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カテゴリー「熊森の見解」の記事一覧

2月12日 同じ兵庫の山、同じ兵庫のクマを見ているのに、どうしてここまで出した結論が正反対なのか   ―― 日本熊森協会と兵庫県森林動物研究センターとの第1回意見交換会 ――

都道府県の野生動物問題について、電話でたずねたり何かをお願いしたりしようと思ったら、たいてい、そこの都道府県庁に電話をして、担当部署につないでもらいます。クマを駆除したり、奥山に放獣しなければならないなどの実際的な業務が生じたら、行政から委託されたハンターや委託業者が現地に飛んでいきます。兵庫県も、以前はそうでした。

 

し かし、兵庫県では、2007年から、県庁から遠く離れた旧青垣町(人工林率81%)に建設された、兵庫県立「兵庫県森林動物研究センター」が、その業務を担 当することになりました。「兵庫県森林動物研究センター」では、研究員として兵庫県立大学の先生たち数名が研究にあたられ、現地に飛び出していく専門員としては訓練を受けた兵庫県庁職員数名があたられて、オール公務員で、兵庫県の野生動物問題に対処するという新体制ができあがったのです。

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ところが、困った問題が生じてきました。当協会も、、徹底した現場第一主義で山を歩き回って調べつづけているすばらしい何名かの研究者に指導していただきながら、自然保護活動を進めてきたのですが、同じ兵庫の山、同じ兵庫のクマを見ているのに、出した結論が、熊森とセンターでは、ことごとく正反対なのです。これは、いったいどういうことなのか。

 

2 月12日は、「兵庫県森林動物研究センター」の相談日だったようですが、ご無理をお願いして、研究員の先生方や専門員の方に午後の3時間をとって、一体なぜこんな違いが生じるのか、当協会側の研究者にも同席していただいて、初めての意見交換会を持っていただきました。

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私たちも、正直に誠実いっぱいに、これまで生きてきた人間です。お互い、自然観や動物観の違いはあるでしょうが、じっくり話し合えば、誤解がとけたり、なにか少しは接点が見つかったりするのではないかと期待して意見交換会にのぞみました。

 

中心話題

(1)クマが山から出てくるようになったわけ

(センター)クマの生息数増加、生息地拡大、人慣れ、味しめ、人間による里山の放置、ハンターの減少 ⇔ (熊森)山の食料不足

 

(2)兵庫県のクマ数の増減

(センター)大幅増、そのうち狩猟再開も視野に ⇔ (熊森) クマの生息を示す痕跡がどんどんと減ってきており、絶滅に向かう恐れ。多くいるように見えるが、山の奥にはいないドーナツ化現象。

 

(3)兵庫の森の状況

(センター)ますます良好に ⇔ (熊森)どんどんと劣化が進む

 

意見交換会の結果

意見交換会を持てて、とてもよかったと思います。私たちがわかったことは、「同じ兵庫の山、同じ兵庫のクマを見ているのに、この違いは何なのか」という長年の疑問に対して、「お互いが、違うエリアの山、違うエリアのクマを見ている」ということです。

 

私たちは、自然保護団体として、主に、本来のクマ生息地であったブナ・ミズナラの山々を見続けてきました。戦後の観光開発や広大な原生林を伐採してのスギの人工林化によって、動物たちは棲みかを失っただけではなく、わずかに残された原生林も、なぜか、近年どんどんと急速に劣化していっており、クマたちが棲めなくなっていっています。クマたちが食料を求めて、山から出て行くと、原則殺処分の有害捕殺が待っています。

 

ところが、センター側は行政ですから、主に、地元住民から獣害を何とかしてほしいと訴えのあった集落周辺の山やクマを見ています。

 

立場が違うということは、こんなに見えているものが違うのかということが、よくわ かりました。

 

お互いに相手の顔を見てじっくり話し合うということは、人間にとって欠かすことのできない大切なことだと改めて思いました。意見交換し合ったことを、これから、熊森内部でじっくり検討していこうと思います。

 

お忙しい中、お時間を取ってくださったセンターのみなさんに、心よりお礼申し上げます。

くまもりの夢

熊森は、人間がこれまでの人間中心主義を反省して人間が一歩下がり、広大な奥山に自然の豊かな森が復元・再生されて、野生鳥獣たちが安心して棲める聖域が復活されることを夢見て、日々、活動にいそしんでいます。

このような活動は、清らかな水源を確保して、未来の子ども達の生存を保障することにつながるもので、全生物と子どもたちへの最高のプレゼントであると確信しています。

 

以前、くまもりの夢が実現したあかつきには、熊森を解散しようと考えていました。しかし、今は違います。解散している場合ではありません。

 

なぜなら、今、多くの子どもたちが、人間は人間に生かされている、人間は科学の力で生かされていると錯覚しています。

これは大問題です。くまもりの夢が実現したら、熊森は次には、「どんなに科学が発達しても、人間は未来永劫、豊かな自然がなければ生き残れない」ことを人々、特に子供たちに伝え、自然を守ることの大切さや自然のすばらしさを体験していただくような活動にシフトしていこうと思います。

 

 

(人間よ、もっとやさしく慈悲深くあれ)  なぜに絶滅危惧種のクマを殺処分 <和歌山県>

(以下、産経新聞記事1月28日記事より)

ツキノワグマ捕獲 有田川町、安楽死処分 和歌山

1月27日午前8時ごろ、有田川町清水地区でツキノワグマ用に仕掛けられたおりにツキノワグマ1頭がかかっているのを同町職員が発見した。和歌山県自然環境室によ ると、捕獲されたツキノワグマは体長127センチ、体重42・5キロのオス。年齢は15歳程度とみられる。平成22年12月と今月18日にも同町内で捕獲 されている。捕獲された場所付近ではこのツキノワグマが何度も目撃されていたという。

 

県は目撃された場所近くに学校や民家もあり、山に放っても再び人里に現れ、人に危害を加える恐れがあることから同町と湯浅署と協議した結果、ツキノワグマを安楽死処分にした。

 

県のレッドデータブックではツキノワグマは「絶滅危惧1類」に分類されている。

注< 1月19日紀伊民報記事より>このクマは、今年1月18日、有田川町遠井でイノシシの箱わなで錯誤捕獲され、専門家らが身体計測した後、再び人里に近づかないようにトウガラシスプレーで驚かせて山に返した。クマは体長1・28メートル、体重42キロ。耳に標識が付いており、2010年12月にも同町粟生地区で捕獲されたクマと分かった。

熊森から

・行政や専門家が、殺処分を安楽死とごまかし表現しても、マスコミのみなさんはそれに乗らないで、正確に殺処分したと書いてください。報道 関係者は、新聞代を出してくれている国民に、真実を伝える義務があります。

 

 ・ 和歌山県の山を見られたことがあるでしょうか。人工林率県平均61%ということですが、人工林になっていない所はミカン畑などになっていま す。クマが、自ら、絶滅危惧種になったのではなく、人間によって、生きられなくされて、絶滅危惧種になったのです。当協会顧問であった元和歌山県鳥獣 保護連絡会会長故東山省三先生は、和歌山県のクマは、残り8頭と言われていました。

 

 ・今月1月18日に、よほどひも じかったのでしょう。このクマがエサにつられてイノシシ罠にかかったおり、私たちは体重の軽さに胸を痛めまし  た。全身麻酔をかけて調べられたことによっ て、その後、弱って山の中で死んでいるのではないかと危惧していました。

 このクマは、以前にも唐辛子スプレーをかけられて、放獣されています。いくら人間に恐ろし い目に合わされても、ひもじさには勝てず、また出て来たのです。人間の所に救いを求 めて出て来た絶滅危惧種は、人間が助けるべきです。再び唐辛子スプ レーをかけてさらに死ぬような目に合わせるのではなく、しばらく食料を与えて元気にしてから山に放すべきです。全国で調べてみると、そういう人道的配慮をクマに施している例がいくつもあります。和歌山県庁にお伝えしようと思います。

 

 お伝え先・・・ 和歌山県環境生活部 環境政策局 自然環境室  電話073-441-2779

・ 残念ながら、クマの研究者や専門家と呼ばれる人達の多くは、論文を書きたいためクマの解剖を繰り返しておられる故か、クマたちに対して、同じく生き とし生けるものとしてのあたたかい共感が持てなくなってしまっているように感じます。豊かな家庭に育だち、死ぬほどひもじい思いをされたことがなくて、飢えに苦しむ動物たちの気持が全く理解できないのかもしれません。そのためか、この人たちに判断を仰ぐと、一 般的な国民から見て違和感 を感じるような冷酷な対応を指示されるように感じます。これでは、生物の多様性は守れないし、共存は出来ません。このような対応は、科学的でもなんでもありません。他生物との共存というのは、人間が銃で脅して、他生物の数を人間の思い通りに最小にとどめることではなく、他生物にも安心して生き生きと暮らせる土地を分け与えることです。

 

・日本人が、祖先の他生物への大きなやさしさを忘れて、年々、冷酷に無感情にになっていくことを、恐ろしく思います。豊かな自然を失う道   だからです。人類が破滅に向かう道だからです。

人々が全生物に愛情を持って生きる国を取り戻しましょう。そうなれば、人間社会も、もっともっとあったかくやさしくなります。

1月22日、熊森調査研究部員ら、スキー場で殺処分されたクマの件で、地元県事務所に

昨年大みそかの新聞記事で、お正月間近の12月30日、兵庫県養父市でスキー場にうずくまっていたクマが、銃で殺処分されたことを知りました。また、兵庫県で、無念・・・ 殺される前に情報を得たかった。

 

<新聞記事>

12月30日午後0時5分ごろ、兵庫県養父市別宮のスキー場「ハイパーボウル東鉢」ゲレンデ脇の山斜面にクマがうずくまっているのをスキー客が発見。約3時間後に県の許可を得た地元猟友会員が殺処分した。

養父署によると、当時約200人のスキー客がいたが、滑走禁止にするなどしてけが人はなかった。県但馬県民局によると、体長約1・2メートルの雌。冬眠する冬場になぜ、人の多い場所にいたかは不明という。

- 以上 -

 

熊森本部では、もう二度とこのようなことが起きないように、この事件を徹底的に検証することにしました。

●殺されたクマ・・・体長約1・2メートルの雌。体重、47.8kg。痩せてガリガリというほどではなかったが、冬ごもり前の食い込みは出来ていなかったもよう。遺体は、兵庫県森林動物研究センターに運ばれて解剖され、最後は焼却処分された。

 

●当日現地に駆け付けた人たち・・・県朝来農林事務所1名、県森林動物研究センター1名、市職員1名、警察2名、猟友会3名。14時15分ぐらいに、現地に到着したもよう。

 

なぜこのクマは殺されねばならなかったのか、電話で状況を順次聞き取っていきました。各行政担当者、警察、スキー場の人等々。しかし、納得がいかず、本部3名が、1月22日、現地調査に出向きました。

 

まず、県事務所に到着して、担当者から、クマがいた場所や、その時のようすをききました。

このスキー場は、頂上からゲレンデになっており、何本ものリフトや滑走路が走っています。クマは朝は頂上付近にいたようですが、14時過ぎには、なぜかスキー場中央の人工林の上部のレストランやリフトの昇降口の近くまで移動しており(ゲレンデ航空写真赤丸地点)、通報を得て駆けつけた人達とは30メートルくらいの距離で向き合ったということです。

 

私たちは追い払い・吹き矢・麻酔銃など次々と提案してみましたが、当日の積雪は30センチぐらいで、クマが十分なスピードで走れる状況だったということです。罠にかかっているクマと違って、自由に動けるクマの場合、近くまで行かねば使えない物は、クマが自分に向かってきた場合を考えると危なくて使えないということです。

頂上部にはまだ取り残されたお客たちもいて、追い払った場合、このクマがどこへ逃げていくか予測できず、たとえこのクマが尾根を越えて逃げたとしても、そこもまたゲレンデなので、人身事故の恐れがあり殺処分しかないとの結論に達したそうです。

 

ウーン。説明を聞くと、わたしたちが思っていたよりもはるかに助けにくく、難しい場所にこのクマがいたことが分かってきました。捕獲檻を持ってくることもできない場所です。もうこの日、スキー場を閉鎖して、この山から人間が全部立ち去り、明日、このクマがスキー場から消えていることを期待するしかないと思えてきました。

もし、熊森が、当日ここに駆けつけていたら、スキー場の経営者に掛け合って、1日の猶予が欲しい。明日まで、スキー場を閉鎖してほしい。クマが逃げる時間を作ってやってほしいと頼んだと思います。

 

しかし、そこまでしてなぜスキー場に紛れ込んだクマの命を助けねばならないのかと思う人もいるでしょう。スキー場に紛れ込んだクマの救出の難しさを思い知らされました。

 

県事務所担当官は、忙しい中、時間を取ってくださり、なぜ、殺処分するしかなかったのか、丁寧に状況説明して下さいました。ありがとうございました。

子グマが罠にかかったら、その場ですぐに逃がすのが業界での鉄則

あきる野市の子グマ殺処分は、新聞によると「住民の安全を守るため」という名目で、射殺されたものです。

いったい、犬の半分ほどの大きさの10キロの子グマのどこに危険性があるというのでしょうか。クマをここまで凶暴視する国民のクマ誤解の大きさには、あきれかえるものがあります。(この原因は、クマにひっかかれただけで、クマによる重傷事件発生!と報道したり、顔に傷を負っただけで、クマに顔を裂かれる!などと、これでもかこれでもかと刺激性を狙いおどろおどろしい報道をするマスコミです)

射殺した人は、いたいけない子グマのいったいどこを狙って弾をぶちこんだのでしょうか。関係者のみなさんは、住民のみなさんの心配もですが、この雪空に、冬眠もできずにさまよっている食料不足の母子グマの命への心配は起きなかったのでしょうか。

 

ハンターの人たちの中でも、かつては、「三つ熊獲るな」が、当然の不文律だった国です。

注:三つ熊=子グマ2頭を連れた母グマ

 

このような悲劇が二度と起こらないように、クマの放獣業務に携わっている方に、相談してみました。以下、その方の答えです。全国の野生鳥獣駆除担当者の皆さん、よーく、聞いておいてください。

 

「母子グマの目撃があって、捕獲罠を設置し、子グマだけがかかった場合、その場でふたを外して逃がしてやるのが、この業界の鉄則です。母グマにとって、何がつらいと言って、わが子が罠にかかってしまったほどつらいものはありません。胸が張り裂けそうになって、必ず、檻の近くでそっと見ています。子グマを放してやり、人間がその場から一斉に退去すれば、母グマは、ここは怖い所だと察し、子グマを連れて遠くへ逃げていきます」

 

実際、今回、あきる野市でも、この子グマを射殺したあと、残された母子グマの目撃は、ピタリと消えています。(餓死した可能性もあり)

市は、残された母子グマも捕獲しようとして、今年になっても罠をかけていましたが、当協会が、罠撤去をお願いしたところ、撤去して下さいました。目撃がなくなっていたからだと思いますが、ありがとうございました。

 

クマは力があるので、人間にやられると思った時は、人間に大けがを負わすこともまれにはありますが、本来、クマはやさしくて臆病な動物であることを全国民に知っていただかないと、とても、クマの絶滅など止められないと思います。

 

沢沿いの人工林伐採事業に大分県行政が本腰・・・熊森大拍手→全国に広まれ

 以下 大分合同新聞社 oita-pressより引用
  豪雨災害に強い森林へ 大分県が地域計画見直し

 

大分県は昨年7月の豪雨で大量の流木(熊森注:人工林のスギ)が発生したことを踏まえ、災害に強い森林づくりを推進するため、地域森林計画の見直し作業を進め ている。下流部にある住宅地などへの被害を抑え、漁業への影響といった二次災害を防ぐ観点から、河川沿いの人工林については流出の恐れのある木の伐採を急 ぐ必要があるとし、本年度中に計画を策定し、新年度から早速、伐採事業などに着手したい考えだ。

 

昨年の豪雨災害では、河川の増水に伴い、木が土砂と一緒に押し流されたり、斜面が崩れるなどした。県は数万本の流木が発生したと推定。流木は下流部の橋桁や橋 脚に引っ掛かって河川の氾濫を引き起こし、住宅地などへの被害を拡大させたとの指摘もある。別府湾や豊前海に流れ出した流木は、漁業関係者にも大きな影響 を与えた。

 

土砂と一緒に流出の恐れがある木については切り倒す方針。

 

土砂崩壊の危険性がある急傾斜地では河川から5~10メートルの幅で間伐して、広葉樹を交ぜて 植えたり、自然植生を回復する案を検討している。事業は各市町村が担う。

県は伐採費を全額補助する方針で、「これまで流木被害に特化した対策はなかった。 事業効果が大きければ、県内全域に広めたい」(森林整備室)としている。

 

竹田市は、県の方針を受け、土砂の浸食被害が大きかった玉来川をはじめ玉来川水系の吐合川、滝水川の各上流部3地域、約30ヘクタールを事業対象の候補 地として挙げている。事業を推進するには、所有者の同意を得た上で、市の森林整備計画を改正する必要があり、担当者は「所有者の数が多く、遠方に住んでい たりする人もいて、作業は難航している」と言う。
市は「6月の梅雨時季前までには順次、事業着手をできるようにしたい。被害を最小限に抑えるため、多くの人の協力をお願いしたい」と話している。

 

<ポイント>地域森林計画
知事が全国森林計画に基づき、民有林について10年を1期として立てる計画。森林関連政策の方向性や地域的な特性に応じた森林整備、保全の目標などを示す。市町村森林整備計画の指針ともなる。

以上

 

<熊森から>

熊森は、以下5か所の人工林を広葉樹の自然林に至急戻すべきだとして、国会議員や林野庁、都道府県庁にお願いし続けてきました。今回の大分県の取り組みは、そのうちの一つ、沢沿いです。

 

日本の森林面積は2500万ha(うち40%にあたる約1000万haは、スギ、ヒノキ、カラマツ等の人工林)で、大部分は十分な管理がなされず、大荒廃しています。

 

現在、多額の補助金(=私たちの税金)をつぎ込んで、日本全 国で森林整備という名の事業が実施されていますが、残念ながら、その実態は、木材生産のための2割~3割程度の弱間伐を施す事業がほとんどで、5年もすれば、残された木が成長し、元の木阿弥。整備した割に、成果を上げていないのが現状です。

 

沢沿いの針葉樹一辺倒の人工林は、沢沿いの広葉樹の花に集まる虫を山から消して、谷川の魚からえさを奪い、生態系を破壊し、土壌や流木を流出させ、人災と呼べる大災害を招いているので、早急に広葉樹へと樹種転換することが必要です。

 

今後は木材生産に特化しただけの今の補助金制度ではなく、治山・治水に結びつく適度な皆伐や間伐、生態系まで見つめての落葉広葉樹の導入に力を入れ、昔の自然の沢沿いの森に早急に戻していくべきでしょう。

 

年末にあたって 

年末にあたって、人類初、4基もの原発が同時事故を起こしたという福島原発大事故で被災し、いまだに救われていない人々、ペット、家畜、野生動植物、自然界に思いを馳せています。

 

「原発を稼働させないと、日本経済は持たなーい」

「福島より、もっと安全な最新式原発を造るので、原発新設を認めてくださーい」

新聞やテレビなどの大手メディアが、いまだ福島原発事故処理のめども立っていないのに、連日、原発の必要性を説く人たちの声を無批判で報道し続けています。すると、どうでしょう。善良な、日本国民は、

「そうなのかな。やむを得ないのかな。新式だと安全度も高いだろうから、いいかもしれない」

と、一部の人たちが、もう、ゆらぎはじめてきたように見えます。

 

ちょっと待ってください。3・11から約2年。この間、どこまで深くどんな方法で原発問題を自分のこととして勉強してきたか。それによって、脱原発派であっても、各自、ゆらぎ方に違いが出て来ると思われます。

 

わたしたち熊森は、日本の森や野生動物を守る自然保護団体として、原発事故で大打撃を受け、必死で勉強して来ました。現在、関東以北は、山の線量が高くて、わたしたちは山に入れません。しかも、山の線量は横ばいで、減る兆しがありません。線量を下げる方法は全くないということです。

 

この度、74号会報で、お知らせさせていただきましたが、熊森は、福島県国見町のみなさんと、動物の棲める森復元広葉樹植樹会を、2009年2010年と、宮城県で行ってきましたが、現在、現地の山は線量が高くて、一般人立ち入り禁止となっています。広葉樹植樹会再開のめどは全く立っていません。野生動物たちの被曝量も高くて、妊娠中の動物もいます。どんな影響がでるのか、不安でいっぱいですが、予測もつきません。これでは、わたしたちは自然保護活動が出来ません。

 

事故が起きない原発ならいいでしょうと言われても、人間のすることには、必ずミスがあります。しかも、万々一、事故が起きなくても、原発を動かすたびに出て来る膨大な放射性廃棄物の処理方法が全くないのです。10万年~100万年間も保管しなければならない危険な核のゴミですでにいっぱいで、捨てる所が無くて困っているのが日本の現状です。あらゆる処理法を検討した結果、地中に埋めるしかないそうですが、地殻変動が起きることを考えると、あまりにも未来に対して無責任です。

 

熊森は自然保護団体であるゆえに、最大の自然破壊となる戦争という紛争の解決方法と、処理法のない放射性廃棄物を次々と生み出す核エネルギーの使用を認めないことを再確認して、2012年度のブログを終えたいと思います。

 

 

 

今年のトピックス 世界人口70億人を超える

国連は、2011年10月に、アメリカ国勢調査局は、2012年3月に、それぞれ、地球人口が70億人を超えたと発表した。以降も、人口爆発はとどまるところを知らない。

 

これまで地球は、専門家たちの試算によって、100億人以上の人口を支えきれないと予測されてきた。しかし、毎年4万種の生物を絶滅させ、飢餓人口を年々増大させている人間を見ていると、70億人でも、すでにもう、地球が支えることのできる人口を越えてしまっていると感じる。

人間は、ゾウ、トラ、クマなどの棲む豊かな自然を破壊し続け、これらの野生動物たちを害獣と決めつけて、殺し続け、絶滅に追いやっている。この事実からも、すでにもう人類は、地球が支えきれないだけの人口を持ってしまっていると言えるだろう。

 

森を残し、全生物と共存しなければ、人間も生き残れない。

 

人類を破滅から救うリーダーが、今、各地に誕生しなければならない。そのリーダーたちは、森を残し、全生物と共存する思想や哲学を、人々に示さねばならない。そのために16年前、日本熊森協会を結成したのである。

 

<以下、国連資料より>

地球人口の変遷

  • 2011年 70億人
  • 1998年 60億人
  • 1987年 50億人
  • 1971年 40億人
  • 1961年 30億人
  • 1927年 20億人

http://sawakami.img.jugem.jp/20080822_125790.jpg

 

日本人口の変遷

総務省統計局より

「ツキノワグマ 福島県内に最大3384頭生息か」という記事の真相

福島県は、「クマの捕獲許可権限を県から地元市町村に降ろして、クマをもっと獲りやすくするように条例改正する案」に対する県民意見公募の最中に、記者会見し、福島県に生息するクマは、これまで考えられていた数の2倍以上いるかもしれないと発表されました。まるで、クマはたくさんいるから、市町村判断で、もっと簡単に獲れるようにすればいいではないかと、意見誘導しているようにもみえました。県庁担当者に、電話をしてみました。

 

熊森 ・・・「カメラトラップ調査」で、何種類のツキノワグマの斑紋が、識別できましたか?

福島県・・・11種類です。

熊森・・・では、福島県に、最低11頭のクマがいることは、間違いありませんね。でもなぜ、11頭が、3384頭になったのですか?まさか、森林面積をかけたりされていませんよね。

福島県・・・最大3384頭というのは、あくまで推定で、3384頭いると言ったわけではありません。いろんなことを加味して、出しました。

熊森・・・11という数字が、どのようにかけたり足したりされて、3384になっていったのか、その全過程を業者から入手して、見せていただけませんか。非常に興味があるので、検証してみたいのです。加味したこと全てを教えてほしいし、どのように加味したのかも知りたいです。

 

<熊森から>

「これは、科学的に調査した結果です」と数字を出されたら、ふつうの国民は信じてしまいますが、その数字が出される過程を、県民の皆さんに検証していただきたいです。科学は法則です。誰が追試しても、同じ結果にならねばなりません。私たちは、福島県にクマが何頭いるのか知りません。豊かにいればいいだけで、何頭いてもいいのであり、正確な数など分かるはずはないし、知りたいとも思わないし、知る必要があるとも思いません。第一、生まれたり死んだり、絶えず複雑な要因が絡まって変化する自然界を、しかも、見透せない森の中で大きく動き回っている動物を、数字で表す事などできません。生息地が十分に保障されて、人間と棲み分け共存できていれば、それでいいのです。

 

しかし、野生動物の数を人間がマネジメントすべきと主張している研究者や業者たちは、そうではありません。何頭いるのか、クマたちの迷惑も顧みず、耐えがたい負担をクマたちにかけてまで、数字を出そうとします。次は、適正生息数を決めます。そんなもの、人間が決められるわけないのに、推測します。そして、自分たちが決めた数より増えたと推測されると、殺します。クマたちにはこの上もなく迷惑で傲慢な人間たちです。アメリカ大陸が発見された時、大地が動いたと思ったら、バイソンの群れで、空が真っ暗になったと思ったら、量バトの群れだったという記録を読んだことがあります。ワイルドライフマネジメント派に、バイソンもリョコウバトも、適正生息数はいくらなのか聞きたいです。

 

11頭いたという数は信じます。しかし、その後、この数字に人間がくわえた操作は、使った数式も含めて、全て、仮定であり推測です。仮定や推測を、何回も何回も重ね続けて出した数字になど、意味はあるのでしょうか。自然界や命は、物ではないので、工業製品のように数式化などできないのです。人間のためにもクマたちのためにも、こういう自然界の実態に気づく人が増えてほしいものです。

 

< 以下、新聞記事です>

福島県は13日、今年度から導入したツキノワグマの「カメラトラップ調査」で、県内の推定生息数は最大3384頭に上ったことを明らかにした。ツ キノワグマの斑紋を撮影して識別する手法で、調査方法が異なるため単純比較はできないが、これまでの最大1600頭の2倍を超えた。

調査結果は同日、福島市内で開いた県と学識経験者らによる検討会で報告された。県は結果や検討会の議論をまとめて、2013年度からの県ツキノワグマ保護管理計画に反映させる。

調査は8~10月、クマの生息数が多いとされる西会津町で行った。山林の20か所にビデオカメラとハチミツを仕掛け、クマがハチミツを捕る際にあ らわになる胸の「月の輪形」の斑紋を撮影。斑紋は個体によって異なるため識別でき、映り込んだ頭数をもとに生息数を割り出した。

その結果、県内全体の生息数を514~3384頭と推定。従来は農作物を荒らされた場所にわなを仕掛け、捕獲した頭数をもとに推定していたが、この方法で1988年から2003年までに行った調査では、860~1600頭だった。

県は、捕獲頭数は年ごとにばらつきがあるため、実際に山で暮らすクマを数えた方が実態に即しているとして、カメラトラップ調査に切り替えた。た だ、予算の都合などで、今年度の調査は西会津町に限定され、短期間にとどまった。このため検討会では、委員から「結果として生息数を多く見積もっているの では」「調査地域を広げるべきだ」などの指摘があった。

県自然保護課は「調査地域を広げたり、複数年にわたって調べて経年変化をみたりして、精度を高めたい」としている。

県によると、今年度の県内のクマの目撃件数は10月末現在398件で、前年度同期(120件)の3倍以上だ。クマに襲われてけがをした人も5人おり、うち1人が死亡している。

県は住民に危害が及ぶ恐れがある場合、地元で迅速に対応できるように、希望する自治体に対し、クマ捕獲の許可権限を県から移譲する条例改正を目指している。来年2月の定例県議会に提案し、可決されれば13年度から施行の予定だ。

県が実施したアンケートでは、全59市町村のうち、会津地方を中心に27市町村が権限移譲を希望しているという。

(2012年11月14日  読売新聞)

ウィキペディア(Wikipedia)とは、何か。これが、ウィキペディア日本熊森協会ページの実態です。■膨大な記述のほとんどが、一度の取材にも来ず、当協会のドングリ運びに感情的に反対する、ひとりの匿名者による個人的見解や事実誤認記述のとなっている

今、人々が、手軽に辞書代わりに使うのが、ネット上の辞書ウィキペディア(Wikipedia)だと思います。ウィキペディアの記述が、どのようになされているか、みなさんは、実態をご存知でしょうか。

 

ウィキペディアの仕組みは、ある項目に対して、いろんな人たちが匿名によって情報を付け加え続けていき、より詳しいものにしていくという、素晴らしい発想の元にあみだされたツールです。しかし、書き込みを行う匿名者が、公正で責任を持って書き込むという前提があって、初めて価値を持つものなのです。
残念ながら、実際の人間社会は、誤解やねたみ、一方的な思い込みや、欲しい地位を得られなかったことに対する勝手な復讐心等によって相手を陥れようとする人間が渦巻いています。その人たちが、ネットに長けて、時間を十分有している人たちだった場合、匿名性をいいことに、最低限の調査すらせず、いくらでもネット上に自分勝手な書き込みを続けることが可能です。

 

ウィキペディアのしくみ上、書かれた記述が、捏造歪曲されたものや、事実を確認もせず書かれた無責任なものであっても、書かれた側には訴えていくところが明記されていないため、書かれるのを止めさせることができません。間違いを書かれたけれど泣き寝入りするしかないという、書かれた側にとって非常に不公平な場となっています。これは、人権侵害の最たるものではないでしょうか。当協会も、何年も、泣き寝入りを続けています。

 

久しぶりに、今日、ウィキペディアで、「日本熊森協会」と、検索を入れてみました。まず出て来るのが以下の記述です。(2012年10月17日現在)

 

日本熊森協会

「一般財団法人日本熊森協会(にほんくまもりきょうかい)は、奥山の生態系保全を目的とする自然保護団体である。本部は兵庫県西宮市分銅町に所在する。英文名称は”Japan Bear & Forest Society”(JBFS)である。

A  自らを完全民間[1]の実践自然保護団体と称している。

B クマの保護団体ではない[2][3]

C 活動内容から自らの主張とは異なり動物愛護団体と見なされている[4]。」

 

(熊森から)
A. せっかくの出だしなのに、怪しげな団体のように書かれている。
B. 当協会は、クマだけ守っているわけではないが、クマの保護にどこよりも力を入れている。よって、このような記述は、誤解を生む。
C . 秋田県の毎日新聞が間違って1度誤記したのをいいことに、これを使って、熊森を動物愛護団体に貶めようとしたのであろう。(しかし、私たちは、動物愛護団体に大いなる敬意を持っているので、私たちにとっては、熊森を貶められたことにはならない)
ただ、私たちは、野生鳥獣たちと共存する文明を取り戻さないと、人類が自然破壊に歯止めがかけられなくなり、早晩滅びるとして、クマをシンボルに、現代の人間中心主義・物質中心主義文明を全生物と共存する持続可能文明へと方向転換させるべく、会を設立したので、熊森を動物愛護だけの団体におしこめるのは、事実誤認である。
結局、この文を書き込んだ者は、毎日新聞の記事を脚注に持ち出して客観的な記述を装ってはいるが、熊森を動物愛護団体と低く?小さく?見せてやろうとする自らの主観を、読者に押し付けようとしただけに過ぎない。

 

このウィキペディアのページトップの履歴表示をクリックすると、このページの書き込みは今日現在まで、「幹間臼」と名乗るハンドルネームを持った者が、ほとんど一人で長年、悪意ある書き込みを続けているのがわかる。上記記述以下は、読むのも疲れる程膨大な(14121字)、当協会についての自分勝手な解釈記述や、当協会に批判的な他人の記述だけを探し出し、一方的に選んで並べている。
「幹間臼」と名乗る者は、膨大な脚注を付けて、巧みに、客観的に記述しているふりをしているが、私たちは彼から訪問を受けたり、取材されたことは一度も無いのである。取材もしたことがない会の活動について、自分の主観だけで、熊森を知った時にまず多くの人々が最初に好意を持って開いてみるであろうウィキペディアの当協会ページを執筆する資格など、ないと言ってよい。

 

しかも、この「幹間臼」なる人物は、なぜか当協会の中心的かつ恒常的な活動では全くない「ドングリ運び」について、異常なまでに執着を示し、膨大な記述のほとんどを、何一つ自分で不都合な事実を検証したわけでもないのに、ドングリ運び批判で終始させているのである。このようなページが、読者に正しい日本熊森協会の姿を伝えられないのは明らかである。

 

当協会は、以前、ウィキペディアの中の間違っている記述をいくつか修正したことがあるが、匿名者にすぐ元に戻されてしまった。2011年11月25日、このページの余りのひどさにスタッフの若い女性が実名で、事実でない部分などの削除を試みたのである。「幹間臼」氏は、どこかに記述文をコピーしていたのだろうか、ただちに元に戻されてしまった。結局、削除→復元のイタチごっこで、私たちのように忙しくしている者は、時間が十分有り余っている者には勝てないのである。現在、「幹間臼」氏の一方的な個人的記述文だけが、まるで熊森に対する社会からの客観的評価であるかのように、ウィキペディアに掲載されている。

 

私たちは、連日、活動に手がいっぱいで、毎日必死であり、「幹間臼」を名乗る者らが書きこんだページをチェックしたり、負けじと反論し続けるなどの暇はない。本気で社会奉仕活動をしている人は、みんな私たちと同じだろう。それをいいことに、暇を弄んで、愉快犯的なネット上での記述を入れるのは、やめていただきたい。「幹間臼」氏らが、当協会の活動をどう評価するかは自由である。しかし、多くの純真な一般国民が、信頼できる情報源として信じて検索して読むウィキペディアに対して、これ以上悪意ある無責任な書き込み続けるのなら、氏名連絡先を明らかにするべきだろう。匿名では、私たちは訴えることすらできない。この何年間か、当協会が受けて来た信用喪失などの甚大なる被害を、どう償ってくれるのか。

 

● 国民のみなさんは、ウィキペディアページの記述実態を知って、価値観の分かれる項目に対しては、信じすぎないようにお願いしたい。
● ウィキペディアページの管理者は、連絡先を公表し、真実でないことを書かれて困っている者の救済措置を講じてほしい。

 

(最後に)
ウィキペディアページだけではなく、ネット上のブログなども含めて、匿名をいいことにあまりにも自分勝手な捏造記述が多すぎる。何が真実で何が捏造か、言葉巧みに書かれたら、第三者には分からなくなってしまう。その結果、善が悪になり、悪が善になって、私たちの社会が無茶苦茶に混乱してきている。
ネットの匿名性が、それなりに自制心があった人々を、無責任にし、堕落させていっているように思える。許されるべき特例として匿名が審査会で認められたもの以外は、原則、出所のわからない無責任記述は世に出せないようにし、捏造記述には厳しい罰則を設けるなどの規制をしいていかないと、人類社会がダメになってしまうと思う。
当協会には、弁護士会員が結構おられる。何人かに相談してみたものの、今の法律では、原則として、間違ったことを書かれた者が泣き寝入りするしかないようだ。こんな馬鹿げたことはない。ますます国民が、何が真実かわからなくなっていく。

 

ちなみに、2010年に当協会が立ち上げた日本奥山保全・復元学会(現、日本奥山学会)のウィキペディアページに、3.11以降、当協会の信用を失墜させるようなことを書き込み続けているのも、「幹間臼」である。

 

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