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2019-09

【速報】愛知県支部が始動します!!

支部結成会に集まってくださったみなさんと

愛知県から、支部結成のうれしいニュースです。

愛知県には、発足当初から応援いただいている会員もおられ、支部が始動しかけたこともありましたが、これまで実質的な活動ができていませんでした。しかし、この度、平子恵美会長が支部長を引き受けてくださることになり、日本熊森協会23番目の支部である愛知県支部結成の運びとなりました。

本部から愛知県支部を立ち上げてほしいと言われ、そういう役割だったんだと「やります」と即答してくださった平子支部長は、室谷会長と同世代、副支部長の河西さんは大学生とフレッシュなリーダーでのスタートです。

右から平子支部長、河西副支部長、井原会計

9月28日、名古屋市内で、支部結成会が開かれました。愛知県での支部活動を待ちわびていた33名の会員が集まり、熱気あふれる会となりました。

室谷会長もお祝いに駆け付け、たくさんの人とつながって、活動を広めていってほしいと激励しました。

愛知県は、全国で3番目にスギ・ヒノキの人工林率が高く、自然林がないためツキノワグマの生息環境も無く、絶滅危惧種になっています。支部が始動することで、愛知県でも、次世代のため、他生物のため、豊かな森を再生させる流れができていくことを期待します。

愛知県の人工林分布図。オレンジの部分が人工林。ツキノワグマの棲みかとなる自然の森はほとんどない。

日本熊森協会は、そこに住む人たちが、自分たちの住む地域の自然や野生動物を一番守ることができるという考えのもと、会員による地域での自然保護活動を推進しています。

愛知県支部では、今後、澄川嘉彦監督の「大きな家~タイマグラの森の子どもたち」の上映会、室谷悠子会長の講演会などをしながら熊森活動を広め、森林環境譲与税で天然林再生を進める流れも作っていきたいということです。

愛知県のみなさま、ぜひ、愛知県支部の活動にご参加ください!

やはりそうだったのか 千葉県の長期停電の原因となったスギの放置人工林

台風15号による千葉県のあまりにも長期にわたる停電に、くまもりは絶句です。

多くの人々や飼育動物たちが、暑い中、どんなに苦しい日々を送らねばならなかったことだろうかとお察しします。

心からお見舞い申し上げます。

千葉県が台風被害被害を受けたと聞いて、私たちがすぐに頭に浮かんだのは、千葉県の山の53%という高い人工林率です。

放置人工林のスギが沢山倒れただろうなと思いました。しかし、千葉県の森林率は31%と低いから、それほど被害はなかったかなとも思いました。

 

以下は、朝日新聞9月23日記事です。

 

停電の千葉、まるで終戦直後

台風15号で千葉県に大きな被害が出てから23日で2週間。千葉県東部の山武(さんむ)市では一時、総戸数の約6割が電気を断たれた。特産の山武杉(さんぶすぎ)が次々と倒れて電線や電柱を直撃、停電は広範囲で10日以上つづいた。林業の衰退で放置されたスギに病気が広がったことが背景にある。

 

 

 

 

 

 

 

スギの倒木が路面を埋め尽くし、電線や電柱にもたれかかる。9日の台風通過後、面積の約3割を森林が占める山武市のあちこちに、そんな光景が広がっていた。停電が解消された23日になっても、電線などの補修作業が続いた。

市の山間部の民家は杉林の中に点在し、林に沿うように電線がつながる。そこに倒木が相次ぎ、停電が広がったとみられる。

東京電力パワーグリッド千葉総支社によると、同市では9日、山間部を中心に、総戸数2万9600戸のうち最大1万7700戸が停電。同社が市全域での復旧を確認したのは、21日午前0時47分だった。

「終戦直後のような暮らしだった」

山間部で落花生を作る男性(81)は、10日以上続いた停電をそう振り返る。

 

蔓延する病気がスギの倒木を拡大

県によると、山武市周辺では250年以上前から特産の山武杉が植林されている。幹が真っすぐで太さに偏りがないため、建材などに使われてきた。

ただ、菌により幹の外側が腐る「スギ非赤枯性(ひあかがれせい)溝腐病(みぞぐされびょう)」にかかりやすい弱点もある。山武市では今回、溝腐病のスギが、7~8メートルほどの高さでポキンと折れる様子が各地で見られた。

倒木が相次いだ理由について、県森林研究所は「最大瞬間風速が50メートルに及ぶ、経験のない強風が最大の理由」と分析。さらに、市内の山武杉の林の約8割に蔓延(まんえん)する溝腐病が、倒木を拡大したとみる。

対策は進まない。同市は民有林の割合が95・7%(2017年)と高く、所有者は費用のかさむ伐採や植林を敬遠する。約5・5ヘクタールを所有する女性(72)は「高く売れるわけでもないのに、手入れを頼むと100万、200万円の単位でお金がかかる。どうしたらよいのか」ともらす。

倒木が助長した今回の停電について、千葉大学の小林達明教授(緑地環境学)は「スギの価格が低迷し、切っても販売先がないため、民有林は荒廃する一方という状態が長く続いている。集落に近い場所に森林がある千葉県では、起こるべくして起きた被害ともいえる」と話す。(熊井洋美)

以下略

 

熊森から

報道してくださったみなさん、ありがとうございます。

写真を見ると、倒れているのは戦後の拡大造林政策で植林されたスギです。

記事によると、山武杉は、昔から植林してきた特産のスギだということです。

地域によって事情はまちまちですから、他所に住んでいる者が断定はできませんが、しかし、昔は1ヘクタールに3000本というような密植はしていなかったのではないでしょうか。

当協会顧問の元徳島県木頭村村長の藤田恵氏によると、木頭村でも昔もスギを植えていたところがあるが、1ヘクタール600本だったので、間に自然に広葉樹が育って針広混交林になっていたということです。

県森林研究所は「最大瞬間風速が50メートルに及ぶ、経験のない強風が最大の理由」と発表されているそうですが、行政は、雨のせいや風のせいにして終わっていてはいけないと思います。自分たち人間のしてきたことを、この機会に反省すべきなのです。

利益追求第一で、あまりにも不自然な密植植林をしたことと、林業不振で手入れが出来なくなっていたことが、今回の長期停電の原因ではないでしょうか。

野生動物達を棲めなくした山は、人間にもしっぺ返しをしてきます。

これを機に、森林環境税などを使って、スギの単一林を針広混交林や広葉樹林に転換して、野生動物と共存する自然豊かな県土づくりをめざしてほしいと思いました。

不自然なものはやがて自然界が除去していくことになります。長い目で見ると、人間は自然の力になど勝てないのです。人間よ、謙虚さを取り戻そう!

「全てのゲノム編集食品の規制と表示を求めます」という署名

上記署名が、熊森に回ってきました。

 

遺伝子組み換え食品は表示が義務付けられていますが、環境省も厚生労働省も、ゲノム編集生物は規制対象外として食品表示も不要と決めたのだそうです。

本来自然界に存在しない生物を作ることは、研究者にとっては面白いことかもしれませんが、生命への冒涜であり、何が起きるかわかりません。

食品の安全上からも危険です。不自然なものは、一見便利に見えても、必ず負の側面を持ちます。

このような研究に歯止めをかけないと、ゲノム編集された生物が大変な問題を引き起こす恐れがあります。

 

ゲノム編集

 

私たち熊森は、神でもない人間が、超複雑なバランスの上に成り立っている<野生動物の個体数を調整する>ことなど不可能であると考えています。倫理上からも認められません。中途半端にしか自然というものを理解していない人が、自然改変を手掛けようとするのだと思います。

同様に、同じく、人間という浅知恵動物が、ゲノム編集することも私たちは認めません。

あまりにも傲慢です。

生物界が滅茶苦茶になっていきます。

ゲノム編集された食品を作らせない、買わない。

欧州司法裁判所は、すべてのゲノム編集を遺伝子組み換えと同様に、規制すると決めたそうです。

日本人はおとなし過ぎる。

危機感がなさすぎる。

みなさん、私たちもノーの声を挙げましょうよ。

 

ゲノム編集がどういうものかわかる動画(とてもわかりやすいです)

 

 

熊森から

可能な方に、以下をお願いします。

署名用紙をダウンロードして集めていただき、日本消費者連盟にまで送ってあげてください。

第2次集約は、2019年11月30日です。

ネット署名もあります。

 

ノーベル賞受賞・山中伸弥教授が「人類は滅ぶ可能性がある」とつぶやく

以下、9/22(日)ネット配信 FRIDAYより要約

 

「人類は滅ぶ可能性がある」

『シリーズ人体Ⅱ 遺伝子』という生命科学の最前線を視聴者に伝えるNHK番組の中で、iPS細胞の生みの親としてノーベル賞を受賞し、現在も生命科学研究の最先端を走り続ける京都大学山中伸弥教授(57)がつぶやいた。

 

生命の根本に関わる遺伝子まで操作することが可能になった現在、こうした生命科学が発展するからこそ生まれてくる「危険性」がある。

人類が滅ぶ可能性がある、という発言について、山中さんはこう説明した。

1万年後、私たちとは全然違う生物が、地球を支配していても不思議ではありません。

しかも、自然にそうなるのではなく、人間が自らそういう生物を生み出すかもしれません。

 

「一歩間違うと、新たな生物に地球の王座を譲り渡すことになります。いま、人類はその岐路に立っていると思います」

 

山中さんの懸念は、研究者の倫理観が低下して生命に対する畏れを失い、研究に歯止めが利かなくなった結果、人類が滅亡するかもしれないというものです。

 

山中さんは科学者、研究者に求められる姿勢として、「密室で研究しないこと」を挙げていました。

 

いま、科学の進歩は加速度的にスピードを上げている。この先、人類はどんな道を進むのか。

生命倫理の規範は、誰かがひとりで決めるものではなく、さまざまな立場の人の意見を反映して決めていくべきだ。

 

 

熊森から

 

研究というのは大変面白いものですが、人間は狂いますから、部屋に閉じこもって研究していると、往々にして、自分のしていることの是非がわからなくなっていきます。

研究者は博士号を持っていたり教授の肩書きを持っていたりするので、人々から一目置かれがちなのですが、実は大変危険な存在です。

なんだかんだと理由を付けて、研究内容を隠ぺいしようとする研究者がいますが、私たち国民の税金で研究しているのですから、私たち国民は、それを認めてはならないと思います。

 

 

 

北海道で、ヒグマと共存の流れを その1

動物写真家 安藤誠顧問のご尽力でクマ会議を開催

~釧路市・鶴居村~

昨年、顧問に就任していただいた世界的に有名な野生動物写真家で、ネイチャーガイドの安藤誠さんを訪ね、9月13日、14日に北海道釧路市、鶴居村にある安藤顧問の運営するウィルダネス・ロッジ、ヒッコリーウィンドに行ってきました。20年近く応援いただいている元衆議院議員・赤松正雄顧問も同行くださいました。

安藤顧問は、「今年は、マスが早めに遡上しているからきっとヒグマに会えるよ」と知床に連れて行ってくださりました。河口付近を望遠鏡で覗くと大量のカラフトマスがやって来ているのがわかります。安藤さんからは、嬉しくてたまらず、待ちきれなくて海に飛び込んでしまったクマを見たと教えてもらいました(もちろん、海の中ではマスたちの方が上手で捕まえることはできません)。

クマが現れるのを待っているとき、オジロワシもやってきて、見事にマスを捕まえる一瞬にも出会いました。

しばらく、待っていると、別の場所で待機していたスタッフから、橋の付近でクマが現れたという連絡があり、駆け付けると、マスを取りに来た若いオスグマに会うことができました。水に頭をもぐらせたり、飛び跳ねたり、必死でマスを探す様子は何とも言えない迫力があり、ついに会えたと、一同、感激のひとときでした。

捕まえたマスをパクリ。水見竜哉(熊森スタッフ撮影)

橋にはクマを観察している人たちがたくさんいました。「本当は、人がいる所に出て来たくないけど、隠れられる場所はベテランの雄グマがおり、若いクマは入っていけないからこんなところでマスを捕るしかない」「人が河口付近で、サケやマスを捕ってしまわないで、もう少しだけでも川を遡上できるようにすれば、クマたちはこんなに人に近いところに出て来なくてよくなる」と安藤顧問から教えていただきました。

知床から車で帰る道中に、道路のカーブでばったり、メスの4~5歳のヒグマと出会いました。クマはとてもビックリしたようで、さっと道路わきに車をよけ、しばらく必死で頭を隠していましたが(お尻が出ており、文字どおり「頭隠して尻隠さず」でした)、その後、車が近づこうとするとさっと、山へ逃げていきました。突然の人との遭遇に動揺し、困惑しているクマの気持ちが感じられるできごとでした。

ヒグマたちも本州のツキノワグマと同様、人間に遠慮して、できるだけ接触を避けて暮らしていることがよくわかりました。実際に、出会えたことでヒグマがより身近に、愛おしい存在になりました。

翌日は、釧路湿原を案内していただきました。湿原の脇には、まだ緑の実をつけたミズナラの森が広がっていました。北海道は下草も豊富で、森も豊かに残っていることを実感。スギ・ヒノキの放置人工林だらけで、本来の生息地が荒廃してしまっている西日本のツキノワグマたちにこの環境を分けてあげたいと思いました。

釧路湿原を背景に

14日、夜には、安藤誠顧問の呼びかけで集まった方々と「クマ会議」を開催。ヒグマやツキノワグマと共存していくために何が必要かを話し合いました。北海道の熊森会員や安藤顧問の写真仲間も駆けつけてくださりました。車で数時間かけて来てくださった方もいました。

室谷会長は、日本熊森協会の活動と本州のツキノワグマの現状をお伝えしました。

安藤顧問は、小さい頃からよく知っているメスのクマが、子どもを守るためにカメラマンを威嚇したら通報され、子どもの前で射殺されてしまったことを報告。人間の無理解で捕殺されてしまうクマがいかにたくさんいるか、正しい知識を持ち、備えをすることでクマたちと共存できることを伝えていきたいと熱く語りました。昨年度、ヒグマ約800頭、ツキノワグマは約2600頭が有害獣として捕殺されています。この中には、捕殺の必要が無かった事例もたくさんあります。

参加した方々からも、豊かな環境が残っている北海道だからこそ、自然もクマも失われないように守りたいといった声が出ました。北海道でも、ヒグマとの共存をめざし、人々のつながりができ始めていることを実感することができました。

安藤誠顧問の写真は、野生動物たちが感情豊かに生きている姿を伝えるだけでなく、自然や野生動物を愛し、共存したいと願う人たちをつなぐ力があります。

この秋、日本熊森協会では、安藤誠顧問の講演会を、福岡、神戸、東京で開催します。

美しい写真とともに野生動物たちの生きざまや、共存への思いを熱く語っていただきます。みなさまぜひ、お越しください。

※いずれも参加申し込みが必要です。

福岡市 10月20日(日) ボランティアセンターあすみん

神戸市 10月23日(水) 神戸国際会館セミナーハウス701号室 19時~

東京  11月3日(日) くまもり東京シンポジウム お茶の水女子大学共通講義棟2号館

 

 

クラウドファンディングへのご協力ありがとうございました!

若杉原生林の入り口で記念撮影

今年は、一人でも多くの子どもたちに原生林を体験させてあげたい!とクラウドファンディングを呼びかけました。

多くの方々にご協力をいただき、「子どもたちを原生林に連れていきたい!!~本当の森体験ツアー」を無事実施することができました。

(2019年8月4日 若杉原生林にて実施済み)

クラウドファンディングにご支援ありがとうございました。

早野 誠次 様

aimai 様

わだちゃん 様

Yumi Fukushima 様

ドラフト 様

中野会計事務所 様

kabu 様

さくら 様

松山祥子 様

近藤眞奈美 様

浩山 様

岩村菊代 様

森山なつ子 様

ほか30名の方からご支援をいただきました。

原生林ツアーの様子はこちらからご覧いただけます。

クラウドファンディングで子ども参加費を無料にしてみたら 第24回本部くまもり原生林ツアー

長野県八ケ岳火口に転落したクマについて、森山名誉会長がコメント 東京新聞9月5日24面

当協会はクマについて27年間、徹底した現場主義者の研究者たちと共に、みんなで調べ続けてきました。

マスコミの皆さん、クマのことは、熊森に聞いてください。

 

以下、東京新聞記事です。

 

クリックで拡大されます。

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とよ君 絶対安静の効果あらわれる?

みなさまこんにちは。

9月12日~14日までインターンシップをしております、S田です。

13日はクマのとよ君のお世話に初めて同行しました。

とよ君の近況報告に加えて、私の感じたこともお伝えできたらと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高代寺に到着するとさっそく、とよ君の獣舎の方から「ガタンッ(ごはんちょうだい!)」と物音がしました。

まず初めての顔合わせということで、人除け柵の内側に入って寝室の横へ行きました。しゃがんで挨拶すると、とよ君と一瞬目が合いました。良い目をした賢そうなクマだなと思いました。とよ君のほうはというと、「さ、ごはん ごはん」という感じで、少し足を引きずりながら寝室に入っていきました。長い食事制限に加えて、狭いスペースから出られないストレスがそろそろ限界なのでしょうか。何度もごはんを催促します。

 

バルコニーの様子は、敷いてある合板の上や、水入れの中にフンがたくさんありました。合板をガリガリかじっていたようで、木の屑も散らばっていました。獣舎の様子を一通り観察してから、職員の方がごはんを用意しました。

 

現在、とよ君は投薬はせず、運動制限をしている状況です。

すでに、とよ君の行動を寝室とバルコニーに限って1ヶ月以上が経過しています。

今日のとよ君は、病状がひどかった時を見ていない私には、少し後ろ足は引きずってはいるものの元気そうに見えました。一時は、腰が立たないので前足でからだを支えてズリズリ引きずりながら移動していたという話を聞いて、今のとよ君とのギャップに少し驚きました。

 

ただ、投薬や運動制限によって劇的に良くなったわけではありません。足の調子が良い日と悪い日があり、まだまだ病状は安定していないとのことです。

 

頻繁に会っていないと、とよ君のシグナルにも、からだの小さな変化にも気が付くことができないのだということを感じました。

そして、見るべきポイントをしっかり把握し、継続的に観察しているお世話隊のみなさんが、本当に貴重な存在であるということがわかりました。

 

その後 獣舎の掃除をして、何度かに分けてカキやリンゴを与えてお世話は終了しました。

 

とよくん、また会う日まで。

 

今年も冬ごもり用のドングリ集めをします。

アベマキ、クヌギなど本部までお送りください。

9月8日、兵庫県選出の国会議員が、荒廃した兵庫の奥山を視察

熊森本部は、国会議員のみなさんに、戦後の拡大造林政策で荒廃した日本の奥山を、現地でご自分の目で見ていただきたいとずっと願ってきました。現場で、五感で体感しないと、野生動物たちが悲鳴をあげているわけがわからないからです。

 

 

都市部から奥山まで視察に行くには、往復と現地滞在で、丸1日を要します。

国会議員のみなさんは超多忙です。

これまで熊森と奥山に入ってくださったのは、視察当時、兵庫県選出の国会議員だった赤松正雄氏と、石井登志郎氏のお二人だけです。

 

うれしいことに、この度、兵庫県選出の片山大介議員が、9月8日の丸1日を開けて、室谷悠子熊森会長らと共に兵庫県の奥山に入ってくださいました。

熊森本部の案内で奥山荒廃をご自分の目で見られた3人目の国会議員の誕生です!

 

この日、午前9時、車で神戸市を出発し、兵庫県北部の人工林地帯に向かいました。

人工林地帯に入ると、さすがに片山議員も「よくここまで植林しましたねえ」と、人工林率の高さに驚いておられました。

これまでも見て来られた風景だと思いますが、説明がないと、山を見ているようで見れていなかったのだろうと思いました。

 

この日は、9月に入ったというのに猛暑日。片山議員は熊森本部スタッフの説明を聞きながら、人工林、広葉樹植樹地、天然林と湧き水などを、噴き出す汗をぬぐいながら山に入って視察し続けてくださいました。また、地元リーダーの話を聞いたり、地元の人達と言葉を交わしたりもしてくださいました。

 

片山議員は、翌朝、東京での会議に出なければならないので、夕方まで奥山の視察を続け、夜の新幹線で東京に向かわれる予定でした。

ところが、あいにくこの日の夜、台風15号が関東地方を直撃する恐れがあるという情報が入り、新幹線が計画運行を発表。新幹線が動いているうちに東京に向かうには、午後3時に姫路駅に着いていなくてはならないことになりました。

残念ながら、最後に見ていただく予定だった若杉天然林の視察を中止せざるをえませんでした。若杉原生林は、また別の機会に見てくださるそうです。片山議員、本当にありがとうございました。

 

百年先千年先を見越して、今取り組まねばならない日本の奥山水源の森の緊急保全活動。このような私たちの市民活動を支援したところで、1円にもならない上、生きている間は評価もされないし、票にもつながらないと思います。

それでもいいので、この国の未来のために動きたいと時間を割いてくださる国会議員が目の前に現れました。国民のひとりとして、久し振りになんとも言えないすがすがしくて幸せな気分にひたることができました。

 

片山議員に続いて、かつてクマたちが多く棲んでいた奥山水源の森の荒廃実態を見ておこうと思ってくださる国会議員さんや地方議員さんがおられたら、ぜひ、当協会にお知らせください。経費は、当協会の会員の会費を使わせてもらいますので、無料です。

 

熊森事務所に帰り、今日撮影した写真を使ってさっそくこの日のブログを書こうとしたのですが、不注意で画像を消去してしまいました。がっくりしていましたら、片山議員が東京に向かう新幹線の中で書いてくださったと思われるツイッターが、片山議員のカメラに記録された写真と共にアップされていました。

 

片山大介議員のブログ>も、ご覧になって下さい。

 

 

ヒグマによる人身事故に、3識者の多面的なコメントを掲載した十勝毎日新聞社を讃える

クマ類の有害捕殺数は、すでに今年度7月末までに、ヒグマ287頭、ツキノワグマ1611頭にもなっています。(環境省統計より)

 

有害捕殺というと、クマが何か悪いことをしたような印象を受けますが、当協会のこれまでの調査では、動物としてそこにいたことや、そこにある何かを食べたことが殺処分理由になっており、ほぼすべてが誰にも知られず人間によって闇から闇に消されています。(クマだけではなく、現在、わが国では膨大な野生動物が日々有害捕殺されており、彼らも同様です。)

 

マスコミによってほんの例外的に報道されるクマは、やさしい人々から思いを寄せてもらうことができ、生きた証が残り、ある意味では幸せなクマです。

 

 

<以下は、門崎允昭 博士が代表をつ込める北海道野生動物研究所が発行している「北海道熊研究会会報92号」よりの抜粋>

 

今年7月11日と7月29日の午前4時台に、北海道日高系の十勝管内、札内川上流の八の沢源流上にある「カムイエクウチカウシ」頂上東側の圏谷カール」で、ヒグマによる人身事故が起きた。

 

この山頂(1979m)は日高山系第 2 の高峰で、50 ㎞間隔で3カ所ある一等三 角点の2つ目がある。私は(門崎)幾度も四季通じて登っており、 2月にスキーとアイゼンで、 八の沢から頂上に直登した事もある場所。熟知である。今回、羆に襲われた登山者 2 人も、 この八の沢から登山したもの。

 

私の見解:人を襲った個体は同じである。本気で襲っていない。個体は3歳代で襲った時刻 がいずれも午前 4 時台である。反撃されてその個体は、直ぐに、人から離れ、逃げている。 ホイスルを鳴らしていたら、襲われなかった事故である。 羆が居る可能性がある場所には、ホイスル(軽い、音が響きわたる)と鉈は必需品で有る事 を肝に銘じることである。この羆を殺すべきと言う者は、羆の生態に関する己の無知と自 然に対する傲慢さを恥よと言いたい。真摯に、羆や自然と向き合う事だ。そして発言せよ。

 

<以下、十勝毎日新聞より>

クリックで拡大されます。

 

熊森から

この事件に対して、帯広市にある「十勝毎日新聞社」は、3人の異なる識者の見解を掲載しました。

報道姿勢として、当然の基本ではありますが、行政発表や行政付き識者のコメントしか掲載しない新聞社がほとんどになってしまった現在のわが国では、快挙であり、大変すばらしいと思います。

多様な意見を伝えなければ、国民に考える力が付きません。熊森は、「十勝毎日新聞社」に大拍手を送りたいと思います。

みなさんは、この3者のコメントをどう思われますか?フェイスブックでコメントを出し合えればいいですね。

 

 

・悪は悪人が作り出すのではなく、思考停止の凡人が作る。

・多くの人が考え続けることで人間は強くなり、愚かな判断をし、破滅するという愚行から逃れられる。(女性哲学者ハンナ・アーレント)

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