり京都府支部、みんなで大切にお世話しています。

 

ちなみに、ウィキペディアのツキノワグマの項のクマの写真は花子ちゃんの写真です。

 

6月26日、お世話隊とのふれあいを心待ちにしてくれている花子

 

7月23日 大好きな丸太を抱く太郎(伸び過ぎた爪が見える)

 

お世話係として心配しているのは、2頭共に伸び過ぎた爪です。

動物園のクマたちは、床がコンクリートのため、爪がすり減ってしまうという問題が生じます。

太郎と花子は反対で、高齢と共に爪が伸び過ぎて円形になってきました。

ネコさんのように、爪切りで切ってあげることもできず、はたまた、巻いてきた爪が手足の肉にくい込むことを防ぐ手だてもなく…今後が悩ましいです。

夏はどちらもプールですね。2頭向き合ってプール入り

 

イノシシも元気です。

お世話隊の皆さん、いつもありがとうございます。

お世話隊ボランティア

27年間使用し、サビが目立つ獣舎

7月23日、獣舎のペンキ塗りが控えていましたが、この暑さです。お世話隊のみなさんで、天井に日よけをかけてきてくださいました。

 

 

8月13日に行くと、獣舎のペンキ塗り変えが終わっていました。獣舎は、新品のようにピカピカです。和歌山県庁さん、ありがとうございました。

まだまだ暑いので、黒布の日よけを掛けてきました。これで獣舎内も快適です。

次回は日よけをもっと追加してやる予定です。

 

毎年、太郎と花子のファンクラブにご寄付くださっているみなさん、本当にありがとうございます。

おかげで、私たちも余裕で大切に世話し続けられます。2頭にはおいしい物をどっさりあげています。

幸せな動物たちを見ていると、見ているこちらの人間まで幸せな気分になってきます。

 

9月3日(日) 今年最後の皮むき間伐フェスタ開催!

皮むき間伐は、樹木が水分をたくさん吸い上げる4月中旬~9月中旬までが一番やりやすくて、気持ちよく皮が剥けます。ということで9月3日(日)に今年最後の皮むき間伐イベントを実施します。

スギやヒノキの皮を剥いて、人工林を間伐する皮むき間伐。夏休みが終わった後のビッグイベントに是非ご参加下さい!

9月3日(日) 9:30現地集合

実施時間:10:00~16:00

集合場所:酒井公民館(兵庫県三田市酒井212-2)

内容:皮むき間伐、森の紙芝居、ネイチャーゲーム、ロケットストーブで炊き出し体験

参加費:ひとり600円(昼食のカレー代・保険代)

持ち物:帽子、飲み物、動きやすい服装、雨具、マイ食器(コップ・お皿・スプーン・はし)

当日連絡先090-1508-8979

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