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2011-01-10

愛知県瀬戸市のイノシシ罠は今

昨年11月、愛知県瀬戸市の自然林の中に設置されたイノシシの箱罠に誤ってかかったクマが、射殺されるという悲しい出来事がありました。本来ならば、鳥獣保護法にのっとって、その場で即放獣されるべきクマでした。放獣してもらえなかったのは、地元住民が放獣を認めなかったからだそうです。

2度とこんなことが起きないように、あの後、瀬戸市熊森会員の要請や、瀬戸市担当者の尽力もあって、瀬戸市に設置されている60基ほどのイノシシの箱罠の上部の鉄格子には、今、次々と30センチ四方の穴が開けられ、クマスルー檻に改造されていっています。今後、もし誤ってクマがかかっても、クマが自力で脱出できるようにするためです。殺されたあのクマさんは帰ってきませんが、この動きは、せめてもの供養です。さっそく対応策を取ってくださった瀬戸市担当者や猟友会の皆さんに感謝です。

以前からクマスルー檻を試みてこられた、ある県の行政の担当者に話を聞いてみました。

「30センチの穴では、クマが檻の中から出ていないことも、しばしば経験している。僕らが近づくと、あわてて穴から出ようとして飛び出てきて、危険を感じたこともあった。1回、僕たちを見てあわてて飛び出そうとしたクマが、穴に引っかかって動けなくなってしまった。仕方がないので、麻酔をして、下に1回落としてからひっぱりだして放獣した。40センチの穴だと大丈夫だが、クマが、出たり入ったりするようになるかもしれない。

大分県・豊後大野市市長に、オオカミ輸入を思いとどまっていただくよう要望を

新聞報道によると、大分県・豊後大野市橋本祐輔市長が、シカ・イノシシの農作物被害対策に、中国のハイイロオオカミを輸入するという構想を打ち出したそうです。100年前に滅びたと言われているオオカミと、現在のシカ数、イノシシ数が関係するなど、ちょっと冷静になって考えてみれば、ありえないことです。狭い日本に、オオカミを導入すればどうなるのか。オオカミにしてみれば、すばしこい野生動物を襲うより家畜を襲う方がずっと簡単ですから、オオカミによる家畜被害という新たな問題を引き起こすだけになるでしょう。可能な方は、市長さんに思いとどまっていただくよう、意見をお伝えください。

豊後大野市役所 〒879-7198 豊後大野市三重町市場1200番地 電話番号:0974-22-1001 FAX番号:0974-22-3361

イエローストン国立公園でのオオカミ導入結果については、もっと長期にわたるモニタリングが必要です。今後、どうなっていくのかは、まだだれにもわかりません。オオカミは肉ばかり食べていると誤解されがちですが、実際はドングリなども多く食べるそうです。オオカミを導入した際、大分県に、オオカミの生存を支えるだけの広大な広葉樹の豊かな森が残っているのか疑問です。

研究者の皆さんに苦言です。行政の皆さんは素人です。研究者の皆さんが、行政から予算を取って、誰もしたことのない実験を行い論文を書きたいという気持ちはわかりますが、「オオカミを導入すれば、植生や小動物が回復し、生態系が正常化する」等という進言は、あまりにも一方的です。研究者の皆さんは、日本の山が荒れているのは、戦後の大開発や拡大造林、酸性雨、地球温暖化など、人間活動によるものが間違いなく大きな部分を占めていることぐらい、ご存知だと思います。シカやイノシシを殺しつくしても、森はよみがえらないでしょう。第一、シカやイノシシは、本来、害獣ではありません。公正なる進言をしていただかないと、行政の判断を誤らせます。

シカ・イノシシ問題について、自然界のことは人間にはわからないことが多いです。しかし、以前は、今のような目撃数はなかったのですから、とにかく、以前の環境に戻しましょう。奥山の放置人工林を強度間伐して自然林を再生し、動物たちには山奥に帰ってもらい、棲み分けを復活し、防除に励むしかないと思います。現地は高齢化した過疎地ですから、行政や都市市民が応援に入らなければならないのは言うまでもありません。

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