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滋賀県支部第10回総会と画家ウィリアムズ氏による記念講演
3月2日、歴史を感じさせるすてきな建造物である大津市旧公会堂で、熊森滋賀県支部第10回総会と記念講演会がありました。滋賀県支部は、京都府支部に続く、熊森の第2号支部です。
滋賀県支部は、この10年間、村上支部長を中心にスタッフ一同が心を一つにして、熊森活動に励んでこられました。10年間変わらず、しかも、休むことなく活動し続けてこられた。これだけでも、みなさんが本気で本物であることがわかります。
村上支部長は、本業であるフルタイムのハードな仕事を持ちながらの熊森無償活動で、その大変さは、やったものにしかわからないと思います。この日、熊森滋賀スタッフのみなさんが、輝いておられるように感じました。
森山会長から村上支部長に花束贈呈。10年間の感謝とねぎらいのことばがありました。
去年度滋賀県支部は、琵琶湖西部トチノキ巨木群を伐採業者から守り、立木トラストすることに成功されました。今、滋賀県内における次なる大規模奥山トラストをめざして、動いてくださっています。
立木トラストに成功した、朽木のトチノキの巨木群展示写真
今回は、10周年を記念して、ブライアン・ウィリアムズ氏が講演をしてくださいました。有名な画家であるウィリアムズ氏が、地球の環境問題について、こんなにも勉強されていたのかと知って驚かされました。まるで専門家です。
ウィリアムズ氏は、ペルー生まれのアメリカ人で、世界一周写生旅行の途中に日本に立ち寄り、日本の風土や人情に魅了されて、大津市伊香立に定住してしまわれたのだそうです。家の窓から見える景色が、即、絵にしたくなる美しさだということでした。その感性の鋭さゆえに、人類が今のような生き方を続けるなら、地球温暖化問題をはじめ、近い将来、滅びざるを得ないことが見えておられるようでした。熊森同様、大変な危機感を持っておられました。
講演中のウィリアムズ氏
舞台には、曲面に描かれた巨木の絵がありました。魅了されて眺めていたら、ウィリアムズ氏が、私が描いた絵ですと言われました。一瞬、「えっ」と思いましたが、ウィリアムズ氏は、地球環境問題の研究者ではなく、本業は画家だということを思い出しました。ウィリアムズ氏は立体キャンバスに絵を描く画家としても有名なのだそうです。3次元の世界は、平面ではなく立体キャンパスに描いた方がいいという発想にも、驚かされました。
私が描いた絵ですと教えてくださったウィリアムズ氏
最後に、ウィリアムズ氏が、「自然保護を語っている人が多いが、よく聞くと、ほとんどが自然保護ではなく、人間保護。」と、苦言を呈しておられました。全く同感です。
この日、ウィリアムズ氏は、日本熊森協会の会員になってくださいました。それもこれも、滋賀県支部のみなさんのおかげです。
ウィリアムズ氏の講演を聞かせていただいて、ここまで日本の自然を守りたいと本気で思っておられる人は、めったにおられないだろうと思いました。その本気の人が、日本人ではなくアメリカ人というのは、なんか不思議でした。
3月22日 祝 神奈川県支部設立総会
待望のくまもり神奈川県支部が設立しました。おめでとうございます。
この日、設立記念総会の会場となった横浜市社会福祉センターに、63名の方がお集まりくださいました。ここまでこぎつけるには、支部長を初め、関係者のみなさんの並々ならぬご尽力がありました。ほんとうにすごいです。
本気の神奈川県支部長は、この日、少年のように輝いておられました。
写真はあいさつする支部長です。
会場後ろには、支部長が現地で撮られた丹沢山地などのすばらしい写真が展示されていました。
写真展示
<丹沢山地のクマ…もう駄目かもしれない>
くくり罠には、一説には、獲ろうと思った動物の3倍もの他の動物が、誤捕獲されるそうです。誤捕獲だから放してやろうと思っても、そばにいくと、動物は殺されると勘違いして暴れるため、全身麻酔という大変な作業を行わない限り、罠から放せません。熊森は、以前から、このような大欠陥を持つくくり罠の使用禁止を訴え続けてきました。
丹沢山地のクマは、あと30頭と言われていますが、シカやイノシシを獲るためのくくり罠に誤捕獲され続け、近年だけでも、やむなく貴重な4頭が殺されました。
会場風景
以下、プログラム順にご報告します。
(1)熊本テレビ「現場初!山は警告する」上映
この2012年度熊本テレビ制作番組は、秀作です。この年、阿蘇で起きた大規模土石流の検証番組です。土石流が、戦後の拡大造林によるものかどうかが、争点になっていました。この番組には、熊森顧問の熊本県在住平野虎丸氏の「植えない森」も取り上げられていました。
組織を守ろうと必死になっている林野庁の官僚の見苦しい言い訳場面には、思わず、失笑してしまいました。官僚のみなさんは、正直に失敗を認めればいいのにと思いました。その方が、国民も納得して、好感を持ち、林野庁に協力しようと思うようになります。林野庁の絶対に自分たちの非を認めないこっけいな答弁を残念に思いました。
現在、大手メディアには、政府広報を流しているだけというジャーナリズム精神を失った情けない番組が多いのですが、地方テレビには、健全な批判精神を失っていない優れた番組がまだあることがわかり、意を強くしました。
(2)地元の猟友会員からの勇気ある告発
神奈川県が実施した「水源の森林(もり)造り事業」によって、丹沢山地の下草が大幅に刈り取られてしまい、クマやイノシシなどが姿を隠す場所がなくなり、棲めなくなった現状がよくわかりました。
神奈川県の担当者は、確かにやり過ぎましたと非を認めているということで、どちらも勇気ある人たちだと思いました。こういう人たちだと、熊森も連携できます。
人間は神様ではないので、失敗します。その時は素直に認めて謝り、やり直す。小学生の時に教わった、そんな人間の生き方を、お互い貫きたいものです。
(3)渓流釣りの現場から見た渓流魚の激減と奥山の荒廃報告
現在、国は、人里に動物たちが出て来るようになったのは、過疎化高齢化が原因であるとして、野生動物と地元の人達に問題の責任を押し付けています。
まさに、国策の失敗隠しですが、奥山を覗く人がほとんどいないので、国民は簡単にこのようなねつ造報道に洗脳されてしまいます。
しかし、「渓流釣り」をする人は、放置されて大荒廃している広大な奥山人工林を見ておられるので、だまされません。
熊森は、渓流魚の復活を願い、谷川の人工林を伐って、花の咲く広葉樹の木に植え替えていっています。渓流釣りの人達と、熊森は連携できますね。
(休憩 )
(4)森山会長による支部結成祝い講演
森山会長は、神奈川県支部結成を心から喜ぶと同時に、「今後の神奈川県支部の発展のために、支部長を支えてほしい。支部長を支えず、支部長の足を引っ張るようなことをすれば、組織はつぶれてしまう。日本の自然を守れるのは市民であり、市民がもっともっと勉強して、知識面でも人間面でも成長しなければならない」と、支部員たちにお願いしました。
また、「動物たちのために、次世代のために」とのスローガンの元、奥山間伐を続ける熊森間伐隊の動画を見せて、他者のために生きようとする者だけが、大変な困難を乗り越える力を得、幸せに輝く使命感ある人生を歩めると、自分の人生を振り返って話しました。
●この会には、東京都支部長とスタッフ、栃木県副支部長、三重県支部長も参加してくださいました。ごくろうさまでした。みんなで、神奈川県支部を応援していきましょう!
●会終了後、神奈川県支部長は、「今日集って下さった神奈川県会員や、今日出席できなかった神奈川県会員のみなさんを、今後、熊森神奈川の活動にどのように結び付けていけるか、会員をどうやって倍増していくか、これからが支部長としての力の見せどころです」と、抱負を語っておられました。
熊森の、東京事務所!神奈川事務所!待望
また、打ち上げ会場では、今後の熊森活動を発展させるために、今一番必要なものは、東京や神奈川に支部の事務所を持つことであるということで一致しました。さっそく、事務所用物件も持っている会員に、薄謝で貸してもらえるよう、会報を通じてお願いしてみることになりました。
明らかに、環境に百害あって一利なし リニアモーターカー 山梨県建設現場視察
今年1月26日午後、初めてリニア建設現場を見ました。こんなグロテクスな巨大建造物を、山梨県どころか、美しい南アルプスの山を貫いて大阪まで、残された大切な自然を破壊しながら建造していくだなんて、日本に生まれて、この美しい国土を愛することができない人たちがいるのだろうかと、不思議にも思い、悲しくも思いました。
リニアモーターカー建設現場近くのブドウ農家の方にインタビューしてみました。やはり地下水脈が切断されて、水が枯れたり、また反対に、かなり離れた思いもかけない場所から水が噴き出したりしているということでした。地下水脈をぶち切るのですから、当然、そうなると思います。地元にとっては迷惑この上ない事業でしょう。
景観にとってどうか。
美しい風景の前に、巨大な白線が引かれる。景観に百害あって一利なし。白線はそのうち、色が汚くなっていくはずです。
山中のトンネル部分では、熊森的には、振動と騒音で、冬籠り中のクマたちが跳び出してしまうと言えます。リニアによって、山を捨てて、人里に出ていく動物たちが増えるかもしれません。そうなれば、国は何の躊躇もなく、ただ彼らを殺すだけでしょう。
とにかく近くで見ると、リニアトンネルは大きいのです。
これだけのセメントの材料を、どこから持ってくるのか不思議です。セメント原料を採掘した場所でも、国土大破壊となっているはずです。この場所を見る限り、野生生物や弱者への配慮は全くなされていません。トンネルの下に付け替えられた新しい川(というより水路)に落ちた動物や子供は、垂直3面張りのため、2度と地上に上がれません。もちろん川の中の生態系は、完全に失われていました。
近くの山の中を覗いてみました。
ここは以前、川だったのだろうと思われますが、完全に水が干上がっていました。山梨県の野生動物たちは、リニアの工事で失った水飲み場を新たに探さねばならず、みんな大混乱に陥っていると思われます。
山梨のこれまで美しく静かだった環境が、大破壊されようとしています。今からでも遅くない。大手メディアは、現地を取材し、全国に真実を報道して欲しい。国民は、報道がないから、現地を見たことがないので想像力が働かず、黙っているのです。真実を知れば、この事業で金儲けができそうだとして正常な判断力を失ってしまっている人たちでない限り、ほとんどの国民は、リニアなんていらないと反対し始めるでしょう。
ああ、それがわかっているから、リニア推進報道しか、世に出さないのですね。
山梨県甲府市でのくま森ジョイント講演会
報告が遅くなってしまいましたが、今年の1月25日、山梨県支部主催「くまもり講演会」に行ってきました。
静岡駅からJR身延線に乗って甲府駅に向かう長い道中、ずっと車窓から外の景色を見ていました。
この沿線沿いには、人家がほとんどありません。日本にもまだこんなところがあったのかと、うれしく思いました。
山梨県の人口は85万人。県庁所在地甲府市の人口は、わずか19万人です。しかし、人工林率は46%の高さです。
車窓から見える山梨県の川の水は、何かあったのかと思うほど、どこも少なかったです。
列車が進むにつれて、富士山が、車窓の右に見えたり、左に見えたり、後ろに見えたり、前に見えたり・・・思いもかけない方向から次々と目まぐるしく目に飛び込んで来ます。
一体、線路がどのような向きに敷かれているのか不思議に思いましたが、地図を忘れたのでわかりませんでした。
世界遺産富士山を堪能できる、ぜいたくな旅でした。
甲府に着いてから、講演会場の山梨県立文学館へと急ぎました。
人々が講演会に集まってくださるのかどうか、心配でした。
というのは、2011年の東北大震災・福島原発事故以降、世の人々の関心がそちらに移ってしまい、また、最近は、人々に無力感、脱力感が広がっているのでしょうか、以前と比べて、自然保護関連の集会への参加者がぐんと落ちているのです。
しかし、うれしいことに、今回、会場いっぱい80名の方々が集まってくださいました。自然と集まってくださったわけではありません。支部長以下、山梨県支部の皆さんが、本気になって人々に声掛けをして集めてくださった結果です。みなさん、本当によくがんばられました。本部や他の支部も、負けておれません。
<挨拶する、くまもり山梨 坂名井支部長>
最初の講演は、水ジャーナリストの橋本淳司先生。山梨県というと、リニアモーターカー。地下水の問題について、工事現場に出向き、現地取材によって集められた豊富なデータをもとに、わかりやすく説明して下さいました。さすが、大変説得力がありました。
次の、 くま森会長講演では、より良い社会をめざして、おとなになってからも絶えずみんなで集って勉強し、議論しようという呼びかけがなされました。利権のない一人一人が自分の頭で考え判断する市民社会を作っていかなければ、自然は守れない。社会が狂っていくのは、政府が悪いからではない。国民のレベル以上の政府は持てないなどとという、熱い語りがなされました。
会長は、「クマなんかおって、何かええことあるんか」と、人に食ってかかられて傷ついた会員を思いやって、そういう時には、負けずに、「あなたは、人類を滅ぼす人間中心主義という恐ろしい思想におかされていますよ。この地球は人間だけのものではありません。すべての生き物たちのものです。いていいか悪いかという前に、すべての生き物たちにいる権利があります」と返してから、クマが奥山水源の森を守ってきたことなど、クマがいて良かったことを説明していくようにとアドバイスしました。
参加者のみなさんは真剣に最後まで聞き入って下さり、帰られる時、「この講演会に来て、本当によかったです。勇気が湧いてきました」などという心からの喜びの声を、たくさんくださいました。
新入会員も誕生しました。講演会は大成功だったと思います。
山梨県支部スタッフの皆さん、参加して下さった皆さん、本当にありがとうございました。
参加者の中に、明日、リニアモーターカーの公述会があるから、ぜひ参加して欲しいと声をかけてくださった方がいて、次の日、会場に向かうことになりました。
動く度に、いろいろな人と人とのつながりが生まれ、人生がますます充実していく楽しさ、喜びを感じました。
沿線住民たちは皆、リニアに不安 山梨県の地元公聴会 全国メディアは、なぜ報道してやらないのか
今年1月26日、車がなければとても行けない不便な山中の会場で、朝から夕方までかけて、山梨県主催「JR東海によるリニア中央新幹線の環境アセス準備書に対する住民意見を聴く公聴会」が持たれました。
前日、甲府市でくまもり講演会を持ったおかげで、このような会に傍聴人として初めて参加する機会を得ることができました。傍聴人は、写真撮影、録画、拍手、声援、野次などが禁止されています。傍聴人たちは、おとなしく規則に従っておられました。
公述人は高い舞台の上に上がって、マイクを持って話すようになっていました。会場には、すでに公述人が集められており、皆さん緊張した面持ちで静かに座っておられました。人前で話すことに慣れておられない方は、ドキドキだろうと思いやりました。
一方、県庁担当者には緊張感が見られず、形式的にやるだけという感じで、両者の雰囲気が対照的でした。
公述人は13人おり、持ち時間は一人あたり15分間でした。公述人が変わるたびに、公述規制事項文書が県庁担当者より読み上げられます。公述人は、同じことを13回聞かされるわけです。しかも、その内容のひどさにはあきれはてました。
(県庁担当者が公述者が変わる度に壇上に上がり、マイクで13回読み上げた内容)
公述時間は15分です。
公述時間は、議長の許可を受けてから15分間です。
公述の残り時間は、ベルでお知らせします。
公述終了5分前に1鈴、
公述終了2分前に2鈴、
公述終了時に3鈴、で、お知らせします。
公述時間終了後は、速やかに公述を終了してください。
終了していただけない場合は、中止を命ずることがあります。
公述内容については、先に提出された「公述要旨」に沿って行うこととします。
本公聴会は「準備書について環境の保全の見地からの意見」を求めるためのものであり、事業の是非や賛成・反対の意見を述べることはできません。
公述内容が「環境の保全の見地からの意見」、「公述要旨の内容」から逸脱していると判断した場合、発言の中止、もしくは修正を求めます。
公聴会では、公述内容について判断・回答は行いません。
無表情な県庁担当者が、上の同じ文章を強い声で何度も読み上げるのを聞かされているうち、憤りがこみ上げてきました。これは、公述人への脅しです。圧力です。これでは、公述人が委縮してしまいます。もし自分が公述人で、意見を言う前に、こんなことを念を押して言われたら、こわくなっておどおどしてしまいます。この国は、国民が主人公、主権在民の民主主義国家であるはずなのに、これではまるで、お上の国であり、江戸時代の封建国家です。公述会は、自由な雰囲気の中で行われるべきです。
第一、最初に、公述人はこの注意事項を皆で一緒に聞かされたのですから、もうそれで十分です。なぜ、13回もわかりきった同じことを公述人が変わるたびに聞かされなければならないのでしょうか。ここに座っておられる山梨県の皆さんは、なんとおとなしく従順なのだろうかと思いました。これが関西なら、必ず誰かが、「県庁担当者の方、その注意は初めに聞いたので、もうわかっています。いちいち言ってもらわなくても結構です」と、言い返して止めさせてしまうだろうと思いました。
午前中、何人かの公述人の公述を聞きましたが、全員がリニアモーターカーの建設に強い不安を持っておられました。賛成・反対を述べることは禁止されていましたが、もし、言っていいと言われたなら、全員が反対と言われたでしょう。
関西に住んでいると、山梨地元沿線住民の反対の声など全く報道されないため、大自然破壊以外の何物でもないリニアに、反対の声はないのだと思っていました。皆さん反対だったのか。初めて知って驚きました。
緊張しながら不慣れな様子でリニアに対する不安を公述し続けている山梨県の公述人たちの声を聞いているうち、大手メディアは何をしている、なぜ、この人たちの声を全国に報道してやらないのか。憤りと共に、情けなくなっていきました。行政もメディアも、みんな弱いもののために存在しなければならないのに、この国では、強いもののために存在しているということを、改めて思い知らされました。
一人目の公述人が、リニア工事によって地下水脈が断ち切られ、イノシシのぬた場がなくなってしまうという心配を話をされたとき、思わず拍手したくなりました。ここにも、人間以外の弱者たちに思いを寄せることを忘れていない人たちがいた。これこそ、本当の日本文化です。
< 以下、山梨日日新聞が報道した公聴会の公述人の公述要旨より>
●甲府市67歳・・・JR東海の準備書は、消費電力や磁界などの根拠、基準が大雑把で明確ではない。計算根拠をはっきり示してほしい。残土処理場を確保してから計画を進めるべきだ。
●南アルプス市70歳…高さ20メートルにもなる高架橋は、景観への影響が大きい。町の魅力が著しく損なわれる。
●甲府市58歳・・・騒音や振動、日照など、すべて「基準値内」というが、現在の良好な環境からは悪化する。
●甲斐市66歳・・・南アルプス市の地下水、中央市の地下水を使った農業、富士川町の温泉への影響が心配。
●相模原市27歳・・・地下で火災が発生したら、お年寄りは逃げられない。単体の収入で建設費をペイできないリニア計画に断固反対。
●甲府市72歳・・・リニアは新幹線の3倍の電力を食うという。時代に逆行している。実験で得た磁界、エネルギーなどのデータを公開して欲しい。
●甲斐市68歳・・・壊した自然は戻らない。自然破壊をやめてほしい。
●南アルプス市50歳・・・希少種の猛禽類やホンシュウカヤネズミに与える影響の調査方法、評価が生態に基づいておらず、信ぴょう性に欠ける。
●甲府市61歳・・・フードで覆われ、地域や景観遮断するリニアは欠陥品。計画を中止するか、全線地下にすべき。
●中央市62歳・・・JR東海は、予測地点を増やし、住民の不安に本気で向き合うべきだ。
<熊森感想>
沖縄の辺野古と全く同じ構造だと思います。現地の多くの人達はそれぞれ、頼むからアメリカ軍基地、リニアモーターカーを造らないでくれと言っている。地元は自然を残してほしいと願っている。地元の人たちがいやだと言っている工事を、国家権力を使って、無理やり地元の人々をおさえつけて実施するのだろうか。もし、そうなら、日本の自然は守れないし、弱い者いじめ国家以外の何物でもなくなる。
ニーメラー牧師(ドイツ 1946年)の言葉
ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた
辺野古や山梨の自然を守ろうとしている現地の人たちのことをもっと知り、自然保護団体として応援していかなければならないと思いました。午後から建設工事の現場に行ってみました。(つづく)
2月9日 環境省主催 広島県での「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」に300人
各県で環境省が順次開催している、「すごいアウトドア!狩猟の魅力まるわかりフォーラム」。
広島県での参加者は300人を超え、これまでの最多だそうです。若いカップルも結構多く参加していました。環境省のねらい通り、狩猟が、うまくファッションに結び付けられたのかもしれません。
野生動物たちとこの国で共存したいと願っている私たちは、行政の考えや仕組み、狩猟や有害捕殺、猟友会などの現状についても、知っておかねばなりません。いろいろ勉強してきました。
●狩猟者数変化グラフが、1970年以前も提示するものに換えられていた
環境省はこれまでのフォーラムで、狩猟者が減る一方だから狩猟者を増やさねばならないと、まるで、狩猟者が減ったことが、動物たちが里に出てくる唯一の原因でもあるかのように、狩猟者が減り始めた1970年以降の狩猟者数変化とシカやイノシシの捕殺数増加グラフを対比させて提示してきました。
しかし、昨年秋、熊森協会が、「環境省のグラフ提示は、狩猟者が減ったから里に出てくるシカやイノシシが増えたと、世論を単純誘導をしている。以前はもっと狩猟者が少なかったがときもあるが、シカやイノシシはほとんど里に出てこなかった。1970年より以前の今より狩猟者が少なかった時の狩猟者数データも提示すべきだ」と申し入れ、環境省が改善を約束した経緯があります。
広島のフォーラムでは、1970年以前は今より狩猟者が少なかったという事実を示すグラフに取り換えられていました。環境省が約束を守ってくれたことを知り、うれしかったです。
しかし、集まった多くの参加者の方々は、最近シカやイノシシが里に出てくるようになった原因を、深く追究しようという雰囲気にはなく、提示グラフが変わったことに対して、別に関心もない感じでした。
全国的にはシカの被害が問題となっていますが、広島県ではシカ被害よりもイノシシ被害の方が問題だそうで、猟友会の方も、イノシシ被害の話ばかりされていました。
●錯誤捕獲が多く、問題になっているくくり罠
くくり罠は県によっていろいろな種類のものがありますが、広島県では、この真ん中にあるものがよく使われているそうす。自作で1000円ちょっとで作れるそうです。これだと、誰でも罠が仕掛けられそうだと思いました。
環境省は、クマの誤捕獲を避けるため、クマ生息地ではくくり罠の直径を12センチまでとすると規制しています。輪っかの一番短い部分が12センチであれば良いということで、ワイアーが固定されているわけでもなく、12センチ規制が本当に守られているのだろうかと不安に思いました。
また、たとえ、12センチ規制が守られていたとしても、タヌキやキツネなどのご捕獲を防ぐことはできません。これらの動物がかかると殺してしまうしかないとハンターに聞いたこともあるので、くくり罠の使用は本当に問題だと思いました。
●誤捕獲グマ対策付きの、新型クマスルー檻
写真の箱罠は、5万円~10万円です。もし、クマが誤ってかかったら、丸い部分を持ち上げて上部を外し、クマを逃がすことができるようになっています。これまでの、クマスルー檻だと、上の脱出口が開いたままでした。これだと、賢いクマが、餌を食べては脱出口から逃げるという行為を繰り返すので、それを防ぐように改良されたものです。
●銃のコーナーは人だかり
銃のコーナーには、散弾銃と空気銃が置かれていました。どちらの銃も重くて、なかなかうまく扱えそうにはありませんでした。実際は、銃免許を取得するには警察の厳しい許可が必要で、罠猟ほど簡単には免許取得はできません。それでも銃猟免許を取りたいという人が多いのか、銃のコーナーは人だかりができていました。
●広島では、有害捕殺されたシカ・イノシシは、すべて焼却
兵庫県では有害捕殺されたたくさんのシカの死体が山に放置されていますが、広島ではどうなのだろうかと思い、質問してみました。広島県ではシカ・イノシシの死体は、すべて、市の焼却施設で焼却しているそうです。山に放置するなんてことは絶対にないと、断言されていました。
少なくとも、広島では、他の野生鳥獣がシカの死肉を鉛弾ごと食べてしまい、鉛中毒に陥ることはないとわかりました。
●野生動物を殺したくない参加者も
参加者の中で定年退職をして農業を始めようとしている方とお話しできました。その方は近所の人たちがイノシシの農作物被害にあわれていることを知って、このフォーラムに参加したそうです。
罠の説明を聞きながら、これでシカやイノシシが捕まえられるのはわかるが、その後は殺さないといけないのかと何度も質問していました。被害はない方が良いが、といって、動物は殺したくないというお考えが伝わってきました。
●<参加した感想>
生息地復元と被害防除が抜けている
ただ狩猟をしたい人だけではなく、少しでも農業被害を減らしたいからと参加された人も多かったように思います。いきなり、動物を殺すという解決法だけを示すのではなく、その前に、動物たちが田畑に出てこないように、①生息地を復元したり、②被害防除策を研究したり、殺す以前のことも教えてあげるフォーラムに変えていくように、環境省に望みます。
本部 1月20日 雪の中の痕跡調査
冬の間、クマは冬籠りをしており、活動していません。しかし、最近、冬籠り前の食い込みがしっかりできていなかったのか、雪の中を歩いているクマがいたそうです。顧問の先生に、雪山の調査は危険だからしないようにと言われたのですが、若さを頼りに2人で出かけて行きました。
足にはいているのは、スノーシューです。
地面は白一色でした。冬は、落葉広葉樹が葉を落としているので、山の様子がとてもよくわかります。
動物の足跡やフン尿の跡などの痕跡が見れましたが、クマ棚や爪痕などはなかなか見つかりません。
1m以上の積雪がありました。沢沿いでは、積雪の下が川ということもあると聞いていたので、慎重に慎重に歩を進めました。斜面を登るのにも、普段以上に時間がかかります。
途中でカヤを見つけたので、もしやと思い握ってみました。するとまったく痛くありません!握って痛くないのはハイイヌガヤ。葉がやわらかくてシカの大好物です。兵庫県ではほとんど見かけなくなったと思っていたら、こんなところにありました!
そっくりでも、握ると葉が固くて手がチクチクするのは、チャボガヤです。こちらはシカも食べないようで、兵庫県では、下層植生としてチャボガヤが群落になっている所があります。
目的地は標高800mくらいでしたが、その辺りまで行くとブナ・ミズナラ帯になります。GPSで記録しながら進みました。なだらかな森が広がっておりとても美しかったです。
やっとブナの木に、クマの痕跡を発見しました!新しい爪跡です。このあたりにクマが来たことがわかりました。
林道は積雪が少ないのか、不思議とスノーシューなしでも歩けました。動物も、林道の方が歩きやすいのでしょう。林道の動物の足跡は、林内よりも多いと感じました。雪の林道を歩くだけで、いろいろな足跡に出会え、とても勉強になります。
足跡の明瞭さで、その足跡がどれくらい前につけられたものなのかわかります。
このシカの足跡は、つい今しがたついたくらい新しいなと思って、顔をあげると、案の定、目の前に立派なオスジカが1頭いて、逃げて行きました。この日出会った唯一の動物です。
尾根付近の景色は本当に素晴らしく、1m以上の雪が積もっている上を歩くと不思議な感覚があります。
厳しい場所が多かったのですが、何とかクリアーして進みました。しかし、帰るルートが見つからなくなり、適当に歩いていくとかなりの急斜面を降りなければならなくなり、そこを回避するために沢を渡ったり、人工林内を進んだりと、だいぶんじたばたしてしまいました。やっと林道に出れたときは、生きて山を出ることができたことを2人で喜び合いました。
雪山は、歩く前にコースをきちんと設定しておかないと、死の危険があると痛感しました。また、スノーシューがないと絶対に無理です。スノーシューをはいていても、足が埋まってしまって抜けなくなることもありました。途中で、もし、このスノーシューをなくしたら、足が埋まってしまってもう二度と歩けないと思うと、こわくなりました。
この日は一日中天候も良く、とても気持ち良く調査をすることができました。雪山の静寂さなど、貴重な体験ができました。しかし、これだけの大変な思いをして雪山に登っても、動物のくらしはほとんどわかりませんでした。みんな、どこで何をしているのだろう。
環境省主催 狩猟の魅力まるわかりフォーラム 静岡県
今日は、静岡市で、「すごいアウトドア!!狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が開催されました。静岡県には熊森支部がないのですが、4名の県民が協力して、がんばって、「すごいアウトドア」感覚でハンターを養成することに疑問を呈するチラシを、会場近くで配布しました。
興味を示してくれる人はあまりいなかったということですが、訴えたいことをメモにして、マイクを使って訴えたそうです。
最近、自分の意見を言わない国民が、増えてきていると感じます。これでは、良い国を、子や孫に残せません。今回、勇気をもって初めて声を上げたみなさんに、拍手を送りたいです。
・・・
ちなみに、12月7日に高知県で行われた「 狩猟の魅力まるわかりフォーラム」では、「すごいアウトドア!!」というキャッチコピーがチラシから抜けていただけあって、参加者の報告によると、内容もそのような軽々としたものではなかったということです。
12月1日 神奈川県支部結成準備会を開催
2011年の東北大震災・福島原発事故以来、日本国中に脱力感・無力感が広がっているように感じます。
こんなときであっても、町を行く動物たち、犬や猫たちは、普段と変わらずに元気いっぱいです。私たち人間も負けてはいられません。彼らと一緒になって、飛び跳ねまわりましょう。
このたび、神奈川県支部長が決まったのを機に、神奈川県支部結成への動きが進み始めました。この日は、支部結成準備会も兼ねて、横浜市内で神奈川県会員のつどいが持たれました。
参加者14名が、自己紹介をしていきました。丹沢に毎年10回は登っているという、山好きの方もおられました。どなたも、動物たちに愛情をもち、森や生き物の命を守りたい、この地球を少しでも他生物とともに幸せに生きていける星にしたいという願いを持っておられました。犬猫の保護に関わっておられる方が多かったのも、特に印象的でした。温かい雰囲気で、会は進んでいきました。
その後、「立ち上がろう、神奈川のくまもり達」という、支部長からの活動構想が説明され、奥山・原生林部会、講演会・催事部会、広報部門などの役割分担を、みんなで決めていきました。、4名の副会長が誕生しました。
支部長の、「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために、という心で力を合わせてやっていきましょう」「活動は、楽しいか、やりがいがあるか。それが大事です。やりがいがあるとは、大変なこともあるということ。でも、だからこそ、やりがいもあるんです」という言葉が、参加者を鼓舞しました。
初めて出会う仲間でしたが、想いを出し合っているうち、あっという間に予定の3時間が過ぎてしまいました。
別れ際に、ある方が、「犬や猫たちを大切にしようとすると、近所の方などから変な目で見られてきたけれど、今日は同じ思いの方々と出会えて、本当に、来てよかった」と言われました。そんな優しい心が、社会を、温もりのある血の通ったものにしていくのだと思います。
神奈川県支部は2014年3月に結成祝賀会をもちます(日にちは現在調整中)。いよいよ、くまもり神奈川の始動です。神奈川県会員のみなさん、今から予定に入れておいてくださいね。
準備会の後の、支部長の一言。「どの人とも、今回初めて会ったのにもかかわらず、初対面とは思えない、他人とは思えない不思議なつながりを感じた。われわれをつなぐもの、それは犬や猫、熊など、何かの動物かもしれないし、何か命そのものといったようなものかもしれない」。
高知県チラシから、”すごいアウトドア”が消えている
狩猟の魅力まるわかりフォーラム
今日初めて知ったのですが、私たちが他生物の生命軽視の最たるものとして、削除を強く願ってきた、”すごいアウトドア”という狩猟者養成のためのキャッチコピーが、12月7日実施予定の高知県の「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」のチラシから削除されていました。
高知県に対して熊森がこの言葉の削除をお願いをしたことは、ありません。高知県関係者のみなさんが、自主的に削除されたのだと思います。自然や生態系を破壊し続けてきた人間の責任を思うと当然ですが、とてもうれしいです。
豊かで広大な自然が残されていたら、そのなかで、ある種の生物だけが増え過ぎたり減りすぎたりすることなく、すべての生き物たちが増減を繰り返しながら、絶妙のバランスで共存していくのです。シカが多すぎるから、殺して生息数をコントロールしてやると言っている人たちがいますが、人間がとことん壊してきた自然を復元してやらない限り、自然界のバランスは永久に戻りません。
遠回りなようでも、まず、行き過ぎた奥山人工林を撤去して自然林に戻すことから始めるべきでしょう。それをせずに野生動物たちの殺害から入るなんて、人間として恥ずかしい限りです。
環境省主催狩猟の魅力まるわかりフォーラムは、12月に3回予定されています。以下の2回以外に、12月21日には長崎県で開催予定です。