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2016-08-24

8月18日 兵庫県クマ狩猟再開を止める署名を開始

兵庫県のクマ狩猟再開を止めることは、他府県のクマ保護体制・野生動物保護体制・自然保護体制にも、良い影響を与えます。

やさしい文明が一番優れている。

 

そもそも自然界は超複雑な世界であり、どんなに科学技術が発達しようとも、人間が自然を管理したり思い通りの数に野生動物の頭数を調整したりできるような世界ではありません。人間が手を入れれば入れるほど、絶妙のバランスが崩れていくのです。

 

1999年に、熊森はもちろん、日本中の全自然保護団体が初めて一致団結して、猛烈に導入に反対したのに、鳥獣保護法が改悪され、ワイルドライフマネジメントが我が国に導入され(当時環境庁)ました。あの時から、この国は自然保護に関しては、狂気の道を歩み出したのです。このことは全国民に伝えておきたいことです。

 

自然や生き物たちと十分に触れ合うことなく大人になったエリートのみなさんが、自然が何なのか理解できず、肩書に物を言わせて、ワイルドライフマネジメント(個体数調整殺害)という自然界を冒涜する誤った恐ろしい思想を我が国に持ち込んだと私たち熊森は感じています。この方向で進むと、日本国が滅びます。

 

クマを初めとする野生動物たちが集落に出て来て、地元の人達は本当に困っておられますが、追い払い、被害防除、生息地復元による棲み分けの復活しか、正しい解決法はありません。

 

みなさん、ぜひ、兵庫県のクマ狩猟再開反対の署名にご協力ください!

【署名活動開始!】

 

 

ネット署名はChange.org

ネット署名リンク先 より署名できるようになっています。
(ネット署名をした方の、最新5人分だけお名前と都道府県名がホームページに表示されます。またコメントをするとずっとお名前が表示されます。)

(FaceBookの非会員の方は、氏名などを入力して赤い「賛同する」というボタンを押してください)

(FBの会員の方は、画面下の赤い「宛先への要望を読む」をクリックして、「はい」を押してください。またキャンペーンのシェアをお願いします。)

 

また、紙の署名用紙で提出される方は、こちらからダウンロードしてください。
AdbeReaderが必要です。
お手数ですが署名後、9月末必着で本部事務局まで郵送でお送りください。

みなさんのご協力をお願いします。

 

 

兵庫県知事 井戸敏三様

兵庫県クマ狩猟再開の中止を求める緊急署名

日本熊森協会

 

●環境破壊により逃げ場のないクマを撃つべきではない

 

●クマ数爆発増加の算出法に重大疑惑あり

 

●狩猟をしなくても、追い払い、被害防除、有害駆除で解決できる

 

8月18日 兵庫県庁で記者会見 その1

14時から兵庫県庁記者クラブで、熊森本部が記者会見を行いました。

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兵庫県庁記者クラブ室にて

 

クマたちの逃げ場も隠れ場も奪っておいて、絶滅危惧種のクマ狩猟を再開とは?

 

最初に森山会長が挨拶しました。

全国民の問題です

「全国で起きている大型野生動物の人里出現は、戦後の奥山開発と拡大造林という国策の失敗によってもたらされたもので、◎根本解決は奥山復元・再生しかないのに、なぜか環境省の考えた解決法は、若者たちを狩猟者にして、弱者である×野生動物を大量殺害することです。(手つかずの自然が最も豊かであり、それを守るのが環境省の使命のはずですが)

 

ほとんどの国民は、まさか環境省が、<「すごいアウトドア」―若者よ、ハンターになれ―>として、若者にライフル銃を持たせるこんなキャンペーンを全国で展開しているなどとは、夢にも思っていないはずです。

 

バックに、日本への銃販路を広げたいと願う全米ライフル協会などの圧力があるという指摘もありますが、定かではありません。

すごいアウトドア

環境省指導 「若者よハンターになれ、日本人は狩猟民族になって野生肉を食べよ」

 

今回の兵庫県クマ狩猟再開問題は、県が、国の方針に従ったものと考えられますが、私たちは、こんな解決法を採用していいのでしょうか。

 

まず、人が自らが引き起こしたことに責任を取らないで、被害者である物言えぬ動物たちを殺して終わろうとしていますが、これでは人間がダメになってしまいます。(他の野生動物問題にも、同様のことが言えます)

 

次に、せっかくクマたち野生動物が、山から命がけでどんどん出て来て水源の森の荒廃を私たち人間に知らせてくれているのに、感謝もせず殺して終わらせてしまうなら、私たちは水源の森を失うまで気づかなくなるでしょう。

 

生き物たちの立場を思いやって自然と共存してきた祖先の生命尊重文明を捨て去り、人間のことしか考えない西洋近代型自然破壊文明に我が国が進んでいくのかどうかが問われています。

 

今回の兵庫県のクマ狩猟再開問題は、兵庫県だけの問題ではなく、明日はわが都府県、心ある国民のみなさんに、これでいいのかと考えていただきたいです。」

8月18日 兵庫県庁で記者会見 その2

次に、室谷副会長らが先程の要望書提出に引き続き、記者のみなさんに、

なぜ、兵庫はクマ狩猟を再開してはならないのか

説明しました。

 

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メディアの質問に答える熊森スタッフたち

 

生息地の自然環境がなんら改善されていない

くまもりが、クマ問題を解決するには奥山人工林を除去して自然林に戻すしかないと指摘してから22年たちますが、生息地問題は何一つ解決されていません。

 

(1)<兵庫県クマ生息地の人工林率>は、22年間、1%も低減されていません

一説に、人工林率が40%を超すとクマは絶滅に向かうそうです。どの町も、もう十分に絶滅に向かう人工林率です。絶滅してもおかしくない人工林率です。

 

宍粟市 73.2%

豊岡市 43.6%

香美町 48.6%

新温泉町45.0%

養父市 61.2%

朝来市 65.7%

2008.7.4伊由峠 (3)

昼でも林内が暗い人工林・生物は棲めない(朝来市)

 

兵庫県担当者は、兵庫県は森林整備に大いに力を入れてきましたと言われます。しかし、人工林を3割間伐して林業用の整備をしただけで、下草も生えず、5年もすれば残されたスギが成長して元の木阿弥。また真っ暗な人工林が再出現です。野生動物の餌場が回復した山など知りません。この24年間に、人工林率は減るどころか増えてさえいます。経済最優先であり、野生動物や自然保護の観点では、整備してこなかったと言われても仕方がない数字です。

 

(兵庫県内民有林の人工林面積と県内人工林率)

1992年資料 21万5494ヘクタール 39.9%

2014年資料 22万1426ヘクタール 41.7%

      (+5932ヘクタール)

 

(2)<ナラ枯れやシカの食害などで、自然林にも棲めなくなっています>

IMG_0112和田山

2010年ナラ枯れ(和田山) ドングリの大木が大量に枯れた

 

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シカの食害や地球温暖化で下層植生が消滅した自然林内(2014年宍粟市)

 

餌場、逃げ場、隠れ場を失った野生動物たちが人里に出て来るようになり、地元の人達が困っておられるのは本当です。すると、なんと、野生動物たちを守るためにあるはずの環境省は!野生動物を大量に捕殺することで、問題を解決しようと言い出したのです。

 

奥山の大規模人工林化とわずかに残された自然林の荒廃によって、本来のクマの生息地が失われてしまっています。相手を思いやるやさしい心が少しでもあれば、人間としてクマたちに申し訳ないと謝らねばなりません。

しかし、あろうことか、兵庫県は、クマの命をレジャーやスポーツとしての「狩猟」で殺してくださいとハンターたちに差し出そうというのです。

私たちは胸の痛みに耐えかねて、兵庫県井戸知事をはじめ、担当職員、兵庫県森林動物研究センター研究員たちに、生態系保全上、人道上、教育上、この様な殺し方を、やめて下さいとお願いしています。・・・県庁記者クラブで、一生懸命説明しました。

 

兵庫県には、東中国山地地域個体群(氷ノ山山系を中心とした、岡山・鳥取をまたぐ個体群、絶滅のおそれのある地域個体群)と、近畿北部地域個体群(豊岡市から京都府の丹後半島にまたぐ個体群)の2つのクマ個体群が存在しています。当会では、そのどちらの生息地も何度も歩いて調査しています。自動撮影カメラをあちこちに設置してクマの生態調査もしています。1か月に1分間、通過するクマが写ればいいとこです。体が丸見えのこんな山には臆病なクマは棲めません。

 

下層植生を失った山に追い上げ、クマを撃つ非人道性

ここで撃つのです

2014.10.17南尾根③

東中国山地地域個体群 (2015年10月)

ここで撃つのです

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近畿北部個体群(2016年4月)

山の中がどこまでも見渡せるこのような荒廃した自然環境で、人は一方的にクマを撃つのです。クマの方は丸腰です。

狩猟はスポーツといわれますが、こんな狩猟は不公平そのものです。しかも、マタギの時代と違って、銃の性能は飛躍的にアップしており、5km以上も!飛弾できる望遠鏡つきライフル銃です。その上、奥地まで舗装された林道が完備されており、人間は楽々車で移動です。ゲームといっても、初めから勝負が決まっています。いじめそのものです。

 

県庁担当者は、山の恵みは昔からいただいてきた当然なものと言われますが、長野や東北地方のマタギと違って、兵庫県の歴史にはそのようなクマ撃ちはいません。

日本はクマを狩猟獣に指定しているから、狩猟するのは当然とも言われましたが、狩猟実施県は、山が深くて下層植生が生い茂っています。20年前の兵庫県の自然林は、下層植生に覆われたもっともっといい山でした。

明治以降、日本が狩猟を導入したことが良かったのかどうか、このあたりで考えねばならないことですが、今回それは置いておくとして、とにかく、こんな逃げ場のない山で狩猟再開などむごすぎると思うのは、私たちだけではないはずです。

 

県の、増えすぎたという生息数の推定方法に重大疑問

指摘済みに付きカット

 

被害防除・自然林再生こそ全力で

クマが集落に出て来て困っている地元のみなさんのために、兵庫県がすべきことは、短期的には誘引物の除去、追い払いや草刈りなどの人里での被害防除です。どうしても困る時は、ハチミツ以外の誘引物を使った有害捕獲、中長期的には奥山自然林の再生です。

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炎天下、地元からの依頼を受け、クマがが潜みそうな場所の草刈りに励む熊森ボランティア

 

地元は過疎化高齢化で被害防除が思うように進みません。

野生動物たちとこの国で棲み分けるには、野生動物が潜めないように、人里を昔のように見通しの良い場所にしておかねばなりません。

若者のみなさん、都市市民のみなさん、年に1回でもいいので、熊森のボランティア活動に参加されませんか。

仲間はみんな優しいし、心身の健康にもとてもいいです。

私たちは、都市と郡部、お互いに助け合って生きて行く国を作っていきたいと願っています。(完)

 

 

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