くまもりHOMEへ

くまもりNews

秋田県 山にえさがあれば、クマは出て来ない 

以下、クマニュースより 秋田さきがけWEB記事

 

クマの目撃、過去5年で最少 山中で十分な餌確保か

※写真クリックで拡大表示します

 秋田県内で例年、夏から秋にかけて相次ぐツキノワグマの目撃が、今年は昨年同期の半数程度の50件(8〜11月)にとどまり、過去5年で最も少なかった。餌となるブナの実やヤマブドウなどが豊富で、人里で餌を探す必要がなかったためとみられる。冬眠前にクマが十分に栄養を蓄えると出産数が増えることから、来年は目撃件数が増える可能性がある。

県警生活安全企画課によると、今秋の月別目撃件数は8月33件(昨年比16件減)、9月8件(同19件減)、10月6件(同6件減)、11月3件(同1件減)。各月とも過去5年で最少だった。

クマの生態に詳しい県立大生物資源科学部の星崎和彦准教授(森林生態学)は「今年はブナの実つきがよかった。クマは山中で十分に餌を確保できたのではないか」と分析する。

県自然保護課の担当者も今秋、焼石岳(東成瀬村)や丁(ひのと)岳(由利本荘市)などでブナの実のつき具合を確認。「結実はまずまずの状況で、一部では豊作だった。ヤマブドウやサルナシなど、クマが好む液果果実もよく実っていた」と振り返る。

東北森林管理局は今年の国有林内の結実状況を「凶作」とみている。だが、県南を中心に実つきがよい場所も多く、調査地点によってばらつきが顕著だという。管理局の調査では、岩手と山形は「豊作」で、青森と宮城が「並作」。隣県の良好な結実状況も目撃件数の減少に影響したとみられる。

 

熊森より

秋田のクマに関しては、今年、人里での目撃数が少なかったのを知って、一応ほっとしました。秋田県の今年のクマの有害捕殺数は、9月末現在93頭です。昨年度の年間有害捕殺数は、255頭でした。去年たくさん殺し過ぎたので、今年の目撃が少ないというようなことはないのかなと、少し不安でもありますが。

元暴力団員に野生鳥獣捕殺事業を任せる環境省案について、環境省がパブリックコメントを募集中

われらの環境省はついに狂ってしまったのでしょうか。

どうすれば大量にシカやイノシシなどの野生鳥獣を殺せるのか、これが、近年、環境省野生鳥獣担当部署がオンリーと言ってもいいほど必死で取り組んでいる仕事です。

その結果、次々と、目を覆うような法改正が出てきています。

現在、環境省野生鳥獣担当部署がパブリックコメントをかけている案件は以下です。(締切12月4日)

 

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に対する意見の募集について

 

野生鳥獣の捕殺を一気に進めるためには、高齢化し少人数化した猟友会では間に合わないと環境省は判断して、今年から、株式会社やNPO法人、社団法人などにシカやイノシシの捕殺事業を行わせ、国や都道府県が従事者の給料を出すしくみ(=認定鳥獣捕獲等事業者制度)を開始しました。

 

今回のパブリックコメントは、(1)~(6)までの法改正について、国民の意見を問うものですが、意見なんか聞いてどうするのかと思うようなどうでもいいような細かいことがほとんどです。その中で、ギョッとしたのが、(3)の問です。大意は以下です。

 

(3)暴力団員又は暴力団員でなくなった日から3年を経過した者がこの仕事につけるとしていたが、他法令との整合を図るため、5年に改めたいがどうか。

 

せっかく足を洗って堅気になった人たちに、野生動物を殺すために再び銃を持たせようということだと考えられます。

環境省の担当者に電話して、3年とか5年の問題ではないでしょうというと、パブリックコメントにそう書いてもらったらいいですという答えでした。これまでも様々な件で環境省野生鳥獣担当部署にパブリックコメントを寄せてきましたが、「今後の参考にします」という回答ばかりでした。どんなにコメント数が多くても、初めに答えありきのようです。環境省担当部署に、国民の声など聞く姿勢はまずありません。こんな環境省ですが、みなさん、今回のパブリックコメントはどうされますか。

 

野生動物たちが人里にどんどん出てくるようになって、地元のみなさんが悲鳴をあげておられるのは本当です。しかし、野生動物たちが人里に出て来ざるを得ないようにしたのは、彼らの生息地を壊し奪った私たち人間です。生態系のバランスを壊すようなことをしたのは人間なのです。

 

この根本問題にこそ、環境省野生鳥獣担当部署は取り組んでいただきたいと思います。環境省野生鳥獣担当部署はこれまで、「すごいアウトドア」と称して、若者たちにスポーツや遊びで野生動物を殺すように呼びかけるキャンペーンを張ってこられましたが、野生動物たちの命も、人間同様、彼らに一つしかない限りなく尊いものであることを絶対に忘れてはならないと思います。そして彼らの存在が、本来、私たち人間を生かす豊かな自然を形成していたことを知るべきです。

 

 

 

北海道紋別市デントコーン畑で射殺された400キロヒグマ、殺しても問題は解決しない

少し前のことになりますが、ずっと胸に引っかかっている報道があります。

 

今年9月26日に北海道紋別市のデントコーン畑の中で射殺されたヒグマが、メタボヒグマとして遺体をクレーンで持ち上げられている写真付きの報道が10月10日にありました。

 

確かにこのヒグマはデントコーンを食べて太ったのですが、この様なことになる状況を作ったのは人間です。しかも、このヒグマは一番大切なたった一つしかない命を人間に奪われてしまったのです。

報道姿勢としては、ヒグマの死を悼む気持ち、人間側の反省にあふれる報道がなされるべきです。

にもかかわらず、報道が、このヒグマをさらし者や笑い者にしていると感じた人たちが、私以外にも何人かいたようで、駆除許可を出した行政や、マスコミの人権感覚(動物権感覚)に抗議すべきだという声が、熊森本部にもいくつか届きました。

 

たまたま紋別の山をこの春視察して、山にいくら餌があっても、デントコーン畑に住み着いてしまうヒグマたちの話を専門家にいろいろと教わった後だったので、このニュースには、特に思うことがありました。

 

本州の畑と違って、北海道の畑は地平線が見えるほど広大です。山にいくら実りがあっても、山の中を餌を探して歩くよりは、デントコーン畑に棲みついてデントコーンを食べ続けた方が楽です。かしこいヒグマは、デントコーン畑に棲みつくようになります。もちろん人間は困ります。

 

問題は、そのようなことをすれば人間に怒られるぞ殺されるぞということを、ヒグマにどう教えるかです。教える責任が人間にはあります。このようなことをしたヒグマを殺してしまえば、他のヒグマたちに伝わりません。また来年は、別のヒグマが同じことをして殺されるのです。いつまでも、いつまでも、ヒグマの命が無駄に奪われ続けるのです。

 

ヒグマの生息地でデントコーン畑を作るなら、農業者も行政も、畑でデントコーンを食べ続けたら人間にひどい目にあわされるから、山のものを食べておこうと、紋別のヒグマたちが学習できるようにもっていかなければなりません。それには、殺してしまってはだめなのです。殺してしまうのは人間の無責任です。

 

最近ヒグマやツキノワグマが人間を怖がらなくなったと言われますが、原因の一つは、銃の性能の向上にあるようです。山にいるヒグマやツキノワグマは、何百メートルも先から撃たれることが多いと聞きました。その場合、視力の弱いクマたちは、人間にやられたという因果関係がわからないので、なんだかわからないが突然けがをした、突然殺されたと思うということです。一つの案として、銃の性能を昔のように落として、自分を狙ったのは人間だとはっきり分かるようにすることによって、再びヒグマが人間を恐れるようになるのではないでしょうか。

 

他にも、デントコーン畑にびっしりデントコーンを植えるのではなくて、列状に植えて、ヒグマが入り込んだらすぐに人間に見つかるようにしておくとか、いろんな手が考えられると思います。殺してしまうのではなくて、人間の知恵でもって、デントコーン畑にヒグマが入らないようにすることが、人間に求められます。それなくして、ヒグマを殺し続けるだけなら、私たちは人間であることを返上したくなってしまいます。ヒグマとの共存など、口先だけの嘘になってしまいます。

 

 

奥山広葉樹林化の現場を見る③ (兵庫県戸倉第2皆伐地の最後の1本を伐る)

第2伐採地最後の1本は、ちょうどこの伐採地での伐採木の100本目に当たります。

写真では2本のスギが残っていますが、奥の1本は残すそうです。

s-IMG_2059

そういうわけで、手前の1本が、第2伐採地の最後の伐採木となります。2015.11.6の伐採の様子を映像で見て下さい。

https://youtu.be/UUtU8O_BVas

 

伐採後

s-DSC05391

2015.11.6撮影

 

最新の、第2伐採地風景

s-IMG_2214

2015.11.13現在

 

まだまだ今後も、伐採木の搬出作業が続きます。

第2伐採地の上は、コナラを中心とした落葉広葉樹の2次林です。

これでこの場所にも、日光が当たるようになります。

生き物たちの棲める森がよみかえりますように。

 

それにしても、谷川の水量の少ないこと!

s-IMGP2056

昔は30センチのアマゴがたくさん泳いでいたという、地元のおばあさんたちの話が夢のようです。

造り過ぎた人工林を自然の広葉樹林に戻さない限り、水量は戻りません。

 

さらにこの奥の川沿いに奥山保全トラスト第3伐採地となる予定の人工林があります。

すでに、今年の春(2015.5.31)に、大阪西ライオンズクラブのみなさんによって、皮むきがなされています。

 

s-DSC05377

第3全伐予定地 2011.11.13撮影

 

持ち山を、保水力豊かでいきものたちがすめる広葉樹林に戻したいという個人山主さんが、次々と誕生してくださることを願います。

もちろん国産林業は大切ですから、林業地として残すべきところは残して下さい。

自然林復元を願うのは次の5か所です。奥山全域、尾根、川筋、山の上3分の1、急斜面

 

 

奥山広葉樹林化の現場を見る② (兵庫県戸倉第2皆伐地)

奥山保全トラストが所有する第2皆伐地の広葉樹林化の現場です。

 

2013年 チェンソー間伐実施 

s-IMG_5833

まだ林内が暗いです。

 

2013年 人工林部分の全除去を決定

残された木の皮むきを実施(5月26日)

s-IMG_5850

 

2014年 皮むきスギの伐採開始(1月29日)

s-2014.1.29

スギがあまりにも太いため、地面が伐採木で埋まってしまい、天然更新(森の再生)が期待できない。

伐採木を山から運び出したいが、川には橋がなく、川向うにも道がないため、トラックを入れることが出来ない。

 

長い苦悩の日々がありました。いろいろな可能性を調べ考え、地元、行政、森林組合、みなさん方からの助言もいただきました。

 

2015年10月 ついに、林内作業車による丸太の運び出しを決定

林内作業車が入れる道作り

s-道づくり開始2015.10,10IMGP1804

 

川をはさんだ第2皆伐地の伐採木を林内作業車に引き上げる。

重くて人力ではびくともしない太い丸太が、軽々と持ち上げられていく。

機械の力はすごい。

s-IMGP1978

材を山から運び出す。

s-IMG_2228

 

トラックが入れるところまで運んで積み上げ、業者に市場まで持って行ってもらう。

s-DSC05364

延々と連日、材運び出しの作業が続いています。

第2皆伐地の残されたスギ伐採も続きます。

そしてついに、11月6日、第2皆伐地の最後のスギを伐採する日がやってきました。

 

 

奥山広葉樹林化の現場を見る① (兵庫県戸倉第1皆伐地)

兵庫県宍粟市にある、奥山保全トラスト所有(120ヘクタール)の奥山広葉樹林化現場を見てきました。

周辺の延々と続く人工林地帯の中にあるこのトラスト地は、大部分が原生的なブナ・ミズナラの巨木林です。

奇跡的に残されたたすばらしい森ですが、ふもとの谷川沿いを中心に、以前植林されたスギの人工林が、約12ヘクタールほど分散して存在しています。

奥山保全トラストは、これらの人工林を、ふもとから順次、すべて広葉樹林化して自然林に戻す方針です。

 

すでに、第1皆伐地の広葉樹林化は終わっています。

伐採前

s-IMG_0386

第一皆伐地 2011,9,7撮影

 

皆伐 スギが良く成長しており、伐採木で地面が埋まってしまいました。

s-IMG_9250

 

皆伐後の杉丸太の運びだし

s-vlcsnap-2015-11-15-14h23m30s651

林内作業車で、道のある対岸に丸太を引っ張り上げる。

s-vlcsnap-2015-11-15-14h22m58s846

近くまで来てもらったトラックに載せて搬出。

 

2012年

人工林跡地に、大阪西ライオンズクラブの皆さんが広葉樹を植樹

 ↓

現在

s-IMGP1950

南道から撮影

s-IMGP1965

東植樹地から撮影

第一皆伐地 2015,10,22撮影

 

ここに至るまでには、都市や地元の多くの皆さんのご支援、林業従事経験のある職員、多くのボランティアの皆さんのがんばりがありました。

10月12日 能勢妙見山での会長講演

妙見山ハイキングの会のみなさんは、今春から「とよ」が高代寺にやってきたので、クマがどんな動物なのか知りたくなったそうです。

会のみなさんに講演会をセットしていただいて、妙見山山上の北極星をかたどった建物の中で、森山会長がクマの話や森の話を1時間させていただきました。

s-IMG_2335

s-DSC_0238 (2)[2]

ご出席してくださったみなさんは、自然に接することの気持ちよさを常日頃体験しておられる、明るくて元気な方々です。クマの話にも森の話にも大変興味を持って熱心に聞いてくださいました。とても話しやすかったです。クマなんて怖い動物だとしか思っていなかったが、会長のお話を聞いて、とても親しみがわいてきましたという声もいただきました。さっそく、とよ君にドングリを集めてやろうというやさしい動きも起きてきました。

 

とよ君を保護飼育することで、大阪府民の目が、野生動物や森に向くことが期待されます。

 

クマの食料供給調査2:夏の間にカキをほとんど食べてしまっていた (於:兵庫県豊岡市)

10月6日、熊森が13年前に植樹した「動物の棲める森復元植樹地」を訪れました。

去年、シバグリの枝がボキボキに折られて、クマがここのクリを大量に食べたことが確認できた場所です。

s-DSC05275東床尾

去年はあんなに実っていたドングリもクリも、今年は実りが少しです。

一部狂い咲きしたクリの花に大きなアリが来ていました。ここに植えたクリは、近年はやりのクリタマバチにやられない種の苗木なので、どれもクリタマバチにやられておらず、青々として元気でした。

何故か、今年はクマが来た形跡が全くありませんでした。

去年来ていたクマが有害駆除されてしまったのだろうかと心配になりました。

絶滅危惧種なのに、去年(2014年)、兵庫県では30頭ものクマが有害捕殺されています。

シカの糞はありましたが、ほんの少しだけでした。

 

次に、丹波グリが植えられたまま長年放置されている所にいきました。

s-DSC05296

シバグリと比べると丹波グリは本当に大きくて、数倍の大きさがあると感じました。これまで、シバグリを植樹してきましたが、これからは、丹波グリを植樹したほうが、動物の食料供給に良いのではないかと思いました。

 

少しだけですが、ここには熊棚が出来ていました。

s-IMGP1694正法寺

 

下には、クマが食べたクリの殻が少し落ちていました。

s-DSC05292

同行してくださった研究者が、このように殻が大きいまま実がなくなっているのがクマで、殻が小さくちぎれているのはシカで、イノシシは殻ごと食べてしまうので殻が残らないと教えてくださいました。みなさんの地方のクマ・シカ・イノシシも、、クリの実の食べ方が違いますか。

 

最後に山裾の柿の木を見に行きました。

もう実が少ししか残っていませんでした。地元の人達に聞くと、夏の間にクマが来て食べてしまったということでした。以前は実るまで来なかったのにと言われていました。

s-カキ園

10月初めなのに、もう、実が少ししか残っていない山すその柿

クマが青い柿をかじって地面に捨てた所がありました。

s-スズメバチ

柿の実にススメバチがたかっていました。

s-あり

大きなアリもいました。

生態系としてみんなつながっているのだと、改めて思いました。

 

民家の前に、まだ柿の実が残っているところがありました。

IMGP1882

住民の方に声をかけて話をしているうちに、クマが来ないように全部もいでおいた方がいいということになりました。みんなでもいで、山の中に運んでおきました。

s-IMGP1889

 

この地域は標高が低いからか、ブナやミズナラの木はありません。潜在植生はアベマキのようですが、今年は全くなっていません。クマたちは、これから冬籠りに向けて食い込みがますます必要です。一体何を食べて脂肪をつけるのでしょうか。わからないことでいっぱいです。

 

 

兵庫県で開かれたシカ問題の地元フォーラムに参加して、熊森が発言

兵庫県は昨年度、45000頭のシカを捕殺したそうです。

それでも、シカが減らないということで、地元環境保全団体の主催でシカをどうやって減らせばいいのかを考える会が、10月25日豊岡市でもたれ、熊森本部から4名が参加しました。

 

記念講演をされた方は企業の社員として利潤追求にあけくれる人生に疑問を感じ、エコで持続可能な仕事をして暮らせないかと故郷に戻り、白炭を焼いて生計を立てようとされている40代後半の方で、共感を覚えました。山の中に動物たちの餌がなくなっていると言われるのを聞いて、いつものことながら、但馬のみなさんの生き物への優しさを感じました。

 

後半は、どうすればもっとシカが殺せるかということで、県や市町の行政、猟友会、市民団体の皆さんが、駆除の規制緩和や財政支援、捕獲事業専門会社の導入などについて発表されました。

 

全員の発表が終わってから質疑の時間があり、熊森スタッフ2人が質問しました。

くま森質問、豊岡市には、田畑ごと金網で囲ってシカ害をなくした集落もある。捕殺にばかり多大な予算をかけないで、防除にもっと予算をかけるべきではないか。

答え:金網の管理が大変。シカの害は田畑だけでなく、森にも及んでいる。

くまもり質問、くくり罠の規制緩和をめざすということだが、国が定めたくくりわな直径12センチ規定は、クマが誤捕獲されないためには必要な規定である。くくり罠の規制をどのように緩和するつもりか。

答え:地面に置くくくり罠は、雪が積もると使えなくなる。規制緩和してもらおうとしているのは、胴体くくり罠だ。餌を探してやってきたシカの首にワイヤーがかかると首がしまる。通り道に垂直にかけるくくり罠の規制緩和を要望している。

答えに対する地元市民の要望:くくり罠は大変危険な猟具だ。住民としては、簡単に規制緩和してもらったらこわい。慎重にやってもらいたい。

 

森山会長が最後に意見

議題がすべて終了してから、それまで議事進行の邪魔をしてはならないと遠慮して発言を控えていた森山会長が意見を述べました。

 

(要旨)地元でシカの被害に苦しんでおられるみなさんにとっては、対症療法として、どうしたらもっとシカを殺せるかが議題になるのだろうと思います。しかし、わたしたちは自然保護団体なので、ちょっと別の角度から意見を述べさせていただきたいと思います。

今、本当に、シカを殺しているだけでいいのでしょうか。

山では昆虫などの生物の大量絶滅が続き、それと同時に山の砂漠化が進行して湧水がどんどん減ってきています。

根治療法として、野生動物たちを本来の生息地に戻してやるべきなのです。

 

自然生態系は非常に複雑で、人間の頭でコントロールできるようなものではありません。みなさんに、シカを殺してシカ数をコントロールせよと指示を出している人たちは、自然界がどういうものなのか、ご存じないのだろうと思います。

 

シカは、そもそも草原の動物です。昭和の初めには草原や湿地など、シカの生息地が500万ヘクタールあったそうです。それを宅地や農地にと、人間がシカから取り上げたのです。シカは生息地を奪われ山奥へと追い込まれました。シカが草原で生活している時は、和芝などの草を食べて暮らしていました。このような草は、シカが食べてもすぐにまた生えてくる上、シカの食害にあっても枯れることがありません。しかし、森林生態系の下草は草の種類が全く別です。シカが食べると消えてしまうのです。

 

シカを絶滅させるつもりなら別ですが、シカも豊かな国土の自然形成に何らかの役割を持って存在しているはずだと考えるなら、シカが草原で暮らせるようにもう一度ある程度の草原を復元して、シカを山から出して本来の生息地である草原に帰してやるべきではないでしょうか。

 

一方、本来奥山が生息地だったクマは、奥山が戦後の国策によりスギやヒノキで埋め尽くされて棲めなくなっています。残された自然林はシカの食害で下草が消え、隠れ場所がありません。夏の食料である昆虫も消えて、クマたちはみんな里に下りてしまっています。奥山に広葉樹林を復元して、1%でも2%でも毎年人工林率を落としていき、本来の住民であるクマを奥山に返してやるべきです。

 

これは、第一に野生動物のためではありますが、コンコンと水の湧き出す水源の森を取り戻すことでもあり、結局は人間のためでもあるのです。

 

(感想)当日参加されておられた地元のみなさんは、環境保全にかかわってこられた方たちだからでしょうか。熊森の主張に同感してくださる方が何名もおられました。これを機会に、新たな地元とつながって行けたらいいなと思いました。

本来は、但馬のみなさんは殺生を嫌い、生き物に優しい心をもっておられるのに、そういう方々に、生き物を殺すことばかり勧めている国に、怒りを覚えました。

はっきり言って国策が失敗して、野生動物も国民もみんな生活できなくなり困っているのです。国を責める気はありませんが、国策の180度方向転換を強く望みます。

野生動物を本来の生息地に返してやりましょう。

 

熊森は、以下、千松氏の発言をうれしく思います。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151024-00065459-hbolz-bus_all

10月24日 本部自然農 田んぼの稲刈り

2008年から始まった熊森本部の自然農での米作り。初年度は驚くほど収量が多かったのですが、その後は年々減る一方。原因がわかりません。

今年は地元の方に、毎日の水番をしてもらっての再挑戦でした。

DSC_0024  DSC_0062                                  DSC_0065

 

DSC_0066

豊かな緑の中で、自然を大切に思う仲間との農作業は楽しく充実した時間でした。

しかし、収量が・・・去年よりは多いけれど、こんなに少ないのでは米作りをしていますとは言えません。

岡山県の仲間たちは、たくさん収穫しているというのに、何が問題なのでしょうか。

 

今年は担当者たちだけで、ほんとうに勉強して、いろいろ手を入れてみました。

水番をして下さった地元の方に、「この田んぼは、毎日水を入れても半量がなくなってしまう。ザル田になってしまっているよ」と言われ、びっくり。

いつの間にこんなことになってしまったのか。以前、水が涸れないようにと水のかけ流しをしていた時期があったからだろうか。

 

数年間米作りに挑戦してみて今思うのは、自然農の米作りは素人が月1回田んぼをのぞく程度でできるような簡単なものではないということです。

毎日毎日田んぼを見回って、モグラが畔に穴をあけたらすぐ対処するなど、日々起こる問題に迅速に対応できる体制が必要だとわかりました。

今後、どうしていくか、担当者たちで考えてみます。

 

 

 

 

フィード

Return to page top