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わな規制緩和へ 環境省、指導あれば誰でもわな設置OKの方向へ 1月4日
熊森は、無免許者の罠設置など認めないよう、環境省に電話をしました。
〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館 環境省 野生生物課鳥獣保護業務室 電話:03-5521-8282
狩猟免許がなくても野生動物を獲るための罠を設置していいというようなことを、他の部署が言うならともかく、環境省が言い出すなど、言語道断です。クマを絶滅させます。
現在、罠免許所持者が増大しています。現地はイノシシやシカを獲るための罠だらけになっています。誤って絶滅危惧種のクマがかかることが後を絶ちません。本来、法 的には、誤捕獲はその場で放獣です。しかし、実際はクマを放獣することは大変だとして、次々と射殺されているのです。環境省の担当者には、このような実態 を知っていただきたいです。
環境省は、これ以上クマが殺されることを、進めないでいただきたい。環境省のせいで、クマが滅びましたということになります。野生鳥獣による農作物被害は大変なことになっていますが、罠の規制緩和ではなく、戦後、人間が破壊した広大な野生鳥獣の生息地復元や効果的な防除柵の強化で対応していくしかないと思いま す。
そもそも環境省は、何のためにあるのでしょうか。現代社会は、人間のことしか考えない人間中心主義のあさましい社会に陥っています。こんな中で、野生鳥獣をはじめとする自然の立場に立って声を上げるところが、1つだけでも行政の中に存在しなければ、みんな殺しつくされてしまう。そうならないために、作られたのが環境省だと思います。その環境省までもが人間中心主義に陥ってしまえば、野生生物も自然も、もう守れません。
熊森:環境省のだれが、わなの規制緩和などをしようと言い出したのですか。
環境省:環境省中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会で、去年から委員の先生方によって、案が出ています。
熊森:要するに、(絶えず担当部署が変わっていく)環境省の職員の皆さんの意見ではなく、国の環境行政の方向を決めているのは、専門家と言われる委員の先生方なのですね。(だんだん、環境省の仕組みがわかってきました)委員の中には、ワイルドライフマネジメント派の学識経験者とかばかりではなく、動物たちの立場に立って発言できる熊森のような会も入れるべきです。私たちは、1999年に環境庁が導入した人間が野生動物の頭数を調整してやるという保護管理(ワイルドライフマネジメント)の考えは、人間の傲慢以外の何物でもなく、人間はこのようなことをしてはいけないのだと考えています。第一、人間に野生鳥獣の頭数調整など、できっこありません。殺すばかりで残酷なだけです。(委員の過半数が、野生動物の立場や心がわかる人でなければ、環境省の委員会ではない)
環境省:今年、パブリックコメントをとりますから、意見があればそこで述べてください。
熊森:いくら、心を込めて一生懸命書いてパブコメに応募しても、「今後の参考にします」で、没にされるだけであることがわかりましたから、もう、書きたくありません。
以下、信濃毎日新聞 2011年01月04日記事より
全国で野生鳥獣による農業被害が深刻化しているのを受け、環境省は、わなによる狩猟の免許がなくても免許を持つ人の指導があれば、わなを設置できるよう規制を緩和する。現在、県内の一部市町村など国の構造改革特区に限定している同様の措置を全国一律に適用。ことし夏ごろに開く中央環境審議会に諮り、都道府県の鳥獣保護事業計画の基本となる指針を改定する。
現在、「わな特区」以外では、該当する狩猟免許がないとわなを設置できない。規制緩和の拡大は、ニホンジカやイノシシなどによる被害に悩む農家らが、わな免許を持つ人と共にわなの設置に参加できるようにして、作業の効率化につなげる狙いだ。
都道府県が5年ごとに定める鳥獣保護事業計画は、現行の計画期間が2011年度末で終了。このため国は11年度、同事業の基本指針を改定。わな設置の規制緩和は、12年度からの計画に反映させる。
ただ、掛かった動物を仕留めるには銃による狩猟免許を持つ猟友会員の協力を得るのが一般的。県内では猟友会員の減少に悩む地域も多く、規制緩和でわなを多く仕掛けることができても銃猟免許を持つ人の確保もセットで進めることが必須となる。
また、県内で特区認定を受けている伊那市、小県郡長和町、東筑摩郡筑北村でも、猟友会と行政、農家などの連携や費用分担の協議が進んでいない。環境省鳥獣保護業務室は「規制緩和を現場でどう生かすか、各地の実情に応じて取り組んでもらう」とする。
県猟友会は「制度が整っても、地域によっては会員の減少や高齢化などで対応しきれない」と指摘。県野生鳥獣対策室は「規制が緩和された場合、どんな形で進めればいいか猟友会や市町村と調整して検討したい」としている。
農林水産省によると、09年度の全国の農作物への野生鳥獣被害額は前年度比7・3%増の約213億円。中でも、ニホンジカによる被害は約71億円と3分の 1ほどを占めた。県内の被害額は2・1%減の16億円余。そのうち、ニホンジカが0・5%増の7億900万円、熊が19・3%減の1億8900万円、イノ シシが7・8%減の1億5700万円だった。
1月23日 厳寒の中、お世話に行ってきました (太郎と花子のファンクラブ)
- 2011-01-24 (月)
- _クマ保全 | _野生動物保全 | 太郎と花子のファンクラブ
毎月第4日曜日は、本部のお世話当番の日です。今年は寒い日が続いており、一般からの参加応募者もなかったため、和歌山県生石高原山頂の獣舎まで、スタッフ4人で行ってきました。凍結が心配されたので、この日は南面の道路を使って行きました。案の定、飲み水もすべて凍っていました。プールの水も凍っており、氷の厚さは約10センチでした。プールの氷をとってあげると、太郎がゴクゴクと、プールの水を飲んでいました。太郎は、今年、22歳です。おめでとう。
今冬、太郎が造った冬眠穴です。寒いためか、去年より深めの穴を造っていました。
花子は、今年、21歳です。おめでとう。飼い主の山田さんがあげた1斗缶のはちみつに顔を突っ込んで食べたらしく、頭にはちみつがこびりついていました。山田さんによると、花子は、今冬いったん冬眠しかけたのだが、少し暖かくなったので、また起き出してきて、まだ冬眠に入っていないということです。私たちの車の音を聞いて、冬眠室からゆっくり出てきてくれ、あげたキウイやピーナツなどを、おいしそうに食べていました。
実際のクマに接してもらうと、クマがどんなに平和的な動物か、わかってもらえると思います。今年も、多くの人々に、本当のクマの姿を伝える場にしていこうと思います。第4日曜日の活動にご参加頂ける方は、熊森本部担当者、花岡まで。
群馬県支部の活動が毎日新聞に(1月8日)
ここで、「どんぐりをまく」という表現がされていますが、実際には、一か所にまとめて置きます。ニュースや新聞で書かれているような、「まく」と いう行為ではないことをあらかじめご了承ください。また、運んでいるドングリは街中のドングリに限定して集めてもらったものです。
当協会のドングリ運びに関しての見解:http://kumamori.org/infomations/carry_donguri/
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毎日新聞より抜粋
ドングリ:餌不足のクマのため山にまこう 群馬・高崎
全国から集まったドングリを山林にまく日本熊森協会群馬県支部のメンバー=群馬県沼田市内で(同支部提供)
餌不足のクマのため山にドングリをまこうと、群馬県高崎市の自然保護団体が昨秋、全国に協力を呼び掛けたところ、まききれないほどのドングリが集 まった。クマが冬眠に入った今も寄せられており、大型の段ボール箱で計約300箱分、約3.5トンに達している。目覚めた時に少しでも餌の足しになるよう にと、団体は春の訪れを待って再び山にドングリをまく。
呼びかけたのは「日本熊森協会群馬県支部」。川嵜實支部長によると、昨秋は夏の猛暑の影響でブナやミズナラになるドングリが不作となり、各地で人里に出没するクマが相次いだ。中には駆除されたクマもいた。
こうした悲劇を少しでも減らそうと、支部は昨年10月からドングリを募集。ミズナラなどの林は市街地周辺にも多くあり、北海道から九州まで全国各 地の3000人以上からドングリが寄せられた。その多くに「クマさんに届けて」「子どもと一緒に拾いました」などのメッセージが添えられていた。
支部は寄せられたドングリを昨年10~11月、12回にわけて群馬県内の42カ所にまいたがすべてをまききれなかった。当初の募集期限の昨年11 月末を過ぎても送られ続けており、春にも再び県内の山にまくことを決めた。川嵜支部長は「善意のドングリがこんなに集まり感激した。クマに贈り主の皆さん の気持ちを届けたい」と話している。
ドングリは同支部(〒370-0862 群馬県高崎市片岡町2の9の7 電話080・5490・0594)へ。【鳥井真平】
愛知県瀬戸市のイノシシ罠は今
昨年11月、愛知県瀬戸市の自然林の中に設置されたイノシシの箱罠に誤ってかかったクマが、射殺されるという悲しい出来事がありました。本来ならば、鳥獣保護法にのっとって、その場で即放獣されるべきクマでした。放獣してもらえなかったのは、地元住民が放獣を認めなかったからだそうです。
2度とこんなことが起きないように、あの後、瀬戸市熊森会員の要請や、瀬戸市担当者の尽力もあって、瀬戸市に設置されている60基ほどのイノシシの箱罠の上部の鉄格子には、今、次々と30センチ四方の穴が開けられ、クマスルー檻に改造されていっています。今後、もし誤ってクマがかかっても、クマが自力で脱出できるようにするためです。殺されたあのクマさんは帰ってきませんが、この動きは、せめてもの供養です。さっそく対応策を取ってくださった瀬戸市担当者や猟友会の皆さんに感謝です。
以前からクマスルー檻を試みてこられた、ある県の行政の担当者に話を聞いてみました。
「30センチの穴では、クマが檻の中から出ていないことも、しばしば経験している。僕らが近づくと、あわてて穴から出ようとして飛び出てきて、危険を感じたこともあった。1回、僕たちを見てあわてて飛び出そうとしたクマが、穴に引っかかって動けなくなってしまった。仕方がないので、麻酔をして、下に1回落としてからひっぱりだして放獣した。40センチの穴だと大丈夫だが、クマが、出たり入ったりするようになるかもしれない。
大分県・豊後大野市市長に、オオカミ輸入を思いとどまっていただくよう要望を
- 2011-01-10 (月)
- _野生動物保全
新聞報道によると、大分県・豊後大野市橋本祐輔市長が、シカ・イノシシの農作物被害対策に、中国のハイイロオオカミを輸入するという構想を打ち出したそうです。100年前に滅びたと言われているオオカミと、現在のシカ数、イノシシ数が関係するなど、ちょっと冷静になって考えてみれば、ありえないことです。狭い日本に、オオカミを導入すればどうなるのか。オオカミにしてみれば、すばしこい野生動物を襲うより家畜を襲う方がずっと簡単ですから、オオカミによる家畜被害という新たな問題を引き起こすだけになるでしょう。可能な方は、市長さんに思いとどまっていただくよう、意見をお伝えください。
豊後大野市役所 〒879-7198 豊後大野市三重町市場1200番地 電話番号:0974-22-1001 FAX番号:0974-22-3361
イエローストン国立公園でのオオカミ導入結果については、もっと長期にわたるモニタリングが必要です。今後、どうなっていくのかは、まだだれにもわかりません。オオカミは肉ばかり食べていると誤解されがちですが、実際はドングリなども多く食べるそうです。オオカミを導入した際、大分県に、オオカミの生存を支えるだけの広大な広葉樹の豊かな森が残っているのか疑問です。
研究者の皆さんに苦言です。行政の皆さんは素人です。研究者の皆さんが、行政から予算を取って、誰もしたことのない実験を行い論文を書きたいという気持ちはわかりますが、「オオカミを導入すれば、植生や小動物が回復し、生態系が正常化する」等という進言は、あまりにも一方的です。研究者の皆さんは、日本の山が荒れているのは、戦後の大開発や拡大造林、酸性雨、地球温暖化など、人間活動によるものが間違いなく大きな部分を占めていることぐらい、ご存知だと思います。シカやイノシシを殺しつくしても、森はよみがえらないでしょう。第一、シカやイノシシは、本来、害獣ではありません。公正なる進言をしていただかないと、行政の判断を誤らせます。
シカ・イノシシ問題について、自然界のことは人間にはわからないことが多いです。しかし、以前は、今のような目撃数はなかったのですから、とにかく、以前の環境に戻しましょう。奥山の放置人工林を強度間伐して自然林を再生し、動物たちには山奥に帰ってもらい、棲み分けを復活し、防除に励むしかないと思います。現地は高齢化した過疎地ですから、行政や都市市民が応援に入らなければならないのは言うまでもありません。
オオカミの導入は命を弄ぶ研究者の遊び 元旦の新聞トップ記事に思う
- 2011-01-07 (金)
- _野生動物保全
ある新聞の元旦トップ記事は、<ニホンオオカミのはく製からクローンに挑む>でした。はく製オオカミの毛皮から細胞核を取り出して、イヌの卵子に入れ、めすイヌの子宮に注入する研究の紹介です。
成功するかどうかは知りませんが、このような生命操作は人間の傲慢以外の何物でもないと思います。生命のことなどほとんど何もわかっていない人間には、許されない実験行為だと思います。もし、オオカミが誕生したとして、生息環境も生息を受け入れる体制も全くないこの国で、どうやってかれらは生きていけばいいのでしょうか。狭い日本です。生きるために食糧として家畜を襲い、有害駆除されることになるでしょう。関係者一同、誕生したオオカミの悲しさなど、誰も考えてやっていないと、記事を読んで感じました。このような記事が、よりによってなぜ元旦のトップ記事になるのか、新聞社の良識や倫理観を疑います。研究していいことと、してはいけないことがあるはずです。
忠犬ハチ公やマンモスの復活も視野に入れているそうで、これはもう、研究者の前後を考えない命遊びでしょう。
さらに驚いたのは、シカ数を調整させようという大義名分で、タイリクオオカミを導入しようとしている人たちがいることです。タイリクオオカミを導入したら、めでたく、シカ数が調整できると本気で期待している人は、いるのでしょうか。シカ数が増加して問題になりはじめたのは平成になってからで、最近のことです。オオカミが滅びたのは100年前です。どう考えても因果関係はありません。
第一、日本にタイリクオオカミのようなオオカミがいたというのは、本当でしょうか。1960年に分類学の今泉吉典先生が、かつて日本にいて、明治に絶滅したと言われている「山犬」と名付けられていた動物のはく製に、ニホンオオカミという正式な和名をつけられました。このときから、日本には、ニホンオオカミがいたと表現されるようになりました。しかし、その時には、すでにこの動物は絶滅していたので、どのような動物だったのかよくわかりません。国内にもいくつかのはく製があるじゃないかということですが、当時のはく製の作り方は今と違い、何頭分かの毛皮を寄せ集めて作られた大雑把なもので、どの部分がオオカミなのか、単純には判断できない難しさがあるそうです。しかも、犬とオオカミはDNAが同じで、DNAによる判別はできないのだそうです。日本に、家畜をどんどんと襲うタイリクオオカミのようなオオカミはいたのでしょうか。
ニホンオオカミ、山犬、野犬の違いは?このような大変興味深い内容が、元高校の校長先生であった西田智氏が出版された「ニホンオオカミは生きている」という本(二見書房)に詳しく書かれています。
オオカミ問題に興味のある方は、ご一読ください。
福島県国見町でもどんぐり運びの成果あり!
山形県支部長より、どんぐり運びの報告がありました!
しっかりクマさんのところまで届いたようです。
以下、報告をお知らせします。
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11月17日に、およそ120kgのクリを、2ヶ所に分けて置きました。
12月8日、その2箇所を見てきました。
クリを置いたすぐ回りに大きな糞が3ヶ所にありました。
こちらは昨日から気温が下がり、奥羽山系では雪が降っていました。しかし、現地はわずかに小雪は舞っていましたが、積雪はなく、クリを置いたものが雪で隠れることもないギリギリのタイミングだったと思います。
今回のことで、この周辺にたしかにクマは生息していることがわかりました。置いたものは120kg、残っていたのがおよそ20kg(推定)。 100kgは動物たちに食べられたことになります。
以上、報告です。
どんぐり運びでご迷惑をかけた一部地元のみなさん ごめんなさい
猟期に入ってからも、クマ目撃が民家周辺で続いています。なんとかクマが集落の中に入ってこないように、兵庫県のクマ生息地の裏道に、地元の方とドングリを置いてまわりました。
今年は、まだ都会の公園のドングリが実っていない夏に、クマが山から出てきてしまいました。山に異変が起き、夏の食糧がなかったのです。やっとドングリが落ちだして、山に持って行ってやろうとしたとき、すでに奥山にクマはいませんでした。そのため、クマの絶滅を止めるための緊急食糧援助としては、これまでの凶作年と違って、集落近くにドングリを運ばざるをえなかったのです。
ここなら入る人もなさそうだから大丈夫だろうと判断して置いた場所が、地元の人が通ることもある場所だったりして、「こんなところに、クマを集めるな」と、お叱りを受けたこともありました。やはり、地元の学校などで取り組んでもらわないと、外から行った者には、置く場所の選定が難しいと思いました。ご迷惑をおかけしたみなさん、本当に申し訳ございませんでした。
前回置いたクリやドングリは、みごと全部食べられて、完全に殻だけになっていました。すぐ横に、大きなクマのふんがたくさんありました。まだ、クマが山に帰れないでいることがわかりました。今年、兵庫県で人里に出たとして有害駆除されたクマは、11月30日までで、68頭にものぼっています。放獣作業中に死亡した2頭と10月20日までに交通事故死したと報告されている11頭を合わせると、今年、兵庫県で、クマが人間によって、81頭消されたことになります。
1992年に、兵庫県のクマは、残り推定60頭、絶滅寸前ときいて、わたしたちは、なんとか絶滅を止めようと立ち上がり、18年間がんばり続けてきました。狩猟禁止を勝ち取り、保護獣化に成功。山の実り凶作年には、高速道路を使い、往復に6時間も7時間もかけて自費で都会の公園のドングリをクマの棲む山に運びました。100頭ぐらいに回復してきたのではないかというのを聞いて、とびあがって喜んだことを思い出します。しかし、今年の大量駆除で、わたしたちの、これまでの苦労は水の泡。座り込んでしまいたいほどショックです。兵庫県の方針が変わったのでしょうか。担当者が、クマなどどうでもいいと思う人に変わったのでしょうか。私たち自然保護団体は、県担当部署から完全にカヤの外に置かれ、行政の内部がさっぱり見えません。
今年、大量駆除が暴走しているのを知って、状況を聞こうと、10月にクマ生息地の県民局の担当部署に電話したところ、「忙しくて1分1秒の時間もありません」と断られました。「いつだったらお話が聞けそうですか」には、無言でした。いまだに県行政は、官尊民卑だと感じます。
ちなみに、2004年の山の実りなしという第1回目の異常年でさえ、兵庫県で捕殺されたクマは、7頭。同じく、2006年は4頭。そして、今年、2010年が68頭!なのです。しかも、12月の今も、兵庫県ではまだイノシシ罠に誤捕獲されるクマが後を絶たないということです。兵庫県は、イノシシの鉄格子罠の上部を開けてクマが逃げられるようにしたクマスルー罠は、クマの餌付けになる恐れがあるとして、義務付けていません。一方、富山県庁では、イノシシ罠の上部を金属ノコギリでカットするように徹底して指導したところ、今年、イノシシ罠にクマが誤捕獲される例はゼロになったということです。
変わったクマのふんを見つけました。ギンナンの実がいっぱいです。でも、皮も、当然のことながら中の種も消化されていません。食べた意味があったのだろうか、不思議でした。
富山県でもドングリ運びの成果が!パート2
車でほぼ毎日どんぐりを運んでくださっている富山県会員さんより報告です。
運んだどんぐりのすぐわきに、大人のクマのフンと、子どものクマらしきフンが!!
親子そろってお腹いっぱいになって、山に帰ってくれたのでしょうか。
ここでしっかり食べて冬ごもりに備えてほしいですね。

どんぐりのそばに大人のクマのフン

柿を食べたのかな?小さなオレンジ色のフン
富山県(3) 11/24 当協会トラスト地670haに、ヘリコプターでどんぐり運び
今年、山に大異変が起き、森は未曾有の食料飢饉。クマをはじめとする森の動物たちに何とか生き抜いてほしいという愛と願いを込めて、名も無き一般国民たちが、腰が痛くなるまでがんばって集めたドングリが、500キロ入りのバケットに次々と移されていきます。
富山県のツキノワグマも、絶滅するな!ハンターに撃たれるな!ドングリを満載したバケットをぶらさげたヘリコプターが、車が入れない当協会のトラスト地670haに向けて飛んでいきます。本部から持っていったGPSで、位置を確認します。
トラスト地上空にさしかかりました。クマたちの冬眠前の主食である奥山のミズナラのドングリの巨木がたくさんナラ枯れで枯れてしまっていました。同乗してくださった地元の方が、「これでは、クマたちが人里に出てこざるを得ないな」と、納得されていました。全国で、クマは、絶滅に追い込まれています。原因は全て人間です。
このヘリコプターでのドングリ運びは、11月24日のテレビ朝日の報道ステーションなどで放映されました。
クマが里に出てくるのは、クマが増えているから、里山が放置されたから、ハンターが減ったから、このような誤情報がたくさん飛び交っています。奥山に食糧がないからという真実を、国民のみなさんになんとか伝えたいと思います。