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2016-11-15

11月15日 兵庫県クマ狩猟再開日 トラスト地での狩猟禁止

兵庫県は、今日から1か月間、クマ狩猟再開を強行します。

来年は3か月にすることでしょう。井戸県政の汚点です。残念です。

兵庫県のクマ狩猟再開理論も、140頭枠も、もう完全に破たんしています。

何とか止めようと、熊森はできる事はすべてやってきました。

もっと大きな会にならないと止められません。無念です。

今日は、夜明けと同時に、山では一斉に銃声がパンパン破裂するのでしょう。

銃に撃たれたら動物たちも痛いんだよ。クマも痛いと声を上げて泣くんだよ。こういうことがわからない人が、いるのでしょうか。

20年前に大変な努力によってクマ狩猟禁止を勝ち取った尼崎市の子どもたちへの裏切りです。

 

私たちはほんのささやかな抵抗しかできませんが、トラスト地では、狩猟をお断りします。(宍粟市内、豊岡市内)

県にも届けてあります。

山主が断れば、その山で狩猟はできないそうですから、自分の山を野生動物の血で汚したくない人は、ぜひ当協会のように、意思表示をされるといいと思います。

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大学の先生が、行政の方が、殺生を楽しめと教えしや。

完全に狂っている。

今こそ、奥山自然林復元!

 

平野虎丸顧問のブログから

過剰スギ植林のおかげで自然がなくなり、野生動物たちは害獣と呼ばれ、害獣食が大人気、というニュースまで出来上がります。
害獣を殺して埋めるだけではもったいないので食べてしまうことが森のためにも人間の為にもなる、という話のようですが、動物たちは害獣ではなく、人間に森を奪われ棲みかを追われた被害獣です。
人間こそが害獣です。もはや、地球にとって、人間は動物以下の存在になっています。
害獣を食べて森のために良いことをしていると思い込んでいる人たちは、森を破壊している林野庁とマスコミに洗脳されているだけです。

テレビ局に兵庫県のクマ生息地の山々を初案内

11月9日、丸1日とって、あるテレビ局の方が、兵庫県のクマ生息地を取材してくださいました。

これまで熊森は、「とにかく、山に入って下さい。誰の言っていることが本当か、山の中を見たら、すぐにわかります」と、知事さんやマスコミ関係者にお願いし続けて来ました。しかし、みなさん忙しくて、応じていただけませんでした。

今回、ついに来てくださった。本当に感激でした。本部スタッフ3名で一生懸命ご案内しました。

 

クマ生息町の山は、延々と人工林が続きます。

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集落近くのぬかるみ道で、真新しいクマの糞や足跡を発見

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この足跡を残したクマは、きっとまだその辺にいることでしょう。

大きい声を出して、人間が来ていることを知らせながら歩みます。

住民に、クマが爆発的に増えていると思うかたずねてみました。

「山にはおらんから、増えてないやろな」という答えでした。

いよいよ、山奥に入って行きます。

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急斜面で、カメラさんは本当に気の毒でした。ケガをされないかひやひやしました。

一見いい自然林なのに、なぜ動物が棲めなくなったのか説明しながら進みます。

標高1000メートル近くになって、やっとブナ・ミズナラの原生的な森に、少し、下層植生が現れ出しました。雪が降ってきました。

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左は原生的な森、右は動物の餌が全くない放置人工林。林内が対照的です。

原生的な森のブナの幹をみんなで見て歩きました。どのブナの木にも、古いクマの爪痕がいっぱいついています。この爪痕は、材が柔らかい春の時期に、花や若葉を食べにきたクマたちが木に登った跡と思われます。

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ブナの木にびっしりついた古いクマの爪痕

かつて、このあたりはクマの恒常的な生息地であったことがわかります。最近のクマの爪痕が少しくらいあるかもしれないと思って探しましたが、全く見つかりませんでした。

 

ミズナラに一つぐらいは熊棚が出来ていないかと思って探しましたが、これも残念ながら全く見つかりませんでした。

クマの糞も一つも見つかりませんでした。今は、もうほとんどが、下の集落周辺に移動してしまっているのがわかっていただけたと思います。

 

かつてこのあたりは、人間の背丈より高いササにびっしり覆われた場所でした。臆病者のクマたちが何頭か姿を隠しながら棲んでいたと思われます。

多くの研究者たちは、下層植生が消えたのは全てシカとして、シカを犯人にしていますが、いくらなんでもあれだけ生えていた大量のササを、シカが食べきれるわけがありません。

ある研究者の観察では、まず初めに、地球温暖化で雪の上にササが出るような年があったり、数十年に一度のササの一斉開花があったりで、地上部のササが枯れました。ササは地下茎がありますから、いったん地上部が枯れても、また地下から芽を出してきます。その芽を今度はシカが食べてしまうので、ササが復元できなくなってしまいました。もし原生林内を囲うと、その中だけには、ササが生えてきます。

シカも関係していますが、全てシカが下層植生を枯らしたようにいうのは、まちがいです。地球温暖化で枯れたのなら、大元の原因を作ったのは人間です。

 

このあと、下の別の集落に移動しました。クマたちと共存している地元の人たちの姿がありました。

テレビ局の方は、人身事故があった現場も取材されていました。

 

帰りの車の中で、突然、東京のテレビ局の方から携帯に電話が入りました。近々、兵庫に行くので、山を案内してほしいということでした。

今回のクマ狩猟再開は、兵庫県森林動物研究センター研究員の、「兵庫の森は絶好調、歴史始まって以来の豊さを誇る森」ということが前提となっています。

もう少し早くマスコミのみなさんが熊森に注目してくださって、現地を見にきていただき、前提が全く間違っていることを報道してもらっていれば、狩猟再開はくつがえせたのではないかと思いました。兵庫の奥山は、人工林も自然林も、林内は大荒廃しています。

 

 

 

 

 

 

 

兵庫県クマ狩猟枠140頭の計算が、完全破たん  なのに狩猟再開?!

10月11日の兵庫県井戸知事記者会見の後、熊森は知事と兵庫県担当部署に、以下のような公開質問状を出していました。

 

以下の2つの質問にお答えください。

①坂田宏志氏のツキノワグマの個体群動態の推定(兵庫県2015 年)によると、

2015年の個体数は、人為的死亡個体数を引く前の段階で中央値940.0(90%信頼限界では691.1~1,212頭)、2015年末の段階で中央値919.0頭(90%信頼限界で670.1~1,191頭)で、2014年から個体数が増加していると推定された。と書かれています。

ならば、2015年の有害捕獲後のクマ数は919頭ですから、2016年の事業としては119人しか狩猟者を募集できないはずです。

 

②さらに、兵庫県は環境省の安定生息数800頭に、こだわっているようですが、環境省は、成獣が800頭いれば安定としています。これに従うと、919頭の推定数のうち、幼獣数を引き去らねばなりません。兵庫県の主張通りいくなら、残りの成獣数から800頭を引いた数が、狩猟すべき数とならねばなりません。狩猟者募集はゼロ人になるはずです。

 

しかし、いつまで待っても、お返事は来ませんでした。県庁担当者に直接問い合わせると、何と、

 

答え①:2016年度当初のクマ推定数を940頭とすることにした。

答え②:環境省は成獣800頭としているが、兵庫県は独自に成獣+幼獣=800頭を安定個体群とした。

よって、問題ないという答えでした。

 

(熊森から)

もはや、狩猟枠140頭は完全破たんしていることが証明されました。

 

2015年末が919頭なら、2016年度の事業としては、当然、2016年当初の919頭を使用すべきです。ミスであったと思われます。答えは全くこじつけで、説明になっていません。

 

兵庫県はこれまで環境省規定を前面に持ち出して、140頭の狩猟枠を決めたと言ってきたのに、ミスを指摘されると、突然、兵庫独自に策定したなどとごまかす。第一、兵庫県が、環境省のガイドラインを守らないのであれば、その理由を示さねばならない。理由もなく守らないのなら、環境省を侮辱し、環境省の存在を否定したことになります。

 

 

熊森の公開質問状にはお返事がきませんでしたが、日本福祉大学山上

俊彦先生が出された質問には、兵庫県から回答が来たそうです。どのよ

うに質問され、どのような答えが来たのか、見せていただきました。

以下、山上先生質問状

兵庫県知事は10月11日の記者会見にて「平成28年度ツキノワグマ狩猟
禁止の制限的な解除」を発表されています。しかし、その内容には以
下のような事実誤認があるため兵庫県は狩猟を行う条件を満たしてい
ないと考えられます。従って狩猟解禁は撤回されるのが妥当と考えま
す。

1.推定生息数が絶滅する恐れが当面ないレベル(800頭)を上回る
940頭まで回復してきたとした点
兵庫県は環境省の「特定鳥獣保護管理計画作成のためのガイドライン
(クマ類編)」に準拠して保護計画を作成したものと考えられます。
https://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan3-2c/
このうち、特別編(後編)
https://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan3-2c/chpt2b.pdf
において、個体群水準が定義されています。p.58です。ここで個体数
は成獣数と定義されています。成獣の定義ですが、特別編(前篇)
https://www.env.go.jp/nature/choju/plan/plan3-2c/chpt2a.pdf
において定義されています。p.38です。ここでは野崎氏の定義を用い
て、4歳以下を幼獣・亜成獣、長野県の定義を用いて4 歳以上が繁殖齢
個体としています。
兵庫県には東中国地域個体群と近畿北部地域個体群が存在し、円山川
で分断されています。環境省の基準は「個体群」かつ「成獣」の個体
数を判断基準としているので、兵庫県全体の頭数を基準に補殺や狩猟
の意思決定を行うことはそもそも出来ません。940頭は個体群の頭数
ではなく、異なる個体群の一部の数を足したものであり、幼獣も含ん
でいます。

2.承認者数は1人1頭で、140頭までで140人に許可するとした点
兵庫県のツキノワグマ生息数は森林動物センターの「ツキノワグマの
個体群動態の推定(兵庫県2015年)」に拠っています。
http://www.wmi-hyogo.jp/upload/database/DA00000481.pdf
2015年の生息数940頭は有害補殺前の頭数です。(p.15)有害駆除等を
控除すると生息後は919頭です。(p.16)
919頭では狩猟の上限は119頭です。
次に、幼獣の数です。鳥獣対策課長は農政環境常任委員会にて兵庫県
のクマは妊娠率が高いので年平均20%増加すると回答されていると聞
きました。
兵庫県公表数値では、個体数は、
2011年477頭
2012年571頭
2013年688頭、
2014年813頭、
2015年940頭ですから、
幼獣数は少なくとも、
940-813=127頭、生存率が0.933(p.14)とされているので、このうち
生存しているのが
127×0.933=118頭で1歳
813-688=125頭のうち生存しているのは
125×0.933×0.933=108頭が2歳
919から控除すると
919-108-118=693頭となります。
亜成獣は
571-477=94頭で、
94×0.933×0.933×0.933×0.933=71頭が4歳、
688-571=117頭で
117×0.933×0.933×0.933=95頭が3歳です。
つまり、幼獣と亜成獣を控除すると成獣は多くて、
940-71-95-108-118=548頭となります。
成獣数は環境省の基準を下回ります。
以上から兵庫県は個体群の生息数ではない数を見て800頭を超えてい
るとし、その数には幼獣も含まれていることから生息数が安定的に推
移するための環境省の基準を満たしていない。このことから、ツキノ
ワグマの狩猟を解禁することはできません。また、生息数から駆除さ
れた個体数を控除せずに狩猟許可人数を算出していることは県民、国
民に対して間違った報告をしたことになります。


{兵庫県庁からの回答}
 本県の「ツキノワグマ保護計画」は、環境省のガイドラインに準拠
したものではなく、ガイドラインを参考に本県独自に策定したもので、
狩猟禁止を解除するレベルの800頭は成獣・幼獣の区分がない生息数
そのものとしています。
 また、捕獲上限の140頭については、県環境審議会委員の「捕獲数
の制限設定を設けるべき」との意見を踏まえ、800頭を下回らないよ
う、平成27年度当初の推定生息数940頭を基準に設定しています。
 
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