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無慈悲なクマ狩猟再開を発案した兵庫県 ①これまでの兵庫県クマ対応政策の経緯

<1992年(24年前)絶滅寸前に>

兵庫県ツキノワグマは、戦後の奥山開発と拡大造林政策により、人間に奥山生息地を大破壊されてえさ場を失いました。食料を求めて人里に出て来ては有害獣のレッテルを貼られ、狩猟と有害獣駆除の2種で撃ち殺されて、絶滅寸前に陥っていました。

 

<狩猟禁止、有害獣駆除はOK>

わたしたちが大きく運動した結果、1994年に当時の環境庁が、1996年には兵庫県が、とりあえず、狩猟だけでも止めようと、「兵庫県ツキノワグマ狩猟禁止令」を出してくださいました。人里に出てきたクマを有害獣として捕殺することはこの後も認められ、現在に至っています。

 

<兵庫県民緑税で森林整備を開始>

その後、兵庫県は県民一人当たり800円の県民緑税の徴収を発案しました。当協会は林業整備だけではなく、野生動物たちが昔のように山で暮らせるように、えさ場復元のための事業にもこの税を使うという約束で、県民緑税の導入に協力しました。

2006年から県民緑税の徴収が開始されました。

 

<野生動物育成林事業に失敗>

兵庫県は、県民緑税の一部を、野生動物育成林事業に投入してくださいました。ある事業実施地を数年後、当協会が点検したところ、1か所約30ヘクタールの放置人工林に付き約3千万円ほどの多額のお金を投入したにもかかわらず、結果として、野生動物のえさ場は全く復元・再生されていませんでした。

現地はほとんどが元の放置人工林のままで、ほんの数か所、教室程度の広さの人工林のくり抜きがあり、広葉樹を植樹した跡はありましたが、シカに食べられて苗木が死んでいました。次の実施地も見てみましたが、野生動物育成林事業とは名ばかりで、実際はひどいものでした。

「詐欺ですね」とわたしたちが感想を漏らすと、県庁担当者も、「詐欺と言われれば詐欺ですが」と答えられました。

 

なぜこんなことになってしまっているのか、追及されねばならない問題です。県民緑税評価検討委員会の委員に当協会も入りたいと兵庫県に申し出ましたが、断られました。

 

いったん破壊した森の復元・再生の難しさを、人間は思い知らねばなりません。

 

<進む、残された自然林の大劣化>

この後、スギやヒノキの人工林だけの荒廃ではすまなくなり、残された自然林内でもナラ枯れやササ枯れが猛威をふるうようになりました。地球温暖化が原因という研究者もいますが、よくわかりません。バランスを崩して増えたシカが下層植生を食べてしまうという食害も、目を覆うほどの惨状で広がっています。

以前にも増してクマが山から出て来るようになり、集落周辺に住み付くものも出てきました。

 

<地元の悲鳴と、焼け石に水の公共事業>

地元の皆さんは、悲鳴を上げておられます。

兵庫県としては、集落を田畑ごと囲う金網柵や電気柵の設置を進めています。おそらく被害防除対策としては、見たところ全国一、力を入れてくださっています。

 

また、バッファゾーン造りと称して、集落に野生動物たちが近づきにくいように、放置されてうっそうと茂っている集落裏の山の刈り払いも進めてくださっています。しかし、地元はどこも過疎化高齢化しており、私たちが見回ったところ、県の事業は地元にとってはありがたいのですが、焼け石に水の感があります。

 

<保護政策が実ってのクマ数増加>

兵庫県は一時期、全国一のクマ保護県としての名をはせました。その結果、クマの生息数は以前より回復してきていると思われます。クマの場合、何頭いるかということは、一般に考えられるほど簡単ではなく、人間の能力では数えることは不可能です。あくまで推察ですが、私たちは、現在300頭ぐらいいるのではないかと思っています。しかし、増えたことを、手放しで喜べません。なぜなら、集落周辺の農作物や、山に大量に放置されたシカの死体に依存しての増加かもしれなのです。

 

つまり、安定的な増加ではないのです。

昔は何頭いたのでしょうか?…誰にもわかりません。

何頭いたら適正なのでしょうか?…人間にはわかりません。山の実りの変化などに合わせて増減を繰り返しながら、自然界が安定的な生息数を決めていたはずです。

 

このような状況の中、2016年3月、兵庫県が、残虐無慈悲なクマ狩猟再開案を、西日本で唯一出してきたのです!!!

狩猟再開???いったい誰が望んでいるのか???

 

p.s 兵庫県猟友会長のお話では、猟友会がクマ狩猟の再開を要望したりお願いしたりした事実は一切ないということです。それよりも、クマたちはこの20年間、自分たちは狩猟されないと安心しているので、突然の狩猟の再開で獲られすぎてしまうのではないかと、大変危惧されておられました。

 

タネを高い標高に運んで地球温暖化からカスミザクラを救っていたクマ 森林総合研究所2016年春発表

Q:クマがいて何かいいことあるのか  

A:最高に豊かな水源の森を造ってくれています。

クマがこの国に存在することの利点はわかっているだけでもいろいろありますが、一つあげるとしたら、保水力豊かな森を造ってくれていることではないでしょうか。クマは森造りの名人なのです。戦後、人間が造ったスギだけヒノキだけの人工水源涵養林が、どれも大荒廃しているのと比べてみてください。水道水を飲むときに、私たち人間はその恩恵に感謝したいものです。

自分のところではクマが滅びてもういないという方もおられますが、水脈は海底でもつながっています。ものすごく遠くにあるクマたちが造る森の水をいただいていることも十分考えられます。

 

(熊森から)クマをはじめとする多様な生き物たちがこの国にいてくれるおかげで、私たち人間は、酸素を吸い、水を飲み、農作物を収穫できているのです。彼らのはたらきは、いろいろ違います。

人間が知らないだけで、クマ独特のはたらきも多々あります。

最近、「クマがいて何かいいことあるのか」とテレビで何回も叫んでおられたコメンテーターがおられたようです。

すでに、今年の春、多くのメディアで取り上げられた話ですが、「クマがカスミザクラを地球温暖化から救っていた」を、以下に添付します。コメンテーターの方には、クマの恩恵の一端にでもふれていただきたいですね。

 

<以下、ハザードラボより>

花咲かクマさん?タネを運んで温暖化からサクラを救う

野生のツキノワグマがサクラの花のタネを、300メートル以上高い山へ運ぶことで、温暖化による生息環境の変化から、サクラを守っていることが、森林総合研究所や東京農工大学などの研究で明らかになった。

 

草木や花などの植物は、環境の変化や捕食者から逃れるために、虫や鳥に食べられたり、風や水流で運ばれることでタネを移動させて生息環境を広げる。

 

種子の散布については、これまでにもさまざまな研究で明らかにされてきたが、いずれも水平方向ばかりで、山をどれくらい上り下りするかは調査手段が確立されていなかった。

 

森林総合研究所の小泉透ディレクターらや東京農工大学などの共同グループは、標高が高くなるほど、生育する植物の種子に含まれる酸素の原子の性質が異なることに着目し、種子が垂直方向に移動した標高差を特定する方法を開発。

 

2012年と2013年に奥多摩地方の標高550メートル〜1650メートルの山の中で採取したカスミザクラのタネと、捕食動物の糞に残っていたタネを分析した結果、ツキノワグマは平均で307メートル、テンは193メートル、標高の高い場所にタネを運んでいることが判明した。なかには最大で738メートル高い場所に種子散布しているクマも確認されたという。

 

種子を散布していた主な哺乳類は、散布 数の多い順から

ツキノワグマ80%、テン19%、アナグマ0.07%、ニホンザル0.03%でした。

 

サクラの開花や結実は、山のふもとから標高の高い山頂方向に進むことから、研究グループは、ツキノワグマやテンは若葉や果実を追いかけて山を登り、その途中で糞をすることで、結果として野生のサクラを温暖化による生息地縮小から守る役割を果たしていると推測している。

森林総合研究所の直江将司氏は、「九州地方など、クマが絶滅した地域では、野生のサクラはいずれ見られなくなっていく可能性がある」と指摘されています。

クマ

カスミザクラの若葉や果実を食べるツキノワグマ の親子(上は勝木俊雄さん撮影/下は梅村佳寛さん 提供:森林総合研究所)
クマ

サクラの若葉や果実を追いかけて登るツキノワグマ(提供:森林総合研究所)

9月8日 本部森林生態学講座 「温暖化による昆虫の消滅が、クマを絶滅させる」(2日目現地)

あいにくの雨でしたが、福井県境にある京都府南丹市の五波峠(標高600メートル)を、18名で訪れました。ここは、ブナやミズナラが生育する冷温帯林です。

昨日の座学で教わった通り、本当に森から低木や下草、昆虫が消えていました。まるでどこかの公園に来ている感じでした。

日本の奥山が、これまでの森林生態学の教科書と急速に違うものになっていっているのです。報道されないので、ほとんどの国民はこの現実を知らないと思います。奥山は、動物たちにもはや食料を提供できなくなっているのです。地球温暖化?酸性雨?全部、人間がしでかしたことです。

クマの痕跡がたくさん残っていましたが、全て古いものばかりでした。ここは、かつてクマをはじめとする野生動物たちの生息地だったんだなと思うと、森山会長以下熊森の創設者たちが、「クマ守れ」と立ち上がった時のやむにやまれぬ気持ちがわかるような気がしてきて、胸にこみ上げてくるものがありました。

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見るも無残な?広葉樹の森の中を歩く

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ブナの巨木

 

<ハイイロチョッキリによるミズナラの大凶作>

この日、ハイイロチョッキリによって切り落とされたミズナラの実付きの小枝が、たくさん落ちていました。

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かつてクマは、ブナと違って豊凶のないミズナラに頼って生きてきました。毎年秋には、ミズナラのドングリをたくさん食べて、冬籠りに入っていました。

しかし、温暖化によって、ハイイロチョッキリという暖温帯林にしかいなかった虫が奥山の冷温帯林に入ってきて大量に発生するようになりました。

この虫は、、ミズナラの青い実を小枝ごと次々と切って落としていきます。

2004年、2006年、2010年は、ハイイロチョッキリが大発生し、ミズナラが初めて大凶作となってしまいました。

2004年の第1回目のツキノワグマの大量出没は、台風でドングリの実が落とされてなくなったからと報道されていますが、実は、台風が来る前から、ドングリの実はありませんでした。このような場所を研究している人が、他にはいないのだなあとつくづく感じます。

 

<液果類>

ブナ・ミズナラといった堅果類の実りが良くないので、クマたちがいるなら、オオウラジロノキ、タンナサワフタギ、ヤマボウシ、ミズキ等の液果類を食べていると思われます。

中でも、オオウラジロノキはとても印象に残りました。リンゴの原種だそうです。2センチぐらいの小さな実でしたが、切ってみると、中はまるでリンゴで、香りまでリンゴでした。

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(最後に)

本や座学で学んでは、現地で確かめていく。熊森は、日本の森や野生動物を守るため、奥山生態系の勉強、調査を続けて19年目です。

最高の研究者たちと組み、徹底した現場主義であれというのが、熊森の一貫した教えです。

奥山生態系を勉強したい人、調査したい人は、ぜひ私たちの仲間にお入りください。

2015年山の実り調査実施 ブナ、ミズナラ共に並下

今年の秋のクマの出没を予測するため、本部では毎年9月の初旬にブナとミズナラの豊凶調査を実施しております。

今年は9月11日~16日までかけて、一応兵庫県全域を回ってきました。

A堅果

●ブナ:並下

ブナは氷ノ山近辺では豊作の木が多かったのですが、それ以外の地域では実りが並作以下のものも多くて、全域で平均すると並下という結果でした。

下の写真は、養父市にある妙見山のブナです。

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一見、豊作ですが、シイナ率を調べるため、持ち帰って、種子の中身を調べてみました。

シイナ:殻だけで中身がない。動物の食料にならない。

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なんと、種子は100%シイナで、健常種子は見当たりませんでした。これは標高が低い所で採集したため、地球温暖化の影響を受けていると思われます。

ある程度標高の高い場所に生えているブナじゃないと、今や健常種子にならないのだそうです。

 

 

●ミズナラ:並下

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福定のミズナラ

ミズナラもブナと同様並下ですが、ブナよりもさらに実りが悪く感じました。それぞれの場所に1本くらいは豊作の木も生えていましたが、兵庫県全体では、どちらかと言えば不作の木が多かったように感じます。

 

B液果

ところどころに生えていた山ブドウも見てきましたが、山ブドウは鈴なりに実がついている木をいくつか見つけました。

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山ブドウ

 

サルナシもたくさん実がついているものを見つけましたが、数自体をたくさん見れていないので全体の豊凶状況は分かりませんでした。食べてみると、まるでミニキウイです。

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サルナシ

この時期、クマのフンによく入っているアオハダも実っていました。

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アオハダ

 

ミズキもよく実っていると感じました。ミズキはクマノミズキとよく似ています。

今年のクマノミズキは生理落下(完熟しないうちに落ちてしまう)が多いようです。ミズキには生理落下がほとんどありません。

ハチ北 (3)

ミズキ

 

 

今年の兵庫県の豊凶状況ですが、ブナやミズナラなどの堅果類だけではなく、山ブドウやアオハダ、ミズキなどの液果を含めて考えると、そこまで悪くはないのかなと思っています。

ただし、ブナに関しては10月の種子散布時期にもう一度シイナ率を調べに行く予定ですが、その割合によってはブナが不作になることも考えられ、油断はできません。

 

「安全で、一番安く、クリーン。これ、全部うそだ」 小泉元首相、原発を語る

(熊森から)儲けたいために嘘をつく。これも狂気の一つだと思います。

政府も、電力会社も、福島原発事故からなぜ学べなかったのでしょうか。みなさん頭のいい人たちなのに、本当に疑問です。

空から放射性物質が降ってくる。森や動物を守っている場合ではない。何とかしてほしい。これは、3.11福島第一原発事故の時、熊森本部に寄せられた東日本会員たちからの声です。

もう、自然保護以前の問題です。

大事なものは国土や命ではないのですか。なぜ、お金なのですか。熊森は自然保護団体として、原発再稼働を即刻辞めるべきだと思います。

 

以下、朝日新聞から

小泉元首相(73)が朝日新聞の単独インタビューに応じ、川内原発1号機が営業運転を再開するなど原発再稼働の動きが進んでいることについて、「間違っている。日本は直ちに原発ゼロでやっていける」と語った。政府や電力会社が説明する原発の安全性や発電コストの安さに関して「全部うそ。福島の状況を見ても明らか。原発は環境汚染産業だ」と痛烈に批判した。

 

小泉氏は、07年の新潟県中越沖地震や11年の東日本大震災など、近年、日本で大きな地震が頻発していることから「原発は安全ではなく、対策を講じようとすればさらに莫大(ばくだい)な金がかかる」と主張。原発が温暖化対策になるという政府の説明についても、「(火力発電で発生する)CO2より危険な『核のゴミ』(高レベル放射性廃棄物)を生み出しているのは明らかで、全然クリーンじゃない」と語った。

9月7日 本部森林生態学講座 「温暖化による昆虫の消滅が、クマを絶滅させる」(1日目座学) 

平日ではありましたが、兵庫県西宮市で「森林生態学講座」をもちました。

講師は、昆虫の研究者です。

参加者は、大学生からリタイア組まで計18名。

熊本県の法人会員さん3名も参加されました。みんな熱心にメモを取っておられました。

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2002年に、日本の森で、大異変が起きました。

2002年の冬の気温は、例年と比べてかなり高めで、京都市での月平均気温は1月5.7℃、2月6.1℃、3月10.3℃でした。

ちなみに前年度は、1月3.9℃、2月5.3℃、3月8.6℃でした。

2002年は雪も少なくて、2月の芦生原生林の積雪は10センチしかありませんでした。

 

この年、葉を食べる多くの昆虫が、森から消えました。絶滅したのです。原因は、植物の春の芽吹き時期と昆虫の産卵との時期のずれが起きたことです。

ふつう、卵からかえったいわゆる毛虫は、柔らかい葉しか食べられません。柔らかい葉にありつけなかった毛虫は生き残れません。

毛虫(=蝶や蛾の幼虫)がいなくなると、これらを餌としている、アシナガバチやスズメバチ、小鳥たちのヒナも生きられなくなりました。

沈黙の春です。

 

クマの春から夏にかけての食料は昆虫です。ツキノワグマの舌が異様に長いのは、蟻やハチを食べるためです。

以前はこの時期に拾ったクマの糞の中には、昆虫がいっぱい入っていましたが、最近はもうそのような糞を見かけなくなりました。

いかに山から昆虫が消えたかです。

最近、クマは、6月ごろから、もう食料を求めて、里に出てきます。

その背景にはこの時期の餌だった昆虫の大量絶滅があります。

 

1997年に、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議 )で、地球温暖化を早く止めないと、2050年までに地球上の30%の昆虫が絶滅するという警告が発せられました。

 

人類が、急激な温暖化を何とかして食い止めねばならないということが、この日の結論でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ナラ枯れの原因が地球温暖化に関係していることは明らかだ

国は、ナラ枯れの原因を、ずっと、亜熱帯性の5ミリほどの甲虫であるカシノナガキクイムシにしてきた。

虫に責任を負わせるのだ。

しかし、国の調査機関である森林総研の発表を見ても、私たち人類の現代文明が引き起こした温暖化が大きく関与していることは明らかだ。

ナラ枯れ

<森林総研資料より>

 

カシノナガキクイムシは北上を続けており、何年か前に、ついに秋田県に入ったことを聞いて衝撃を受けた。

今年の夏、北秋田市まで行ってきた。まだ北秋田市には入っていなかった。

地球温暖化がこのまま進めば、カシノナガキクイムシが北秋田市に入るのは時間の問題となる。

人類は、化石燃料を使うのをやめなければならない。

といって、福島原発事故で、原発も使えないことがはっきりした。

人類は、72億にも爆発増加してしまった今、これからどう生きていけばいいのか。

本当に、武器を作って海外に売ってもうけたり、隣人や隣国と憎しみ合って戦争をしたりしている場合ではないのだ。

 

8月4日 本部職員、福島県会員らと福島県庁を訪問

本部職員1名福島県会員5名計6名で、福島県庁生活環境部自然保護課を訪れました。

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福島空港到着

 

県庁では、3名の担当者が出て下さり、ていねいに対応していただきました。

福島県では今年、ブナが豊作だそうです。という事は、来年は凶作です。

 

大型野生動物の現状は、地球温暖化が原因でしょうか、

会津でイノシシが増加し、クマの生息域と重複しだしている。

ニホンジカが茨城県、山形県より入ってきているなどと、

教えていただきました。
ツキノワグマについては、推定生息数は2700~2800頭。しかし、よくわからないということでした。

 

最近は人家の近くに出没し、人間を見ても逃げない若グマが増えているのだそうです。

昨年度の有害捕殺数は430頭で、長野県に次いで全国で2番目に多い捕殺数です。

もちろん、放射線量が高いので、食用にすることはできません。

殺す必要はあるのでしょうか。

 

シカやイノシシがあまりいないためか、シカ罠やイノシシ罠にクマがかかるという事はほとんどないそうです。

誤捕獲グマは、2015年春より現在まで2頭あり、2頭とも放獣したといわれていました。

 

県民へのクマ対策としては 県が作成した啓発チラシを会津地区の全戸に配布したそうです。(以下参照)

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/48231.pdf

 

最近の クマの行動には、これまでになかった明らかな変化が出て来ており、それがなぜなのかわからないと言われていました。

会津は福島の中では放射線量が低い方ですが、それでも他県と比べると高くなります。

熊森としては、2011年福島原発事故以来、野生鳥獣の体にも被曝変化が出て来ていないか心配ですが、行政の方は、少ない人数で調査もなかなか思うように進んでいないようでした。

熊森福島県会員たちは、市民団体として、自分たちもこれからもっともっと調べていこうということになりました。

 

お時間を取っていただいた担当部署のみなさん、ありがとうございました。

 

 

 

今夏、マイマイガが異常発生した地域の秋の実りなし→餌を求めて出て来た野生鳥獣の大量補殺が続く

林野庁によると、今年の6月~7月にマイマイガが異常発生した県は、秋田県、山形県、福島県、新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県、岐阜県だそうです。ほぼすべての樹木や草本の葉を食い尽くし、山を丸裸状態にしてしまいました。

平成20年には、岩手県で大発生しましたが、1年で自然収束したそうです。しかし、今回は、どうなるか、予測がつかないということです。

過去に北海道でも大発生したことがあるので、地球温暖化とは無関係かもしれません。

マイマイガについては、わからないことだらけなのだそうです。

 

●以下は、今年の夏、マイマイガが大発生した<長野県北部>住民からの訴えです。

 

今年6月~7月に大発生したマイマイガの食害によって、森の木の葉が全部消えてしまい、いったんスカスカの山となりました。なぜか、マイマイガは、つる草だけは食べませんでした。その後、夏に、まるで春が来たように、一斉に木々に若葉が出ました。こうなると、今年も来年も木々の実りは、全くありません。(来年の花芽ができるのが、今年の7月のため)

 

山から野生鳥獣が連日出てきては、クマ・サル・シカ・イノシシを中心に、大量駆除されています。つる草の、サルナシ・ヤマブドウ・アケビなどは良くなっていましたが、もうクマたちはとっくに食べ尽くしてしまっています。町によっては、記録的にクマが大量補殺された2006年より、ずっとひどい状況です。

良心的な猟友会の方は、クマだけでも、助けられないかと、誤捕獲グマを逃がしたり、追い払ったりしていましたが、追い払っても追い払ってもまた出て来て稲を食べたりするので、クマも殺さざるを得ない状況です。もうこれ以上殺したくないと、悲鳴を上げている方もおられます。

去年は、山の実りが良かったので、その分、子グマも生まれたもようですが、この調子では、今年の秋を生き抜けないでしょう。

 

役場は、もう打つ手がないとして、お手上げ状態に見えます。もう限界で、みんな呆然という感じです。これだけ山に実りがないのだから、野生動物たちはもう生きていけないよねと、周りの人たちも言っていますが、どうしようもありません。

山から出て来た動物たちを殺しても殺しても、もう山が壊れてしまっているんだから、解決不可能だと思います。

今年のマイマイガ以前に、ナラ枯れで、この辺りは大量のミズナラが枯れていたのに、そこへもってきて、今年のマイマイガの大量発生。この地方には、柿の木はありません。

シカが自然林の下草を食い尽くしたことによって、クマはすでに、山で生き残るのがむずかしくなっていましたが、そこへ今年のマイマイガです。

 

<熊森より>

今や人間は、毎日おなかいっぱいたらふく食べています。戦後、人間が、山を壊し続けてきたことを思うと、このような異常年は、祖先がしていたように、分かち合いの精神を発揮して、殺すのではなく、食料を提供するなどして、野生鳥獣との共存をめざすべきでしょう。行政はまず、このようなやさしいことをするとは思えませんので、一般の国民に期待するしかありません。。

一方で、せめて奥山は、自然林に戻し、人間が一歩も二歩も引きさがって、野生鳥獣に餌場の山を返してやるべきです。

 

 

 

 

何種類かのネオニコチノイド系農薬が、松枯れ防止で奥山にも撒かれていた

くまもり群馬県支部長が、最近行政は、松枯れ防止薬として、奥山にネオニコチノイドを空中散布していると、本部に教えてくださいました。まさか。ネオニコチノイド系の農薬は、これまでの殺虫剤と違って、植物に来た虫を殺すのではなく、植物の体内に農薬をいったん吸収させ、その植物を食べた虫が死ぬようになっています。この農薬を使うと、これまで大量に使用していた農薬の量が少しで済むようになり、減農薬として脚光を浴びているのです。

 

本当にそんなことをしているのかどうか、兵庫県の行政担当者に電話でたずねてみました。大変誠実に、いろいろと教えてくださいました。こんな公務員なら、税金を出してもいいなと思いました。ちょっと話しただけで、相手が誠実な人かどうかわかりますから、電話というのもふしぎです。

 

結論は、平成20年から、兵庫県も1ヘクタールに30リットルの割合で、松くい虫退治のために、ネオニコチノイドをヘリコプターで空中散布していました。ただし、ネオニコチノイドといっても、カメムシ用とかいろいろな種類があるということで、EUで使用禁止になっている種類のネオニコチノイドは使っていないということでした。また、山にばかり撒いているのではなく、海岸のクロマツを守るために、海岸にも結構撒いているということでした。松くい虫退治の空中散布は効果がないと聞いていますがとたずねると、効果はある程度は出ているということでした。散布地域を初め、農薬の種類など、HPには、詳しいことがすべて掲載されていました。

 

国民に隠す、嘘を言う、ごまかす、これほど国民を愚ろうするものはありません。良きに付け悪しきにつけ、全部国民に知らせると言うのが、民主主義国家の基本です。また、知らせて行かないと、国民は賢くなっていけないのです。しかし、HPの一覧表を見せてもらって、カタカナの薬品名を知ったところで、その薬品がどういう副作用を持っているかなど、わたしたちにはさっぱりわかりません。きっと、研究者にも、専門家にも、人間には誰にもわからないでしょう。

 

奥山原生林から、虫が消えたこと、実りが消えたこと、生き物たちが消えたこと、これらの原因説として、酸性雨、地球温暖化、シカなど、いろいろな原因諸説がささやかれていますが、松くい虫の防除薬として奥山に撒いている農薬も原因の一つではないかと、直観しました。山に農薬をまいて全ての生き物たちを殺してしまうのなら、松枯れを放置してマツだけが消えた方が被害が少ないのではないかと思います。マツが枯れることを止めるために、他の生き物たちを全部死なせる。こちらの方が、問題ははるかに大きいと思います。

 

兵庫県西宮市の夙川沿いに生えているマツは、青々と繁ってとても元気です。松くい虫に強いタイプのマツを植林したからだそうです。ならば、松くい虫対策の農薬という化学物質を撒くのではなく、松くい虫に強いタイプのマツに植え替えた方が早いと思います。ただ、この時代に、マツがどれほど有用で、山に植えておく必要があるのかどうか、疑問です。マツは、森林遷移の先駆者で、自然界の中では、土地が肥えて来ると、自然と消滅していく樹種です。マツが枯れるのも自然と考えて、山や海に、化学物質を撒くのを止めていただきたいと思います。自然は自然のまま手つかずで残しておいてほしいのです。

 

この担当者に、「沈黙の森」の実態を話すと、驚いておられました。疑わしきは使用せずで、すべての農薬の山林散布を中止して欲しいです。

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