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2023-07

7月8日札幌で母ヒグマを殺処分 炎上狙いのユーチューバーの餌付け責任を問う 

以下、UHB北海道文化放送より

札幌市環境局熊対策調整担当によると7月8日、親子とみられる4頭のクマの目撃が何度も報告されていた南区北ノ沢地区で、市が緑地帯に設置していた箱わなにクマ1頭が捕らえられ、駆除されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このタイプの箱罠で捕獲

 

8日午前10時20分頃、箱わなに備え付けられていた動体を検知する自動監視カメラが作動し、4頭の親子のクマの姿を撮影しました。
約25分後の午前10時45分頃、箱わなに1頭が捕獲されたのを市職員が確認。クマは午後1時20分過ぎに駆除されました。

駆除されたクマは体長が146.5センチメートル。体重97キログラムのメスで年齢は7-8歳と推定されます。市は5月上旬から南区北ノ沢地区の住宅街などに出没していた4頭の親子のうちの母グマの可能性が高いとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆除されたのはこの子連れの母グマと思われる 2023年7月1日21時41分無人撮影カメラ

 

市によると3頭の子グマは現場から姿を消しており、市職員とハンターが周辺を捜索しましたが行方は分からないということです。

市は箱わなの設置も含めて今後も継続して警戒、監視を続けるとしています。(以上、記事から)

 

 

熊森から

3頭の食べ盛りの子供たちを飢えさせないように、ヒグマのおかあさん、餌探しに一生懸命だったんだろうと思われます。

 

熊森が母グマ駆除のニュースを察知したのは7月8日土曜日です。

 

土日は行政がお休みで連絡がつかないため、こういう時いつもやきもきしながら月曜を待ちます。もちろん、行政担当者の皆さんは土日でも携帯電話で連絡を取り合い、すぐ動かれていますが、守衛さんに尋ねても携帯の番号を教えてもらえません。

 

さっそく7月9日(月)、札幌市担当課に電話してみました。

 

熊森:和歌山県の猟友会の方に、猟師間には「三つ熊獲るな」(=親子グマは、獲るな)という不文律があると聞きましたが、北海道にはそのような言葉はないのですか?

札幌市:聞いたことないです。

熊森:5月の初めごろから札幌市の住宅地の横で、若い男性のユーチューバーたちがピザなどでクマを山からおびき出しておもしろおかしくキャーキャー騒いで、ただいまクマがピザを食べていますなどと餌付け動画を撮影し、再生回数を上げているという情報が熊森本部に入っています。地理的に見て、今回捕殺された母グマは、このユーチューバーが餌付けしていた親子グマですか。(熊森注:クマの嗅覚のすごさは犬どころではありません。クマは1キロ離れたところからでもおいしい匂いを嗅ぎつけて飛んでくると言われています)

札幌市:そう思われます。

熊森:この母グマを駆除する前に、このユーチューバーに餌付けをやめること、動画を下げるようにと指導すべきではなかったのですか。

札幌市:指導したのですが。(熊森:現在も、この動画は「炎上!」などとタイトルをつけて公開中)

熊森:まず、彼らを取り締まるべきです。

札幌市:警察に相談しましたが、法律に違反していることでないから取り締まれないそうです。

 

 

ならば、熊森は、世論の力に訴えるしかないと思い、北海道新聞社の読者窓口に電話してこのユーチューバーのことを知らせたところ、担当者は知らなかったと絶句されていました。

 

しかし、もし、マスコミがこの問題を取り上げたら、みんながどんな動画か見てみようとして、ますます再生回数が増えます。彼らの思うつぼです。

 

 

ならば、かれらの周りの人たちが彼らの行為に気付いて、「他者の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。そういう生き方は必ず破綻する」と彼らのために諭してあげるしかないのか。

 

でも、ふつうは、自分たちのしたことでヒグマ一家が殺されることになったとわかったら、反省して動画を下げると思うのですが。

皆さんどう思われますか。

 

残された子ぐまも、そのうち罠に掛ると思います。

掛からなくても、母グマから冬ごもりの仕方を1回も教えてもらっていない子グマたちが生き残ることは難しいと思います。

と言って、今、熊森にはこのヒグマの子供たち3頭を捕獲して放獣したり保護飼育したりする力はありません。

 

 

日本人は人間の命と野生鳥獣の命は同じように貴いという、すばらしい自然観を持っていました。

だから水源の森が残り、今日の繁栄があるのです。

他生物の命は物で、人間さえよければいいという今の風潮は、自然破壊への道、人類滅亡への道です。

 

ヒグマに対する人間の対応はこれでいいのか。

胸を痛めておられる方も多いと思います。

カナダなどの海外がしているように、北海道には、まず、ヒグマの放獣体制が必要です。

全国の皆さんに呼び掛けたい。心の中で思っているだけではダメなんですよ。

日本がもっともっとまっとうな社会になるよう、みなさん、熊森がしているようにみんなで声を上げてください。

 

 

31年前、熊森運動を開始した時の尼崎市の中学生たちの合言葉は、「声を上げなきゃ誰にも分らん、行動しなくちゃ何にも変わらん」でした。

こんなクマ対応ではだめだと思う方は、まず、行政やマスコミに声を上げるところから始めてください。

黙って死んだら、生まれて来た甲斐がないと熊森は思うのです。

 

北海道のヒグマ問題の現状については、当協会顧問門崎先生の以下のフェイスブックを是非ご覧になってください。

北海道野生動物研究所

人間が全て原因を作っていた 牛を次々と襲う北海道ヒグマOSO18の誕生

以下は、文春オンライン2023.07.14 伊藤秀倫氏のOSO18に関するレポートです。

「このクマ、どっかおかしいんじゃねえのか?」北海道で31頭の牛を殺した謎のヒグマを追うリーダーが感じた“違和感”

 

(熊森が要約)

2019年7月16日午前4時、釧路湿原の北に位置する標茶町オソツベツ地区の牧場で放牧中の牛1頭の姿が見えないことに気付いた牧場関係者が捜索したところ、森の中でヒグマに襲われて殺された牛の死骸を発見。20メートルほど離れた藪の中から1頭のヒグマが飛び出して逃げていった。後々まで、これがこのヒグマに関する唯一の目撃証言となる。

 

このヒグマはこの後も次々と牧場の牛を襲うようになり、これまでに65頭を襲い、うち31頭を死亡させている。現場に残されたこのヒグマの足の幅が18センチとみられたため、オソツベツ地区のオソを取ってこのヒグマは、OSO18と命名される。

 

OSO18は真夜中に次々と牛を襲っては明け方までに姿を消す。なぜか牛を集中的に襲うのは、毎年7,8月まで。OSO18が牛を襲い始めて4年になる。銃、箱罠、くくり罠と、人間はあの手この手でこのヒグマを捕獲しようと試みているが、まだ捕まらない。

 

ヒグマは雑食性で、本来の食料は8~9割が木の実や山菜などの植物、残りはアリやハチなどの昆虫やサケ類であったが、近年、ヒグマがエゾシカを食べることを覚え出した。

 

これには、元々エゾシカの生息地は、冬でも雪が少ない摩周岳付近に限られていたのだが、人が牛の乳量を増やそうとして、牧草地を自然の草ではなく栄養価の高い草に変えていった結果、エゾシカがそれらの牧草を食べ始め、平地で爆発的に増加するようになり、冬、一定数が餓死するようになったという背景がある。

 

一方、ヒグマを山から平地に呼び寄せたのは、近年、道内で作付けが増加している家畜のえさとなる飼料用トウモロコシのデントコーンだ。森の木の実が少なくなる夏、デントコーンはヒグマにとって大変魅力的な餌となる。OSO18はデントコーンを食べに出てきて、シカ肉の味をしめ、食料として、ついに牧場の牛を襲うようになったと思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒグマに食害されたデントコーン畑

 

OSO18を作り上げたのは最初から最後まで人間だったと藤本氏は結論付ける。

 

熊森から

OSO18に関する伊藤氏の文章は秀逸です。

 

では、どうすればいいのか。

 

札幌在住の当協会顧問門崎允昭先生は、ヒグマは電気柵で完全に防げると言われます。有刺鉄線でもいいとのことです。

 

以前、熊森が標茶町役場に電話して、OSO18が牛を襲うのは夜に限られているので、夜、牛を獣舎に収納するようにお願いしたことがあります。しかし、夏中放牧しているので不可能との返事でした。

 

ヒグマがデントコーンの味を覚えないように、まず、畑を電気柵で囲ってほしいというと、北海道の畑は広大なので不可能と言われました。確かに、北海道に行ってみると、畑が広大です。しかし、門崎先生も言われているように、牧場ならどんなに広大でも、牛が逃げないようにと柵で囲っているではないですか。その柵を有刺鉄線に変えてもらったらいいだけのことです。

 

うまくバランスがとれていた自然界に人間が入り込み、クマ問題の原因を作っておいて、クマを殺すことの対策しか練らない今の日本の大人たち。これは人間の倫理観の劣化ではないでしょうか。大人たちがこんなことでは、子や孫に示しがつかないと思います。人間社会まで、倫理なき社会となっていくのではないでしょうか。

 

北海道ヒグマ問題については、ヒグマ現地研究歴数十年の門崎先生お仲間の方たちのSNSをご参照ください。

ほとんどの時間、外部電力で回っているだけの風車 「風の祈り」第9章が風力発電の実態を暴露

ほとんどの一般国民いわゆる庶民は善良ですから、国連や政府、肩書のある人の言うことをすぐに信用してしまいます。

しかし、国連や政府、肩書のある人のいうことにも間違いがあるかもしれないのです。

いや、自分たちの金もうけのために国連や政府をだましている人たちがいるかもしれないのです。

 

北海道仁木町在住の宮下周平氏は、恵庭市生まれ。札幌で自然食品のお店「まほろば」を創業されました。無農薬野菜を栽培する自然農園などもお持ちです。自然農園拡大のため札幌から余市郡仁木町に移住したところ、巨大風力発電計画がもちあがりました。

 

宮下氏は巨大風力発電のデメリットやまやかしについて丹念に調べ続けられ、仁木の山(ヒグマの生息地)の尾根を伐採して平らにし、尾根に至る道までも森林大伐採する風車建設を止めようと、今も続々とカラー版の無料冊子にて発信され続けておられます。その情報収集力と発信力がすごいのです。

世の中にはなんと優れた人物がいるのだろうかと、毎回、宮下氏の正義感あふれるペンの力に舌を巻いてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮下周平氏

 

「風の祈り」を、国会議員をはじめ、全国の首長や議員になんとか届けたいです。

これを読めば、脱炭素推進や風力発電で町の活性化などと唱えていた首長や議員たちも真っ青、一斉に目が覚めると思います。「再生可能エネルギー」は、ごく一部の人たちの「大利権可能エネルギー」だったのです。

 

以下は、毎回全生命を賭して書いておられることがわかる宮下氏の渾身の冊子です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風力発電を問う」シリーズ10風の祈り第九章表紙

 

「風力発電を問う」シリーズ10風の祈り第九章

問題の、風車は風で回っていない、電気で回っている!! は、p10、p11、p12を参照ください

 

問題は、誰が議員たちにこの冊子を届けるのかです。

特に風力発電の草刈り場になっている北海道や石川県に至る日本海沿岸の市町村の首長や議員に、心ある人たちの善意でこの冊子を届けていただきたいです。巨大風車計画が上がっている市町村の議会事務所にご持参して議員の皆さんに「風力発電を問う」シリーズ10風の祈り第九章を届けていただける方は、熊森本部までお知らせください。

ヨーロッパの人々のように、風車が造られてしまってから、風車を止めてくれと声を上げても遅いのです。

造られてしまう前に、巨大風車とは何か勉強しておくべきなのです。巨大風車は太陽光パネルと違って、構造上、振動と騒音が不可避です。耳に聞こえない超低周波音が、生物体内の腹腔などを共振させ、恐ろしい風車病をもたらすという研究も進んできました。バードストライクの件も被害甚大です。開発された方には申し訳ないのですが、残念ながら、巨大風車と生物は共存できないのではないでしょうか。

 

利権に狂い、真実を隠してだます人たちが一番悪いのは言うまでもありませんが、熊森は、だまされる国民にも責任があると思います。

みなさん、真実を知ろうという勇気を持って、宮下氏の冊子を元にご自分でもいろいろ調べてみてください。

真実は何か、自由に学び考えてこそ、大人の喜び、生きている喜びが生まれます。

 

「風力発電を問う」シリーズ、宮下氏がネットから無料で自由に見れるようにしてくださっています。

風力発電について知りたい方は、少しずつでいいのでぜひ読んでみてください。

都市の皆さんも、他人事と思わず読んでいただきたいです。

圧倒的多数を占める都市市民の意見が、日本の政策を決めることになるのですから。

 

「風力発電を問う」シリーズ 「風の祈り」序章~11章

2022年12月1日2023年6月2日計12冊

 

序章  ・「寝耳に水。やむに已まれない決起」2022年12月1日

1章  ・「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」 

2章  ・「山は山のままに、海は海のままに、風は風のままに」

3章  ・「反対署名活動はじまりました」

4章  ・「銀山風車建設に伴う、森林破壊について」

5章  ・「みんなと数珠繋ぎ(その1)」

6章  ・「みんなと数珠繋ぎ(その2)」

7章  ・「メディアが動く」 

8章  ・「陳情書提出」

9章  ・「北の守り」― 国防について―

・・・「風車は風で回っていない‼!」― 驚くべき風車の実態 ―

10章 ・「全国ワースト2‼ 緑の回廊について」

11章 ・「誰ひとり置き去りにしない!」2023年6月2日

・・・・

 

 

宮城・加美町周辺での巨大風車150基計画に反対する住民団体が県に白紙撤回の要望書を提出

khb東日本放送より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮城県知事宛要望書

 

要望書の他に、地質図、地滑り、防災、水資源、健康被害、計画地付近での放射線量、加美町ガンカモ類の春の渡り、景観調査など、専門家が現地を測定して出してくださった、この地で巨大風車を建設してはならないとする膨大な資料を添付しました。

 

業者がいくら無茶な森林開発を計画しても、県が林地開発許可や、林野庁が国有林や緑の回廊の貸し出し許可を出さないようにしてくだされば、事業は止まります。地元行政や国の責任は誠に大きいものです。

 

要望を受けた県は、「住民や専門家などの意見を踏まえた県の考えを国にしっかりと申し入れていく」と応じたそうです。

 

熊森から

全国再エネ問題連絡会第2回全国大会7月22日夕方5時から7時半まで

 

過疎化高齢化が進む地で、再エネ森林破壊事業を止めようと、自らのお金も膨大な時間も使ってふらふらになるまで闘っておられるみなさんが、全国各地から、兵庫県西宮市の夙川(しゅくがわ)公民館に集結し、現状を訴えられます。

 

この国で圧倒的多数を占める都市市民が再エネ自然破壊問題に無関心であってはならないと思います。同じ日本国民、まず地元の方々の声を聞いてあげることだけでもお願いしたいです。

皆さん、ぜひ誘い合ってご参集ください。

まだまだ残席が多くあります。オンライン参加も可能です。

 

プログラムはクリックで大きくなります。

7月15日(土)午後 広島市で森山まり子名誉会長が講演します 

今夏のくまもり本部原生林ツアーは8月26日に、島根県境に近い広島県奥地のクマ生息地で実施されます。

何とかこの機に、未来永劫に広島県のクマ生息地が守れるように、広島県に熊森の支部を作りたいです。

 

 

 

 

 

 

 

原生林ツアーで訪れる予定の山

 

また、広島でも、再生可能エネルギー推進の国策に乗って、投資家たちが大儲けしようと山々の尾根に巨大風車建設を計画しています。

なんとしても阻止しなければなりません。地元で反対運動に立ち上がっておられるみなさんとも連携したいです。

 

この度、初代熊森協会会長を21年間務めた森山まり子名誉会長が、広島県支部の設立を願って広島市で講演します。

くまもり会員はもちろん、森や野生動物、再エネ森林破壊問題に関心のある皆さんは奮ってご参加ください。

 

森山名誉会長講演会

演題「どうしたら森や野生動物を守れるか」

(26年間の保護活動からわかったこと)

715日(土)13時半から15時半

場所 広島市西区民文化センター(JR横川駅下車南徒歩2分)大広間

広島市西区横川新町6番1号
TEL:082(234)1960

駐車場60台

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みなさまのご参加をお待ちしています。

祝 全国初 再エネ森林開発事業者に独自課税 宮城県条例成立 来春4月導入めざす

以下、7月4日河北新報を要約

 

森林を開発する再生可能エネルギー事業者から独自に税を徴収する全国初の宮城県条例が4日、県議会で全会一致で可決、成立した。森林開発に税の負担を課すことで、再エネ事業を平地などへ誘導し、森林保全を図る狙い。県は今後速やかに総務相と協議入りし、同意が得られれば来年4月までの導入を目指す。

 条例可決後、取材に応じる宮城県の村井嘉浩知事=4日午後、仙台市

 

国が再エネを推進し、全国各地で太陽光や風力発電の建設計画が相次ぐ中、環境破壊や景観悪化の懸念から住民の反発が強まっており、地域との軋轢(あつれき)や環境への悪影響が各地で問題になっている。村井嘉浩知事は今回の課税は「税収を目的としない新税」で、〝(森林)乱開発〝に待ったをかけるものであると述べている。

 

 課税対象の再エネ事業は太陽光と風力、バイオマス発電の三つで、水力と地熱発電は対象外。徴収額は営業利益の2割相当とし、固定価格買い取り制度の売電価格に応じて設定する。

 

0.5ヘクタールを超える再エネ事業に課税される宮城条例

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の表は、産経ニュースより

 

熊森から

再エネ自然破壊問題にただちに手を打たれた宮城県村井嘉浩知事と、全会一致となった県議会議員のみなさまに、熊森は心から拍手を送りたいと思います。

 

元々村井知事は再エネ推進派だったと思われますが、昨年、森林破壊を伴う再エネ事業の大きな問題性に気づかれ、森林を再エネ開発から守るためにただちに再エネ課税を思いつかれました。

村井知事の柔軟性や先見の明、すぐ行動する力など、素晴らしいです。

 

熊森は以下の3点について、今後も注目していきたいと思います。

①この県税条例を総務大臣が認めてくださるのか(総務大臣が認めない限り導入できません)

②来年4月の導入を前に再エネ業者の駆け込み事業申請が殺到しないか

③この税率で再エネ業者のどれくらいが森林での再エネ事業を断念するに至るのか

 

再エネ推進は国策だから、問題が生じても地方は何もできないと言われている首長さんたちに、目を覚ましていただきたいです。問題のある国策であっても、地方自治体の首長がしっかりしていたら、県土や県民を守ることができるということを村井知事は全国に示されたと思います。ぜひ他の知事さん、市町村長さんたちも、村井知事に続いてください!

殺さないクマ対応2 棲み分けの復活

人間の生活圏にクマが入ってくると、クマが増加した、クマが人間を恐れなくなったなどの研究者たちの見解、それを受けての報道が目立ちます。実際のところはどうなんでしょうか。当会は、昨今のクマと人の軋轢に関する報道を見て、クマ問題はクマに原因があるので駆除しなければならないという人間中心の結論が先行しているように感じます。

 

 

2018年環境省統計(発表されている一番新しいものです)

狩猟や駆除で人が殺した主な野生動物の数

イノシシ46万2千頭、シカ42万9千頭、サル2万3千頭、

クマ3千6百頭、カモシカ500頭、

日本では、年間を通して多くの野生動物が殺処分されている状況が続いております。

 

以下、クマ(ヒグマ、ツキノワグマ)について考えてみたいと思います。

 

近年、クマが人間の生活圏に入ってくるようになったのは、クマだけの原因でしょうか。

 

当会はクマによる人身事故があったり、予期せぬ場所(平野部、市街地、住宅街など人の生活圏の中心地)にクマが出てきたりしたら、仕事として駆け付けて現場での聞き取り調査や痕跡調査を行い、クマが再び来ないような対策を施します。しかし、被害を100%防ぐことはなかなか難しいです。

 

なぜなら、クマ問題が深刻となっている地域には、以下のような共通点があるのです。

1、空き家が増え、空き家の敷地内に柿や栗などの家庭栽培されていた果樹が放置されたままになっている場所がある。

2、過疎化高齢化が進み、昼夜問わず人の移動(活動)が少なくなってきている。

3、放棄された田畑が年々広がっている。

4、河川敷など、草刈りがされず草が生い繁っている場所が何キロにもわたって下流まで続いている。

5、駆除された動物の死骸や生ごみが放置されている場所がある。

 

<昨年10月に京都府で発生した人身事故の場合>

集落の真ん中にあるご自宅の庭の柿の木に、早朝、親子のクマが登って実を食べていたそうです。

なぜ集落の真ん中にまでクマが出てきたのかと思うかもしれませんが、実は、その付近の家には空き家が点在しており、空き家にある放置された柿の木についた実が、クマを少しずつ呼び寄せていたのです。

また、空き家から付近の山までは、耕作放棄地がひろがり、その中を獣道がいくつか形成されていました。獣道を調べると、柿を食べたクマの糞があり、クマが移動経路として背丈の高い草がうっそうと生い茂る耕作放棄地を使っていることがわかりました。

 

 

<新潟県で平野の真ん中にクマが出てきた場合>

どのような経路を伝って平野の真ん中まで出て来たのか、現地の聞き取りと調査から、経路を探ってみました。

なんと、高速道路ののり面や河川敷の茂み・林を利用して移動していたことが分かりました。

 

 

 

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最近のクマのニュースで、「人が近くにいてもクマが逃げない」という話をよくききます。

 

逃げない時のクマの状況をきくと、クマは何かを食べていたというのが多いようです。これは、クマが食事に夢中になっており、人に気づいていないことが考えられます。

 

現地での被害対策を行う中で、人が里山を利用しなくなったり、耕作放棄地が増えたり、銃を持った狩猟者が山に出入りすることが減ったことから、クマは山ではなく里や里周辺で生活するようになってきているように思います。平地は肥沃な大地ですから、植物の生育も良く、実りも多く、移動も楽。もしこの国に人間がいなければ、かれらは本当は平地で暮らしたいのです。

 

里に移動してきたクマたちは、ふだんから人をよく見かけることになり、当然ながら人間にあまり恐怖心を抱かなくなります。クマが目撃されると、今にも人身事故が起きるかのように各地で大騒ぎとなります。しかし、完全に人慣れしたクマは基本的に人身事故を起こさないと思われます。クマによる人身事故は、クマが人間にやられるという恐怖心から人間から逃げようとして起こすものだからです。

 

このように、人の生活の変化に合わせて、クマも土地利用を変えてきているように思います。これは、クマだけではなくシカやイノシシ等他の野生動物も同じで、日本だけの状況ではないと思います。もちろん、人間と大型野生動物はうっかりぶつかるだけでも人間側は転んだりしてケガをしますから、大型野生動物と人が共存するには祖先がしていたように棲み分けることが必要です。

 

近年、人とクマの軋轢が大きくなっているのは、本来の生息地であった奥山を、拡大造林政策による人工林化や道路開発、再エネ発電事業開発などにより人間が破壊しただけではなく、里での人間社会の産業構造の変化など、人間側にも原因があります。たとえば、かつて食糧自給率100%だった日本ですが、今や38%と言われるまでに第一次産業が衰退しています。

 

クマを殺さないでこの国で人とクマが共存するには、

1,奥山に放置された人工林は国策として自然林に戻すこと。

2,山奥にまで張り巡らせた道路を閉鎖して、奥山には原則、人が入らないようにすること。

3,山の尾根筋に巨大な風力発電施設を造ったり、森林を伐採して切土盛り土を行い太陽光パネルを張るなど、もっての他です。

4,国内の激減した食料自給率を見て、放棄された農地をどうしていくのか(活用か自然草原にするか)、地域、国民、行政、国、早急にみんなで考えることが必要だと思います。

殺さないクマ対応1 ベア・ドッグ

以下、6月30日のナショナル・ジオグラフック記事より一部転載

 

イヌに追われた場所にクマが戻らない率は非常に高い

「イヌたちは外へ出てクマを見つけたがります」と話すのは、WRBIのニルス・ピーダーソン氏だ。イヌはクマの痕跡を追い、ほえ、すぐそばまで追い詰め、トレーナーが呼び戻すまでやめない。そこまですれば、ここにはもう来たくないとクマは学習してしまう。

「クマのいいところは、賢いので学習が早い点です。イヌに追われた場所に戻らない確率は非常に高いことが研究で分かっています」とマイヤーズ氏。

イヌに危険はないのだろうか? ワシントン州野生生物局で20年以上クマ対策犬と仕事をしてきた野生生物学者、リッチ・ボーソレイユ氏は、任務が理由でけがをしたイヌは見たことがないと言う。ハント氏もまた、イヌにクマを追わせる際の安全が大きな関心事だと強調しつつ、現場でイヌが負傷した例はないと話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカネバダ州野生生物局の「クマ対策犬」

 

クマ対策犬として最も一般的な犬種が、フィンランドからロシア北西端のカレリア地方で古くからヒグマ猟に使われてきた白黒模様のカレリアン・ベア・ドッグだ。彼らは大型で吠える声も大きく、クマを安全に追い払う本能をもっている。

ただし、訓練には多大な労力がかかり、誰でもこなせるわけではない。また、交通の激しい道路や人が集まるショッピングセンターがあるような人口密集地域には不向きだ。

 

熊森から

日本でも、長野県軽井沢市でクマとの共存をめざすNPO「ピッキオ」が、2004年にWRBIからクマ対策犬を日本で初めて導入した。そのおかげもあり、軽井沢町の別荘地など人が暮らすエリアではクマによる被害は激減したそうだ。しかし、NPO「ピッキオ」の維持には、かなりの経費や本気の優秀な人材が必要で、軽井沢町だからできるという一面があり、全国に広まらない。

 

北海道でも、何とかヒグマを殺さずにヒグマ対策をしたいというヒグマの専門家である岩井基樹氏が、丸瀬布でベア・ドッグを使っている。現地では、山から出て行くと犬たちが追いかけてくるとヒグマたちが学習したため、キャンプ場など人間のところにはもう全くヒグマたちが出てこなくなっているそうだ。しかし、こちらは行政支援がないため、個人がボランティアで実施しており、運営が非常に苦しい。国庫100%の鳥獣被害防止特措法関連予算の運用や、道庁などの行政支援が望まれる。

 

日本版ベアドッグ岩井基樹氏の羆塾フェイスブック

 

現在、日本では、クマを殺すことのみに私たちの税金が使われているが、多くの国民が声を上げることによって、これからは国会議員の先生方にもご協力いただき、先進国らしく、殺さないクマとの共存対応に行政予算が組まれるようにしていかなければならない。

どこまでも車を追いかけて来るクマの動画ニュースをチェック

最近、どこまでも車を追いかけてくるクマのTVニュースがありました。この道路、誰が見てもクマの生息地に人間が造った道路です。動画中、若い女性が「こわい!」と叫んでいます。クマへの恐怖をあおるニュースになっています。

 

どこまでも車を追いかけてくるクマ

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに、この母グマは車に向かってどこまでも執拗に突進してきます。この動画を見ていると、クマって怖いと恐怖を感じます。しかし、相手は車です。いくらクマといっても、こんなに猛ダッシュし続けて、よく息が続くなあと思いました。

 

背景の景色に注目して2~3回この動画を見ているうちに、なんかおかしいぞと気づきました。この動画は、同じ画面を何回か継ぎ足しており、まるでどこまでもクマが追いかけてきたように編集しているのです。

 

クマへの恐怖をあおるフェイクニュースです。こういうニュースを流すと視聴率が稼げるのでしょうか。私たち人間、だまされたくないなら、もう少し冷静になって、その情報が真実であるかどうか、注意して見るようにすべきであると思います。

 

ヒトもクマも、行動には必ず理由があります。

この母グマがなぜ車に向かって突進してきたのかわかりませんが、子熊を1頭しか連れていません。もしかしたら、もう1頭は、何日か前に車にはねられたのかもしれません。そこで、車に敵意を抱くようになり、残された子熊を守るために、車に来るなと怒っているのかもしれないと熊森は想像してみました。そうすると、画面が全く違って見えてきます。

この時期氾濫するクマ目撃ニュースに思う

最近、クマ目撃ニュースが氾濫しています。6~7月は親離れした若グマが、今後の生活場所を探しに遠出する時期ですから、目撃が増えるのは当然です。

 

クマは元来平和的な動物なので、人間が目撃したからと言って、ほとんどの場合、別に何も起きません。理由もなく人間に向かってきたりしないのです。彼らが、向かってくる理由を人間が作らないように気を付けることが大切です。

 

市街地などクマがいては困る場所にクマが出てきたことがニュースになるのはわかりますが、山裾や山道などのクマの生息地で、しかも早朝午前4時など、クマがいて当然の場所にクマが人目を避けて行動していたケースまで問題視するニュースが結構見受けられます。クマはどんな場合でも人間が目撃できてはいけないのでしょうか。問題視する前に、人間が宅地開発や道路建設でクマの生息地にどんどん入り込んでいるから目撃してしまうという側面もあることを忘れてはいけないと思います。

 

クマを必要以上に危険視したりクマに必要以上に恐怖を抱かせる報道が多いのが気になります。視聴率を稼ぐためでしょうか。祖先たちがこの国で共存してきた動物です。温かい目で見守ることも必要だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年山の斜面で目撃された体長約70センチのツキノワグマ。写真は山形県警。

 

これも、クマ目撃ニュースの常套句、「人や物に被害はありませんでした」と報道されていました。

 

兵庫県のクマ生息地の方が、「クマなんて毎日見かけるよ。昨日は、畑の横を歩いていたよ。わしら昔から、お互いに空気のような存在として一切干渉せずにやってきた。最近、行政が、クマを見かけたらすぐに通報するようにとうるさく言ってくるんだが、何のために通報するんだ?」と言われていました。

 

日本でクマは唯一、人間より力の強い動物です。彼らと素手で闘うと、人間は大けがをしたり、時には命を失います。よって、確かに要注意動物です。しかし、人間には人間より力の強い動物の存在が必要だと思います。必要だから自然界に存在しているのです。

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