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2012-01-30

戦後の奥山人工林の拡大記録 (広島・山口・島根県境に位置するクマたちの生息地だった西中国山地)

西中国山地のクマたちの棲んでいた奥山が、どのように戦後、スギだけの人工林に変えられていったのか示すデータを入手しました。全国各地で、同様のことが行われたのです。

これでもまだ、山から出てきたクマたちを害獣視して、「殺せ」と言われますか。クマたちは加害者ですか?被害者ですか?

体が恐怖で震えるお勧め本 「ハチはなぜ大量死したのか」

「ハチはなぜ大量死したのか」ローワン・ジェイコブセン著 仲里京子訳 2009年文藝春秋発行 1905円

アインシュタインが「蜂がいなくなったら人類は4年しか生きられない」と予言した話は有名です。実際今、2007年春までに、北半球の西洋ミツバチの4分の1が消えたそうです。

ミツバチの集団失踪、これはアメリカではCCDと呼ばれています。コロニー・コラプス・ディスオーダー。

農薬、単一作物栽培、遺伝子操作作物、抗生物質の多用、ストレス、栄養不足、ダニ、細菌、電磁波、様々な原因が考えられますが、今のところ原因は不明です。ミツバチの集団失踪について、知れば知るほどこわくなってきます。

人間が、経済の為にハチの体を改変し、本来のハチではないものに変えてしまったのです。

牛を、経済の為に本来の牛の体ではないものに変えてしまったのと同じ構造です。

この本を読んで、私たち人間がどれほどハチの恩恵を受けていたのか知りました。

そのハチに対して、人間が行ってきた非人道極まりないことを知って、おぞましくなりました。人類全体が、他生物の迷惑や悲しみや苦しみなどつゆも考えられなくなり、自分勝手なことをしてきたこと、今もしようとしていること、これらは絶対に許されることではないでしょう。

1999年に当時の環境庁が導入したワイルドライフマネジメント(日本語訳:野生動物保護管理)もその典型です。なぜ野生動物たちは研究者に恐怖の捕獲を受け体に印をつけられ、研究者が決めた生息数に一定するように、毎年殺されて調整されねばならないのでしょうか。

「森を返してほしい。森さえあれば、人間の所になど出て行きません」私達にはこのような野生動物という弱者の声なき声が聞こえてきます。環境省が地元の人たちに呼びかけている「殺生の勧め」は、地元の人たちを今以上に不幸にするものであると、私たちはこのことにも胸を痛めています。

究極の牧場 生乳販売 「想いやりファーム」(北海道十勝平野)

←牧場全景

日本の乳牛は、1頭の子牛を生むと十数頭の子牛にあげられるまでの大量のお乳が出ます。元々、こんな牛は自然界には存在しません。人間によって体を異状な状態に改変させられたのです。その結果、牛は草だけではもう生きられなくなってしまっています。人間によって、牛たちは、トウモロコシなどの穀類や骨粉などを与えられないと生きていけない体にされてしまったのです。

←獣舎内で自由に過ごす牛たち

一般的には、2頭子牛を生むと、母牛は殺されて牛肉にされてしまいます。そのため、日本の牛の寿命は4年です。このような畜産のあり方に疑問を持った方が、牛への思いやりいっぱいの「想いやりファーム」を立ち上げられています。牛の体を工場生産としてみるのではなく、私たち人間と同じ生きものとして見られて、本来の牛の体に戻すことをめざしておられます。搾乳量も、一般牧場よりぐんと減らしています。
牧場には数十頭の牛がいます。今のところ、最高年齢の牛は12歳だそうですが、いずれ、年老いてお乳が出なくなっても、これまで役に立った牛たちですから、寿命までめんどうをみて安らかに過ごしてもらうようにする予定だそうです。

そんなことをしたら、採算が合わなくなる?!経済性だけを追い求めてきた人間社会は、人間を幸せにしたでしょうか。経済よりも大事な事、それは、人間性を失わずに全ての生き物たちといっしょに生きる事ではないでしょうか。

思いやりファームの牛たちは、追い立てられることがありません。広い牧場、自由な獣舎・・・・こんな飼い方をされている牧場の牛乳なら、高くても仕方がない。思わず買いたくなりますね。おっと、ここでは、牛乳ではなく、高温殺菌などの手を一切入れていない生乳(せいにゅう)だけを販売しています。こんな牧場が増えてほしいですね。このような畜産が一般的になれば、日本の畜産は多くの人間を養えなくなるでしょう。しかし、そもそもこの狭い国に、1億2800万人もの多くの人口を持ったことに、一体どれだけの意味があったというのでしょうか。

「想いやりファーム」のホームページ http://www.omoiyari.com/

「兵庫県第3期ツキノワグマ保護管理案」パブコメ  ③計画案の根拠となっているツキノワグマの推定生息数計算は市民検証ができない状態にある

今回の計画案は全て兵庫県のツキノワグマが、推定313頭~1651頭(中間値649頭)に激増したという前提で作られています。

計画案には、生息数推定に用いたのはマルコフ連鎖モンテカルロ法で、推定方法の詳細は、ワイルドライフモノグラフ3号第3章を参照のことと、脚注に小さな字で書かれています。

しかし、ワイルドライフモノグラフ3号第3章を読んでみても、【目撃数、捕獲数、捕殺数、放獣数、再捕獲数などのデータに、ブナ科堅果類の豊凶の影響を補正した】となっており、研究者がどの数字を用いたのか、その数字採択は妥当だったのか、また、などには具体的に他に何が入れられたのか、補正と言われてもどのように何を補正したのか書かれていないため、市民検証が不可能です。熊森は県当局に対して、313頭~1651頭という数字が出てくる全過程を検証したいので、目の前で算出過程を見せてほしいと要望していますが、コンピューターが長時間かけて出すものだから無理という回答です。

国立大学で教えておられる数学者に第3章を読んでもらったところ、幾様にでも生息数は算出でき、この記述では検証不可能との回答を得ました。しかも、検証以前に、マルコフ連鎖モンテカルロ法が、人目を避けてひとりひっそりと生きている大変知能の高いクマという生物の生息推定数を出すのにふさわしい方法なのかどうか、そこからして議論されるべきだろうということでした。

群れを作って生活するサルやシカなどと比べると、群れず、しかも人に姿を見せないようにして暮らすクマの生息数の推定は、困難を極めます。人とクマが棲み分けて共存する社会を取り戻すために、今後も、捕獲、全身麻酔、発信機装着などとクマたちの体と心に耐えがたい負担をかけている生息数の推定に全力をあげるべきかどうか、熊森は疑問に思います。

●熊森の考える兵庫県内ツキノワグマの生息推定数

兵庫県は、2010年に約140頭のツキノワグマを放獣したそうです。その時点で140頭いたことが確かなのだから、推定生息数は140頭~とすべきでしょう。2010年は山に実りがないというありえない異常年であったため、すべてのクマたちが人里に近づき、ハチミツ入りの罠に次々とかかったと考えられなくもありません。2011年に無標識のクマが罠にかかったのであれば、何頭がどこで罠にかかったのかなど、学術捕獲も含めてすべてデータを公表していただかないと、私たちには県発表の推定生息数が妥当かどうかの判断がつきません。

大事なことは、このように困難な生息数推定に、多くの人・金・時間を使うよりも、クマが何頭いてもいいから、以前のように集落に出て来ないようにすることではないのでしょうか。そのためには、奥山にもう一度、クマたちが生息できる豊かな森を復元してやらねばなりません。兵庫県のツキノワグマ保護管理案は、誰の目にもはっきりと検証できるクマたちの奥山餌場復元にこそ、対応策の重点をシフトすべきであると思います。

もし、兵庫県のツキノワグマ推定生息数313頭~1651頭(中間値649頭)が、現実とかなりかけ離れていたならば、今回の保護管理計画案はすべてひっくりかえってしまうのではないでしょうか。

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