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2016-10

クマ狩猟を実施している岐阜県のクマ生息林調査

熊森本部は、10月16日、研究者にもご参加いただいて、総勢9名で岐阜県のクマ生息林を兵庫県の山と比較しながら調査しました。

初めに調査した山は奥飛騨にある山で、70年程前に1度伐採されています。そのため、先駆種のカバノキ科やシデ類が多い林でした。下層植生はオタカラコウにそっくりのメタカラコウや、オオイタドリ、アカソ、アキノキリンソウ、カメバヒキオコシ、マルバユキザサ、マルバフユイチゴなどです。

 

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奥飛騨のクマ生息林

この山の向かいにある国有林は、森林遷移の最終である極相状態の非常に豊かな山です。天然のブナやミズナラと、クロベ、チョウセンゴヨウ、サワラ、シラビソ、オオシラビソ、トウヒなどの針葉樹が生えています。将来的には、このあたりの山は、伐採後放置すると、この国有林のような針広混交林に遷移していくと思われます。

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国有林

国有林内はササが繁茂していました。ここには、20年前の兵庫県の山の姿が残っていました。クマ狩猟を認める訳ではありませんが、こんな林なら隠れ場があり、そう簡単にはクマも狩猟されないだろうと感じました。

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部分的にササが一斉開花しているところがありました。

 

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チマキザサ?チシマザサ?この時期の判別はむずかしい。

 

この辺りの地質はとても崩れやすく、あちこちで崩れていました。山が崩れることも自然なので、人家に影響がない限り、放置しておけばいいと思います。

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ところどころ、巨大な堰堤が造られていますが、それにヒビが入っていました。

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この日は、この下流の宿に宿泊しました。この堰堤が崩れたら集落が影響を受けると言われて、そういう場所では何とかしなければならないと思いました。

宿舎で、御主人からイヌワシやクマの話を聞きました。

地元の人達にとって、クマがいるのは当たり前だそうです。庭のクリの木にもクマが来るそうです。クマを見かけて通報するのは観光客だと言われていました。

クマの存在を許容している人々は、このような奥地に行くと今でも全国どこでも普通におられます。クマは本来、平和愛好家で、人と共存できる動物なのです。兵庫のクマの専門家と呼ばれる研究者のみなさんに、この真実を知っていただきたいです。

 

次の日、10月17日は飛騨高地にある白川郷の近くの山を見に行きました。

このあたりは自然林がとても多くて、動物が棲めそうな山がたくさんありました。

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カモシカの角研ぎの跡がありました。

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チョウセンゴヨウマツについたカモシカの角研ぎ

 

古いクマの爪痕も見つけました。

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ウワミズザクラについたクマの爪痕

 

林道を1時間ほど車で走っていると、突然、車の10メートルほど前を、黒い大きな動物が一瞬横切りました。クマかカモシカでしょう。

樹齢120年ほどのブナ林や、遷移段階の白樺林、その上には樹齢200年ほどのブナ帯など非常に豊かな植生でした。また極相状態の針広混交林も残っており、動物にとってはいろいろな種類の自然林が点在する本当にいい場所だと感じました。

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岐阜県の人工林率は、県平均44%で、林業県として有名です。しかし、奥地にはまだ豊かな自然林がたくさん残っていることがわかり、ほっとしました。地方や県によって、山のようすが随分違います。

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ここは道路を作ったからでしょうか。山が恐ろしく崩れていました。

山も野生動物も、人間が手を付けると、取り返しのつかないことになっていきます。

今回、日本にまだ残っていた動物の棲める森に入っていろいろと勉強することができ、幸せでした。わたしたち人間の心身まで豊かになりました。(但し、お年寄りは、山の樹木の葉の量や実りの量が昔と比べて激減していると嘆かれます。昔を知らない私たちには、本来の自然がわかりません)

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県クマ狩猟希望者140人募集に、2つの重大な計算ミス(追加編)

兵庫県が今回140人の狩猟者を募集しているのは、計算ミスによるものです。

 

①坂田宏志氏のツキノワグマの個体群動態の推定(兵庫県2015 年)によると、

 

2015年の個体数は、人為的死亡個体数を引く前の段階で中央値940.0頭(90%信頼限界では691.1~1,212頭)、2015年末の段階で中央値919.0頭(90%信頼限界で670.1~1,191頭)で、2014年から個体数が増加していると推定された。

 

と書かれています。

 

ならば、2015年の有害捕獲後のクマ数は919頭ですから、2016年度は119人しか狩猟者を募集できないはずです。

 

 

②さらに、環境省の安定生息数800頭に、兵庫県はこだわっているようですが、環境省は、成獣が800頭いれば安定としています。

 

兵庫県が環境省規定に従ったというのなら、919頭の推定総数のうち、成獣ではない数を引き去らねば安定個体群かどうか判断できません。

 

実際の兵庫県のクマ数で計算してみます。

4 歳以下が幼獣・亜成獣とされていますが、

兵庫県のクマ総数からから、とりあえず1歳及び2歳の幼獣数を引き去ってみましょう。

兵庫県の発表によると、

2015年の終わりの熊生息推定数総数は919頭です。

2014年の終わりは、813頭ですから、1歳グマは919-813=106頭います。

2013年の終わりは、688頭ですから、1歳グマは813-688=125頭誕生したはずです。

兵庫県は生まれた子グマの生存率を0.933としているので、1年後に生き残った2歳幼獣は、125×0.933×0.933=108頭となります。

つまり、2016年の初めに於いて、熊生息推定数総数は919頭であり、1歳児2歳児の合計106頭+108頭=214頭を引くと、成獣は705頭です。

兵庫県が環境省の規定に従うためには、2016年頭のクマ成獣は705頭ですから、2016年度は1頭も狩猟できない訳です。

 

10月11日の井戸知事の記者会見で知事に「推定生息数が絶滅する恐れが当面ないレベル(800頭)を上回る940頭まで回復してきたと推計されています。」と言わせた担当部署の認識ミス・計算ミスは、大きな責任問題だと思います。クマの命を奪う兵庫県の計算がいかにずさんなものであるか、推して知るべしです。

 

喜びも悲しみも人間と同じようにあるクマの命を、数合わせゲームのようにもてあそぶ兵庫県のやり方に乗りたくはありませんが、乗ったとして、この2点を計算し直して、狩猟者数を募集し直すべきです。きちんとした数が出るまで、狩猟希望者の募集は中止すべきです。

 

当協会は10月8日、兵庫県当局に対してこの件で公開質問状を提出しました。

お返事が来たら、ブログでご紹介します。

猟友会員のみなさんに告ぐ・・・兵庫の山は大荒廃、クマ狩猟者に登録しないでください

兵庫県は、10月11日か~10月26日までの期間、クマ狩猟希望者(定員140名)を募っています。

 

私たちはこれまで、何人もの兵庫県のクマ生息地(但馬地方)の猟友会の方々が、クマを狩猟したい猟友会員などまわりにいないと証言されるのを聞いてきました。

10月17日の神戸新聞にも、以下の記事がありました。(一部抜粋)

 

同センターが昨秋、猟師約850人に実施したアンケートでは「クマを撃ち たい」としたのは15%。禁猟前には養父市で4頭を狩った丹波市の男性も数年前、猟 銃を手放し、「知る限り、周りに進んでクマを撃ちたいという猟師はいない。犬を殺さ れることもあり、銃を持っていても怖い」と話す。

 

猟友会員のみなさんは、誰よりも兵庫の山をご存知です。兵庫のクマが人間に生息地を破壊されて生きていけなくなっていること、食料を求めて集落の周辺に出てきて目撃数や捕獲数が増えているが、それと生息数が増加したかどうかは関係ないこと、クマは爆発増加などしていないこと、みんな感覚でご存知です。

 

森林動物研究センターの研究員と県の担当者が組んで、兵庫のクマが爆発増加したことにしていく様を、茶番だと笑っておられたのは猟友会のみなさんです。今のように生息地を破壊したままクマ狩猟を再開したら、クマが滅びてしまうことがわかっておられるのも、猟友会のみなさんです。狩猟を再開することによって、獲り過ぎてしまうのではないかと大変危惧されていましたね。

 

兵庫県の猟友会員のなかには、高いお金を払って、海外へライオンなどを撃たせてもらいに行っている人もいるようです。丸腰の猛獣の命を高価なライフル銃で奪うことが、快感を伴う遊びになっているのでしょう。

そのような人が今回のクマ狩猟再開に応募されるのではないかという猟友会員の声も聞いています。

 

誰よりも山のことクマのことを知っておられる猟友会員のみなさん、どうか兵庫県のクマ狩猟に応募しないでください。

 

今回兵庫県が、クマ狩猟を再開するにあたって、猟友会の声と地元の声を聞かなかった理由は、狩猟を再開すべきという声がないことを知っているからでしょう。

 

一体誰が兵庫のクマ狩猟を再開したいのでしょうか。

 

 

 

 

 

10月13日 とよ君近況

とよは、お寺のみなさんの愛情を毎日たっぷりと受けて、とても元気に育っています。

くまもりお世話隊も、とよの世話をそれはそれは楽しみにして、毎週木曜日に出かけています。(参加希望の方は本部までご連絡ください)

プールの給水係も、とよの為にせっせと水を運んでいます。(こちらも手伝ってくださる方を募集しています)

 

会員作製の、とよ君の専用水飲み容器(ステンレス製)が新しく設置されました。

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すごく立派です。これで、こぼさずに済むね。

 

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さっそく、とよはジャボジャボ水を飲んでいます。

 

秋になって、食い込みがどんどん進んでいます。ドングリを集めて下さる方々から届いたドングリです。

秋になって食べるものは、ブドウ・栗・ドングリ・柿・リンゴなど(好物の順)です。

ドングリは、コナラ・アベマキ・クヌギしか食べません。お送りくださる前に種類のご確認をお願いします。

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うれしいな みなさんありがとう(最近1週間の食べ物:クリ・ドングリ40㎏+果物+クマフード)

 

ひさしの上に置かれた柿を発見

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クマだからね、こんなところにさっと登れるよ

 

木の上につるされたブドウを発見

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クマだからね、木にも簡単に登れるよ

 

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お世話隊のみなさん、いつもありがとうございます。

 

これまで獣舎に入れられたとよを不憫に思っていたけれど、兵庫県の山にいたら今年から、スポーツやアウトドアとして、山にひっそりいるだけで人間にライフル銃で撃ち殺されるんだよ。

痛いだろうな。つらいだろうな。どんなに悲しいか。クマだって人間と同じ心を持っているのに、それがわからない人たちがいるのかな。

銃で撃たれても、野生の方がクマにはいいという人がいるけれど、自分が撃たれることがないからそんなこと言っているんだろうな。

 

 

 

兵庫県知事、ツキノワグマ狩猟20年ぶり解禁決定を発表

兵庫県井戸敏三知事は10月11日の定例記者会見で、ツキノワグマ狩猟20年ぶり解禁を発表しました。

 

以下は、10月12日に放映された NHK  News  Up 20年ぶりクマ狩猟再開へ 保護との両立は?です。

 

兵庫県でも目撃増加

兵庫県では、今のところ人的被害はありませんが、ここ数年は、人里近くでもクマの目撃情報が数多く寄せられるようになりました。目撃の件数はことしに入って9月までに334件で、6年前から多い状況が続いています。
このうち、兵庫県中部にある多可町ではことし6月、クマが道路を横切る様子がドライブレコーダーに写りました。現場はこれまでほとんど目撃がなかった地域にあり、町では山登り大会が中止になるなどの影響も出ています。
また、クマの目撃が増えている県北西部の養父市では、地元の警察が目撃地点や時間帯をまとめた地図を配って、住民に注意を呼びかけています。

 

出没の理由は

クマの出没が増えていることについて、兵庫県森林動物研究センターは、ツキノワグマの生息数の増加と行動範囲の拡大によるものだとしています。
センターによりますと、県内のツキノワグマの生息数は現在、推定で940頭。兵庫県が狩猟を禁止して保護を始めた20年前は100頭未満だったとされ、およそ10倍に増えたことになります。さらに、ことしは、えさとなる木の実が不作で、食べ物を求めてクマの行動範囲が広がったとセンターは見ています。

 

クマの狩猟解禁へ

このままでは人が襲われる被害が起きかねないとして、兵庫県はツキノワグマの狩猟を20年ぶりに解禁することを決めました。狩猟期間は冬眠前で動きが活発になる時期に合わせて、11月15日からの1か月間とされました。また、生息数を減らしすぎないようハンター1人につき1頭の捕獲を許可し、県全体での捕獲数は140頭までとなりました。ツキノワグマは絶滅のおそれがあるとして、九州、四国、中国の各県や東京都や京都府など22の都府県が狩猟を禁止していますが、解禁を決めたのは兵庫県が初めてだということです。

 

反対の声も

この決定に対し、兵庫県内の自然保護団体は「狩猟の解禁で再びクマが絶滅の危機にひんする」と反発を強めています。この団体は6600人余りの反対署名を県に提出して、「クマが人里に出没するのは環境の悪化が原因であり、生息数が増えたからとは言えない。狩猟が始まれば、クマが人間を怖がり、事故を引き起こすおそれがある」として狩猟の再開を取り消すよう求めています。

 

今後の行方は

兵庫県は「人的被害を避けるためのやむをえない措置だ」として、理解を求めていくことにしています。また、ハンターが捕らえたツキノワグマについては、兵庫県が発育の状態や繁殖経験の有無などを調べ、今後の保護政策に生かしたいとしています。来年度以降も狩猟を認めるかどうかはいまのところ未定で、人的被害の未然防止と野生動物の保護をどう両立させていくのか、兵庫県の今後の取り組みが注目されます。

 

 

(熊森から)

兵庫県では、クマの生息地であった奥山冷温帯の多くの山が、人工林も自然林も人間活動によって大破壊されており、もうクマたちが棲めるような状態ではありません。兵庫の奥山を1度でものぞいてみたことのある人は、年々棲めないまでに劣化していく奥山と、過疎化高齢化が進む人里を見て、クマの人里現象を理解できるはずです。

人間のためにも、被害防除と生息地復元を!殺さない対策が一番優れており、それ以外は、一層生態系を混乱させて失敗に終わります。

 

今回、狩猟再開反対の声があることを取り上げてくださったのは、NHKだけでした。本当にありがとうございます。これからも受信料を払おうという気になりますね。異論のあるものに対しては、両論載せてくださらないと、一般国民は何が正しいのか考えられません。

 

クマ狩猟再開の問題点に気づき、中止を求めてきたみなさん、10月末に予定されている第2次集約に向けて、今後も黙々と反対署名を集めていきましょう。本部では、他生物に畏敬の念を持つ祖先のやさしくてすばらしい文化を守るために、次の動きを考えています。みなさん、がんばりましょう。

滋賀県にある熊森トラスト地は今

10月11日、滋賀県高島市にある熊森トラスト地211ヘクタール(2015年度に購入した国・県・山主による分収造林地)を見に行きました。

トラスト地に行くまで林道が、2か所崩れていました。

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1つ目の崩壊か所

 

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2つ目の崩壊か所

 

ここからが熊森のトラスト地です。

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くま森のマークがついたビニールテープ発見

 

トラスト地に入りました。ここは、本来スギの人工林のはずですが、植林後の手入れが足りなかったんでしょうか。広葉樹林になってしまっていました。この光景は、兵庫県や京都府の奥地と同じで、残念ながら、下層植生がほとんどありません。

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クマは棲めないなー

 

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このあたりの材は良く育っているので、早く入札を掛けて主伐してほしいな

 

この後、国の分収造林地を管轄している森林総合研究所の事務所(京都市)へ行って、来年12月に55年契約が切れるので、どのようにして山を返してもらおうかと、係官のみなさんと長時間懇談しました。現在はまだ契約期限が切れていないので、熊森が山主ですが、地上権が取り上げられたままです。早く山主に山を返してもらって、全山動物の棲める自然林に戻していきたいと思います。とても楽しみです。

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交渉に参加した、森山会長、室谷副会長、村上滋賀県支部長、熊森本部スタッフ3名が、森林総研の担当者から説明を受けているところ

兵庫のブナ豊凶調査

熊森本部が単独で、兵庫県クマ生息地のブナ・ミズナラ・コナラの豊凶を調査し、データ化し始めて4年になります。

今年も9月中旬に1週間ほど掛けて調査してきました。

 

他のドングリは、木を見るだけで調査が終了しますが、ブナの場合は、充実種子(種の中に、食用となる部分が入っている)か、シイナ(種は殻だけで、中身なし)か調べなくてはなりませんから、大変です。実を事務所に持ち帰って、一つずつ殻の中を開けて調べます。

 

クマは、調査などしなくても、春からブナの豊凶がわかるようで、ブナが凶作の年は早めに下へ降りてくると言われています。また、充実種子かシイナかは、殻を割って中を見なくてもわかるようで、充実種子だけを食べると言われています。本当かどうか調べたことはないのですが、人間にはない高い能力があることは十分に考えられます。

 

今年も、ブナの豊凶は、14か所の山で調べました。1つの山で、標準木を十数本決め、全体としての豊凶を判断しています。

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ブナの実り

 

大凶作・・・11か所

凶作・・・2か所

並上・・・1か所

 

去年と打って変わって、ほとんどのブナに実りを見つけることが出来ませんでした。

といって、豊凶が規則正しく変化しているのかというと、そうでもありません。

3年連続凶作の山もありました。

しかし、多くは、それなりに実りのあるなしが交互になっていました。

今年、ブナの実りがあった山は、1か所だけです。去年この場所のブナは、凶作でした。実りがあったと言っても、その中でもまた個体差があって、実がついている木もあれば、全く実りのないブナの木も何本かあり、複雑です。

自然界は、人間が絶対にコントロールできない世界です。

ということは、これらの実を食べて生きる動物たちをコントロールすることも、人間には絶対にできません。

エリートと言われる学者先生たちが、どうしてこの事実に気づかれないのか本当に不思議です。

 

今年のシイナ調査はこの山だけでいいので、簡単です。

持ち帰ったブナの小枝を観察してみました。

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持ち帰った時は、殻斗(かくと)がしっかり閉じていましたが、今は乾燥したためか、完全に開ききっています。

そばで改めてみてみると、殻斗は毛むくじゃらです。

何のために、こんなに毛が生えているのかネットで調べてみましたが、答えはわからないそうです。

葉が乾燥してすごく丸まっています。葉脈がくっきりと浮かび上がっています。

自然に黄葉した葉は平らなままなのに、ふしぎです。

枝の先には、来年の芽がきっちりと、もう用意されてついています。

用意周到です。

 

追加

乾燥した殻斗(かくと)を水の中に入れて帰りました。

翌日見ると・・・

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水分を吸うと殻斗(かくと)は丸く閉じることが証明されました。

 

 

さて、1つの殻斗から、ソバの実そっくりの実?種?が、2つでてきます。

ここのブナの調査結果は・・・

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ブナ     充実種子      シイナと虫食い

 

充実種子 49個  61.3%

シイナ   22個  27.5%

虫食い  9個   11.2%

 

シイナ率3割というのは、まあいい方だと思います。食べてみるとピーナツみたいで、人間にとっても、とてもおいしいです。

それにしてもこんな小さな実、相当食べたところで、お腹の足しになるとは思えません。

厳しい自然界の中で、こんな小さな実を必死に食べて冬籠りに備えようとしている森の動物たち。

一方、今や大飽食している人間です。

レジャーだスポーツだとして、山の中に潜んでひっそりと一生懸命生きている動物まで撃ち殺す権利が、人にあるでしょうか。

クマ狩猟再開反対。

 

今年から、アベマキや、液果であるヤマブドウ、ミズキ、サルナシの豊凶も調べることにしました。

 

 

10月7日 兵庫県クマ狩猟再開の中止を求める署名を兵庫県に提出 NHKテレビニュース報道文

前回ブログで、NHKオンラインのテレビニュース記録文を全文コピペして、ブログに掲載しましたところ、ブログを読まれた方から、実際に報道された内容と一部違うというご指摘がありましたので、あわててチェックし直しました。

 

以下に、報道された内容を、くまもりが確認して文字化しました。

NHKテレビニュースより   2016.10.7 18:30~

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きのう兵庫県が、20年ぶりにツキノワグマの狩猟を解禁するというレポートをお伝えしましたが、これに反対する自然保護団体が、6600人分の署名を集め、解禁の見送りを県に求めました。

「これだけの人が狩猟再開に反対していることを、本当に重く見ていただきたいと思います」(森山会長の発言が抜けていた)

ツキノワグマは、絶滅のおそれがあるとして、22の都府県が、狩猟を禁止していますが、このうち、兵庫県は、県内では生息数が増えて、集落への出没が目立つようになったとして、猟を20年ぶりに解禁する方針を固めています。

これについて、西宮市の自然保護団体、「日本熊森協会」は、「再び絶滅の危機にひんする」として、反対する6600人分の署名を集め、7日、兵庫県庁で、秋山和裕環境部長に署名簿を提出しました。

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このなかで協会側は、「クマが人里に出没するのは、環境の悪化が原因で、数が増えたからだとはいえない。猟が始まれば、人間を怖がり、人身事故を引き起こすおそれがある」として、解禁を見送るよう求めました。
これに対し秋山部長は、「署名をしっかり読んで、思いは受け止めます」と応じていました。
協会の室谷悠子副会長は、「県は、(狩猟再開は)人身事故を防止するためだと言いますが、その効果があるかどうかもわからない。県民を理解させるだけの理由がない。(違う文面になっていた)」(と話しました。)

 

 

都会のコナラ

今年の兵庫県阪神間の山にはびっくりです。ナラ枯れがひどいのです。山が真っ赤です。枯れているのはコナラです。

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芦屋市民病院裏山 9月15日

 

ミズナラがなくてもナラ枯れが広がることがわかりました。

といっても、どの山も赤いわけではありません。隣の山は、青々としていました。

本当に不思議です。自然界の事は予測が立たないと改めて思いました。

枯れたコナラの幹を見に行くと、木くずが粉を吹いていました。

カシノナガキクイムシが来ていました。

 

山すその何本かのコナラの大木は豊作でした。

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豊作のコナラ

全く実がないのや、少ししかないのもあって、個体差が歴然でした。これも、不思議です。

毎年9月になると、山の実り調査に入り、一喜一憂しますが、都会のこの豊作コナラは、どの枝にも、実が実にびっしりと付いていました。

大豊作です。

昨年、高畠先生のご講演で、もし日本列島から人間がいなくなれば、クマは平地に住むはずと聞いたことを思い出しました。

理由は、山地より平地の方が大地が肥沃で、実りの量が各段に多くなるからだそうです。

改めて、人間様は、いい場所を取らしてもらっているんだなあと思いました。

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食べに来る動物はいないのでしょうか。道路の上に、実がたくさん落ちていました。

これまで山のドングリの豊凶ばかり調べてきましたが、都会のドングリの豊凶も調べてみたくなりました。

 

 

 

10月7日 兵庫県クマ狩猟再開の中止を求める署名 第一次集約分6623筆を兵庫県に提出

以下、 NHKテレビニュースより  2016.10.7 18時~

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全国でクマの被害が相次ぐなか、兵庫県が、ツキノワグマの狩猟を、20年ぶりに解禁する方針を固めたことについて、反対する自然保護団体が、6600人分の署名を集め、解禁の見送りを県に求めました。ツキノワグマは、絶滅のおそれがあるとして、22の都府県が、狩猟を禁止していますが、このうち、兵庫県は、県内では生息数が増えて、集落への出没が目立つようになったとして、猟を20年ぶりに解禁する方針を固めています。

これについて、西宮市の自然保護団体、「日本熊森協会」は、「再び絶滅の危機にひんする」として、反対する6623人分(ネット署名Change1435名+紙署名5188名)の署名を集め、7日、兵庫県庁で、秋山和裕環境部長に署名簿を提出しました。

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このなかで協会側は、「クマが人里に出没するのは、環境の悪化が原因で、数が増えたからだとはいえない。猟が始まれば、人間を怖がり、人身事故を引き起こすおそれがある」として、解禁を見送るよう求めました。
これに対し秋山部長は、「署名をしっかり読んで、思いは受け止めます」と応じていました。
協会の室谷悠子副会長は、「事故の対策として、狩猟を解禁するのは合理性がない。狩猟とは別の方法を考えてほしい」と話しました。

 

熊森本部から

本日第一次集約分を、兵庫県秋山環境部長に提出しました。署名を集めてくださったみなさん、本当にありがとうございました。

みなさんが一生懸命集めて下さったおかげで、テレビニュースにもなりました。

ネット署名Changeには、一人一人の胸打つコメントが付いています。提出にあたって、昨日、全員の署名をコピーしたところ、外国からの署名も結構入っていて、びっくりしました。

現在、第2期分を集めています。締め切りは10月末までです。まだの方は、明日から発送が始まる会報に、署名用紙を同封させていただきますので、これから集めてくださいますようお願いします。

 

森山会長らは、署名提出後、県担当者に、今からでもクマ狩猟再開を中止すべきであると、必死で訴えました。

 

フィード

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