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2011-12-28

12月10日 鳥取市でクマとの共存を考えるシンポジウム

この日のシンポジウムには、鳥取市福祉文化会館2階会場いっぱいに、数十名の参加者がありました。まず最初に、長野県軽井沢町のNPO法人ピッキオ職員玉谷宏夫氏と広島県役場職員の栗栖浩司氏から、講演がありました。

熊森の自然観や動物観とどこがちがうのか、少しわかってきました。一つの現象に対しても、人にはいろんな考え方や見方があるものだと、改めて思いました。違いがあっても、相手への敬意を失わずに、耳を傾けることが、人としては大切です。このような舞台の上の短い時間だけでは、どこからこのような違いが生じているのか、わかりませんでした。現代人はみんな忙しいのですが、じっくり話し合える機会があればと思います。

後半の初めは、鳥取県庁担当者からの発表でした。今年、鳥取県は、クマが増え過ぎているという民間調査会社からの調査報告を受けて、東中国山地の3県のなかで唯一、クマの個体数調整を開始すると新聞に発表済みでした。しかし、熊森は、鳥取県に対して、個体数調整捕殺の導入撤回を求めていました。理由は以下です。

①人工林率54%で、しかも、その多くが放置された人工林である鳥取で、クマが増え過ぎられるはずがない。

②去年、多くのクマたちが山から出て来たのは、数が増え過ぎたからではなく、なぜか山がありえないような大凶作だったからだ。その証拠に、今年は、目撃数も捕獲数も激減している。個体数調整の導入は、過剰防衛である。

③他生物の生命も尊重されるべきで、可能な限り殺さない対応が求められる。

この日、鳥取県庁担当者は、個体数調整の導入実施を検討すると言う文言に押さえて発表されました。これは行政としては、メンツを考えればなかなかできないことです。鳥取県行政担当者を讃え、拍手を送りたいと思いました。

このあと、熊森協会から森山会長も参加して、シンポジウムが始まりました。4つの違う立場からの声が出されて、バランスのとれたシンポジウムになったと思います。このような会には、必ず、奥山を歩き続けている熊森協会が出席すべきであると思いました。

最後に、熊森鳥取県支部長が、福島原発事故を引き合いに出して、これまで人間のやってきたことを、クマ対応についても見直すべき時ではないかという、人々の胸に響く発言をされ、閉会となりました。

12月10日 大盛況、岩手県滝沢村での宮澤顧問講演会

日本一広い村、岩手県滝沢村、もちろんクマの生息地です。ここから、熊森に講演依頼が来ました。

当日は、村長さんら120名の方々が集まってくださり、宮澤正義先生の、研究者としての専門知識がいっぱい詰まった講演に、みなさん喜んで聴き入っておられたそうです。参加者のみなさんは、熊森協会って、こんなにも深く研究していたのかと、驚かれたそうです。

ある参加者の感想

自然との共生について、新たな視点を持つことができました。私は、宮澤先生の背筋がピンとした滑舌の良い話しぶりと、84歳とは思えないバイタリティに敬服すると共に、心の底に流れる「やさしさ」に感動いたしました。本日は、本当にありがとうございました。

宮澤先生のご感想

滝沢村のみなさんには、村長さんをはじめ大歓迎を受け、本当に感謝です。こんな話初めて聞いたと、みなさん大いに喜んでくださいました。クマのことには少ししか触れられなかったけれど、クマのことがよくわかったとみなさんが言ってくださいました。こんなに喜んでいただけるのなら、これからは、百姓仕事を減らして、元気なうちに、もっと全国を語り歩かなければならないと思うようになりました。今回の講演会では、岩手県会員のMさんに、大変お世話になりました。ありがとうございます。

●ちなみに、先生には、ある県の森林組合から、次の講演依頼が来ているそうです。熊森にも、信越地方のクマ生息地の行政から、講演依頼が来ています。今のような、殺すだけのクマ対応ではいけないと、人々が感じ始めてきたのかもしれません。


12月8日 第13回 本部クマ部会

白熱議論が続く、12月の本部クマ部会。

今年の2月末、わたしたちは、兵庫県主催のシンポジウムに出席して、兵庫県立大学の若い研究者たちの発表を聞きました。かれらの現状認識は、この7年間でクマが6.5倍にも激増したとか、生息地には食料が充分ある等々・・・19年間、クマと森を調べて来た当協会の見解と、ことごとく正反対のものでした。

わたしたちは、どうしてこのような違いが生じるのか、兵庫県立大学の若い研究者たちと、とことん意見交換をしてみたいと願っています。

当協会の会報69号(2011年秋号)に、但馬の山を数十年間歩き続けておられる地元の元高校生物学教師の言葉が載っています。

熊森Q :兵庫県のクマが増えているという人がいますが、どう思われますか。

先生A : 増えてなどいませんよ。何年度の基礎データと比較したのですか。現地に入り、クマの痕跡調査をしたのですか。集落に出て来た数は、生息環境のエサの豊凶との相関関係と見るべきです。もっと現場を歩いて判断してもらわないとだめですね。

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