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2022-11-05

2022年度ドングリ充足のお礼

みなさん、今年も公園のドングリを送ってくださってありがとうございました。おかげさまで飼育中のクマたちに今年必要なドングリは、もう十分充足しました。今後、新たに集めていただく必要はありませんので、よろしくお願いします。

尚、今年は山の実りの大凶作年ではないので、ドングリ運びはしません。

 

 

 

 

 

 

 

 

事務所に届いたドングリの山(これはほんの一例です)

 

毎年この時期、届いたドングリから出て来るゾウムシの幼虫対策に本部スタッフ一同大わらわです。ドングリの実をたらふく食べた幼虫はこの後、地面に潜って何年後かに、ゾウムシと言われる鼻の長い甲虫になって出て来るのです。

幼虫は小さくて足がないのに、潜るべき地面をめざして何メートルも移動し続けます。

事務所の前はコンクリートに覆われているので、地面というものがありません。ゾウムシの幼虫たちは、下水の蓋とコンクリートの間に少したまった土に頭を突っ込んで潜ろうと必死です。(幼虫には目がないのに、どうしてここに土があるとわかったのか不思議です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下水の蓋に集まって来たゾウムシの幼虫

 

うっかり踏みつぶしてしまわないように、本部スタッフ一同、一匹一匹そっとつまんで裏の花壇の土の上に持って行ってやります。そうすると、すぐ土の中に潜っていきます。

朝だけで下の写真くらいの量を拾います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドングリから出て来たゾウムシの幼虫

 

手のひらの上に置くと、とにかく何かに潜ろうと思うのか、手のひらをつついてきます。

一日何回もの幼虫拾いが必要で、結構大変です。そこで、いいことを思いつきました。

チリトリに入れた土にゾウムシの幼虫を誘導するのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾウムシの幼虫をチリトリの土に誘導

 

実験結果

ゾウムシの幼虫は、一匹たりともチリトリの土には向かってはくれませんでした。

あーあ。横向きや上向きには進まないのだ。

下向きに潜ることしかしないことがわかりました。

誰も教えもしないのに、本能ともいうべきものでしょうか。

 

 

クマたちにドングリを与えると、まず、ゾウムシの幼虫からおいしそうに食べ始めます。

以下は、皆さんから送っていただいたドングリを一日中食べ続けている11月4日のとよの動画です。

 

おかげさまで、とよは、もう今から冬眠しても大丈夫なくらい太ってきました。

ドングリを送ってくださったみなさん、本当にありがとうございました。

クマの太郎君の爪切り

10月16日(日)

和歌山県で保護飼育しているツキノワグマの太郎君の爪切りが行われました。

太郎君は32歳と高齢で、もうあまり動き回ったりしません。そのため、前足の爪が伸び放題になり、巻き爪となって前足に食い込んで血が滲み、痛々しい限りです。かわいそうなので、約2年おきに前足の爪切りを実施しています。

麻酔をかけて爪を切るので、獣医さんにお越し頂き、熊森職員の工藤と羽田が立ち会いました。

今回は麻酔針を撃つにあたって小型の空気銃が使われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

小型の空気銃

 

太郎君と鉄格子を隔てて隣で暮らしている2歳のツキノワグマのくまこを寝室に入れて、くまこの檻から獣医師の助手の方が麻酔針を発射しました。左の太ももに見事一発で命中!

 

 

 

 

 

 

 

麻酔針が刺さった太郎

 

針が命中してから約5分で太郎君は動かなくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太郎君ぐっすり

 

さあ、ここからは手早く作業をしなければなりません。獣医師の先生が大きなペンチを持ってきて、どんどん太郎君の前足の爪を切っていきます。

人間と違ってクマの爪には血管があるため、爪を切ると血が滲みます。

先生が素早く薬を塗って血を止める処置しながら、爪切り作業を進めます。

 

 

 

 

 

 

 

とても大きなペンチのようなもので爪を切ります。

 

 

 

 

 

爪切り中

 

10分もかからないうちに爪を切り終えました。最後に後ろ足の爪の状態を確認するために太郎君を持ち上げて移動させます。体重は100kg前後。大人3人がかりでやっと動かすことができました。

後ろ足の爪は問題ありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めた太郎君

 

太郎君はここからが大変でした。意識は戻っているのに麻酔がかかっているので体が思うように動きません。皆で「頑張れ!」と声をかけ続け、何時間も経ってようやく元通りに動けるようになりました。

 

獣医師の先生によると、脂肪が厚すぎると針が届かなかったり麻酔の効き目が悪かったりすることがあり、複数回麻酔銃を撃たなくてはならない可能性もあったようですが、一発で終わったので皆ほっとしました。

お忙しい中遠方から駆け付けてくださった獣医の先生方、本当にありがとうございました。

太郎君は麻酔による痛みや痺れをよく我慢してくれたと思います。

今回も無事に爪切りが済んで良かったです。

今回の爪切りを実施するにあたって、お世話隊のボランティアの皆様にも、大変助けていただきました。

いつも本当に、クマたちのお世話をありがとうございます。

 

 

一方、太郎君に麻酔を撃つため寝室に閉じ込められた元気いっぱいくまこは・・・

 

早く運動場に出してくれと言わんばかりに鼻息を鳴らしていました。

太郎君の爪切りが終わったので寝室から出してやると、さっそく、木の柱に登ったり、プールに入ったりとせわしなく動きつつ、訪れたお客さんにも興味津々のようす。

初めて出会った職員の羽田にも、「何か頂戴」と言っているかのようなそぶりを見せました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好きなサツマイモを食べてご満悦のくまこ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二足歩行で辺りをキョロキョロ

 

元気いっぱいに動き回るくまこを見ていると、皆、元気をもらえます。

 

熊舎の隣にはイノシシのぽぅちゃんが暮らしています。

お世話隊に背中を掻いてもらって気持ちよさそうに寝ころんでいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

イノシシのぽぅちゃん

 

和歌山の生石高原で保護飼育されている2頭のクマと1頭のイノシシに、皆さんもぜひ会いに来てください!

みんな地球の仲間たち、クマやイノシシと友達になれますよ。

 

いてもたってもおれず青森に④森山名誉会長青森講演

2022,10,15

午後は弘前市で、夜は青森市でくまもり講演会を開催しました。

急遽開催を決めたので、地元のくまもり会員さんたちも人集めをする余裕があまりなかったと思います。

無理を言って申し訳なかったです。

弘前会員のリンゴ農家の方は、リンゴの収穫で一番忙しい時だそうで出席できないということでしたが、電話で初めていろいろ話せて良かったです。

 

青森の講演では、まず、なぜ森を破壊してはいけないのか、なぜ人間の事だけではなく他の生き物たちのことも考えねばならないのかから話しました。

次に、自身が39歳の時に町内で計画された無茶な開発を止めようと、町内みんなで協力して住民運動を闘い、見事、開発を止めた話をしました。

その話の中で、町内の住民運動を指導してくださった隣町の大会社の社長から教わった合法で効果のある闘い方のコツを次々と紹介していきました。

青森の皆さんに参考にしていただき、山林破壊型の再エネにノーの声を上げていただきたいという強い願いからです。

お上にも限界がある。お上に頼っていてはだめ。

全生物のため、次世代のために、勇気を出して、市民がみんなで声を上げて、森を守る、自然を守る、国を守る、みんなで大人の役割を果たそうと熱く呼びかけました。

 

 

 

 

 

 

 

 

弘前会場

 

 

 

 

 

 

 

 

青森会場

 

弘前会場から青森会場まで、昨日の弘前会員とは別の弘前会員が車で送って下さり、この日もまた、会員さんのありがたみが身に沁みました。

 

青森会場では講演後、すでに再エネ自然破壊から青森の山を守ろうと活動されている青森市の若い女性が、講演の感想と共に、青森の森を守りたいという熱い思いを涙ながらに参加者の皆さんに訴えられました。会場は感動でいっぱいになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

涙なしには聞けなかった若い女性のすばらしい訴え

 

青森に行くまでは、関西人だからと反発を受けるのではないかとか、それなりに心配していましたが、講演会に来てくださったみなさんはすでに意識の高い方々で、十分わかり合えたのではないかと感じました。この日、新たに19名の方がくまもり会員になってくださいました。

兵庫県から青森まで行くのは大変でしたが、思い切って行ってみて良かったです。今後もみなさんとお付き合いしたいです。みちのく風力発電白紙撤回まで、共にがんばりましょう。

この日の青森市での講演は、講演会に出席してくださっていた青森経済新聞とデーリー東北の記者さんが記事にしてくださいました。感謝です。

 

今回、本当に、いろいろな方にお世話になりました。この場を借りて、心からお礼申し上げます。

 

この後、私たちは福島県で2010年から熊森をずっと応援してくださっている郡山の酒造会社仁井田本家あぐりの仁井田社長を訪ねました。

 

 

 

 

 

 

 

 

仁井田本家あぐり

 

この時のことは、次の会報113号で、会員の皆さんにお伝えしようと思います。お楽しみに。

いてもたってもおれず青森に③すさまじい自然破壊の新城山田メガソーラー(青森市)

2022,10,15

この日は市議選公示直前の青森市議が、超お忙しい中、建設中の新城山田太陽光発電建設現場105ヘクタールを早朝に案内してくださいました。

すでに稼働中のメガソーラーも近くにあります。

 

工事現場から泥水が流れ込んで泥が川に堆積し、以前数十メートルあった川幅が数メートルの細さになってしまっていました。新しくできた泥河原にヤナギなどが生えてジャングル状態です。川の生き物たちは死に絶えたのではないかと感じました。

積もった泥を浚渫する必要がありますが、気が遠くなりそうです。第一、誰が責任を持ってやってくれるのでしょうか。

山林破壊型メガソーラーは、建設地以外にもデメリットをもたらすことがよくわかりました。すぐ目の前は、陸奥湾です。海や漁業にも大きな負の影響が出ていることが予測されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泥川となった川(市議さんのフェイスブックから)

 

工事現場の近くまで歩いていきました。

道にはシバグリやミズナラの実がたくさん落ちています。

この辺り一帯は様々な生き物たちが生息する豊かな雑木林であったことがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工事現場に向かう道

 

工事現場が目の前です。朝7時台というのに工事の音がどんどん響いてきます。毎朝7時から工事が始まるそうです。

近隣の方は苦情を言われないのだろうか、不思議です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽光パネル設置現場

 

残念ながら、業者が買い取った土地なので、私たちは工事の様子を見に入れません。

市議であっても入れないのだそうです。ドローンで見るしかないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドローン撮影

 

ここは火山灰地なので、石や岩が全くない土質です。専門家にドローン映像を見てもらうと、盛り土したところは全て今後、雨の度に崩れ続けるということです。このような土質の斜面を開発したことが、すべての失敗の原因だそうです。

樹木を伐採したので、雨水がしみ込まず山から流れ出てしまいます。洪水が起きないように、大きな池を山の下に作っていますが、やがて埋まってしまうでしょう。

隣接する田んぼが、太陽光発電造成地から出た泥で埋まってしまっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泥で埋まった田んぼ(市議さんのフェイスブックから)

 

この工事が始まってから、サルの群れが隣接する新興住宅地に出るようになって、住民の皆さんは困っておられるそうです。サルたちが有害獣駆除で捕殺されていないか心配です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣接住宅地

 

こんな無茶苦茶な事業が合法であること、国も県も市も工事を止めようとしないなんて、信じられないの一言です。

朝から多くの人々が現地で黙々と何台ものブルトーザーを動かして作業していましたが、どうも、地元の人たちではないようです。

山林造成にものすごいお金が使われていると思います。それだけのお金を使っても、太陽光発電事業をすれば、FIT法に守られて業者たちは、大儲けできるのです。業者の大儲けを支えているのは、私たち国民の毎月の再エネ賦課金です。黙っていると、私たちも共犯者になってしまいます。再エネ賦課金不払い運動を起こしたいのですが、強制的に通帳から天引きされているので、どうしたものかと悩みます。

 

まだまだ山林破壊型の再エネ事業が、この後も東北地方や北海道地方を中心に目白押しに計画されています。どこがクリーンで安全な自然エネルギーなんでしょうか。

 

山林破壊を伴う再エネは、絶対にだめです。

 

業者は、物言えぬ生き物や地元の人たちの生きる権利を奪ってまで儲けたいのか。日本人の道徳性はどうなってしまったのか。

これはもう、すさまじい自然破壊以外の何物でもないと感じました。

宮崎県高千穂での森再生過程を知るため、トラスト地で方形調査

10月8日(土)

(公財)奥山保全トラストが所有する宮崎県高千穂トラスト地で、奥山保全トラストと日本熊森協会が合同で、皆伐跡地で自然林の再生がどのように進んでいるのか調査することになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トラスト地看板

 

高千穂は天孫降臨の地ですが、この辺りの山は戦後の拡大造林政策によって、今やスギの人工林で埋まっています。

この地をなんとか少しでも元の保水力豊かな自然林に戻せないものかとの思いから、2009年、奥山保全トラストが、標高500-600mにある約2ヘクタールの人工林の皆伐跡地を購入しました。

皆伐跡地の頂上部には自然林が少しだけ残されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白破線内が購入当時のトラスト地

 

この年、さっそく購入した山の下の部分に、実のなる木の苗を植樹しました。2010年の夏には下草刈りも実施しました。しかし、よく見ると、植えた覚えのない多様な芽生えが苗木よりも元気に育っていました。この地域では植樹などしなくても自然再生で森に戻るのではないかと思い、植樹をやめて様子を見ることにしました。

 

あれから12年が経ちます。

 

今回の調査参加者は、指導してくださる広島フィールドミュージアムの金井塚務先生、両団体の職員、日本熊森協会本部応援隊、宮崎県支部(チームくまもり)のボランティアの方々、計8名です。

 

方形調査とは正方形の調査区画を設定して、その中で生育している植物の状況を記録するものです。年単位で継続して行うことで、年ごとの植生変化を明らかにし、森を再生する過程で何がどう変わったか明らかにするのが狙いです。

まず初めに、金井塚務先生に、調査のやり方や植物の種類判別を現場で教えて頂きました。

 

赤線内が現在のトラスト地

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現場は想像していたより遥かに急斜面!

そこを杭などの道具を持って上がるのはとても疲れました。

移動しながらの測定調査では、気を抜くと斜面を転げ落ちてしまいます。

時には滑り落ちながらの調査となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斜度、38度!

 

方形作り

 

基準点を決めて杭を打ち、GPSに記録。基準点からコンパスグラスを使い、最初に張ったロープから角度90度の位置を定め、そこに杭を打つ。

これを繰り返して15m×15mの正方形を作り、その中で5m×5mの合計9区画のメッシュを作成し、杭を打ってロープを張る。

場所を変えてこれを2か所作ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い杭を打ち(左図)、ロープを張っていきます(右図)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロープで正方形を作る

 

調査

各5mメッシュ内の胸高直径1cm以上の木本を調査対象とする。

樹木の位置、樹種、太さ、高さ、その他気づいたことを記録用紙に書き込む。

樹木の種類を同定する必要があるので、図鑑が必要。分からない場合は写真を撮り、位置を明確に記録して後で調べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹木の太さを測定しています

 

今回は上部と斜面下部の2ヶ所で調査を行いました。

 

斜面上部

元々自然林だった場所で、シイ類・カシ類など常緑の広葉樹が優占種。大部分がアラカシで、シラカシ、ウラジロガシ、スダジイなどが混ざっており、この地域の本来の植生と思われます。他にツバキとケヤキも生育していました。下草はほとんどありませんでした。

 

斜面下部

皆伐跡地には既に人間の背丈を超える高さにまで木々が育っており、アカメガシワが優占です。他にタラノキやカラスザンショウが生えてきていました。皆、皆伐跡地にいちはやく入ってくるパイオニア種(先駆種)である落葉広葉樹です。その間にハンノキ、エゴノキが入り、林床にはアオキが多く生えていました。やがてこの場所も、上部と同様、常緑の広葉樹林に遷移していくものと思われますが、地球温暖化が進む今、森の遷移はこれまでと違ってくることも予想されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記録用紙

 

今後はデータロガーを用いて温湿度、水温を記録し、植生との関連等を考察したり、自動撮影カメラを設置して、この地に生息する野生動物を撮影して、森がどのように再生されていくのか継続調査していくことになりました。

最後に、今回の調査に参加してくださったみなさんと、地元のすばらしい林業家である興梠さんを訪問し、お話を聞かせていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

左から2人目が興梠さん

調査に参加してくださったみなさん

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